JP3664903B2 - ヒドロキシカルボン酸亜鉛塩 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規ヒドロキシカルボン酸亜鉛塩、及びこれを有効成分とする、匂いが低減し、かつ皮脂分泌抑制効果が向上した皮膚外用剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
皮脂は、皮膚を柔軟かつ滑らかに保ち、毛髪をしなやかかつ美しく保つのに必要である。しかし皮脂分泌量が多くなりすぎると、座瘡、脂漏性皮膚疾患、フケの増加、脱毛等の原因となり好ましくない。かかる皮膚や頭皮における皮脂分泌を持続的かつ局所的に抑制するため、Y(CH2)nCOOH(式中、nは1以上の整数を示し、Yは炭素数が8以下であるモノあるいはジヒドロキシ置換された、アルキル基を示す。)で表される炭素数6〜20のカルボン酸、その塩(アルカリ土類金属塩等)、エステル誘導体、またはアミド誘導体を有効成分とする皮脂分泌抑制剤が知られている(特開平8−48625号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし上記ヒドロキシカルボン酸等は、特有の匂いを有し化粧料に配合した場合やや問題があり、また皮脂分泌抑制効果のより高いものが求められていた。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、一般式(1);(式中、l及びmは、l=0〜2、m=5〜11及びl+m=7〜11を満たす数を示す)で表される、ヒドロキシカルボン酸特有の匂いをほとんど有さず、皮脂分泌抑制効果が高いヒドロキシカルボン酸の亜鉛塩を提供するものである。
【0005】
【化2】
【0006】
本発明はまた、かかるヒドロキシカルボン酸亜鉛塩を有効成分とする皮膚外用剤を提供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
ヒドロキシカルボン酸亜鉛塩(1)は、ヒドロキシカルボン酸特有の匂いが少なく、また皮脂分泌抑制効果が高いが、このうちl=0でm=7〜11のもの、l=1でm=6〜10のもの、l=2でm=5〜9のものが好ましく、l=0でm=8のもの、l=1でm=7のもの、及びl=2でm=6のものが特に好ましい。
【0008】
上記ヒドロキシカルボン酸亜鉛塩(1)は例えば、対応するヒドロキシカルボン酸と酸化亜鉛を水の存在下で反応させ、析出沈殿物を採取することにより得ることができる。また、皮膚外用剤を製造する際に、対応するヒドロキシカルボン酸と酸化亜鉛を同時に配合して配合槽内で反応させて上記ヒドロキシカルボン酸亜鉛塩(1)とすることもできる。
【0009】
本発明の皮膚外用剤は、ヒドロキシカルボン酸亜鉛塩(1)を1種以上配合したものであり、匂いの低減及び皮脂分泌抑制効果向上の観点から、下記のヒドロキシカルボン酸亜鉛塩(1a)、(1b)及び(1c)を
【0010】
【化3】
【0011】
(式中、m1=7〜11の数、m2=6〜10の数、m3=5〜9の数を示す)
【0012】
それぞれ1種以上配合したものが好ましく、(1a):(1b):(1c)=60〜95:4〜35:1〜10(モル比、以下同じ)で配合したものがより好ましく、70〜85:10〜25:2〜8で配合したものが特に好ましい。
【0013】
ヒドロキシカルボン酸亜鉛塩(1a)、(1b)及び(1c)をそれぞれ1種以上配合する場合、これらの亜鉛塩を別個に入手して配合してもよいが、製造効率の観点から、これらの亜鉛塩を製造の過程で混合物として得られたものをそのまま配合することが好ましい。
【0014】
ヒドロキシカルボン酸亜鉛塩(1)の、本発明の皮膚外用剤への配合量は、0.001〜50重量%(以下、単に%で示す)が好ましい。特に乳化型の皮膚外用剤の場合、0.001〜50%が好ましく、0.01〜20%がより好ましく、0.1〜10%が特に好ましい。またスクワラン等の液状炭化水素を基剤とする油性皮膚外用剤の場合、0.001〜50%が好ましく、0.01〜20%がより好ましく、0.05〜10%が特に好ましい。
【0015】
本発明の皮膚外用剤は、その使用形態において、薬用皮膚外用剤と皮膚化粧料に大別される。薬用皮膚外用剤としては、各種軟膏剤が挙げられ、上記ヒドロキシカルボン酸亜鉛塩の他、動植物油等の油成分、皮膚軟化剤等の他の薬効成分を適宜配合し、常法に従い製造できる。皮膚化粧料としては、水/油型乳化化粧料、油/水型乳化化粧料、クリーム、化粧乳液、化粧水、ジェル、油性化粧料、口紅、ファンデーション、パック等が挙げられ、上記ヒドロキシカルボン酸亜鉛塩の他、これらに一般に用いられる油分、界面活性剤、水溶性多価アルコール等を配合し、常法に従い製造できる。
【0016】
【実施例】
合成例1 10−ヒドロキシウンデカン酸亜鉛塩、9−ヒドロキシウンデカン酸亜鉛塩及び8−ヒドロキシウンデカン酸亜鉛塩混合物の合成1
フラスコに、酸化亜鉛40.6g(0.50mol)、水1000g及びヒドロキシウンデカン酸混合物(10−ヒドロキシウンデカン酸:9−ヒドロキシウンデカン酸:8−ヒドロキシウンデカン酸=80:17:3)200g(0.99mol)を仕込み、85±5℃で1時間加熱攪拌した。その後、室温まで冷却し、析出した沈殿物を水で洗浄後、減圧乾燥することにより10−ヒドロキシウンデカン酸亜鉛塩、9−ヒドロキシウンデカン酸亜鉛塩及び8−ヒドロキシウンデカン酸亜鉛塩混合物(ヒドロキシウンデカン酸亜鉛塩混合物)210g(収率96.9%)を得た。得られた混合物の物性は次の通りである。
【0017】
融点 134〜138℃
赤外吸収スペクトル(cm-1、KBr法)3375、2924、2849、1551、1532
【0018】
合成例2 10−ヒドロキシウンデカン酸亜鉛塩、9−ヒドロキシウンデカン酸亜鉛塩及び8−ヒドロキシウンデカン酸亜鉛塩混合物の合成2
フラスコに、ヒドロキシウンデカン酸混合物(組成は合成例1で用いたものと同じ)100g(0.49mol)、水酸化ナトリウム19.8g(0.49mol)、並びに水1000gを仕込み、室温中で攪拌しながら酸化亜鉛20g(0.25mol)を徐々に加えた。30分攪拌後、塩酸で中和し、析出した沈殿物を水で洗浄後、減圧乾燥することによりヒドロキシウンデカン酸亜鉛塩混合物75.7g(収率65.5%)を得た。得られた混合物の物性は合成例1と同じであった。
【0019】
実施例1及び比較例1〜3
表1に示す配合で皮膚外用剤を製造した。
【0020】
【表1】
【0021】
試験例1
20〜40才の匂いに敏感な人10名を被験者とし、それぞれのサンプルについて下記評価基準により匂いを判定した。スコアは平均値で示した。
◎(評価基準)
5:ヒドロキシウンデカン酸の匂いを強く感じる。
4:ヒドロキシウンデカン酸の匂いを感じる。
3:僅かにヒドロキシウンデカン酸の匂いを感じる。
2:ほぼ無臭である。
1:無臭である。
【0022】
実施例1は1.4、比較例1は4.2、比較例2は3.2、比較例3は2.8であり、本発明品はヒドロキシウンデカン酸の匂いが低減されていた。
【0023】
試験例2
健常女性20人を用い、鼻梁側部の左右それぞれに、実施例1及び比較例2の皮膚外用剤を1日2回0.3mgずつ1ケ月間塗布した。試験終了時に鼻梁側部毛穴目立ち度を以下の評価基準に基づき目視判定した。
◎評価基準
1:実施例1の皮膚外用剤塗布側の方が改善された。
2:実施例1の皮膚外用剤塗布側の方がやや改善された。
3:左右同等である。
4:比較例2の皮膚外用剤塗布側の方がやや改善された。
5:比較例2の皮膚外用剤塗布側の方が改善された。
【0024】
1が9名、2が5名、3が4名、4が2名、5が0名であり、20名中14名が本発明品の方が毛穴目立ち度がより改善され、本発明品が皮脂分泌抑制剤として有効であることが確認された。
【0025】
試験例2
25〜35歳の健常男子5名の鼻梁側部の左右いずれかに、実施例1又は比較例2の皮膚外用剤を1日2回0.3mgずつ、2週間塗布した。塗布開始前及び塗布期間終了後の回復皮脂量を測定した。すなわち、測定前に洗顔し、SEBUTAPE PRO KIT (CUDERM社製)を鼻梁側部に1時間貼付した後、皮脂によってテープが透明になった部分の面積を2値化法により算定して回復皮脂量とした。次いで塗布開始前及び塗布期間終了後の、実施例1塗布側の回復皮脂量/比較例2塗布側の回復皮脂量(回復皮脂量比)を算出した。結果を表2に示す。
【0026】
【表2】
【0027】
各被験者は、塗布期間終了後の回復皮脂量比が、塗布開始前の回復皮脂量比より21〜34%減少し、実施例1の皮膚外用剤の皮脂分泌抑制効果が確認された。
【0028】
実施例2
表3に示す組成の乳液を常法により製造した。得られた乳液は、皮脂抑制効果に優れていた。
【0029】
【表3】
(成分) (%)
合成例1のヒドロキシウンデカン酸亜鉛塩混合物 1.0
エタノール 5.0
ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル(20E.O.) 1.0
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.) 0.5
イソステアリルアルコール 0.8
ジカプリン酸ネオペンチルグリコール 5.0
ポリエチレングリコール1000 3.0
グリセリン 10.0
水 バランス
【0030】
実施例3
表4に示す組成のスティック剤型化粧料を常法により製造した。得られたスティック剤型化粧料は、皮脂抑制効果に優れていた。
【0031】
【表4】
(成分) (%)
合成例1のヒドロキシウンデカン酸亜鉛塩混合物 3.0
セレシン 4.7
高融点パラフィン 6.2
ポリオレフィンワックス 2.4
ポリエチレンワックス 2.4
マイクロクリスタリンワックス 6.3
スクワラン 15.0
ジカプリン酸ネオペンチルグリコール 25.0
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(40E.O.) 0.5
ジメチルシロキサン 27.0
グリセリン 5.0
水 バランス
【0032】
実施例4
表5に示す組成のファンデーション剤型化粧料を常法により製造した。得られたファンデーション剤型化粧料は、皮脂抑制効果に優れていた。
【0033】
【表5】
【0034】
【発明の効果】
本発明のヒドロキシカルボン酸亜鉛塩は、ヒドロキシカルボン酸特有の匂いをほとんど有さず、化粧料等に配合するのに有利である。また皮脂分泌抑制効果が高いため、これを用いた皮膚外用剤は優れた皮脂分泌抑制作用を示し、その結果毛穴の目立ち度も改善される。
Claims (3)
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JP10-277902 | 1998-09-30 | ||
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Family Applications (1)
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JP00272899A Expired - Lifetime JP3664903B2 (ja) | 1998-09-30 | 1999-01-08 | ヒドロキシカルボン酸亜鉛塩 |
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JP6235225B2 (ja) * | 2012-12-28 | 2017-11-22 | 花王株式会社 | 化粧料の製造方法 |
-
1999
- 1999-01-08 JP JP00272899A patent/JP3664903B2/ja not_active Expired - Lifetime
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