JP3655473B2 - 乳化型パック化粧料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はパック化粧料に関する。更に詳細には、パック塗布後の乾燥時間が短くかつ使用性にすぐれたピールオフタイプの乳化型パック化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
パック化粧料は皮膚の保湿や清浄を目的として広く使われている化粧品で、使用方法の違いによってピールオフタイプ拭き取りまたは洗い流しタイプ貼付タイプなどいくつかの種類がある。
【0003】
これらの中でも、皮膚に塗布して乾燥させ形成した皮膜を剥離して使用するピールオフタイプは皮膚表面の汚れや古い角質、毛穴の黒ずみや角栓などを除去する効果に優れ、また皮膜による閉塞による保湿効果に優れており使用満足感が高いため非常に多く用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、ピールオフタイプのパック化粧料の欠点は、塗布後の放置時間(乾燥時間)が長いことであり、通常一回の使用に30分程度かかるため日常の忙しい生活のなかではこれがパック化粧料を使用する上での障害となっている。
【0005】
そのため従来より乾燥時間を短くするための工夫がいくつか行われている。たとえば、処方中のアルコール含量を増やすことにより乾燥時間が短縮するが、この場合アルコール濃度が高まることにより、皮膚や目に刺激が現れるなどの問題が生じる。また、処方中の水分量を少なくするために粉末などを多く配合したり、乾燥するときの皮膜形成を促進するために皮膜剤と相互作用してゲルを形成する物質を添加する等により乾燥時間が短縮するが、これらの場合はいずれも製品を保管中に経時でゲル化をおこして製品そのものが固くなるなど安定性に問題が生じる。このように乾燥時間が短く、製品として問題がないピールオフタイプのパック化粧料をえることは困難であった。
【0006】
本発明者等は、上記現状に鑑み、乾燥時間が短く製品として問題がない速乾性のパック化粧料を得るべく鋭意研究を行った結果、驚くべきことにポリビニルアルコールと油分と水とを含有する乳化型パック化粧料において、部分けん化型ポリビニルアルコールを乳化型パック化粧料全量に対して5〜20重量%含有し、油分を乳化型パック化粧料全量に対して15〜50重量%含有させ、さらに界面活性剤を乳化型パック化粧料全量に対して3〜10重量%含有させると、乾燥時間が短く、かつ極めてスムーズに剥離できる使用性に優れたピールオフタイプのパック化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
本発明は、乾燥時間が短く使用性に優れた速乾性のピールオフタイプのパック化粧料を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、ポリビニルアルコールと油分と水とを含有する乳化型パック化粧料において、部分けん化型ポリビニルアルコールを乳化型パック化粧料全量に対して5〜20重量%含有し、油分を乳化型パック化粧料全量に対して15〜50重量%含有し、さらに界面活性剤を乳化型パック化粧料全量に対して3〜10重量%含有することを特徴とするピールオフタイプの乳化型パック化粧料を提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成について詳述する。
本発明に用いるポリビニルアルコールは、乳化型パック化粧料の被膜剤及び乳化剤として機能するもので、被膜剤及び乳化剤として作用する限り特に制限はなく、例えば、市販品のポリビニルアルコールを用いることが出来る。
【0012】
ポリビニルアルコールは、重合度とけん化度の違いによっていくつかのグレードに分けられたものが市販されている。重合度は通常4%濃度水溶液の20℃における粘度を測定することによって示される。本発明においては、4cps程度の低粘度のものから70cps程度の高粘度のものまで使用することができる。しかしながら、重合度が高くなるほど形成する皮膜の強度が増加しパックの粘度が増加するという傾向があるため、適度な皮膜の強度とパックとして塗布しやすい粘度を考慮すると、30から50cpsの粘度範囲を有する重合度のポリビニルアルコールを用いることが好ましい。
【0013】
一方、けん化度はポリビニルアルコールの製造時におけるポリ酢酸ビニルのアセチル基のけん化の割合の違いによるもので、ほぼ完全に(98〜100%)けん化を行った「完全けん化型」と、部分的に(87〜89%)けん化を行い、アセチル基をある程度残した「部分けん化型」とに大きく分けられる。本発明においては、部分けん化型のほうが室温での溶解性が高く低温での粘度安定性が良好であり、配合する油分の乳化能に優れるため、部分けん化型のポリビニルアルコールを用いる。
【0014】
上記のポリビニルアルコールの配合量はパック化粧料全量に対して5〜20重量%の配合範囲が好ましく、さらに好ましくは9〜15重量%の範囲である。5重量%未満の配合量では、十分な強度の皮膜が形成されず、均一に剥離しがたい。一方、20重量%を越える配合量では、粘度が高すぎるため塗布しづらい場合がある。
【0015】
本発明に使用される油分は特に限定されず、通常、乳化化粧料に利用される油分であれば使用でき、例えば、マカデミアナッツ油、月見草油、オリーブ油、ミンク油、ホホバ油、ラノリン、スクワレン等の天然動植物油脂類;流動パラフィン、スクワラン、ワセリン等の炭化水素類;セタノール、ステアリルアルコール、セチルアルコール等の高級アルコール類;ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノレン酸、リノール酸、リノレイン酸、オキシステアリン酸等の高級脂肪酸類;テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット、イソプロピルミリスチン酸、イソプロピルパルミチン酸、イソプロピルイソステアリン酸、2エチルヘキサン酸グリセリール等のエステル類;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体等の低粘度から高粘度までのジオルガノポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、テトラメチルテトラフェニルテトラシクロシロキサン等の環状シロキサン、高重合度のガム状ジメチルポリシロキサン、ガム状のジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、ガム状ジメチルポリシロキサン等の環状シロキサン溶液、炭素原子数6〜50のアルキル基を有するジオルガノポリシロキサン、アミノ変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、フッ素変性シリコーン等のシリコーン油等が挙げられる。油分は一種または二種以上が配合されるが、揮発性シリコーン油を配合することが塗布時の使用感の点から好ましい。また天然動植物油脂類を配合することで、剥離後に肌にしっとり感を持たせることも可能である。
【0016】
油分の配合量は、乳化型パック化粧料全量に対して15〜50重量%である。15重量%未満では即乾性の効果が乏しく、また、50重量%を越えて配合すると粘度が高く塗布時の使用性に問題が生じる場合がある。特に、使用性の点からは、25〜40重量%が好ましい。
【0017】
本発明に用いる水は上記必須成分と共に撹拌混合され乳化組成物を形成し、常法により本発明の乳化型パック化粧料を製造することが出来る。水の配合量は特に制限はないが、乳化型パック化粧料全量に対して通常30〜60重量%配合することが好ましい。油分の配合比の上昇に伴い水分量は相対的に減少するが、各配合比のパック化粧料の水分蒸発速度に差は見られず、油分配合による速乾性は、水分量とは関係がない。
【0018】
本発明においてはさらに界面活性剤を配合することが好ましく、上記組成の乳化型パック化粧料に界面活性剤を含有させると、乾燥時間及び使用性の点で顕著な効果が発揮される。
【0019】
本発明に用いる界面活性剤は特に制限されないが、非イオン界面活性剤(親水性又は親油性)が好ましい。具体的には、例えば、POE-ソルビタンモノオレエート、POE-ソルビタンモノステアレート、POE-ソルビタンテトラオレエート等の POE-ソルビタン脂肪酸エステル類、POE-ソルビットモノラウレート、POE-ソルビットモノオレエート、POE-ソルビットペンタオレエート、POE-ソルビットモノステアレート等の POEソルビット脂肪酸エステル類、POE-グリセリンモノステアレート、POE-グリセリンモノイソステアレート、POE-グリセリントリイソステアレート等のPOE-グリセリン脂肪酸エステル類、POE-モノオレエート、POE-ジステアレート、POE-モノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等のPOE-脂肪酸エステル類、POE-ラウリルエーテル、POE-オレイルエーテル、POE-ステアリルエーテル、POE-ベヘニルエーテル、POE-2-オクチルドデシルエーテル、POE-コレスタノールエーテル等のPOE-アルキルエーテル類、プルロニック等のプルロニック型類、POE・POP-セチルエーテル、POE・POP-2-デシルテトラデシルエーテル、POE・POP-モノブチルエーテル、POE・POP-水添ラノリン、POE・POP-グリセリンエーテル等の POE・POP-アルキルエーテル類、テトロニック等のテトラ POE・テトラPOP-エチレンジアミン縮合物類、POE-ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE-硬化ヒマシ油マレイン酸等のPOE-ヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体、POE-ソルビットミツロウ等のPOE-ミツロウ・ラノリン誘導体、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等のアルカノールアミド、POE-プロピレングリコール脂肪酸エステル、POE-アルキルアミン、POE-脂肪酸アミド、ショ糖脂肪酸エステル、POE-ノニルフェニルホルムアルデヒド縮合物、アルキルエトキシジメチルアミンオキシド、トリオレイルリン酸等が挙げられる。
【0020】
界面活性剤の配合量は乳化型パック化粧料全量に対して3〜10重量%である。
【0021】
なお、ポリビニルアルコールと油分と水とを含有する乳化型パック化粧料は公知であるが従来のピールオフタイプの乳化型パック化粧料の油分の配合量は10重量%以下であり、油分を15重量%以上に高配合した例はない。本発明のポリビニルアルコールと油分と水とを含有する乳化型パック化粧料において、部分けん化型ポリビニルアルコールを乳化型パック化粧料全量に対して5〜20重量%含有し、油分を乳化型パック化粧料全量に対して15〜50重量%含有し、さらに界面活性剤を乳化型パック化粧料全量に対して1〜20重量%含有することを特徴とするピールオフタイプの乳化型パック化粧料は、化粧用乳化組成物としても新規なものであり、該乳化組成物が化粧料として利用された例は本発明が最初である。
【0022】
本発明のパック化粧料中は、上記の必須構成成分のほかに、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じ一般的に化粧料に配合される成分を配合することが出来る。配合可能な成分としては、例えば、エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール、グリセリン、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、ソルビトール、マルチトールなどの多価アルコール、タルク、カオリン、酸化チタン、無水ケイ酸等の粉末、ポリビニルピロリドン、ポリ酢酸ビニル、カルボキシメチルセルロース、キサンタンガム等の水溶性高分子、防腐剤、殺菌剤、紫外線吸収剤、キレート剤、酸化防止剤、香料などが挙げられる。
【0023】
【実施例】
以下に実施例をあげて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例における配合量は重量%である。
【0024】
実施例で製造した本発明の乳化型パック化粧料の乾燥時間及び使用性については以下の評価法により評価した。
【0025】
[乾燥時間の測定]
パック化粧料の乾燥時間は、女性専門パネル10名で実際に実施例及び比較例のパック化粧料を使用し各パネルの官能評価によって測定した。測定は、25℃、40%RHの恒温恒湿度の室内において行った。各パネルがサンプルを顔に均一に塗布し、塗布したパックが指で触れてもべたつかず一枚の膜となってはがせるようになった時点を乾燥したと判断して塗布してから乾燥するまでの時間を分単位で記録した。各パネル10名のデータを平均してこれを乾燥時間とした。
【0026】
[使用性試験]
女性専門パネル10名で実際に実施例及び比較例のパック化粧料を使用し、乾燥後のパックのピールオフ(剥離)の使用性について官能試験を行い、以下の基準で評価した。
◎:10名中8名以上がピールオフしやすく使用性が良好と回答した。
○:10名中6名以上がピールオフしやすく使用性が良好と回答した。
△:10名中4名以上がピールオフしやすく使用性が良好と回答した。
×:10名中4名未満がピールオフしやすく使用性が良好と回答した。
【0027】
「表1」及び「表2」に記載の配合組成より成るパック化粧料を製造し、上述の乾燥時間の測定と使用性試験を行った。なお、以下の実施例で用いたポリビニルアルコールは重合度40cps(20℃、4%濃度水溶液)、けん化度88%のものである。
【0029】
【表1】
--------------------------------------------------------------------------
処方 比較例1 比較例2 実施例1 実施例2
--------------------------------------------------------------------------
ポリビニルアルコール 14 12 12 12
プロピレングリコール 5 5 5 5
エタノール 5 5 5 5
ポリメチルシロキサン 10 15 15 15
ポリオキシエチレンラウリルエーテル 0 1 3 10
防腐剤 適量 適量 適量 適量
精製水 残余 残余 残余 残余
---------------------------------------------------------------------------
乾燥時間 17 10 6 6
---------------------------------------------------------------------------
使用性 △ ○ ◎ ◎
---------------------------------------------------------------------------
【表2】
-----------------------------------------------------------------
処方 比較例3 実施例3 実施例4
-----------------------------------------------------------------
ポリビニルアルコール 10 10 10
プロピレングリコール 5 5 5
エタノール 5 5 5
ポリメチルシロキサン 25 25 25
ポリオキシエチレンラウリルエーテル 1 3 10
防腐剤 適量 適量 適量
精製水 残余 残余 残余
-----------------------------------------------------------------
乾燥時間 7 5 5
-----------------------------------------------------------------
使用性 ○ ◎ ◎
-----------------------------------------------------------------
【0030】
「表1」「表2」から明らかなように、油分を15〜50重量%配合した実施例の乳化型パック化粧料は、従来技術の比較例に比べ、乾燥時間が極めて短く、ピールオフ時の使用性も優れていることが分かる。さらに、界面活性剤を配合すると乾燥時間がさらに短縮され、その含有量が3〜10重量%の場合は使用性がさらに向上することが分かる。
【0031】
実施例5
下記の処方からなるピールオフマスクを調整した。
処方
1)ポリビニルアルコール 12重量%
2)プロピレングリコール 3
3)ジメチルシロキサン 20
4)クエン酸 0.07
5)クエン酸ナトリウム 0.03
6)エタノール 7
7)ポリオキシエチレンドデシルエーテル 5
8)防腐剤 適量
9)香料 適量
10)精製水 残余
【0032】
実施例6
下記の処方からなるピールオフマスクを調整した。
処方
1)ポリビニルアルコール 12重量%
2)1.3ブチレングリコール 5
3)スクワラン 10
4)流動パラフィン 10
5)クエン酸 0.1
6)ポリオキシエチレンソルビタンモノステアリン酸エステル 6
7)アスコルビン酸 3
8)エタノール 10
9)防腐剤 適量
10)香料 適量
11)精製水 残量
【0033】
実施例7
下記の処方からなるピールオフマスクを調整した。
1)ポリビニルアルコール 12重量%
2)ザンサンガム 0.1
3)グリセリン 3
4)ジメチルポリシロキサン 10
5)スクワラン 5
6)ホホバ油 7
7)ポリオキシエチレンラウリルエーテル 5
8)酢酸トコフェロール 0.1
9)アスコルビン酸 3
10)キレート剤 適量
11)防腐剤 適量
12)精製水 残余
【0034】
【発明の効果】
本発明によれば、パック塗布後の乾燥時間が短くかつ使用性に優れたパック化粧料を提供することが出来る。
Claims (1)
- ポリビニルアルコールと油分と水とを含有する乳化型パック化粧料において、部分けん化型ポリビニルアルコールを乳化型パック化粧料全量に対して5〜20重量%含有し、油分を乳化型パック化粧料全量に対して15〜50重量%含有し、さらに界面活性剤を乳化型パック化粧料全量に対して3〜10重量%含有することを特徴とするピールオフタイプの乳化型パック化粧料。
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