JP3664642B2 - 光量制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、ビデオカメラ、スチールカメラなど各種カメラ装置に用いる光量制御装置に係わり、特に撮影光量を大小規制する光量絞り、或いは撮影光量を遮蔽するシャッターなど光量制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般にかかる光量制御装置は撮影レンズ部に組み込まれ光軸開口を有するリング状の基盤と、この基盤に回動自在に取付けられ、光軸開口に臨ませた1枚或いは複数枚の羽根部材と、この羽根部材に連結され上記基盤に取付けた電磁駆動装置で構成されている。そしてこの電磁駆動装置に電流を供給して上記羽根部材を回動して光軸開口を遮蔽或いは開口径を絞るようにしている。
【0003】
従来この電磁駆動装置は上記基盤と一体的に組み込まれて構成され種々の方式が提案されている。その代表的な駆動装置は例えば特開平10−221740号公報に提案されているようにコイル枠にマグネットロータを回動自在に軸承し、このロータを囲うようにコイル枠にコイルを捲廻しその外周をヨークで覆いコイルへの通電によって所謂フレミングの左手の法則でロータを回動する方法であり、この駆動装置を前述の基盤上に取付け羽根部材に上記マグネットロータの回転力を伝達するものが知られている。
【0004】
また、別の方法として例えば特開平6−258683号公報に提案されているように、基盤の外周部に光軸方向にマグネットロータを軸承し、同じく外周部に沿って光軸に直交する方向に捲廻したコイルを取付け、このコイルに一端を係合した一対の軟磁性部材の光端部を上記マグネットロータの外周に対向配置し、コイルへの通電によってこの軟磁性部材の光端部に磁極を生起させマグネットロータに着磁されている磁極との間で回転トルクを得る方法である。この方法によるときは前述の基盤周縁部にコイルと一対の軟磁性部材とマグネットロータを配置している。
【0005】
そこでかかる従来の駆動装置で羽根部材に所定角度で開放及び閉鎖方向の往復運動を生起するには駆動装置と羽根部材との間に運動規制手段例えばストッパーを設けて羽根部材が所定角度内でのみ往復揺動するようにしている。
【0006】
そして従来この規制手段は羽根部材に作用する回転力が往復動いずれも等しい位置関係即ち閉鎖状態から開放方向に回動する際に付与する回転トルクと逆に開放状態から閉鎖方向に回動する際に付与する回転トルクとは等しい力が作用するようにしている。これは羽根を開放しその後これを閉鎖する動作を均一対称にして撮影条件をコントロールする必要から当然とされていた。
【0007】
ところが最近例えば光電変換素子を備えたカメラでは不作動状態でシャツター羽根を開放しておき、光電変換素子のスイッチをONした後シャツター羽根を閉鎖して撮影するような羽根部材の開放若しくは閉鎖動作のみを撮影条件に使用する場合がある。このようなときには羽根部材を例えば閉鎖方向のとき俊敏な動作を必要とする場合でも駆動装置の供給電流を大きくしたり、コイルの巻き線数を大きくする必要があり、装置の大型化や供給電流の大量消費化をもたらす問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
この発明はカメラ装置の撮影条件に応じてシャツター羽根など撮影光軸の光量制御を装置の大型化も大電流消費量をもたらすことなく、その速度制御を可能とする光量制御装置の提供を課題とし、そしてこれらの光量制御装置を組込んだカメラ装置の改善を課題としている。
【0009】
【課題を解決する為の手段】
この発明は、上記課題を解決する為以下の構成を特徴としている。
【0010】
このため、本発明は、基板の光軸開口に開閉自在に臨ませたシャッター羽根と、上記シャッター羽根を開閉する回動自在のマグネットロータと、このマグネットロータに回転トルクを付与するコイルと、上記シャッター羽根の開放域と閉成域で上記マグネットロータの回転を運動規制する規制手段と、上記コイルの無通電時に上記シャッター羽根を、開放域で上記マグネットロータを吸引保持する第1の軟磁性部材と、閉成域で上記マグネットロータを吸引保持する第2の軟磁性部材とを備え、上記開放域における上記第1の軟磁性部材と上記マグネットロータの磁極との間の距離に比し、上記閉成域における上記第2の軟磁性部材と上記マグネットロータの磁極との間の距離を小さくなるようにしたことを特徴とする光量制御装置を提供するものである。
【0012】
特に本発明は、前記マグネットロータと前記コイルとこのコイルに基端部を係合した一対の軟磁性部材をそれぞれ前記基板に配置し、この一対の軟磁性部材の先端部が上記マグネットロータを挟んで対向するように構成し、上記コイルの通電状態で生起した磁界を上記軟磁性部材に誘導し、上記コイルの無通電状態で前記マグネットロータに着磁した磁極を上記軟磁性部材で吸引してそれぞれ上記マグネットロータに回転トルクを発生させるようにした光量制御装置に適合することが出来る。
【0013】
斯様な構成により消費電力を大きくしたり、コイルの捲き数を大きくすることなく使用するカメラの撮影条件に合わせてシャッター羽根の閉鎖動作を高速に行うことが可能である。
【0014】
【発明の実施の態様】
以下本発明の実施の形態を図示の一実施例に基づいて詳述する。
【0015】
まず、本発明の光量制御装置は図1に示すように上下一対の基板1、2の間にシャッター羽根3と中間介在板4と絞り羽根5とをこの順に重ね合わせて構成され、この基板の一方(第1基板1)にシャッター羽根3と絞り羽根5とを個別にそれぞれ開閉する駆動装置(アクチュエータ)6、7が取付けられている。
第1基板1は合成樹脂例えばカーボン15%含有のポリカーボネートのモールド成形で後述のカメラ鏡筒に合わせてこれに組み込み可能な形状に形成してある。図示の基板1は最近のカメラ鏡筒の小型化に伴い直径20mmで構成してある。
【0016】
この基板1には中心に図1にX−Xで示す光軸が位置するように光軸開口8が設けられ、図1に示すその表面側にはシャッター羽根3を軸承するピン9、10と絞り羽根5を軸承けするピン11が一体に植設してある。これ等のピン9、10及び11は基板と別体のピン部材を取付けても、また第2基板2側に設けても良く、その数と配置位置は後述のシャッター羽根及び絞り羽根の構成枚数によって決定される。
【0017】
上記第1基板1の表面には光軸開口8の周縁にシャッター羽根3を案内する突起状ガイド12、13が設けてあり、図示のものは後述するシャッター羽根が2枚構成の為、この突起状ガイドも第1基板に面する重ね合せ下位側の羽根3aを支持するガイド12と上位側の羽根3bを支持するガイド13の二つを備えている。この突起状ガイドは各羽根3a、3bの摺動動作を円滑にするように運動軌跡内にリブ状に形成され、その形状は複数突起を運動方向に並べても、或いは同心円状に複数の突起状で形成しても良い。
【0018】
そこで重ね合せ下位側の羽根3aを案内するガイド12は光軸に直交する平面で羽根を支持するように均一な高さのリブで構成され、同じくガイド13も均一な高さで上位側の羽根3bを支持するリブで構成されている。このガイド12と13には高低差が形成してあり、重なり合う各羽根3a、3bの間に少許のギャップ(空間)を形成するように重ね合せ下位側の羽根3aを支持するガイド12を低く、上位側の羽根3bを支持するガイド13を高く構成してある。
【0019】
図示のものは羽根3aの厚さ0.07mmに対し、ガイド12と13の高低差を0.2mmに設定してあり羽根3aと3bの間に0.13mmのギャップが形成されるようになっている。尚、上記ガイド12には羽根3aの閉成域で徐々に高くなる傾斜面12sが設けてありその構成の作用は後述する。
【0020】
シャッター羽根3は2枚、4枚などその構成形状は既に種々知られ、図示のものは2枚構成を一例として示している。シャッター羽根は通常アルミ板を型抜きした後、黒色アルマイト処理を施した薄板で作成しているが、この場合厚さが0.3mm程度の板材となり羽根開閉時のイナーシャが大きく高速で開閉する際、起動時に及び終動時のトルクが問題となる。
【0021】
そこで図示のシャッター羽根は樹脂フィルム、例えば黒色顔料入りポリエステルフィルムを型抜き加工し、アニーリングした後、遮光性のある艶消しコーティングを施して0.07mm厚の樹脂フィルムで作成してある。
【0022】
図示形状の2枚の羽根3a、3bは、光軸開口8を2分して開閉するよう内側に円弧状の湾曲部31a、31bを有し、その先端32a、32bは全開状態でも互いに重なり合うように形成されている。各羽根の基端部には前記第1基板1に植設したピン9、10に嵌合する係合孔33a、33bが形成されている。従ってこのピン9、10を中心に羽根3は左右に揺動して光軸開口を開閉することとなる。
【0023】
斯様に第1基板1にシャッター羽根3が組み込まれ、次いで絞り羽根5が組み込まれるがこの羽根相互の干渉を防止するため次の構成の中間介在板4が設けてある。図示の中間介在板4は偏平状板部材で構成されシャッター羽根3が組込まれた第1基板1にこの羽根と少許の間隙、例えば0.2mm乃至0.4mmを形成するように第1基板に設けた突起部15a、15b、15c、15dに載置して取付けられる。また、この中間介在板4には位置決め孔41、42が穿設され第1基板1に植設した位置決めピン16、17と嵌合してその位置が保証されるようになっている。
【0024】
尚、第1基板1には後述の第2基板2を取付ける固定ビスの受け部13、14があり、中間介在板4には切欠部43でこの受け部13、14を逃げるようになっている。
【0025】
図示44は基板1のピン9および10の逃げ穴、図示45、46は後述の駆動装置の伝動部材の嵌合溝である。
【0026】
次にこの中間介在板4の成形方法について説明すると、かかる中間介在板4はアルミなどの薄板材をプレス加工で打抜き、その後アルマイト表面処理を施して作成すれば良く、この場合プレス加工でバリの生ずる面を絞り羽根側にその反対面をシャッター羽根側に向けて第1基板上に取付ける。
【0027】
このように中間介在板4を薄板のプレス加工で作成することによってこれを合成樹脂モールドで作成した場合に比べ数ミリ程度の薄型化が可能である。
図示の中間介在板4はシャッター羽根3と同様に黒色顔料を含有したポリエステルフィルム(厚さ0.07mm)を型抜き加工し、アニーリングした後、これを遮光性のある艶消しコーティングして作成し、型抜き時のバリ面側を絞り羽根側に位置させている。
【0028】
次に絞り羽根5の構成を説明すると、該羽根5は図示のように1枚構成、2枚構成など種々の構成が知られその多くが本発明に採用可能である。図示の絞り羽根5は黒色顔料を含有したポリエステルフィルム(厚さ0.07mm)を型抜き加工、アニーリングした後これを遮光性のある艶消しコーティングを施して作成してある。つまり図示のシャッター羽根、中間介在板、絞り羽根はいずれも同一素材を型抜き加工によって作成してあるので製造工程ではこれら3種の部品を同一工程で処理することもできそのコストメリットは大きい。
【0029】
この絞り羽根5には光軸開口8と第1基板に植設されたピン11の係合孔51と後述する駆動装置の伝動部材と係合するスリット52が形成されている。
【0030】
尚、第1基板1に植設されたピン11は中間介在板4の切欠溝45を貫通して絞り羽根5の係合孔51と嵌合するようになっている。
【0031】
以上の第1基板1に組込まれたシャッター羽根3、中間介在板4、絞り羽根5はこの順に重ね合せられ、第2基板2を第1基板1に取付けることによって各構成部品が固定され組立てられる。
【0032】
第2基板2はアルミなどの金属板を打抜き加工によって形成され、その中央に光軸開口8と基板1に植設したピン9、10および16、17に嵌合する孔21a、21b、21c、21dが形成してある。この第2基板2には、プレス加工による図1の紙面裏側に突出したタボ状の突起部22a、22b、22c、22dが前記第1基板1の突起部15a、15b、15c、15dと互いに接合する位置に形成してある。
【0033】
従って、前記中間介在板4は第1基板1の突起部と第2基板2の突起部とに挟み込まれ、両基板を固定ビス60で結合することによって中間介在板4が固定され、この中間介在板4と第1基板1の突起状ガイド12、13との間にシャッター羽根3a、3bが支持され、またこの中間介在板4と第2基板2との間に絞り羽根5が支持される。
【0034】
尚、上記絞り羽根5は黒色ポリエステルフィルムを図示形状に打抜き成形したものを示したが、この羽根5の光軸開口8にNDフィルター(neutral density filter)を貼り合わせることも可能なことは勿論である。
【0035】
そこでかかる構成のシャッター羽根3と絞り羽根5とを開閉する駆動装置について説明する。
【0036】
前記第1基板1の裏面(図2に示す)にはシャッター羽根用の駆動装置6を絞り羽根用の駆動装置7とが同一の構成で取付けてある。
【0037】
同一番号を付してこの二つの駆動装置6、7を説明すると第1基板1には一体にフランジ61と62が形成され、この二つのフランジ61、62にブラケット状の保持部材63が固定ビス64によって取付けられている。この第1基板1裏面と保持部材63との空間に以下のマグネットロータ65、磁力誘導部材66、67とコイル68が保持されるようになっている。
【0038】
まず、マグネットロータ65はNS対向するように着磁された強磁性材例えば希土類の円筒状マグネット65aに合成樹脂製の軸部材65bを圧入して一体的に構成され、この軸部材65bには一体にアーム状の伝動部材69が形成してあり、このアーム状の伝動部材69は羽根部材3及び5のスリット34a、34b及び52に係合するようになっている。
【0039】
また、コイル68は中空筒状(図示のものは角柱形状)のコイル枠68aに螺旋状に導線を捲廻して構成され、このコイル68は全体として円筒状を呈している。
【0040】
そこで、この筒状のマグネットロータ65とコイル68とはその軸方向を光軸(X−X)方向にそれぞれ並べて併設する。これは通常筒状を呈するマグネットロータ65とコイル68とをそれぞれ方向を揃えて並べて併設することがこれら占有スペースを小型化でき更にこれを光軸方向に沿っても並べることが最も効率的であるとの知見に基づくものである。
【0041】
そこで上記マグネットロータ65とコイル68とは第1基板1と保持部材63との間に次のように取付けられる。まずマグネットロータ65はその軸65bの両端を第1基板1の嵌合孔70と保持部材63の嵌合孔71に嵌合支持され、マグネットロータ65は回動自在に支承される。コイル68は次に説明する一対の磁力誘導部材66と67との間に挟持され、この磁力誘導部材66と67を第1基板1と保持部材63との間に固定される。
【0042】
上述のように並列に配置されたコイル68とマグネットロータとはこのコイルに生起する磁界によってマグネットロータ65の周囲にN−S2極を形成するよう一対の磁力誘導部材66、67で磁気的に連結される。
【0043】
つまりコイル68の中空開口端に磁力誘導部材66、67の基端部66a、67aが嵌合されコイルに生起される磁界内にその一端が臨み、同部材の先端部66b、67bはマグネットロータ65の周囲で少許の間隔を隔てて互いに対向するように配置される。
【0044】
この磁力誘導部材66、67の中央部は取付座部66c、67cとして第1基板1と保持部材63とに当接して保持部材のねじ止めにともなって固定される。
【0045】
取付座部66c、67cにはダボ66e、67eが第1基板1の孔72と保持板63の孔73に嵌合して位置決めされ、磁力誘導部材63の基端部66a、67aは図4のように距離Lを保つように互いに組み合わせて基板1と保持板63との間に固定する。このとき磁力誘導部材66、67は少なくとも1ヶ所折曲部66f、67fを備えていて、コイル68の長手方向長さLの略中央1/2Lで先端部66b、67bが磁極を形成するようになっている。
【0046】
図示のものはコイル68の長手方向Lに対しマグネットロータ65の長手方向長さmが小さくL>mの関係にしてあり、ほぼ平坦に形成した第1基板1裏面に対し、保持部材(ブラケット)63側に段差72を設けて第1基板1と保持部材63との間に大きいコイル取付用の間隔Lと小さいロータ取付用の間隔mとが形成してある。
【0047】
従って前記磁力誘導部材66、67の折曲部は一方66fが小さく他方67fを大きく曲げているが好ましくは両者の折り曲げ量を等しくすることが磁気抵抗が等しくできるが図示の如く他の構成部品のレイアウト上これをいずれか一方に偏らせることは適宜可能である。
【0048】
そこで前記駆動装置6と7にはそれぞれ次の磁界が生起するようになっている。
【0049】
前記マグネットロータ65にはN−S2極が180度隔てて対向するように着磁してあり、その周囲に一対の磁力誘導部材66、67の先端部66b、67bが180度隔てて対向するように配置され、この先端湾曲部66b、67bがロータ65との距離を最短にしてある。従って磁力誘導部材66基端部のコイル68に無通電の状態では常にロータ65は先端湾曲部66b、67bのいずれか近い方に吸引作用を受け、コイル68の通電によって先端湾曲部にN-S反発方向の磁極を生起することによって反対方向に回動力を受ける。そして上記ロータ65は第1基板1に形成したスリット74、75で回転角度を図6の開放位置と図5の閉鎖位置との間で規制されている。つまりロータ65に一体的に設けた伝動部材 がスリット74,75に嵌合して運動規制され、図6の位置でコイルに無通電状態ではロータ65は反時計方向に回転力を受け、スリット74、75の端縁で阻止されその位置を保持している。
【0050】
次にコイル68に電流を供給してマグネットロータの磁極と同じ磁極を磁力誘導部材66b、67bに生じさせると互いに反発してロータ65は時計方向に回転しその中立点を過ぎたところで電流を遮断するとロータ65は対向する反対側の磁力誘導部材66b、67bに吸引され図5のスリット74、75の反対側の端縁で阻止されるまで時計方向に回転する。このようにして羽根は開いた状態から閉じた状態に作動しその位置に保持され、逆にコイル68に逆方向の電流を通電すると同様に羽根は閉じた状態から開いた状態に作動する。
【0051】
尚、羽根部材を開放域と閉成域で運動規制する規制手段を図示のものは基板1に形成したスリット74、75で構成したが、この規制手段はスリットでなくストッパーピンでも良くマグネットロータ及びこれに連結した伝動部材並びに羽根部材のいずれか1つにその運動を規制する位置にストッパーピン或いはスリット溝その他の規制手段を設ければ良い。
【0052】
そこでこの発明はこの規制手段(図示実施例におけるスリット75)を前記羽根部材の開放域と閉成域とで前記マグネットロータに作用する回転トルクが異なるようにしたものであり、これを図10のモデルで説明する。
【0053】
マグネットロータ65にはN−S2極が着磁され、このロータ65に180度対向した位置に一対の軟磁性材66、67が配置されている場合を想定すると、軟磁性部材66、67の中立点をO1、O2とし、図示M1、M2点を開放域で羽根を駆動する伝導部材69が規制手段75に係止されたときのロータの磁極位置とし、図示N1,N2点を閉成域で羽根を駆動する伝導部材69が規制手段75に係止されたときのロータの磁極位置とし、NOはロータの磁極の中立点とする。またロータの回転角を30度とする。このとき従来は一点鎖線の状態にM1とO1との間の距離とN1とO2との間の距離を等しくし、羽根がM1から時計方向に起動するとき軟磁性部材O1のロータに与える力(ディテント力)と、逆に羽根がN1から反時計方向に起動するとき軟磁性部材O2のロータに与える力(ディテント力)とは等しい関係に設定されている。
【0054】
これに対し、本発明は実線の状態にM2と01との間の距離とN2と02との間の距離を異ならせ図示のものは前者を大きく後者を小さく設定してあり、回転角度で5度異ならせてある。これにより羽根がM2から時計方向に移動するとき軟磁性部材01のロータに与える力(ディテントトルク)が小さく、逆に羽根がN2から反時計方向に移動するとき軟磁性部材02のロータに与える力(ディテントトルク)が大きくなる関係に設定されている。
【0055】
従って羽根部材は開いた状態から閉じる動作の時には高速短時間で移動し、逆に閉じた状態から開く動作の時には低速長時間で移動することとなる。かかる羽根の動作はマグネットロータROが軟磁性部材NMに吸引されるディテント力とコイルによって軟磁性部材NMに生起される磁極の反発力との関係で最適なズラシ量を設計的に求めればよいが、マグネットロータROの中立点NOを越えることは出来ない。
【0056】
図11にはこの実施例の装置におけるズラシ量と羽根の動作スピードとの関係を示しAはズラシ量ゼロの従来装置をBはズラシ量3度Cはズラシ量5度の時の羽根が開いた状態から閉じるまでの時間との関係を示す。印加電圧はコイルに供給した電源電圧を示している。
【0057】
本発明はこのようにマグネットロータの磁極と軟磁性部材との距離を開放域と閉成域とで異ならせる他、これらの関係を図の一点鎖線の状態とした上でコイルに供給する電圧若しくは電流を変化させることによっても起動トルクを異ならせることが出来る。
【0058】
次にかかる装置の作用を説明すると、上述の光量制御装置は例えば図7に示すようにカメラ装置に組込まれる。
【0059】
カメラボディー100のレンズユニット(鏡筒)110に複数枚構成で取付けられている前レンズ群140と後レンズ群150との間に前記光量制御装置(図1、2における160)が組込まれている。そしてレンズユニット110には後レンズ群150から光を光電変換するCCDなどの光電変換素子190が設けられ、またカメラボディー100側の制御基板180に電気的に接続され電源供給のタイミングがコントロールされる。この制御基板180には装置の制御マイクロコンピュータが組み込まれ、シャツター釦200の操作で撮影を実行するようになっている。
【0060】
かかるカメラ装置の制御回路を図8に従って説明すると、3はシャッタ羽根5は絞り羽根を示し、EMOは絞り駆動用の電磁駆動手段、SMOはシャッタ駆動用の電磁駆動手段を各々示している。又、140は前レンズ、150は後レンズ、190は光電変換素子、GPSは光電変換素子190から出力された画像信号の記憶処理等を行う画像信号処理回路、SW1はシャツター釦200で操作されるレリーズスイッチ、SW2はメインスイッチ、CPUはマイクロコンピュータを各々示す。更に、SMCはシャッタ駆動用の電磁駆動手段SMOに駆動信号を供給するシャッタ駆動回路、EMCは絞り駆動用の電磁駆動手段EMOに駆動信号を供給する絞り駆動回路、CCD−MCは光電変換素子190の電荷蓄積及び電荷放出を制御する電子シャッタ制御回路を各々示す。
【0061】
そこで、装置の作動を図9に基づき説明すると、装置の非作動状態において、シャッター羽根3は開放状態つまり図1の右側の状態位置にセットされ、絞り羽根5は図1の実線で示す全開状態に初期設定されている。
【0062】
この状態でカメラ本体の電源を投入し、撮影状態に設定すると被写体からの光量をCCDで受けて前記マイクロコンピュータが絞り値を設定する。図示の絞り値は2段階で絞り羽根が光軸開口8を規制しない全開状態(図1の実線で示す状態)と開口を小径に絞った閉鎖状態(図1の点線で示す状態)をマイクロコンピュータが設定する。今、レリーズ釦200が操作されマイクロコンピュータが小絞りを設定した場合には絞り駆動回路EMCが働き駆動装置7のコイル68に電流を供給する。すると絞り羽根5は図1の実線で示す状態から図1の点線で示す状態に移動し光軸開口8を小絞り状態に規制し、そして羽根5はマグネットロータ65のマグネット65aが磁力誘導部材66bに吸引されて供給電流が切られた後もこの状態を保持する。
【0063】
また前記マイクロコンピュータは露光時間を算出し、所定の遅延時間の経過後まず光電変換素子190の電荷をリセットしシャツター羽根3の閉成指示信号を発する。このリセット後の光電変換素子190には被写体からの光量が画像として蓄えられ、羽根3の閉成指示信号を受けてシャツター駆動回路SMCが駆動装置6のコイル68に所定の電流を供給する。するとシャツター羽根3は図1の右側で示す開放状態から図1の左側で示す閉成状態に閉じ、光電変換素子190の電荷蓄積が終了し、この電荷はコンピュータからの信号を受けて画像信号処理回路GPSから内部若しくは外部のメモリーに送られ画像信号として保管される。その後コンピュータからの信号で絞り羽根5の駆動装置7に電流が供給されこの羽根は光軸開口8から退避し、同じくシャツター羽根4もその駆動コイルに電流が供給され閉じた状態から開いた状態に復帰し、次の撮影に備えることとなる。
【0064】尚、前記マイクロコンピュータが絞り値を全開状態に設定した場合は前記絞り駆動回路EMCに信号が発せられず前記駆動装置7に電流は供給されないため絞り羽根5は全開状態を維持する。
【0065】
この発明は上述の構成から成り、カメラ装置の撮影条件に応じてシャッター羽根など撮影光軸の光量制御を装置の大型化も大電流消費量をもたらすことなく、シャッター羽根を俊敏に閉じるなどその速度制御の高速化を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態を示す図であり、光量制御装置表側の分解斜視図。
【図2】 本発明の実施形態を示す図であり、光量制御装置裏側の分解斜視図。
【図3】 本発明の実施形態を示す図であり、光量制御装置要部の部分断面図。
【図4】 本発明の実施形態を示す図であり、光量制御装置要部の部分断面図。
【図5】 本発明の実施形態を示す図であり、光量制御装置における駆動装置の要部平面図。
【図6】 本発明の実施形態を示す図であり、光量制御装置における駆動装置の要部平面図。
【図7】 本発明の実施形態を示す図であり、光量制御装置を組み込んだカメラ装置の斜視図。
【図8】 本発明の実施形態を示す図であり、光量制御装置を組み込んだカメラ装置の制御回路構成図。
【図9】 本発明の実施形態を示す図であり、光量制御装置を組み込んだカメラ装置のタイミングチャート。
【図10】 本発明の実施形態を示す図であり、光量制御装置の動作原理説明図。
【図11】 本発明の実施形態を示す図であり、光量制御装置の動作原理実験データ。
【符号の説明】
1 第1基板
2 第2基板
3 シャッター羽根
4 中間介在板
5 絞り羽根
6 シャッター駆動装置
7 絞り駆動装置
65 マグネットロータ
67 軟磁性部材
68 コイル
75 規制手段
Claims (1)
- 基板の光軸開口に開閉自在に臨ませたシャッター羽根と、
上記シャッター羽根を開閉する回動自在のマグネットロータと、
このマグネットロータに回転トルクを付与するコイルと、
上記シャッター羽根の開放域と閉成域で上記マグネットロータの回転を運動規制する規制手段と、
上記コイルの無通電時に上記シャッター羽根を、開放域で上記マグネットロータを吸引保持する第1の軟磁性部材と、閉成域で上記マグネットロータを吸引保持する第2の軟磁性部材とを備え、
上記開放域における上記第1の軟磁性部材と上記マグネットロータの磁極との間の距離に比し、上記閉成域における上記第2の軟磁性部材と上記マグネットロータの磁極との間の距離を小さくなるようにしたことを特徴とする光量制御装置。
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