JP3651868B2 - 血液濾過ユニット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は全血から血漿または血清試料を調製する際に使用される血液濾過ユニットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
血液中の構成成分例えば代謝産物、蛋白質、脂質、電解質、酵素、抗原、抗体などの種類や濃度の測定は通常全血を遠心分離して得られる血漿または血清を検体として行われている。ところが、遠心分離は手間と時間がかかる。特に少数の検体を急いで処理したいときや、現場検査などには、電気を動力とし、遠心分離機を必要とする遠心法は不向きである。そこで、濾過により全血から血漿を分離する方法が検討されてきた。
【0003】
この濾過方法には、ガラス繊維濾紙をカラムに充填し、カラムの一方から全血を注入し、加圧や減圧を行なって他方から血漿や血清を得るいくつかの方法が公知化されている(特公昭44−14673号公報、特開平2−208565号公報、特開平4−208856号公報、特公平5−52463号公報等)。
【0004】
しかし、全血から濾過により自動分析等による測定に必要な量の血漿または血清を得る方法に関しては血糖など一部の項目を除いては、いまだ試行の段階にあり、広く実用化されるに至っていない。
【0005】
そこで、本発明者らは先に、微量な血液であっても血漿や血清を効率よく分離しうる血液濾過ユニットとして、濾材にガラス繊維濾紙と微多孔性膜を組み合わせるとともに濾材の血漿出口側にシール部材を設けて濾過材料の開口面積を狭めた血液濾過ユニットを完成した(特願平8−7692号)。
【0006】
また、その吸引側に血漿受槽を設けたものも既に開発した(特願平8−91621号)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
一般に血液濾過材料は円板状に打抜いて使用されており、ガラス繊維濾紙の層厚は微多孔性膜よりかなり厚くされていることから高価なガラス繊維濾紙の使用量が多く、これが血液濾過ユニットを高価なものにしていた。
【0008】
本発明の目的は、ガラス繊維濾紙の利用率を高めて血液濾過ユニットの製造コストを引下げることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討の結果、血液濾過材料のうち、出口側に配置される微多孔性膜をシート状で使用すれば、ガラス繊維濾紙はこれを細断して充填しても血液濾過能力を充分に発揮させうることを見出した。その結果、4角いガラス繊維濾紙のほとんど全部を血液濾過材料として使用できるばかりか、径の異なる血液濾過ユニットにも容易に対応でき、打抜きおよびホルダーへの充填も容易になるなど数々の利点を見出して本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明は、血液入口と濾過液出口を有するホルダーに、少なくともガラス繊維濾紙層と微多孔性膜層が該微多孔性膜を濾過液出口側にして積層収容されている血液濾過ユニットにおいて、該ガラス繊維濾紙層が細断小片よりなっていることを特徴とする血液濾過ユニットに関するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
ガラス繊維濾紙は密度が0.02〜0.3程度、好ましくは0.05〜0.2程度、特に好ましくは0.07〜0.15程度で、保留粒子径が0.8〜9μm程度、特に1〜5μm程度のものが好ましい。ガラス繊維の表面を、特開平2−208565号公報、同4−208856号公報に記載された様な方法で、親水性高分子で処理することによって濾過をより速やかに円滑に行なうことができる。また、ガラス繊維濾紙の中にレクチン、その他の反応性試薬や改質剤を添加しておいたり、直接処理することもできる。ガラス繊維濾紙は複数枚と積層して用いることができる。
【0012】
また、必要に応じてガラス繊維の密度、その他の特性を組み合わせて調製積層することができる。
【0013】
表面を親水化されており血球分離能を有する微多孔性膜は、実質的に分析値に影響を与える程には溶血することなく、全血から血球と血漿を特異的に分離するものである。この微多孔性膜は孔径がガラス繊維濾紙の保留粒子径より小さくかつ0.2μm以上、好ましくは0.3〜5μm程度、より好ましくは1〜3μm程度のものが適当である。また、空隙率は高いものが好ましく、具体的には、空隙率が約40%から約95%、好ましくは約50%から約95%、さらに好ましくは約70%から約95%の範囲のものが適当である。微多孔性膜の例としてはポリスルホン膜、弗素含有ポリマー膜、セルロースアセテート膜、ニトロセルロース膜等がある。また表面を加水分解、親水性高分子、活性剤などで親水化処理したものもある。
【0014】
弗素含有ポリマーの微多孔性膜としては、特表昭63−501594号公報(WO 87/02267)に記載のポリテトラフルオロエチレンのフィブリル(微細繊維)からなる微多孔性のマトリックス膜(微多孔性層)、Gore−Tex(W.L.Gore and Associates社製)、Zitex(Norton社製)、ポアフロン(住友電工社製)などがある。その他に、US 3268872(実施例3及び4)、US 3260413(実施例3及び4)、特開昭53−92195(US 4201548)等に記載のポリテトラフルオロエチレンの微多孔性膜、US 3649505に記載のポリビニリデンフルオリドの微多孔性膜などがある。
【0015】
これらの弗素含有ポリマーの微多孔性膜の作成に当たっては、1種もしくは2種以上の弗素含有ポリマーを混合しても良いし、弗素を含まない1種もしくは2種以上のポリマーや繊維と混合し、製膜したものであつても良い。
【0016】
構造としては、延伸しないもの、1軸延伸したもの、2軸延伸したもの、1層構成の非ラミネートタイプ、2層構成のラミネートタイプ、例えば繊維等の他の膜構造物にラミネートした膜等がある。
【0017】
フイブリル構造又は一軸延伸もしくは二軸延伸した非ラミネートタイプの微多孔性膜は、延伸により、空隙率が大きくかつ濾過長の短い微多孔膜が作られる。濾過長が短い微多孔膜では、血液中の有形成分(主として赤血球)による目詰りが生じがたく、かつ血球と血漿の分離に要する時間が短いので、定量分析精度が高くなるという特徴がある。
【0018】
弗素含有ポリマーの微多孔性膜は特開昭57−66359号公報(US 4783315)に記載の物理的活性化処理(好ましくはグロー放電処理又はコロナ放電処理)を微多孔膜層の少なくとも片面に施すことにより微多孔性膜の表面を親水化して、隣接する微多孔性膜との部分接着に用いられる接着剤の接着力を強化することができる。
【0019】
弗素含有ポリマーの微多孔性膜は、そのままでは、表面張力が低く乾式分析要素の血球濾過層として用いようとしても、水性液体試料ははじかれてしまって、膜の表面や内部に拡散、浸透しないことは、周知の事実である。本発明では、第1の手段として弗素含有ポリマーの微多孔性膜に親水性を付与し親水性を高める手段として、弗素含有ポリマーの微多孔性膜の外部表面及び内部の空隙の表面を実質的に親水化するに充分な量の界面活性剤を弗素含有ポリマーの微多孔性膜に含浸させることにより、前記の水性液体試料がはじかれる問題点を解決した。
【0020】
水性液体試料がはじかれることなく膜の表面や内部に拡散、浸透、移送されるに充分な親水性を弗素含有ポリマーの微多孔性膜に付与するには、一般に、弗素含有ポリマーの微多孔性膜の空隙体積の約0.01%から約10%、好ましくは約0.1%から約5.0%、更に好ましくは0.1%から1%の界面活性剤で微多孔性膜の空隙の表面が被覆されることが必要である。例えば、厚さが50μmの弗素含有ポリマーの微多孔性膜の場合に、含浸される界面活性剤の量は、一般に0.05g/m2から2.5g/m2の範囲であることが好ましい。弗素含有ポリマーの微多孔性膜に界面活性剤を含浸させる方法としては、界面活性剤の低沸点(沸点約50℃から約120℃の範囲が好ましい)の有機溶媒(例、アルコール、エステル、ケトン)溶液に弗素含有ポリマーの微多孔性膜を浸漬し、溶液を微多孔性膜の内部空隙に実質的に充分に行きわたらせた後、微多孔性膜を溶液から静かに引き上げ、風(温風が好ましい)を送り乾燥させる方法が一般的である。
【0021】
弗素含有ポリマーの微多孔性膜を親水性化処理に用いられる界面活性剤としては、非イオン性(ノニオン性)、陰イオン性(アニオン性)、陽イオン性(カチオン性)、両性いずれの界面活性剤をも用いることができる。
【0022】
これらの界面活性剤のうちでは、ノニオン性界面活性剤が、赤血球を溶血させる作用が比較的低いので、全血を検体とするための多層分析要素においては有利である。ノニオン性界面活性剤としては、アルキルフェノキシポリエトキシエタノール、アルキルポリエーテルアルコール、ポリエチレングリコールモノエステル、ポリエチレングリコールジエステル、高級アルコールエチレンオキシド付加物(縮合物)、多価アルコールエステルエチレンオキシド付加物(縮合物)、高級脂肪酸アルカノールアミドなどがある。
【0023】
ノニオン性界面活性剤の具体例として、次のものがある。
アルキルフェノキシポリエトキシエタノールとしては、
イソオクチルフェノキシポリエトキシエタノール:
(Triton X−100:オキシエチレン単位平均9〜10含有)
(Triton X−45:オキシエチレン単位平均5含有)
ノニルフェノキシポリエトキシエタノール:
(IGEPAL CO−630:オキシエチレン単位平均9含有)
(IGEPAL CO−710:オキシエチレン単位平均10〜11含有)
(LENEX698:オキシエチレン単位平均9含有)
アルキルポリエーテルアルコールとしては、
高級アルコール ポリオキシエチレンエーテル:
(Triton X−67:CA Registry No.59030−15−8)
【0024】
弗素含有ポリマーの微多孔性膜は、その多孔性空間に水不溶化した1種又は2種以上の水溶性高分子を設けることによって親水化したものであってもよい。水溶性高分子の例として、酸素を含む炭化水素にはポリビニルアルコール、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレングリコール、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、窒素を含むものにはポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアミン、ポリエチレンイミン、負電荷を有するものとしてポリアクリル酸、ポリメタアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸などをあげることが出来る。不溶化は熱処理、アセタール化処理、エステル化処理、重クロム酸カリによる化学反応、電離性放射線による架橋反応等によって行えばよい。詳細は、特公昭56−2094号公報及び特公昭56−16187号公報に開示されている。
【0025】
ポリスルホンの微多孔性膜は、ポリスルホンをジオキサン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンあるいはこれらの混合溶媒等に溶解して製膜原液を作製し、これを支持体上に、又は直接凝固液中に流延し洗浄、乾燥して行うことにより製造することができる。詳細は特開昭62−27006号公報に開示されている。ポリスルホンの微多孔性膜は、そのほか特開昭56−12640号公報、特開昭56−86941号公報、特開昭56−154051号公報等のも開示されており、それらも使用することができる。ポリスルホンの微多孔性膜も弗素含有ポリマーと同様界面活性剤を含有させ、あるいは水不溶化した水溶性高分子を設けることによって親水化することができる。
【0026】
その他の非繊維微多孔性膜としては、特公昭53−21677号、米国特許1,421,341号等に記載されたセルロースエステル類、例えば、セルロースアセテート、セルロースアセテート/ブチレート、硝酸セルロースからなるブラッシュポリマー膜が好ましい。6−ナイロン、6,6−ナイロン等のポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン等の微多孔性膜でもよい。その他、特公昭53−21677号、特開昭55−90859号等に記載された、ポリマー小粒子、ガラス粒子、けい藻土等が親水性または非吸水性ポリマーで結合された連続空隙をもつ多孔性膜も利用できる。
【0027】
非繊維微多孔性膜の有効孔径は0.2〜10μm、好ましくは0.3〜5μm、特に有効なのは0.5〜3μmである。本発明で非繊維微多孔性膜の有効孔径は、ASTM F316−70に準拠した限界泡圧法(バブルポイント法)により測定した孔径で示す。非繊維微多孔性膜が相分離法により作られたいわゆるブラッシュ・ポリマーから成るメンブランフィルターである場合、厚さ方向の液体通過経路は、膜の製造の際の自由表面側(即ち光沢面)で最も狭くなっているのが普通で、液体通過経路の断面を円に近似したときの孔径は、自由表面の近くで最も小さくなっている。容積の通過経路における厚さ方向に関する最小孔径は、さらにフィルターの面方向について分布を持っており、その最大値が粒子に対する濾過性能を決定する。通常、それは限界泡圧法で測定される。
【0028】
上に述べたように、相分離法により作られたいわゆるブラッシュ・ポリマーから成るメンブランフィルターでは、厚さ方向の液体通過経路は膜の製造の際の自由表面側(即ち光沢面)で最も狭くなっている。本発明の分析素子の非繊維微多孔性膜としてこの種の膜を用いる場合には、出口側を、メンブランフィルターの光沢面とすることが好ましい。
【0029】
本発明で使用される血液濾過材料には、ガラス繊維濾紙と微多孔性膜に加えて第3の濾過材料を追加することができる。この第3の濾過材料の例としては、濾紙、不織布、織物生地(例えば平織生地)、編物生地(例えば、トリコット編)等、繊維質多孔性層を挙げることができる。これらのうち織物、編物等が好ましい。織物等は特開昭57−66359号に記載されたようなグロー放電処理をしてもよい。この第3の濾過材料はガラス繊維濾紙と微多孔性膜の中間に配置することが好ましい。
【0030】
好ましい微多孔性膜はポリスルホン膜、酢酸セルローズ膜等であり、特に好ましいのはポリスルホン膜である。本発明の血液濾過材料においてはガラス繊維濾紙が血液供給側に配置され、微多孔性膜が出口側に配置される。
【0031】
本発明の濾過材料では、その表面のみで血球をトラップする訳ではなく、ガラス繊維濾紙の厚さ方向に浸透するに従って、厚さ方向に全長にわたって血球を留め除去していく、いわゆる体積濾過作用によるものと理解される。
【0032】
本方式により濾過し得る全血の量は、ガラス繊維濾紙中に存在する空間体積と全血中の血球の体積に大きく影響される。ガラス繊維濾紙の密度が高い(粒子保持孔径が小さい)と赤血球がガラス繊維濾紙の表面近傍にトラップされるので、表面からごく浅い領域でガラス繊維濾紙中の空間が閉塞状態になってしまうことが多い。従って、それ以上の濾過が進まず、結果として濾過、回収し得る血漿量も少なくなる。この際、回収血漿量を増やそうとして更に強い条件で吸引すると、血球の破壊、すなわち溶血が起きてしまう。つまり表面濾過に近いプロセスとなり、濾紙の空間体積利用効率は低い。
【0033】
空間体積あるいは血漿濾過量に対応する指標として、透水速度が有効である。透水速度は、入口と出口をチューブに接続できるように絞った濾過ユニット中に一定面積のガラス繊維濾紙を密閉保持し、一定量の水を加えて一定圧力で加圧または減圧したときの、単位面積あたりの濾過量を速度で表したものであり、ml/sec等の単位を持つ。
【0034】
具体例としては、濾過ユニット中に直径20mmのガラス繊維濾紙をセットし、その上に100mlの注射筒をたてて60mlの水を入れて自然流下させ、開始後10秒と40秒の間の30秒間にガラス濾紙中を通り抜けた水の量をもって透水量とし、これから単位面積あたりの透水速度を算出する。
【0035】
血漿の濾過に特に適しているのは透水速度が1.0〜1.3ml/sec程度のもので、例えば、ワットマン社 GF/D、東洋濾紙 GA−100、同GA−200等がある。さらに、市販のガラス繊維濾紙を熱水中で再分散してナイロンネット上で再抄紙して低密度濾紙(密度約0.03)を作製することもでき、これは良好な血漿濾過特性を示す。
【0036】
ガラス繊維濾紙層の厚さは、回収すべき血漿量とガラス繊維濾紙の密度(空隙率)及び面積から定められる。分析を乾式分析素子を用いて複数項目行なう場合の血漿の必要量は100〜500μlであり、ガラス繊維濾紙の密度が0.05〜0.2程度、面積が1〜5cm2程度が実用的である。この場合ガラス繊維濾紙層の厚さは1〜10mm程度、好ましくは2〜8mm程度、より好ましくは3〜6mm程度である。このガラス繊維濾紙は1枚のほか複数枚、例えば1〜10枚程度、好ましくは2〜6枚程度を積層して上記厚さとすることができる。
【0037】
本発明の血液濾過ユニットは上記ガラス繊維濾紙層の一部または全部に細断小片を使用するところに特徴がある。1枚のガラス繊維濾紙の厚さは0.2〜3mm程度、通常0.5〜2mm程度である。これを径が10〜30mm程度、好ましくは15〜25mmに細断して使用するのである。細断小片の形状は問うところではなく、正方形、長方形のほか三角形、円形等如何なる形状であってもよい。ガラス繊維濾紙の基本的に全部を使用する観点から円形にする場合には各辺が凹弧状になった小片を併用することになる。通常は4角形であり、長辺と短辺の比が1.0〜5.0程度、特に1.0〜2.5程度の範囲内にすることが好ましい。
【0038】
細断は上記のサイズにできる市販の裁断機を使用して行えばよい。
【0039】
細断小片の充填に際して繊維方向に特に注意する必要はない。
【0040】
微多孔性膜の厚さは0.05〜0.3mm程度、特に0.1〜0.2mm程度でよく、通常は1枚の微多孔性膜を用いればよい。しかしながら、必要により複数枚を用いることもできる。
【0041】
ホルダーは血液濾過材料を収容するものであって、血液入口と濾過液出口が設けられているものである。このホルダーは、一般に血液濾過材料を収容する本体と、蓋体に分けた態様で作製される。通常は、いずれにも少なくとも1個の開口が設けられていて、一方は血液供給口として、場合により更に加圧口として、他方は吸引口として、場合により更に濾過された血漿または血清の排出口として使用される。濾過された血漿または血清の排出口を別に設けることもできる。ホルダーが四角形で蓋体を側面に設けた場合には血液供給口と吸引口の両方を本体に設けることができる。
【0042】
血液濾過材料収納部の容積は、収納すべきろ過材料の乾燥状態および検体(全血)を吸収し膨潤した時の総体積より大きい必要がある。ろ過材料の総体積に対して収納部の容積が小さいと、ろ過が効率良く進行しなかったり、溶血を起こしたりする。収納部の容積のろ過材料の乾燥時の総体積に対する比率はろ過材料の膨潤の程度にもよるが、通常101%〜300%、好ましくは110%〜200%、更に好ましくは120%〜150%である。
【0043】
また、ろ過材料と収納部の側壁面との間は密着していることが必要であり、全血を吸引した時にろ過材料を経由しない流路が出来ないように構成されている必要があることは勿論である。
【0044】
血液濾過ユニットを組立てる際には濾過ユニット本体に細断小片、微多孔性膜等を入れて細断小片間の隙間がなくなる程度に押圧し、蓋体を装着すればよい。
【0045】
一方、血液濾過ユニットの出口側および入口側に空間部を設けることによって血液の濾過材料内の流れを均一化して目詰まりや血球漏出の問題を解決することができる。このような構造の血液濾過ユニットにおいて細断小片層が血液入口側の表面層となる場合には細断小片が入口側空間部を埋めてしまわないようナイロンメッシュ等のスクリーン部材等を設けて空間部への進入を阻止するようにする。
【0046】
本発明になる濾過ユニットは、上記本体に蓋体が取付けられると、これらの血液入口と濾過液出口を除いて全体が密閉構造になる。
【0047】
ホルダーの材料は熱可塑性あるいは熱硬化性のプラスチックが好ましい。例えば、ハイインパクトポリスチレン、メタアクリル酸エステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、ポリカーボネート、各種共重合体ポリマー等の透明あるいは不透明の樹脂が用いられる。
【0048】
上記本体と蓋体の取付方法は、接着剤を用いた接合、融着等如何なる手段によってもよい。この際、上記本体と蓋体のいずれの周縁が内側に位置してもよく、あるいは突き合わせ状態であってもよい。また、上記本体と蓋体を螺合あるいはネジ等の手段で固着して組立分解ができる構造とすることもできる。
【0049】
血液濾過材料の形状に特に制限はないが、原則として円形とする。この際、濾過材料をホルダー本体の内部断面よりやや大きめとし、濾過材料の側面から血漿が漏れることを防ぐことができる。
【0050】
本発明の血液濾過ユニットの使用方法としては、該ユニットのガラス繊維濾紙側の開口に血液を供給し、反対側の開口から濾液である血漿または血清を採取する。血液の供給量は血液濾過材料の体積の1.2〜5倍程度、好ましくは2〜4倍程度が適当である。濾過に際しては血液供給口側からの加圧あるいは反対側からの減圧を行なって濾過を促進するのがよい。この加、減圧手段はペリスタルあるいはシリンジを利用する方法が簡便である。シリンジのピストンを移動させる距離はピストンの移動体積が濾過材料の体積の2〜5倍程度になるようにするのがよい。移動速度は1cm2当り1〜500ml/min程 度、好ましくは20〜100ml/min程度が適当である。使用後の濾過ユニットは通常は使い捨てとする。
【0051】
濾過で得た血漿や血清は常法に従って分析が行なわれるが、本発明の濾過ユニットは特に乾式分析素子を用いて複数項目を分析する場合に有効である。
【0052】
濾過すべき血漿あるいは血清の量を多くするために血液中に無機塩あるいはアミノ酸などの有機化合物の塩を添加しておくこともできる。これらの塩の添加量は全血の総量に対して10mM〜300mM、好ましくは50mM〜200mM程度となるように調整するのが良い。
【0053】
【実施例】
実施例1
(1) ホルダーの作製
図1〜3に示す血液濾過ユニットを作製した。この濾過ユニットは組み立てた状態の縦断面図である図1に示すようにホルダー本体10と蓋体20からなっている。
【0054】
ホルダー本体10には血液濾過材料30の収容室11(直径20.1mm)とその上縁から外方に形成されたフランジ13が形成されている。一方、ホルダー本体10の底部には周縁よりやや内側に段部を設けてそこから浅いロート状円板部12が連設され、その中心から下方にノズル状血液供給口14が延設されている。上記の段部は血液濾過材料30の下面をホルダー本体10のロート状円板部12から隔離させて空間15を形成するスペーサー16として機能させている。図1及び図3に示されているように血液供給口14の基部には4方にフラップ17が形成されている。このフラップは血液を入れたサンプル管(図示されていない。)を嵌め込むことによって保持するものである。
【0055】
蓋体20の底面は中心に向かって同心円状の段21が4段形成されて中央が凹みここが上部空間を形成している。この底面中央にはサイコロの5の目状に5つの突起25が血液濾過材料の密着を阻止する手段として下方に突出形成されている。また、血漿受槽22の中心と周壁の中間に両側を削ぎ落とした煙突状の血漿通路24が上方に起立し、その頂部には血漿の噴出を阻止する庇26が水平方向にせり出している。この庇26は図2に示されているように大小2つの半円を組み合わされた形状をしており、周壁側の半円は血漿通路外壁と一致させ、中心側の半円は血漿通路内壁の延長線と一致させている。血漿通路24の両側部には、血漿の液深を確保するため、血漿受槽22の周壁面に達する仕切壁27が形成されている。血漿受槽22の上端は開放されており、これが吸引口28となっている。蓋体20の底部には外方に突出するフランジ23が形成され、このフランジがホルダー本体のフランジ13と超音波で接着される。フランジ23のホルダー本体のフランジ13と合わさる面にはリブ(図示されていない。)が形成されている。これは接着の際には超音波エネルギーをそこに集めて液密性を充分に確保した状態で接着されるようにしたものである。
【0056】
(2) フレークの作製
厚さ1.1mmのガラス繊維濾紙(ワットマン GF/D)を書類裁断機(明光商事社製 MS−1220)を用いて裁断した。1回の裁断で得られたガラス繊維濾紙フレーク(以下、単にフレーク)の大きさは、幅2mmで長さは7〜10mm程度であった。このフレークを更に同じ裁断機に通したところ、大きさはバラツキがあるが、およそ2/3程度になった。更に3回目の処理を行ったところ、フレークの大きさは2×3mm程度となった。
【0057】
(3) 濾過ユニットの作製
(1)のプラスチック製ホルダー(内径20.1mm)のホルダー本体10に、直径20.2mmの円板に打ち抜いた、孔径が0.5mmのナイロンメッシュ31を固定した。その上に、(2)で作製したフレーク32を入れ、直径19.5mmの円筒を用い、圧力を調整しながらフレークを押し込んだ。さらにその上に、直径20.1mmの円板状に打ち抜いた厚さ150μmのポリスルホン多孔膜33(富士写真フイルム社製 SE−200)をセットした。こうして得たホルダー本体10と蓋体20を合わせてフランジ13と23を超音波で溶着した。
【0058】
(4) 血液の採取
男子健常者より、ヘパリン入り真空採血管(テルモ社製)を用いて静脈血10mlを採血した。この血液のヘマトクリットを測定したところ、38%であった。この血液3mlを容量4mlのプラスチック製試験管に分取した。
【0059】
(5) 吸引機
排気速度が可変のペリスタポンプと接続されている小型吸引機を作製した。小型吸引機のチューブの先端には、上記濾過ユニットの吸引面と機密状態で接続可能なシリコーンゴム製の吸引ピペットを取り付けた。チューブの途中に圧力モニター用のゲージを接続した。
【0060】
(6) 血液の濾過
(4)で分取した血液に(3)の濾過ユニットの検体吸引ノズルを挿入し、濾過ユニットの他端を吸引機の吸引パッドに接続した。吸引ポンプの排気速度を調節し、30秒間減圧度が100mmHgに到達するようにしつつ吸引を続けた。
【0061】
(7) 血漿の回収
吸引に伴って濾過ユニットの貯留槽中に血漿が流出した。量は、330μlであった。血漿の色は淡黄色であり、溶血液や赤血球の混入は観察されなかった。
【0062】
(8) 濾過液中の溶血液の評価
濾過された血漿中の溶血液の程度を定量的に評価するために、富士ドライケム5500臨床化学アナライザー(富士写真フイルム社製)を用いて、LDHを測定した。比較のため、ヘパリン採血液を定法に従い遠心分離して得た血漿についてもLDHを測定した。結果を表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】
実施例2
裁断機として、リコー社製のマイシュレッダー70Sを用いて、実施例1と同様の操作を行った。但し、裁断は1回だけであったが、フレークの大きさは約2×2mmであり、ほぼ一定していた。このフレークを用いて作製した濾過ユニットを使用して濾過を行った結果を表2に示す。
【0065】
【表2】
【0066】
実施例3
実施例2において、フレークを充填した上(濾過液の吐出側)に直径20.3mmの円板状に打ち抜いたガラス繊維濾紙を積層して、ガラス繊維濾紙フレーク層/ガラス繊維濾紙シート層/ポリスルホン多孔膜からなる濾過ユニットを作製して、同様の操作を行った。結果を表3に示す。
【0067】
【表3】
【0068】
上記の実験番号9で作製したユニットを用いて濾過して得た血漿中の各種成分を、日立7150及びA&T自動分析機を用いて測定した。結果を表4に示す。比較のため、同一の検体を遠心分離して得た血漿について測定した値を示す。
【0069】
【表4】
【0070】
実施例4
実施例3において、円板状のガラス繊維濾紙をフレークの上下に分けて配置して同様の操作を行ったところ、同様の良好な結果を得た。
【0071】
【発明の効果】
本発明により血液濾過ユニットの高価な材料であるガラス繊維濾紙シートのほぼ全部を血液濾過ユニットに使用することができて血液濾過ユニットのコストを大巾に引下げられるばかりでなく、ガラス繊維濾紙の裁断およびホルダー充填作業が容易化される等の利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例である血液濾過ユニットを組み立てた状態の縦断面図である。
【図2】 同上平面図である。
【図3】 上記血液濾過ユニットのホルダー本体の底面図である。
【符号の説明】
10…ホルダー本体
11…血液濾過材料収容室
12…円板部
13…フランジ
14…血液供給口
15…空間
16…スペーサー
17…フラップ
20…蓋体
21…段
22…血漿受槽
23…フランジ
24…血漿通路
25…突起(密着阻止手段)
26…庇
27…仕切壁
28…吸引口
30…血液濾過材料
31…ナイロンメッシュ
32…ガラス繊維濾紙フレーク層
33…ポリスルホン多孔膜(微多孔性膜)
Claims (2)
- 血液入口と濾過液出口を有するホルダーに、少なくともガラス繊維濾紙層と微多孔性膜層が該微多孔性膜を濾過液出口側にして積層収容されている血液濾過ユニットにおいて、該ガラス繊維濾紙層が細断小片よりなっていることを特徴とする血液濾過ユニット
- 微多孔性膜がポリスルホン膜である請求項1記載の血液濾過ユニット
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