JP3664640B2 - 既洗米の製造方法 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、炊飯に先立って洗米浸漬などの前処理を加えることなく、水を加えて直ちに炊飯することが可能となる既洗米を製造するための製造方法に関し、詳しくは、精白米を温水又は水で洗米及び含水処理し、洗米及び含水処理された後の精白米を乾燥処理する既洗米の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記したような既洗米の製造方法において、従来では、例えば特公平5−37008号公報に示されるように、精白米を例えば60℃〜80℃の温水で数分間(3〜6分間)洗米した後にドライヤ等で乾燥するようにしたもの(第1引用例)、特許第2648258号公報に示されるように、精白米を例えば70℃以上の温水で数分間洗米した後、遠心脱水等の強制運動により付着水を除去するようにしたもの(第2引用例)、特許第2651976号公報に示されるように、玄米又は精白米を予め含水率が15%〜19%の範囲になるように調質した後、玄米は精米加工し、例えば10〜30℃の水で設定時間洗米した後、遠心脱水及び通風乾燥による乾燥処理、又は、通風乾燥による乾燥処理を設定時間行うようにしたもの(第3引用例)等がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記したような各引用例に示されるものは、温水又は水の温度や洗米及び含水処理する時間を予め設定しておいて、精白米を温水又は水で洗米及び含水処理するようにしているが、このような洗米及び含水処理を実行することにより得られた既洗米の含水率は、予め実験等によって計測された含水率になるものと想定して、言わば成り行きに任せるような管理を行うだけとなっている。そうすると、このような条件で既洗米の製造を継続して行うと、例えば、洗米及び含水するときの実際の温水又は水の温度が予め設定した温度とは異なっているような場合や、又は、米の品種が異なり初期含水率が想定していたものと異なるような場合等においては、処理が終了した後の仕上げの含水率が目標とする含水率とは異なったものとなってしまうおそれがある。
尚、洗米及び含水処理の後に行われる乾燥処理については、上記各引用例のうち第1引用例や第2引用例には詳細については言及はしていないが、この乾燥処理の条件についても予め設定された一定の条件で行われていると考えられる。
従って、上記したような各引用例に示される製造方法では、既洗米の製造にあたって、仕上げの段階での既洗米の実際の含水率が目標とする含水率にならないおそれが大となる不利があった。
【0004】
本発明はかかる点に着目してなされたものであり、その目的は、合理的な管理手法により、仕上げの段階での既洗米の実際の含水率を極力目標とする含水率にすることが可能となる既洗米の製造方法を提供する点にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の特徴によれば、精白米を温水又は水で洗米及び含水処理し、洗米及び含水処理された後の精白米を乾燥処理する既洗米の製造方法において、前記温水又は水の温度、洗米及び含水処理を実行する処理時間、及び、前記洗米及び含水処理が終了した後における精白米の含水率の夫々の間での相関関係を示す計測データに基づいて、前記洗米及び含水処理が終了した後における精白米の含水率が目標洗米含水率になるように、前記温水又は水の温度、及び、洗米及び含水処理を実行する処理時間を管理して洗米及び含水処理を実行し、且つ、前記乾燥処理が終了した後の精白米の含水率を計測して、その計測された含水率が目標仕上げ含水率になるように、前記乾燥処理における乾燥条件を管理するようにした。
【0006】
精白米に含水させる場合、精白米に吸収される水分の単位時間あたりの吸収量は、洗米及び含水するための温水又は水の温度が高いほど大きく、洗米及び含水処理を実行する処理時間が長いほど水分の吸収量は大きくなるのであり、最初の含水率が同じで洗米及び含水の処理条件が同じであれば処理が終了した後における精白米の含水率もほぼ同じになると考えられる。
又、通常の生産販売ルートにて扱われる精白米の含水率は16%を越えることはなく、ほとんどのものが14%〜15%の範囲に収まるように管理されていることから、洗米及び含水処理が行われるまでの精白米の含水率は上記範囲内にあるので、前記温水又は水の温度、洗米及び含水処理を実行する処理時間、及び、前記洗米及び含水処理が終了した後における精白米の含水率の夫々の間での相関関係を示す計測データを予め計測して、この計測データに基づいて、処理条件を設定しておけば処理が終了した後の含水率は常にほぼ同じ含水率になると考えられる。
従って、前記計測データに基づいて、洗米及び含水処理が終了した後における精白米の含水率が目標洗米含水率になるように、前記温水又は水の温度、及び、前記処理時間を管理することにより、実際の含水率が目標洗米含水率になるように洗米及び含水処理を実行することができるのである。
【0007】
そして、前記乾燥処理が終了した後の精白米の含水率を計測して、その計測された含水率が目標仕上げ含水率になるように、前記乾燥処理における乾燥条件を管理するようにしたので、何らかの要因によって、洗米及び含水処理が終了した後における精白米の含水率が目標洗米含水率と異なり乾燥処理が終了した後に精白米の含水率が目標仕上げ含水率と異なっているような場合には、乾燥処理における乾燥条件を変更させることにより、乾燥処理による含水率の低下量を変更させることで、目標仕上げ含水率に近づけることが可能となる。
【0008】
その結果、仕上げの段階での既洗米の実際の含水率を極力目標とする含水率にすることが可能となる既洗米の製造方法を提供できるに至った。
【0009】
請求項2に記載の特徴によれば、請求項1の既洗米の製造方法において、加熱乾燥法によって精白米の含水率を計測するようにした。
【0010】
加熱乾燥法による含水率の計測は、質量が予め計測されている基準秤量皿に、対象物(精白米)を載せて質量(初期値W1)を計測した後、予め設定された乾燥条件(例えば、135℃で3時間)で対象物を乾燥処理して、再度、質量(終了値W2)を計測し、下記式によって含水率X(重量比)を求める。尚、基準秤量皿の質量をW0とする。
前記乾燥条件とは、化学変化が生じないで水分だけが揮発し、水分が完全に除去できる条件をいう。対象物(精白米)を粉砕しないで行う方法もあるが長い時間が必要である。
【0011】
【数1】
X=(W2−W0)/(W1−W0)
【0012】
上記したような加熱乾燥法は、計測処理に時間がかかるものの高精度にて含水率を計測することが可能である。
【0013】
請求項3に記載の特徴構成によれば、請求項1の既洗米の製造方法において、近赤外分光法によって精白米の含水率を計測するようにした。
【0014】
水は近赤外波長領域に特定の分光波長吸収特性があり、他の成分、例えば、タンパク質や澱粉等にも夫々固有の分光波長吸収特性を持っており、それらの成分の含有割合等によって、対象物(精白米)における近赤外光の分光吸収スペクトルが変化するので、近赤外分光法によって分光吸収スペクトルを計測して所定の演算処理を実行することによって含水率を求めることができるのである。この方法によれば、上記加熱乾燥法に比べ短時間で能率よく含水率を計測することが可能である。
【0015】
請求項4に記載の特徴構成によれば、請求項1〜3のいずれかの既洗米の製造方法において、前記目標洗米含水率が20〜30%であり、前記目標仕上げ含水率が17.5%〜25%である。
【0016】
洗米及び含水処理によって20〜30%の高含水率になるように含水させるようにしているので、精白米の表層部だけでなく中心部にまで含水されることになり、その後の乾燥処理により水分が減少するとしても、炊飯の際に浸漬工程により更に水を含水させなくても、澱粉の糊化が充分行われて美味しい炊き上がり状態になるための含水率にすることができ、乾燥処理が終了した後における精白米の含水率が17.5〜25%であるから、このようにして製造された既洗米は、炊飯の際に所定時間浸漬させる手間をかけなくても、美味しい炊き上がり状態になる。精白米の含水率が17.5%を下回ると、炊飯したときに中心部が硬くなって芯が残ることがあり、25%を越えると、例えば、腐敗したりカビが生える等の変化を生じたり、あるいは、米がふやけた状態になったりするおそれが大になり長期保存し難いものとなるのが、上記したような含水率により、このような不利のない既洗米が得られる。尚、ここでいう含水率とは、精白米の全体重量に対する水分の重量の比率(%)で示す湿基準の含水率をいう。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る既洗米の製造方法について説明する。
先ず、図面に基づいて既洗米を製造するための既洗米の製造装置について説明する。
この装置は、運搬車両等によって搬入された精白米を貯留するとともに、貯留している精白米を所定量づつ搬送する荷受け処理部A、荷受け処理部Aから搬送される精白米を温水で洗米及び含水処理する洗米処理部B、洗米及び含水処理された精白米を乾燥する乾燥処理部C、乾燥が行われた精白米を計量して所定量づつ袋詰め包装する計量包装処理部D等を備えて構成されている。
【0018】
以下、図1、図2に基づいて構成について詳述する。
前記荷受け処理部Aは、前記運搬車両にて搬入される精白米を貯留する大型の貯留タンク1と、この貯留タンク1の底部出口から排出される精白米を上方に搬送するコンベア2、コンベア2の上部出口側から排出される精白米を設定量(例えば、20Kg程度)づつ計量して搬送するためのシャッター機構3付きの流量調整タンク4と、2系統の洗米処理工程に対して精白米を選択的に供給するための2口切換弁5等を備えて構成されている。つまり、貯留タンク1に貯留される精白米を、流量調整タンク4内に設定量を貯留した状態でシャッター機構3を開作動させ、2口切換弁5にていずれかの系統の洗米処理工程に対して、流下供給路6、7を通して精白米を設定量づつ流下させながら送り出すように構成されている。
【0019】
前記洗米処理部Bは、2系統の洗米処理工程を備えており、それら2系統の洗米処理工程の夫々に、温水を流動させることにより精白米を攪拌洗米する水流攪拌式の洗米装置8と、精白米に調味料を供給するための調味料供給装置9と、洗米装置8にて洗米された精白米の水切りを行う水切り部10とが備えられている。又、前記各洗米装置8に対して洗米用の温水を供給するためのボイラー装置11が設けられている。このボイラー装置11は、温水の温度が一定の温度に維持されるように加熱量を自動調節する構成となっている。
【0020】
前記洗米装置8は、図3、図4に示すように、上部が開放状の洗米槽12が設けられている。この洗米槽12は、上部側が円筒形状であって下部がその円筒形状に連なる円錐形状に形成され、この洗米槽12の内部に上方側から設定量の精白米が搬送供給されて、この内部で精白米を一時貯留する構成となっている。そして、洗米槽12の底部には、前記ボイラー装置11から温水供給管13を通して供給される温水が槽内部にて上方側に向けて勢いよく吹き出すように噴出ノズル14が設けられている。尚、前記温水供給管13には、温水を強制搬送させるためのポンプ15、温水供給管13の内部通路を断続自在な電磁弁16、送り出し圧力を表示する圧力計17等が備えられている。
前記洗米槽12の内部には、前記噴出ノズル14に対向して少し隙間をあけた状態で先端開口部18aが位置するとともに、洗米槽12の上方側外方に向けて延びるように槽内送水管18が設けられ、この槽内送水管18の上部側は、電磁操作式の3方法切換弁19を介して、他端側が洗米槽12の上方側中央部に開口する洗米用送水管20と、他端側が洗米槽12の外方側における水切り部10に向けて延びる送米用送水管21とに分岐する構成となっている。
又、洗米槽12の上部開口の外周部には、溢れ出した温水を回収して排水管22から排出するための環状の洗浄水回収部23が形成されており、洗米槽12の内部には投入される精白米及び洗米用送水管20から排出される温水等が径方向外方側に分散させる案内板24が備えられている。
【0021】
前記洗米装置8では、先ず最初に前記洗米槽12の内部に設定量の精白米が供給され、その後、ボイラー装置11からポンプ15を介して温水が供給されて噴出ノズル14から勢いよく温水が吹き出される。このとき、3方法切換弁19は、槽内送水管18と洗米用送水管20とを連通させる状態に切り換えておく。そうすると、噴出ノズル14から勢いよく吹き出される温水は、エジェクター作用によって精白米と一緒に槽内送水管18から洗米用送水管20を通り洗米槽12内に循環供給されることになる。そして、温水の供給に伴ってオーバーフローした洗浄排水は洗浄水回収部23から排水管22を通して外部に排出される。従って、温水を流動させることにより精白米を攪拌洗米する水流攪拌が行われることになる。
このようにして洗米処理が行われた後に、3方法切換弁19を、槽内送水管18と送米用送水管21とを連通させる状態に切り換える。そうすると、噴出ノズル14から勢いよく吹き出される温水は、槽内送水管18と送米用送水管21とを通り水切り部10に向けて送り出される。このとき、噴出ノズル14から勢いよく吹き出される温水のエジェクター作用によって洗米槽12内に貯留されている精白米も一緒に水切り部10に向けて送られるのである。
【0022】
前記水切り部10は、図1、図2に示すように、温水を受止めて排水処理する流し台25が備えられて、この流し台25の上部に網状収納具26が載置支持されている。そして、温水と共に洗米装置8から搬送されてくる精白米をこの網状収納具26にて受止め収納することで温水は流し台25から流れて排出されて精白米の水切りが行われる。又、この水切り部10には、水切りが行われた後の精白米に対して清浄水を降りかけるシャワー装置27が設けられている。このように清浄水を降りかけることで、高温水でも殺菌できないような高耐熱菌を流して除菌することが可能となり、又、精白米の表面に付着している糠等を除去することもできる。
【0023】
前記網状収納具26は、図1、図2に示すように、リフト装置28によって持ち上げ移動可能に流し台25に載置されており、水切り処理とシャワー処理が終了した後に、リフト装置28によって持ち上げられて、次の乾燥処理における遠心脱水にそのまま利用される構成となっている。つまり、図5に示すように、略円筒形のステンレス製網カゴ26aの内部に水を容易に排水しやすい網状の布製筒体26bを収納し、布製筒体26bの一端側を網カゴ26aの上部側の周部に紐で締め付け固定し、布製筒体26bが袋状の収納容器として機能するように他端側を紐で絞っている。従って、リフト装置28によって持ち上げられるときは、袋状の収納容器として機能する布製筒体26bの内部に精白米が収納された状態で搬送できることになる。
【0024】
次に、前記乾燥処理部Cの構成について説明する。
乾燥処理部Cは、前記洗米処理部Bにて洗米された精白米から遠心力により水分を脱水する遠心脱水装置29と、脱水された精白米を高温の雰囲気温度にて熱乾燥処理する乾燥装置30とを備えて構成されている。
【0025】
前記遠心脱水装置29は、図5、図6に示すように、前記水切り部10にて処理が終了した後にリフト装置28によって持ち上げて移送されてくる網状収納具26が、上方側からそのまま載置収納される回転シリンダー31が設けられ、この回転シリンダー31の周囲は外筒32で覆われる構成となっている。回転シリンダー31は上下軸芯周りで回転自在にフレーム部33に支持されており、フレーム部33に位置固定状態で支持されている電動モータ34と、前記回転シリンダー31とが伝動ベルト35を介して連動連結され、回転シリンダー31内に網状収納具26が収納された状態で、電動モータ34の駆動力により回転シリンダー31が上下軸芯周りで高速で回転することにより、精白米から遠心力により水分を脱水することができるようになっている。尚、脱水処理が行われるときには、外筒32の上部開口を蓋体36にて閉塞して蓋体36を固定することによって外部に水や米が飛散するのを防止するようにしている。
【0026】
前記遠心脱水装置29での脱水処理が終了した後には、再度、リフト装置28によって網状収納具26が持ち上げられて乾燥装置30の搬送始端部に移動され、内部に収納されている精白米を乾燥装置30の搬送始端部に供給するようになっている。つまり、網状収納具26が乾燥装置30の搬送始端部の上方側に位置している状態で、手作業によって、布製筒体26bが袋状の収納容器として機能するように他端側を絞っている紐を外すことにより、その内部に収納されている精白米を乾燥装置30の搬送始端部に落下放出させるのである。
【0027】
次に、乾燥装置30の構成について説明する。
この乾燥装置30は、前記布製筒体26bから落下放出された精白米を載置搬送する搬送コンベア37が備えられ、搬送コンベア37にて載置搬送される精白米に対して、ヒータにて加熱された空気を通風手段にて精白米の存在個所に通風させて、精白米の雰囲気温度を外気温度よりも高温にして熱乾燥処理するように構成されている。
【0028】
詳述すると、図7、図8に示すように、前記搬送コンベア37が斜め上方に向かう搬送経路を有する状態で枠体38に支持され、搬送コンベア37による搬送経路の上方個所に前記ヒータとして複数の遠赤外線ヒータ39が位置固定状態で搬送経路方向に沿って並列配置され、又、その上方個所には前記通風手段としての6個のシロッコファン40が備えられている。前記各遠赤外線ヒータ39と各シロッコファン40との間には、各シロッコファン40により吹き出される空気が、搬送コンベア37上の広い範囲にわたり風圧が均平化された状態で通風するように、多数の挿通孔41が適宜間隔をあけて分散形成された多孔板42が設けられ、多孔板42の上方側には各シロッコファン40から吹き出される空気の風圧を均平化させるために一時貯留用の給気室43が形成されている。
【0029】
そして、各シロッコファン40から吹き出され多孔板42にて風圧が均平化された空気は、各遠赤外線ヒータ39にて加熱されて高温になって状態で、搬送コンベア37上を載置搬送される精白米の存在個所に対して通風されることになる。このように精白米の存在個所に通風供給された空気は、搬送経路の左右両側夫々にて搬送方向前後2個所に形成された循環通風路44、及び、この循環通風路44に連なる吸気室45を通して各シロッコファン40により吸引される構成となっている。従って、各シロッコファン40にて通風される空気が、給気室43、ヒータ配設空間、精白米存在個所、循環通風路44及び吸気室45を通してシロッコファン40に戻るように循環通風する構成となっている。
この乾燥装置30では、詳述はしないが、精白米存在個所に通風される空気の温度を温度センサにて検出して、その検出値が図示しない設定ダイヤルにて設定される目標温度になるように、前記各遠赤外線ヒータ39の加熱動作を制御する構成となっている。
【0030】
上記加熱作用個所の搬送始端位置にはクロスフローファン46が設けられ、加熱乾燥に先立って精白米の表面に残っている水を予め吹き飛ばすようにしている。又、精白米の通過個所の上方側には、適宜間隔をあけて棒状のレーキ部材47が分散配置され、これらのレーキ部材47は、載置搬送される精白米を層状に拡散させるように均す機能を有するとともに、図8に示すように、精白米の表面を略波形にさせて温風が作用する表面積を大きくさせる機能を有している。
【0031】
次に、計量包装処理部Dの構成について説明する。
図1、図2に示すように、計量包装処理部Dは、設定された重量になるように自動計量して包装袋に自動で包装する自動計量包装機48、設定された重量になるように自動計量する自動計量機49、乾燥装置30から排出される精白米を自動計量包装機48に向けて供給する供給装置50、包装された袋詰め米を出荷用テーブル51に搬送する出荷用コンベア52等を備えて構成されている。
前記供給装置50は、乾燥装置30の搬送終端部からシュート53を介して流下排出される乾燥後の精白米を受止めて、破砕粒や小石等の小径物を選別落下させる網状部材54を斜め姿勢で配置するとともに、この網状部材54を傾斜方向に沿って往復振動させるように構成され、網状部材54の下方側端部から流下排出される精白米が、往復揺動する流下板55にて受止めて昇降コンベア56のバケット57に向けて流下案内するように構成され、昇降コンベア56は自動計量包装機48や自動計量機49に対して精白米を上方側から自動供給するために高い位置まで昇降させるようになっている。尚、昇降コンベア56の上方側の出口部は、自動計量包装機48及び自動計量機49のうちいずれか一方に選択的に精白米を供給すべく2口切換弁58にて供給状態を切り換えられるようにしている。
【0032】
自動計量包装機48は、精白米を予め設定した重量毎に包装袋に密閉状態で自動で包装するように構成されている。この包装工程の途中において包装袋内に脱酸素剤を自動で供給する脱酸素剤供給装置59が設けられている。尚、自動計量機49は、設定された重量になるように自動計量する機能だけを備えており、包装作業を手作業で別途行うような場合等に利用される。
尚、図中、60は包装袋内に金属が存在するか否かを検知する金属探知機であり、61は包装袋に貼付するシールを作成するシール装置である。
【0033】
次に、上記構成の既洗米の製造装置による既洗米の製造方法について説明する。尚、荷受け処理部Aには既に精白米が荷受けされ、予め貯留タンク1内に貯留されているものとする。このように荷受け処理された精白米は、通常、14〜15%程度の含水率となっている。本実施形態において、含水率とは、精白米の全体重量に対する水分の重量の比率(%)で示す湿基準の含水率をいう。
【0034】
前記ボイラー装置11から供給される温水の温度、洗米及び含水処理を実行する処理時間、及び、洗米及び含水処理が終了した後における精白米の含水率の夫々の間での相関関係を示す計測データを予め実験によって計測しておく。例えば、温水の温度を所定の温度に調節して処理時間を異ならせて洗米及び含水処理を行った後に含水率を測定し、このような計測を前記温水の温度を種々変化させて繰り返し行い、複数の計測データを求めていく。これらの測定データはできるだけ多くのデータが好ましい。これらの計測データから図9に示すように温水の温度、処理時間、及び、含水率の相関関係を示すグラフが求められる。
そして、この計測データに基づいて、前記洗米及び含水処理が終了した後における精白米の含水率が目標洗米含水率になるように、前記温水又は水の温度、及び、洗米及び含水処理を実行する処理時間を管理して洗米及び含水処理を実行し、且つ、前記乾燥処理が終了した後の精白米の含水率を計測して、その計測された含水率が目標仕上げ含水率になるように、前記乾燥処理における乾燥条件を管理するようにしている。
【0035】
具体的に説明すると、例えば目標洗米含水率として24%とすると、前記計測データより、ボイラー装置11から洗米槽12に供給する温水の温度を例えば70℃に設定するとともに、洗米・含水処理時間を例えば4分間に設定する。
そして、ボイラー装置11から70℃の温水を洗米槽12に供給開始し後、精白米を設定量(例えば、20Kg)計量して洗米槽12内に供給する。洗米槽12内には約1分間で設定量の精白米が全量供給されることになる。そして、全量供給した後に更に2分間水流攪拌による洗米処理を実行する。このとき、除去される糠等を含む洗浄排水は、洗浄水回収部23から排水管22を通して外部に排出される。水流攪拌による洗米処理が終了した後、約1分間そのまま待機して温水内に浸漬しておく。従って、洗米処理工程は浸漬処理を含め約4分間とする。このとき、70℃の温水の水流攪拌によって洗米するので穀温は約70℃になり、洗米処理工程が終了した時点における精白米の含水率は約24%程度になる。この含水率は精白米の中心部に至るまで含水する高含水率に対応するのであり、洗米処理部は、精白米の表層部及び中心部が高含水率になるように前記含水を行うように構成されることになる。
【0036】
次に、3方法切換弁19を切り換えて洗米槽12内の精白米を噴出ノズル14からの噴出力により温水と一緒に水切り部10に載置支持されている網状収納具26内に向けて送り出す。この送米処理は約1分間で行われる。水切り部10では精白米は網状収納具26に収納されて温水はそのまま下方に流れて流し台25により流下案内されて排出されるので精白米の水切りが行われることになる。全量の精白米が送られた後には、シャワー装置27により適量の清浄水が供給され、精白米の表面に残っている糠や高耐熱菌等の除去処理が行われる。
【0037】
そして、上記清浄水の供給処理が終了した後、リフト装置28を用いて網状収納具26を持ち上げ移動して、遠心脱水装置29の回転シリンダー31の内部に載置収納させ、上部開口を蓋体36にて閉塞して、回転シリンダー31を高速で回転駆動して遠心脱水処理を実行する。回転シリンダー31の回転速度は、例えば、800rpm〜1200rpm程度に設定される。この遠心脱水処理は数秒間(例えば、8秒間)実行することになる。
遠心脱水処理が終了すると、リフト装置28を用いて網状収納具26を持ち上げて乾燥装置30の搬送始端部まで移動して、手作業により布製筒体26bの他端側を絞っている紐を外すことにより、その内部に収納されている精白米を乾燥装置30の搬送始端部に落下放出させる。
【0038】
そして、乾燥装置30において、搬送コンベア37を低速で駆動しながら精白米をすこしづつ載置搬送しながら温風乾燥処理を実行する。このとき、精白米は、搬送コンベア上を層状に拡散させるように均された状態で載置搬送される。精白米存在個所に通風される空気の目標温度は例えば70℃に設定され、シロッコファン40による温風の流速は1m/sec以下の低速に設定されている。乾燥を開始してから乾燥が終了するまでの処理時間は約8分間に設定されている。このような乾燥用の条件は、乾燥処理が終了した時点における精白米の含水率の目標仕上げ含水率に基づいて設定されることになる。この実施形態における目標仕上げ含水率は約20%に設定されている。
尚、この乾燥装置30により乾燥処理されて搬送終端部から排出される精白米を、供給装置50に供給する前に、一時、所定量づつ受入容器にて受止め貯留した状態で攪拌装置により機械的に攪拌させることで、精白米間での水分移動を行わせることにより、含水率がばらついている精白米全体を上記した含水率(約20%)にさせる含水率調整工程を設けるようにしてもよい。
【0039】
乾燥処理が終了した精白米は、次の計量包装工程に進むことになるが、このとき、適宜数量だけ抜き取り検査により実際の仕上げ含水率を計測するようにしている。
抜き取られた精白米のサンプルは、加熱乾燥法により精度よく含水率が計測される。つまり、サンプルを入れるための秤量皿を、定温乾燥機により1〜2時間乾燥した後、デシケータに入れて約45分間放冷したのち、正確に秤量皿を秤量する(W0)。例えばローラーミル等により粉砕した状態で秤量皿にサンプルをいれて蓋をしてサンプルを含む秤量皿の質量を正確に秤量する(W1)。そして、定温乾燥機内にて蓋を外して予め設定された乾燥条件(例えば、135℃で3時間)でサンプルを乾燥処理した後に、蓋をしてデシケータに移して約45分間放冷して、サンプルを含む秤量皿の質量を正確に秤量する(W2)。そして、〔数2〕によって含水率X(重量比)を求めるのである。前記乾燥条件とは、化学変化が生じないで水分だけが揮発し、水分が完全に除去できる条件をいう。対象物(精白米)を粉砕しないで行う方法もあるが長い乾燥時間(6時間)が必要である。このような加熱乾燥法は公知の計測手法である(詳しくは、「改訂食品分析ハンドブック」(建帛社発行)(第17ページ〜第26ページ)参照)。
【0040】
【数2】
X=(W2−W0)/(W1−W0)
【0041】
このようにして計測した精白米の仕上げ含水率が目標仕上げ含水率に対して大きく異なっている場合には、乾燥装置のおける乾燥条件、つまり、温風の設定温度を変更するようにしている。例えば、実際の仕上げ含水率が目標仕上げ含水率に対して低い場合には設定温度を下げて乾燥能力を低下させ、仕上げ含水率が高い場合には設定温度を上げて乾燥能力を上昇させることで対応するようにしている。このように仕上げ含水率が極力、目標仕上げ含水率になるように管理するようにしている。
【0042】
計量包装工程においては、自動計量包装機48に供給された後、設定された重量になるように自動計量して、脱酸素剤と共に包装袋に自動で密封状態で包装され、出荷用コンベア52にて出荷用テーブル51に搬送される。このように、乾燥処理が行われたのち、すぐに密封包装されるので出荷されるときの精白米の含水率は約20%になる。
尚、上記各工程における処理時間は一例に過ぎず、上記したような処理時間に限定されるものではない。例えば、効率のよい乾燥方法を有する乾燥装置であれば、乾燥処理時間として洗米処理の時間よりも短時間のうちで乾燥処理するような構成としてもよい。
【0043】
〔別実施形態〕
以下、別実施形態を列記する。
【0044】
(1)上記実施形態では、仕上げ含水率が目標仕上げ含水率と異なっている場合には、温風の設定温度を変更することで、乾燥条件を変更するよう管理する構成としたが、このような構成に限らず、例えば、温風の設定温度を変更させないで搬送コンベアの搬送速度を変更させたり、あるいは、風速を変更させるようにしてもよく、あるいは、これら複数の組み合わせにより乾燥条件を変化させるようにしてもよい。
【0045】
(2)上記実施形態では、加熱乾燥法によって精白米の含水率を計測するようにしたが、近赤外分光法によって計測するようにしてもよい。
つまり、水は近赤外波長領域に特定の分光波長吸収特性があり、他の成分、例えば、タンパク質や澱粉等にも夫々固有の分光波長吸収特性を持っており、それらの成分の含有割合等によって、精白米における近赤外光の分光吸収スペクトルが変化するので、近赤外分光法によって分光吸収スペクトルを計測して所定の演算処理を実行することによって含水率を求めることができるのである。
この種の水分計測装置としては、例えば、図10に示すように、出退自在なガラス製の容器62内に入ったサンプルSに対して光源63から発する光を透過させて、その透過光を暗箱64内において凹面回折格子65にて分光反射させて、アレイ型受光素子66により波長毎の光量を検出して分光吸収スペクトルを計測し、演算処理部67が、その分光吸収スペクトルの計測結果と予め設定記憶されている演算式に基づいて含水率を求めるように構成されている。図中68は、光線を校正用光線に変化させるフィルタ透過状態と、サンプルの透過光をそのまま通過させる状態とに切り換える切換機構である。
【0046】
(3)上記実施形態では、乾燥処理において、遠心脱水を行った後に殺菌作用を有する遠赤外線ヒータで加熱した温風を通風させて乾燥するようにしたが、このような方法に限らず、次の(イ)〜(ニ)のいずれかの方法で乾燥するようにしてもよい。
(イ)前記遠赤外線ヒータに代えて普通の電熱線ヒータで加熱するようにしてもよい。
(ロ)前記温風通風式の乾燥装置に代えて、通風させることなく加熱手段による輻射熱によって精白米を乾燥させたり、このような加熱手段を設けることなく、単に通風手段による通風のみによって精白米を乾燥させるようにしてもよい。
(ハ)前記遠心脱水を行うことなく、洗米処理が終了した後、例えば、水切りを行った後に上記したような温風通風式の乾燥方法や他の乾燥方法により乾燥処理を実行してもよい。
(ニ)前記遠心脱水に代えて、例えば、揺動、振動、その他の強制運動、又は、それらを組み合わせた運動を利用した強制運転により脱水処理を行うようにしてもよい。
【0047】
(4)上記実施形態では、洗米処理部にて約70℃の温水を用いて洗米並びに含水を行うようにして短時間で能率よく精白米の表層部及び中心部が高含水率になるように前記含水を行うようにしたが、このような温水に限るものではなく、70℃より高い温度の温水、あるいは、70℃よりも低い温度の温水又は水を用いて洗米・含水を行うようにしてもよい。
【0048】
(5)上記実施形態では、洗米処理工程が終了した時点における精白米の含水率として約24%、乾燥処理が終了した時点における精白米の含水率として約20%になるようにしたが、この値は例示にすぎず、例えば洗米処理工程が終了した時点における精白米の含水率としては20%〜30%の範囲のうちのいずれかの含水率となるようにしてもよく、乾燥処理が終了した時点における精白米の含水率として、17.7%〜25%程度の範囲の含水率となるようにしてもよい。
【0049】
(6)上記実施形態では、洗米装置として、水流攪拌によって洗米処理を行うようにしたが、攪拌棒や攪拌羽根を高速で回転させながら機械的に攪拌洗米するようにしてもよい。
【0050】
(7)上記実施形態では、前記水切り部に、水切り後の精白米に清浄水を降りかけるシャワー装置が設けられる構成を例示したが、このような構成のシャワー装置に代えて、あるいは、そのようなシャワー装置に加えて、前記精白米に除菌用液剤を降りかけるシャワー装置が設けられる構成としてもよい。除菌用液剤としては、例えば、除菌作用のあるオゾン水や酢等がある。又、このような専用の水切り部を設けることなく、洗米処理が終了した精白米を直接、脱水装置に供給して脱水処理に移行するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】既洗米の製造装置の工程流れ図
【図2】既洗米の製造装置の平面図
【図3】洗米装置の縦断側面図
【図4】洗米装置の平面図
【図5】網状収納具を示す図
【図6】遠心脱水装置の断面図
【図7】乾燥装置の縦断側面図
【図8】乾燥装置の正面図
【図9】計測データを示す図
【図10】別実施形態の水分計測装置の断面図
【符号の説明】
8 洗米装置
30 乾燥装置
B 洗米処理部
C 乾燥処理部
【発明の属する技術分野】
本発明は、炊飯に先立って洗米浸漬などの前処理を加えることなく、水を加えて直ちに炊飯することが可能となる既洗米を製造するための製造方法に関し、詳しくは、精白米を温水又は水で洗米及び含水処理し、洗米及び含水処理された後の精白米を乾燥処理する既洗米の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記したような既洗米の製造方法において、従来では、例えば特公平5−37008号公報に示されるように、精白米を例えば60℃〜80℃の温水で数分間(3〜6分間)洗米した後にドライヤ等で乾燥するようにしたもの(第1引用例)、特許第2648258号公報に示されるように、精白米を例えば70℃以上の温水で数分間洗米した後、遠心脱水等の強制運動により付着水を除去するようにしたもの(第2引用例)、特許第2651976号公報に示されるように、玄米又は精白米を予め含水率が15%〜19%の範囲になるように調質した後、玄米は精米加工し、例えば10〜30℃の水で設定時間洗米した後、遠心脱水及び通風乾燥による乾燥処理、又は、通風乾燥による乾燥処理を設定時間行うようにしたもの(第3引用例)等がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記したような各引用例に示されるものは、温水又は水の温度や洗米及び含水処理する時間を予め設定しておいて、精白米を温水又は水で洗米及び含水処理するようにしているが、このような洗米及び含水処理を実行することにより得られた既洗米の含水率は、予め実験等によって計測された含水率になるものと想定して、言わば成り行きに任せるような管理を行うだけとなっている。そうすると、このような条件で既洗米の製造を継続して行うと、例えば、洗米及び含水するときの実際の温水又は水の温度が予め設定した温度とは異なっているような場合や、又は、米の品種が異なり初期含水率が想定していたものと異なるような場合等においては、処理が終了した後の仕上げの含水率が目標とする含水率とは異なったものとなってしまうおそれがある。
尚、洗米及び含水処理の後に行われる乾燥処理については、上記各引用例のうち第1引用例や第2引用例には詳細については言及はしていないが、この乾燥処理の条件についても予め設定された一定の条件で行われていると考えられる。
従って、上記したような各引用例に示される製造方法では、既洗米の製造にあたって、仕上げの段階での既洗米の実際の含水率が目標とする含水率にならないおそれが大となる不利があった。
【0004】
本発明はかかる点に着目してなされたものであり、その目的は、合理的な管理手法により、仕上げの段階での既洗米の実際の含水率を極力目標とする含水率にすることが可能となる既洗米の製造方法を提供する点にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の特徴によれば、精白米を温水又は水で洗米及び含水処理し、洗米及び含水処理された後の精白米を乾燥処理する既洗米の製造方法において、前記温水又は水の温度、洗米及び含水処理を実行する処理時間、及び、前記洗米及び含水処理が終了した後における精白米の含水率の夫々の間での相関関係を示す計測データに基づいて、前記洗米及び含水処理が終了した後における精白米の含水率が目標洗米含水率になるように、前記温水又は水の温度、及び、洗米及び含水処理を実行する処理時間を管理して洗米及び含水処理を実行し、且つ、前記乾燥処理が終了した後の精白米の含水率を計測して、その計測された含水率が目標仕上げ含水率になるように、前記乾燥処理における乾燥条件を管理するようにした。
【0006】
精白米に含水させる場合、精白米に吸収される水分の単位時間あたりの吸収量は、洗米及び含水するための温水又は水の温度が高いほど大きく、洗米及び含水処理を実行する処理時間が長いほど水分の吸収量は大きくなるのであり、最初の含水率が同じで洗米及び含水の処理条件が同じであれば処理が終了した後における精白米の含水率もほぼ同じになると考えられる。
又、通常の生産販売ルートにて扱われる精白米の含水率は16%を越えることはなく、ほとんどのものが14%〜15%の範囲に収まるように管理されていることから、洗米及び含水処理が行われるまでの精白米の含水率は上記範囲内にあるので、前記温水又は水の温度、洗米及び含水処理を実行する処理時間、及び、前記洗米及び含水処理が終了した後における精白米の含水率の夫々の間での相関関係を示す計測データを予め計測して、この計測データに基づいて、処理条件を設定しておけば処理が終了した後の含水率は常にほぼ同じ含水率になると考えられる。
従って、前記計測データに基づいて、洗米及び含水処理が終了した後における精白米の含水率が目標洗米含水率になるように、前記温水又は水の温度、及び、前記処理時間を管理することにより、実際の含水率が目標洗米含水率になるように洗米及び含水処理を実行することができるのである。
【0007】
そして、前記乾燥処理が終了した後の精白米の含水率を計測して、その計測された含水率が目標仕上げ含水率になるように、前記乾燥処理における乾燥条件を管理するようにしたので、何らかの要因によって、洗米及び含水処理が終了した後における精白米の含水率が目標洗米含水率と異なり乾燥処理が終了した後に精白米の含水率が目標仕上げ含水率と異なっているような場合には、乾燥処理における乾燥条件を変更させることにより、乾燥処理による含水率の低下量を変更させることで、目標仕上げ含水率に近づけることが可能となる。
【0008】
その結果、仕上げの段階での既洗米の実際の含水率を極力目標とする含水率にすることが可能となる既洗米の製造方法を提供できるに至った。
【0009】
請求項2に記載の特徴によれば、請求項1の既洗米の製造方法において、加熱乾燥法によって精白米の含水率を計測するようにした。
【0010】
加熱乾燥法による含水率の計測は、質量が予め計測されている基準秤量皿に、対象物(精白米)を載せて質量(初期値W1)を計測した後、予め設定された乾燥条件(例えば、135℃で3時間)で対象物を乾燥処理して、再度、質量(終了値W2)を計測し、下記式によって含水率X(重量比)を求める。尚、基準秤量皿の質量をW0とする。
前記乾燥条件とは、化学変化が生じないで水分だけが揮発し、水分が完全に除去できる条件をいう。対象物(精白米)を粉砕しないで行う方法もあるが長い時間が必要である。
【0011】
【数1】
X=(W2−W0)/(W1−W0)
【0012】
上記したような加熱乾燥法は、計測処理に時間がかかるものの高精度にて含水率を計測することが可能である。
【0013】
請求項3に記載の特徴構成によれば、請求項1の既洗米の製造方法において、近赤外分光法によって精白米の含水率を計測するようにした。
【0014】
水は近赤外波長領域に特定の分光波長吸収特性があり、他の成分、例えば、タンパク質や澱粉等にも夫々固有の分光波長吸収特性を持っており、それらの成分の含有割合等によって、対象物(精白米)における近赤外光の分光吸収スペクトルが変化するので、近赤外分光法によって分光吸収スペクトルを計測して所定の演算処理を実行することによって含水率を求めることができるのである。この方法によれば、上記加熱乾燥法に比べ短時間で能率よく含水率を計測することが可能である。
【0015】
請求項4に記載の特徴構成によれば、請求項1〜3のいずれかの既洗米の製造方法において、前記目標洗米含水率が20〜30%であり、前記目標仕上げ含水率が17.5%〜25%である。
【0016】
洗米及び含水処理によって20〜30%の高含水率になるように含水させるようにしているので、精白米の表層部だけでなく中心部にまで含水されることになり、その後の乾燥処理により水分が減少するとしても、炊飯の際に浸漬工程により更に水を含水させなくても、澱粉の糊化が充分行われて美味しい炊き上がり状態になるための含水率にすることができ、乾燥処理が終了した後における精白米の含水率が17.5〜25%であるから、このようにして製造された既洗米は、炊飯の際に所定時間浸漬させる手間をかけなくても、美味しい炊き上がり状態になる。精白米の含水率が17.5%を下回ると、炊飯したときに中心部が硬くなって芯が残ることがあり、25%を越えると、例えば、腐敗したりカビが生える等の変化を生じたり、あるいは、米がふやけた状態になったりするおそれが大になり長期保存し難いものとなるのが、上記したような含水率により、このような不利のない既洗米が得られる。尚、ここでいう含水率とは、精白米の全体重量に対する水分の重量の比率(%)で示す湿基準の含水率をいう。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る既洗米の製造方法について説明する。
先ず、図面に基づいて既洗米を製造するための既洗米の製造装置について説明する。
この装置は、運搬車両等によって搬入された精白米を貯留するとともに、貯留している精白米を所定量づつ搬送する荷受け処理部A、荷受け処理部Aから搬送される精白米を温水で洗米及び含水処理する洗米処理部B、洗米及び含水処理された精白米を乾燥する乾燥処理部C、乾燥が行われた精白米を計量して所定量づつ袋詰め包装する計量包装処理部D等を備えて構成されている。
【0018】
以下、図1、図2に基づいて構成について詳述する。
前記荷受け処理部Aは、前記運搬車両にて搬入される精白米を貯留する大型の貯留タンク1と、この貯留タンク1の底部出口から排出される精白米を上方に搬送するコンベア2、コンベア2の上部出口側から排出される精白米を設定量(例えば、20Kg程度)づつ計量して搬送するためのシャッター機構3付きの流量調整タンク4と、2系統の洗米処理工程に対して精白米を選択的に供給するための2口切換弁5等を備えて構成されている。つまり、貯留タンク1に貯留される精白米を、流量調整タンク4内に設定量を貯留した状態でシャッター機構3を開作動させ、2口切換弁5にていずれかの系統の洗米処理工程に対して、流下供給路6、7を通して精白米を設定量づつ流下させながら送り出すように構成されている。
【0019】
前記洗米処理部Bは、2系統の洗米処理工程を備えており、それら2系統の洗米処理工程の夫々に、温水を流動させることにより精白米を攪拌洗米する水流攪拌式の洗米装置8と、精白米に調味料を供給するための調味料供給装置9と、洗米装置8にて洗米された精白米の水切りを行う水切り部10とが備えられている。又、前記各洗米装置8に対して洗米用の温水を供給するためのボイラー装置11が設けられている。このボイラー装置11は、温水の温度が一定の温度に維持されるように加熱量を自動調節する構成となっている。
【0020】
前記洗米装置8は、図3、図4に示すように、上部が開放状の洗米槽12が設けられている。この洗米槽12は、上部側が円筒形状であって下部がその円筒形状に連なる円錐形状に形成され、この洗米槽12の内部に上方側から設定量の精白米が搬送供給されて、この内部で精白米を一時貯留する構成となっている。そして、洗米槽12の底部には、前記ボイラー装置11から温水供給管13を通して供給される温水が槽内部にて上方側に向けて勢いよく吹き出すように噴出ノズル14が設けられている。尚、前記温水供給管13には、温水を強制搬送させるためのポンプ15、温水供給管13の内部通路を断続自在な電磁弁16、送り出し圧力を表示する圧力計17等が備えられている。
前記洗米槽12の内部には、前記噴出ノズル14に対向して少し隙間をあけた状態で先端開口部18aが位置するとともに、洗米槽12の上方側外方に向けて延びるように槽内送水管18が設けられ、この槽内送水管18の上部側は、電磁操作式の3方法切換弁19を介して、他端側が洗米槽12の上方側中央部に開口する洗米用送水管20と、他端側が洗米槽12の外方側における水切り部10に向けて延びる送米用送水管21とに分岐する構成となっている。
又、洗米槽12の上部開口の外周部には、溢れ出した温水を回収して排水管22から排出するための環状の洗浄水回収部23が形成されており、洗米槽12の内部には投入される精白米及び洗米用送水管20から排出される温水等が径方向外方側に分散させる案内板24が備えられている。
【0021】
前記洗米装置8では、先ず最初に前記洗米槽12の内部に設定量の精白米が供給され、その後、ボイラー装置11からポンプ15を介して温水が供給されて噴出ノズル14から勢いよく温水が吹き出される。このとき、3方法切換弁19は、槽内送水管18と洗米用送水管20とを連通させる状態に切り換えておく。そうすると、噴出ノズル14から勢いよく吹き出される温水は、エジェクター作用によって精白米と一緒に槽内送水管18から洗米用送水管20を通り洗米槽12内に循環供給されることになる。そして、温水の供給に伴ってオーバーフローした洗浄排水は洗浄水回収部23から排水管22を通して外部に排出される。従って、温水を流動させることにより精白米を攪拌洗米する水流攪拌が行われることになる。
このようにして洗米処理が行われた後に、3方法切換弁19を、槽内送水管18と送米用送水管21とを連通させる状態に切り換える。そうすると、噴出ノズル14から勢いよく吹き出される温水は、槽内送水管18と送米用送水管21とを通り水切り部10に向けて送り出される。このとき、噴出ノズル14から勢いよく吹き出される温水のエジェクター作用によって洗米槽12内に貯留されている精白米も一緒に水切り部10に向けて送られるのである。
【0022】
前記水切り部10は、図1、図2に示すように、温水を受止めて排水処理する流し台25が備えられて、この流し台25の上部に網状収納具26が載置支持されている。そして、温水と共に洗米装置8から搬送されてくる精白米をこの網状収納具26にて受止め収納することで温水は流し台25から流れて排出されて精白米の水切りが行われる。又、この水切り部10には、水切りが行われた後の精白米に対して清浄水を降りかけるシャワー装置27が設けられている。このように清浄水を降りかけることで、高温水でも殺菌できないような高耐熱菌を流して除菌することが可能となり、又、精白米の表面に付着している糠等を除去することもできる。
【0023】
前記網状収納具26は、図1、図2に示すように、リフト装置28によって持ち上げ移動可能に流し台25に載置されており、水切り処理とシャワー処理が終了した後に、リフト装置28によって持ち上げられて、次の乾燥処理における遠心脱水にそのまま利用される構成となっている。つまり、図5に示すように、略円筒形のステンレス製網カゴ26aの内部に水を容易に排水しやすい網状の布製筒体26bを収納し、布製筒体26bの一端側を網カゴ26aの上部側の周部に紐で締め付け固定し、布製筒体26bが袋状の収納容器として機能するように他端側を紐で絞っている。従って、リフト装置28によって持ち上げられるときは、袋状の収納容器として機能する布製筒体26bの内部に精白米が収納された状態で搬送できることになる。
【0024】
次に、前記乾燥処理部Cの構成について説明する。
乾燥処理部Cは、前記洗米処理部Bにて洗米された精白米から遠心力により水分を脱水する遠心脱水装置29と、脱水された精白米を高温の雰囲気温度にて熱乾燥処理する乾燥装置30とを備えて構成されている。
【0025】
前記遠心脱水装置29は、図5、図6に示すように、前記水切り部10にて処理が終了した後にリフト装置28によって持ち上げて移送されてくる網状収納具26が、上方側からそのまま載置収納される回転シリンダー31が設けられ、この回転シリンダー31の周囲は外筒32で覆われる構成となっている。回転シリンダー31は上下軸芯周りで回転自在にフレーム部33に支持されており、フレーム部33に位置固定状態で支持されている電動モータ34と、前記回転シリンダー31とが伝動ベルト35を介して連動連結され、回転シリンダー31内に網状収納具26が収納された状態で、電動モータ34の駆動力により回転シリンダー31が上下軸芯周りで高速で回転することにより、精白米から遠心力により水分を脱水することができるようになっている。尚、脱水処理が行われるときには、外筒32の上部開口を蓋体36にて閉塞して蓋体36を固定することによって外部に水や米が飛散するのを防止するようにしている。
【0026】
前記遠心脱水装置29での脱水処理が終了した後には、再度、リフト装置28によって網状収納具26が持ち上げられて乾燥装置30の搬送始端部に移動され、内部に収納されている精白米を乾燥装置30の搬送始端部に供給するようになっている。つまり、網状収納具26が乾燥装置30の搬送始端部の上方側に位置している状態で、手作業によって、布製筒体26bが袋状の収納容器として機能するように他端側を絞っている紐を外すことにより、その内部に収納されている精白米を乾燥装置30の搬送始端部に落下放出させるのである。
【0027】
次に、乾燥装置30の構成について説明する。
この乾燥装置30は、前記布製筒体26bから落下放出された精白米を載置搬送する搬送コンベア37が備えられ、搬送コンベア37にて載置搬送される精白米に対して、ヒータにて加熱された空気を通風手段にて精白米の存在個所に通風させて、精白米の雰囲気温度を外気温度よりも高温にして熱乾燥処理するように構成されている。
【0028】
詳述すると、図7、図8に示すように、前記搬送コンベア37が斜め上方に向かう搬送経路を有する状態で枠体38に支持され、搬送コンベア37による搬送経路の上方個所に前記ヒータとして複数の遠赤外線ヒータ39が位置固定状態で搬送経路方向に沿って並列配置され、又、その上方個所には前記通風手段としての6個のシロッコファン40が備えられている。前記各遠赤外線ヒータ39と各シロッコファン40との間には、各シロッコファン40により吹き出される空気が、搬送コンベア37上の広い範囲にわたり風圧が均平化された状態で通風するように、多数の挿通孔41が適宜間隔をあけて分散形成された多孔板42が設けられ、多孔板42の上方側には各シロッコファン40から吹き出される空気の風圧を均平化させるために一時貯留用の給気室43が形成されている。
【0029】
そして、各シロッコファン40から吹き出され多孔板42にて風圧が均平化された空気は、各遠赤外線ヒータ39にて加熱されて高温になって状態で、搬送コンベア37上を載置搬送される精白米の存在個所に対して通風されることになる。このように精白米の存在個所に通風供給された空気は、搬送経路の左右両側夫々にて搬送方向前後2個所に形成された循環通風路44、及び、この循環通風路44に連なる吸気室45を通して各シロッコファン40により吸引される構成となっている。従って、各シロッコファン40にて通風される空気が、給気室43、ヒータ配設空間、精白米存在個所、循環通風路44及び吸気室45を通してシロッコファン40に戻るように循環通風する構成となっている。
この乾燥装置30では、詳述はしないが、精白米存在個所に通風される空気の温度を温度センサにて検出して、その検出値が図示しない設定ダイヤルにて設定される目標温度になるように、前記各遠赤外線ヒータ39の加熱動作を制御する構成となっている。
【0030】
上記加熱作用個所の搬送始端位置にはクロスフローファン46が設けられ、加熱乾燥に先立って精白米の表面に残っている水を予め吹き飛ばすようにしている。又、精白米の通過個所の上方側には、適宜間隔をあけて棒状のレーキ部材47が分散配置され、これらのレーキ部材47は、載置搬送される精白米を層状に拡散させるように均す機能を有するとともに、図8に示すように、精白米の表面を略波形にさせて温風が作用する表面積を大きくさせる機能を有している。
【0031】
次に、計量包装処理部Dの構成について説明する。
図1、図2に示すように、計量包装処理部Dは、設定された重量になるように自動計量して包装袋に自動で包装する自動計量包装機48、設定された重量になるように自動計量する自動計量機49、乾燥装置30から排出される精白米を自動計量包装機48に向けて供給する供給装置50、包装された袋詰め米を出荷用テーブル51に搬送する出荷用コンベア52等を備えて構成されている。
前記供給装置50は、乾燥装置30の搬送終端部からシュート53を介して流下排出される乾燥後の精白米を受止めて、破砕粒や小石等の小径物を選別落下させる網状部材54を斜め姿勢で配置するとともに、この網状部材54を傾斜方向に沿って往復振動させるように構成され、網状部材54の下方側端部から流下排出される精白米が、往復揺動する流下板55にて受止めて昇降コンベア56のバケット57に向けて流下案内するように構成され、昇降コンベア56は自動計量包装機48や自動計量機49に対して精白米を上方側から自動供給するために高い位置まで昇降させるようになっている。尚、昇降コンベア56の上方側の出口部は、自動計量包装機48及び自動計量機49のうちいずれか一方に選択的に精白米を供給すべく2口切換弁58にて供給状態を切り換えられるようにしている。
【0032】
自動計量包装機48は、精白米を予め設定した重量毎に包装袋に密閉状態で自動で包装するように構成されている。この包装工程の途中において包装袋内に脱酸素剤を自動で供給する脱酸素剤供給装置59が設けられている。尚、自動計量機49は、設定された重量になるように自動計量する機能だけを備えており、包装作業を手作業で別途行うような場合等に利用される。
尚、図中、60は包装袋内に金属が存在するか否かを検知する金属探知機であり、61は包装袋に貼付するシールを作成するシール装置である。
【0033】
次に、上記構成の既洗米の製造装置による既洗米の製造方法について説明する。尚、荷受け処理部Aには既に精白米が荷受けされ、予め貯留タンク1内に貯留されているものとする。このように荷受け処理された精白米は、通常、14〜15%程度の含水率となっている。本実施形態において、含水率とは、精白米の全体重量に対する水分の重量の比率(%)で示す湿基準の含水率をいう。
【0034】
前記ボイラー装置11から供給される温水の温度、洗米及び含水処理を実行する処理時間、及び、洗米及び含水処理が終了した後における精白米の含水率の夫々の間での相関関係を示す計測データを予め実験によって計測しておく。例えば、温水の温度を所定の温度に調節して処理時間を異ならせて洗米及び含水処理を行った後に含水率を測定し、このような計測を前記温水の温度を種々変化させて繰り返し行い、複数の計測データを求めていく。これらの測定データはできるだけ多くのデータが好ましい。これらの計測データから図9に示すように温水の温度、処理時間、及び、含水率の相関関係を示すグラフが求められる。
そして、この計測データに基づいて、前記洗米及び含水処理が終了した後における精白米の含水率が目標洗米含水率になるように、前記温水又は水の温度、及び、洗米及び含水処理を実行する処理時間を管理して洗米及び含水処理を実行し、且つ、前記乾燥処理が終了した後の精白米の含水率を計測して、その計測された含水率が目標仕上げ含水率になるように、前記乾燥処理における乾燥条件を管理するようにしている。
【0035】
具体的に説明すると、例えば目標洗米含水率として24%とすると、前記計測データより、ボイラー装置11から洗米槽12に供給する温水の温度を例えば70℃に設定するとともに、洗米・含水処理時間を例えば4分間に設定する。
そして、ボイラー装置11から70℃の温水を洗米槽12に供給開始し後、精白米を設定量(例えば、20Kg)計量して洗米槽12内に供給する。洗米槽12内には約1分間で設定量の精白米が全量供給されることになる。そして、全量供給した後に更に2分間水流攪拌による洗米処理を実行する。このとき、除去される糠等を含む洗浄排水は、洗浄水回収部23から排水管22を通して外部に排出される。水流攪拌による洗米処理が終了した後、約1分間そのまま待機して温水内に浸漬しておく。従って、洗米処理工程は浸漬処理を含め約4分間とする。このとき、70℃の温水の水流攪拌によって洗米するので穀温は約70℃になり、洗米処理工程が終了した時点における精白米の含水率は約24%程度になる。この含水率は精白米の中心部に至るまで含水する高含水率に対応するのであり、洗米処理部は、精白米の表層部及び中心部が高含水率になるように前記含水を行うように構成されることになる。
【0036】
次に、3方法切換弁19を切り換えて洗米槽12内の精白米を噴出ノズル14からの噴出力により温水と一緒に水切り部10に載置支持されている網状収納具26内に向けて送り出す。この送米処理は約1分間で行われる。水切り部10では精白米は網状収納具26に収納されて温水はそのまま下方に流れて流し台25により流下案内されて排出されるので精白米の水切りが行われることになる。全量の精白米が送られた後には、シャワー装置27により適量の清浄水が供給され、精白米の表面に残っている糠や高耐熱菌等の除去処理が行われる。
【0037】
そして、上記清浄水の供給処理が終了した後、リフト装置28を用いて網状収納具26を持ち上げ移動して、遠心脱水装置29の回転シリンダー31の内部に載置収納させ、上部開口を蓋体36にて閉塞して、回転シリンダー31を高速で回転駆動して遠心脱水処理を実行する。回転シリンダー31の回転速度は、例えば、800rpm〜1200rpm程度に設定される。この遠心脱水処理は数秒間(例えば、8秒間)実行することになる。
遠心脱水処理が終了すると、リフト装置28を用いて網状収納具26を持ち上げて乾燥装置30の搬送始端部まで移動して、手作業により布製筒体26bの他端側を絞っている紐を外すことにより、その内部に収納されている精白米を乾燥装置30の搬送始端部に落下放出させる。
【0038】
そして、乾燥装置30において、搬送コンベア37を低速で駆動しながら精白米をすこしづつ載置搬送しながら温風乾燥処理を実行する。このとき、精白米は、搬送コンベア上を層状に拡散させるように均された状態で載置搬送される。精白米存在個所に通風される空気の目標温度は例えば70℃に設定され、シロッコファン40による温風の流速は1m/sec以下の低速に設定されている。乾燥を開始してから乾燥が終了するまでの処理時間は約8分間に設定されている。このような乾燥用の条件は、乾燥処理が終了した時点における精白米の含水率の目標仕上げ含水率に基づいて設定されることになる。この実施形態における目標仕上げ含水率は約20%に設定されている。
尚、この乾燥装置30により乾燥処理されて搬送終端部から排出される精白米を、供給装置50に供給する前に、一時、所定量づつ受入容器にて受止め貯留した状態で攪拌装置により機械的に攪拌させることで、精白米間での水分移動を行わせることにより、含水率がばらついている精白米全体を上記した含水率(約20%)にさせる含水率調整工程を設けるようにしてもよい。
【0039】
乾燥処理が終了した精白米は、次の計量包装工程に進むことになるが、このとき、適宜数量だけ抜き取り検査により実際の仕上げ含水率を計測するようにしている。
抜き取られた精白米のサンプルは、加熱乾燥法により精度よく含水率が計測される。つまり、サンプルを入れるための秤量皿を、定温乾燥機により1〜2時間乾燥した後、デシケータに入れて約45分間放冷したのち、正確に秤量皿を秤量する(W0)。例えばローラーミル等により粉砕した状態で秤量皿にサンプルをいれて蓋をしてサンプルを含む秤量皿の質量を正確に秤量する(W1)。そして、定温乾燥機内にて蓋を外して予め設定された乾燥条件(例えば、135℃で3時間)でサンプルを乾燥処理した後に、蓋をしてデシケータに移して約45分間放冷して、サンプルを含む秤量皿の質量を正確に秤量する(W2)。そして、〔数2〕によって含水率X(重量比)を求めるのである。前記乾燥条件とは、化学変化が生じないで水分だけが揮発し、水分が完全に除去できる条件をいう。対象物(精白米)を粉砕しないで行う方法もあるが長い乾燥時間(6時間)が必要である。このような加熱乾燥法は公知の計測手法である(詳しくは、「改訂食品分析ハンドブック」(建帛社発行)(第17ページ〜第26ページ)参照)。
【0040】
【数2】
X=(W2−W0)/(W1−W0)
【0041】
このようにして計測した精白米の仕上げ含水率が目標仕上げ含水率に対して大きく異なっている場合には、乾燥装置のおける乾燥条件、つまり、温風の設定温度を変更するようにしている。例えば、実際の仕上げ含水率が目標仕上げ含水率に対して低い場合には設定温度を下げて乾燥能力を低下させ、仕上げ含水率が高い場合には設定温度を上げて乾燥能力を上昇させることで対応するようにしている。このように仕上げ含水率が極力、目標仕上げ含水率になるように管理するようにしている。
【0042】
計量包装工程においては、自動計量包装機48に供給された後、設定された重量になるように自動計量して、脱酸素剤と共に包装袋に自動で密封状態で包装され、出荷用コンベア52にて出荷用テーブル51に搬送される。このように、乾燥処理が行われたのち、すぐに密封包装されるので出荷されるときの精白米の含水率は約20%になる。
尚、上記各工程における処理時間は一例に過ぎず、上記したような処理時間に限定されるものではない。例えば、効率のよい乾燥方法を有する乾燥装置であれば、乾燥処理時間として洗米処理の時間よりも短時間のうちで乾燥処理するような構成としてもよい。
【0043】
〔別実施形態〕
以下、別実施形態を列記する。
【0044】
(1)上記実施形態では、仕上げ含水率が目標仕上げ含水率と異なっている場合には、温風の設定温度を変更することで、乾燥条件を変更するよう管理する構成としたが、このような構成に限らず、例えば、温風の設定温度を変更させないで搬送コンベアの搬送速度を変更させたり、あるいは、風速を変更させるようにしてもよく、あるいは、これら複数の組み合わせにより乾燥条件を変化させるようにしてもよい。
【0045】
(2)上記実施形態では、加熱乾燥法によって精白米の含水率を計測するようにしたが、近赤外分光法によって計測するようにしてもよい。
つまり、水は近赤外波長領域に特定の分光波長吸収特性があり、他の成分、例えば、タンパク質や澱粉等にも夫々固有の分光波長吸収特性を持っており、それらの成分の含有割合等によって、精白米における近赤外光の分光吸収スペクトルが変化するので、近赤外分光法によって分光吸収スペクトルを計測して所定の演算処理を実行することによって含水率を求めることができるのである。
この種の水分計測装置としては、例えば、図10に示すように、出退自在なガラス製の容器62内に入ったサンプルSに対して光源63から発する光を透過させて、その透過光を暗箱64内において凹面回折格子65にて分光反射させて、アレイ型受光素子66により波長毎の光量を検出して分光吸収スペクトルを計測し、演算処理部67が、その分光吸収スペクトルの計測結果と予め設定記憶されている演算式に基づいて含水率を求めるように構成されている。図中68は、光線を校正用光線に変化させるフィルタ透過状態と、サンプルの透過光をそのまま通過させる状態とに切り換える切換機構である。
【0046】
(3)上記実施形態では、乾燥処理において、遠心脱水を行った後に殺菌作用を有する遠赤外線ヒータで加熱した温風を通風させて乾燥するようにしたが、このような方法に限らず、次の(イ)〜(ニ)のいずれかの方法で乾燥するようにしてもよい。
(イ)前記遠赤外線ヒータに代えて普通の電熱線ヒータで加熱するようにしてもよい。
(ロ)前記温風通風式の乾燥装置に代えて、通風させることなく加熱手段による輻射熱によって精白米を乾燥させたり、このような加熱手段を設けることなく、単に通風手段による通風のみによって精白米を乾燥させるようにしてもよい。
(ハ)前記遠心脱水を行うことなく、洗米処理が終了した後、例えば、水切りを行った後に上記したような温風通風式の乾燥方法や他の乾燥方法により乾燥処理を実行してもよい。
(ニ)前記遠心脱水に代えて、例えば、揺動、振動、その他の強制運動、又は、それらを組み合わせた運動を利用した強制運転により脱水処理を行うようにしてもよい。
【0047】
(4)上記実施形態では、洗米処理部にて約70℃の温水を用いて洗米並びに含水を行うようにして短時間で能率よく精白米の表層部及び中心部が高含水率になるように前記含水を行うようにしたが、このような温水に限るものではなく、70℃より高い温度の温水、あるいは、70℃よりも低い温度の温水又は水を用いて洗米・含水を行うようにしてもよい。
【0048】
(5)上記実施形態では、洗米処理工程が終了した時点における精白米の含水率として約24%、乾燥処理が終了した時点における精白米の含水率として約20%になるようにしたが、この値は例示にすぎず、例えば洗米処理工程が終了した時点における精白米の含水率としては20%〜30%の範囲のうちのいずれかの含水率となるようにしてもよく、乾燥処理が終了した時点における精白米の含水率として、17.7%〜25%程度の範囲の含水率となるようにしてもよい。
【0049】
(6)上記実施形態では、洗米装置として、水流攪拌によって洗米処理を行うようにしたが、攪拌棒や攪拌羽根を高速で回転させながら機械的に攪拌洗米するようにしてもよい。
【0050】
(7)上記実施形態では、前記水切り部に、水切り後の精白米に清浄水を降りかけるシャワー装置が設けられる構成を例示したが、このような構成のシャワー装置に代えて、あるいは、そのようなシャワー装置に加えて、前記精白米に除菌用液剤を降りかけるシャワー装置が設けられる構成としてもよい。除菌用液剤としては、例えば、除菌作用のあるオゾン水や酢等がある。又、このような専用の水切り部を設けることなく、洗米処理が終了した精白米を直接、脱水装置に供給して脱水処理に移行するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】既洗米の製造装置の工程流れ図
【図2】既洗米の製造装置の平面図
【図3】洗米装置の縦断側面図
【図4】洗米装置の平面図
【図5】網状収納具を示す図
【図6】遠心脱水装置の断面図
【図7】乾燥装置の縦断側面図
【図8】乾燥装置の正面図
【図9】計測データを示す図
【図10】別実施形態の水分計測装置の断面図
【符号の説明】
8 洗米装置
30 乾燥装置
B 洗米処理部
C 乾燥処理部
Claims (4)
- 精白米を温水又は水で洗米及び含水処理し、洗米及び含水処理された後の精白米を乾燥処理する既洗米の製造方法であって、
前記温水又は水の温度、洗米及び含水処理を実行する処理時間、及び、前記洗米及び含水処理が終了した後における精白米の含水率の夫々の間での相関関係を示す計測データに基づいて、前記洗米及び含水処理が終了した後における精白米の含水率が目標洗米含水率になるように、前記温水又は水の温度、及び、洗米及び含水処理を実行する処理時間を管理して洗米及び含水処理を実行し、
且つ、前記乾燥処理が終了した後の精白米の含水率を計測して、その計測された含水率が目標仕上げ含水率になるように、前記乾燥処理における乾燥条件を管理するようにした既洗米の製造方法。 - 加熱乾燥法によって精白米の含水率を計測するようにした請求項1記載の既洗米の製造方法。
- 近赤外分光法によって精白米の含水率を計測するようにした請求項1記載の既洗米の製造方法。
- 前記目標洗米含水率が20〜30%であり、前記目標仕上げ含水率が17.5%〜25%である請求項1〜3のいずれか1項に記載の既洗米の製造方法。
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