JP2006320043A - 金属黒鉛質ブラシ - Google Patents

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Nobushi Inada
信史 稲田
Yoshihiro Koike
吉弘 小池
Mitsuhiko Koyama
光彦 小山
Takamasa Nemoto
隆征 根本
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Abstract

【課題】 直流モータ作動に伴う整流子とブラシ間の接触電圧降下増加を抑制し、モータの出力低下を抑制する金属黒鉛質ブラシを提供する。
【解決手段】 銅及び黒鉛を主成分とし、これらに金属硫化物固体潤滑剤及び酸化物生成の標準自由エネルギーが銅よりも低い金属を含む金属黒鉛質ブラシにおいて、さらに電解銀を得られる金属黒鉛質ブラシに対して0.1〜5重量%含有してなる金属黒鉛質ブラシであり、特に、電解銀が、平均粒径10μm以上のもので、金属硫化物固体潤滑剤が、得られる金属黒鉛質ブラシに対して1〜5重量%及び酸化物生成の標準自由エネルギーが銅よりも低い金属が、得られる金属黒鉛質ブラシに対して0.05〜5重量%含有することが好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、発電機、電動機等に使用される回転電機用、特に自動車電装モータに使用される金属黒鉛質ブラシに関する。
自動車電装モータ用のブラシとしては、従来から銅と黒鉛を主体とした金属黒鉛質ブラシが使用されている。自動車電装モータは、環境負荷低減=低燃費=車両重量低減の観点から小型高出力化が進み、それに伴いブラシ電流密度や摺動速度も増大している。これらブラシ使用条件の過酷化はブラシ寿命の低下や作動に伴う出力低下などの問題をもたらすため、自動車電装モータ用ブラシは材料面及び構造面から種々の改良がなされてきた。
例えば、電気的特性を損なわずに摩耗速度を低減させる手法として特許文献1に記載されているように比抵抗の異なる複数の層で構成することで整流性能を向上させブラシの寿命を向上させる方法がある。
しかしながら、作動に伴う出力低下については決定的な防止法がないのが現状である。
特開平09−049479号公報
本発明は、直流モータ作動に伴う整流子とブラシ間の接触電圧降下増加を抑制し、モータの出力低下を抑制する金属黒鉛質ブラシを提供するものである。
本発明は、銅及び黒鉛を主成分とし、これらに金属硫化物固体潤滑剤及び酸化物生成の標準自由エネルギーが銅よりも低い金属を含む金属黒鉛質ブラシにおいて、さらに電解銀を得られる金属黒鉛質ブラシに対して0.1〜5重量%含有してなる金属黒鉛質ブラシに関する。
また、本発明は、電解銀が、平均粒径10μm以上のものである上記の金属黒鉛質ブラシに関する。
さらに、本発明は、金属硫化物固体潤滑剤が、得られる金属黒鉛質ブラシに対して1〜5重量%及び酸化物生成の標準自由エネルギーが銅よりも低い金属が、得られる金属黒鉛質ブラシに対して0.005〜5重量%含有してなる上記の金属黒鉛質ブラシに関する。
本発明の金属黒鉛質ブラシは、直流モータ作動に伴う整流子とブラシ間の接触電圧降下増加を抑制することができるため、モータの出力低下を抑制することができ、工業的に極めて好適である。
本発明において、電解銀の含有量は、得られる金属黒鉛質ブラシに対して0.1〜5重量%、好ましくは0.2〜4重量%、さらに好ましくは0.2〜3重量%の範囲とされ、含有量が0.1重量%未満であると効果が乏しく、5重量%を超えるとコスト的に工業材料として不適である。
上記電解銀の平均粒径は、10μm以上が好ましく、20μm以上がより好ましく、20〜100μmの範囲のものがさらに好ましい。
また、本発明において、金属黒鉛質ブラシの主成分となる銅は、出力向上及び機械的強度向上の点で、平均粒径が75μm以下の電解銅粉を用いることが好ましい。一方、黒鉛は、結晶の発達した潤滑性のよい天然黒鉛を用いることが好ましい。黒鉛の粒径については特に制限はないが、通常平均粒径が10〜200μm程度の粒子径のものを用いることが好ましい。
上記以外の成分としては、潤滑性の観点から、二硫化モリブデン、二硫化タングステン等の金属硫化物固体潤滑剤や、高温下及び高温多湿下の比抵抗増加抑制の観点から、亜鉛、マンガン等の酸化物生成の標準自由エネルギーが銅よりも低い金属を配合することが好ましい。
金属硫化物固体潤滑剤の含有量は、得られる金属黒鉛質ブラシに対して1〜5重量%が好ましく、2〜4重量%がさらに好ましい。また酸化物生成の標準自由エネルギーが銅よりも低い金属の含有量は、得られる金属黒鉛質ブラシに対して0.05〜5重量%が好ましく、0.1〜4.5重量%がさらに好ましい。
金属硫化物固体潤滑剤の粒径については特に制限はなく、通常平均粒径が0.5〜50μm程度の粒子経のものを用いることが好ましい。また酸化物生成の標準自由エネルギーが銅よりも低い金属の粒径は、通常平均粒径が0.1〜100μm程度の粒子経のものを用いることが好ましい。
なお、平均粒径は、レーザー回折法による一般的な粒度分布測定法で定めた方法により求めることができる。
金属黒鉛質ブラシは、上記に示す成分を混合機で均一に混合した後、成形プレスで200〜400MPa程度の圧力で成形し、その後、水素を含む還元性雰囲気中で焼結し、所定の形状、寸法に機械加工して得られる。
比較例1
平均粒径が35μmの天然黒鉛粉(日本黒鉛工業(株)製、商品名CB−150)80重量%及びフェノール樹脂(日立化成工業(株)製、商品名VP−11N)20重量%を配合し、混合、乾燥、粉砕し、平均粒径が150μmの樹脂処理黒鉛を得た。
次に、この樹脂処理黒鉛40重量%、平均粒径が35μmの電解銅粉(福田金属箔粉(株)製、商品名CE−25)55重量%、平均粒径が5μmの二硫化モリブデン3重量%及び平均粒径が30μmの亜鉛2重量%を秤量し、30分間混合し、全成分を均一に分散した混合粉を得た。
その後、得られた混合粉を銅撚り線と同時に成形プレスで392MPaの圧力で成形し、水素を含む還元性雰囲気中で700℃まで3時間で昇温し、700℃で1時間保持して焼結した。次いで、得られた焼結体を所定の形状、寸法に機械加工して金属黒鉛質ブラシを得た。
実施例1
比較例1で得られた樹脂処理黒鉛40重量%、平均粒径が35μmの電解銅粉(福田金属箔粉(株)製、商品名CE−25)53重量%、平均粒径が5μmの二硫化モリブデン3重量%、平均粒径が30μmの亜鉛2重量%及び平均粒径が30μmの電解銀2重量%を秤量し、30分間混合し、全成分を均一に分散した混合粉を得た。
以下、比較例1と同様の工程を経て金属黒鉛質ブラシを得た。
実施例2
比較例1で得られた樹脂処理黒鉛40重量%、平均粒径が35μmの電解銅粉(福田金属箔粉(株)製、商品名CE−25)54.5重量%、平均粒径が5μmの二硫化モリブデン3重量%、平均粒径が30μmの亜鉛2重量%及び平均粒径が30μmの電解銀0.5重量%を秤量し、30分間混合し、全成分を均一に分散した混合粉を得た。
以下、比較例1と同様の工程を経て金属黒鉛質ブラシを得た。
実施例3
比較例1で得られた樹脂処理黒鉛40重量%、平均粒径が35μmの電解銅粉(福田金属箔粉(株)製、商品名CE−25)50.5重量%、平均粒径が5μmの二硫化モリブデン3重量%、平均粒径が30μmの亜鉛2重量%及び平均粒径が30μmの電解銀4.5重量%を秤量し、30分間混合し、全成分を均一に分散した混合粉を得た。
以下、比較例1と同様の工程を経て金属黒鉛質ブラシを得た。
次に、上記実施例1〜3及び比較例1で得られた金属黒鉛質ブラシを7×12×15mmの寸法に機械加工し、これを直径が100mmの銅製リングに180°の対角位置に2個配置し、0.2MPaのばねで押付け、2個のブラシ間に30A通電した状態で周速15/秒の条件で20時間摺動させ、ブラシ摩耗量と2個のブラシ間の接触電圧降下を測定した。その結果を表1に示す。
Figure 2006320043
表1に示されるように、実施例1〜3の金属黒鉛質ブラシは、比較例1の金属黒鉛質ブラシとほぼ同等の摩耗量であったが、ブラシ摩耗量と2個のブラシ間の接触電圧降下については、実施例1〜3の金属黒鉛質ブラシは比較例1の金属黒鉛質ブラシに比較して増加率が低いことが確認された。

Claims (3)

  1. 銅及び黒鉛を主成分とし、これらに金属硫化物固体潤滑剤及び酸化物生成の標準自由エネルギーが銅よりも低い金属を含む金属黒鉛質ブラシにおいて、さらに電解銀を得られる金属黒鉛質ブラシに対して0.1〜5重量%含有してなる金属黒鉛質ブラシ。
  2. 電解銀が、平均粒径10μm以上のものである請求項1記載の金属黒鉛質ブラシ。
  3. 金属硫化物固体潤滑剤が、得られる金属黒鉛質ブラシに対して1〜5重量%及び酸化物生成の標準自由エネルギーが銅よりも低い金属が、得られる金属黒鉛質ブラシに対して0.05〜5重量%含有してなる請求項1又は2記載の金属黒鉛質ブラシ。
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