JP3657395B2

JP3657395B2 - 外用組成物

Info

Publication number: JP3657395B2
Application number: JP15292597A
Authority: JP
Inventors: 滋之小川; 公司阿部; 計一植原; 陽二和地
Original assignee: Shiseido Co Ltd
Current assignee: Shiseido Co Ltd
Priority date: 1996-05-27
Filing date: 1997-05-27
Publication date: 2005-06-08
Anticipated expiration: 2017-05-27
Also published as: JPH1053510A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、外用組成物に関する技術分野に属する発明である。特に、防腐性を確保しつつ、使用性及び安全性を著しく向上させた外用組成物に関する発明である。
【０００２】
【従来の技術】
通常、外用組成物中には、防腐防黴性を確保して保存性を向上させることを目的として防腐剤が配合される。
そして、代表的な外用組成物における防腐剤としては、パラオキシ安息香酸エステル（通称、パラベン類）を挙げることができる。
このパラベン類は外用組成物中における防腐剤として、安全性及び有効性に優れたものであるが、それでもごく一部の敏感な使用者に対して、使用時における刺激感等が伴う場合も全く想定されないわけではない。殊に昨今は、より肌に優しい外用組成物が求められる傾向が明らかであり、専らこのパラベン類を防腐手段とするだけでは、このような昨今の外用組成物に対する要求を完全に満足させることは非常に難しくなっている面は否めない。
勿論、パラベン類を配合しない外用組成物を創製することも可能ではあるが、この場合、防腐性を確保するために小分け容器やバックレス機構等の複雑な手段を駆使する必要性に迫られ、経済性，汎用性等に欠けてしまう傾向が顕著である。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明が解決すべき課題は、格段に安全性及び使用性に優れる外用組成物における防腐手段を提供することにある。
【０００４】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、従来から保湿剤として汎用されている１，２−ペンタンジオールと同じく防腐助剤として汎用されている２−フェノキシエタノールとを外用組成物中に組み合わせて配合することにより、上記課題を解決し得ることを見出し本発明を完成した。
【０００５】
すなわち本発明は、１，２−ペンタンジオールを外用組成物の１．０〜５．０重量％、及び、２−フェノキシエタノールを同０．０５〜０．３重量％含有し（ただし、１，２−ペンタンジオールの含有量が外用組成物の３．０重量％以下の場合には、２−フェノキシエタノールの含有量は同０．１重量％よりも多い）、かつ、他の防腐剤を含有しない外用組成物を提供するものである。なお、本発明において「外用組成物」とは、凡そ外用に用いる組成物全般を包括する概念であり、例えば基礎化粧料，メーキャップ化粧料，毛髪用化粧料等の化粧料や、軟膏剤等の種々の医薬品ないし医薬部外品等に広く適用可能な組成物のことをいう。本発明は、またこれらの態様の外用組成物を個別に提供するものでもある。
【０００６】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明外用組成物に配合する１，２−ペンタンジオールは、下記式で表される構造をとる。
ＣＨ₃（ＣＨ₂）₂ＣＨ（ＯＨ）ＣＨ₂ＯＨ
この１，２−ペンタンジオールの沸点は９８〜１０２℃／１３mmであり、旋光度は〔α〕²⁰ _D＋０．９５°で、通常は保湿成分の一つとして外用組成物中に配合されている成分であり、通常公知の方法を用いて製造したものを本発明外用組成物中に配合することができる。また、市販品（ＴＥＧＵＳＳＡ社製品等）を本発明外用組成物中に配合することも可能である。
【０００７】
本発明外用組成物中の１，２−ペンタンジオールの配合量は、特に制限されるものではないが、所望の防腐効果を有効に発揮させるためには外用組成物に対して０．１重量％以上の割合で配合する必要があり、同１．０重量％以上の割合で配合することが好ましい。そして、さらに外用組成物に対して３．０重量％以上の割合で配合すると、所望する防腐効果が著しく発揮される傾向があり特に好ましい。
【０００８】
本発明外用組成物中の１，２−ペンタンジオールの配合量の上限は、外用組成物の性質に応じて適宜決定されるべきものであり特に限定されるものではないが、通常外用組成物の２０．０重量％以下の割合で配合される。外用組成物の２０．０重量％を越えて配合すると、べたついた使用感を伴う等、本発明外用組成物の使用性が悪化する傾向にあり好ましくない。
【０００９】
上記１，２−ペンタンジオールと共に本発明外用組成物中に配合される２−フェノキシエタノールは、下記式で表される構造をとる。
【化１】

【００１０】
この２−フェノキシエタノールは、沸点が２３７℃，１６５℃／８０mmで、旋光度がｄ²²１．１０２，ｎ²⁰ _D１．５３４の液体であり、通常防腐助剤として外用組成物中に配合されている成分である。
【００１１】
本発明外用組成物中には、通常公知の方法、例えばフェノールにエチレンオキシドを作用させる；ナトリウムフェノキシドとエチレンクロルヒドリンとを反応させる等の方法により製造した２−フェノキシエタノールを配合することも可能であり、市販品を配合することも勿論可能である。
【００１２】
２−フェノキシエタノールの本発明外用組成物中における配合量は、外用組成物に対して０．０１重量％以上を配合することが所望の防腐効果を本発明外用組成物において発揮させるために必要である。この２−フェノキシエタノールは、付与すべき防腐力の強度に応じた量を本発明外用組成物中に配合することが可能であり、外用組成物の１．０重量％を越えて配合しても外用組成物の防腐力に悪影響を与えるものではないが、配合量の増大に見合った防腐力の向上を見込むことができない。かかる点で本発明外用組成物における２−フェノキシエタノールの配合上限は１．０重量％である。
【００１３】
２−フェノキシエタノールは、本発明外用組成物中に外用組成物に対して０．０５重量％以上の割合で配合することが一般的には好ましく、同０．２重量％以上の割合で配合することが特に好ましい。
【００１４】
上記１，２−ペンタンジオールと２−フェノキシエタノールとの本発明外用組成物中における配合割合を例示すると、１，２−ペンタンジオールの配合量が外用組成物の１．０重量％以下（０重量％を除く）の場合には、２−フェノキシエタノールを同０．３重量％以上本発明外用組成物中に配合することが好ましい。また、１，２−ペンタンジオールの配合量が外用組成物の１．０重量％を越えて同３．０重量％以下の場合には、２−フェノキシエタノールを同０．１重量％以上本発明外用組成物中に配合することが好ましい。さらに、１，２−ペンタンジオールの配合量が外用組成物の３．０重量％を越えて同１０．０重量％以下の場合には、２−フェノキシエタノールを同０．０５重量％以上本発明外用組成物中に配合することが好ましい。最も好適に本発明の効果を発揮する、１，２−ペンタンジオールと２−フェノキシエタノールの本発明外用組成物における配合量は、１，２−ペンタンジオールが外用組成物の１．０〜５．０重量％であり、２−フェノキシエタノールが同０．０５〜０．３重量％の範囲である（ただし、１，２−ペンタンジオールの含有量が外用組成物の３．０重量％以下の場合には、２−フェノキシエタノールの含有量は同０．１重量％以上である）。
【００１５】
このようにして、１，２−ペンタンジオール及び２−フェノキシエタノールを組み合わせて本発明外用組成物中に配合することにより、驚くべきことに防腐性を確保しつつ、使用性及び安全性が著しく向上した本発明外用組成物が提供される。
【００１６】
上記の本発明の所期の効果のみを企図する限りにおいて、他の防腐剤を本発明外用組成物中に追加配合する必要はないが、この所期の効果を損なわない範囲で、さらにそれらの他の防腐剤を本発明外用組成物中に追加配合することが可能である。
【００１７】
また、本発明外用組成物の所期の効果を損なわない範囲で、企図する外用組成物の性質に応じて、保湿剤，紫外線防御剤，ビタミン類，動植物抽出成分，消炎剤，美白剤，血管拡張剤，収斂剤，清涼剤，ホルモン剤等、おおよそ外用組成物に配合され得る成分が配合され得る。
【００１８】
そして、本発明外用組成物は、外皮に適用される化粧料、医薬品、医薬部外品等に広く適用することが可能であり、その剤型も水溶液系，可溶化系，乳化系，油液系，ゲル系，ペースト系，軟膏系，エアゾール系，水−油２層系，水−油−粉末３層系等幅広い剤型を採り得る。すなわち、基礎化粧料であれば、洗顔料，化粧水，乳液，クリーム，ジェル，エッセンス（美容液），パック・マスク等の形態に、上記の多様な剤型において広く適用可能である。さらに、メーキャップ化粧料であれば、ファンデーション，マスカラ，ネールエナメル，口紅等の形態に、上記の多様な剤型において広く適用可能である。また、毛髪用化粧料であれば、シャンプー，リンス，養毛料等の形態に、上記の多様な剤型において広く適用可能である。
医薬品又は医薬部外品であれば、各種の軟膏剤等の形態に広く適用が可能である。
なお、これらの剤型及び形態に、本発明外用組成物の採り得る剤型及び形態が限定されるものではない。
【００１９】
本発明外用組成物においては、上記の所望する剤型及び形態に応じて通常公知の基剤成分を、その配合により本発明の所期の効果が損なわれない範囲で広く配合することができる。
すなわち、液体油脂，固体油脂，ロウ類，炭化水素油，高級脂肪酸，高級アルコール，合成エステル油，シリコーン類，各種の界面活性剤，金属イオン封鎖剤，水溶性高分子，増粘剤，各種の粉末成分，色剤，香料，水等を必要に応じて本発明外用組成物中に適宜配合することができる。
本発明外用組成物の具体的な処方については、後述する実施例において記載する。
【００２０】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、これらの実施例により本発明の技術的範囲が限定的に解釈されるべきものではない。
なお本実施例中、配合量を示す「重量％」又は「％」は、特に断らない限り外用組成物に対する重量％を意味する。
実施例を開示するに先立ち、先ず使用試験と防腐力測定試験について記載する。
【００２１】
使用試験
過去に、パラベンを配合した外用組成物の使用に際して皮膚の刺激感を訴えたパネル３０名に対して、本発明外用組成物等を１日当り朝夕２回の頻度で１週間使用させて、使用性の満足度と共に皮膚刺激の有無を申告させた。
【００２２】
防腐力判定試験
試料３０mlに菌液を接種後、塗抹法により菌数の変化を調べた。なお、接種菌は、カビ，酵母，バクテリアを用いて、２週間経過時までの菌数変化により防腐力を評価し、得られた結果を以下の４段階の基準に分類した。なお、以下の分類のうち、◎ないし○のものを合格と判定した。
【００２３】
◎：早急に効果が認められる。
○：徐々に効果が認められる。
△：ほとんど効果が認められない。
×：全く効果が認められない。
【００２４】
〔実施例１，２〕
下記第１表において示した処方の本発明外用組成物の一態様としての化粧水及びその比較例について上記使用試験及び防腐力判定試験を行い、その結果を記載した。なお、これらの化粧水の製造方法は、化粧水の製造方法として一般的に用いられている方法に従った。

【００２５】
【表１】
第１表

【００２６】
実施例１及び同２においては、皮膚刺激が少なく、使用性にも満足した者の割合が多く、かつ防腐性も確保されている。
これに対して、２−フェノキシエタノールの代わりにメチルパラベンを配合した比較例１は、防腐力には優れるものの、皮膚の刺激感を訴えた者が多く、使用性にも満足した者は少なかった。
【００２７】
また、２−フェノキシエタノール及びメチルパラベンの双方を配合しない比較例２は、皮膚刺激が少なく、使用性にも満足した者の割合も多かったが、防腐力に劣っていた。
この結果により、１，２−ペンタンジオールと２−フェノキシエタノールを組み合わせることにより、防腐力を保持しつつ、皮膚刺激が少なく、使用性も良好な外用組成物が提供されることが明らかになった。
【００２８】
〔実施例３〜１１〕
さらに、１，２−ペンタンジオールと２−フェノキシエタノールの配合量を変化させた化粧水〔１，２−ペンタンジオールと２−フェノキシエタノールの配合量以外の配合成分は、上記表１に示した処方と同じである（メチルパラベンは配合せず）〕について、上記防腐力試験及び使用試験（使用性についてのみ）を行った。
【００２９】
それぞれの化粧水の１，２−ペンタンジオールと２−フェノキシエタノールの配合量と試験結果を第２表に示す。
【表２】

【００３０】
第２表において、本発明外用組成物においては、単に１，２−ペンタンジオールと２−フェノキシエタノールの配合量のみではなく、両者の配合比も本発明の所期の効果に大きな影響を与えることが明らかになった。
すなわち、１，２−ペンタンジオールの配合量が共に外用組成物の１．０重量％である実施例３及び同４においては、２−フェノキシエタノールの配合量が同０．１重量％（実施例３）では防腐力が十分とはいえないが、同０．３重量％（実施例４）では満足すべき結果が得られた。
【００３１】
また、１，２−ペンタンジオールの配合量が共に外用組成物の３．０重量％である実施例５及び同６においては、２−フェノキシエタノールの配合量が同０．０５重量％（実施例５）では防腐力が十分とはいえないが、同０．１重量％（実施例６）では満足すべき結果が得られた。
また、１，２−ペンタンジオールの配合量が外用組成物の５．０重量％である実施例７においては、２−フェノキシエタノールの配合量が外用組成物の０．０５重量％でも満足すべき結果が得られた。
【００３２】
また、１，２−ペンタンジオールの配合量が共に外用組成物の１０．０重量％である実施例８及び同９においては、２−フェノキシエタノールの配合量が外用組成物の０．０１重量％（実施例８）では防腐力が十分とはいえないが、同０．１重量％（実施例９）では満足すべき結果が得られた。
さらに、１，２−ペンタンジオールの配合量が外用組成物の２０．０重量％である実施例１０は、２−フェノキシエタノールの配合量が外用組成物の０．０１重量％であっても優れた防腐力が得られたが、使用性の評価が多量に配合された１，２−ペンタンジオールによるべたつきにより下落していた。
【００３３】
この傾向は、１，２−ペンタンジオールの配合量が外用組成物の２５．０重量％である実施例１１において顕著に現れた。すなわち、２−フェノキシエタノールの配合量が外用組成物の０．０１重量％でも、実施例１１の化粧水は非常に優れた防腐力を示したが、その使用性は極端に劣っていた。なお、２−フェノキシエタノールを全く配合していない比較例３〜５は、いずれも使用性又は防腐力が十分なものではなかった。また、実施例３と５、及び、実施例８〜１１は、本発明の範囲から除外した。
【００３４】
この結果により、１，２−ペンタンジオールと２−フェノキシエタノールとの本発明外用組成物中における配合割合は、１，２−ペンタンジオールの配合量が外用組成物の１．０重量％以下（０重量％を除く）の場合には、２−フェノキシエタノールを同０．３重量％以上本発明外用組成物中に配合することが好ましいことが明らかになった。また、１，２−ペンタンジオールの配合量が外用組成物の１．０重量％を越えて同３．０重量％以下の場合には、２−フェノキシエタノールを同０．１重量％以上本発明外用組成物中に配合することが好ましいことが明らかになった。さらに、１，２−ペンタンジオールの配合量が外用組成物の３．０重量％を越えて同１０．０重量％以下の場合には、２−フェノキシエタノールを同０．０５重量％以上本発明外用組成物中に配合することが好ましいことが明らかになった。
【００３５】
以下、種々の処方の本発明外用組成物を例示するが、いずれの実施例も優れた防腐力を保持しつつ、皮膚刺激が少なく、使用性も良好であった。なお、これらの実施例における外用組成物の製造方法は、各々の態様の外用組成物の製造方法として一般的に用いられている方法に従った。また、実施例１２、１３、１５、２２、２４は、本発明の範囲から除外した。
【００３６】
〔実施例１２〕アストリンゼントローション

【００３７】
〔実施例１３〕クレンジングフォーム

【００３８】
〔実施例１４〕エモリエントエマルジョン

【００３９】
〔実施例１５〕スキントリートメントジェル

【００４０】
〔実施例１６〕油中水型乳化ファンデーション

【００４１】
〔実施例１７〕水中油型乳化ファンデーション

【００４２】
〔実施例１８〕シャンプー

【００４３】
〔実施例１９〕リンス

【００４４】
〔実施例２０〕透明マスカラ（１）

【００４５】
〔実施例２１〕透明マスカラ（２）

【００４６】
〔実施例２２〕水系マスカラ

【００４７】
〔実施例２３〕水系アイライナー

【００４８】
〔実施例２４〕Ｗ／Ｏマスカラ

【００４９】
〔実施例２５〕サンスクリーン（Ｏ／Ｗクリームタイプ）

【００５０】
〔実施例２６〕サンスクリーン（Ｏ／Ｗ乳液タイプ）

【００５１】
〔実施例２７〕サンスクリーン（Ｗ／Ｏクリームタイプ）

【００５２】
【発明の効果】
本発明により、格段に安全性及び使用性に優れる外用組成物における防腐手段が提供される。

Claims

１，２−ペンタンジオールを外用組成物の１．０〜５．０重量％、及び、２−フェノキシエタノールを同０．０５〜０．３重量％含有し（ただし、１，２−ペンタンジオールの含有量が外用組成物の３．０重量％以下の場合には、２−フェノキシエタノールの含有量は同０．１重量％よりも多い）、かつ、他の防腐剤を含有しない外用組成物。
外用組成物が基礎化粧料である、請求項１記載の外用組成物。
外用組成物がメーキャップ化粧料である、請求項１記載の外用組成物。
外用組成物が毛髪化粧料である、請求項１記載の外用組成物。