JP3659242B2 - マスクパターン補正方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、リソグラフィに用いられるマスクのパターンを補正する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体デバイスにおける微細化の要求は近年ますます厳しくなっており、デザインルールはフォトリソグラフィの露光波長の1/2以下に達している。デバイスのさらなる微細化に対応できるリソグラフィ技術として、電子ビームリソグラフィ技術が注目されている。
【0003】
パターンの微細化に伴い、マスク上のパターンと実際に転写されるパターンが異なるという問題(近接効果)が発生する。このような近接効果の影響を低減するため、マスクパターンに近接効果補正が施される。近接効果補正の一つとして、線幅補正処理がある。
【0004】
線幅補正処理は各配線の線幅を、その配線の線幅とその配線と隣接配線との距離に応じて、事前に規定されたシフト量だけ増減させるマスクパターンデータ処理であり、広く使われている。具体的には、上記の線幅と距離の二つの条件に適合するパターンエッジ(以下、エッジとも表す。)を抽出し、そのエッジをエッジに対して垂直方向に規定量だけシフトさせる図形操作を行う。線幅補正処理の前後のエッジは、互いに平行となる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のように線幅と配線間距離とに基づいて線幅補正を行うと、補正量と同程度の段差をもった凹部や凸部が形成される。例えば、図13に示すように、パターンIの90°コーナーを介して隣接する辺で補正量a、bが互いに異なる場合には、コーナー(丸で囲んだ部分)に凹部Dが生成する。
【0006】
コーナーの角度が90°以外の場合も、線幅補正によってコーナー部に凹部または凸部が生成する。例えば、図14に示すように、パターンIIの135°コーナーでは、補正パターンC1、C2の間(丸で囲んだ部分)に45°の角をもつ凹部Dが生成する。
【0007】
また、例えば、図15に示すように、パターンIIIの225°コーナーでは、補正パターンC1、C2の間(丸で囲んだ部分)に45°の角をもつ凹部Dが生成する。
図16に示すように、パターンIVの135°コーナーを介して隣接する辺の一方に補正パターンCを加えた場合には、コーナー(丸で囲んだ部分)に凸部Pが生成する。
【0008】
一方、隣接する配線が平行でない場合には、図10(a)に示すように、配線間距離は連続的に変化する。補正量は最小グリッドの倍数により離散的に定義されるため、補正パターンの補正量が連続的に変化する場合であっても、実際にマスクに形成するパターンでは、図10(b)に示すように、矩形パターンを組み合わせた階段状の補正パターンが作成される。すなわち、線幅と配線間距離が所定の範囲内にある部分に対して、一律の補正量が適用される。
【0009】
以上のように、線幅補正処理を行うと、パターンのコーナーで凹部や凸部が生成したり、斜め方向に延びるパターンで階段状の補正パターンが生成したりする。このような凹部または凸部や階段状パターンが存在すると、マスクデータの図形数が多くなり、マスクにパターンを描画するためのデータ転送時間や描画時間が長くなる。
【0010】
また、線幅補正により生成する微細な凹部、凸部または階段状パターンが、マスクの欠陥検査において、擬似的に欠陥として認識される問題もある。このような擬似欠陥により、欠陥検出の所要時間が長くなったり、欠陥検査が停止したりすることがある。
【0011】
凹部や凸部などの微小な段差を解消する方法として、パターンに最大補正量を超える一定量の拡大(オーバーサイズ)を行って、段差を埋め込んでから、パターンに縮小(アンダーサイズ)を行う方法や、逆に、アンダーサイズを行ってからオーバーサイズを行う方法がある。
【0012】
このような方法によれば、段差の埋め込みは可能であるが、コーナーを介して隣接する辺で補正量が互いに異なる場合(例えば、図13の補正量a、b参照。)に、段差埋め込み後の補正量が変化したり、補正量の変化によってパターンの外形(トポロジー)が変化したりする問題が起こる。補正量が変化すると、近接効果の補正に影響が生じる。
【0013】
また、マスクパターンの作成や描画を短時間で行うためには、線幅補正後のパターンの修正を、マスク描画装置などに備えられているような汎用の図形演算ツールを用いて行えることが望ましい。
【0014】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、したがって本発明は、パターンの線幅補正後に生じる微小段差を、簡易に解消できるマスクパターン補正方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明のマスクパターン補正方法は、第1の方向に延びる第1のパターンと、第2の方向に延びる第2のパターンが所定の角度α°(90≦α<180)をなして接するコーナーを含むマスクパターンの補正方法であって、第1のパターンの第1の方向に延びるパターンエッジの一つでありコーナーの外側にある第1のパターンエッジを、第1の方向に垂直な第3の方向に第1の補正量で平行移動させ、第1の補正量で平行移動させる前後の第1のパターンエッジ間に、第1のパターンの線幅を増加させる第1の補正パターンを作成する工程と、第2のパターンの第2の方向に延びるパターンエッジの一つでコーナーの外側にあり、第1のパターンエッジと接する第2のパターンエッジを、第2の方向に垂直な第4の方向に第2の補正量で平行移動させ、第2の補正量で平行移動させる前後の第2のパターンエッジ間に、第2のパターンの線幅を増加させる第2の補正パターンを作成する工程と、第1のパターンと第2のパターンを合わせた図形を拡大して拡大図形を作成する工程であって、第1の補正量と第2の補正量のうちの大きい方である最大補正量と、第1のパターンの第3の方向への移動量が一致し、かつ最大補正量と第2のパターンの第4の方向への移動量が一致するように、図形を拡大する工程と、第1のパターンエッジを第3の方向に最大補正量で平行移動させ、最大補正量で平行移動させる前後の第1のパターンエッジ間に第1の仮領域を作成する工程と、第2のパターンエッジを第4の方向に最大補正量で平行移動させ、最大補正量で平行移動させる前後の第2のパターンエッジ間に第2の仮領域を作成する工程と、拡大図形から第1の仮領域と第2の仮領域を除外し、段差埋め込み用パターンを作成する工程と、段差埋め込み用パターンの全パターンエッジから最外周エッジを除外し、さらに第1の補正パターンのパターンエッジと第2の補正パターンのパターンエッジを除外して、領域指定用エッジを抽出する工程と、領域指定用エッジを領域指定用エッジに垂直な方向に、かつ段差埋め込み用パターンの内側に向かって最大補正量で平行移動させ、最大補正量で平行移動させる前後の領域指定用エッジ間に削除領域を作成する工程と、段差埋め込み用パターンから削除領域を削除し、削除領域が削除された段差埋め込み用パターンと、第1の補正パターンと第2の補正パターンを第1のパターンと第2のパターンに追加する工程とを有することを特徴とする。
【0016】
また、上記の目的を達成するため、本発明のマスクパターン補正方法は、第1の方向に延びる第1のパターンと、第2の方向に延びる第2のパターンが所定の角度α°(90≦α<180)をなして接するコーナーを含むマスクパターンの補正方法であって、第1のパターンの第1の方向に延びるパターンエッジの一つでありコーナーの内側にある第1のパターンエッジを、第1の方向に垂直な第3の方向に第1の補正量で平行移動させ、第1の補正量で平行移動させる前後の第1のパターンエッジ間に、第1のパターンの線幅を増加させる第1の補正パターンを作成する工程と、第2のパターンの第2の方向に延びるパターンエッジの一つでコーナーの内側にあり、第1のパターンエッジと接する第2のパターンエッジを、第2の方向に垂直な第4の方向に第2の補正量で平行移動させ、第2の補正量で平行移動させる前後の第2のパターンエッジ間に、第2のパターンの線幅を増加させる第2の補正パターンを作成する工程と、第1の補正パターンのパターンエッジと第2の補正パターンのパターンエッジから、長さが第1の補正量と第2の補正量のうちの大きい方である最大補正量以下であり、一端の角が90°で他端の角が450°−α°である領域指定用エッジを抽出する工程と、領域指定用エッジを一辺とする正方形を、領域指定用エッジが含まれる補正パターンと重ならないように作成する工程と、第1の補正パターンのパターンエッジと第2の補正パターンのパターンエッジから、正方形内であって正方形の辺と重ならない部分の正方形内エッジを抽出する工程と、正方形の他の一辺であって領域指定用エッジに隣接する辺と、領域指定用エッジと、正方形内エッジで囲まれる三角形パターンと、第1の補正パターンと第2の補正パターンを第1のパターンと第2のパターンに追加する工程とを有することを特徴とする。
【0017】
また、上記の目的を達成するため、本発明のマスクパターン補正方法は、第1の方向に延びる第1のパターンと、第2の方向に延びる第2のパターンが所定の角度α°(90≦α<180)をなして接するコーナーを含むマスクパターンの補正方法であって、第1のパターンの第1の方向に延びるパターンエッジの一つでありコーナーの外側にある第1のパターンエッジを、第1の方向に垂直な第3の方向に所定の補正量で平行移動させ、所定の補正量で平行移動させる前後の第1のパターンエッジ間に、第1のパターンの線幅を増加させる補正パターンを作成する工程と、補正パターンのパターンエッジから、長さが所定の補正量以下であり、一端の角が90°で他端の角がα°+90°である領域指定用エッジを抽出する工程と、領域指定用エッジを一辺とする正方形を、補正パターンと重なるように作成する工程と、第1のパターンエッジを除く補正パターンのパターンエッジから、正方形の辺と重なる正方形上エッジを抽出する工程と、領域指定用エッジと正方形上エッジを二辺とする三角形パターンを作成する工程と、補正パターンから三角形パターンを削除し、三角形パターンが削除された補正パターンを第1のパターンに追加する工程とを有することを特徴とする。
【0018】
また、上記の目的を達成するため、本発明のマスクパターン補正方法は、第1の方向に延びる第1のパターンと、第2の方向に延びる第2のパターンを含むマスクパターンの補正方法であって、第1のパターンの第1の方向に延びるパターンエッジの一つであり、第2のパターン側にある第1のパターンエッジを複数の区間に分割する工程と、分割された各区間を、第2のパターンとの距離に応じた補正量で、第1の方向に垂直な第3の方向に平行移動させ、平行移動させる前後の各区間の間に第1のパターンの線幅を増加させる補正パターンを作成する工程と、補正パターンのパターンエッジから、第3の方向に延びる最大補正量より短い複数の第1の領域指定用エッジを抽出する工程と、第1の領域指定用エッジを、第1の方向に補正パターンの内側に向かって、最終的な補正結果として望まれる区間長さの最小値で平行移動させ、平行移動させる前後の第1の領域指定用エッジ間に、第1の矩形領域を作成する工程と、補正パターンのパターンエッジから、第1の方向に延びる最終的な補正結果として望まれる区間長さの最小値より短い複数の第2の領域指定用エッジを抽出する工程と、第2の領域指定用エッジを、第3の方向に補正パターンの内側に向かって、最大補正量で平行移動させ、平行移動させる前後の第2の領域指定用エッジ間に、第2の矩形領域を作成する工程と、第1の矩形領域と第2の矩形領域の重なり部分を、補正パターンから削除する工程と、第2の領域指定用エッジが無くなるまで、第1の領域指定用エッジの抽出、第1の矩形領域の作成、第2の領域指定用エッジの抽出および第2の矩形領域の作成を繰り返す工程とを有することを特徴とする。
【0019】
これにより、近接効果を低減するためにマスクパターンの線幅補正を行った後、パターンのコーナーなどで発生する微小段差や階段形状を、汎用の図形演算ツールを用いた処理によって解消することが可能となる。本発明のマスクパターン補正方法によれば、マスクパターンに生じる微小段差が、マスクの欠陥検査で擬似エラーとなるのを防止できる。また、微小段差の解消により、データ処理量を削減して、マスクパターンの描画などを高速化することが可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明のマスクパターン補正方法の実施の形態について、図面を参照して説明する。本発明のマスクパターン補正方法は、作成されたマスクパターンに線幅補正を行った後、パターンのコーナー等に発生する微小段差を解消する工程を有する。
【0021】
以下の実施形態1〜5において、微小段差の解消方法の具体例を説明する。各実施形態において、最大補正量をMax(bias)と表す。Max(bias)はパターンエッジをそのエッジに対して直角方向にシフトさせる量(補正量)のパターン内での最大値である。また、各実施形態において、最終的な補正結果として望まれるエッジ長の下限値をMin(edge)と表す。
【0022】
(実施形態1)
本実施形態では線幅補正により、パターンのコーナーで補正パターン間に生成する凹部を解消する方法を説明する。図1(a)は本実施形態により凹部が埋め込まれるパターンのコーナーを示す。図1(a)のパターンP1は図14と同様に135°のコーナー(丸で囲まれた部分)を含み、135°のコーナーの両側の補正パターンC1、C2の補正量が互いに異なるものとする。
【0023】
図1(a)に示す凹部Dを埋め込むには、まず、図1(b)に示すように、パターン全体をMax(bias)だけオーバーサイズする。次に、図1(c)に示すように、パターンエッジをそのエッジに対して垂直方向に、Max(bias)だけシフトさせる。これにより、仮領域T1、T2が形成される。図1(b)に示すオーバーサイズと、図1(c)に示すパターンエッジのシフトの順序は入れ替えてもよい。
【0024】
次に、図2(d)に示すように、図1(b)でオーバーサイズされたパターンと、図1(c)で形成された仮領域T1、T2の合計との差分Pdを求める。この差分Pdから、凹部埋め込み用パターンを作成する。
【0025】
次に、図2(e)に示すように、差分Pdのエッジから、図1(a)に示す補正パターンC1、C2のパターンエッジを除外し、さらに、差分Pdの最外周のエッジを除外する。これにより、差分Pdのエッジのうち、図2(e)に太線で示すエッジeが抽出される。
【0026】
次に、図2(f)に示すように、図2(e)で抽出されたエッジeを、エッジeに垂直方向に、かつ差分Pdの内側に向かう方向にMax(bias)だけシフトさせ、シフト前後のエッジeの間に矩形領域Rを生成させる。
その後、図2(g)に示すように、線幅補正後のパターン(図1(a)参照)と差分Pd(図2(d)参照)とを合わせたものから、矩形領域R(図2(f)参照)を削除する。
【0027】
これにより、コーナーの両側の補正量を変更せずに、コーナーの凹部が埋め込まれる。したがって、マスクデータを描画する際などのデータ処理量が低減し、処理が高速化される。また、マスクの欠陥検査において、コーナーの微小段差が擬似欠陥として検出されるのを回避することが可能となる。
【0028】
(実施形態2)
本実施形態は実施形態1とコーナーの角度のみ異なる。図3(a)は本実施形態により凹部が埋め込まれるパターンのコーナーを示す。図3(a)のパターンP2は図13と同様に90°のコーナー(丸で囲まれた部分)を含み、90°のコーナーの両側の補正パターンC1、C2の補正量が互いに異なるものとする。
【0029】
図3(a)に示す凹部Dを埋め込むには、まず、図3(b)に示すように、パターン全体をMax(bias)だけオーバーサイズする。次に、図3(c)に示すように、全パターンエッジを各エッジに対して垂直方向に、Max(bias)だけシフトさせ、仮領域T1、T2を形成する。図3(b)に示すオーバーサイズと、図3(c)に示すパターンエッジのシフトの順序は入れ替えてもよい。
【0030】
次に、図4(d)に示すように、図3(b)でオーバーサイズされたパターンと、図3(c)で形成された仮領域T1、T2の合計との差分Pdを求める。
次に、図4(e)に示すように、差分Pdのエッジから、図3(a)に示す補正パターンC1、C2のパターンエッジを除外し、さらに、差分Pdの最外周のエッジを除外して、図4(e)に太線で示すエッジeを抽出する。
【0031】
次に、図4(f)に示すように、図4(e)で抽出されたエッジeを、エッジeに垂直方向に、かつ差分Pdの内側に向かう方向にMax(bias)だけシフトさせ、シフト前後のエッジeの間に矩形領域Rを生成させる。
その後、図5(g)に示すように、線幅補正後のパターン(図3(a)参照)と差分Pd(図4(d)参照)とを合わせたものから、矩形領域R(図4(f)参照)を削除する。
【0032】
これにより、コーナーの両側の補正量を変更せずに、コーナーの凹部が埋め込まれる。したがって、マスクデータを描画する際などのデータ処理量が低減し、処理が高速化される。また、マスクの欠陥検査において、コーナーの微小段差が擬似欠陥として検出されるのを回避することが可能となる。
【0033】
(実施形態3)
本実施形態では線幅補正により、パターンのコーナーで補正パターン間に生成する凹部を解消する方法を説明する。図6(a)は本実施形態により凹部が埋め込まれるパターンのコーナーを示す。
【0034】
実施形態1および2では、パターンのコーナーが180°未満であるのに対し、本実施形態では図15と同様にパターンのコーナーが225°であり、180°を超えている。この場合、135°のコーナーの内側に補正パターンが形成されるとも言える。
【0035】
本実施形態においても、コーナーの両側の補正パターンC1、C2の補正量は互いに異なるものとする。図6(a)に示すように、パターンP3のコーナーが180°を超えている場合、パターンのコーナー(丸で囲まれた部分)で補正パターン同士が一部重なる。
【0036】
図6(a)に示す凹部Dを埋め込むには、まず、図6(b)に示すように、長さがMax(bias)以下の辺であって、両端の内角が90°と315°であるエッジe1を抽出する。
次に、図6(c)に示すように、図6(b)で抽出されたエッジe1を一辺とする正方形を形成する。このとき、補正パターン間の凹部D上に正方形を配置する。
【0037】
次に、図7(d)に示すように、図6(c)で形成された正方形の内部と重なり、正方形の辺と重ならない補正パターンのエッジe2を抽出する。
次に、図7(e)に示すように、エッジe1(図6(b)参照)とエッジe2(図7(d)参照)と正方形(図6(c)参照)の一辺とで囲まれる領域Tを埋め込む。
【0038】
これにより、図7(f)に示すように、コーナーの両側の補正量を変更せずに、コーナーの凹部が埋め込まれる。したがって、マスクデータを描画する際などのデータ処理量が低減し、処理が高速化される。また、マスクの欠陥検査において、コーナーの微小段差が擬似欠陥として検出されるのを回避することが可能となる。
【0039】
(実施形態4)
本実施形態では線幅補正により、パターンのコーナーで補正パターンに生成する凸部を解消する方法を説明する。図8(a)は本実施形態により凸部が削られるパターンのコーナーを示す。図8(a)のパターンP4は図16と同様に135°のコーナーを含み、135°のコーナー(丸で囲まれた部分)の外側に補正パターンCが追加されたものである。
【0040】
図8(a)に示す凸部Pを削るには、まず、図8(b)に示すように、長さがMax(bias)以下の辺であって、両端の内角が90°と225°であるエッジe1を抽出する。
次に、図8(c)に示すように、図8(b)で抽出されたエッジe1を一辺とする正方形を形成する。このとき、補正パターンCと重なる側に正方形を配置する。
【0041】
次に、図9(d)に示すように、図8(c)で形成された正方形に重なる部分の補正パターンCのエッジe2を抽出する。
次に、図9(e)に示すように、エッジe1とエッジe2を2辺とする三角形の領域Tを形成する。その後、図9(f)に示すように、補正パターンCから領域Tを削除する。
【0042】
これにより、線幅の補正量を変更せずに、コーナーの凸部が削られる。したがって、マスクデータを描画する際などのデータ処理量が低減し、処理が高速化される。また、マスクの欠陥検査において、コーナーの微小段差が擬似欠陥として検出されるのを回避することが可能となる。
【0043】
(実施形態5)
本実施形態では線幅補正により、パターンエッジが階段形状となるのを解消する方法を説明する。図10(a)は本実施形態により階段形状部分が削除されるパターンを示す。
【0044】
図10(a)のパターンP5、P6は、隣接する配線が平行でなく、配線間距離が連続的に変化する。補正量は最小グリッドの倍数により離散的に定義されるため、図10(b)に示すように、補正量を段階的に変更した補正パターンCが作成される。補正量は配線間距離に応じて変化する。
【0045】
図10(b)に示す階段形状部分(丸で囲まれた部分)を削除するには、まず、図11(c)に示すように、線幅補正前のパターンエッジと垂直で、長さがMax(bias)以下のエッジe1を抽出する。この工程で抽出される複数のエッジe1を、図11(c)に太線で示す。
【0046】
次に、図11(d)に示すように、図11(c)で抽出されたエッジe1を、エッジe1に対して垂直方向に、かつ補正パターンCの内側に向かう方向にMin(edge)だけシフトさせる。これにより、シフト前後のエッジe1の間に矩形領域R1を形成する。補正パターンが階段形状となっていることから、複数の矩形領域R1が形成される。
【0047】
一方、図11(e)に示すように、線幅補正前のパターンエッジと平行で、長さがMin(edge)より短いエッジe2を抽出する。この工程で抽出される複数のエッジe2を、図11(e)に太線で示す。
【0048】
次に、図11(f)に示すように、図11(e)で抽出されたエッジe2を、そのエッジに対して垂直方向に、かつ補正パターンCの内側に向かう方向にMax(bias)だけシフトさせる。これにより、シフト前後のエッジe2の間に矩形領域R2を形成する。補正パターンが階段形状となっていることから、複数の矩形領域R2が形成される。矩形領域R1と矩形領域R2を形成する順序は、入れ替えてもよい。
【0049】
次に、図12(g)に示すように、矩形領域R1と矩形領域R2の重なり部分(AND部分)Aを求める。
次に、図12(h)に示すように、矩形領域R1と矩形領域R2のAND部分A(図12(g)参照)を補正パターンCから削除する。
その後、図11(c)〜図12(h)に示す工程を、階段形状がなくなるまで繰り返す。これにより、図12(i)に示すように、矩形の補正パターンCrが得られる。
【0050】
上記の本実施形態のマスクパターン補正方法によれば、斜め方向に延びるパターンに追加される補正パターンにおいて、階段形状となる部分が削除される。したがって、マスクデータを描画する際などのデータ処理量が低減し、処理が高速化される。また、マスクの欠陥検査において、コーナーの微小段差が擬似欠陥として検出されるのを回避することが可能となる。
【0051】
本発明のマスクパターン補正方法の実施形態は、上記の説明に限定されない。例えば、コーナーの内側と外側の両方に補正パターンを追加して、パターンの線幅を増加させる場合に、上記の実施形態のうちの異なる2つを組み合わせてパターンの補正を行うことも可能である。
その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の変更が可能である。
【0052】
【発明の効果】
本発明のマスクパターン補正方法によれば、パターンの線幅補正後に生じる微小段差を、簡易に解消することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)〜(c)は本発明の実施形態1に係るマスクパターン補正方法の工程を示す図である。
【図2】図2(d)〜(g)は本発明の実施形態1に係るマスクパターン補正方法の工程を示す図である。
【図3】図3(a)〜(c)は本発明の実施形態2に係るマスクパターン補正方法の工程を示す図である。
【図4】図4(d)〜(f)は本発明の実施形態2に係るマスクパターン補正方法の工程を示す図である。
【図5】図5(g)は本発明の実施形態2に係るマスクパターン補正方法の工程を示す図である。
【図6】図6(a)〜(c)は本発明の実施形態3に係るマスクパターン補正方法の工程を示す図である。
【図7】図7(d)〜(f)は本発明の実施形態3に係るマスクパターン補正方法の工程を示す図である。
【図8】図8(a)〜(c)は本発明の実施形態4に係るマスクパターン補正方法の工程を示す図である。
【図9】図9(d)〜(f)は本発明の実施形態4に係るマスクパターン補正方法の工程を示す図である。
【図10】図10(a)および(b)は本発明の実施形態5に係るマスクパターン補正方法の工程を示す図である。
【図11】図11(c)〜(f)は本発明の実施形態5に係るマスクパターン補正方法の工程を示す図である。
【図12】図12(g)〜(i)は本発明の実施形態5に係るマスクパターン補正方法の工程を示す図である。
【図13】図13はパターンの線幅補正後に生じる微小段差を示す図である。
【図14】図14はパターンの線幅補正後に生じる微小段差を示す図である。
【図15】図15はパターンの線幅補正後に生じる微小段差を示す図である。
【図16】図16はパターンの線幅補正後に生じる微小段差を示す図である。
【符号の説明】
P1…パターン、C1、C2…補正パターン、D…凹部、T1、T2…仮領域、Pd…分、e…エッジ、R…矩形領域、P2、P3…パターン、e1…エッジ、e2…補正パターンのエッジ、T…領域、P4…パターン、C…補正パターン、P5、P6…パターン、R1、R2…矩形領域、A…R1とR2のAND部分、Cr…矩形の補正パターン、I…パターン、a、b…補正量、II、III、IV…パターン、P…凸部
Claims (4)
- 第1の方向に延びる第1のパターンと、第2の方向に延びる第2のパターンが所定の角度α°(90≦α<180)をなして接するコーナーを含むマスクパターンの補正方法であって、
第1のパターンの第1の方向に延びるパターンエッジの一つでありコーナーの外側にある第1のパターンエッジを、第1の方向に垂直な第3の方向に第1の補正量で平行移動させ、第1の補正量で平行移動させる前後の第1のパターンエッジ間に、第1のパターンの線幅を増加させる第1の補正パターンを作成する工程と、
第2のパターンの第2の方向に延びるパターンエッジの一つでコーナーの外側にあり、第1のパターンエッジと接する第2のパターンエッジを、第2の方向に垂直な第4の方向に第2の補正量で平行移動させ、第2の補正量で平行移動させる前後の第2のパターンエッジ間に、第2のパターンの線幅を増加させる第2の補正パターンを作成する工程と、
第1のパターンと第2のパターンを合わせた図形を拡大して拡大図形を作成する工程であって、第1の補正量と第2の補正量のうちの大きい方である最大補正量と、第1のパターンの第3の方向への移動量が一致し、かつ最大補正量と第2のパターンの第4の方向への移動量が一致するように、図形を拡大する工程と、
第1のパターンエッジを第3の方向に最大補正量で平行移動させ、最大補正量で平行移動させる前後の第1のパターンエッジ間に第1の仮領域を作成する工程と、
第2のパターンエッジを第4の方向に最大補正量で平行移動させ、最大補正量で平行移動させる前後の第2のパターンエッジ間に第2の仮領域を作成する工程と、
拡大図形から第1の仮領域と第2の仮領域を除外し、段差埋め込み用パターンを作成する工程と、
段差埋め込み用パターンの全パターンエッジから最外周エッジを除外し、さらに第1の補正パターンのパターンエッジと第2の補正パターンのパターンエッジを除外して、領域指定用エッジを抽出する工程と、
領域指定用エッジを領域指定用エッジに垂直な方向に、かつ段差埋め込み用パターンの内側に向かって最大補正量で平行移動させ、最大補正量で平行移動させる前後の領域指定用エッジ間に削除領域を作成する工程と、
段差埋め込み用パターンから削除領域を削除し、削除領域が削除された段差埋め込み用パターンと、第1の補正パターンと第2の補正パターンを第1のパターンと第2のパターンに追加する工程とを有する
マスクパターン補正方法。 - 第1の方向に延びる第1のパターンと、第2の方向に延びる第2のパターンが所定の角度α°(90≦α<180)をなして接するコーナーを含むマスクパターンの補正方法であって、
第1のパターンの第1の方向に延びるパターンエッジの一つでありコーナーの内側にある第1のパターンエッジを、第1の方向に垂直な第3の方向に第1の補正量で平行移動させ、第1の補正量で平行移動させる前後の第1のパターンエッジ間に、第1のパターンの線幅を増加させる第1の補正パターンを作成する工程と、
第2のパターンの第2の方向に延びるパターンエッジの一つでコーナーの内側にあり、第1のパターンエッジと接する第2のパターンエッジを、第2の方向に垂直な第4の方向に第2の補正量で平行移動させ、第2の補正量で平行移動させる前後の第2のパターンエッジ間に、第2のパターンの線幅を増加させる第2の補正パターンを作成する工程と、
第1の補正パターンのパターンエッジと第2の補正パターンのパターンエッジから、長さが第1の補正量と第2の補正量のうちの大きい方である最大補正量以下であり、一端の角が90°で他端の角が450°−α°である領域指定用エッジを抽出する工程と、
領域指定用エッジを一辺とする正方形を、領域指定用エッジが含まれる補正パターンと重ならないように作成する工程と、
第1の補正パターンのパターンエッジと第2の補正パターンのパターンエッジから、正方形内であって正方形の辺と重ならない部分の正方形内エッジを抽出する工程と、
正方形の他の一辺であって領域指定用エッジに隣接する辺と、領域指定用エッジと、正方形内エッジで囲まれる三角形パターンと、第1の補正パターンと第2の補正パターンを第1のパターンと第2のパターンに追加する工程とを有する
マスクパターン補正方法。 - 第1の方向に延びる第1のパターンと、第2の方向に延びる第2のパターンが所定の角度α°(90≦α<180)をなして接するコーナーを含むマスクパターンの補正方法であって、
第1のパターンの第1の方向に延びるパターンエッジの一つでありコーナーの外側にある第1のパターンエッジを、第1の方向に垂直な第3の方向に所定の補正量で平行移動させ、所定の補正量で平行移動させる前後の第1のパターンエッジ間に、第1のパターンの線幅を増加させる補正パターンを作成する工程と、
補正パターンのパターンエッジから、長さが所定の補正量以下であり、一端の角が90°で他端の角がα°+90°である領域指定用エッジを抽出する工程と、
領域指定用エッジを一辺とする正方形を、補正パターンと重なるように作成する工程と、
第1のパターンエッジを除く補正パターンのパターンエッジから、正方形の辺と重なる正方形上エッジを抽出する工程と、
領域指定用エッジと正方形上エッジを二辺とする三角形パターンを作成する工程と、
補正パターンから三角形パターンを削除し、三角形パターンが削除された補正パターンを第1のパターンに追加する工程とを有する
マスクパターン補正方法。 - 第1の方向に延びる第1のパターンと、第2の方向に延びる第2のパターンを含むマスクパターンの補正方法であって、
第1のパターンの第1の方向に延びるパターンエッジの一つであり、第2のパターン側にある第1のパターンエッジを複数の区間に分割する工程と、
分割された各区間を、第2のパターンとの距離に応じた補正量で、第1の方向に垂直な第3の方向に平行移動させ、平行移動させる前後の各区間の間に第1のパターンの線幅を増加させる補正パターンを作成する工程と、
補正パターンのパターンエッジから、第3の方向に延びる最大補正量より短い複数の第1の領域指定用エッジを抽出する工程と、
第1の領域指定用エッジを、第1の方向に補正パターンの内側に向かって、最終的な補正結果として望まれる区間長さの最小値だけ平行移動させ、平行移動させる前後の第1の領域指定用エッジ間に、第1の矩形領域を作成する工程と、
補正パターンのパターンエッジから、第1の方向に延びる最終的な補正結果として望まれる区間長さの最小値より短い複数の第2の領域指定用エッジを抽出する工程と、
第2の領域指定用エッジを、第3の方向に補正パターンの内側に向かって、最大補正量で平行移動させ、平行移動させる前後の第2の領域指定用エッジ間に、第2の矩形領域を作成する工程と、
第1の矩形領域と第2の矩形領域の重なり部分を、補正パターンから削除する工程と、
第2の領域指定用エッジが無くなるまで、第1の領域指定用エッジの抽出、第1の矩形領域の作成、第2の領域指定用エッジの抽出および第2の矩形領域の作成を繰り返す工程とを有する
マスクパターン補正方法。
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