JP3659632B2 - スライディングルーフ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両のルーフに組付けられて使用されるスライディングルーフ装置(サンルーフ装置と言われることもある)に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のスライディングルーフ装置は、一般に、車両のルーフに形成された開口部の少なくとも前縁に沿って配設されたハウジングと、このハウジングに沿って配設されたケーシングと、このケーシング内に摺動自在に組付けられてガイドされ駆動機構により駆動される駆動力伝達部材と、この駆動力伝達部材に連結されて同駆動力伝達部材の摺動動作によって前記開口部を開閉するように可動するスライドパネルとを備えていて、例えば、特開平7−69069号公報に示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記した公報に示されているスライディングルーフ装置においては、ケーシングとして少なくとも中間部位を浮動状態としたパイプが採用されるとともに、駆動力伝達部材として歯付ケーブル(例えば、実開平4−31358号公報参照)が採用されている。このため、パイプが浮動状態の中間部位にて大きく振動してガタつくおそれがある。また、従来の歯付ケーブルは、螺旋状の歯部を有していて、駆動機構として歯付ケーブルの螺旋状歯部と噛合するはすば歯車とこれを回転駆動するモータが採用されている。ところで、はすば歯車における力の伝達率は平歯歯車の伝達率より悪いため、モータには高い出力トルクが要求され、モータ自体が大型となる。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記した課題を解決するために、車両のルーフに形成された開口部の少なくとも前縁に沿って配設されたハウジングと、このハウジングに沿って配設されたケーシングと、このケーシング内に摺動自在に組付けられてガイドされ駆動機構により駆動される駆動力伝達部材と、この駆動力伝達部材に連結されて同駆動力伝達部材の摺動動作によって前記開口部を開閉するように可動するスライドパネルとを備えたスライディングルーフ装置において、前記ケーシングは弾性復帰可能な可撓性素材にて形成され、前記ハウジングには複数の係止部が前記ケーシングの長手方向に沿って設けられ、これらの係止部で隣り合う係止部は上下および前後の少なくとも一方にて変位するように配置されていて、これら係止部に前記ケーシングが係合固定されることにより、前記ケーシングは、隣り合う3箇所の係止部間で蛇行配置されるとともに、その弾性復帰力で前記係止部に保持されること(請求項1に係る発明)に特徴がある。
【0005】
この場合において、前記駆動力伝達部材として樹脂製の平歯ラックベルトを採用すること(請求項2に係る発明)、また、前記スライドパネルとともに前後動するシュー部材と前記平歯ラックベルトの端部とを前記開口部の側縁に沿って前後方向に配設されるガイドレールにそれぞれ摺動自在に組付けるとともに、前記シュー部材に設けた係合爪を前記平歯ラックベルトの端部に設けた係合孔に嵌合して前記シュー部材と前記平歯ラックベルトを連結すること(請求項3に係る発明)が可能である。
【0006】
【発明の作用・効果】
本発明によるスライディングルーフ装置(請求項1に係る発明)においては、ケーシングが可撓性素材にて形成されていて容易に湾曲変形可能であるため、ハウジングに設けた上下および前後の少なくとも一方にて変位する(互い違いに配置した)複数の係止部にケーシングを容易に係合固定して組付けることができる。しかも、ハウジングに組付けたケーシングは蛇行配置されていて、その弾性復帰力によって確実に保持されているため、ケーシングのガタつきを防止することができる。また、可撓性素材として樹脂を採用すれば、軽量化を図ることができる。
【0007】
また、本発明によるスライディングルーフ装置(請求項2に係る発明)においては、駆動力伝達部材として樹脂製の平歯ラックベルトが採用されていて、駆動機構として平歯ラックベルトの歯部と噛合する平歯歯車とこれを回転駆動するモータを採用することができる。このため、モータの回転を平歯歯車から平歯ラックベルトに効率よく伝達することができ、モータの小型・軽量化を図ることができる。
【0008】
また、本発明によるスライディングルーフ装置(請求項3に係る発明)においては、シュー部材と平歯ラックベルトの端部がガイドレールにそれぞれ摺動自在に組付けられていて、シュー部材に設けた係合爪を平歯ラックベルトの端部に設けた係合孔に嵌合して連結することで、シュー部材と平歯ラックベルトを容易かつ的確に連結することが可能である。しかも、シュー部材の係合爪と平歯ラックベルトの係合孔は、簡単な加工または成形によって容易に形成できて、安価に実施することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1〜図9は本発明によるスライディングルーフ装置を示していて、このスライディングルーフ装置においては、図1に仮想線にて示した車両のルーフパネル11に形成された開口部13の左右両側縁に沿って対のガイドレール14,15が車両前後方向に延在して配置され、また開口部13の前縁に沿ってハウジング16が車両左右方向に延在して配置されていて、両ガイドレール14,15とハウジング16にてルーフパネル11の下面にそれぞれ固定されている。
【0010】
両ガイドレール14,15は、開口部13の後縁より後方部位にてサポート17を介して互いに連結されていて、このサポート17においてもルーフパネル11の下面に固定されている。また、各ガイドレール14,15には、スライドパネル18を下方から支持するリンク部材21,22が前端部にて車両前後方向に摺動自在かつ上下方向に傾動可能に組付けられるとともに、リンク部材21,22を車両前後方向に摺動させるとともに上下方向に傾動させるシュー部材23,24が車両前後方向に摺動自在に組付けられ、またシュー部材23,24を車両前後方向に摺動させる平歯ラックベルト25,26の後端部が車両前後方向に摺動自在に組付けられている。
【0011】
ハウジング16は、左右両端にて両ガイドレール14,15の前端に連結されていて、対の平歯ラックベルト25,26を摺動自在に収容してガイドするケーシング27,28を支持するとともに、両平歯ラックベルト25,26を駆動する駆動機構30を支持している。駆動機構30は、両平歯ラックベルト25,26の各平歯25a,26aと図7に示したように噛合する平歯歯車31と、これを回転駆動するモータ32と、これらを支持するギヤハウジング33を備えていて、モータ32が平歯歯車31を正転または逆転駆動することにより、両平歯ラックベルト25,26が逆方向に駆動されるようになっている。
【0012】
このため、モータ32が平歯歯車31を正転または逆転駆動すると、リンク部材21,22とシュー部材23,24が駆動されて、スライドパネル18がルーフパネル11に形成された開口部13を開閉するように可動する。なお、リンク部材21,22とシュー部材23,24が駆動されるのに伴って、両ガイドレール14,15の前端に左右両端にて傾動可能に連結されてスプリング(図示省略)によって常に上方へ付勢されているデフレクター(風防)19が傾動して、開口部13が開かれるときにはルーフパネル11より上方に突出し、開口部13が閉じられるときにはルーフパネル11より下方に収容される。
【0013】
ところで、本実施形態においては、ハウジング16に沿って配設されたケーシング27,28が弾性復帰可能な樹脂等の可撓性素材にて断面矩形に形成されるとともに、ハウジング16には、図5および図6に示したように、複数の係止部16a〜16gがケーシング27,28の長手方向に沿って設けられている。これらの係止部16a〜16gで隣り合う係止部は上下および前後方向にて変位するように配置されていて、これら係止部16a〜16gに形成した係止溝(図2の係止溝16c1,16c2と図3の係止溝16b1,16b2参照)にケーシング27,28が係合固定されることにより、ケーシング27,28は、隣り合う3箇所の係止部間で図6に示したように蛇行配置されるとともに、その弾性復帰力で係止部16a〜16gに保持されている。
【0014】
このため、ケーシング27,28を容易に湾曲変形させることができて、ハウジング16に設けた複数の係止部16a〜16gにケーシング27,28を容易に係合固定して組付けることができる。しかも、ハウジング16に組付けたケーシング27,28は蛇行配置されていて、その弾性復帰力によって確実に保持されているため、ケーシング27,28のガタつきを防止することができる。また、ケーシング27,28の素材として樹脂が採用されているため、軽量化を図ることができる。
【0015】
また、本実施形態においては、駆動機構30の駆動力をシュー部材23,24に伝達する駆動力伝達部材として樹脂製の平歯ラックベルト25,26が採用されていて、駆動機構30として平歯ラックベルト25,26の歯部25a,26aと噛合する平歯歯車31とこれを回転駆動するモータ32を備えるものが採用されている。このため、モータ32の回転を平歯歯車31から平歯ラックベルト25,26に効率よく伝達することができ、モータ32の小型・軽量化を図ることができる。
【0016】
また、本実施形態においては、スライドパネル18とともに前後動するシュー部材23,24と平歯ラックベルト25,26の後端部とをガイドレール14,15にそれぞれ摺動自在に組付けるとともに、シュー部材23,24に設けた側方に延びる5個の係合爪(図8および図9の係合爪23a参照)を平歯ラックベルト25,26の後端部に設けた左右方向に貫通する5個の係合孔(図8および図9の係合孔25b参照)に嵌合してシュー部材23,24と平歯ラックベルト25,26を連結している。
【0017】
このため、シュー部材23,24に設けた側方に延びる係合爪(23a)を平歯ラックベルト25,26の後端部に設けた左右方向に貫通する係合孔(25a)に単に嵌合して連結することで、シュー部材23,24と平歯ラックベルト25,26を容易かつ的確に連結することができる。しかも、シュー部材23,24の係合爪(23a)と平歯ラックベルト25,26の係合孔(25a)は、簡単な加工または成形によって容易に形成できて、安価に実施することができる。
【0018】
また、本実施形態においては、ハウジング16に平歯歯車31の上方を覆うカバー16hが一体的に形成されていて、このカバー16hにギヤハウジング33が2本のねじ34,35によって組付けられていて、この際に各ケーシング27,28(ギヤハウジング33を中央として二分割されている)の中央連結部が挟み込まれて支持されるようになっている。このため、部品数の低減を図って低コスト・軽量化を図ることができる。
【0019】
また、本実施形態においては、開口部13のフロント辺における樋部13aが車両のルーフパネル11側に設けられていて、この樋部13aに落ちた水がハウジング16の左右両端部に形成した樋部16i,16jに導かれて、ハウジング16に組付けたドレンパイプ36,37を通して排出されるように構成されている。また、ルーフパネル11側の樋部13aには、開口に向けて水平に延びるフランジ部13bが形成されていて、このフランジ部13bに内装天井11aが固定されるように構成されている。このため、ハウジング16の必要強度を低く設定することができるとともに、ハウジング16を小型化できて、ハウジング16の低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明によるスライディングルーフ装置の一実施形態を示す平面図である。
【図2】 図1のA−A線に沿った平歯ラックベルトを省略した断面図である。
【図3】 図1のB−B線に沿った平歯ラックベルトを省略した断面図である。
【図4】 図1のC−C線に沿った平歯ラックベルトを省略した断面図である。
【図5】 図1に示したスライディングルーフ装置における前方構成の分解斜視図である。
【図6】 ハウジングにケーシングを組付けた状態の正面図である。
【図7】 平歯歯車と両平歯ラックベルトの関係を示す平面図である。
【図8】 リンク部材、シュー部材および平歯ラックベルトの後端部を示す分解斜視図である。
【図9】 シュー部材と平歯ラックベルトの連結関係を示す平面図である。
【符号の説明】
11…ルーフパネル、13…開口部、14,15…ガイドレール、16…ハウジング、16a〜16g…係止部、17…サポート、18…スライドパネル、21,22…リンク部材、23,24…シュー部材、23a…係合爪、25,26…平歯ラックベルト(駆動力伝達部材)、25a…係合孔、27,28…ケーシング、30…駆動機構、31…平歯歯車、32…モータ、33…ギヤハウジング。
Claims (3)
- 車両のルーフに形成された開口部の少なくとも前縁に沿って配設されたハウジングと、このハウジングに沿って配設されたケーシングと、このケーシング内に摺動自在に組付けられてガイドされ駆動機構により駆動される駆動力伝達部材と、この駆動力伝達部材に連結されて同駆動力伝達部材の摺動動作によって前記開口部を開閉するように可動するスライドパネルとを備えたスライディングルーフ装置において、前記ケーシングは弾性復帰可能な可撓性素材にて形成され、前記ハウジングには複数の係止部が前記ケーシングの長手方向に沿って設けられ、これらの係止部で隣り合う係止部は上下および前後の少なくとも一方にて変位するように配置されていて、これら係止部に前記ケーシングが係合固定されることにより、前記ケーシングは、隣り合う3箇所の係止部間で蛇行配置されるとともに、その弾性復帰力で前記係止部に保持されることを特徴とするスライディングルーフ装置。
- 請求項1に記載のスライディングルーフ装置において、前記駆動力伝達部材として樹脂製の平歯ラックベルトを採用したことを特徴とするスライディングルーフ装置。
- 請求項2に記載のスライディングルーフ装置において、前記スライドパネルとともに前後動するシュー部材と前記平歯ラックベルトの端部とを前記開口部の側縁に沿って前後方向に配設されるガイドレールにそれぞれ摺動自在に組付けるとともに、前記シュー部材に設けた係合爪を前記平歯ラックベルトの端部に設けた係合孔に嵌合して前記シュー部材と前記平歯ラックベルトを連結したことを特徴とするスライディングルーフ装置。
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