JP3664286B2 - 血液濾過ユニット - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は全血から血漿または血清試料を調製する際に使用される血液濾過ユニットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
血液中の構成成分例えば代謝産物、蛋白質、脂質、電解質、酵素、抗原、抗体などの種類や濃度の測定は通常全血を遠心分離して得られる血漿または血清を検体として行われている。ところが、遠心分離は手間と時間がかかる。特に少数の検体を急いで処理したいときや、現場検査などには、電気を動力とし、遠心分離機を必要とする遠心法は不向きである。そこで、濾過により全血から血漿を分離する方法が検討されてきた。
【0003】
この濾過方法には、3〜6枚のガラス繊維濾紙をカラムに充填し、カラムの一方から全血を注入し、加圧や減圧を行なって他方から血漿や血清を得るいくつかの方法が公知化されている(特公昭44−14673号公報、特開平2−208565号公報、特開平4−208856号公報、特公平5−52463号公報等)。
【0004】
しかし、全血から濾過により自動分析等による測定に必要な量の血漿または血清を得る方法に関しては血糖など一部の項目を除いては、いまだ試行の段階にあり、広く実用化されるに至っていない。
【0005】
そこで、本発明者らは先に、微量な血液であっても血漿や血清を効率よく分離しうる血液濾過ユニットとして、濾材にガラス繊維濾紙と微多孔性膜を組み合わせるとともに濾材の血漿出口側にシール部材を設けて濾過材料の開口面積を狭めた血液濾過ユニットを完成し、これを特許出願した(特願平8−7692号)。
【0006】
また、その吸引側に血漿受槽を設けたものも既に開発した(特願平8−91621号)。
【0007】
しかしながら、血漿受槽を取外せるようにした構造のものはまだ開発されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
血液濾過器で濾過して得た血漿は一旦それを保存するサンプル管等の容器に保存され、必要量がアナライザーに注加されるがその操作が煩瑣であった。
【0009】
一方、本発明者が先に開発した、血漿受槽を設けた血液濾過ユニットは一旦サンプル管に移す手間は省けるがアナライザーの容器に注加する手間は依然として残っていた。しかも、臨床検査においては一般に再測定できるよう検体はしばらく保存されるが、この血漿受槽を設けた血液濾過ユニットは嵩張りしかも安定性が悪いため倒さないよう細心の注意を払う必要がある等の不便さがあった。
【0010】
本発明の目的は、血液を濾過して得た血漿をそのままアナライザーにかけて分析でき、しかも血漿の保存も容易な血液濾過ユニットを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するべく鋭意検討の結果、先に開発した血漿受槽を組込んだ血液濾過ユニットをさらに発展させて、血漿受槽を取外し可能にし、これをアナライザーのサンプル容器や再検査用の保存容器として使用しうるようにすることによって前記目的を達成することができた。
【0012】
すなわち、本発明は、血液濾過材料と、これを収容し下面には血液入口を上面には中心部を外して血漿出口を有するホルダーと、濾過されて血漿出口から流下する血漿を受けるカップ状血漿受槽からなり、該血漿受槽がホルダーと別体であって該ホルダーの上面に取外し可能に掛合、嵌合等により固定されていることを特徴とする血液濾過ユニットに関するものである。
【0013】
上記の血液濾過ユニットにおいて、ホルダーの血漿出口側の血液濾過材料対向面と血液濾過材料との間に空間を設けてホルダーの血漿出口側の対向面と血液濾過材料を離隔させることにより血漿受槽の別体化がより容易になることを見出した。すなわち、この離隔により濾過された血漿の吐出勢いを強めることができ、ホルダーと血漿受槽の間隙への血漿の流下汚染を減少させうることを見出した。
【0014】
【発明の実施の形態】
血液濾過材料は、前記従来技術のもの、その他公知の如何なるものでも使用できるが、ガラス繊維と微多孔性膜を組合せたものが好ましい。
【0015】
ガラス繊維濾紙は密度が0.02〜0.5程度、好ましくは0.02〜0.3程度、特に好ましくは0.02〜0.2程度で、保留粒子径が0.8〜9μm程度、特に1〜5μm程度のものが好ましい。ガラス繊維の表面を、特開平2−208565号公報、同4−208856号公報に記載された様な方法で、親水性高分子で処理することによって濾過をより速やかに円滑に行なうことができる。また、ガラス繊維の表面をレクチンで処理することもできる。ガラス繊維濾紙は複数枚と積層して用いることができる。
【0016】
表面を親水化されており血球分離能を有する微多孔性膜は、実質的に分析値に影響を与える程には溶血することなく、全血から血球と血漿を特異的に分離するものである。この微多孔性膜は孔径がガラス繊維濾紙の保留粒子径より小さくかつ0.2μm以上、好ましくは0.3〜5μm程度、より好ましくは0.5〜3μm程度のものが適当である。また、空隙率は高いものが好ましく、具体的には、空隙率が約40%から約95%、好ましくは約50%から約95%、さらに好ましくは約70%から約95%の範囲のものが適当である。微多孔性膜の例としてはポリスルホン膜、弗素含有ポリマー膜等がある。
【0017】
その他の微多孔性膜としては、非繊維微多孔性膜である特公昭53−21677号、米国特許1, 421,341号等に記載されたセルロースエステル類、例えば、セルロースアセテート、セルロースアセテート/ブチレート、硝酸セルロースからなるブラッシュポリマー膜が好ましい。6−ナイロン、6,6−ナイロン等のポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン等の微多孔性膜でもよい。その他、特公昭53−21677号、特開昭55−90859号等に記載された、ポリマー小粒子、ガラス粒子、けい藻土等が親水性または非吸水性ポリマーで結合された連続空隙をもつ多孔性膜も利用できる。
【0018】
非繊維微多孔性膜の有効孔径は0.2〜10μm、好ましくは0.3〜5μm、特に有効なのは0.5〜3μmである。本発明で非繊維微多孔性膜の有効孔径は、ASTM F316−70に準拠した限界泡圧法(バブルポイント法)により測定した孔径で示す。非繊維微多孔性膜が相分離法により作られたいわゆるブラッシュ・ポリマーから成るメンブランフィルターである場合、厚さ方向の液体通過経路は、膜の製造の際の自由表面側(即ち光沢面)で最も狭くなっているのが普通で、液体通過経路の断面を円に近似したときの孔径は、自由表面の近くで最も小さくなっている。容積の通過経路における厚さ方向に関する最小孔径は、さらにフィルターの面方向について分布を持っており、その最大値が粒子に対する濾過性能を決定する。通常、それは限界泡圧法で測定される。
【0019】
上に述べたように、相分離法により作られたいわゆるブラッシュ・ポリマーから成るメンブランフィルターでは、厚さ方向の液体通過経路は膜の製造の際の自由表面側(即ち光沢面)で最も狭くなっている。本発明の分析素子の非繊維微多孔性膜としてこの種の膜を用いる場合には、出口側を、メンブランフィルターの光沢面とすることが好ましい。
【0020】
本発明で使用される血液濾過材料には、ガラス繊維濾紙と微多孔性膜に加えて第3の濾過材料を追加することができる。この第3の濾過材料の例としては、濾紙、不織布、織物生地(例えば平織生地)、編物生地(例えば、トリコット編)等、繊維質多孔性層を挙げることができる。これらのうち織物、編物等が好ましい。織物等は特開昭57−66359号に記載されたようなグロー放電処理をしてもよい。この第3の濾過材料はガラス繊維濾紙と微多孔性膜の中間に配置することが好ましい。
【0021】
好ましい微多孔性膜はポリスルホン膜、酢酸セルローズ膜等であり、特に好ましいのはポリスルホン膜である。本発明の血液濾過材料においてはガラス繊維濾紙が血液供給側に配置され、微多孔性膜が吸引側に配置される。最も好ましい血液濾過材料は血液供給側からガラス繊維濾紙、セルロース濾紙、ポリスルホン膜をこの順に積層した積層体である。
【0022】
本発明で用いられる濾過材料は特開昭62−138756〜8号公報、特開平2−105043号公報、特開平3−16651号公報等に開示された方法に従って各層を部分的に配置された接着剤で接着して一体化することができる。
【0023】
本発明の濾過材料では、その表面のみで血球をトラップする訳ではなく、ガラス繊維濾紙の厚さ方向に浸透するに従って、初めは大きな血球成分、後には小さな血球成分と徐々に空隙構造にからめ、厚さ方向に全長にわたって血球を留め除去していく、いわゆる体積濾過作用によるものと理解される。
【0024】
本方式により濾過し得る全血の量は、ガラス繊維濾紙中に存在する空間体積と全血中の血球の体積に大きく影響される。ガラス繊維濾紙の密度が高い(粒子保持孔径が小さい)と赤血球がガラス繊維濾紙の表面近傍にトラップされるので、表面からごく浅い領域でガラス繊維濾紙中の空間が閉塞状態になってしまうことが多い。従って、それ以上の濾過が進まず、結果として濾過、回収し得る血漿量も少なくなる。この際、回収血漿量を増やそうとして更に強い条件で加圧すると、血球の破壊、すなわち溶血が起きてしまう。つまり表面濾過に近いプロセスとなり、濾紙の空間体積利用効率は低い。
【0025】
これに対し、ガラス繊維濾紙の密度を低くすると、血球は濾紙の深部(出口に近い領域)まで浸透していき血漿が通過できる空間が増すので、濾紙全体の空間体積が有効に利用され、回収される血漿の量も多くなる。
【0026】
空間体積あるいは血漿濾過量に対応する指標として、透水速度が有効である。透水速度は、入口と出口をチューブに接続できるように絞った濾過ユニット中に一定面積のガラス繊維濾紙を密閉保持し、一定量の水を加えて一定圧力で加圧または減圧したときの、単位面積あたりの濾過量を速度で表したものであり、ml/sec等の単位を持つ。
【0027】
具体例としては、濾過ユニット中に直径20mmのガラス繊維濾紙をセットし、その上に100mlの注射筒をたてて60mlの水を入れて自然流下させ、開始後10秒と40秒の間の30秒間にガラス濾紙中を通り抜けた水の量をもって透水量とし、これから単位面積あたりの透水速度を算出する。
【0028】
血漿の濾過に特に適しているのは透水速度が1.0〜1.3ml/sec程度のもので、例えば、ワットマン社GF/D、東洋濾紙GA−100、同GA−200等がある。さらに、市販のガラス繊維濾紙を熱水中で再分散してナイロンネット上で再抄紙して低密度濾紙(密度約0.03)を作製することもでき、これは良好な血漿濾過特性を示す。
【0029】
ガラス繊維濾紙の厚さは、回収すべき血漿量とガラス繊維濾紙の密度(空隙率)及び面積から定められる。分析を乾式分析素子を用いて複数項目行なう場合の血漿の必要量は100〜500μlであり、ガラス繊維濾紙の密度が0.02〜0.2程度、面積が1〜5cm2程度が実用的である。この場合ガラス繊維濾紙の厚さは1〜10mm程度、好ましくは2〜8mm程度、より好ましくは4〜6mm程度である。このガラス繊維濾紙は、例えば1〜10枚程度、好ましくは2〜6枚程度を積層して上記厚さとすることができる。
【0030】
微多孔性膜の厚さは50〜500μm程度、特に100〜200μm程度でよく、通常は1枚の微多孔性膜を用いればよい。しかしながら、必要により複数枚を用いることもできる。
【0031】
ホルダーは血液濾過材料を収容するものであって、血液入口と血漿出口(濾過液出口)が設けられているものである。このホルダーは、一般に血液濾過材料を収容する本体と、蓋体に分けた態様で作製される。通常は、いずれにも少なくとも1個の開口が設けられていて、一方は血液入口として、場合により更に加圧口として、他方は濾過された血漿(または血清)出口として、場合により更に吸引口としても使用される。吸引口を別に設けることもできる。ホルダーが四角形で蓋体を側面に設けた場合には血液入口と血漿出口の両方を本体に設けることができる。
【0032】
血液濾過材料収納部の容積は、収納すべきろ過材料の乾燥状態および検体(全血)を吸収し膨潤した時の総体積より大きい必要がある。ろ過材料の総体積に対して収納部の容積が小さいと、ろ過が効率良く進行しなかったり、溶血を起こしたりする。収納部の容積のろ過材料の乾燥時の総体積に対する比率はろ過材料の膨潤の程度にもよるが、通常101%〜200%、好ましくは110%〜150%、更に好ましくは120%〜140%である。
【0033】
また、ろ過材料と収納部の側壁面との間は密着していることが必要であり、全血を吸引した時にろ過材料を経由しない流路が出来ないように構成されている必要があることは勿論である。
【0034】
本発明の血液濾過ユニットは、ホルダーの血漿出口側の血液濾過材料対向面に血液濾過材料、通常は微多孔性膜の密着を阻止する手段を設けることが好ましい。この手段は濾過が血液濾過材料の全面にわたって行なわれるよう血液濾過材料をホルダーの対向面から離しておくものであり、例えば対向面の略全面を凹面にするとか、対向面に複数、1cm2当り1〜100個程度、通常1〜5個程度の突起を設けるとか、スペーサー、例えばメッシュ(液体が面方向に移動可能なもの)を介在させるとかする。凹面はロート状、階段状等でよいが、血漿出口通路の入口が最も深くなるようにすることが好ましい。
【0035】
ホルダーの血漿出口側の対向面に血液濾過材料を密着させて、(1)血漿出口通路の入口を対向面の中心に設けたもの、(2)周縁部近傍に設けたもの、(3)階段状凹所(深さ1mm)を設けて中心から吸引するようにしたもの、(4)(3)において血漿出口通路の入口を周縁部近傍に設けたものの4つのホルダーを作製して血漿回収量を測定したところ(1)が50μl、(2)が40μl、(3)が243μl、(4)が330μlであった。
【0036】
突起の形状は円柱状、角柱状、円錐状、角錐状、円錐台状、角錐台状、キノコ形、不定形状等任意の形状をとることができる。突起の先端は平ら又は円頭状とすることが好ましい。突起の先端は吸引時に全突起の血液濾過材料への接触面積が血液濾過材料の表面積の1〜50%程度、好ましくは5〜20%程度になるようにするのがよい。本発明の血液濾過ユニットで濾過される血液は少量であるのでこの密着阻止手段によって形成される血液濾過材料とホルダーの対向面との間の空間部の体積(血液濾過時)は10〜500μl程度、好ましくは50〜200μl程度になるようにするのがよい。ホルダーの対向面は濾過液である血漿が排出されやすいよう傾斜面(ロート状面)とすることが好ましい。
【0037】
ホルダーの血漿出口側には濾過された血漿を受ける血漿受槽を設ける。この受槽は、少なくともホルダーの中心方向からアナライザーが血漿を吸引できるようにすることがアナライザーの設計上好ましく、その結果、血漿受槽への通路はホルダーの中心を外して設けることになる。この通路を受槽の縁部近傍に設けることによって成形がしやすくなり、また血漿の粘度が低いときでも血漿が吸引ダクトに入るトラブルを防ぐことができる。ヘマトクリット値の小さい血液の場合は吸引により血漿が通路から噴出することがあるので通路の出口には噴出を阻止する邪魔部材、例えば庇を形成することが好ましい。血漿受槽はアナライザーの吸引ノズルが吸引しやすいよう底面を傾斜面、例えば逆円錐状にするのがよい。また、回収血漿量はヘマトクリット値によってかなりバラツクのでオーバーフロー構造を持つようにすることが好ましい。
【0038】
容積は10μl〜2ml程度でよい。
【0039】
本発明の血液濾過ユニットは、この血漿受槽をホルダーと別体とし、ホルダーから取外し可能に構成したところに特徴がある。血漿受槽のホルダーへの結合手段はワンタッチで着脱できるようにすることが好ましく、そのためホルダーへの血漿受槽の結合は掛合や嵌合などによることが好ましい。脱着方向は上方向、横方向、少し上方に回動させる等を採りうる。
【0040】
吸引口は吸引キャップを装着したときに吸引を阻害するような間隙が残らないようにすることはいうまでもなく、これは図4〜5に示すように吸引口が血漿受槽とそこへ血漿を投入する血漿通路の複合構造になっている場合には特に重要である。
【0041】
次に、ホルダーの血液入口側の空間の効果を調べるために次の実験を行なった。
【0042】
[濾過ホルダーの底面の形と回収血漿量]
1)濾過ホルダーの底面の構造と濾過ユニットの組み立て濾過ホルダー中に、ガラス濾紙を組み込む時に一番下になる血液が吸引された時、最初に接触する濾紙の下側の部分の濾過ホルダーの構造について3種類を検討した。
【0043】
▲1▼ 底面が平らであって血液が吸収され直ちに濾紙に接触する構造のもの。
▲2▼ 底面がロート状に削り取られていて吸引された血液がある程度の面積に広げられてから濾紙に接触する構造のもの。
▲3▼ 底面と濾紙との間にスペーサ(厚さ1mm)があって、吸引された血液が濾過ホルダーの底面で一度貯溜され、更に吸引されることにより水位が上がってから濾紙の全面積にわたってほぼ同時に濾紙に接触する構造のもの。
【0044】
2)採血
ヘパリン入り真空採血管(テルモ社製,10ml)を用いて女子健常者より静脈血を採血し、プラスチック製のサンプルチューブに2mlづつ分注した。Hctは41%であった。
【0045】
3)濾過ユニットの組み立て
図1に記載した濾過ホルダー(基体の上面構造を除く。)に、直径19.7mmに打ち抜いたガラス繊維濾紙(ワットマン社製,GF/0)6枚をセットし、その上にポリスルホン多孔質膜(富士写真フイルム社製)を重ねた。更にその上から空気吸引用のジョイントをセットし、小型ペリスタルポンプに接続した。
【0046】
4)血液の濾過
上記3)にて組み立てた濾過ユニットの吸引口に長さ4cmのシリコーンチューブを接続しその先端を上記2)で調製した血液試料の入ったサンプルチューブに挿入し、ほぼ垂直に固定した。
【0047】
ペリスタルポンプの吸気速度を2.8ml/secに設定し、10秒間づつ2回吸引した。1回目と2回目の吸引の間隔は約1秒間で行った。血漿が分離され血漿貯溜槽中に溜まった。
【0048】
5)結果
濾過ユニットの底面の構造と回収血漿量との関係については、▲1▼では殆ど血漿濾過は起こらずかつ、溶血の程度が著しかったのに対し、▲3▼では良質の血漿が多量に分離回収できた。▲2▼は両者の中間であるが回収血漿量は十分とはいえず、▲3▼の構造が優れていることは明らかだった。
【0049】
上記のように、ホルダーの血液入口側にも濾過が血液濾過材料の全面にわたって行なわれるよう空間を設けるのがよい。これによってまず空気が血液濾過材料の全面から吸引され、その結果、血液が全面に拡がって吸引濾過される。ホルダーの血液入口側は濾過の際には血液濾過材料がホルダー内壁から離隔する方向に作用するのでホルダーの側壁に血液濾過材料縁部を保持してホルダーとの間を明けるスペーサー、例えばリング状突部や数個所の突部などを形成すればよい。蓋体の周縁部を血液濾過材料側に突出させて、これをスペーサーとして機能させることもできる。血液濾過材料とホルダーの対向面との間の空間部の体積(血液濾過時)は10〜500μl程度、好ましくは50〜200μl程度が適当である。
【0050】
本発明のホルダーは、上記本体に蓋体が取付けられると、これらの血液入口と血漿出口を除いて全体が密閉構造になる。
【0051】
ホルダーの材料はプラスチックが好ましい。例えば、汎用ポリスチレン、ハイインパクトポリスチレン、メタアクリル酸エステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、ポリカーボネート等の透明あるいは不透明の樹脂が用いられる。
【0052】
上記本体と蓋体の取付方法は、接着剤を用いた接合、融着等如何なる手段によってもよい。この際、上記本体と蓋体のいずれの周縁が内側に位置してもよく、あるいは突き合わせ状態であってもよい。また、上記本体と蓋体をネジ等の手段で組立分解ができる構造とすることもできる。
【0053】
血液濾過材料の形状に特に制限はないが、製造が容易なように、円形とすることが望ましい。この際、円の直径をホルダー本体の内径よりやや大きめとし、濾過材料の側面から血漿が漏れることを防ぐことができる。一方、四角形にすれば作製した血液濾過材料の切断ロスがなくなるので好ましい。
【0054】
本発明の血液濾過ユニットの使用方法としては、該ユニットのガラス繊維濾紙側の開口に血液を供給し、反対側の開口から濾液である血漿または血清が吐出して血漿受槽に溜まる。血液の供給量は血液濾過材料の体積の1.2〜5倍程度、好ましくは2〜4倍程度が適当である。濾過に際しては血液入口側からの加圧あるいは反対側からの減圧を行なって濾過を促進するのがよい。この加、減圧手段はいずれもシリンジを利用する方法が簡便である。シリンジのピストンを移動させる距離はピストンの移動体積が濾過材料の体積の2〜5倍程度になるようにするのがよい。移動速度は1cm2当り1〜500ml/min程度、好ましくは20〜100ml/min程度が適当である。使用後の濾過ユニットは通常は使い捨てとする。
【0055】
血漿受槽はホルダーから取外してアナライザーの検体容器として使用される。この血漿受槽には蓋を装着して水分の蒸発防止を図ることができる。本発明の濾過ユニットは特に乾式分析素子を用いて複数項目を分析する場合に有効である。
【0056】
【実施例】
[実施例1]
図1〜3に示す血液濾過ユニットを作製した。この濾過ユニットは組み立てた状態の縦断面図である図1に示すようにホルダー本体10と蓋体20と血漿受槽30からなっている。
【0057】
ホルダー本体10には血液濾過材料40の収容室11とその上縁から外方に形成されたフランジ13が形成されている。一方、ホルダー本体10の底部には周縁よりやや内側に段部を設けてそこから浅いロート状円板部12が連設され、その中心から下方にノズル状血液入口14が延設されている。上記の段部は血液濾過材料40の下面をホルダー本体10のロート状円板部12から隔離させて空間15を形成するスペーサー16として機能させている。図1及び図3に示されているように血液入口14の基部には4方にフラップ17が形成されている。このフラップは血液を入れたサンプル管(図示されていない。)を嵌め込むことによって保持するものである。
【0058】
蓋体20の底面は中心に向かって同心円状の段21が4段形成されて中央が凹みここが上部空間を形成している。この底面中央にはサイコロの5の目状に5つの突起25が血液濾過材料の密着を阻止する手段として下方に突出形成されている。蓋体20の中心と周縁の中間部には煙突状の血漿通路24が蓋体20を貫通して上方に突設されている。蓋体20の上面には血漿受槽30を嵌入する蓋体20より短径で短管状の嵌合壁22が蓋体20と同軸で上方に突出形成されている。蓋体20の周縁部には外方に突出するフランジ23が形成され、このフランジ23がホルダー本体のフランジ13と超音波で接着される。フランジ23のホルダー本体のフランジ13と合わさる面にはリブ(図示されていない。)が形成されている。接着の際には超音波エネルギーをそこに集めて液密性を充分に確保した状態で接着されるようにしたものである。
【0059】
血漿受槽30は外径が蓋体20の嵌合壁22と略同径であり、途中に段部31を設けて嵌合壁22へ嵌入される底部32を嵌合壁22の内径よりやや小さくしている。血漿受槽30底面の蓋体20の血漿出口通路24に対応する部位には血漿出口通路24に被嵌される血漿出口通路外筒33が上方に突出形成されている。この外筒33は両側を削ぎ落とした煙突状をしており、その頂部には血漿の噴出を阻止する庇34が水平方向にせり出している。この庇34は図2に示されているように大小2つの半円を組み合わされた形状をしており、周壁側の半円は外筒33の外壁と一致させ、中心側の半円は血漿出口通路外周面の延長線と一致させている。外筒33の両側部には、血漿の液深を確保するため、血漿受槽52の周壁面に達する仕切壁35が形成されている。血漿受槽30の上端は開放されており、これが吸引口36となっている。
【0060】
[実施例2]
図4〜7に示す血液濾過ユニットを作製した。この血液濾過ユニットのホルダー本体50は実施例1のものと同じである。
【0061】
蓋体60の底面構造とフランジ63は実施例1と略同じである。ただ、血漿出口通路64が段61によって形成される空間の周縁部から起立し、その外形は図5に示すように蓋体60の中心側が小径の半円で周縁側が蓋体60と同心円の円弧状になっている。血漿出口通路64の上端は内方に折曲され、その先端に血漿吐出口65が形成されている。この蓋体上面は平らになっており、血漿出口通路64の反対側には血漿受槽70を係止する係止突起62が形成されている。
【0062】
血漿受槽70は円筒状をしており、血漿出口通路64に対応する部位には血漿出口通路64を収容する断面半円状の溝71が縦方向に全長にわたって形成されている。血漿受槽70の高さは血漿出口通路64上端の折曲された顎部66に略一致している。また、血漿受槽外周面下端の蓋体60の係止突起62対応部位には係止凹部72が形成されている。血漿受槽70は蓋体60に装着されたときには、係止突起62によって血漿出口通路64に抑えつけられ、上方への移動は血漿出口通路64の顎部66で阻止されて固定される。血漿受槽70を取外すときには顎部66当接部を軸にして少し上方に回動させればよい。
を圧着した。
【0063】
【発明の効果】
本発明の血液濾過ユニットを用いることにより、血液を濾過して得た血漿をそのままアナライザーにかけて分析でき、しかも血漿の保存も容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例である血液濾過ユニットを組み立てた状態の縦断面図である。
【図2】 同上平面図である。
【図3】 上記血液濾過ユニットのホルダー本体の底面図である。
【図4】 本発明の別の実施例である血液濾過ユニットを組み立てた状態の縦断面図である。
【図5】 同上平面図である。
【図6】 上記血液濾過ユニットの係止突起部の拡大断面図である。
【符号の説明】
10…ホルダー本体
11…血液濾過材料収容室
12…円板部
13…フランジ
14…血液入口
15…空間
16…スペーサー
17…フラップ
20…蓋体
21…段
22…嵌合壁
23…フランジ
24…血漿出口通路
25…突起(密着阻止手段)
30…血漿受槽
31…段部
32…底部
33…血漿出口通路外筒
34…庇
35…仕切壁
36…吸引口
40…血液濾過材料
50…ホルダー本体
60…蓋体
61…段
62…係止突起
63…フランジ
64…血漿出口通路
65…血漿吐出口
66…顎部
70…血漿受槽
71…溝
72…係止凹部

Claims (2)

  1. 血液濾過材料と、これを収容し下面には血液入口を上面には中心部を外して血漿出口を有するホルダーと、濾過されて血漿出口から流下する血漿を受けるカップ状血漿受槽からなり、該血漿受槽がホルダーと別体であってホルダーの上面に取外し可能に掛合、嵌合等により固定されていることを特徴とする血液濾過ユニット
  2. ホルダーの血漿出口側の血液濾過材料対向面と血液濾過材料の間には空間が設けられ、血液濾過材料がホルダーの血漿出口側の対向面から隔離されている請求項1記載の血液濾過ユニット
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