JP3661784B2 - 金属黒鉛質ブラシ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の利用分野】
この発明は自動車電装モータ等に用いる金属黒鉛質ブラシに関し、特に金属黒鉛質ブラシを無鉛化することに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車電装モータ用ブラシなどの低電圧動作のブラシとして、金属黒鉛質ブラシが用いられてきた。金属黒鉛質ブラシは、黒鉛と銅粉などの金属粉を混合し、成形・焼結して製造され、低電圧動作のため、黒鉛よりも低抵抗の金属粉を配合して抵抗率を低下させている。金属黒鉛質ブラシには、二硫化モリブデン、二硫化タングステンなどの金属硫化物固体潤滑剤や鉛がしばしば添加され、例えばスタータモータ用ブラシなどの負荷が大きいブラシには、ほとんどの場合に鉛と金属硫化物固体潤滑剤とが配合されている。
【0003】
近年、環境負荷物質として鉛が注目されるようになり、鉛無添加のブラシが求められるようになった。もちろん、従来からも鉛を含有しないブラシが有り、スタータモータ以外のモータなどに用いられてきた。またスタータモータ用ブラシでも、通常の使用環境であれば、単に鉛を除くだけでも使用に耐えるものもある。さらに鉛を除いた場合の潤滑性の改善のため、特開平5−226048号は、銅よりも低融点の金属を、銅と合金を作らないように配合することを提案している。しかしながら発明者らは、銅と黒鉛に金属硫化物固体潤滑剤を添加した金属黒鉛質ブラシでは、鉛を除くと、高温中や高湿中でリード線取付抵抗が増大することを見出した。
【0004】
【発明の課題】
この発明の基本的課題は、鉛を含有しない金属黒鉛質ブラシに対して、高温中や高湿中での、リード線取付抵抗の増大を抑制することにある(請求項1〜)。
【0005】
【発明の構成】
この発明は、金属硫化物固体潤滑剤と黒鉛粉体と銅粉を予め混合したものを成形焼成した銅黒鉛質のブラシ本体に、リード線を取り付けた金属黒鉛質ブラシにおいて、前記ブラシ本体を鉛無添加とし、前記ブラシ本体には、前記リード線埋込部と他の部分とで、金属硫化物固体潤滑剤の濃度差を設けて、リード線埋込部での金属硫化物固体潤滑剤の濃度を、回転電機の整流子との接触部側での金属硫化物固体潤滑剤の濃度よりも低くし、リード線埋込部の近傍での、金属硫化物固体潤滑剤の濃度(含有量)を1重量%以下にしたことを特徴とする(請求項1)。
【0006】
好ましくは金属硫化物固体潤滑剤の濃度をほぼ0%とする(請求項)。ここにほぼ0%とは、金属硫化物固体潤滑剤のコンタミネーションレベルの上限である0.1重量%以下を意味する。
金属硫化物固体潤滑剤は好ましくは、二硫化モリブデン及び二硫化タングステンからなる群の少なくとも一員とする(請求項)。
また好ましくは、整流子との接触部側での金属硫化物固体潤滑剤の濃度を1〜5重量%とする(請求項)。
また好ましくは、リード線にメッキ無しの銅素線を、撚り線や編み線などとして用いる(請求項)。
【0007】
好ましくは、ブラシ本体を、整流子との接触部側とリード線埋込部側とで異なる粉体材料を用いて、一体に成形する(請求項)。
特に好ましくは、リード線埋込部側の銅濃度を、整流子との接触部側の銅濃度よりも高くする(請求項)。
金属黒鉛質ブラシの種類は、例えばブラシ本体の成形時にリード線の先端を埋め込んで一体に成形したモールドブラシとする。
【0008】
【発明の作用と効果】
発明者らの実験によると、高温中や高湿中でリード線取付抵抗が増大するのは金属硫化物固体潤滑剤の影響によるものであり、金属硫化物固体潤滑剤を加えなければ、高温中や高湿中でもリード線取付抵抗は実質的に増加しなかった。このことは鉛の有無と関係し、鉛添加の場合にはリード線取付抵抗の増加はほとんど生じなかった。また鉛無添加のブラシでは、リード線取付抵抗の増加に対応して、高温中や高湿中で、ブラシ本体中の銅粉や埋め込んだリード線が酸化されやすくなっていた。
【0009】
二硫化モリブデンや二硫化タングステンなどの金属硫化物固体潤滑剤は、ブラシ設計者の意図により添加の要否が決定されるが、長寿命を要求されるブラシには欠かせないものであり、仮に金属硫化物固体潤滑剤を添加しないと、著しい摩耗が発生することがある。特に従来から鉛が添加されていたスタータブラシなどではこの現象が顕著であり、鉛と金属硫化物固体潤滑剤とを同時に除くと、寿命が著しく低下する。したがって、鉛無添加のブラシから金属硫化物固体潤滑剤を取り除くことができない場合がある。
【0010】
高温中や高湿中で、金属硫化物固体潤滑剤が銅粉や埋め込んだリード線の酸化を促進するメカニズムを、発明者は以下のように推定した。ブラシに添加された金属硫化物固体潤滑剤からは、焼結の際にイオウが遊離し、銅表面と化合して硫化銅を生成する。高湿中で硫化銅に水分が作用すると、強酸性の硫酸銅が生成して、銅粉やリード線を著しく腐食する。高温中での挙動は不明な点が多いが、硫化銅が酸化されて、抵抗が上昇するのではないかと考えられる。
【0011】
鉛がブラシ中の銅粉や埋め込んだリード線の酸化を防止するメカニズムは、正確には不明である。発明者の推定では、ブラシに含有された鉛は焼結の際に部分的に蒸発し、非常に薄い鉛層として銅の表面を被覆する。そしてこの鉛層が保護膜として作用し、保護膜の内部の銅を硫酸イオンなどから保護するものと考えられる。
【0012】
この発明では、リード線埋込部での金属硫化物固体潤滑剤の濃度を他の部分よりも低くするので、リード線やその周囲のブラシ本体中の銅粉を、金属硫化物固体潤滑剤に由来する硫酸イオンなどから保護し、高温中や高湿中でのリード線の取付抵抗の増加を防止ないし抑制できる(請求項1〜)。
この発明ではさらに、リード線埋込部と他の部分とで異なる材質を用いるので、リード線埋込部以外の材質を耐摩耗性などの要求に応じて自由に選択でき、鉛無添加のブラシの設計が容易になる(請求項1〜)。
【0013】
金属硫化物固体潤滑剤によるリード線取付抵抗の増加は、1重量%超で著しくなるので、請求項のようにリード線埋込部の付近での金属硫化物固体潤滑剤の濃度を1重量%以下とすると、簡単にリード線取付抵抗の増加を抑制できる。
もちろん、リード線埋込部での金属硫化物固体潤滑剤の濃度を実質的に0%にすると、すなわち金属硫化物固体潤滑剤の濃度をコンタミネーションレベル以下にすると、高温中や高湿中でのリード線取付抵抗の増加をより確実に防止できる(請求項)。
【0014】
金属硫化物固体潤滑剤は、コストや高温での潤滑性などから、二硫化モリブデンもしくは二硫化タングステン、あるいはこれらの混合物が好ましい(請求項)。
金属硫化物固体潤滑剤の濃度は1〜5重量パーセントが好ましく、1重量パーセント以下の濃度では充分な潤滑作用が得られず、5重量パーセント以上では抵抗率の増加をもたらすなど、ブラシ性能に悪影響が生じる(請求項)。
【0015】
リード線の材質は銅線には限らないが、無メッキの銅素線を用いたリード線で、金属硫化物固体潤滑剤による酸化の防止が特に重要になる(請求項)。なおブラシでは、焼結時にリード線もブラシ本体と一緒に焼結されるため、銅リード線の表面に銀メッキやニッケルメッキを施したメッキリード線の場合でも、高温で焼結すると、内部の銅がメッキ材質と合金化し表面に拡散し、酸化の防止が必要になる。
【0016】
製造の簡便さからすると、ブラシ本体を整流子との接触部側とリード線の取付部側との二つの部材に分け、異なる粉体材料を用いて一体に成形することが好ましい(請求項)。
ここで、整流子側よりもリード線取付部側で、ブラシ材料中の銅濃度を高めると、リード線取付抵抗が小さくなるので好ましい(請求項)。
【0017】
なお鉛無添加のブラシでも、金属黒鉛質ブラシに一般的に使用される電解銅粉には、製造上の理由から不純物として鉛が含まれる場合が多い。さらにブラシの製造工程においても、鉛無添加のブラシと鉛添加のブラシとを同一設備を使って製造すると、鉛無添加のブラシに少量の鉛がコンタミネーションとして入り込む。しかし鉛無添加のブラシでは、一般的にブラシ本体中の鉛濃度が0.2重量%を超えることはない。同様に二硫化モリブデンや二硫化タングステンなどの金属硫化物固体潤滑剤を添加すると、鉛と同様に製造工程でのコンタミネーションが避けられず、微量の金属硫化物固体潤滑剤がリード線取付部の付近に含まれることがある。しかしコンタミネーションによる場合、リード線取付部の近傍での金属硫化物固体潤滑剤の濃度は、0.1重量%を超えることはない。
【0018】
【実施例】
図1〜図4に、ブラシの構造と製造方法とを示す。図1は、実施例の金属黒鉛質ブラシ2を示し、以下では金属黒鉛質ブラシを単にブラシと呼び、例えば自動車電装モータ用のブラシに用い、スタータモータ用のブラシなどに用いる。4はブラシ本体で、6は整流子側部材で、スタータモータなどの回転電機の整流子と接触摺動し、8はリード線埋込部材で、リード線10を埋め込んで固定する部材である。図1の整流子側部材6の付近に、整流子の摺動方向を矢印で模式的に示す。
【0019】
整流子側部材6とリード線埋込部材8とでは、金属硫化物固体潤滑剤の濃度を異ならせ、リード線埋込部材8では少なくとも1重量%以下とし、好ましくは無添加とする。整流子側部材6とリード線埋込部材8との境界が不明確な場合、例えばブラシ2を切断し、リード線10の近傍のブラシ材料中での金属硫化物固体潤滑剤の濃度を、リード線埋込部での金属硫化物固体潤滑剤の濃度と定める。またブラシ材料中の銅濃度は、リード線埋込部材8で整流子側部材6よりも高濃度にすると、リード線取付抵抗を小さくできる。リード線10は、銅素線にニッケルや銀などのメッキを施したものでよいが、実施例では金属硫化物固体潤滑剤による酸化を効率的に防止できるので、無メッキの銅素線を撚った銅リード線とした。
【0020】
ブラシ2の製造は例えば図2のようにし、固定型12に対して例えば一対の下部可動型16,18を用意し、下部可動型18でリード線埋込部材に相当する部分をブロックしておいて、第1のホッパ14から量の多い整流子側部材用の粉体材料26を投入する。次いで下部可動型18を後退させ、第2のホッパ20からリード線埋込部材用の粉体材料28を投入し、先端からリード線10を引き出した上部可動型22を下降させて、成形する。このようにして整流子側部材とリード線埋込部材とを一体に成形し、還元雰囲気などで焼結すれば、ブラシ2が得られる。
【0021】
図3は変形例のブラシの製造を示し、整流子側部材用の粉体材料26を下部可動型24上に図示しないホッパから投入する。次いで、リード線埋込部材用の粉体材料28を埋込部に付着させたリード線10を、上部可動型22で粉体材料26中に埋め込み、これと同時に上部可動型22で加圧して一体に成形する。粉体材料28をリード線10に付着させるには、例えば黒鉛と銅粉の混合粉をフェノール樹脂バインダー溶液などに分散させ、リード線10の埋込部を浸せばよい。
【0022】
図4は、図3のようにして得られる金属黒鉛質ブラシ42を示し、44はブラシ本体、46は整流子側部材、48はリード線埋込部材である。なおブラシの形状や製造方法自体は任意である。
【0023】
以下に具体的な実施例を示す。ブラシの形状は図1のもので、ブラシ本体4の高さHは13.5mm,長さLは13mm,幅Wは6.5mmである。リード線10はメッキ無しの銅素線の撚り線で、編み線でも良く、直径が3.5mm、埋込部の深さが5.5mmである。整流子側部材6とリード線埋込部材8との高さの比は、例えば3:2程度である。
【0024】
実施例1
天然の鱗状黒鉛100重量部に対し、メタノール40重量部に溶解したノボラック型フェノール樹脂を20重量部混合し、ミキサーで均一に混練し、乾燥機でメタノールを乾燥させた後、衝撃型粉砕器で粉砕し、80メッシュパスの篩(198μmパスの篩)で篩い分けて、樹脂処理黒鉛粉体を得た。この樹脂処理黒鉛粉体37重量部に平均粒径30μmの電解銅粉60重量部、二硫化モリブデン粉3重量部を加えて、V型混合機で均一になるまで混合することにより、整流子側部材6に充填する粉体材料26を得た。また前記の樹脂処理黒鉛30重量部に、平均粒径30μmの電解銅粉70重量部を加えてV型混合機で均一になるまで混合することにより、リード線埋込部材に充填する粉体材料28を得た。これらの粉体材料を、図2のようにして、4×10Pa(4×9800N/cm2)の圧力で一体成形し、還元雰囲気の電気炉で700℃で焼結し、実施例1のブラシを得た。
【0025】
実施例2
実施例1で用いた樹脂処理黒鉛30重量部に、平均粒径30μmの電解銅粉69.5重量部、二硫化モリブデン粉0.5重量部を加えてV型混合機で均一になるまで混合することにより、粉体材料28を得た。整流子側部材の粉体材料26は実施例1と同一とし、他は実施例1と同様にして成形・焼結し、実施例2のブラシを得た。
【0026】
実施例3
実施例1で用いた樹脂処理黒鉛30重量部に、平均粒径30μmの電解銅粉69.2重量部、二硫化モリブデン粉0.8重量部を加えてV型混合機で均一になるまで混合することにより、粉体材料28を得た。粉体材料26は実施例1と同一とし、他は実施例1と同様にして成形・焼結し、実施例3のブラシを得た。
【0027】
比較例1
実施例1で用いた樹脂処理黒鉛35重量部に、平均粒径30μmの電解銅粉60重量部、二硫化モリブデン粉3重量部、鉛粉2重量部を加えてV型混合機で均一になるまで混合することにより、粉体材料を得た。整流子側とリード線埋込部側とで粉体材料を変えずに、ブラシ本体の全体に渡って同じ粉体材料を用い、4×10Paの圧力で成形し、還元雰囲気の電気炉で700℃で焼結し、比較例1のブラシを得た。このブラシは、従来の一般的なブラシ製造方法で製造した鉛入りブラシである。
【0028】
比較例2
実施例1で用いた樹脂処理黒鉛37重量部に、平均粒径30μmの電解銅粉60重量部、二硫化モリブデン粉3重量部を加えて、V型混合機で均一になるまで混合することにより、粉体材料を得た。この粉体材料を比較例1と同様にして成形し、焼結して、比較例2のブラシとした。このブラシは、一般的な方法で製造した鉛無添加のブラシである。
【0029】
比較例3
実施例1で用いた樹脂処理黒鉛30重量部に、平均粒径30μmの電解銅粉68重量部、二硫化モリブデン2重量部を加えてV型混合機で均一になるまで混合して、リード線埋込部材8に充填する粉体材料28を得た。整流子側部材6用の粉体材料26は実施例1と同一とし、他は実施例1と同様にして成形・焼結し、比較例3のブラシを得た。
【0030】
比較例4
実施例1の樹脂処理黒鉛30重量部に平均粒径30μmの電解銅粉67重量部、二硫化モリブデン3重量部を加えてV型混合機で均一になるまで混合して、リード線埋込部材8に充填する粉体材料28を得た。整流子側部材は実施例1と同一とし、他は実施例1と同様の方法で成形、焼結し、比較例4のブラシを得た。
【0031】
上記の各ブラシでの金属硫化物固体潤滑剤の含有量(濃度)は、焼結時にノボラック型フェノール樹脂が一部分解して減量するため、配合濃度に対して計算上は若干増加する。しかし、その増加はほとんど誤差範囲である。表1に実施例1〜3、比較例1〜4における、リード線埋込部材側での金属硫化物固体潤滑剤の含有量を示す。なお、表1中の含有量0%は無添加で実質的に含まないことを示し、不純物の含有量を表すものではない。
【0032】
【表1】
試 料 M o 2 含有量 (%) 鉛含有量 (%)
実施例1 0 0
実施例2 0.5 0
実施例3 0.8 0
比較例1 3.1 2.0
比較例2 3.1 0
比較例3 2.0 0
比較例4 3.1 0
【0033】
実施例1〜3及び比較例1〜4のブラシを、温度200℃の電気オーブンに入れて強制的に酸化させ、定期的にリード線取付抵抗を測定した。200℃への暴露に伴うリード線取付抵抗の変化を表2に示す。また実施例1〜3及び比較例1〜4のブラシを、温度80℃相対湿度85%の恒温恒湿層に入れ、高湿度に曝して銅を強制的に酸化させて、定期的にリード線取付抵抗を測定した。高湿中でのリード線取付抵抗の変化を表3に示す。測定数は各10個で算術平均値を取った。リード線取付抵抗の測定は、炭素協会規格JCAS−12−1986「電気機械用ブラシのリード線取付抵抗試験方法」に示す方法で行った。
【0034】
【表2】
200℃暴露によるリード線取付抵抗の変化
試料 リード線取付抵抗 (単位 mv/10A)
日数 初期値 1 2 3 4 5 7 10 15
実施例1 0.81 0.83 0.83 0.84 0.85 0.87 0.91 0.99 1.10
実施例2 0.82 0.85 0.86 0.88 0.91 0.93 0.95 1.01 1.12
実施例3 0.83 0.85 0.88 0.90 0.92 0.95 0.98 1.08 1.14
比較例1 0.80 0.82 0.83 0.85 0.86 0.86 0.90 0.98 1.06
比較例2 0.86 0.99 1.12 1.23 1.56 1.62 1.82 1.96 2.02
比較例3 0.82 0.98 1.23 1.31 1.54 1.59 1.78 1.86 2.01
比較例4 0.81 0.89 1.19 1.23 1.42 1.59 1.85 1.96 2.12
【0035】
【表3】
80℃湿度85%暴露によるリード線取付抵抗の変化
試料 リード線取付抵抗 (単位 mv/10A)
日数 初期値 1 2 3 4 5 7 10 15
実施例1 0.79 0.85 0.93 0.98 1.06 1.12 1.23 1.32 1.38
実施例2 0.81 1.12 1.32 1.42 1.63 1.84 1.97 2.23 2.43
実施例3 0.83 1.26 1.54 1.86 2.06 2.56 2.95 3.35 3.62
比較例1 0.80 0.86 0.92 0.99 1.10 1.16 1.21 1.31 1.36
比較例2 0.90 1.02 1.21 1.96 2.68 4.21 6.78 15.43 28.33
比較例3 0.81 1.69 2.55 2.96 3.06 5.12 7.63 14.55 23.56
比較例4 0.81 1.59 3.22 3.65 4.89 6.21 8.55 16.24 25.12
【0036】
比較例1は従来の鉛入りのブラシである。これから鉛を抜いたものが比較例2のブラシであるが、比較例2のブラシは高湿度中でリード線取付抵抗が著しく増大し、高温中でもリード線取付抵抗が増大した。上記の試験は短期間で結果を得るための加速試験であるため、湿度 85%温度80℃という温度の高い暴露条件としているが、高湿条件中では低い温度でもブラシの酸化が進み、長期間の暴露でリード線取付抵抗は同様に上昇する。比較例3はリード線埋込部側に二硫化モリブデンを2重量パーセント添加し、比較例4は3重量パーセント添加したものであるが、比較例2と同様にリード線取付抵抗が大幅に上昇した。
【0037】
実施例1では同様の加速試験を行っても、リード線取付抵抗はほとんど上昇せず、比較例1と同様の結果が得られた。実施例2、実施例3で同様の加速試験を行うと、リード線取付抵抗は実施例1に比べると若干増加したが、ブラシとして使用できないほどではなかった。実施例では、鉛を含有せず、かつ金属硫化物固体潤滑剤を含有するブラシでも、リード線取付抵抗の上昇を防止することができる。実施例は二硫化モリブデンの添加を例にしたが、問題は二硫化モリブデンから生じる硫酸銅などのイオウ化合物であり、二硫化タングステンでも同様である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例の金属黒鉛質ブラシの斜視図
【図2】 実施例の金属黒鉛質ブラシの製造工程を模式的に示す図
【図3】 変形例の金属黒鉛質ブラシの製造で、リード線埋込部用の粉体材料を付着させたリード線を、整流子側の粉体材料中に埋め込む工程を模式的に示す図
【図4】 変形例の金属黒鉛質ブラシの断面図
【符号の説明】
2,42 金属黒鉛質ブラシ
4,44 ブラシ本体
6,46 整流子側部材
8,48 リード線埋込部材
10 リード線
12 固定型
14,20 ホッパ
16,18 下部可動型
22 上部可動型
26,28 粉体材料

Claims (7)

  1. 金属硫化物固体潤滑剤と黒鉛粉体と銅粉を予め混合したものを成形焼成した銅黒鉛質のブラシ本体に、リード線を埋め込んだ金属黒鉛質ブラシにおいて、
    前記ブラシ本体を鉛無添加とし、
    前記ブラシ本体には、前記リード線の埋込部と他の部分とで金属硫化物固体潤滑剤の濃度差を設けて、リード線の埋込部近傍での金属硫化物固体潤滑剤の濃度を、回転電機の整流子との接触部側での金属硫化物固体潤滑剤の濃度よりも低くし、リード線の埋込部近傍での金属硫化物固体潤滑剤の濃度を1重量%以下としたことを特徴とする、金属黒鉛質ブラシ。
  2. リード線埋込部の近傍での、金属硫化物固体潤滑剤の濃度をほぼ0%にしたことを特徴とする、請求項の金属黒鉛質ブラシ。
  3. 金属硫化物固体潤滑剤を二硫化モリブデン及び二硫化タングステンからなる群の少なくとも一員としたことを特徴とする、請求項1または2の金属黒鉛質ブラシ。
  4. 整流子との接触部側での金属硫化物固体潤滑剤の濃度を1〜5重量%としたことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかの金属黒鉛質ブラシ。
  5. 前記リード線にメッキ無しの銅素線を用いたことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかの金属黒鉛質ブラシ。
  6. ブラシ本体を、整流子との接触部側とリード線埋込部側とで異なる粉体材料を用いて、一体に成形したことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかの金属黒鉛質ブラシ。
  7. リード線埋込部側の銅濃度を、整流子との接触部側の銅濃度よりも高くしたことを特徴とする、請求項の金属黒鉛質ブラシ。
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