JP3664402B2 - 非水電解液二次電池用負極及びその製造方法並びに非水電解液二次電池 - Google Patents

非水電解液二次電池用負極及びその製造方法並びに非水電解液二次電池 Download PDF

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誠 土橋
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、リチウム等のアルカリ金属を多量に吸蔵、脱蔵することができる非水電解液二次電池用負極及びその製造方法に関し、詳しくは特定構成の負極を用いることによって、電極の長寿命化が達成でき、かつ単位体積及び単位重量当たりのエネルギー密度を飛躍的に向上させた非水電解液二次電池用負極及びその製造方法、並びに該負極を用いた非水電解液二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
携帯用の小型電気・電子機器の普及に伴い、小型で高容量の非水電解液(電解質)二次電池の開発が盛んに行われている。この非水電解液二次電池は、マンガン酸リチウム、コバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム等を正極材料とし、炭素質材料、リチウム金属等を負極材料としたものが一般的である。
【0003】
しかし、炭素質材料は、理論的放電容量が372mAh/gと低く、今後予想される小型電気・電子機器の多機能化による消費電力の増大に対して、現行の炭素材料では、そのニーズに対応は困難である。
【0004】
一方、リチウム金属は、理論的放電容量が3860mAh/gと高いものの、非水電解液とリチウム金属との反応によるリチウムの劣化や充放電の繰り返しにより負極からリチウム金属がデンドライト状に成長し、絶縁体であるセパレーターを貫通して正極と短絡が生じたり、サイクル寿命特性が短いという問題があった。
【0005】
このような問題を解決するために、銅板等の集電体の表面に、スズ又はスズ合金の被膜を電気メッキ法により積層した負極が提案されている(特許文献1及び2並びに非特許文献1参照)。しかし、このような負極は、リチウムの吸蔵、脱蔵に伴い、スズ又はスズ合金が割れて、銅板等からなる集電体より剥離、脱落し、電極の長寿命化が図れないという問題がある。特に、通常は、集電体とスズ又はスズ合金のメッキは別途に行うため、集電体表面に酸化被膜が形成された後に、スズ又はスズ合金メッキを行うため、スズ又はスズ合金は集電体から容易に剥離、脱落してしまう。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−68094号公報
【特許文献2】
特開2001−68094号公報
【非特許文献1】
第42回電池討論会予稿集p282,284,288
【0007】
また、非水電解液二次電池用負極には、高い単位体積及び単位重量当たりのエネルギー密度が求められている。
【0008】
従って、本発明の目的は、電極の長寿命化が達成でき、かつ単位体積及び単位重量当たりのエネルギー密度を飛躍的に向上させた非水電解液二次電池用負極及びその製造方法、並びに該負極を用いた非水電解液二次電池を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、検討の結果、集電体の表面にスズ等のリチウムの吸蔵が可能な元素を含む第1被覆層と、リチウム化合物の形成能の低い金属を含む第2被覆層と、該第1被覆層と同種又は異種の第1被覆層とが形成されてなる負極により、上記目的が達成し得ることを知見した。
【0010】
本発明は、上記知見に基づきなされたもので、集電体表面に、スズ、スズ合金、アルミニウム又はアルミニウム合金を含む第1被覆層が連続的に形成され、次に該第1被覆層の上に、リチウム化合物の形成能の低い金属を含む第2被覆層が形成され、該第2被覆層の上に、該第1被覆層と同種又は異種の第1被覆層が更に形成されている3層構造の多層被覆層を有し、第2被覆層が第1被覆層上を断続的に被覆していることを特徴とする非水電解液二次電池用負極を提供するものである。
【0015】
また、本発明は、上記負極を用いた非水電解液二次電池を提供するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳述する。
【0017】
本発明の非水電解液二次電池用負極における集電体としては、例えば銅、ニッケル、ステンレス等の導電性材料の箔が用いられる。例えば集電体として銅箔を用いる場合、この銅箔は銅含有溶液を用いた電解により得られ、その厚みは10〜30μmが望ましい。特に特開2000−90937号公報に記載の方法より得られた銅箔は、厚みが12μm以下と極めて薄いことから好ましく用いられる。
【0018】
本発明の負極は、上記集電体の表面に、スズ、スズ合金、アルミニウム又はアルミニウム合金を含む第1被覆層が形成され、該第1被覆層の上に、リチウム化合物の形成能の低い金属を含む第2被覆層が形成され、該第2被覆層の上に、該第1被覆層と同種又は異種の第1被覆層が更に形成されている3層構造の多層被覆層を有している。
【0019】
1被覆層上に第2被覆層を形成することで、第1被覆層の作用によって放電容量が高まると同時に、第1被覆層の剥離や脱落が効果的に防止され、電極の長寿命化を図ることができる。第2被覆層上に更に第1被覆層が形成されてなることで、集電体の表面に形成された第1被覆層の剥離や脱落が一層効果的に防止され、電極の一層の長寿命化が図れる。本発明の更に別の実施形態においては、上記の3層構造の上に、第2被覆層及び第1被覆層をこの順で1組とした1組以上の被覆層が更に形成されていてもよい。すなわち、3層構造のみならず、5層構造、7層構造等としてもよい。これら多層被覆層を構成する2以上の第1被覆層及び第2被覆層は、それぞれ同種の材料から構成されていてもよく、或いは異なる材料から構成されていてもよい。
【0020】
本発明の負極が、上記の3層構造(第1被覆層、第2被覆層及び第1被覆層)を有している場合や、該3層構造の上に、第2被覆層及び第1被覆層を1組とした1組以上の被覆層が更に形成されている場合、更に最上層としてリチウム化合物の形成能の低い金属を含む被覆層が形成されていることが好ましい。例えば本発明の負極が、上記の3層構造を有している場合には、上側の第1被覆層(つまり、第2被覆層上に形成された第1被覆層)上に、リチウム化合物の形成能の低い金属を含む被覆層が更に形成された4層構造であることが好ましい。最上層としてリチウム化合物の形成能の低い金属を含む被覆層が形成されていることで、スズなどからなる第1被覆層の酸化が抑制され、不可逆容量が低減される。また、第1被覆層の脱落が防止され、負極の寿命特性が向上するという効果が奏される。この効果を一層顕著なものとする観点から、最上層として形成されるリチウム化合物の形成能の低い金属を含む被覆層は、その厚みが0.01〜20μm、特に0.02〜10μm、とりわけ0.5〜5μmという極薄であることが好ましい。「リチウム化合物の形成能が低い」とは、リチウムと金属間化合物若しくは固溶体を形成しないか、又は形成したとしてもリチウムが微量であるか若しくは非常に不安定であることを意味する。該金属の例としては銅、鉄、コバルト、クロム、ニッケル等が挙げられる。逆にリチウム化合物の形成能の高い金属としては、スズ、シリコン、アルミニウム等があり、これらの金属はリチウムと金属間化合物を形成する。リチウム化合物の形成能の低い金属として特に銅を用いると、第1被覆層の酸化及び脱落が一層防止され、不可逆容量が一層低減し、負極の寿命特性が一層向上する点から好ましい。
【0021】
第1被覆層において、スズ合金としてはスズ−ビスマス、スズ−鉄、スズ−コバルト、スズ−銅等が挙げられ、アルミニウム合金としては、アルミニウム−リチウム、アルミニウム−マンガン、アルミニウム−チタン、アルミニウム−クロム、アルミニウム−バナジウム、アルミニウム−銅等が挙げられる。これらの第1被覆層は、好ましくは電解メッキ又は乾式法による表面処理により得られ、その厚みは0.5〜50μmが好ましく、1〜50μmが更に好ましく、2〜20μmが一層好ましい。
【0022】
第2被覆層は、リチウム化合物の形成能の低い金属を含んで構成されている。「リチウム化合物の形成能の低い金属」の詳細については、先に述べた、最上層として形成されるリチウム化合物の形成能の低い金属からなる被覆層に関する説明が適用される。リチウム化合物の形成能の低い金属を含む第2被覆層は、スズ等を含む第1被覆層の担持材としての役割を果たすため、リチウムの吸蔵、脱蔵に伴うサイクル寿命特性の向上に貢献する。この観点から、リチウム化合物の形成能の低い金属として、特に銅又はニッケルを用いることが好ましい。第2被覆層は、例えば上記の金属を含有する溶液を用いた電解により得られ、その厚みは0.02〜50μmが望ましく、0.2〜20μmがさらに望ましい。
【0023】
第2被覆層は、第1被覆層を断続的に被覆していている。第2被覆層が第1被覆層上を断続的に被覆している状態の具体例を図1及び図2に示す。図1及び図2は何れも第1被覆層、第2被覆層及び第1被覆層を有する3層構造の負極の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した組成像である。図1及び図2における第1被覆層はスズから、第2被覆層は銅からそれぞれ構成されている。また集電体は銅箔から構成されている。これらの図においては、理解の助けとするために、各被覆層の境界を、線でなぞり強調してある。これらの図から明らかなように、集電体の表面に第1被覆層が連続的に形成され、その上に第2被覆層が断続的に形成されている。尚、第2被覆層上に形成された第1被覆層は第2被覆層と同様に不連続の層となっている。従って、第2被覆層上に形成された第1被覆層が不連続になっている部分においては、第2被覆層が表面に露出していることがある。断続した第2被覆層を形成するためには、例えば第2被覆層を形成するときの電解条件を適切に選択したり、集電体である銅箔の表面粗さを適切に制御すればよい。また、連続した第2被覆層を形成して負極を作製した後に、該負極に対して充放電を行い、集電体上に形成された第1被覆層を膨張収縮させることで、連続した第2被覆層を不連続な状態に変化させることもできる。第2被覆層が第1被覆層上を断続的に被覆している場合には、断続した第2被覆層間が、電解液が進入する経路となる。
【0024】
電解液の進入を更に促進させるために、被覆層を貫通する空孔を形成することも有利である。例えば、本発明の負極が集電体上の第1被覆層、その上の第2被覆層及びその上の第1被覆層を有している場合、これらの被覆層に、0.1〜1mmの間隔で0.05〜0.5mmの空孔が存在していることが好ましい。つまり、これら3層を貫通する貫通孔が存在していることが好ましい。このような空孔が存在することによって、電解液が一層効果的に空孔中に入るため、いずれの第1被覆層も負極として一層良好に機能する。また、体積膨張、収縮をこの空孔によって緩和することができる。
【0025】
また、本発明の負極が集電体上の第1被覆層、その上の第2被覆層及びその上の第1被覆層を有している場合、上記第2被覆層は、各第1被覆層との界面において、2mm以下の間隔で、ランダム、かつ微細な破断部を有していることが望ましい。このような破断部を有することによって第1被覆層の負極としての有効利用をさらに図ることができる。この破断部は、各被覆層に上記空孔が形成されていない場合にも設けてもよい。
【0026】
本発明の非水電解液二次電池用負極の構成の例を図3及び図4に模式的に示す。図3は、本発明の非水電解液二次電池用負極の一例を模式的に示す断面図であり、図4は他の例を模式的に示す断面図である。図3及び図4に示されるように、非水電解液二次電池用負極は、集電体(銅箔)2と多層被覆層5からなり、多層被覆層5は第1被覆層3、第2被覆層4及び第1被覆層3の3層構造である。多層被覆層5には、一定間隔で空孔6が設けられている。また、図4では、第2被覆層4の第1被覆層3の界面に破断部7が設けられている。尚、図3及び図4においては、第2被覆層4は連続層で示されているが、これはあくまでも模式的なものであり、第2被覆層4は上述の通り不連続の層であってもよい。
【0027】
本発明の非水電解液二次電池用負極の別の実施形態として、集電体の直ぐ上に形成された第1被覆層が、スズ又はアルミニウムと、上記第2被覆層の構成元素及び/又は上記集電体の構成元素との合金からなる実施形態が挙げられる。例えば、集電体が銅箔からなり且つ第2被覆層が銅を含む場合、第1被覆層をスズ−銅合金とすることができる。この実施形態の場合には、第1被覆層と集電体及び/又は第2被覆層との密着性が良好になり、活物質の脱落が防止されるという利点がある。また本発明の非水電解液二次電池用負極の更に別の実施形態として、第2被覆層が、リチウム化合物の形成能の低い金属と、該第2被覆層に隣接する第1被覆層の構成元素との合金からなることが好ましい。更に本発明の非水電解液二次電池用負極のまた別の実施形態として、最上層が、リチウム化合物の形成能の低い金属と、該最上層と隣接する第2被覆層の構成元素との合金からなることが好ましい。これら2つの実施形態の場合には、電極の集電機能を維持しつつ、リチウムの吸脱蔵に起因する体積変化が緩和され、合金の微粉化が抑制されるという利点がある。
【0028】
上記の実施形態の電極は好ましくは次に述べる方法で製造される。先ず集電体表面に、スズ、スズ合金、アルミニウム又はアルミニウム合金を含む被覆層(A層という)、リチウム化合物の形成能の低い金属を含む被覆層(B層という)、上記A層と同種又は異種のA層およびリチウム化合物の形成能の低い金属を含む被覆層(C層という)を順次、電解又は乾式法による表面処理により析出させ、4層構造の多層被覆層を設ける。この状態を図5に示す。なお図5においては集電体は銅箔からなり、2つのA層はスズからなり、B層及びC層は銅からなっている。次に、この多層被覆層及び集電体からなる複合体を熱処理する。熱処理は各層を構成する元素を拡散させる目的で行われる。この目的のため、熱処理条件は120〜350℃で10分〜24時間、特に160〜250℃で10分〜6時間であることが好ましい。熱による元素の拡散は通常時間を要するものであるが、A層〜C層の厚みを薄くすることで、非常に短時間で元素を拡散させることができ、コストメリットが大きい。熱処理の雰囲気は窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガス雰囲気でもよく、或いは空気中でもよい。また10-1Torr以下の真空度の真空中でもよい。特に被覆層の過剰な酸化を防止する点から不活性ガス雰囲気中又は真空中であることが好ましい。
【0029】
所定時間の熱処理による元素拡散によって、上記実施形態の電極が得られる。図5に示す多層被覆層を用いて得られた本発明の電極の一例を図6に示す。図6においては、集電体に隣接して形成されたA層に由来するスズと、集電体及び/又はB層に由来する銅とを含むスズ−銅合金からなる第1被覆層が形成されている。なお、熱処理条件をコントロールすることで元素の拡散をコントロールできることから、第1被覆層においてはスズ及び銅の濃度を所望の値にコントロールできる。具体的には、第1被覆層はスズリッチのスズ−銅合金層となっている。第1被覆層の上には、B層に由来する銅と、二つのA層に由来するスズとを含むスズ−銅合金からなる第2被覆層が形成されている。第2被覆層は銅リッチとなっている。第2被覆層上には、上側のA層に由来するスズと、B層及びC層に由来する銅とを含むスズ−銅合金からなる第1被覆層が形成されている。第1被覆層はスズリッチとなっている。この第1被覆層上には、上側のA層に由来するスズと、C層に由来する銅とを含むスズ−銅合金からなる最上層が形成されている。最上層は銅リッチとなっている。
【0030】
なお図6においては、各層の境界は比較的明確に観察されるが、熱処理条件によっては元素の拡散に勾配が生じ、それに起因して各層の境界が明確ではない場合もある。例えば、図5に示す多層被覆層における各層の厚みや熱処理条件によっては、熱処理の結果得られる電極は、スズ−銅合金からなる第1被覆層と、銅リッチのスズ−銅合金からなる第2被覆層とから構成され、第1被覆層が銅リッチのスズ−銅合金の層とスズリッチのスズ−銅合金の層との2層構造となっている場合もある(後述する実施例参照)。
【0031】
次に本発明の非水電解液二次電池用負極の別の好ましい製造方法(製造方法A〜C)を、3層構造の負極の製造を例にとり説明する。
【0032】
<製造方法A>
製造方法Aの製造工程を図7に示す。製造方法Aでは、図7(a)のように、集電体2にスリット8を設ける。集電体が例えば銅箔からなる場合、この銅箔は電解等によって得られる。スリット8は、交差状に、かつ間隔が3mm以下となるように設けるのが望ましい。
【0033】
次に、図7(b)に示されるように、この集電体2の表面に、上記第1被覆層、上記第2被覆層及び上記第1被覆層をそれぞれ電解又は乾式法による表面処理により析出させた3層構造からなる多層被覆層5を設ける。
【0034】
そして、図7(c)に示されるように、得られた上記集電体及び上記多層被覆層からなる複合体に、外側方向への引張力Fを付与する。このことによって、図7(d)のごとく、多層被覆層5に1mm以下の間隔で直径2mm以下の空孔6を形成した非水電解液二次電池用負極が製造される。
【0035】
<製造方法B>
製造方法Bでは、集電体の上に、3層構造からなる多層被覆層を形成する。集電体が例えば銅箔からなる場合、銅含有溶液を電解してドラム上に集電体としての銅箔を析出させる。この電解工程においては、銅箔の表面処理、にかわ処理、防錆処理等を行うが、これと平行して電解により、上記集電体上に、上記第1被覆層、上記第2被覆層及び上記第1被覆層をそれぞれ電解又は乾式法による表面処理により析出させた3層構造からなる多層被覆層を設ける。
【0036】
次に、得られた上記集電体及び上記多層被覆層からなる複合体に、多層被覆層側からレーザー処理する。このことによって、多層被覆層に1mm以下の間隔で直径2mm以下の空孔を形成した非水電解液二次電池用負極が製造される。
【0037】
<製造方法C>
製造方法Cは、製造方法Bと同様に、集電体の上に、3層構造からなる多層被覆層を形成する。集電体が例えば銅箔からなる場合には、銅箔の電解工程において層構造からなる多層被覆層を形成する。
【0038】
次に、得られた上記集電体及び上記多層被覆層からなる複合体に、多層被覆層側からピンを用いて穿孔する。このことによって、多層被覆層に1mm以下の間隔で直径2mm以下の空孔を形成した非水電解液二次電池用負極が製造される。
【0039】
上記製造方法A〜Cでは、上記のようにして空孔を形成する処理の前後に、上記複合体の多層被覆層側からプレス又はロール圧延処理を施してもよい。これによって、上記第2被覆層には、上記第1被覆層の界面において、2mm以下の間隔で、ランダム、かつ微細な破断部が形成される。また、後述する実施例からも明らかなように、このプレス又はロール圧延処理は、上記空孔を設けない場合にも行ってもよい。
【0040】
上記製造方法A〜Cでは、上記のようにして空孔を形成する処理の前後に、上記集電体及び3層構造からなる上記多層被覆層を具備する複合体に対して上述した熱処理が施されていることも望ましい。熱処理条件は上述した通りである。複合体に熱処理を施すことの利点は前述した通りである。
【0041】
上記した本発明の製造方法では、集電体として例えば銅箔を用いると、従来より用いられている電解銅箔の製造設備をそのまま使用することもできる。従って、上記負極を安価に、かつ簡便に製造することができる。また、集電体及び多層被覆層を一連の工程で製造できるので、集電体や第2被覆層を構成する銅の表面に酸化被膜が形成されることがないので、スズ等の第1被覆層が割れても、酸化していない銅とスズ等が強固に結合し、例えばCu−Sn合金界面がスズ等の剥離、脱落を防止する。
【0042】
次に、本発明の非水電解液二次電池について説明する。本発明の非水電解液二次電池は、基本構造として、負極、正極、セパレータ、非水系電解液を含んでおり、負極としては上記のように本発明の負極を使用するが、他の正極、セパレータ、非水電解液については特に制限されず、従来よりリチウム二次電池等の非水電解液二次電池に公知のものが使用される。
【0043】
正極は、正極活物質、必要により導電剤及び結着剤を適当な溶媒に懸濁し、正極合剤を作製し、これを集電体に塗布、乾燥した後、ロール圧延、プレスし、さらに裁断、打ち抜きすることにより得られる。
【0044】
正極活物質としては、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムマンガン複合酸化物、リチウムコバルト複合酸化物等の従来公知の正極活物質が用いられる。
【0045】
また、正極に用いられる導電剤としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、グラファイト等が用いられる。結着剤としては、スチレンブタジエンゴム、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、フッ素系ポリマー、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等が用いられる。また、溶媒としてはN−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド等が使用される。また、集電体としてはアルミニウム又はアルミニウム合金が好ましく用いられる。
【0046】
セパレーターとしては、合成樹脂製不織布、ポリエチレン又はポリプロピレン多孔質フイルム等が好ましく用いられる。
【0047】
非水電解液は、リチウム二次電池の場合、一般的な非水電解液は、支持電解質であるリチウム塩を有機溶媒に溶解した溶液からなる。リチウム塩としては、例えば、LiC1O4、LiA1Cl4、LiPF6、LiAsF6、LiSbF6、LiSCN、LiC1、LiBr、LiI、LiCF3SO3、LiC49SO3等が例示され、特にLiPF6を含む電解質が好ましい。
【0048】
有機溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の環状カーボネート類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状カーボネート類;ギ酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル等の脂肪族カルボン酸エステル類;γ−ブチロラクトン等のγ−ラクトン類;1,2−ジメトキシエタン等の鎖状エーテル類;テトラヒドロフラン等の環状エーテル類;その他ジメチルスルホキシド、ジオキソラン類、アミド類、ニトリル類、スルホラン類等の各種の非プロトン性溶媒を使用することが好ましい。特に、環状カーボネートと鎖状カーボネートとの混合系、及びこれにさらに脂肪族カルボン酸エステルを混合した系が好ましく用いられ、とりわけエチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートとの混合溶媒が好ましい。
【0049】
非水電解液二次電池の形状は特に制限されず、円筒型、角形、コイン型、ボタン型等のいずれでもよい。本発明の非水電解液二次電池は、例えば携帯情報端末、携帯電子機器、自動車の用途に好適に用いることができる。
【0050】
【実施例】
以下、実施例等に基づき本発明を具体的に説明する
【0051】
〔比較例1〕
集電体として用いられる厚さ12μmの電解銅箔に、スズからなる第1被覆層を電解により厚さ2μm析出させ、非水電解液二次電池用負極とした。
【0052】
〔実施例1〕
集電体として用いられる厚さ30μmの電解銅箔に、1mm間隔で交差状のスリットを設けた。次に、スズからなる第1被覆層を電解により厚さ2μm析出させた。続いて銅からなる第2被覆層を電解により厚さ1μm析出させた。最後にスズからなる第1被覆層を電解により厚さ2μm析出させ、多層被覆層を形成した。
【0053】
得られた上記集電体及び上記多層被覆層からなる複合体に、外側方向への引張力を付与した。このことによって、多層被覆層に0.1mmの間隔で直径0.05mmの空孔を形成した非水電解液二次電池用負極を製造した。
【0054】
〔実施例2〕
集電体として用いられる厚さ12μmの電解銅箔に、スズからなる第1被覆層を電解により厚さ2μm析出させた。続いて銅からなる第2被覆層を電解により厚さ1μm析出させた。最後にスズからなる第1被覆層を電解により厚さ2μm析出させ、多層被覆層を形成した。
【0055】
得られた上記集電体及び上記多層被覆層からなる複合体に、多層被覆層側からレーザー処理を行った。このことによって、多層被覆層に0.1mmの間隔で直径0.05mmの空孔を形成した非水電解液二次電池用負極を製造した。
【0056】
〔実施例3〕
集電体として用いられる厚さ12μmの電解銅箔に、スズからなる第1被覆層を電解により厚さ2μm析出させた。続いて銅からなる第2被覆層を電解により厚さ1μm析出させた。最後にスズからなる第1被覆層を電解により厚さ2μm析出させ、多層被覆層を形成した。
【0057】
得られた上記集電体及び上記多層被覆層からなる複合体に、多層被覆層側からピンを用いて穿孔した。このことによって、多層被覆層に0.1mmの間隔で直径0.5mmの空孔を形成した非水電解液二次電池用負極を製造した。
【0058】
〔実施例4〜6〕
実施例1〜3において、多層被覆層に空孔を形成した後、複合体の多層被覆層をロール圧延し、第2被覆層の第1被覆層との界面において、0.1mmの間隔でランダム、かつ微細な破断部を設け、非水電解液二次電池用負極とした。
【0059】
〔実施例7〕
多層被覆層を5層構造(第1被覆層+第2被覆層+第1被覆層+第2被覆層+第1被覆層)とした以外は、実施例1と同様にして非水電解液二次電池用負極を製造した。
【0060】
〔実施例8〕
多層被覆層に空孔を形成する前に、集電体及び多層被覆層からなる集電体に、200℃、3時間熱処理を施した以外は、実施例6と同様にして非水電解液二次電池用負極を製造した。
【0061】
〔実施例9〕
集電体として用いられる厚さ12μmの電解銅箔に、スズからなる第1被覆層を電解により厚さ2μm析出させた。続いて銅からなる第二被覆層を電解により0.02μm析出させ非水電解液二次電池用負極を製造した。
【0062】
〔実施例10〕
集電体として用いられる厚さ12μmの電解銅箔に、スズからなる第1被覆層を電解により厚さ2μm析出させた。続いて銅からなる第2被覆層を電解により厚さ1μm析出させた。最後にスズからなる第1被覆層を電解により厚さ2μm析出させ、多層被覆層を形成し、非水電解液二次電池用負極を製造した。
【0063】
〔実施例11〕
集電体として用いられる厚さ12μmの電解銅箔に、スズからなる第1被覆層を電解により厚さ2μm析出させた。続いてニッケルからなる第2被覆層を電解により厚さ1μm析出させた。最後にスズからなる第1被覆層を電解により厚さ2μm析出させ、多層被覆層を形成した。次いで多層被覆層をロール圧延し、第2被覆層の第1被覆層との界面において、0.1mmの間隔でランダム、かつ微細な破断部を設け、非水電解液二次電池用負極を製造した。
【0064】
〔実施例12〕
第2被覆層としてニッケルに代えて銅を用いる以外は実施例11と同様にして非水電解液二次電池用負極を製造した。
【0065】
〔実施例13〕
集電体として用いられる厚さ12μmの電解銅箔に、スズからなる第1被覆層を電解により厚さ2μm析出させた。続いて銅からなる第2被覆層を電解により厚さ1μm析出させた。その上に、スズからなる第1被覆層を電解により厚さ2μm析出させた。最後に、銅からなる被覆層を電解により厚さ0.02μm析出させ、多層被覆層を形成し、非水電解液二次電池用負極を製造した。
【0066】
〔実施例14〕
実施例13において、4層構造の多層被覆層を形成した後、該多層被覆層をロール圧延し、第2被覆層の第1被覆層との界面において、0.1mmの間隔でランダム、かつ微細な破断部を設ける以外は実施例13と同様にして非水電解液二次電池用負極を製造した。
【0067】
〔実施例15〕
実施例13において、銅からなる最上層の被覆層の厚みを0.05μmとする以外は実施例13と同様にして非水電解液二次電池用負極を製造した。
【0068】
〔実施例16〕
実施例15において、4層構造の多層被覆層を形成した後、該多層被覆層をロール圧延し、第2被覆層の第1被覆層との界面において、0.1mmの間隔でランダム、かつ微細な破断部を設ける以外は実施例15と同様にして非水電解液二次電池用負極を製造した。
【0069】
〔実施例17〕
集電体として用いられる厚さ12μmの電解銅箔に、スズからなる被覆層を電解により厚さ2μm析出させた。続いて銅からなる被覆層を電解により厚さ2μm析出させた。次にスズからなる被覆層を電解により厚さ2μm析出させた。最後に銅からなる被覆層を電解により厚さ0.05μm析出させ、多層被覆層を形成した。次に、この多層被覆層及び集電体からなる複合体を、アルゴン雰囲気下、200℃で1時間熱処理した。このようにして得られた負極は、電子顕微鏡観察の結果、スズ−銅合金からなる第1被覆層と、銅リッチのスズ−銅合金からなる第2被覆層とから構成されていた。第1被覆層は、銅リッチのスズ−銅合金の層上にスズリッチのスズ−銅合金の層が形成されている2層構造となっていた。
【0070】
〔実施例18〕
集電体として用いられる厚さ12μmの電解銅箔に、スズからなる被覆層を電解により厚さ4μm析出させた。続いて銅からなる被覆層を電解により厚さ4μm析出させ、多層被覆層を形成した。次に、この多層被覆層及び集電体からなる複合体を、アルゴン雰囲気下、200℃で3時間熱処理した。このようにして得られた負極は、電子顕微鏡観察の結果、スズ−銅合金からなる第1被覆層と、ほぼ銅からなり、スズ−銅合金を一部含む第2被覆層とから構成されていた。第1被覆層は、スズリッチのスズ−銅合金の層上に銅リッチのスズ−銅合金の層が形成されている2層構造となっていた。
【0071】
〔実施例19〕
集電体として用いられる厚さ12μmの電解銅箔に、スズからなる被覆層を電解により厚さ2μm析出させた。続いて銅からなる被覆層を電解により厚さ2μm析出させた。次にスズからなる被覆層を電解により厚さ2μm析出させた。最後に銅からなる被覆層を電解により厚さ2μm析出させ、多層被覆層を形成した。次に、この多層被覆層及び集電体からなる複合体を、アルゴン雰囲気下、200℃で1時間熱処理した。このようにして得られた負極は、電子顕微鏡観察の結果、スズ−銅合金からなる第1被覆層と、銅リッチのスズ−銅合金からなる第2被覆層とから構成されていた。第1被覆層は、銅リッチのスズ−銅合金の層上にスズリッチのスズ−銅合金の層が形成されている2層構造となっていた。
【0072】
〔実施例20〕
集電体として用いられる厚さ12μmの電解銅箔に、スズからなる被覆層を電解により厚さ2μm析出させた。続いて銅からなる被覆層を電解により厚さ2μm析出させた。次にスズからなる被覆層を電解により厚さ2μm析出させた。最後に銅からなる被覆層を電解により厚さ5μm析出させ、多層被覆層を形成した。次に、この多層被覆層及び集電体からなる複合体を、アルゴン雰囲気下、200℃で1時間熱処理した。このようにして得られた負極は、電子顕微鏡観察の結果、スズ−銅合金からなる第1被覆層と、銅リッチのスズ−銅合金からなる第2被覆層とから構成されていた。第1被覆層は、銅リッチのスズ−銅合金の層上にスズリッチのスズ−銅合金の層が形成されている2層構造となっていた。
【0073】
〔実施例21〕
集電体として用いられる厚さ12μmの電解銅箔に、スズからなる被覆層を電解により厚さ1μm析出させた。続いて銅からなる被覆層を電解により厚さ1μm析出させた。次にスズからなる被覆層を電解により厚さ1μm析出させた。最後に銅からなる被覆層を電解により厚さ1μm析出させ、多層被覆層を形成した。次に、この多層被覆層及び集電体からなる複合体を、アルゴン雰囲気下、200℃で30分間熱処理した。このようにして得られた負極は、電子顕微鏡観察の結果、スズ−銅合金からなる第1被覆層と、銅リッチのスズ−銅合金からなる第2被覆層とから構成されていた。第1被覆層は、銅リッチのスズ−銅合金の層上にスズリッチのスズ−銅合金の層が形成されている2層構造となっていた。
【0074】
〔実施例22〕
集電体として用いられる厚さ12μmの電解銅箔に、スズからなる被覆層を電解により厚さ2μm析出させた。続いて銅からなる被覆層を電解により厚さ2μm析出させた。次にスズからなる被覆層を電解により厚さ2μm析出させた。最後にニッケルからなる被覆層を電解により厚さ2μm析出させ、多層被覆層を形成した。次に、この多層被覆層及び集電体からなる複合体を、アルゴン雰囲気下、200℃で1時間熱処理した。このようにして得られた負極は、電子顕微鏡観察の結果、スズ−銅合金からなる第1被覆層と、ニッケルリッチのスズ−ニッケル合金からなる第2被覆層とから構成されていた。第1被覆層は、銅リッチのスズ−銅合金の層上にスズリッチのスズ−銅合金の層が形成されている2層構造となっていた。
【0075】
〔実施例23〕
集電体として用いられる厚さ12μmの電解銅箔に、スズからなる被覆層を電解により厚さ2μm析出させた。続いて銅からなる被覆層を電解により厚さ2μm析出させた。次にスズからなる被覆層を電解により厚さ2μm析出させた。最後にクロムからなる被覆層を電解により厚さ2μm析出させ、多層被覆層を形成した。次に、この多層被覆層及び集電体からなる複合体を、アルゴン雰囲気下、200℃で1時間熱処理した。このようにして得られた負極は、電子顕微鏡観察の結果、スズ−銅合金からなる第1被覆層と、クロムリッチのスズ−クロム合金からなる第2被覆層とから構成されていた。第1被覆層は、銅リッチのスズ−銅合金の層上にスズリッチのスズ−銅合金の層が形成されている2層構造となっていた。
【0076】
〔実施例24〕
集電体として用いられる厚さ12μmの電解銅箔に、スズからなる被覆層を電解により厚さ4μm析出させた。続いて銅からなる被覆層を電解により厚さ4μm析出させた。次にスズからなる被覆層を電解により厚さ4μm析出させた。最後に銅からなる被覆層を電解により厚さ4μm析出させ、多層被覆層を形成した。次に、この多層被覆層及び集電体からなる複合体を、アルゴン雰囲気下、200℃で1時間熱処理した。このようにして得られた負極は、電子顕微鏡観察の結果、スズ−銅合金からなる第1被覆層と、銅リッチのスズ−銅合金からなる第2被覆層とから構成されていた。第1被覆層は、銅リッチのスズ−銅合金の層上にスズリッチのスズ−銅合金の層が形成されている2層構造となっていた。
【0077】
実施例1〜24及び比較例1で得られた負極を用いて下記の通り非水電解液二次電池を作成した。そして、下記に準拠して、不可逆容量(%)、初期容量(mAh/g)、10〜20∞及び100〜200∞の劣化率(%)を評価した。結果を表1及び表2に示す。充放電条件は、電流密度005mA/cm2、電圧範囲0〜1.5Vである。尚、実施例9〜16の負極について、充放電の後にSEMによる組成像観察を行った結果、第2被覆層が断続的に形成されていたことが確認された。
【0078】
<非水電解液二次電池の作成>
負極として上記した多層構造を有する銅箔用い、陽極(対極)として金属リチウムを用いてセパレーターを介して対向させ、非水電解液としてLiPF6/エチレンカーボネートとジエチルカーボネートの混合溶液(1:1容量比)を用いて通常の方法によって非水電解液二次電池を作成した。
【0079】
(不可逆容量)
〔1−(初回放電容量/初回充電容量)〕×100
すなわち、充電したが放電できず、活物質に残存した容量を示す。
【0080】
(初期容量)
第1被覆層及び第2被覆層を含めた活物質当たりの初回の放電容量を示す。
【0081】
(劣化率)
(1)劣化率(10−20∞)
10サイクル目の容量を基準とする。10−20サイクルの10サイクルの間において、1サイクル当たり、10サイクル目の容量に対して何%の劣化があったのかを示す。
(2)劣化率(100−200∞)
10サイクル目の容量を基準とする。100−200サイクルの100サイクルの間において、1サイクル当たり、10サイクル目の容量に対して何%の劣化があったのかを示す。
【0082】
【表1】
Figure 0003664402
【0083】
【表2】
Figure 0003664402
【0084】
【発明の効果】
本発明の非水電解液二次電池用負極は、電極の長寿命化が達成でき、かつ単位体積及び単位重量当たりのエネルギー密度を飛躍的に向上する。このため、上記負極を用いた非水電解液二次電池は、高容量で、優れた充放電特性及びサイクル寿命特性を有する。また、本発明の製造方法によって、上記負極が従来の既存設備を利用して安価に、かつ簡便に製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の非水電解液二次電池用負極の一例の断面を示す走査型電子顕微鏡による組成像である。
【図2】図2は、本発明の非水電解液二次電池用負極の他の例の断面を示す走査型電子顕微鏡による組成像である。
【図3】図3は、本発明の非水電解液二次電池用負極の一例を模式的に示す断面図である。
【図4】図4は、本発明の非水電解液二次電池用負極の他の例を模式的に示す断面図である。
【図5】図5は、熱処理前の多層被覆層の断面を示す走査型電子顕微鏡像である。
【図6】図6は、熱処理によって得られた本発明の非水電解液二次電池用負極の断面を示す走査型電子顕微鏡像である。
【図7】図7は、本発明の製造方法(製造方法A)の一例を示す工程図である。
【符号の説明】
1:非水電解液二次電池
2:集電体(銅箔)
3:第1被覆層
4:第2被覆層
5:多層被覆層
6:空孔
7:破断部
8:スリット
F:引張力

Claims (13)

  1. 集電体表面に、スズ、スズ合金、アルミニウム又はアルミニウム合金を含む第1被覆層が連続的に形成され、次に該第1被覆層の上に、リチウム化合物の形成能の低い金属を含む第2被覆層が形成され、該第2被覆層の上に、該第1被覆層と同種又は異種の第1被覆層が更に形成されている3層構造の多層被覆層を有し、第2被覆層が第1被覆層上を断続的に被覆していることを特徴とする非水電解液二次電池用負極。
  2. 上記3層の被覆層を貫通する直径0.05〜0.5mmの空孔が0.1〜1mmの間隔で形成されている請求項1記載の非水電解液二次電池用負極。
  3. 上記空孔がレーザー処理により形成されている請求項記載の非水電解液二次電池用負極。
  4. 上記第1被覆層の厚さが0.5〜50μmである請求項1〜の何れかに記載の非水電解液二次電池用負極。
  5. 上記第2被覆層の厚さが0.02〜50μmである請求項1〜4の何れかに記載の非水電解液二次電池用負極。
  6. 上記3層構造の上に、上記第2被覆層及び上記第1被覆層とそれぞれ同種又は異種の第2被覆層及び第1被覆層をこの順で1組とした1組以上の被覆層が更に形成されており、これらの被覆層に上記空孔が存在している請求項2〜5の何れかに記載の非水電解液二次電池用負極。
  7. 最上層として、リチウム化合物の形成能の低い金属を含む被覆層が更に形成されている請求項1〜6の何れかに記載の非水電解液二次電池用負極。
  8. 上記最上層の厚みが0.01〜20μmである請求項記載の非水電解液二次電池用負極。
  9. 上記リチウム化合物の形成能の低い金属が銅、鉄、コバルト、クロム又はニッケルである請求項1〜8の何れかに記載の非水電解液二次電池用負極。
  10. 上記第1被覆層が、スズ又はアルミニウムと、上記第2被覆層の構成元素及び/又は上記集電体の構成元素との合金からなる請求項1〜9の何れかに記載の非水電解液二次電池用負極。
  11. 上記第2被覆層が、銅、鉄、コバルト、クロム若しくはニッケルからなるか、又は銅、鉄、コバルト、クロム若しくはニッケルと、該第2被覆層に隣接する第1被覆層の構成元素との合金からなる請求項1〜10の何れかに記載の非水電解液二次電池用負極。
  12. 上記最上層が、銅、鉄、コバルト、クロム若しくはニッケルからなるか、又は銅、鉄、コバルト、クロム若しくはニッケルと、該最上層と隣接する第1被覆層の構成元素との合金からなる請求項記載の非水電解液二次電池用負極。
  13. 請求項1〜12の何れかに記載の負極を用いた非水電解液二次電池。
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