以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
[参考例1]
図1において、本参考例に係る遠隔操作装置10は、車室16内に設けられる車室内部品の一例たるグローブボックス12と、駆動機構14とを有している。
グローブボックス12は、ステアリングホイール28等が配設される運転席(図示せず)から遠い、助手席(図示せず)前方のインストルメントパネル22に設けられた箱形の収納容器であり、上方が開口すると共に、可動部の一例たる開閉機構18を介して開閉可能に構成されている。グローブボックス12の左右の縦壁部12A,12Bの上縁には、例えば該上縁から該グローブボックス12の幅方向内側に張り出すと共に、該上縁に沿って車両前後方向に延びる張出し部12C,12Dが夫々設けられている。図2に示されるように、グローブボックス12の蓋体12Eは、グローブボックス12を閉じた際に、例えばインストルメントパネル22と面一となるように構成されている。グローブボックス12は駆動機構14を用いた遠隔操作により開閉されるようになっているため、蓋体12Eに一般的なロック機構やロック解除ハンドル(図示せず)を設ける必要がない。
張出し部12C,12Dには、開閉機構18の一部として、グローブボックス12を例えば車両前後方向に開閉可能に案内するためのガイド24が夫々設けられている。図3に示されるように、該ガイド24は、例えばボルト26により該張出し部12Dに固定されており、グローブボックス12の開閉方向である車両前後方向に延設されている。一方、インストルメントパネル22側には、開閉機構18の一部として、レール32が車両前後方向に延設されており、ガイド24は、該レール32に転動体34を介して組み付けられている。即ち、ガイド24は、レール32に案内されて車両前後方向に直進往復動可能に構成されている。レール32に対するガイド24の可動範囲は、グローブボックス12の開閉範囲と同等以上に設定されている。
張出し部12D上における、レール32よりも車室中央側でかつ該レール32と離間した位置には、開閉機構18の一部として、ラック36が車両前後方向に延設されている。該ラック36の歯(図示せず)は、開閉機構18側、即ち車幅方向外側に向けて立設されると共に、車両前後方向に配列されている。
駆動機構14は、操作ケーブル38を介して、開閉機構18のラック36に対して駆動力を伝達するための機構であって、該ラック36を常に引き動作で操作可能に構成されている。具体的には、図4に示されるように、駆動機構14においては、駆動側プーリ(図示せず)を有する駆動側端末部42と、従動側プーリ44(図3)を有する従動側端末部46とが、操作ケーブル38により連結されている。
駆動側端末部42では、ケーシング48内に駆動側プーリが回動自在に軸支されており、図4に示されるように、駆動側プーリには、例えば四角形断面の差込み部52が、ケーシング48から突出して設けられている。駆動側端末部42に連結される操作レバー56は、例えば門形に形成されており、その下端部の一方に差込み穴56Aが形成されている。操作レバー56における差込み穴56Aと同軸上には、操作レバー56の下端部同士を連結する軸部56Bが設けられている。駆動側端末部42の差込み部52は、操作レバー56の差込み穴56Aに嵌め込まれており、軸部56Bを中心として操作レバー56を揺動させることで、駆動側プーリを回転させることが可能となっている。
図1において、操作レバー56は、グローブボックス12よりも運転席に近い、例えばセンタコンソール54におけるコンソールボックス58よりも車両前方側に設けられ、軸部56B(図4)において、所定範囲内で揺動可能に支持されている。コンソールボックス58には、操作レバー56の倒伏時に該操作レバー56が入り込む溝部54Aが設けられている。
なお操作レバー56の設置位置は、図示の位置に限られるものではなく、例えばセンタコンソール54における更に前方位置でもよい。また更に運転席側から操作し易くなるように、操作レバー56を、例えばステアリングホイール28の周辺のインストルメントパネル22に設けるようにしてもよい。
図3,図4において、従動側端末部46では、ケーシング64がボルト62によりレール32に対して固定され、該ケーシング64の軸64Aに従動側プーリ44が回動自在に軸支されている。従動側プーリ44のボス部44Aには、ラック36と噛合するピニオン66が固定されており、従動側プーリ44を駆動してピニオン66を回転させることで、ラック36を車両前後方向に駆動することができるようになっている。
操作ケーブル38は、駆動側端末部42のケーシング48と、従動側端末部46のケーシング64とを連結する可撓性のチューブ68内に、駆動側プーリと従動側プーリ44とに夫々巻き掛けられた無端のワイヤ70を挿通して構成されている。ワイヤ70は無端であるため基本的には1本の構成であるが、チューブ68内には見かけ上2本のワイヤ70が存在している。これら見かけ上2本のワイヤ70は、駆動側プーリ及び従動側プーリ44の回転に伴って互いに反対方向に移動するようになっており、これにより駆動側プーリの回転方向に依存することなく、常に引き動作で従動側プーリ44を駆動することができるようになっている。
なお、操作レバー56の操作量に対するグローブボックス12の開閉量を大きくするために、駆動側端末部42及び従動側端末部46の少なくとも一方に、増速機構を設けるようにしてもよい。またグローブボックス12の開閉動作に高級感を与えるために、該開閉動作中のグローブボックス12の移動速度に緩急を付け、例えば開放端及び閉止端付近の移動速度を、その中間の移動速度よりも遅く設定してもよい。
(作用)
本参考例は、上記のように構成されており、以下その作用について説明する。図1に示されるように、遠隔操作装置10では、操作レバー56を引き起こすことにより、グローブボックス12を車両後方にスライドさせて開くことができる。具体的には、図4において、倒伏状態の操作レバー56を矢印A方向に引き起こすと、該操作レバー56の差込み穴56Aに差し込まれている駆動側端末部42の差込み部52及び従動側端末部46内の駆動側プーリが、操作レバー56の引き起こし角度に対応した角度だけ矢印B方向に回転する。
駆動側プーリの回転に伴い、操作ケーブル38における見かけ上2本のワイヤ70のうち、一方が矢印C方向に引かれると共に、他方が矢印D方向に送り出されるので、従動側端末部46における従動側プーリ44及びピニオン66が矢印E方向に回転する。従動側端末部46のケーシング64は、インストルメントパネル22側に固定されたレール32に対して固定されているので、ピニオン66が矢印E方向に回転することにより、ラック36が車両後方、即ち矢印O方向に送り出され、図1に示されるように、グローブボックス12がガイド24及びレール32により案内されて車両後方に開く。
次に、遠隔操作装置10では、図2に示されるように、操作レバー56を倒伏させることにより、グローブボックス12を車両前方にスライドさせて閉じることができる。このとき、駆動機構14及び開閉機構18の各部は、上記したグローブボックス12を開く際とは逆方向に動作する。操作ケーブル38における見かけ上2本のワイヤ70については、各々の移動方向は逆転するものの、一方が引かれ他方が送り出されるという作用についてはグローブボックス12を開く際と同様である。即ち、遠隔操作装置10では、グローブボックス12の開閉時には、開閉機構18を常に引き動作で操作することが可能である。
なお、駆動側端末部42及び従動側端末部46の少なくとも一方に増速機構が設けられている場合には、操作レバー56のわずかな操作でグローブボックス12を大きく開閉することができる。また、開閉動作中のグローブボックス12の移動速度に緩急を付け、例えば開放端及び閉止端付近の移動速度を、その中間の移動速度よりも遅く設定例えばグローブボックス12の閉じ始めの移動速度を速くして、閉じ終わり直前の移動速度を緩めるようにした場合には、開放端及び閉止端で緩やかにグローブボックス12の移動が停止するので、該グローブボックス12の開閉動作に高級感を与えることが可能である。
このように、遠隔操作装置10では、グローブボックス12の開閉機構18を、駆動機構14における操作ケーブル38を介して常に引き動作で操作することができるので、該操作ケーブル38の配策の自由度が高く、インストルメントパネル22の設計の自由度を高めることが可能である。また遠隔操作装置10では、グローブボックス12から遠い例えば運転席からでも、遠隔操作により、該グローブボックス12の開閉を容易に行うことが可能である。更に、グローブボックス12の開閉にモータや電気回路を使用しないので、低コストである。またグローブボックス12の開閉機構18を常に引き動作で操作できるので、操作荷重が均一であり、良好な操作感を乗員に与えることができる。更にグローブボックス12を操作レバー56の操作により開閉可能であるので、グローブボックス12の蓋体12Eに開閉ノブが不要であり、意匠性をより向上させることができる。
[参考例2]
図5において、本参考例に係る遠隔操作装置20は、車室16内に設けられる車室内部品の一例たるトレイ72と、駆動機構14とを有している。
トレイ72は、運転席(図示せず)から遠い、助手席(図示せず)前方のインストルメントパネル22の下部に懸架された箱形の収納容器であり、上方が開口すると共に、可動部の一例たるリンク機構74を介してインストルメントパネル22の下方において車両前後方向に移動可能に構成されている。トレイ72の左右の縦壁部72A,72Bには、リンク機構74における第1リンク81の一端及び第2リンク82の一端が、車両前後方向に離間して夫々ピン結合されている。
図6において、インストルメントパネル22内には、構造部材である例えば丸パイプ状のインパネリインフォース76が車幅方向に延設されており、該インパネリインフォース76の車両後方の斜め下方には、支持ブラケット78を用いて、例えば丸パイプ状の支持部材80がインパネリインフォース76と平行に取り付けられている。
図8に示されるように、支持部材80の段付き部80Aには、歯付きプーリ84が軸受(図示せず)を介して回動自在に取り付けられている。第2リンク82の他端は、該歯付きプーリ84における歯部の側方に設けられており、該歯付きプーリ84の回転に伴って揺動するように構成されている。支持部材80における例えば軸端の段付き部80Bには、爪部86Aを有するスリーブ86が取り付けられている。該爪部86Aは、スリーブ86が段付き部80Bに対して回転しないように、段付き部80Bに係合している。
スリーブ86に対しては、駆動機構14における従動側端末部46が組み付けられている。具体的には、従動側プーリ88はスリーブ86の外側に組み付けられており、爪部88Aにより該スリーブ86と係合すると共に、該スリーブ86に対して回動自在に構成されている。従動側プーリ88と歯付きプーリ84とは、例えば従動側プーリ88に設けられた突起部88Bにより互いに係合しており、従動側プーリ88の回転が歯付きプーリ84に伝達されるようになっている。従動側プーリ88には、ワイヤ70が巻き掛けられており、操作レバー56(図5)の操作により回転するように構成されている。なお、スリーブ86や従動側プーリ88は、図示の構成に限られず、該従動側プーリ88の回転を歯付きプーリ84に伝達できる構成であればよい。
一方、図9において、インパネリインフォース76の段付き部76Aには、歯付きプーリ90が軸受(図示せず)を介して回動自在に取り付けられ、止め輪92によりインパネリインフォース76の軸方向位置が規制されている。この歯付きプーリ90は、例えば歯付きプーリ84と同一のピッチ円直径を有している。第1リンク81の他端は、該歯付きプーリ90における歯部の側方に設けられており、該歯付きプーリ90の回転に伴って揺動するように構成されている。
図7に示されるように、歯付きプーリ84及び歯付きプーリ90には歯付きベルト94が巻き掛けられており、第2リンク82が揺動する際には、第1リンク81も同期して揺動し、これによりトレイ72が車両前後方向に移動するようになっている。このリンク機構74は、例えば平行リンク機構として構成されている。なお、トレイ72が車両前後方向に移動する際に、ある程度姿勢変化させる場合には、歯付きプーリ84及び歯付きプーリ90のピッチ円直径に差を設けてもよく、またリンク機構74を平行リンク機構としなくてもよい。
他の部分については、参考例1と同様であるので、同一の部分には図面に同一の符号を付し、説明を省略する。
(作用)
本参考例は、上記のように構成されており、以下その作用について説明する。図5において、遠隔操作装置20では、操作レバー56を引き起こすことにより、図7に示されるように、インストルメントパネル22の下で収納状態となっているトレイ72を、車両後方の例えば斜め下方に移動させて助手席前方に露出させることができる。トレイ72は、収納状態においては、例えば、フロントウインドシールド100を支持するカウル96や、該カウル96の下方のダッシュパネル98と干渉しない程度に車両前方に位置している。
操作レバー56を操作したときの駆動機構14の作用は参考例1と同様であるので、詳しい説明は省略するが、具体的には、倒伏状態の操作レバー56を引き起こすと、図7において、従動側プーリ88(図8)が矢印F方向に回転し、これに伴って歯付きプーリ84も矢印F方向に回転する。歯付きプーリ84の回転は、歯付きベルト94を介して歯付きプーリ90に伝達され、該歯付きプーリ90が歯付きプーリ84と同期して矢印F方向に回転する。これにより、リンク機構74を構成する第1リンク81及び第2リンク82が夫々矢印F方向に揺動し、これによってトレイ72が車両後方の斜め下方へ移動して、助手席の前方に露出した状態となる。露出状態のトレイ72には、図示しない小物類等の出し入れが可能である。
トレイ72を車両前方に移動させて収納状態に戻す際には、操作レバー56を倒伏させればよい。遠隔操作装置20では、参考例1と同様に、トレイ72を車両前後方向に移動させる際には、リンク機構74を常に引き動作で操作することが可能である。
このように、遠隔操作装置20では、トレイ72を車両前後方向に移動させるリンク機構74を、駆動機構14における操作ケーブル38を介して常に引き動作で操作することができるので、該操作ケーブル38の配策の自由度が高く、インストルメントパネル22の設計の自由度を高めることが可能である。また遠隔操作装置20では、トレイ72から遠い例えば運転席からでも、遠隔操作により、該トレイ72の車両前後方向の移動を容易に行うことが可能である。更に、トレイ72の開閉にモータや電気回路を使用しないので、低コストである。またリンク機構74を常に引き動作で操作できるので、操作荷重が均一であり、良好な操作感を乗員に与えることができる。
なお、トレイ72の収納状態及びインストルメントパネル22からの露出状態において、トレイ72が駆動機構14や小物類等の自重により動くことを防止するために、例えば操作レバー56を倒伏状態及び起立状態に夫々保持可能なロック機構を設けてもよい。
[実施形態]
図10において、本実施の形態に係る遠隔操作装置30は、参考例1における操作レバー56(図1)の代わりに、スライドノブ102を有している。スライドノブ102は、例えばセンタコンソール54に設けられており、該センタコンソール54に車両前後方向に長く形成された長孔54B内を、車両前後方向に移動可能に構成されている。図12において、スライドノブ102の周囲には、スライドノブ102のストローク範囲に対応して、シャッタ部102Aが例えば一体的に形成されている。このシャッタ部102Aは、スライドノブ102のストローク範囲において、常に長孔54Bとセンタコンソール54内との間を遮蔽可能であればよく、スライドノブ102と別部品であってもよい。
図12に示されるように、スライドノブ102の下側には、駆動機構14における駆動側端末部104が設けられており、該駆動側端末部104は、ケーシング106内に、駆動側プーリ(図示せず)と、スライドノブ102の操作により車両前後方向に移動可能なスライダ110とを有している。図11(B)に示されるように、ケーシング106は、上部体112と下部体114とを重ねて構成されており、内部にワイヤ70を通すための空間118が確保されている。
上部体112及び下部体114には、センタコンソール54の長孔54Bに対応してガイド孔112A,114Aが車両前後方向に設けられており、スライダ110は該ガイド孔112A,ガイド孔114Aに沿って摺動可能に構成されている。図11(A)に示されるように、スライダ110には、ワイヤ70の両端が車両前後方向に対向して連結されており、スライダ110の移動に伴ってワイヤ70が車両前後方向に送られるように構成されている。スライダ110には、スライドノブ102が差し込まれており、該スライドノブ102を操作することで、スライダ110を車両前後方向に移動させることができるようになっている。なお、図示の例では、ワイヤ70の両端が車両前後方向に対向してスライダ110に連結されているが、これに限られるものではなく、例えば無端状態のワイヤ70の途中にスライダ110を固定するようにしてもよい。
他の部分については、参考例1と同様であるので、同一の部分には図面に同一の符号を付し、説明を省略する。
(作用)
本実施形態は、上記のように構成されており、以下その作用について説明する。図10に示されるように、遠隔操作装置30では、スライドノブ102を例えば車両後方側に移動させることにより、グローブボックス12を車両後方にスライドさせて開くことができる。具体的には、図12において、長孔54Bの倒伏状態のスライドノブ102を矢印C方向に移動させると、該スライドノブ102が差し込まれている駆動側端末部104のスライダ110が、ガイド孔112A及びガイド孔114A(図11(B))に沿って摺動して矢印C方向に移動する。このとき、操作ケーブル38における見かけ上2本のワイヤ70のうち、スライダ110に連結されている一方が矢印C方向に引かれるので、駆動側プーリが矢印B方向に回転し、他方のワイヤ70が矢印D方向に送り出される。
これにより、図4に示される参考例1と同様に、従動側端末部46における従動側プーリ44及びピニオン66が矢印E方向に回転し、ラック36が車両後方、即ち矢印O方向に送り出されて、図10に示されるように、グローブボックス12が開閉機構18のガイド24及びレール32により案内されて車両後方に開く。
遠隔操作装置30において、グローブボックス12を車両前方に移動させて閉じる場合には、スライドノブ102を長孔54Bに沿って車両前方に移動させればよい。このとき、駆動機構14及び開閉機構18の各部は、上記したグローブボックス12を開く際とは逆方向に動作する。操作ケーブル38における見かけ上2本のワイヤ70については、各々の移動方向は逆転するものの、一方が引かれ他方が送り出されるという作用についてはグローブボックス12を開く際と同様である。即ち、遠隔操作装置30では、グローブボックス12の開閉時には、開閉機構18を常に引き動作で操作することが可能である。
このように、遠隔操作装置30では、グローブボックス12の開閉機構18を、駆動機構14における操作ケーブル38を介して常に引き動作で操作することができるので、該操作ケーブル38の配策の自由度が高く、インストルメントパネル22の設計の自由度を高めることが可能である。また遠隔操作装置30では、グローブボックス12から遠い例えば運転席からでも、遠隔操作により、該グローブボックス12の開閉を容易に行うことが可能である。更に、グローブボックス12の開閉にモータや電気回路を使用しないので、低コストである。またグローブボックス12の開閉機構18を常に引き動作で操作できるので、操作荷重が均一であり、良好な操作感を乗員に与えることができる。
[参考例3]
図13において、本参考例に係る遠隔操作装置40では、車室内部品として吹出しグリル120を有しており、該吹出しグリル120における可動部の一例たる横フィン122及び縦フィン124を、1箇所の操作部126により集中的に操作可能に構成されている。
図14に示されるように、操作部126には、駆動機構14における縦フィン操作用の駆動側端末部132が、例えば容器状の本体部128における例えば上面128Aに配設されると共に、横フィン操作用の駆動側端末部134が、本体部128の例えば車幅方向左側の側面128Bに配設され、該駆動側端末部132,134を、1つの操作ノブ136により夫々駆動させることができるように構成されている。
具体的には、図15に示されるように、本体部128の奥部における例えば上面128A及び下面128Cには、セクタギヤ146が取り付けられた縦軸138が回動自在に支持されている。駆動側端末部132では、ケーシング142内に駆動側プーリ140が回動自在に支持されており、該駆動側プーリ140が、縦軸138の上端部に設けられた例えば断面四角形の差込み部138Aに嵌め込まれている。ケーシング142は、本体部128の上面128Aに固定されており、縦軸138の回転に伴って駆動側プーリ140が回転するように構成されている。
図13に示されるように、駆動側端末部132は、操作ケーブル38Vにより分配機構144に接続されている。図15に示されるように、操作ケーブル38Vは、可撓性のチューブ68内に、駆動側プーリ140に巻き掛けられた無端のワイヤ70を挿通して構成され、操作ケーブル38V内には、見かけ上2本のワイヤ70が存在している。
一方、図16に示されるように、本体部128の縦軸138よりも車両後方において、左右の側面128Bには、操作ノブ136に設けられた横軸148が回動自在かつ車幅方向に摺動可能に支持されている。該横軸148には、セクタギヤ146と噛合するラック150が、例えば一体的に設けられている。ラック150の歯(図示せず)は、車幅方向に直線状に配列されており、図15に示されるように、車両側面視における歯先形状は、横軸148を中心とした円弧形状に形成されている。これは、セクタギヤ146とラック150との噛み合いを維持したまま、横軸148を中心として操作ノブ136を車両上下方向に揺動可能とすると共に、該操作ノブ136を車幅方向にスライドさせた際には、セクタギヤ146を介して縦軸138を回転可能とするためである。
操作ノブ136は、その周囲に設けられたスカート部136Aから車両後方側に突出形成されており、表面には滑り止め用の凹凸形状が設けられている。図15,図17に示されるように、スカート部136Aは、横軸148を中心として円弧状に湾曲して形成されている。スカート部136Aは、インストルメントパネル22やセンタコンソール54(図1参照)等に設けられた所定の開口部(図示せず)の内側に近接して配置され、操作ノブ136の操作時には該開口部に沿って動き、該開口部を常に遮蔽状態にできるようになっている。
図16に示されるように、横フィン操作用の駆動側端末部134では、ケーシング152内に駆動側プーリ154が回動自在に支持されており、該駆動側プーリ154が、横軸148の左端部に挿入されている。横軸148の左端部には、操作ノブ136の駆動側プーリ154に対する車幅方向の移動を許容すると共に、横軸148の回転を該駆動側プーリ154に対して伝達可能にする溝部148Aが設けられており、駆動側プーリ154は該溝部148Aと噛み合った状態となっている。ケーシング152は、本体部128の車幅方向左側の側面128Bに固定されている。
図13に示されるように、縦フィン操作用の駆動側端末部134は、操作ケーブル38Hにより分配機構144に接続されている。図16に示されるように、操作ケーブル38Hは、可撓性のチューブ68内に、駆動側プーリ154に巻き掛けられた無端のワイヤ70を挿通して構成され、操作ケーブル38H内には、見かけ上2本のワイヤ70が存在している。
図15において、操作ノブ136の車両上下方向の揺動範囲は、本体部128に上下一対設けられたストッパ部128Fと、スカート部136Aとにより規制されるようになっている。該ストッパ部128Fは、上面128A及び側面128Bの車両後方側端部にフランジ状に形成されており、操作ノブ136が横軸148を中心として所定角度まで揺動した際に、スカート部136Aが当接して、それ以上の操作ノブ136の揺動を抑制するように構成されている。
図13に示されるように、縦フィン操作用の操作ケーブル38Vは、分配機構144において分岐され、例えば2箇所の吹出しグリル120における縦フィン駆動用の従動側端末部162に連結されている。横フィン操作用の操作ケーブル38Hについても同様に、分配機構144において分岐され、例えば2箇所の吹出しグリル120における横フィン駆動用の従動側端末部164に連結されている。図示は省略するが、吹出しグリル120に複数枚設けられている縦フィン124は、従動側端末部162内の従動側プーリの回転に伴って揺動し、吹出しグリル120からの風向を左右に調節できるように構成されている。横フィン122についても同様に、従動側端末部164内の従動側プーリの回転に伴って揺動し、吹出しグリル120からの風向を上下に調節できるように構成されている。
(作用)
本参考例は、上記のように構成されており、以下その作用について説明する。図13において、遠隔操作装置40では、操作部126の操作ノブ136を矢印U,G,L,R方向に操作することにより、吹出しグリル120の縦フィン124や横フィン122の向きを上下左右方向に遠隔的に操作して、該吹出しグリル120からの風向を自在に調節することができる。
具体的には、縦フィン124を遠隔操作する際には、図16において、操作ノブ136を矢印L又はR方向に操作する。その操作により、横軸148が本体部128及び駆動側端末部134に対して摺動するので、ラック150が同じく矢印L又はR方向に移動する。これにより、ラック150と噛合しているセクタギヤ146が回転し、その回転角度に応じて縦軸138が回転するので、図15において、該縦軸138に取り付けられている駆動側端末部132の駆動側プーリ140が回転する。駆動側プーリ140の回転は、操作ケーブル38Vのワイヤ70を介して分配機構144(図13)に伝達される。
図13において、縦フィン操作用の操作ケーブル38Vは、分配機構144において分岐され、2箇所の吹出しグリル120における縦フィン駆動用の従動側端末部162に夫々連結されているので、該従動側端末部162内の従動側プーリ(図示せず)を介して、該2箇所の吹出しグリル120における縦フィン124を同時に操作することができる。なお、操作ケーブル38Vにおける見かけ上2本のワイヤ70のうち、一方は引かれ他方は送り出されるので、操作ノブ136を矢印L又はR方向のどちらに操作しても、縦フィン124を引き動作で操作することが可能である。
一方、横フィン122を遠隔操作する際には、図15において、操作ノブ136を矢印U又はG方向に操作する。このとき、ラック150の車両側面視における歯先形状は、横軸148を中心とした円弧形状に形成されているので、セクタギヤ146とラック150との噛み合いを維持したまま、横軸148を中心として操作ノブ136を車両上下方向に揺動させることが可能である。
図16において、横軸148の左端部には、横軸148の回転を駆動側プーリ154に対して伝達可能にする溝部148Aが設けられているので、操作ノブ136の揺動により横軸148が回転することにより、駆動側端末部134の駆動側プーリ154が回転する。該駆動側プーリ154の回転は、操作ケーブル38Hのワイヤ70を介して分配機構144(図13)に伝達される。
図13において、横フィン操作用の操作ケーブル38Hは、分配機構144において分岐され、2箇所の吹出しグリル120における横フィン駆動用の従動側端末部164に夫々連結されているので、該従動側端末部164内の従動側プーリ(図示せず)を介して、該2箇所の吹出しグリル120における横フィン122を同時に操作することができる。なお、操作ケーブル38Hにおける見かけ上2本のワイヤ70のうち、一方は引かれ他方は送り出されるので、操作ノブ136を矢印U又はG方向のどちらに操作しても、横フィン122を引き動作で操作することが可能である。
このように、遠隔操作装置40では、吹出しグリル120の可動部である横フィン122及び縦フィン124を、駆動機構14における操作ケーブル38V,38Hを介して常に引き動作で操作して、風向を調節することができるので、該操作ケーブル38V,38Hの配策の自由度が高く、インストルメントパネル22の設計の自由度を高めることが可能である。
また、1箇所の操作部126により横フィン122及び縦フィン124の集中的な操作を行うことができるので、該操作部126の設置スペースを節約することができる。この操作部126を用いることで、図13において、操作ノブ136を斜め方向、例えば矢印R方向及び矢印U方向に操作して、横フィン122及び縦フィン124を同時に操作することもできるので、効率的な操作が可能である。更に横フィン122及び縦フィン124の操作にモータや電気回路を使用しないので、低コストである。
なお、同時に操作可能な吹出しグリル120の数は、2箇所に限られず、分配機構144での操作ケーブル38V,38Hの分岐数により、より多くの吹出しグリル120を同時に操作することも可能である。
[参考例4]
図18において、本参考例に係る遠隔操作装置50は、車室内部品として吹出しグリル120を有しており、該吹出しグリル120における可動部の一例たる横フィン122及び縦フィン124を、モータ駆動式の駆動機構14により操作可能に構成されている。
図19に示されるように、駆動機構14は、ケーシング166内にワイヤ70の方向に沿って移動可能なスライダ168を有するケーブルユニット180を有している。ケーシング166には、スライダ168の移動を案内するためのガイド孔166Aが設けられており、ガイド孔166Aと平行に、見かけ上2本のワイヤ70が通されている。スライダ168には、そのうち一方のワイヤ70が連結されており、該スライダ168をガイド孔166Aに沿って移動させることで、ワイヤ70を動かすことができるようになっている。
スライダ168は、例えば往復スライダクランク機構により駆動されるように構成されている。具体的には、スライダ168には、長リンク170の一端が回動自在に連結されており、該長リンク170の他端には、短リンク172の一端が回動自在に連結されている。短リンク172の他端には、例えばパルスモータであるモータ174の回転軸174Aが固定されており、該モータ174を作動させることで、短リンク172をクランクとして回転させ、長リンク170を介してスライダ168を直進移動させることができるように構成されている。スライダ168の往復ストロークは、短リンク172の回転半径により調節することが可能である。
モータ174は、例えばボルト176及び座金178を用いて、例えばインストルメントパネル22内の所定位置に固定されている。ケーシング166についても同様に、例えばインストルメントパネル22の所定位置に固定されている。モータ174の制御は、例えば乗員により、電気的な操作スイッチ(図示せず)を用いて行われるので、例えば図1に示されるステアリングホイール28に操作スイッチを設けて、乗員の手元で操作を行うことが可能である。
図18において、操作ケーブル38Hのワイヤ70について、駆動機構14の近傍に交差部位が図示されているが、これは、2箇所の吹出しグリル120について従動側端末部164を対称位置に取り付けた場合に、左右の横フィン122を同方向に動かすようにするためである。また操作ケーブル38Vのワイヤ70についても、同様に交差部位が図示されているが、左右の縦フィン124を夫々逆方向、即ち内向きや外向きに操作できるようにするためである。交差部位を設けない場合には、左右の縦フィン124を何れも同じ方向に操作することが可能である。
図20に示されるように、ケーブルユニット180について、複数個を連結して、1つのモータ174により駆動するようにしてもよい。図示の例では、スライダ168が互いに上下に差込み可能に構成されており、例えば最上部のスライダ168をモータ174により駆動することにより、より多くの横フィン122や縦フィン124、その他の可動部を、連動させることが可能である。
図21に示される応用例では、運転席用の2箇所の吹出しグリル120と、助手席用の2箇所の吹出しグリル182とが、2箇所の駆動機構14で夫々遠隔操作可能に構成されている。一方の駆動機構14は、縦フィン駆動用の従動側端末部162を4箇所同時に駆動可能に構成され、他方の駆動機構14は、横フィン駆動用の従動側端末部164を同時に駆動可能に構成されている。縦フィン124の向きは、操作ケーブル38Vにおけるワイヤ70(図19)の交差の有無で任意に設定することが可能である。
他の部分については、参考例3と同様であるので、同一の部分には図面に同一の符号を付し、説明を省略する。
(作用)
本参考例は、上記のように構成されており、以下その作用について説明する。図18において、遠隔操作装置50では、吹出しグリル120における横フィン122及び縦フィン124を、モータ駆動式の駆動機構14により遠隔操作することができる。
図19において、縦フィン駆動用の駆動機構14の作用を説明すると、図示しない操作スイッチを操作して、モータ174の回転軸174Aを所定角度回転させると、該回転軸174Aに駆動されて短リンク172が回転し、これによってスライダ168が、長リンク170を介して、ガイド孔166Aに沿って直進移動する。その最大ストロークは、短リンク172の回転半径の2倍である。
スライダ168の直進移動により、例えば操作ケーブル38Vにおける見かけ上2本のワイヤ70は、常に引き動作を伴いつつ、互いに逆方向に移動する。これによって、図18において、左右の吹出しグリル120における縦フィン駆動用の従動側端末部162を同時に駆動することができ、左右の縦フィン124を同期させて動かすことができる。図示のようにワイヤ70に交差部位を設けている場合には、左右の縦フィン124を夫々逆方向、即ち内向きや外向きに操作することができる。交差部位を設けていない場合には、左右の縦フィン124を夫々同方向に操作することが可能である。横フィン122を操作する際の作用についても同様である。この場合、図18に示されるように、操作ケーブル38Hのワイヤ70に交差部位を設けることで、左右の横フィン122を同期させて同方向に操作することができる。
次に、図21において、2箇所の駆動機構14により、運転席用の2箇所の吹出しグリル120と、助手席用の2箇所の吹出しグリル182、計4箇所の吹出しグリルを夫々同時に遠隔操作する場合の作用について説明する。各々の駆動機構14では、例えば図20に示される例と同様に、複数のケーブルユニット180が重ねられており、夫々1つのモータ174により重ねられた複数のスライダ168を同時に直進移動させることができる。
このため、縦フィン用の駆動機構14を作動させることで、操作ケーブル38Vを介して、運転席用の吹出しグリル120と助手席用の吹出しグリル182における各々の縦フィン124の向きを同期させて動かすことができる。また横フィン用の駆動機構14を作動させることで、操作ケーブル38Hを介して、運転席用の吹出しグリル120と助手席用の吹出しグリル182における各々の横フィン122の向きを同期させて動かすことができる。即ち、図21に示される例では、2つのモータ174(図19)により、計4箇所の吹出しグリル120,182からの風向を調節することが可能である。
このように、遠隔操作装置50では、吹出しグリル120の可動部である横フィン122及び縦フィン124を、モータ駆動式の駆動機構14における操作ケーブル38V,38Hを介して常に引き動作で操作して、風向を調節することができるので、該操作ケーブル38V,38Hの配策の自由度が高く、インストルメントパネル22の設計の自由度を高めることが可能である。モータ174の制御は、電気的な操作スイッチ(図示せず)により行われるので、例えば図1に示されるステアリングホイール28に操作スイッチを設けて、乗員の手元で操作を行うことが可能である。このため、遠隔操作装置50の操作性が良好である。
なお、上記各参考例及び実施形態において、車室内部品の一例として、グローブボックス12や吹出しグリル120,182を挙げたが、車室内部品はこれらに限られるものではない。また可動部の一例として、グローブボックス12の開閉機構18や、吹出しグリル120の横フィン122及び縦フィン124を挙げたが、遠隔操作が望まれる可動部であれば、いかなる可動部にも適用することが可能である。このため、従来例えば運転席から手が届き難かったスペースにも、各種の可動部を有する車室内部品を設置することができ、デッドスペースを有効に活用することが可能である。