JP3655466B2 - 自動変速装置の変速段位置表示装置 - Google Patents

自動変速装置の変速段位置表示装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、変速モードが手動変速モードの際に、適切な変速方向を報知する自動変速装置の変速段位置表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動変速装置のセレクトレバーをD(ドライブ)レンジ等の走行レンジにセットすると、自動変速機では車速とスロットル開度とをパラメータとして予め設定した変速特性に基づき、現在の走行条件に最適な変速段を自動設定するが、最近では、このような、いわゆる自動変速モードに加え、運転者が変速段を任意に選択することのできる、いわゆる手動変速モードを併設する自動変速装置が、特開平2−8545号公報等において提案されている。
【0003】
上記手動変速モードは、運転者がセレクトレバーを操作してアップシフト、ダウンシフトを通常の手動変速機と同様の感覚で変速操作できるようにしたもので、この場合、例えば図8に示すような変速特性に従い、アップシフト後、或いはダウンシフト後の変速段が、予め設定されている過回転を防止するための上限Hとエンジンストールを防止するための下限Lとの間の変速可能域に収まっているか否かを判定し、この変速可能域から外れているときは変速を拒否する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このようなことから、ドライバに対して、変速しようとする方向が変速可能な方向か否かを報知できれば、ドライバによる変速が不適切であって、変速の拒否をするといったロスがなくなり、常に安定して最適な走行ができるようになる。
【0005】
最適な変速段位置を表示するものとしては、特開昭59−2934号公報に、手動変速機付きの車両において、低燃費運転に最適な変速段位置を数字にて表示する技術が示されている。
【0006】
しかし、運転の際、ドライバが咄嗟に、現在の変速段位置と数字で示された低燃費運転に最適な変速段位置とを比較して必要な変速行動をとることは難しい。
【0007】
また、手動変速モードでは、ドライバは常に低燃費運転を望むとは限らず、その他、変速可能な範囲で、走行する環境に応じて自分の好みの変速タイミングで走行をする場合や、スポーティな高出力、高トルクでの走行をする場合がある。
【0008】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、咄嗟に、変速可能な方向や、変速すべき方向を認識することができ、ドライバの希望する運転が、常に安定して最適な状態で行うことができる自動変速装置の変速段位置表示装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため請求項1記載の本発明による自動変速装置の変速段位置表示装置は、変速モードに自動変速モードと手動変速モードとを備える自動変速装置において、上記手動変速モードの際に現在の変速段位置を表示する現変速段位置表示手段と、上記手動変速モードの際に現在の運転状態を基に予め設定した運転条件を満足する変速段位置を求める変速段範囲検出手段と、上記予め設定した運転条件を満足する変速段位置と現在の変速段位置とを比較し、この現在の変速段位置を基準として変速する方向を表示する変速方向表示手段とを有し、上記変速方向表示手段は、上記現変速段位置表示手段の直隣接した位置の上側にアップシフトの表示部と、上記現変速段位置表示手段の直隣接した位置の下側にダウンシフトの表示部を備えるものである。また、請求項2記載の本発明による自動変速装置の変速段位置表示装置は、請求項1記載の自動変速装置の変速段位置表示装置において、上記アップシフトの表示部と上記ダウンシフトの表示部は、変速可能な場合と変速を指示する場合とで異なった表示を行う。
【0010】
上記請求項1記載の自動変速装置の変速段位置表示装置は、変速モードに自動変速モードと手動変速モードとを備える自動変速装置において、上記変速モードが上記手動変速モードの際に、現変速段位置表示手段は、現在の変速段位置を表示する。また、この手動変速モードの際に、変速段範囲検出手段は、現在の運転状態を基に予め設定した運転条件を満足する変速段位置を求め、変速方向表示手段は、上記予め設定した運転条件を満足する変速段位置と現在の変速段位置とを比較し、この現在の変速段位置を基準として変速する方向を表示する。この際、上記変速方向表示手段は、上記現変速段位置表示手段の直隣接した位置の上側のアップシフトの表示部でアップシフトの表示を行い、上記現変速段位置表示手段の直隣接した位置の下側のダウンシフトの表示部でダウンシフトの表示を行う。更に、請求項2記載のように、上記アップシフトの表示部と上記ダウンシフトの表示部は、変速可能な場合と変速を指示する場合とで異なった表示を行う要にしても良い。
【0011】
また、請求項記載の本発明による自動変速装置の変速段位置表示装置は、請求項1又は請求項2記載の自動変速装置の変速段位置表示装置において、上記予め設定した運転条件は、少なくともエンジンの過負荷、過回転領域を除いた適正運転領域にすれば、ドライバは変速方向表示手段の表示に従って、変速可能な範囲で、走行する環境に応じて自分の好みの変速タイミングで走行をする。
【0012】
さらに、請求項記載の本発明による自動変速装置の変速段位置表示装置は、請求項1,2,3のいずれか1つに記載の自動変速装置の変速段位置表示装置において、少なくとも燃料消費が少なくなる運転状態を選択自在な低燃費運転選択手段を有し、この低燃費運転選択手段で低燃費運転が選択された際に上記予め設定した運転条件は、エンジンの運転範囲を低燃費の範囲に設定すれば、ドライバは変速方向表示手段の表示に従って、容易に低燃費走行をすることができる。
【0013】
また、請求項記載の本発明による自動変速装置の変速段位置表示装置は、請求項1,2,3,4のいずれか1つに記載の自動変速装置の変速段位置表示装置において、少なくとも高出力、高トルクでの運転状態を選択自在な高出力、高トルク運転選択手段を有し、この高出力、高トルク運転選択手段で高出力、高トルク運転が選択された際に上記予め設定した運転条件は、エンジンの運転範囲を高出力、高トルクの範囲に設定すれば、ドライバは変速方向表示手段の表示に従って、容易に、高出力、高トルクでのスポーティな走行をすることができる。
【0014】
さらに、請求項記載の本発明による自動変速装置の変速段位置表示装置は、請求項1,2,3,4,5のいずれか1つに記載の自動変速装置の変速段位置表示装置において、少なくとも上記自動変速装置のオイル状態を検出するオイル状態検出手段を有し、このオイル状態検出手段で検出したオイル状態が予め設定しておいた適正範囲を超える際に、上記予め設定した運転条件は、オイル状態を上記予め設定しておいた適正範囲内に戻す運転状態の範囲に設定すれば、ドライバは変速方向表示手段の表示に従って、容易に、オイル状態の不適切な状態を解除することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
図1〜図7は本発明の実施の形態を示し、図1は自動変速制御系のシステム全体図、図2はトランスミッション制御装置の回路の概略図、図3はハイパワーモードマップの説明図、図4はエコノミーモードマップの説明図、図5は過大、過小回転防止マップの説明図、図6は変速段位置表示装置による表示例の説明図、図7は手動変速モードの際の変速段位置表示制御ルーチンのフローチャートである。
【0016】
図1において、符号1はエンジン、2はエンジン1に連設する自動変速機、3は上記エンジン1に設けたインジェクタに対する燃料噴射量及び点火プラグに対する点火時期を気筒別に設定する等の制御を行う制御装置(ECU)、4は上記自動変速装置2の変速制御等を行うトランスミッション制御装置(TCU)4である。
【0017】
又、符号5は車室内のコンソールボックスに配設した変速操作部であり、この変速操作部5に、セレクトレバー6により走行レンジ(D,2速、3速、R等)、ニュートラル(N)レンジ、パーキング(P)レンジを選択する周知の自動変速スロット7と、手動変速スロット8とが平行に配設され、この両変速スロット7,8が、上記ドライブ(D)レンジの位置に形成したゲート9を介して連通されている。尚、本発明の実施の形態では、一例として手動変速により1速段から5速段まで変速可能になっている。
【0018】
上記手動変速スロット8の両端にアップシフトポジション(+)とダウンシフトポジション(−)とが設けられており、この各シフトポジションにアップスイッチ10aとダウンスイッチ10bとが配設されている。又、上記セレクトレバー6の操作に連動する変速モード切換スイッチ10cが変速操作部5に内蔵されており、この変速モード切換スイッチ10cは、上記セレクトレバー6がゲート9を通過したときON動作する。
【0019】
一方、図2に示すように、上記TCU4は、CPU4a、ROM4b、RAM4c、入力インターフェイス4d、出力インターフェイス4eがバスラインを介して互いに接続されるマイクロコンピュータを中心として構成されており、その他、安定化電圧を各部に供給する定電圧回路4f等の周辺回路が組み込まれ、この定電圧回路4fが、イグニッションスイッチ11を介してバッテリ12に接続されている。
【0020】
上記入力インターフェイス4dには、上記アップスイッチ10a、ダウンスイッチ10bおよび上記変速モード切換スイッチ10cが接続され、さらに、インストルメントパネル近傍に設けた低燃費走行モードスイッチ13とスポーツ走行モードスイッチ14とが接続されている。
【0021】
上記低燃費走行モードスイッチ13は、燃料消費が少なくなる変速段の方向をドライバに対して報知する表示を行うか否かの選択スイッチで、上記スポーツ走行モードスイッチ14は、高出力、高トルクの、いわゆるスポーツ走行をする変速段の方向をドライバに対して報知する表示を行うか否かの選択スイッチで、それぞれスイッチONで、それぞれの走行モードが選択されるようになっている。
【0022】
また、上記入力インターフェイス4dには、自動変速機2に設けられた車速センサ15(例えば、トランスミッション出力軸回転数を検出し、この回転数から車速Vを演算する)やATFオイル(自動変速機用油)の温度TATを検出するATF温度センサ16が接続され、さらに、自動変速機2から現在の変速段Tp の位置、ECU3からエンジン回転数NE の信号が入力される。
【0023】
また、上記入力インターフェイス4dには、その他、スロットル開度センサ、アイドルスイッチ等、自動変速機2の変速制御に必要なパラメータを検出する各種センサ・スイッチ類17が接続されている。
【0024】
また、上記出力インターフェイス4eには、自動変速機2、現変速段位置表示部18、変速方向表示部19が接続されている。上記現変速段位置表示部18には、変速モードが手動変速モード(セレクトレバー6が手動変速スロット8側)にあるときに現在の変速段Tp が表示される。また、上記変速方向表示部19は、現在の変速段Tp の位置を基準として、エンジン1の過負荷、過回転領域を除いた適正運転領域で変速可能な変速段の方向、すなわち、現在の変速段の位置Tp からアップシフトあるいはダウンシフトしても適正運転領域での運転を維持できる方向の表示を行う。さらに、上記変速方向表示部19は、上記低燃費走行モードスイッチ13により低燃費走行モードが選択されている場合には、現在の変速段Tp の位置を基準として、低燃費で走行する変速段の方向を表示する一方、上記スポーツ走行モードスイッチ14によりスポーツ走行モードが選択されている場合には、現在の変速段Tp の位置を基準として、高出力、高トルクで走行する変速段の方向を表示するようになっている。
【0025】
上記TCU4で実行される手動変速モードの際の変速段位置表示制御は、図7のルーチンに従って実行される。この変速段位置表示制御ルーチンは、セレクトレバー6が自動変速スロット7から、ゲート9を通過して変速モード切換スイッチ10cをON動作して手動変速スロット8に移行し、手動変速モードになった際に所定時間毎に実行される。
【0026】
先ず、ステップ(以降、「S」と略称)101で、各入力信号(低燃費走行モードスイッチ13、スポーツ走行モードスイッチ14のON−OFF、車速V、ATF温度TAT、エンジン回転数NE 、現在の変速段Tp の位置)の読込みが行われ、S102に進んで、読み込んだ現在の変速段Tp を現変速段位置表示部18を点灯させて表示する。例えば、3速段の場合は図6(a)に示すように、2速段の場合は図6(b)に示すように表示する。
【0027】
次いで、S103に進み、ATF温度TATが、高温すぎるか、例えば150℃以上か否か判定し、150℃以上の高温すぎる場合はS104に進んで、エンジン回転数NE を下げて自動変速機2の負荷を下げる方向に変速操作するようにドライバに対して報知、すなわち、変速方向表示部19により現在の変速段位置を基準としてアップシフトを指示する表示を行う。具体的に例えば、図6(a)に示すように、上方向の矢印を点滅することで行う。
【0028】
このようにすることで、ハードなシフト操作でスポーティな走行を長時間続ける等した場合、ATF温度TATが上昇しすぎる問題が発生することがあるが、ドライバに対して適切な変速操作を促すことができる。尚、この場合、インストルメントパネルに配置した図示しないウォーニングランプも同時に点灯させるようにしても良い。
【0029】
その後、S105に進み、自動変速制御を実行させる。この自動変速制御は、例えば、上述のアップシフトの警報を行ってもドライバが所定時間内にアップシフトの変速操作を実行しない場合、自動的にアップシフトを行い自動変速機2の負荷を下げる方向に変速操作する。
【0030】
そして、S125に進み、今回のルーチンの実行で表示に関する指令のない他の表示が消灯(クリア)され、ルーチンを終了する。
【0031】
一方、上記S103で、ATF温度TATが、150℃より低く問題ない場合、S106に進み、スポーツ走行モードスイッチ14がONか否か判定する。そして、スポーツ走行モードスイッチ14がONの場合、S107に進み、後述する予め設定しておいたハイパワーモードマップを参照して、車速V、エンジン回転数NE で目標とする変速段(目標変速段)Tsを読込む。
【0032】
上記ハイパワーモードマップは、例えば、図3のように形成され、エンジン1が、その特性により、高出力、高トルクで運転可能なエンジン回転数領域(例えば3500rpm 〜6000rpm )に維持する変速段の領域をエンジン回転数NE と車速Vとで設定するものである。
【0033】
すなわち、車速v11までは1速段、車速v11から車速v12までは2速段、車速v12から車速v13までは3速段、車速v13から車速v14までは4速段、車速v14以上は5速段に設定すれば、エンジン回転数NE は常に高出力、高トルクで運転できスポーティな走行になる。
【0034】
次いで、S108に進むと、目標変速段Tsと現在の変速段Tp とが比較される。そして、目標変速段Tsが現在の変速段Tp より大きい場合はS109に進み、現在の変速段Tp を目標変速段Tsに近づけるべく変速方向表示部19により現在の変速段位置を基準としてアップシフトを指示する表示、具体的に例えば、図6(a)に示すように、上方向の矢印を点滅する表示をして、S125に進み、今回のルーチンの実行で表示に関する指令のない他の表示が消灯(クリア)され、ルーチンを終了する。
【0035】
また、上記S108で、目標変速段Tsが現在の変速段Tp 以下の場合はS110に進み、目標変速段Tsが現在の変速段Tp より小さいか、あるいは、目標変速段Tsが現在の変速段Tp と一致しているかの判定を行い、目標変速段Tsが現在の変速段Tp より小さい場合はS111に進み、現在の変速段Tp を目標変速段Tsに近づけるべく変速方向表示部19により現在の変速段位置を基準としてダウンシフトを指示する表示、例えば、下方向の矢印を点滅する表示をして、S125に進み、今回のルーチンの実行で表示に関する指令のない他の表示が消灯(クリア)され、ルーチンを終了する。また、上記S110で、目標変速段Tsが現在の変速段Tp と一致している場合は、そのままS125に進み、今回のルーチンの実行で表示に関する指令のない他の表示が消灯(クリア)され、ルーチンを終了する。
【0036】
このように、スポーツ走行モードスイッチ14をONした場合、ドライバは変速方向表示部19の表示に従って、容易に、高出力、高トルクでのスポーティな走行をすることができる。
【0037】
一方、上記S106で、スポーツ走行モードスイッチ14がOFFの場合は、S112に進み、低燃費走行モードスイッチ13がONか否か判定する。そして、低燃費走行モードスイッチ13がONの場合、S113に進み、後述する予め設定しておいたエコノミーモードマップを参照して、車速V、エンジン回転数NE で目標変速段Tsを読込む。
【0038】
上記エコノミーモードマップは、例えば、図4のように形成され、エンジン1が、その特性により、燃料消費が少なくなる状態で効率よく運転可能なエンジン回転数領域(例えば3000rpm 前後)に維持する変速段の領域をエンジン回転数NE と車速Vとで設定するものである。
【0039】
すなわち、車速v21までは1速段、車速v21から車速v22までは2速段、車速v22から車速v23までは3速段、車速v23から車速v24までは4速段、車速v24以上は5速段に設定すれば、エンジン回転数NE は常に低燃費の効率の良い範囲に保つことができる。
【0040】
そして、上記S113の後、前述の上記S108以降の処理を行うことで、低燃費走行モードスイッチ13をONした場合、ドライバは変速方向表示部19の表示に従って容易に低燃費走行をすることができる。
【0041】
さらに、上記S112で低燃費走行モードスイッチ13がOFFの場合、すなわち、ドライバが特に走行モードを指定しない場合は、S114に進む。このS114では、後述する過大過小回転防止マップで、車速V、エンジン回転数NE の条件での最大、最小変速段TMAX 、TMIN を読込む。尚、過大過小回転防止マップでの読込みの結果、1つの変速段のみしか設定されていない場合(例えば1速段の場合や5速段の場合)は、最大、最小変速段TMAX 、TMIN を同一の変速段とする。
【0042】
上記過大過小回転防止マップは、図5に示すように、いわゆる、レッドゾーンとなるエンジン回転数H(過大回転数)からエンジンストールとなるエンジン回転数L(過小回転数)の範囲での各変速段と車速Vを示すものである。
【0043】
すなわち、車速v31までは1速段、車速v31から車速v32までは1速段あるいは2速段、車速v32から車速v33までは1〜3速段、車速v33から車速v34までは1〜4速段、車速v34から車速v35までは1〜5速段、車速v35から車速v36までは2〜5速段、車速v36から車速v37までは3〜5速段、車速v37から車速v38までは4速段あるいは5速段、車速v38以上であれば5速段であれば、エンジン1は過大回転あるいは過小回転にならず適正な運転状態を維持できる。
【0044】
上記S114で最大、最小変速段TMAX 、TMIN を読込んだ後、S115に進むと、最小変速段TMIN と現在の変速段Tp との比較が行われる。このS115での比較の結果、最小変速段TMIN が現在の変速段Tp より小さい場合はS116に進み、変速方向表示部19により現在の変速段位置を基準として下の変速段に変速可能であることを表示した後、S120へと進む。この変速可能の表示は、具体的に例えば、図6(b)に示すように、下方向の矢印を点灯することにより行う。
【0045】
また、上記S115で、最小変速段TMIN が現在の変速段Tp 以上の場合はS117に進み、最小変速段TMIN は現在の変速段Tp と一致するか、あるいは、最小変速段TMIN は現在の変速段Tp より大きいか判定し、最小変速段TMIN が現在の変速段Tp と一致する場合は、そのまま何ら表示することなくS120へと進む。
【0046】
一方、最小変速段TMIN は現在の変速段Tp より大きい場合は、現在の変速段Tp が低すぎてエンジン回転が過大になっている(レッドゾーンの範囲に入っている)ため、S118に進んで、アップシフトを指示してエンジン回転数NE を下げるようにドライバに対して報知、すなわち、変速方向表示部19により現在の変速段位置を基準としてアップシフトを指示する点滅表示を行う。その後、S119に進み、自動変速制御を実行させる。この自動変速制御は、例えば、上述のアップシフトの警報を行ってもドライバが所定時間内にアップシフトの変速操作を実行しない場合、自動的にアップシフトを行いエンジン回転数NE を下げる方向に変速操作する。このため、エンジン1の過大な回転が有効に防止される。そして、上記S119からはS125に進み、今回のルーチンの実行で表示に関する指令のない他の表示が消灯(クリア)され、ルーチンを終了する。
【0047】
一方、上記S116あるいは上記S117からS120に進むと、最大変速段TMAX と現在の変速段Tp との比較が行われる。このS120での比較の結果、最大変速段TMAX が現在の変速段Tp より大きい場合はS121に進み、変速方向表示部19により現在の変速段位置を基準として上の変速段に変速可能であることを表示(点灯表示)した後、S125に進み、今回のルーチンの実行で表示に関する指令のない他の表示が消灯(クリア)され、ルーチンを終了する。
【0048】
また、上記S120で、最大変速段TMAX が現在の変速段Tp 以下の場合はS122に進み、最大変速段TMAX は現在の変速段Tp と一致するか、あるいは、最大変速段TMAX は現在の変速段Tp より小さいか判定し、最大変速段TMAX が現在の変速段Tp と一致する場合は、そのまま何ら表示することなくS125に進み、今回のルーチンの実行で表示に関する指令のない他の表示が消灯(クリア)され、ルーチンを終了する。
【0049】
一方、最大変速段TMAX は現在の変速段Tp より小さい場合は、現在の変速段Tp が高すぎてエンジン回転が過小になっている(エンジンストールの可能性の範囲に入っている)ため、S123に進んで、ダウンシフトを指示してエンジン回転数NE を上げるようにドライバに対して報知、すなわち、変速方向表示部19により現在の変速段位置を基準としてダウンシフトを指示する点滅表示を行う(ここで、上記S116でダウンシフト可能表示とし、あるいは上記S117で何ら表示を行わないで、このS123に達することがあるため、表示は「指示」表示に変更されることになる)。
【0050】
その後、S124に進み、自動変速制御を実行させる。この自動変速制御は、例えば、上述のダウンシフトの警報を行ってもドライバが所定時間内にダウンシフトの変速操作を実行しない場合、自動的にダウンシフトを行いエンジン回転数NE を上げる方向に変速操作する。このため、エンジン1の過小な回転が有効に防止される。そして、上記S124からはS125に進み、今回のルーチンの実行で表示に関する指令のない他の表示が消灯(クリア)され、ルーチンを終了する。
【0051】
すなわち、上記S114以降の処理により、ドライバは、エンジンが過大過小回転にならない適正な範囲を変速範囲として、走行する環境に応じて自分の好みの変速タイミングで走行をすることが可能になるのである。
【0052】
尚、本発明は上記実施の形態に限るものではなく、例えば自動変速スロットと手動変速スロットとが共用化されており、同一のセレクトレバー位置で自動変速モードと手動変速モードとを切換えることのできる装置に適用できることは云うまでもない。
【0053】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明によれば、現在の運転状態を基に予め設定した運転条件を満足する変速段位置を求め、予め設定した運転条件を満足する変速段位置と現在の変速段位置とを比較し、この現在の変速段位置を基準として変速する方向を表示するようにしたので、咄嗟に、変速可能な方向や、変速すべき方向を認識することができ、ドライバの希望する運転が、常に安定して最適な状態で行うことができる。そして、少なくともエンジンの過負荷、過回転領域を除いた適正運転領域を上記運転条件にすれば、ドライバは表示に従って、適正運転領域で、走行する環境に応じて自分の好みの変速タイミングで走行をすることが可能になり、少なくともエンジンの運転範囲が低燃費の範囲を上記運転条件にすれば、ドライバは表示に従って、容易に低燃費走行をすることができ、また、少なくともエンジンの運転範囲が高出力、高トルクの範囲を上記運転条件にすれば、ドライバは表示に従って、高出力、高トルクでのスポーティな走行をすることができ、さらに、自動変速機のオイル状態で変速方向を表示するようにすることで、オイル状態が適正な範囲から外れた際に適切な変速操作を促すことが可能になっている。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態による、自動変速制御系のシステム全体図
【図2】同上、トランスミッション制御装置の回路の概略図
【図3】同上、ハイパワーモードマップの説明図
【図4】同上、エコノミーモードマップの説明図
【図5】同上、過大、過小回転防止マップの説明図
【図6】同上、変速段位置表示装置による表示例の説明図
【図7】同上、手動変速モードの際の変速段位置表示制御ルーチンのフローチャート
【図8】従来からの手動変速モード時の変速特性を示す図表
【符号の説明】
1 エンジン
2 自動変速機
3 ECU
4 TCU
5 変速操作部
6 セレクトレバー
7 自動変速スロット
8 手動変速スロット
13 低燃費走行モードスイッチ
14 スポーツ走行モードスイッチ
15 車速センサ
16 ATF温度センサ
18 現変速段位置表示部
19 変速方向表示部

Claims (6)

  1. 変速モードに自動変速モードと手動変速モードとを備える自動変速装置において、
    上記手動変速モードの際に現在の変速段位置を表示する現変速段位置表示手段と、
    上記手動変速モードの際に現在の運転状態を基に予め設定した運転条件を満足する変速段位置を求める変速段範囲検出手段と、
    上記予め設定した運転条件を満足する変速段位置と現在の変速段位置とを比較し、この現在の変速段位置を基準として変速する方向を表示する変速方向表示手段とを有し、
    上記変速方向表示手段は、上記現変速段位置表示手段の直隣接した位置の上側にアップシフトの表示部と、上記現変速段位置表示手段の直隣接した位置の下側にダウンシフトの表示部を備えることを特徴とする自動変速装置の変速段位置表示装置。
  2. 上記アップシフトの表示部と上記ダウンシフトの表示部は、変速可能な場合と変速を指示する場合とで異なった表示を行うことを特徴とする請求項1記載の自動変速装置の変速段位置表示装置。
  3. 上記予め設定した運転条件は、少なくともエンジンの過負荷、過回転領域を除いた適正運転領域であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の自動変速装置の変速段位置表示装置。
  4. 少なくとも燃料消費が少なくなる運転状態を選択自在な低燃費運転選択手段を有し、この低燃費運転選択手段で低燃費運転が選択された際に上記予め設定した運転条件は、エンジンの運転範囲を低燃費の範囲に設定することを特徴とする請求項1,2,3のいずれか1つに記載の自動変速装置の変速段位置表示装置。
  5. 少なくとも高出力、高トルクでの運転状態を選択自在な高出力、高トルク運転選択手段を有し、この高出力、高トルク運転選択手段で高出力、高トルク運転が選択された際に上記予め設定した運転条件は、エンジンの運転範囲を高出力、高トルクの範囲に設定することを特徴とする請求項1,2,3,4のいずれか1つに記載の自動変速装置の変速段位置表示装置。
  6. 少なくとも上記自動変速装置のオイル状態を検出するオイル状態検出手段を有し、このオイル状態検出手段で検出したオイル状態が予め設定しておいた適正範囲を超える際に、上記予め設定した運転条件は、オイル状態を上記予め設定しておいた適正範囲内に戻す運転状態の範囲に設定することを特徴とする請求項1,2,3,4,5のいずれか1つに記載の自動変速装置の変速段位置表示装置。
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