JP3105345B2 - 化粧料 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、月下美人の抽出物を含
有することを特徴とする化粧料に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、化粧品には増粘剤としてアラビア
ゴム、トラガントゴム、ペクチンなどが用いられてい
る。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】化粧品において増粘剤
は非常に良く用いられ化粧品の製造には欠くことができ
ない原料である。しかし、従来の増粘剤は使用感とし
て、べたつきがある、pHによる粘度の変化、経時的な粘
度変化などの問題があり、特に使用感の優れた増粘剤は
必要とされている。そこで、月下美人の抽出物について
化粧料への応用を検討したところ、優れた増粘作用およ
び保湿作用を示し、かつ、月下美人の抽出物を含有する
ことを特徴とする化粧料がべとつかず使用感に優れ、ま
た、髪をしなやかにする効果も有し、さらに、経時的に
安定していることから本発明を完成した。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は、月下美人の抽
出物を含有することを特徴とする化粧料である。本発明
でいう月下美人とは、サボテン科クジャクサボテンの原
種（Epiphyllumoxypetalum Haw.)およびその近縁種であ
り、その園芸品種の全草や花の乾燥品などを利用するこ
とができる。

【０００５】月下美人の抽出物は、例えば、月下美人の
乾燥品に水、エタノール、1,3-ブチレングリコール、プ
ロピレングリコールなどの水溶性の溶媒を単独あるいは
混合して加え、室温であるいは加熱して常法により抽出
することができる。月下美人の抽出物は以後の操作を容
易にするために、必要に応じて濃縮あるいは濃縮乾固す
ることができる。また、抽出物をさらに活性炭、活性白
土などを用いてさらに精製した物を用いてもよい。

【０００６】月下美人の抽出物は、乾固物として本発明
化粧料の全量中、0.0001〜10重量％、好ましくは、0.01
〜5.0重量％配合することができる。0.0001％以下の濃
度では充分な効果が得られず、10重量％以上の濃度では
効果の増強が認められず不経済である。本発明の化粧料
には月下美人の抽出物の効果を損なわない範囲内で、化
粧料などに使用される油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂
肪酸類、アルコール類、エステル類、界面活性剤などの
原料を配合することができる。本発明の化粧料は、クリ
ーム、ローション、乳液、パックなどの基礎化粧料、フ
ァンデーション、リップスティックなどのメイクアップ
化粧料、シャンプー、リンスなどの頭髪化粧料、浴用
剤、石鹸などの剤型を採用することができる。

【０００７】

【実施例】次に本発明を詳細に説明するため実施例を挙
げるが、本発明はこれに限定されるものではない。尚、
実施例に示す配合量の部とは重量部を示す。 実施例−１ 月下美人の抽出物 月下美人（全草の乾燥品）100gに精製水を１Ｌ加え、10
0℃で２時間加熱し冷却後濾過した。残渣にさらに水を
１Ｌ加え、同様にして加熱抽出した。濾液を合わせ減圧
濃縮した後、凍結乾燥することにより月下美人の水抽出
物30g（収率30％）を得た。

【０００８】実施例−２ 月下美人の抽出物 月下美人（花の乾燥品）100gに30％エタノール水溶液を
１Ｌ加え、室温で２晩抽出した。吸引濾過した後、その
濾液を減圧濃縮し、次いで、凍結乾燥することにより月
下美人のエタノール抽出物15g（収率15％）を得た。

【０００９】実施例−３ 月下美人の抽出物 月下美人（全草の乾燥品）100gに50％1,3-ブチレングリ
コール（1,3-BG）水溶液を１Ｌ加え、室温で１週間抽出
した。吸引濾過で残渣を取り除き、月下美人の1,3-BG抽
出物を得た。

【００１０】実施例−４ 月下美人の抽出物 月下美人（花の乾燥品）100gに30％1,3-ブチレングリコ
ール（1,3-BG）水溶液を１Ｌ加え、室温で１週間抽出し
た。吸引濾過で残渣を取り除き、月下美人の1,3-BG抽出
物を得た。

【００１１】 実施例−５ 化粧水 処方 配合量 1.エタノール 5.0部 2.P-オキシ安息香酸メチル 0.1 3.ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油 0.1 4.香料 適量 5.精製水 10.0 6.月下美人の抽出物（実施例−１） 5.0 7.1,3-ブチレングリコール 3.0 8.グリセリン 2.0 9.キサンタンガム 0.02 10.精製水 74.5 製造方法：成分1〜5および成分6〜10をそれぞれ均一に
溶解し、混合し濾過して製品とする。

【００１２】比較例−１ 従来の化粧水 実施例−５において、月下美人の抽出物を精製水に置き
換えたものを従来の化粧水とした。

【００１３】 実施例−６ クリーム 処方 配合量 1.流動パラフィン 6.5部 2.ワセリン 10.0 3.ステアリン酸 4.0 4.セチルアルコール 3.0 5.ステアリルアルコール 1.0 6.ポリオキシエチレン(25)モノステアレート 3.0 7.ソルビタンモノステアレート 2.5 8.1,3-ブチレングリコール 5.0 9.水酸化カリウム 0.1 10.月下美人の抽出物（実施例−２） 0.2 11.P-オキシ安息香酸メチル 0.2 12.精製水 64.5 13.香料 適量 製造方法：油相成分1〜7および水相成分8〜12をそれぞ
れ70〜75℃に加熱溶解した後、油相成分1〜7に水相成分
8〜12を加えて乳化し、冷却途上で成分13を加えて混合
し、30℃まで冷却して製品とする。

【００１４】 実施例−７ 乳液 処方 配合量 1.流動パラフィン 8.0部 2.スクワラン 2.0 3.ステアリルアルコール 2.0 4.ソルビタンモノオレート 2.5 5.グリセリンモノステアレート 2.3 6.ポリオキシエチレン(10)ソルビタンモノオレート 0.8 7.グリセリン 6.0 8.月下美人の抽出物（実施例−３） 0.5 9.P-オキシ安息香酸メチル 0.2 10.精製水 77.0 11.香料 適量 製造方法：油相成分1〜6および水相成分7〜10をそれぞ
れ70〜75℃に加熱溶解した後、油相成分1〜6に水相成分
7〜10を加えて乳化し、冷却途上で成分11を加えて混合
し、30℃まで冷却して製品とする。

【００１５】比較例−２ 従来の乳液 実施例−７において、月下美人の抽出物を精製水に置き
換えたものを従来の乳液とした。

【００１６】 実施例−８ パック 処方 配合量 1.ポリビニルアルコール 12.0部 2.エチルアルコール 5.0 3.1,3-ブチレングリコール 8.0 4.P-オキシ安息香酸メチル 0.2 5.ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油 0.5 6.月下美人の抽出物（実施例−２） 1.0 7.クエン酸 0.1 8.クエン酸ナトリウム 0.3 9.香料 0.1 10.精製水 73.8 製造方法：各成分を均一に溶解し製品とする。

【００１７】 実施例−９ ファンデーション 処方 配合量 1.ステアリン酸 2.4部 2.ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート 1.0 3.ポリオキシエチレン(20)セチルエーテル 2.0 4.セチルアルコール 1.0 5.液状ラノリン 2.0 6.流動パラフィン 3.0 7.ミリスチン酸イソプロピル 6.5 8.P-オキシ安息香酸ブチル 0.1 9.精製水 58.2 10.月下美人の抽出物（実施例−３） 0.5 11.カルボキシメチルセルロースナトリウム 0.1 12.ベントナイト 0.5 13.プロピレングリコール 4.0 14.トリエタノールアミン 1.1 15.P-オキシ安息香酸メチル 0.2 16.酸化チタン 8.0 17.タルク 4.0 18.着色顔料 5.0 19.香料 適量 製造方法：成分10〜13および15を70℃に加熱しよく膨潤
させる。これに成分9および14を溶解し水相とする。成
分1〜8を加熱溶解し、80℃に保ち油相とする。よく混合
し粉砕機に通し粉砕した成分16〜18を水相に加え、ホモ
ミキサーで攪拌し75℃に保つ。この水相に油相をかきま
ぜながら加え、冷却し、45℃で成分19を加え、攪拌しな
がら冷却し製品とする。

【００１８】 実施例−１０ 浴剤 処方 配合量 1.硫酸ナトリウム 43.0部 2.炭酸水素ナトリウム 50.0 3.月下美人の抽出物（実施例−１） 5.0 4.黄色202号の(1) 適量 5.香料 適量 製造方法：各成分をよく混合し製品とする。

【００１９】 実施例−１１ シャンプー 処方 配合量 1.アルキゾ硫酸トリエタノールアミン 18.0部 2.ラウリン酸ジエタノールアミド 3.0 3.月下美人の抽出物（実施例−４） 0.1 4.メチルセルロース 0.5 5.精製水 77.0 6.香料 適量 製造方法：成分4に成分5を均一に融解した後、成分1お
よび3を加え、70〜75℃で加熱溶解した後、成分2を加
え、冷却途上に成分6を加え30℃まで冷却し製品とす
る。

【００２０】 実施例−１２ リンス 処方 配合量 1.ホホバ油 0.01部 2.ベヘニルアルコール 3.0 3.塩化ジステアリルジメチルアンモニウム（７５％） 8.0 4.1,3-ブチレングリコール 5.0 5.月下美人の抽出物（実施例−４） 0.01 6.クエン酸 0.05 7.香料 適量 8.精製水を加えて100とする。 製造方法：成分1〜8を60℃で溶解し、攪拌して30℃まで
冷却し製品とする。

【００２１】

【発明の効果】本発明の月下美人の抽出物は優れた保湿
性および増粘作用を有し、また、月下美人の抽出物を配
合した化粧料は、べとつかず優れた整肌作用を示し、さ
らに髪をしなやかにする効果を有していた。次に、本発
明の効果を詳細に説明するため、実験例を挙げる。

【００２２】実験例−１ 整肌作用 実施例−５の化粧水、実施例−７の乳液、比較例−１の
従来の化粧水および比較例−２の従来の乳液を用いて、
女性３０人（３０〜４５才）を対象に１ヶ月間の使用試
験を行った。使用後、アンケート調査により整肌効果を
判定した。その結果、月下美人の抽出物を含有すること
を特徴とする化粧料は優れた整肌作用を示した（表１、
表２、表３、表４）。

【００２３】

【表１】 表１ 本発明による化粧水の整肌作用 ──────────────────────────────── 本発明の化粧水（実施例−５） 評価 ─────────────────────── 非常によい 良い 普通 ──────────────────────────────── 肌のさっぱり感 ２１ ７ ２ 肌のしっとり感 ２０ ８ ２ 肌のなめらかさ ２１ ６ ３ 肌がべとつかない ２５ ５ ０ ────────────────────────────────

【００２４】

【表２】 表２ 従来の化粧水の整肌作用 ──────────────────────────────── 従来の化粧水（比較例−１） 評価 ─────────────────────── 非常によい 良い 普通 ──────────────────────────────── 肌のさっぱり感 １ ９ ２０ 肌のしっとり感 ２ １０ １８ 肌のなめらかさ ０ ８ ２２ 肌がべとつかない ４ ６ ２０ ────────────────────────────────

【００２５】

【表３】 表３ 本発明による乳液の整肌作用 ──────────────────────────────── 本発明の乳液（実施例−７） 評価 ─────────────────────── 非常によい 良い 普通 ──────────────────────────────── 肌のさっぱり感 ２２ ６ ２ 肌のしっとり感 ２０ ７ ３ 肌のなめらかさ ２１ ７ ２ 肌がべとつかない ２３ ５ ２ ──────────────────────────────── 以下余白

【００２６】

【表４】 表４ 従来の乳液の整肌作用 ──────────────────────────────── 従来の乳液（比較例−２） 評価 ─────────────────────── 非常によい 良い 普通 ──────────────────────────────── 肌のさっぱり感 １ １０ １９ 肌のしっとり感 ３ １０ １７ 肌のなめらかさ １ ８ ２１ 肌がべとつかない ４ ７ １９ ────────────────────────────────

【００２７】実施例−６のクリーム、実施例−８のパッ
ク、実施例−９のファンデーションおよび実施例−１０
の浴用剤についても同様に使用試験を行ったところ、優
れた整肌効果を示した。また、実施例−１１のシャンプ
ーおよび実施例−１２のリンスについても同様にして頭
髪に対する使用試験を行ったところ、髪や地肌がべとつ
かず、髪のしなやかさやスタイリングも良好であった。
以上示したように、本発明の月下美人の抽出物を配合し
た化粧料は、べとつかず使用感がよく、優れた整肌作用
および髪をしなやかにする効果を示した。また、さら
に、月下美人の抽出物の増粘作用および保湿作用は、pH
による変化が少なく、また、経時的にも安定していた。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁷，ＤＢ名) A61K 7/00 - 7/50 ＣＡ（ＳＴＮ)

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 月下美人の抽出物を含有することを特
   徴とする化粧料。