JP3664016B2 - クリップ及びこれを用いた筆記具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、クリップ及びこれを用いた筆記具に係り、更に詳しくは、ノック部の不用意な軸方向移動を規制することのできるクリップ及びこれを用いた筆記具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、胸ポケット等に差し込んで携帯性を良好に保持するため、筆記具の外周部にクリップが設けられたものが市販されている。一般的には、例えば、図4に示されるタイプのクリップ50が存在する。
【0003】
前記クリップ50は、筆記具51の外周部における後端側に設けられるとともに、筆記具51の軸方向に延びる細片若しくは細軸状の本体部53と、この本体部53の後端側に設けられるとともに、本体部53と筆記具51とを連結する連結部材54と、本体部53の先端側に設けられた挟持部55とを備えて構成されている。筆記具51は、その後端側にノック部57を備えており、このノック部57は、押圧することにより図示しないペン先の出没を操作可能に設けられている。クリップ50による胸ポケット等の挟み付け操作は、筆記具51を胸ポケット内に入れるとともに、筆記具51と挟持部55との間に胸ポケットの上端縁側を挿入することにより行われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このようなクリップ50にあっては、筆記具51を胸ポケットに収容した状態において、ノック部57が不用意に押圧されてしまう場合が多い。これにより、ペン先が胸ポケット内で露出された状態となり、当該ペン先が胸ポケットに触れて生地を汚してしまうという不都合を生じる。このような不都合は、水性インクを用いた筆記具51の場合に、そのインクの浸透性により一層顕出することとなる。
【0005】
【発明の目的】
本発明は、このような不都合に着目して案出されたものであり、その目的は、筆記具本体とクリップとの間に胸ポケット等の前生地を挟み込んだときに、ノック部の軸方向移動を規制してペン先の露出を回避することができ、これによって、胸ポケット等の汚れを防止することができるクリップ及びこれを用いた筆記具を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明は、ノック部を有する筆記具本体の外周部に設けられたクリップにおいて、
前記クリップは、前記外周部に連なる支点部と、この支点部に連なって筆記具本体の略軸方向に延びる本体部と、この本体部の先端側に設けられた挟持部と、前記本体部の後端側に設けられたフック部とを備え、
前記ノック部が後退した位置にあって、且つ、前記筆記具本体と挟持部との間に挟持対象物を挟み込んだときに、前記フック部がノック部の外周部分に引っ掛って当該ノック部の軸方向移動を規制する、という構成が採用されている。このような構成によれば、クリップを胸ポケット等の挟持対象物に引っ掛けてこれを挟み付けた際に、フック部がノック部に自動的に係り合う状態となって当該ノック部の軸方向移動を規制することができる。これにより、胸ポケット内に収容された筆記具のペン先が意図することなく露出してしまう虞を確実に回避することができ、これにより、胸ポケットの底部領域の生地を汚してしまうという従来の不都合を排除することが可能となる。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明において、前記筆記具本体の外周とクリップとの間には、常時は、前記フック部がノック部から離間する方向に力を付与するばね部材が設けられ、このばね部材の力に抗して筆記具本体と挟持部との間に挟持対象物を挟み込んだときに、前記フック部がノック部に引っ掛かる方向に回転可能に設けられる、という構成も採用することができる。このような構成を採れば、ノック部の押圧操作時において、フック部がノック部に干渉することなくノック部をスムースに押圧することができ、且つ、挟持部の胸ポケットに対する挟み付け力を強くすることが可能となる。
【0008】
また、筆記具本体の後端側にノック部が設けられるとともに、外周部にクリップが設けられてなる筆記具において、
前記クリップは、前記外周部に連なる支点部と、この支点部に連なって筆記具本体の略軸方向に延びる本体部と、この本体部の先端側に設けられた挟持部とを備え、
前記筆記具本体は、前記ノック部を筆記具本体内に押圧したときに、当該ノック部の外周部分に形成された受容部に前記挟持部を引っ掛け可能な窓を備え
前記クリップの後端側にフック部が設けられる一方、前記ノック部の外周部分に凹部が設けられ、
前記ノック部が後退した位置にあって、且つ、前記筆記具本体と挟持部との間に挟持対象物を挟み込んだときに、前記フック部が凹部に引っ掛かって前記ノック部の軸方向移動を規制する、という構成も採用することができる。これによれば、従来の筆記具に用いられるようなノック部の位置決めを行う内部カム機構が不要となり、部品点数の削減を通じて製造コストの低減を図ることができる。また、前述と同様に胸ポケットの汚れを確実に防止するという効果を得ることができる。
【0010】
なお、本明細書において、特に明示しない限り、「後端」、「後方」若しくは「後」は、筆記具のノック部側すなわち図1中上部側について用いられ、「先端」、「前方」若しくは「前」は筆記具のペン先側すなわち図1中下部側について用いられる。
【0011】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1には、本実施例に係るクリップが適用された筆記具の要部概略正面図が示され、図2には、前記筆記具のノック部が筆記具本体内に押圧された状態の要部概略正面図が示されている。これらの図において、筆記具10は、前後方向(図中上下方向)に延びる中空筒状の筆記具本体11と、この筆記具本体11の後端側において前後方向に移動可能に設けられるとともに、筆記具本体11の内側に配置されたインク収納筒12の後端を封止するノック部13と、インク収納筒12の先端側に連結されるとともに、筆記具本体11の先端に対して出没可能に設けられた図示しないペン先と、筆記具本体11とインク収納筒12との間に設けられる図示しない戻しばねと、筆記具本体11の後端側における外周部に設けられたクリップ15とを備えて構成されている。ノック部13は、前記ペン先の出没を操作可能に設けられている一方、戻しばねは、図2に示された状態において、ペン先、ノック部13を後退させる力を付与するように設けられている。
【0013】
前記クリップ15は、筆記具本体11の外周側に連結されるとともに、当該筆記具本体11の軸線を横切る方向に沿って延びる支点部16と、この支点部16に連なるとともに、筆記具本体11の略軸方向に延びる本体部17と、この本体部17の先端側における内面側に設けられた挟持部19と、本体部17の後端側に設けられたフック部20とを備えて構成されている。前記支点部16の基端側は、ヒンジに近似した構成として筆記具本体11に回転可能に支持され、クリップ15の図1中矢印A及びB方向への回転を許容可能に設けられている。また、本体部17は、その前後方向略中間部分において支点部16に連なるとともに、その後端側が筆記具本体11の後端より後方に延びる長さに設けられている。ここで、本体部17と筆記具本体11との間における支点部16の隣接位置には、ばね部材21が脱落不能に装着されている。
【0014】
前記挟持部19は、図1に示されるように、常時は、筆記具本体11に設けられた窓23内に位置するとともに、インク収納筒12の外周面に接触した状態となっている。挟持部19は、本体部17の延出方向に対して交わる方向に設けられている一方、ノック部13を筆記具本体11内に押圧したときに、図2に示されるように、インク収納筒12の外周部分に設けられた受容部24に引っ掛かり可能に設けられている。
【0015】
前記フック部20は、図3に示されるように、本体部17の後端側に連なってノック部13側に延びるとともに、本体部17の延出方向に対して略直交するように設けられている。フック部20の先端すなわち図中左端側は、挟持部19と筆記具本体11との間に挟持対象物としての胸ポケットPを形成する前生地を挟み込んだときに、ノック部13に設けられた凹部26内に受容可能に設けられている。
【0016】
前記ばね部材21は、特に限定されるものでないが、本実施例では、板ばねを略U字状に湾曲させた形状に設けられている。ばね部材21の図1中左端側は、筆記具本体11に連結されるとともに、同図中右端側は本体部17に連結されている。また、ばね部材21は、当該ばね部材21の前記左右両端を離間する方向の力を付与し、本体部17を矢印A方向(図1参照)に回転させてフック部20がノック部13から離れる方向の力を付与するようになっている。更に、ばね部材21は、挟持部19をインク収納筒12に対して接触する方向の力を付与することとなり、ノック部13を筆記具本体11内に押圧して図2に示される状態まで押し込んだときに、挟持部19が自動的に受容部24内に嵌まり込むようになっている。
【0017】
以上の構成において、本実施例におけるクリップ15は、図3に示されるように、筆記具本体11と挟持部19との間に胸ポケットPの前生地を挟み込んだ場合、フック部20が凹部26内に引っ掛かってノック部20の軸方向移動を規制することとなる。これにより、筆記具10が胸ポケットP内に収容されると同時に、当該筆記具10のペン先が露出することを防止することが可能となる。また、ばね部材21が前述したように作用することにより、胸ポケットPの前生地が挟持部19と筆記具本体11の外周部とによりしっかりと挟み付けられ、筆記具10が位置ずれすることなく安定的に保持されることとなる。
【0018】
また、筆記具10を用いて筆記を行う場合、図1に示される状態からペン先が突出する方向にノック部13を押圧したときに、図2に示されるように、挟持部19が受容部24内に受容されることとなる。この際、ノック部13は、筆記具本体11内に設けられた戻しばねにより後方へ移動する力を付与されるが、挟持部19及び受容部24との相互嵌まり合いと、ばね部材21の押圧力により、戻しばねの力だけではノック部13を後退させることはできないように設けられている。また、ペン先を筆記具本体11内に収容する作業は、ばね部材21の力に抗して本体部17の後端側を図2中左方向に押圧することにより、挟持部19及び受容部24の引っ掛かり状態を解除し、ノック部13が前記戻しばねの力により後退することにより行われる。
【0019】
従って、このような実施例によれば、胸ポケットP内においてペン先が露出することがないから、当該胸ポケットPの内側が汚れてしまう虞を有効に排除することができる。また、挟持部19が受容部24に受容されることにより、ペン先の露出姿勢を維持する構成としたから、挟持部19と筆記具本体11との間に胸ポケットPの前生地を挟み込んだ場合、ペン先が必然的に筆記具本体11内に収納されることとなる。これにより、ペン先が露出した状態で筆記具本体11が胸ポケットP内に収容されることはないので、これによっても、胸ポケットPの汚れを確実に回避することが可能となる。更に、挟持部19と筆記具本体11との間に胸ポケットPの差し込み空間を形成する作業は、本体部17の後端側を押圧することにより行うことができ、この際、支点部16が支点とし、本体部17の後端側が力点として作用するのでこの作業をスムースに行うことが可能となる。
【0020】
なお、前記実施例において、支点部16を筆記具本体11に回転可能に連結した場合を図示、説明したが、本発明は、これに限定されるものでなく、適宜な樹脂材を用いて支点部16と筆記具本体11とを一体成形してもよい。この際、支点部16及び筆記具本体11は、意図的な外力を付与することにより撓み変形可能な樹脂材を用いて構成された場合、前記ばね部材21を省略することも考えられる。
【0021】
また、前記フック部20は、凹部26内において引っ掛かけ可能な構成としたが、本発明は、これに限られるものでなく、ノック部13より突出する部材を設け、これをフック部20に引っ掛ける構成等としてもよい。要するに、ノック部13とフック部20とが、相互に係り合う構造であれば足りる。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、筆記具本体と挟持部との間に胸ポケット等の前生地を挟み込んだときに、フック部がノック部に引っ掛かっり可能に設けられているから、筆記具を胸ポケット内に収容すると同時にノック部の軸方向移動を規制することができる。これにより、胸ポケット内のペン先が不用意に露出して当該胸ポケットの内面側を汚してしまう虞を有効に排除することが可能となる。
【0023】
また、筆記具とクリップとの間には、ばね部材が設けられているから、ノック部を指先で押圧操作する際に、フック部を邪魔に感じることなくこの押圧操作をスムースに行うことができる。
【0024】
更に、挟持部の先端は、ノック部の外周部分に引っ掛かり可能に設けられているから、従来のようなカム機構を設けることを必要としないため、製造工程も簡略化でき、コスト的にも有利になる。
【0025】
また、ノック部の外周部分には凹部が設けられ、この凹部にフック部が引っ掛かってノック部の移動を規制可能としたから、前述と同様にして胸ポケットの汚れを防止することができ、且つ、ノック部の移動規制をより一層確実に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施例に係るクリップが適用された筆記具の要部概略正面図。
【図2】前記筆記具のノック部が筆記具本体内に押圧された状態の要部概略正面図。
【図3】筆記具本体と挟持部との間に胸ポケットの前生地を挟み込んだ状態の要部概略正面図。
【図4】従来のクリップを示す要部正面図。
【符号の説明】
10 筆記具
11 筆記具本体
13 ノック部
15 クリップ
16 支点部
17 本体部
19 挟持部
20 フック部
21 ばね部材
23 窓
24 受容部
26 凹部
P 胸ポケット(挟持対象物)

Claims (4)

  1. ノック部を有する筆記具本体の外周部に設けられたクリップにおいて、
    前記クリップは、前記外周部に連なる支点部と、この支点部に連なって筆記具本体の略軸方向に延びる本体部と、この本体部の先端側に設けられた挟持部と、前記本体部の後端側に設けられたフック部とを備え、
    前記ノック部が後退した位置にあって、且つ、前記筆記具本体と挟持部との間に挟持対象物を挟み込んだときに、前記フック部がノック部の外周部分に引っ掛って当該ノック部の軸方向移動を規制することを特徴とするクリップ。
  2. 前記筆記具本体の外周とクリップとの間には、常時は、前記フック部がノック部から離間する方向に力を付与するばね部材が設けられ、このばね部材の力に抗して筆記具本体と挟持部との間に挟持対象物を挟み込んだときに、前記フック部がノック部に引っ掛かる方向に回転することを特徴とする請求項1記載のクリップ。
  3. 筆記具本体の後端側にノック部が設けられるとともに、外周部にクリップが設けられてなる筆記具において、
    前記クリップは、前記外周部に連なる支点部と、この支点部に連なって筆記具本体の略軸方向に延びる本体部と、この本体部の先端側に設けられた挟持部とを備え、
    前記筆記具本体は、前記ノック部を筆記具本体内に押圧したときに、当該ノック部の外周部分に形成された受容部に前記挟持部を引っ掛け可能な窓を備え
    前記クリップの後端側にフック部が設けられる一方、前記ノック部の外周部分に凹部が設けられ、
    前記ノック部が後退した位置にあって、且つ、前記筆記具本体と挟持部との間に挟持対象物を挟み込んだときに、前記フック部が凹部に引っ掛かって前記ノック部の軸方向移動を規制することを特徴とする筆記具。
  4. 前記筆記具本体の外周とクリップとの間には、常時は、前記フック部がノック部から離間する方向に力を付与するばね部材が設けられ、このばね部材の力に抗して筆記具本体と挟持部との間に挟持対象物を挟み込んだときに、前記フック部がノック部に引っ掛かる方向に回転することを特徴とする請求項記載の筆記具。
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