JP3665663B2 - 血圧降下剤及びその製造法 - Google Patents

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【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、血圧降下作用等を有し、医薬品、特定保健用食品、健康食品等に利用できる新規なペプチド及びその塩を有効成分として含有する血圧降下剤及びその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
高血圧症の発症には、レニン−アンジオテンシン系が深い関わりを持っていることが知られている。このレニン−アンジオテンシン系には、アンジオテンシン変換酵素(以下ACEと称す)が重要な役割を果たしており、主に肺や血管内皮細胞に存在する。ACEは、アンジオテンシノーゲンが腎臓で産生される酵素レニンにより分解されて生成したアンジオテンシンI(Asp Arg Val Tyr Ile His Pro Phe His Leu)に対して作用して、アンジオテンシンIのC末端からジペプチド(His Leu)を遊離し、強力な血圧上昇作用を有するアンジオテンシンII(Asp Arg Val Tyr Ile His Pro Phe)を生成する。それと共に、ACEは、降圧性ペプチド(ブラジキニン)を分解、不活性化する作用も有するので、結果として両作用により血圧上昇作用を示す。従って、ACEが酵素活性を阻害することにより血圧上昇を抑制すること(降圧)が可能であり、これまでに種々のACE活性阻害を有する物質が報告されている。
【0003】
ACE活性阻害物質としては、天然物、化学合成物が多数報告されており、例えば化学合成物としては、カプトプリル(D−2−メチル−3−メルカプトプロパノイル−L−プロリン)が有名であり、既に経口用降圧剤として実用化されている。しかし、これらの化学合成医薬品は、常に安全性の問題に注意を払わなければならない。
【0004】
また、天然物あるいは天然物由来の阻害物質としては、蛇毒ペプチド及びその類縁体等が知られている。特に食品原料由来のACE阻害物質は、より安全性に優れた降圧剤となり得ることが期待できる。例えば獣乳カゼイン、魚肉蛋白質等の酵素分解物から得られるACE阻害物質等が報告されており、特にプロティナーゼによるカゼイン分解ペプチドの血圧降下作用に関する報告がなされている(N. Yamamoto et, al. J. Daily Sci. 77: 917-922 (1994)、N. Yamamoto et, al., Biosci. Biotech. Biochem., 58, 776-778 (1994))。
【0005】
前記プロティナーゼにより獣乳カゼインを酵素加水分解する方法は従来知られており、例えばラクトバチルス ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)産生プロティナーゼの性質と特異性について報告されている(Claude ZEVACO and J.C.GRIPON,Le Lait,68,393-408(1988))。更にラクトバチルス ラクティス サブスペシィーズクレモリス(Lactobacillus lactis subsp. cremoris)産生P1及びP3タイプのプロティナーゼによるβ−カゼイン加水分解の比較についても報告されている(Julian R. Reid et.al.,Applied Microbiology and Biotechnology,36,344-351(1991))。しかし、プロティナーゼ処理と、カルボキシペプチダーゼ処理とを併用した際に得られるペプチドについては知られていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、安全性が高く、微量の経口投与で有効なACE阻害活性を示す血圧降下剤及びその製造法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、下記アミノ酸配列で示されるペプチド及びその塩を有効成分として含有する血圧降下剤が提供される。
(R)n Lys Val Leu Pro Val Pro(RはSerを示し、nは0又は1を示す)
また本発明によれば、獣乳成分を原料として、プロティナーゼ処理を行った後、カルボキシペプチダーゼ処理することを特徴とする前記血圧降下剤の製造法が提供される。
【0008】
以下、本発明を更に詳細に説明する。
本発明に用いるペプチドは、前記アミノ酸配列で示されるものであって、具体的にはSer Lys Val Leu Pro Val Pro、Lys Val Leu Pro Val Proである。またその塩としては、薬理学上許容される塩類、例えば塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩等の無機酸塩及びクエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、酒石酸塩、乳酸塩等の有機酸塩を挙げることができる。
【0009】
本発明に用いるペプチドを調製するには、公知の有機化学合成法により得ることができる。また後述する獣乳成分を原料として、プロティナーゼ処理と、カルボキシペプチダーゼ処理とを併用して得られる処理物を、例えば逆相液体カラムクロマトグラフィー(以下HPLCと略記する)等の公知の方法で精製することにより得ることができる。得られる目的とするペプチドは、獣乳蛋白質成分の1種であるβ-カゼインを構成するペプチド単位の一部である。
【0010】
本発明の血圧降下剤は、前記ペプチド及びその塩を有効成分として含有する。本発明の血圧降下剤を調製するには、公知の有機化学合成法で調製したペプチドを含有させる方法、また獣乳成分を原料として、プロティナーゼ処理を行った後、カルボキシペプチダーゼ処理する酵素加水分解法等により製造することができる。
【0011】
前記獣乳成分を原料とする酵素加水分解法において、原料としての獣乳成分としては、獣乳カゼイン、獣乳カゼイン塩等を用いることができる。
【0012】
前記プロティナーゼとしては、微生物由来のプロティナーゼ、植物由来のプロティナーゼ、動物由来のプロティナーゼのいずれも使用することができる。
【0013】
前記プロティナーゼの調製は、公知の方法で行うことができ、例えば微生物由来のプロティナーゼとして、乳酸菌産生プロティナーゼを例にして説明すると、使用する乳酸菌としては、ラクトバチルス・ヘルベティカス(Lactobacillus helveticus)、ラクトバチルス・デルブルィキィ・サブスペシィーズ・ブルガリカス(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus)、ラクトバチルス・アシドフィラス(Lactobacillus acidophilus)等のラクトバチルス属乳酸菌を用いることができる。更に好ましくはラクトバチルス・ヘルベティカス JCM-1003(Lactobacillus helveticus JCM-1003)、ラクトバチルス・デルブルィキィ・サブスペシィーズ・ブルガリカス JCM-1002(Lactobacillus delbrueckii subsp. bulgaricus JCM-1002)、ラクトバチルス・アシドフィラス JCM-1132(Lactobaticillus acidophilus JCM-1132)等を挙げることができる。また培地としては、牛乳、山羊乳、馬乳又はこれらの脱脂乳、更に乳酸菌用培地、例えばBL培地、Briggs liver broth培地、MRS培地、GAM培地、TTY培地、MGLP培地等が好ましい。
【0014】
発酵条件としては、発酵温度20〜50℃、更に好ましくは30〜40℃。発酵時間3〜20時間、更に好ましくは8〜12時間の条件下で行うことができる。また、得られる発酵液は、通常pH3〜4を示すが、目的とするプロティナーゼの収率を増加させるためには、前記発酵液を中性域のpHに保持して行うのが好ましい。
【0015】
乳酸菌産生プロティナーゼの回収は、公知の方法(Yamamoto,N.et.al.,J.Biochem 14.p740-745(1993)等)に従って行うことができるが、好ましくは対数増殖期に集菌し、次いでカルシウムイオンを含むリン酸緩衝液またはトリス塩酸緩衝液等により洗浄した後、カルシウムイオンを含まないリン酸緩衝液またはトリス塩酸緩衝液等により抽出する方法、または、更にDEAEセファロースカラム、ゲル濾過カラム等により精製する方法を好ましく挙げることができる。前記プロティナーゼの抽出は、好ましくは5〜40℃にて10〜60分抽出する工程、若しくはこの工程を2〜5回繰り返すことにより行うことができる。
【0016】
前記プロティナーゼ処理は、獣乳カゼイン等の獣乳成分をプロティナーゼにより酵素加水分解する処理であって、例えばまずプロティナーゼと、リン酸緩衝液等の緩衝液に溶解した獣乳成分とを混合し、30〜50℃にて、1〜12時間反応させる。この際プロティナーゼと獣乳成分との混合割合は、重量比で1:100〜1:5000であるのが好ましい。次いで、そのまま、若しくは90℃、5分間程度の処理等でプロティナーゼを失活させた後、好ましくは分子量分画10000〜50000の限外濾過膜等で限外濾過する処理方法等により行うことができる。
【0017】
前記カルボキシペプチダーゼ処理は、前記プロティナーゼ処理により得られた濾過液と、カルボキシペプチダーゼとを混合し、好ましくは30〜50℃にて2〜20時間反応させ、酵素加水分解させる方法等によって行うことができる。このカルボキシペプチダーゼ処理により、目的のペプチドを含む混合液を調製することができる。この際カルボキシペプチダーゼと前記濾過液との混合割合は、重量比で1:100〜1:5000であるのが好ましい。
【0018】
本発明の血圧降下剤は、ACE阻害活性を示し血圧降下作用を有する前記ペプチド及びその塩を有効成分として含有するので、ヒトをはじめとする哺乳動物の高血圧の治療、予防に有効である。
【0019】
本発明の血圧降下剤の投与方法は、主に経口投与、静脈注射等で行うことができる。剤形は、乾燥粉末とした後に錠剤、顆粒製剤、カプセル製剤等として、更には液体製剤として用いることもできる。前記ペプチド及びその塩は、それ自体を前記種々の剤形と成るように調製して使用することができるが、前記ペプチド及びその塩は、後述するように微量でも血圧降下作用を発揮するので、前記プロティナーゼ処理とカルボキシペプチダーゼ処理との併用により得られる酵素加水分解物溶液を、そのまま、または種々の栄養分等を加えて、もしくは飲食品内に含有させて血圧降下作用、高血圧予防の機能をもたせた機能性食品、特定保健用食品及び健康食品等として用いることができる。
【0020】
本発明の血圧降下剤の投与量は、患者の年齢、症状により異なるが、前記ペプチド及びその塩の含有量に換算して、0.1mg/体重kg・日以上で有効である。好ましくは1mg/体重kg・日前後で使用するのが望ましい。
【0021】
前記ペプチドを正常血圧値を示すWKYラット(15週令、体重約300g、n=5)へ10mg/kg・日、1か月間経口投与したが、ラットの行動、外観、血圧値、剖検所見に異常は認められず、本発明のペプチドの安全性が確認された。
【0022】
【発明の効果】
本発明に用いるペプチドは、ACE阻害作用を有する血圧降下剤等として利用可能な安全性が高く、副作用のない新規なペプチドであり、種々の医薬品、特定保健用食品、機能性食品等への利用が期待できる。また本発明の血圧降下剤は、前記ペプチド及びその塩を有効成分として含有するので、ヒト並びに哺乳動物の血圧を有効に降下させることができる。また有効成分であるペプチドは、獣乳成分を原料として、容易にしかも安価に製造することができる。
【0023】
【実施例】
以下実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0024】
【実施例1】
β−カゼイン内の乳酸菌プロティナーゼによる切断部位及びβ−カゼイン配列を参考にして、ペプチドLys Val Leu Pro Val Proを以下に示す有機化学合成法により合成した。またその配列を基本にして表1に示す種々のペプチドを設計し、同様に有機化学合成法により合成した。
【0025】
合成は島津製作所製のペプチド自動合成装置(型式PPSM−8型)を用いた固相法によって行った。固相担体としてベンジルオキシベンジルアルコールタイプのポリスチレン樹脂であって、アミノ基をフルオレニルメトキシカルボニル基(以下Fmocと略記する)で保護されたプロリンが結合した樹脂20μmolを使用した。前記アミノ酸配列に従って、アミノ基がFmoc基で保護されたFmoc-Val、Fmoc-Pro、Fmoc-Leu、Fmoc-Lysを100μmolずつ、常法に従い、ペプチド配列通り順次反応させてペプチド結合樹脂を得た。次にこのペプチド結合樹脂1mlの反応液(1重量%エタンジチオール、5重量%アニソール、95重量%トリフルオロ酢酸)に懸濁し、室温で2時間反応させてペプチドを樹脂から切り離し、同時に側鎖保護基を外した。次に反応混合液をガラスフィルターで濾過した後、無水エーテル10mlを加えて生成したペプチドを沈澱させて、3000回転、5分間遠心して分離した。その沈澱を無水エーテルにて数回洗浄した後、窒素ガスを吹き付けて乾燥した。このようにして得られた未精製の合成ペプチドを0.1規定のHCl水溶液2mlに溶解した後に全量をC18の逆相カラムを用いたHPLCで、以下の条件に従って精製した。
【0026】
ポンプ:型式L6200インティリジェントポンプ(日立製作所製)
検出器:215nmの紫外部吸収、型式L4000UV検出器(日立製作所製) カラム:マイクロボンダスフェアー5μC18(ウオーターズ社製)
Figure 0003665663
(B/A+B)×100(%):0%→40%(60分)
流速:1ml/分。
【0027】
215nmで最大吸収を示した溶出画分を分取し、これを凍結乾燥することにより目的とする合成ペプチドを5.6mg得た。精製ペプチドを全自動タンパク質一次構造分析装置(型式PPSQ−10、島津製作所製)により、ペプチドのN末端から分析し、更にアミノ酸組成分析装置(型式800シリーズ、日本分光社製)にて分析した結果、設計通りであることが確認できた。
【0028】
Ser Lys Val Leu Pro Val Pro及び表1に示すその他のペプチドについても、上記合成方法に準じて固相法によりそれぞれC末端側から反応させて合成した。また合成ペプチドの精製法も上記方法に準じて行い、それぞれの精製ペプチドを全自動タンパク質一次構造分析装置(型式PPSQ−10、島津製作所製)により、ペプチドのN末端から分析し、更にアミノ酸組成分析装置(型式800シリーズ、日本分光社製)にて分析した結果、設計通りであることが確認できた。
【0029】
次に、合成した種々のペプチドについてACE阻害活性を以下の条件で測定した。化学合成したペプチドについて、CheungとCushmanの方法「D.W.Cushman and H. S. Cheung,Biochem. Pharmacol.,20,1637(1971)」に準じ、ACEの阻害活性を測定した。即ち、前記ペプチドを含む試料80μlと、基質として0.1Mホウ酸緩衝液(0.3M NaClを含む、pH8.3)を用いて5mMに調製したヒプリルヒスチジルロイシン(Hip His Leu、シグマ社製)200μlを加えた後、更にACE水溶液(0.1U/ml、シグマ社製)20μlを添加し、37℃、30分間反応させた。その後、1N塩酸250μlを添加して反応を停止させた後、1.7mlの酢酸エチルを加えて20秒間撹拌した。次いで3000回転で10分間遠心して酢酸エチル層1.4mlを採取した後、120℃、40分間加熱して溶媒を除去した。溶媒除去後、蒸留水1mlを加え、抽出されたヒプリル酸の228nmにおける吸光度を測定し、これをACE阻害活性とした。ACE阻害活性は下記式より算出した。
【0030】
ACE阻害率=[(A−B)/(A−C)]×100(%)
A:試料を含まない場合の228nmの吸光度
B:試料を添加した場合の228nmの吸光度
C:酵素及び試料を添加しない場合の228nmの吸光度
ACEの酵素活性を50%阻害するために必要な試料の濃度(μM)をIC50として表1に示す。その結果Ser Lys Val Leu Pro Val ProおよびLys Val Leu Pro Val Proに強い活性を得た。またVal Leu Pro Val Pro GlnおよびVal Leu Pro
Val Proにも若干の活性が見られた。
【0031】
【表1】
Figure 0003665663
【0032】
【実施例2】
実施例1で合成した2種のペプチドSer Lys Val Leu Pro Val ProおよびLys Val Leu Pro Val Proについて下記に示す方法に従い、それぞれの降圧作用を測定した。
【0033】
各々のペプチド1mg/kgを、高血圧自然発症ラット(SHR:日本チャールス・リバー社)の雄、19〜25週令、1群5匹に対して、胃ゾンデにて強制投与し、6時間後にコントロール群(0.05%カゼイン投与群)との血圧降下値を比較した。血圧測定は、非観血式血圧測定装置(型式PE−300、ナルコバイオシステムズ社製)を用い、tail-cuff法で最高血圧値を求めた。その結果、ペプチドLys Val Leu Pro Val ProおよびSer Lys Val Leu Pro Val Proが有意に血圧降下作用を示すことが確認された。血圧降下値は、それぞれ−32.2±2.9***、及び−24.5±11.1**で、コントロール群に対して有意差があった(**;P<0.01、***;P<0.001)。結果を(投与前最高血圧値−投与後最高血圧値)±S.E.として表2に示す。
【0034】
【表2】
Figure 0003665663
【0035】
【実施例3】
ペプチドSer Lys Val Leu Pro Val Pro 及び Lys Val Leu Pro Val Pro について、投与量と血圧降下度に関するドーズレスポンスを調べた結果を図1及び図2に示す。動物及び血圧測定方法は、実施例1に準じて行った。即ち、各々のペプチド0.1、0.3、1.0mg/体重kgをラットに経口投与した後、Ser Lys Val Leu Pro Val Pro においては4時間後、Lys Val Leu Pro Val Pro においては6時間後の最高血圧値を測定し、コントロール群(0.05%カゼイン投与群)と比較した。その結果、Ser Lys Val Leu Pro Val Pro、Lys Val Leu Pro Val Pro共に、0.1〜1.0mg/体重kgの範囲で、用量依存的な効果が認められた。
【0036】
【実施例4】
ラクトバチルス・ヘルベティカス JCM-1003のスターター発酵液300gを用い、9重量%の脱脂粉乳10kgに植菌した。次いで3N NaOHを自動的に加えて、pH6.0に保ちながら、濁度1.0になるまで37℃、5時間培養した(濁度測定方法は、培養液10mlへクエン酸ナトリウムを終濃度1重量%になるように加え、乳蛋白質を可溶化した後、590nmの吸光度を測定した)。次にクエン酸ナトリウムを全発酵液に1重量%となるように添加して乳蛋白質を可溶化した。続いて5000回転、20分間の遠心分離を行い集菌し、菌体を20mM塩化カルシウム、50mMβ−グリセロリン酸ナトリウム緩衝液(pH8.0)で洗浄した後、50mMトリス−塩酸緩衝液(pH8.0)を50ml加えて、37℃で30分間保持した。次いで10000回転、10分間の遠心分離を行い上清液を採取し、粗抽出液とした。この粗抽出液を予め5mMエチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)−20mMトリス−塩酸緩衝液(pH7.8、TE緩衝液)で平衡にしたDEAE−セファロースカラム(5ml)に通した。カラムを0.3Mの塩化ナトリウムを含むTE緩衝液30mlで洗浄後、1.0M塩化ナトリウムを含むTE緩衝液15mlで溶出し、乳酸菌産生プロティナーゼをほぼ単一なものとして約150μg得た。
【0037】
次にカゼイン2gを20mMのリン酸緩衝液(pH7.5)200mlに溶解し、上記で得られた乳酸菌産生プロティナーゼ100μgと混合し、42℃で15時間反応させた。その反応液を10000回転、10分間の遠心後に上清を回収し、限外濾過膜処理(商品名「アドバンテック東洋UHP 150」、限外濾過膜分画分子量10000、富士フィルター工業株式会社製)を行ったところ、カゼイン2gからプロティナーゼ分解ペプチド約1400mg(収率約70%)のペプチドが限外濾過膜透過液180ml中に得られた。
【0038】
次いで得られた限外濾過膜透過液90mlを、実施例1に従いHPLCを用いて溶出し、合成ペプチドと同じ溶出時間のペプチドを回収した。得られた限外濾過膜透過液90mlからLys Val Leu Pro Val Pro Glnを2.7mg精製回収できた。
【0039】
次に精製回収ペプチド50μgを150μlの350mM KCl−40mMトリスHCl緩衝液(pH7.5)に溶解し、カルボキシペプチダーゼA(シグマ社製)10ユニットと混合した後、37℃、10時間反応させた。反応液を実施例1の条件に従ってHPLC分析した。その結果を図3に示す。新たに生じたピークを精製し、そのアミノ酸配列を全自動タンパク質一次構造分析装置(型式PPSQ−10システム、島津製作所社製)およびアミノ酸組成分析装置(型式800シリーズ、日本分光社製)で分析した結果、アミノ酸配列はLys Val Leu Pro Val Proであることが確認できた。反応回収率は約40%であった。前記精製回収ペプチドを含む溶液にカルボキシペプチダーゼAを混合直後の試料の溶出時間と吸光度との関係を図3に、10時間反応後の試料の溶出時間と吸光度との関係を図4に示す。
【0040】
また前記カルボキシペプチダーゼAを混合反応させた反応液について、実施例1と同様にACE阻害活性を測定したところ、強い活性が認められた。更に実施例2と同様に降圧作用を測定したところ、有意な血圧降下作用が得られた。
【0041】
【実施例5】
実施例4で得られたプロティナーゼ分解ペプチド約700mgを含む限外濾過液90mlを凍結後、真空凍結乾燥機(FDU−830型 東京理化社製)で乾燥した。得られた乾燥粉末670mgを、40mlの350mM KCl−40mMトリスHCl緩衝液(pH7.5)に溶解し、カルボキシペプチダーゼA(シグマ社製)500ユニットと混合した後、37℃、10時間反応させた。反応液を実施例1の条件に従ってHPLC分析し、合成ペプチドLys Val Leu Pro Val Proと同じ溶出時間のペプチドを回収した。
【0042】
得られたペプチドのアミノ酸配列を全自動タンパク質一次構造分析装置(型式PPSQ−10システム、島津製作所社製)およびアミノ酸組成分析装置(型式800シリーズ、日本分光社製)で分析した結果、アミノ酸配列はLys Val Leu Pro Val Proであることが確認できた。乾燥粉末650mgをカルボキシペプチダーゼ処理することで、Lys Val Leu Pro Val Proを0.9mg精製回収できたた(回収率約33%)。
【0043】
また前記カルボキシペプチダーゼAを混合反応させた反応液について、実施例1と同様にACE阻害活性を測定したところ、強い活性が認められた。更に実施例2と同様に降圧作用を測定したところ、有意な血圧降下作用が得られた。
【0044】
【配列表】
配列番号:1
配列の長さ:7
配列の型:アミノ酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:ペプチド
Figure 0003665663
【0045】
【配列表】
配列番号:2
配列の長さ:6
配列の型:アミノ酸
トポロジー:直鎖状
配列の種類:ペプチド
Figure 0003665663

【図面の簡単な説明】
【図1】実施例3で行った Ser Lys Val Leu Pro Val Pro の投与量と血圧降下度の関係を示すグラフである。
【図2】実施例3で行った Lys Val Leu Pro Val Pro の投与量と血圧降下度の関係を示すグラフである。
【図3】実施例4において得られた Lys Val Leu Pro Val Pro Glnを含む溶出液にカルボキシペプチダーゼAを混合した直後の試料の溶出時間と吸光度との関係を示すグラフである。
【図4】実施例4において得られた Lys Val Leu Pro Val Pro Glnを含む溶出液にカルボキシペプチダーゼAを混合し、10時間反応させた後の試料の溶出時間と吸光度との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1:Lys Val Leu Pro Val Pro Glnのピーク
2:Lys Val Leu Pro Val Proのピーク

Claims (2)

  1. 下記アミノ酸配列で示されるペプチド及びその塩を有効成分として含有する血圧降下剤
    (R)n Lys Val Leu Pro Val Pro(RはSerを示し、nは0又は1を示す)
  2. 獣乳成分を原料として、プロティナーゼ処理を行った後、カルボキシペプチダーゼ処理することを特徴とする請求項記載の血圧降下剤の製造法。
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