JP5663329B2 - 静電容量型タッチペンを搭載した筆記具 - Google Patents
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Description
タッチパネルの原理には様々なものがある。たとえば、液晶パネル表面に加えられた圧力を感知する、いわゆる感圧式と称されるものがある。また、手指などの導電体が液晶パネルに接触する際の、液晶パネル表面の静電容量の変化を感知する、いわゆる静電容量式と称されるものもある。いずれの方式の際にも、液晶パネル表面に直接触れないで済むように、いわゆるタッチペンという道具を用いることがある。このようなタッチペンは通常、筆記具様の軸及び先端を有するものの、液晶パネルの破損を防ぐため、プラスチック等の比較的柔らかい材質で先端を丸めて形成されているものである。また、静電容量式のタッチパネルに用いるためのタッチペンの場合、手指への導電性が必要となることから、導電性の材質で形成する必要がある。
すなわち、上記特許文献1及び特許文献2記載の先行技術は、タッチペンとボールペンとの組み合わせであるが、明細書の記載からタッチパネルは明らかに感圧式であり、静電容量式であるとの記載はない。また、タッチペン部分はキャップ式であり使用時にキャップを取り外しする手間やキャップ紛失の恐れがある。
さらに、特許文献3記載の先行技術は、タッチペンとボールペンとを組み合せたノック式ボールペンであり、ノック機構を前後方向にスライドしてどちらか一方のみを繰り出す機構である。しかし、切り替えする際は繰り出し動作が必要であることと、タッチペンもボールペンもいずれも使用しない際には収納のための切り替えレバーを正確に中心にセットしない限りいずれか一方が外に出たままの状態となり収納効果が十分に発揮できない場合がある。
上記の第1の課題に鑑み、本発明のうち第1の発明は、軸筒20の先端側に筆記先端12が設けられ、かつ、後端側に導電性を備えた静電容量型タッチペン30を搭載した筆記具10であって、前記軸筒20の表面のうち、少なくとも前記後端側部分22は導電性を備えたスリーブ23として形成され、前記軸筒20の前記後端側には導電性を有しかつ前記静電容量型タッチペン30を直接保持する口金31が設けられているとともに、前記静電容量型タッチペン30は前記口金31を介して前記スリーブ23と接続されていることを特徴とする。
なお、本発明においては、筆記具の長軸方向に対し、筆記先端12側を先端とし、その反対側を後端とする。また、この先端に向かう方向を前方とし、後端に向かう方向を後方とする。
筆記先端12とは、筆記具において筆記面、たとえば紙面に直接接触する部分をいう。この筆記先端12としては、ボールペン、シャープペンシル、フェルトペン、マーカーペン等、様々な筆記具のものが想定される。
静電容量型タッチペン30とは、導電性を有する材質で筆記先端のような形状に成形されたものをいう。この材質とは、導電性を有していれば特に限定はない。よって、この材質としては金属材料、表面にメッキ処理を施した材料、あるいは炭素材料を使用してもよいが、液晶画面に接触させる関係上、より軟質なもの、たとえばポリチオフェンあるいはポリピロールのような導電性の高分子材料を使用して形成するか、又は表面にコーティングして使用することが望ましい。
このように構成した、静電容量型タッチペン30を搭載した筆記具10においては、軸筒20の、非導電性の先端側部分21を手指にて把持すれば筆記具による通常の筆記が可能である。また、スリーブ23を手指にて把持すれば、手指からスリーブ23及び口金31を介して静電容量型タッチペン30までの導電性が確保される。そしてこの状態で、静電容量型タッチペン30を静電容量式のタッチパネルに接触させれば、手指で直接触れるのと同様に、接触箇所の静電容量が変化することとなり、接触箇所が認識されることとなる。
上記の第2の課題に鑑み、本発明のうち第2の発明に係る、静電容量型タッチペン30を搭載した筆記具10は、軸筒20の先端側に筆記先端12が設けられ、かつ、後端側に導電性を備えた静電容量型タッチペン30を搭載した筆記具10であって、前記軸筒20の表面のうち、少なくとも前記後端側部分22は導電性を備えたスリーブ23として形成され、前記静電容量型タッチペン30は前記スリーブ23と接続されているとともに、前記静電容量型タッチペン30と前記筆記先端12とは一体の機構により同時に出没可能に形成されていることを特徴とする。
すなわち、本第2の発明においては、軸筒20の先端に筆記先端12が設けられ、後端に静電容量型タッチペン30が設けられている。
筆記先端12とは、筆記具において筆記面、たとえば紙面に直接接触する部分をいう。この筆記先端12としては、ボールペン、シャープペンシル、フェルトペン、マーカーペン等、様々な筆記具のものが想定される。
静電容量型タッチペン30とは、導電性を有する材質で筆記先端のような形状に成形されたものをいう。この材質とは、導電性を有していれば特に限定はない。よって、この材質としては金属材料、表面にメッキ処理を施した材料、あるいは炭素材料を使用してもよいが、液晶画面に接触させる関係上、より軟質なもの、たとえばポリチオフェンあるいはポリピロールのような導電性の高分子材料を使用して形成するか、又は表面にコーティングして使用することが望ましい。
本発明における軸筒20においては、少なくとも後端側の部分、すなわち、静電容量型タッチペン30が位置する後端側部分22の表面は、たとえばステンレス鋼等の金属のような、導電性の材質で形成されている。なお、軸筒20のうち、筆記先端12が位置する先端側は非導電性の材質で先端側部分21を形成し、また、導電性の材質で後端側部分22を形成し、この両者を結合することで軸筒20を構成している。なお、先端側部分21は後端側部分22と同じく導電性の材質で形成されていてもよいが、内部機構を含めた部品成形の容易性や筆記中に静電容量型タッチペン30が予期せずにタッチパネルに触れた場合の誤動作を防ぐために、非導電性プラスチックで形成されることで、非導電性に形成されていることが望ましい。また、軸筒20の全体を非導電性の材質で形成し、後端側部分22となる箇所の表面に金属製の筒構造を被覆するとか、あるいは、金属メッキを施すとかによって、表面のみを導電性に形成することとしてもよい。いずれの場合も、少なくとも軸筒20の後端側部分22の表面は導電性に形成されることとなっており、このような後端側部分22の表面部分をスリーブ23と称する。
このスリーブ23は、静電容量型タッチペン30との間で、導電性を有するように接続されることとなっている。ここで、スリーブ23と静電容量型タッチペン30とは直に接するように接続される。
このように構成した、静電容量型タッチペン30を搭載した筆記具10においては、軸筒20の、非導電性の先端側部分21を手指にて把持すれば筆記具による通常の筆記が可能である。また、スリーブ23を手指にて把持すれば、手指からスリーブ23を介して静電容量型タッチペン30までの導電性が確保される。そしてこの状態で、静電容量型タッチペン30を静電容量式のタッチパネルに接触させれば、手指で直接触れるのと同様に、接触箇所の静電容量が変化することとなり、接触箇所が認識されることとなる。
ここでこの一体の機構としては、公知のノック機構、あるいは軸筒20を捻ることによる繰り出し機構等、様々なものが可能である。いずれの場合にも、一体の機構を操作することによって、筆記先端12と静電容量型タッチペン30とが同時に突出して両方とも使用可能となり、また使用後はその一体の機構を逆方向に操作することによって両方とも収納されることとなっている。
このように形成することで、スリーブ23と静電容量型タッチペン30との接触による導電性を確保しつつ、ノック機構による前後方向の移動による操作をこの両者の接触と干渉することなく実行することが可能となっている。
すなわち、本発明のうち第1の発明によると、静電容量型に対応したタッチペンを備えた筆記具を提供することが可能となる。また、第2の発明によると、そのような筆記具において、筆記先端とタッチペンとの出没を容易に行うことのできる筆記具を提供することが可能となり、また、未使用時ではタッチペンは被覆部材で覆われているので、タッチペン部分の無用な汚損及び破損を防ぐことができる。
本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
本発明の実施の形態に係る、静電容量型タッチペン30を搭載した筆記具10は、未使用状態では図1に示すような外観を呈している。軸筒20は、ポリカーボネート製であり、その先端側部分21はポリカーボネートの材質が露出している。またその後端側部分22には、ステンレス鋼製のスリーブ23が接合されている。軸筒20の先端側部分21の先端には先軸25が螺合されている。スリーブ23の後端部分には前後方向に切り欠かれたスリットであるガイドスリット24が形成されている。また、スリーブ23の後端部分を覆うようにして、被覆部材40が設けられている。被覆部材40の側面には外方へ突出するノック用突起41が形成されている。このノック用突起41は、ガイドスリット24内に前後方向へ移動可能に挿入されている。これらスリーブ23及び被覆部材40の詳細については後述する。この図1に示す未使用状態においては、ボールペンとしての筆記先端12は軸筒20の先端側部分21内に収納されているとともに、静電容量型タッチペン30は被覆部材40により被覆されており、いずれも外部からは視認できない。
スリーブ23は、図3(A)〜(E)に示すように、中空円筒形のステンレス鋼であり、後述の図5に示すように、軸筒20の後端側部分22を被覆することとなっている。スリーブ23には上述の通りガイドスリット24(図3(A)、(C)参照)が形成されている。スリーブ23の後端部分、すなわち、このガイドスリット24を有する部分の断面は、図3(F)に示すように、ガイドスリット24部分を欠いた円弧状を呈している。
本発明に係る、静電容量型タッチペン30を搭載した筆記具10は、図5(A)の側面断面図に示すように、軸筒20内に、筆記先端12が先端に装着されたボールペンリフィル11が収容されている。また、軸筒20内の先端側には、スプリング止め26が挿入されている。ボールペンリフィル11の後端部分は回転子50によって保持されている。回転子50の後端にはノック棒51が接続され、この後端には前記した被覆部材40の接続突起44(図4参照)が圧入され接続されている。回転子50の先端側にはスプリング52が挿入されている。このスプリング52の先端は、前記スプリング止め26に当接し支持されている。これら、回転子50、ノック棒51、スプリング52及び図示を省略した軸筒20内周面のカム溝によって従来公知のカーンノック機構が構成されている。
一方、静電容量型タッチペン30を下向きに、スリーブ23側を手指にて保持すれば、手指から金属製のスリーブ23及び口金31を経て、導電性樹脂製の静電容量型タッチペン30に至る導電構造が樹立されることで、これを静電容量式の液晶タッチパネルに触れさせると、手指が直接触れたのと同じようなタッチパネルの操作が可能となる。
(2)その他
上記の実施の形態の他、本発明には、以下に示すような変形例も可能である。
スリーブ23と軸筒20は一体に形成することも可能である。その場合は軸筒20の後端側部分22に金属メッキを施すか、導電性材料で成形をする必要がある。
さらに、ノック用突起41は、クリップ状に形成してもよい。
また、先軸25は軸筒20とは別体の部品として形成されているが、軸筒20と一体に形成されることとしてもよい。
なお、ボールペンリフィル11に収容されるインクを、公知である熱変色性インク又は消しゴム消去性インクとしてもよい。このとき、後端に装着されるタッチペン部分を、上記のインクに応じて熱可塑性エラストマー又は消しゴムで形成されたゴム弾性を有する材料とすることによって感圧式タッチペンや消せるノック式ボールペンとして形成することとしてもよい。
20 軸筒 21 先端側部分 22 後端側部分
23 スリーブ 24 ガイドスリット 25 先軸
26 スプリング止め
30 静電容量型タッチペン 31 口金
40 被覆部材 41 ノック用突起 42 底面
43 挿通スリット 44 接続突起
50 回転子 51 ノック棒 52 スプリング
Claims (6)
- 軸筒の先端側に筆記先端が設けられ、かつ、後端側に導電性を備えた静電容量型タッチペンを搭載した筆記具であって、
前記軸筒の表面のうち、少なくとも前記軸筒の後端側は導電性を備えたスリーブとして形成され、
前記軸筒の前記後端側には導電性を有しかつ前記静電容量型タッチペンを直接保持する口金が設けられているとともに、
前記静電容量型タッチペンは前記口金を介して前記スリーブと接続されていることを特徴とする、静電容量型タッチペンを搭載した筆記具。 - 軸筒の先端側に筆記先端が設けられ、かつ、後端側に導電性を備えた静電容量型タッチペンを搭載した筆記具であって、
前記軸筒の表面のうち、少なくとも前記軸筒の後端側は導電性を備えたスリーブとして形成され、
前記静電容量型タッチペンは前記スリーブと接続されているとともに、
前記静電容量型タッチペンと前記筆記先端とは一体の機構により同時に出没可能に形成されていることを特徴とする、静電容量型タッチペンを搭載した筆記具。 - 前記軸筒の表面のうち、前記先端側は非導電性に形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の、静電容量型タッチペンを搭載した筆記具。
- 前記一体の機構はノック機構であって、前記筆記先端は、該ノック機構の前後方向への移動を伴う操作により前記軸筒の前記先端より出没可能に形成されているとともに、
前記ノック機構の後端には前記筆記先端が軸筒内に没入している状態において前記静電容量型タッチペンを被覆するとともに前記スリーブに対して前後移動可能に形成されている被覆部材が連接されており、
前記ノック機構の前方への移動により前記筆記先端が前記軸筒の前記先端より突出する際に、前記被覆部材も該ノック機構と連動して前方へ移動することで前記静電容量型タッチペンが該被覆部材から露出するように形成されていることを特徴とする請求項2記載の、静電容量型タッチペンを搭載した筆記具。 - 前記スリーブには、その後端から長手方向に、少なくとも前記ノック機構の前記前後方向の移動に要する長さを有するガイドスリットが設けられ、
前記被覆部材は、後端が開放するとともに先端に底面を有し、かつ、前記静電容量型タッチペンを収容可能な容積を有する略円筒状に形成され、
前記被覆部材の側面先端側には、前記ガイドスリット内に前後方向へ移動可能に挿入されるノック用突起が設けられているとともに、
前記被覆部材の前記先端の底面には、前記スリーブの後端が挿入される挿通スリットが設けられていることを特徴とする請求項4記載の、静電容量型タッチペンを搭載した筆記具。 - 前記静電容量型タッチペンはペン芯形状を呈することを特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の、静電容量型タッチペンを搭載した筆記具。
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