JP3653806B2 - 光走査装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子計算機から送られてくるコード化された信号を高速に印字出力する電子写真方式の記録装置において、レーザビーム等のビームを電子計算機等からの信号に応じて偏向、変調制御する光走査装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子計算機からの画像情報の記録を担う記録装置として、電子写真方式による記録装置が用いられている。
【0003】
以下、このような記録装置に用いられる従来の光走査装置について図7を用いて説明する。
【0004】
図7は従来の光走査装置71を示す平面図である。
【0005】
筐体78には、記録媒体である感光ドラム73を照射するに必要なレーザビームを形成する全ての部材が配置されている。
【0006】
半導体レーザ74とコリメータレンズ75とは一体のユニットとしてのレーザユニット76を構成している。
【0007】
この半導体レーザ74はレーザビームを水平方向に発振するものであり、その発振されたレーザビームはコリメータレンズ75に入射する。コリメータレンズ75を通過したレーザビームは、コリメータレンズ75の光軸と一致した平行ビームとなる。
【0008】
コリメータレンズ75より出射されたレーザビームは、シリンドリカルレンズ77によって、6面の反射面を有する正六面体形状のポリゴンミラー72の反射面上に、そのポリゴンミラー72の回転軸方向のみ一旦集束するようにして入射される。
【0009】
ポリゴンミラー72は高精度の軸受けに支えられた軸に取りつけられ、定速回転する図示しないモータにより駆動される。このモータの駆動により回転するポリゴンミラー72によって、レーザビームはほぼ水平に掃引されて等角速度で偏向される。
【0010】
なお、ポリゴンミラー72は主にアルミニウムを材料として形成されており、その作成の際には一般に切削加工法が用いられる。また、モータの種類としては、公知のヒステリシスシンクロナスモータ、DCサーボモータ等が挙げられる。これらは、磁気駆動力により回転力を得ることからコイルの巻線や、鉄板を含む磁気回路をモータ内に形成することが必要となるため、その容積は比較的大きなものとなる。
【0011】
ポリゴンミラー72によりほぼ水平に掃引されて出射したレーザビームはfθ特性を有する結像レンズ79により前記感光ドラム73上にスポット光として結像される。
【0012】
さらに、ポリゴンミラー72により掃引されたレーザビームは、画像領域を妨げない範囲で、ビーム検出器ユニット80に導かれる。ビーム検出器ユニット80は1個の反射ミラー81と小さな入射スリットを有するスリット板82と応答速度の速い光電変換素子基板83から成る。そして、この光電変換素子基板83が掃引されるレーザビームの位置を検出すると、この検出信号により感光ドラム73上に画像データに応じた光情報を与えるための半導体レーザ74への入力信号のスタートタイミングを制御している。
【0013】
上記のごとく画像信号に応じて変調されたレーザビームは感光ドラム73に照射され、公知の電子写真プロセスにより顕像化された後、普通紙等の転写材上に転写定着されハードコピーとして出力される。
【0014】
また、特公昭60−57052号公報、特公昭60−57053号公報、実公平2−19783号公報、実公平2−19784号公報、実公平2−19785号公報に記載されているような、水晶基板を用いる機械振動子の表面にレーザビームを反射するための反射鏡を形成してなる光偏向素子を有する光走査装置も提案されている。
【0015】
これら公報に記載された光走査装置は、光偏向素子の偏向面(反射鏡面)を正弦的に往復振動させることで、反射鏡に入射する光ビームを偏向走査するものである。なお、この往復振動の周波数を偏向周波数と称する。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のポリゴンミラーを用いた方式による光走査装置では、上述した通り、アルミニウム製のポリゴンミラーや、それを駆動するためのヒステリシスシンクロナスモータ、DCサーボモータ等を使用しているため、外形形状、重量とも一般的に大きくなってしまい、この光走査装置を組み込んだ記録装置の小型化に寄与し得ないという問題点があった。
【0017】
一方、従来の機械振動子を使用する光偏向素子を用いた光走査装置では、光偏向素子を大量生産する際に、個々の光偏向素子が有する偏向周波数のばらつきが大きくなってしまう。従って、光偏向素子にて偏向される光ビームの偏向角速度は、各光偏向素子によって大きな個体差が出てしまうので、このような光偏向素子を用いた光走査装置を画像を記録する記録装置に用いたときに、設計上の偏向角速度に従って出力される画像の位置と、実際の光偏向素子が有する偏向角速度に従って出力される画像の位置とが異なってしまい、原画像を正確に再現することができないという問題点があった。
【0018】
本発明は、上述した種々の問題点を解決するためになされたものであり、正弦揺動ミラーを用いたことで、従来の光走査装置より外形形状、重量とも小さくしながら、さらに正弦揺動ミラーのもつ偏向周波数のばらつきを補償し、結果的に、このような光走査装置を画像書込手段として用いるとき、出力画像の位置ズレを生じることのない光走査装置を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するために、請求項1記載の光走査装置では、光ビームを出射する光ビーム出射手段と、絶縁基板によってバネ部と、バネ部によって支持される可動部と、その可動部に設けられた偏向部とを構成し、前記偏向部により偏向作用を受けた光ビームにより被走査媒体を走査する、個々の偏向周波数を有する光偏向手段とを備えた光走査装置において、前記光偏向手段の前記偏向周波数のばらつきを所定の偏向周波数に基づいて補償するように前記光偏向手段と前記被走査媒体との間の光路長を調整可能とする光路長調整手段を設けたものであり、その光路長を変化させると被走査媒体上を走査される光ビームの速度が変化する。
請求項2記載の光走査装置では、光ビームを出射する光ビーム出射手段と、絶縁基板によってバネ部と、バネ部によって支持される可動部と、その可動部に設けられた偏向部とを構成し、
前記偏向部により偏向作用を受けた光ビームにより被走査媒体を走査する、個々の偏向周波数を有する光偏向手段とを備えた光走査装置において、前記光偏向手段の前記偏向周波数が、所定の偏向周波数より高ければ、前記光偏向手段から前記被走査媒体に至る光路長が小さくされ、前記所定の偏向周波数より低ければ、前記光路長が大きくされるように前記光路長を調整可能とする光路長調整手段を設けたものであり、その光路長を変化させると被走査媒体上を走査される光ビームの速度が変化する。
【0020】
請求項3記載の光走査装置では、請求項1乃至2のいずれかの光走査装置の光路長調整手段は、前記光ビーム出射手段と前記光偏向手段とを包括的に支持する筐体と、その筐体が固定される対向部材と、前記筐体及び前記対向部材に設けられ、前記光路長を調整するために前記筐体と前記対向部材との相対的な位置関係を調整可能にするべく、前記筐体を前記対向部材に取り付けるための取り付け部とからなり、前記筐体を前記対向部材に対して前記取り付け部を介して固定した状態にて、前記被走査媒体を支持する支持部材に対して取り付け自在としたものであり、筐体と取り付け部材との位置関係を固定してあるため、光走査装置を支持部材から取り外した場合でも、光走査装置を再度支持部材へ取り付ける際に、光路長調整手段により調整する必要はない。
【0021】
請求項4記載の光走査装置では、請求項3の光走査装置における取り付け部は、前記筐体または前記対向部材に設けられた長穴と、その長穴を挿通するネジまたは調整ピンのいずれか一方とからなるものであり、この長穴に沿って調整ピンを移動させることにより光路長を変化させる。
【0022】
請求項5記載の光走査装置では、請求項4の光走査装置における取り付け部は、主走査方向と平行な方向に長い長穴と、主走査方向に垂直な方向に長い長穴とを有するものであり、光走査装置の筐体は主走査方向に平行な方向及び垂直な方向の双方に調整される。
【0023】
請求項6記載の光走査装置では、請求項1乃至2のいずれかの光走査装置における光路長調整手段は、前記光ビーム出射手段と前記光偏向手段とを包括的に支持する筐体と、前記被走査媒体を支持する支持部材に対して前記筐体を取り付け可能とすると共に、前記光路長を調整するべく前記筐体の前記支持部材への取り付け位置を調整するための位置決め手段とを有するものであり、筐体は被走査媒体を支持する支持部材に直接取り付けられると共に着脱自在である。
【0024】
請求項7記載の光走査装置では、請求項1乃至2のいずれかの光走査装置に、さらに前記光ビーム出射手段より出射される前記光ビームを前記被走査媒体上に集光させる走査光学系を備え、前記走査光学系は、前記光路長調整手段により調整された前記光路長に応じて、前記被走査媒体上に適切な前記光ビームの集光特性が得られるように焦点調整がなされており、最良の画像解像度にて光ビームが被走査媒体上を記録走査される。
【0025】
請求項8記載の光走査装置は、光ビームを出射する光ビーム出射手段と、絶縁基板によってバネ部と、バネ部によって支持される可動部と、その可動部に設けられた偏向部とを構成し、前記偏向部により偏向作用を受けた光ビームにより被走査媒体を走査する光偏向手段とを備えた光走査装置において、前記被走査媒体上を走査される光ビームの所定の走査点における走査速度を検出する走査速度検出手段と、その走査速度検出手段によって検出された走査速度に対応する前記光偏向手段の偏向周波数が、所定の偏向周波数より高ければ、前記光偏向手段から前記被走査媒体に至る光路長が小さくされ、前記所定の偏向周波数より低ければ、前記光路長が大きくされるように前記光路長を制御する光路長制御手段と、その光路長制御手段で制御された光路長に従って、前記光偏向手段と前記被走査媒体とを相対的に移動させ、前記光偏向手段から前記被走査媒体に至る実際の光路長を適切な長さに調整する調整手段とを備えており、調整手段により光路長が調整されることにより、光ビームの走査速度が変化する。
【0026】
請求項9記載の光走査装置は、請求項8記載の光走査装置の走査速度検出手段として、前記被走査媒体上を走査される前記光ビームの水平同期をとるための走査位置検出手段を使用するものであり、この検出手段を通過する光ビームの時間間隔より、光ビームの走査速度が検出される。
【0027】
請求項10記載の光走査装置は、請求項8記載の光走査装置の走査速度検出手段が、少なくとも2個の光電変換素子からなるものであり、その2個の光電変換素子間を走査する光ビームの走査速度を検出する。
【0028】
請求項11記載の光走査装置は、請求項8記載の走査速度検出手段が、半導体光電変換素子であり、この半導体光電変換素子を通過する光ビームの時間間隔より、光ビームの走査速度が検出される。
【0029】
請求項12記載の光走査装置は、光ビームを出射する光ビーム出射手段と、その光ビーム出射手段により出射された前記光ビームを偏向するために正弦的に揺動する偏向部を備え、前記偏向部により偏向作用を受けた光ビームにより被走査媒体を走査する、個々の偏向周波数を有する光偏向手段とを備えた光走査装置において、前記光偏向手段の前記偏向周波数のばらつきを所定の偏向周波数に基づいて補償するように前記光偏向手段と前記被走査媒体との間の光路長を調整可能とする光路長調整手段を設けたものであり、光路長調整手段により光路長が変化させられることにより、被走査媒体上を走査される光ビームの走査速度が変化する。
請求項13記載の光走査装置は、光ビームを出射する光ビーム出射手段と、その光ビーム出射手段により出射された前記光ビームを偏向するために正弦的に揺動する偏向部を備え、前記偏向部により偏向作用を受けた光ビームにより被走査媒体を走査する、個々の偏向周波数を有する光偏向手段とを備えた光走査装置において、前記光偏向手段の前記偏向周波数が、所定の偏向周波数より高ければ、前記光偏向手段から前記被走査媒体に至る光路長が小さくされ、前記所定の偏向周波数より低ければ、前記光路長が大きくされるように光路長を調整可能とする光路長調整手段を設けたけたものであり、光路長調整手段により光路長が変化させられることにより、被走査媒体上を走査される光ビームの走査速度が変化する。
【0030】
請求項14記載の光走査装置は、光ビームを出射する光ビーム出射手段と、その光ビーム出射手段より出射された前記光ビームを偏向するために正弦的に揺動する偏向部を備え、前記偏向部により偏向作用を受けた光ビームにより被走査媒体を走査する光偏向手段とを備えた光走査装置において、前記被走査媒体上を走査される光ビームの所定の走査点における走査速度を検出する走査速度検出手段と、その走査速度検出手段によって検出された走査速度に対応する前記光偏向手段の偏向周波数が、所定の偏向周波数より高ければ、前記光偏向手段から前記被走査媒体に至る光路長が小さくされ、前記所定の偏向周波数より低ければ、前記光路長が大きくされるように前記光路長を制御する光路長制御手段と、その光路長制御手段で制御された光路長に従って、前記光偏向手段と前記被走査媒体とを相対的に移動させ、前記光偏向手段から前記被走査媒体に至る実際の光路長を適切な長さに調整する調整手段とを備えたものであり、調整手段により光路長が変化させられることにより、被走査媒体上を走査される光ビームの走査速度が変化する。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した一実施例を図面を参照して説明する。
【0032】
図1は、レーザプリンタに適用される光走査装置1を示す平面図であり、これを用いて、本実施例の光走査装置の構成及び動作を詳細に説明する。一部は本実施例の構成を説明するため、平面に投影した断面図となっている。
【0033】
筐体2には、被走査媒体である感光ドラム3を照射するに必要なレーザビームを形成する全ての部材が配置されている。
【0034】
図中に斜線が施してある筺体2の一部において、半導体レーザ4とコリメートレンズ5と鏡筒7は、筺体2の一部位である円筒開口部6に一体化されて固定されている。
【0035】
半導体レーザ4は、外部から入力される画像信号に従って強弱に変調されたレーザビームを放射し、コリメートレンズ5に入射させる。
【0036】
コリメートレンズ5は、円筒形状のガラスレンズからなり、半導体レーザ4から放射されたレーザビームを受けて平行なレーザ光として鏡筒7の開口から出射させる作用をする。この様な円筒形状のレンズとしては、円筒軸垂直方向に屈折率分布を持ったGRINレンズが知られている。
【0037】
鏡筒7は、樹脂成型品からなり、コリメートレンズ5を、鏡筒7の外形円筒面の中心軸と、コリメートレンズ5の光軸がほぼ一致するように保持する機能を持つ。
【0038】
半導体レーザ4とコリメートレンズ5は、半導体レーザ4の発光点がコリメートレンズ5の光軸に略一致し、また半導体レーザ4の発光点がコリメートレンズ5の焦点に一致するように調整される。これらを調整することにより半導体レーザ4より放射されたレーザビームはコリメートレンズ5通過後、コリメートレンズ5の光軸と略一致した平行ビームとなり、鏡筒7の開口により平行ビームの断面形状が所定の形状となるべく規制されて出射される。
【0039】
偏向器10は、光偏向素子9とその光偏向素子を正弦振動させるための駆動部11とからなり、筺体2に配設されている。
【0040】
本実施例の光偏向素子9の構成について、図2を参照して説明する。
【0041】
光偏向素子9を構成するフレーム41には、上部及び下部に一体形成されたバネ部42,43を介して可動部44が支持されている。これら、フレーム41、バネ部42,43及び可動部44は単一の絶縁基板によって構成されており、またこれらの形状は、フォトリソグラフィ及びエッチングの技術を利用して形成される。ここで、絶縁基板としては、例えば厚さが5×10-5m程度の水晶基板が使用可能である。なお、フレーム41は必ずしも必要ではない。
【0042】
また、可動部44には反射鏡45とコイルパターン46とがフォトリソグラフィ及びエッチングの技術を利用して形成されている。この反射鏡45の表面精度は、結像時のビーム形状を乱さないようにするために、半導体レーザ4より出射されるレーザビームの波長の1/4程度とされる。また、上部及び下部のバネ部42,43にはそれぞれコイルパターン46への導通のためのリード線47,48が設けられており、上部側のリード線47にはコイルパターン46を飛び越して接続されるジャンパ線49が設けられている。
【0043】
なお、上述したフレーム41、バネ部42,43及び可動部44の形成方法や反射鏡45及びコイルパターン46の形成方法については、特公昭60−57052号公報に詳細に記載されているので、ここでの説明を省略する。
【0044】
また、駆動部11としては例えば永久磁石が用いられ、所定のバイアス磁界を形成するように配置される。
【0045】
このように構成された本実施例の偏向器10では、光偏向素子9のコイルパターン46を駆動部11により与えられるバイアス磁界中に配置させ、リード線47,48及びジャンパ線49を介してコイルパターン46に電流を流すことにより、可動部44が上部及び下部のバネ部42,43を軸として正弦的に往復揺動運動する。そして、可動部44がこのような揺動運動をすることにより、反射鏡45にて反射されるレーザビームが偏向作用を受けて水平に掃引されるのである。なお、可動部44の往復揺動する角度全幅は偏向面角度変化にて110度である。
【0046】
結像レンズ12は、1枚玉のプラスチックレンズからなり、偏向器10による偏向作用を受けたレーザビームを感光ドラム3上に結像させ、さらに感光ドラム3上にてレーザビームによる走査線が略等速で主走査方向に移動するようにF・arcsinθ特性を有している。
【0047】
一般の結像レンズでは、光線のレンズへの入射角がθの時、像面上での結像する位置rについて、r=f・tanθ(fは結像レンズの焦点距離)となる関係がある。しかし、本実施例のように、正弦揺動する偏向器10により反射されるレーザビームは結像レンズ12への入射角が、時間と共に三角関数的に変化する。従って、一般の結像レンズを用いると共に一定時間間隔で半導体レーザ4をONすることにより間欠的にレーザビームを出射させて、そのビームスポット列を感光ドラム3上に結像させると、それらビームスポット列の間隔は等間隔とはならなくなる。よって、本実施例のように正弦揺動する偏向器10を用いる光走査装置1においては、上述のような現象を避けるために、結像レンズ12として、r=f・arcsinθなる特性を有するものが用いられる。このような結像レンズ12をFアークサインθレンズと称する。
【0048】
そして、結像レンズ12より出射されたレーザビームは感光ドラム3上への照射を妨げない領域内で導光ミラー13にて光路を折り返されて、筺体2の一部分として形成されているナイフエッジ18を通過してビーム検出器14に導かれる。
【0049】
ビーム検出器14はpinフォトダイオード等の光電変換素子からなり、掃引されるレーザビームを検出するものであり、この検出を示す検出信号に応じて感光ドラム3上に画像信号に応じた光情報を与えるための半導体レーザ4への入力信号のスタートタイミングを制御している。
【0050】
これにより偏向器10の可動部44が揺動する際の偏向角速度のムラによる水平方向の信号の同期ずれを大幅に軽減でき、質のよい画像が得られると共に偏光器10に要求される偏向角速度の精度の許容範囲が大きくなるものである。
【0051】
また、ビーム検出器14は、半導体レーザ4と同一の一枚の基板15平面上に配設されている。このため、ビーム検出器14と半導体レーザ4を駆動するための駆動回路との間の電気信号の経路を短くすることができるので、回路系が周囲電気ノイズによって誤動作を起こす可能性を低くすることができる。さらに、ビーム検出器14と半導体レーザ4とが同一の一枚の基板15平面上に配設されており、両者の駆動回路が基板15上に共存しているため、基板15の枚数が低減でき、基板間を結線するハーネス16の本数を同時に低減することもできるという効果を合わせもっている。
【0052】
基板15は、ネジ60により筺体2に固定されており、ハーネス16伝い、または、直接の外力により、基板が力を受けて半導体レーザ4が筺体2から抜けてしまったり、その位置がずれてしまったりするのを防ぐという効果を持っている。
【0053】
ナイフエッジ18は筐体2の一部分として設けられている。なお、従来は、薄い金属を打ち抜き加工した矩形スリット状の部品を位置調整して筺体2にネジ等で固定して配設されていた。従って、本実施例のように、ナイフエッジ18を筺体2の一部分として形成したことにより、部品点数を低減できるという効果が得られる。
【0054】
また、この筐体2は一般に広く用いられているガラス繊維入りポリカーボネートにて形成され、各構成要素を位置精度よく担持し、振動による歪が小さいことが必要である。
【0055】
上記のごとく偏向され、結像レンズ12より出射されたレーザビームは感光ドラム3上への照射領域内でオリカエシミラー群6にて光路を折り返されて、筺体2の一部位である窓17から筺体2外に射出され、感光ドラム3上に照射され、公知の電子写真プロセス等により顕像化された後普通紙または特殊紙より成る転写材上に図示しない転写機構及び定着機構により転写・定着されハードコピーとして出力される。
【0056】
次いで、このように構成された光走査装置1における光偏向素子について、図3及び図4を用いて詳細に説明する。
【0057】
本実施例における光偏向素子は、上述した特公昭60−57052号公報にも記載されている通り、単結晶水晶基板をエッチングプロセスとフォトリソグラフィープロセスにより加工したものからなり、この水晶基板の厚みや、材質の不均衡、あるいはエッチングプロセスの誤差により、通常その偏向周波数の誤差は±3%程度であるため、大量生産時には個々の光偏向素子による偏向周波数のばらつきが大きい。この偏向周波数のばらつきは、光偏向素子により偏向作用を受けたレーザビームが、図3に示すように、感光ドラム3上の走査開始位置21から走査終了位置22へ至る速度、つまりレーザビームの偏向角速度のばらつきとして表れてしまうため、以下のような問題が起こる。
【0058】
今、光源である半導体レーザ4を、画像情報に従って一定クロックに従って変調したならば、各光偏向素子毎の上述した偏向角速度のばらつきに応じて、走査終了位置22に書き込まれるはずの画像情報の位置が、走査方向に±3%の範囲でずれてしまい、結果的に、出力画像の位置ズレを生じる。
【0059】
数値例に従ってこれを具体的に説明する。光偏向素子の偏向周波数のばらつきが800Hz±3%であり、走査開始位置21から走査終了位置22への距離を210mm(A4サイズの紙面に相当)としたとき、偏向周波数800Hzにて走査開始位置21から走査終了位置22へ解像度300dpiにて画像情報を書き込みするような設計値にて半導体レーザ4を一定クロックに従って変調すると仮定する。
【0060】
このとき、光偏向素子に固有の偏向周波数が800Hzと比較して3%高ければ、走査終了位置22に書き込まれるはずの画像情報は図3の紙面右方向に6.1mmずれた走査終了位置22bの位置に書き込まれてしまい、全体的に3%拡大された出力画像となってしまう。逆に光偏向素子に固有の偏向周波数が800Hzと比較して3%低ければ、走査終了位置22に書き込まれるはずの画像情報は図3の紙面左方向に6.1mmずれた走査終了位置22aの位置に書き込まれてしまい、全体的に3%縮小された出力画像となってしまう。一般にレーザビームプリンタにおいては、A4紙面における走査終了位置22のズレは±1.5mm程度しか許されていないため、上述したような±6.1mmのずれが生じる構成は実用的であるとはいえない。
【0061】
この問題点を解決するべく、レーザビームが感光ドラム3上の走査開始位置21から走査終了位置22へ至る速度を一定にするために、光走査装置1の光偏向素子9を感光ドラム3に対し、実効的に、レーザビーム光路に沿った距離を変動させる構成とした。言い換えれば、光偏向素子9より感光ドラム3に至る光路長を調整することが可能となる構成とした。
【0062】
つまり、上記数値例の光走査装置1において、光偏向素子9の偏向周波数が設計値より3%高ければ、筺体2及び光偏向素子9と感光ドラム3の間の距離を、図4に破線にて示すように筐体2及び光偏向素子9が筺体2b及び光偏向素子9bの位置に配置されるように、感光ドラム3から実効的に3%近づけることにより、光偏向素子9と感光ドラム3の間の光路長が変化するので、走査開始位置21から走査終了位置22へ至るレーザビームの速度は、設計値通りの偏向周波数を有する光偏向素子9を使用した場合のレーザビームの速度と略同一となる。
【0063】
逆に光偏向素子9の偏向周波数が設計値より3%低ければ、筺体2及び光偏向素子と感光ドラム3の間の距離を、図4に破線にて示すように筐体2及び光偏向素子9が筺体2a及び光偏向素子9aの位置に配置されるように、感光ドラム3に実効的に3%遠ざけることにより、光偏向素子9と感光ドラム3の間の光路長が変化するので、走査開始位置21から走査終了位置22へ至るレーザビームの速度は、設計値通りの偏向周波数を有する光偏向素子9を使用した場合のレーザビームの速度と略同一となる。このような筐体2及び光偏向素子9の位置調整は、光走査装置1の製造工程中に、レーザビームが走査開始位置21から走査終了位置22へ至る速度を測定し、その速度が設計値通りの偏向周波数を有する光偏向素子9を使用した場合のレーザビームの速度と同一になるように調整するという、比較的簡単な工程にて実現される。
【0064】
続いて、このような位置調整を行うための調整手段19について、図1及び図5(a)に基づいて詳細に説明する。
【0065】
光走査装置1の筐体2には、調整手段19として、主走査方向と垂直な方向に長い長穴27が配設されており、その長穴27を貫通する円筒部28aを有する調整ピン28設けられている。そして、その調整ピン28のフランジ部28bはネジ29によって筺体2上に固定されている。また、上記調整ピン28の円筒部28aは本実施例の光走査装置1を載置支持すると共に感光ドラム3等のレーザプリンタを構成する各種機構を支持する装置フレーム50に設けられている係合穴51に係合されている。つまり、ネジ29を取り除いた状態にて筐体2の長穴27を調整ピン28に従わせて図1の矢印A方向に沿って移動させ、適切な位置にて調整ピン28と長穴27との位置関係をネジ29にて固定することにより、光走査装置1に固定されている光偏向素子9と感光ドラム3との間の距離(光路長)を調整することができる。
【0066】
さらに、図1及び図5(b)に示すごとく、筺体2上の別の部位には、主走査方向と平行な方向に長い長穴30が配設されており、上記と同様の態様にて調整ピン31がネジ32によって筺体2に固定されている。また、上記装置フレーム50の、この調整ピン31と対向する位置には調整ピン31と係合可能であり主走査方向と垂直に長い係合部52が設けられている。従って、調整ピン28と長穴27との位置関係を調整する際にも、調整ピン31は装置フレームの係合部52内を移動可能となるので、筺体2の感光ドラム3に対する位置は一意に決められるものである。
【0067】
このように個々の光走査装置1毎に筐体2の光偏向素子9から感光ドラム3に至る光路長を調整する調整手段19が配設されているので、個々の光偏向素子9の偏向周波数にばらつきがあっても、前述のような出力画像の位置ズレは起こらないので、原画像に忠実に画像を再生できるという効果が得られる。同時にこのような長穴27,30と調整ピン28,31との組み合わせにより、非常に安価に調整手段19を実現できるという効果も合わせ持つ。
【0068】
同時に、このような光走査装置1を内包するレーザプリンタの製造工程において、光走査装置1の筺体2の調整手段19により、筺体2の感光ドラム3に対する位置が一意に決められることで、一度長穴27,30や調整ピン28,31等にて位置調整された光走査装置1は、例えば修理等の後の組立時など、その光走査装置1を再度レーザプリンタに組み付ける際にも、再度筐体2の光偏向素子9より感光ドラム3に至る光路長の調整を行う必要がなく、組立が容易になると共に得られる出力画像の位置ズレが生じないという効果も得られる。
【0069】
また、同時にこのような光走査装置1を内包するレーザプリンタの使用者の元にて、故障等による光走査装置1の交換の必要が生じたときに、本実施例の光走査装置1であれば、筺体2の感光ドラム3に対する位置は一意に決められ、交換後の出力画像の位置ズレは起こらないという効果も得られる。
【0070】
なお、長穴30の長手方向と長穴27の長手方向とが直交しているのは、このような筺体2の矢印B方向に回転する方向に関する位置調整を同時に行うことが可能となるからであり、この矢印B方向の回転により調整する必要が生じないようならば、長穴27側の調整手段にて調整するのみでも本実施例と同様の効果が得られる。
【0071】
また、長穴27を挿通したネジ29を直接装置フレーム50に螺着することにより、光走査装置1の筐体2を装置フレーム50に固定してもよい。さらに、装置フレーム50側に本発明を逸脱しない範囲の長穴(図示せず)を設けたり、筺体2に丸穴や突出円筒ピン等を組み合わせて配設してもよい。
【0072】
また、筺体2を別体の平板状の対向部材(図示せず)に位置決めして固定し、この筐体2と対向部材とからなる一体のユニット部品を、前述の感光ドラム3を支持する装置フレーム50に取り付け自在に固定するような構成をとっても、同様に本発明の主旨を逸脱しない。
【0073】
ここで、光偏向素子9から感光ドラム3に至る光路長を調整することに関連して、問題点が生じる場合もあることを指摘する。すなわち、図1において、光走査装置1の光学系である半導体レーザ4、コリメートレンズ5及び結像レンズ12は、感光ドラム3表面の走査全領域にてレーザビームのピントが合うように配置されている。これにより、半導体レーザ4より発せられるレーザビームが感光ドラム3表面上にて細いスポット光として結像されて、詳細な画像を記録するものである。しかし、通常、光走査装置1はユニットとして量産されて上記光学系を同一基準にて調整しているので、本発明の主旨に従って光偏向素子9を含む筐体2を感光ドラム3に対して移動させると、感光ドラム3上に結像されるスポット光がピント位置から大幅に逸脱し、もはやレーザプリンタに求められている解像度仕様を満たさなくなるほどレーザビームのスポットが大きくなってしまうという問題点が生じる可能性もある。
【0074】
このような問題点を解決するための生産工程としては、まず、感光ドラム3と光偏向素子9との距離を、前述の通り生産設備にてレーザビームの走査速度を測定して筐体2の位置を移動させることにより調整した後に、その調整された感光ドラム3位置上でもっともよいフォーカスが得られるように、光走査装置1を構成する半導体レーザ4とコリメートレンズ5との間隔を微調整すればよい。
【0075】
以上詳述した内容から、本実施例の光走査装置1は、従来のポリゴンミラーを使用した光走査装置よりも外形形状、重量ともに小さくし、さらに、正弦的に揺動する反射鏡45を備えた光偏向素子9の偏向周波数のばらつきを補償するものであり、結果的に、本実施例の光走査装置1をレーザプリンタにおける画像の書き込み用装置として用いるとき、出力される画像に位置ズレが生じないようにすることができる。
【0076】
ついで、上述の通り構成された光走査装置1の動作について図1を用いて説明する。
【0077】
半導体レーザ4は画像信号に基づいて点滅してレーザビームを発しており、このレーザビームはコリメートレンズ5によって平行ビームにされたのち、鏡筒7の開口により整形作用を受けて出射される。レーザビームは、偏向器10の光偏向素子9に形成されている反射鏡45に入射される。光偏向素子9の可動部44は駆動部11によって正弦的に揺動しているため、反射鏡45にて反射されるレーザビームは正弦的に往復偏向作用を受ける。光偏向素子9により偏向作用を受けたレーザビームは、さらに結像レンズ12としてのFアークサインθレンズによって感光ドラム3上に結像されるべく収束作用を受ける。また、同時に、光偏向素子9により偏向されたレーザビームが感光ドラム3上を等速度にて走査されるような光路屈折作用を受ける。
【0078】
結像レンズ12により収束作用を受けたレーザビームは、オリカエシミラー6により光路を折り畳まれて感光ドラム3上に結像し、順次等速走査される。また、発光されたレーザビームは画像走査範囲外にて導光ミラー13により屈折され、ビーム検出器14に導かれる。ビーム検出器14がレーザビームを検出すると、その検出信号を出力する。この検出信号は水平同期信号として用いられ、水平方向における画像の基準位置を得るために利用される。
【0079】
そして、画像情報による光走査作用を受けた感光ドラム3は公知の電子写真プロセス等により顕像化された後、普通紙または特殊紙より成る転写材上に周知の転写機構及び定着機構により転写・定着されハードコピーとして出力される。
【0080】
尚、本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、適宜変更を加えることが可能である。
【0081】
例えば、図1の光走査装置1において、調整手段19としては長穴27と調整ピン28との組み合わせに限らず、光偏向素子9と感光ドラム3との間の光路長を変動自在とし、かつ固定支持可能とする構成であれば何でもよい。
【0082】
これは、例えば光偏向素子9を固定し、感光ドラム3の位置を調整できるような構成であってもよいし、光偏向素子9と感光ドラム3の間に種々の光学部材を挿入して実効的な光学距離(光路長)を変化させる構成であってもよい。これらの何れの構成を採用したとしても、上述した本実施例と同様な効果が得られる。
【0083】
また、図6の本発明にかかる別の光走査装置1の平面図のごとく、上述したような光偏向素子9の偏向周波数の変動をレーザプリンタ等が走査速度検出手段を用いて常に監視し、光偏向素子9と感光ドラム3との実質的な距離を制御器33によって制御し、モータ34と円筒ギヤと平面ギヤからなる変動機構35の組み合わせによる一種のアクチュエータを作動させることによって、光偏向素子9と感光ドラム3との間の光路長をアクティブに変化させてもよい。この例によれば、本発明にかかる光走査装置1が、温湿度等の環境や累計動作時間等により、その偏向周波数が微妙に変化し、レーザプリンタの要求仕様を満たさないような状態となることを想定した場合の解決手段となる。
【0084】
このような偏向周波数の変化、つまり、走査速度の変化を検出する走査速度検出手段としては、光走査装置1に設けられている走査位置検出手段であるビーム検出器14を用い、このビーム検出器14内をレーザビームが通過するのに要する通過時間を検出するようにしてもよい。このように構成することにより、走査速度検出のための特別な検出器等を必要としないので、装置構成が簡易である。また、感光ドラム3上にて画像書き込みを妨げない任意の二箇所に走査位置検出器31,32を配置し、各走査位置検出器31,32にて検出されるレーザビームに従って出力される検出信号の間隔を得ることにより、走査速度を検出してもよい。または、ビーム検出器14と走査位置検出器32とを組み合わせて走査速度を検出することにより、広い偏向角度に対する二点の走査位置を検出できるので、レーザビームの走査速度をより高精度に検出できる。また、検出信号の精度や応答速度を考慮にいれると、上述したいずれのレーザビームの検出器としても、高速応答性のあるpinフォトダイオード等の光電変換素子を用いることが好ましい。
【0085】
そして、この図6に示す実施例においては、ASIC等のプロセッサまたは、デジタルロジック回路、アナログディスクリート回路等にて構成された制御器33は、上述したような走査速度検出手段の出力信号に従って、上記モータ34及び変動機構35の動作を制御するための電気信号を送出し、これにより、モータ34及び変動機構35が駆動されて光走査装置の筺体2または光偏向素子9等の位置を変化させて最適な位置に移動させる。
【0086】
また、上述した実施例にて示したような光偏向素子9とバイアス磁界を与えるための駆動部11としての永久磁石とからなる正弦揺動共振型偏向器のみでなく、たとえば、永久磁石の代わりの駆動部として積層圧電素子と機械的変倍てこ機構を用いた正弦揺動共振型偏向器や、電磁駆動型のガルバノミラーのうち、レーザビームを偏向する偏向手段の機械共振点にて偏向に作用する素子が正弦的に揺動するような型のものであれば、いずれのものでもその偏向周波数が個体間でばらついたり、または、環境変動による偏向周波数の変化という共通の問題点を持ち得るため、上述した本実施例の主旨に添う構成をとることが可能となり、それにより得られる効果は本実施例と同様に大きいものである。
【0087】
その他、本発明の趣旨を越えない範囲で様々な変更が可能である。
【0088】
【発明の効果】
以上説明したことから明らかなように、本発明の請求項1記載の光走査装置は、絶縁基板によって、バネ部と、このバネ部によって支持される可動部とを構成し、可動部に光ビームを偏向するための偏向部を設けた光偏向手段を用いたことによって、従来の光走査装置より外形形状、重量とも小さくできる。さらに、光偏向手段のもつ偏向周波数のばらつきを光路長調整手段によって所定の偏向周波数に基づいて補償しているので、結果的に、本発明の光走査装置を被走査媒体に対して画像を書き込むために用いるとき、書き込まれる画像の位置が各光走査装置毎に異なることがないという効果を奏する。
請求項2記載の光走査装置は、絶縁基板によって、バネ部と、このバネ部によって支持される可動部とを構成し、可動部に光ビームを偏向するための偏向部を設けた光偏向手段を用いたことによって、従来の光走査装置より外形形状、重量とも小さくできる。さらに、光偏向手段のもつ偏向周波数のばらつきを光路長調整手段によって所定の偏向周波数に基づいて補償しているので、結果的に、本発明の光走査装置を被走査媒体に対して画像を書き込むために用いるとき、書き込まれる画像の位置が各光走査装置毎に異なることがないという効果を奏する。
【0089】
請求項3記載の光走査装置は、上記調整手段を、筺体を、対向部材に取り付ける取り付け部という簡易な方法で実現できると共に、例えば修理等ための光走査装置を支持部材より取り外して再度支持部材に取り付ける場合でも、再度調整を行う必要がなく、さらに、故障等による光走査装置の交換等の要が生じたときに、筐体の被走査媒体に対する位置が一意に決められるため、交換後の出力画像の位置ズレは起こらないという効果を奏する。
【0090】
請求項4記載の光走査装置は、このような取り付け部が、長穴と、その長穴を挿通するネジまたは調整ピンのいずれか一方とからなるので、簡易な工程にて調整を行うことができるという効果を奏する。
【0091】
請求項5記載の光走査装置は、このような取り付け部は、主走査方向に平行な方向に長い長穴と、主走査方向に垂直な方向に長い長穴とを有するので、光路長に関する調整のみでなく、光偏向手段の偏向方向の角度調整をも行うことが可能となり、被走査媒体を支持する支持部材に光走査装置を組み付ける際の組み付け作業を簡易化することができるという効果を奏する。
【0092】
請求項6記載の光走査装置は、筺体と被走査媒体の双方を支持する支持部材に対し、筺体に設けられた位置決め手段により、その筐体を取り付け自在となるように構成したので、例えば修理等ための光走査装置を支持部材より取り外して再度支持部材に取り付ける場合でも、再度調整を行う必要がなく、さらに、故障等による光走査装置の交換等の要が生じたときに、筐体の被走査媒体に対する位置が一意に決められるため、交換後の出力画像の位置ズレは起こらないという効果を奏する。
【0093】
請求項7記載の光走査装置は、前記光ビームを前記被走査媒体上に集光させる走査光学系を備えており、光路長調整手段により調整された光路長に応じて、被走査媒体上に適切な光ビームの集光特性が得られるように、走査光学系の焦点調整がなされているため、個々の光走査装置毎に、最良の画像解像度による走査記録を行うことができるという効果を奏する。
【0094】
請求項8記載の光走査装置は、被走査媒体上を走査される光ビームの所定の走査点における走査速度を検出する走査速度検出手段と、その走査速度検出手段によって検出された走査速度に対応する光偏向手段の偏向周波数が、所定の偏向周波数より高ければ、光偏向手段から被走査媒体に至る光路長が小さくされ、所定の偏向周波数より低ければ、光路長が大きくされるように光路長を制御する光路長制御手段と、その光路長制御手段で制御された光路長に従って、光偏向手段と被走査媒体とを相対的に移動させて、光偏向手段から被走査媒体に至る実際の光路長を適切な長さに調整する調整手段とを備えているため、温湿度や累計動作時間による偏向周波数変化があってもこれをアクティブに補償でき、常に最良な出力画像が得られるという効果を奏する。
【0095】
請求項9記載の光走査装置は、走査速度検出手段として、被走査媒体上を走査される光ビームの水平同期をとるための走査位置検出手段を使用しているので、追加の部材を用いる必要がなく、また、偏向周波数変化があってもこれをアクティブに補償でき、常に最良な出力画像を得られるという効果を奏する。
【0096】
請求項10記載の光走査装置は、走査速度検出手段として少なくとも2個の光電変換素子を用いることにより、光ビームの走査速度の検出精度の面で優れた走査速度検出信号を得ることができるので、最適な出力画像を得られるという効果を奏する。
【0097】
請求項11記載の光走査装置は、走査速度検出手段として半導体光電変換素子を用いているので、安価で、且つ、精度及び信号速度の面で優れた走査速度検出信号を得ることができ、最適な出力画像を得られるという効果を奏する。
【0098】
請求項12記載の光走査装置は、光ビームを偏向するための正弦的に揺動する偏向部を備えた光偏向手段と、被走査媒体との間の光路長を調整する光路長調整手段とを有することにより、光偏向手段のもつ偏向周波数のばらつきを光路長調整手段によって所定の偏向周波数に基づいて補償しているので、結果的に、本発明の光走査装置を被走査媒体に対して画像を書き込むために用いるとき、書き込まれる画像の位置が各光走査装置毎に異なることがないという効果を奏する。
請求項13記載の光走査装置は、光ビームを偏向するための正弦的に揺動する偏向部を備えた光偏向手段と、被走査媒体との間の光路長を調整する光路長調整手段とを有することにより、光偏向手段のもつ偏向周波数のばらつきを光路長調整手段によって所定の偏向周波数に基づいて補償しているので、結果的に、本発明の光走査装置を被走査媒体に対して画像を書き込むために用いるとき、書き込まれる画像の位置が各光走査装置毎に異なることがないという効果を奏する。
【0099】
請求項14記載の光走査装置は、光ビームを偏向するための正弦的に揺動する偏向部を備えた光偏向手段と、被走査媒体上を走査される光ビームの所定の走査点における走査速度を検出する走査速度検出手段と、その走査速度検出手段によって検出された走査速度に対応する光偏向手段の偏向周波数が、所定の偏向周波数より高ければ、光偏向手段から被走査媒体に至る光路長が小さくされ、所定の偏向周波数より低ければ、光路長が大きくされるように光路長を制御する光路長制御手段と、その光路長制御手段で制御された光路長に従って、光偏向手段と被走査媒体とを相対的に移動させて、光偏向手段から被走査媒体に至る実際の光路長を適切な長さに調整する調整手段とを備えているため、温湿度や累計動作時間による偏向周波数変化があってもこれをアクティブに補償でき、常に最良な出力画像が得られるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】光走査装置の平面図である。
【図2】光走査装置に用いる光偏向素子の斜視図である。
【図3】光走査装置におけるレーザビーム走査の様子を示す平面図である。
【図4】光走査装置における光路長調整の動作を示す平面図である。
【図5】(a)は図1の光走査装置のX−X断面図であり、(b)は図1の光走査装置のY−Y断面図である。
【図6】別の実施例の光走査装置を示す平面図である。
【図7】従来の光走査装置の平面図である。
【符号の説明】
1 光走査装置
2 筺体
3 感光ドラム
4 半導体レーザ
9 光偏向素子
12 Fアークサインθレンズ
19 調整手段
27 長穴
28 調整ピン
31 走査位置検出器
32 走査位置検出器
33 制御器
34 モータ
35 変動機構
42 バネ部
43 バネ部
44 可動部
45 反射鏡
Claims (14)
- 光ビームを出射する光ビーム出射手段と、
絶縁基板によってバネ部と、バネ部によって支持される可動部と、その可動部に設けられた偏向部とを構成したことと、
前記偏向部により偏向作用を受けた光ビームにより被走査媒体を走査する、個々の偏向周波数を有する光偏向手段とを備えた光走査装置において、
前記光偏向手段の前記偏向周波数のばらつきを所定の偏向周波数に基づいて補償するように前記光偏向手段と前記被走査媒体との間の光路長を調整可能とする光路長調整手段を設けたことを特徴とする光走査装置。 - 光ビームを出射する光ビーム出射手段と、
絶縁基板によってバネ部と、バネ部によって支持される可動部と、その可動部に設けられた偏向部とを構成したことと、
前記偏向部により偏向作用を受けた光ビームにより被走査媒体を走査する、個々の偏向周波数を有する光偏向手段とを備えた光走査装置において、
前記光偏向手段の前記偏向周波数が、所定の偏向周波数より高ければ、前記光偏向手段から前記被走査媒体に至る光路長が小さくされ、前記所定の偏向周波数より低ければ、前記光路長が大きくされるように前記光路長を調整可能とする光路長調整手段を設けたことを特徴とする光走査装置。 - 前記光路長調整手段は、
前記光ビーム出射手段と前記光偏向手段とを包括的に支持する筐体と、
その筐体が固定される対向部材と、
前記筐体及び前記対向部材に設けられ、前記光路長を調整するために前記筐体と前記対向部材との相対的な位置関係を調整可能にするべく、前記筐体を前記対向部材に取り付けるための取り付け部とからなり、
前記筐体を前記対向部材に対して前記取り付け部を介して固定した状態にて、前記被走査媒体を支持する支持部材に対して取り付け自在としたことを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載の光走査装置。 - 前記取り付け部は、前記筐体または前記対向部材に設けられた長穴と、その長穴を挿通するネジまたは調整ピンのいずれか一方と、からなることを特徴とする請求項3に記載の光走査装置。
- 前記取り付け部は、主走査方向と平行な方向に長い長穴と、主走査方向に垂直な方向に長い長穴とを有することを特徴とする請求項4に記載の光走査装置。
- 前記光路長調整手段は、
前記光ビーム出射手段と前記光偏向手段とを包括的に支持する筐体と、
前記被走査媒体を支持する支持部材に対して前記筐体を取り付け可能とすると共に、前記光路長を調整するべく前記筐体の前記支持部材への取り付け位置を調整するための位置決め手段とを有することを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載の光走査装置。 - 前記光ビーム出射手段により出射される前記光ビームを前記被走査媒体上に集光させる走査光学系を備え、
前記走査光学系は、前記光路長調整手段により調整された前記光路長に応じて、前記被走査媒体上に適切な前記光ビームの集光特性が得られるように焦点調整がなされていることを特徴とする請求項1乃至2のいずれかに記載の光走査装置。 - 光ビームを出射する光ビーム出射手段と、
絶縁基板によってバネ部と、バネ部によって支持される可動部と、その可動部に設けられた偏向部とを構成したことと、
前記偏向部により偏向作用を受けた光ビームにより被走査媒体を走査する光偏向手段とを備えた光走査装置において、
前記被走査媒体上を走査される光ビームの所定の走査点における走査速度を検出する走査速度検出手段と、
その走査速度検出手段によって検出された走査速度に対応する前記光偏向手段の偏向周波数が、所定の偏向周波数より高ければ、前記光偏向手段から前記被走査媒体に至る光路長が小さくされ、前記所定の偏向周波数より低ければ、前記光路長が大きくされるように前記光路長を制御する光路長制御手段と、
その光路長制御手段で制御された光路長に従って、前記光偏向手段と前記被走査媒体とを相対的に移動させ、前記光偏向手段から前記被走査媒体に至る実際の光路長を適切な長さに調整する調整手段とを備えたことを特徴とする光走査装置。 - 前記走査速度検出手段として、前記被走査媒体上を走査される前記光ビームの水平同期をとるための走査位置検出手段を使用することを特徴とする請求項8に記載の光走査装置。
- 前記走査速度検出手段が、少なくとも2個の光電変換素子からなることを特徴とする請求項8に記載の光走査装置。
- 前記走査速度検出手段が、半導体光電変換素子であることを特徴とする請求項8に記載の光走査装置。
- 光ビームを出射する光ビーム出射手段と、
その光ビーム出射手段により出射された前記光ビームを偏向するために正弦的に揺動する偏向部を備え、
前記偏向部により偏向作用を受けた光ビームにより被走査媒体を走査する、個々の偏向周波数を有する光偏向手段とを備えた光走査装置において、
前記光偏向手段の前記偏向周波数のばらつきを所定の偏向周波数に基づいて補償するように前記光偏向手段と前記被走査媒体との間の光路長を調整可能とする光路長調整手段を設けたことを特徴とする光走査装置。 - 光ビームを出射する光ビーム出射手段と、
その光ビーム出射手段により出射された前記光ビームを偏向するために正弦的に揺動する偏向部を備え、
前記偏向部により偏向作用を受けた光ビームにより被走査媒体を走査する、個々の偏向周波数を有する光偏向手段とを備えた光走査装置において、
前記光偏向手段の前記偏向周波数が、所定の偏向周波数より高ければ、前記光偏向手段から前記被走査媒体に至る光路長が小さくされ、前記所定の偏向周波数より低ければ、前記光路長が大きくされるように光路長を調整可能とする光路長調整手段を設けたことを特徴とする光走査装置。 - 光ビームを出射する光ビーム出射手段と、
その光ビーム出射手段により出射された前記光ビームを偏向するために正弦的に揺動する偏向部を備え、
前記偏向部により偏向作用を受けた光ビームにより被走査媒体を走査する光偏向手段とを備えた光走査装置において、
前記被走査媒体上を走査される光ビームの所定の走査点における走査速度を検出する走査速度検出手段と、
その走査速度検出手段によって検出された走査速度に対応する前記光偏向手段の偏向周波数が、所定の偏向周波数より高ければ、前記光偏向手段から前記被走査媒体に至る光路長が小さくされ、前記所定の偏向周波数より低ければ、前記光路長が大きくされるように前記光路長を制御する光路長制御手段と、
その光路長制御手段で制御された光路長に従って、前記光偏向手段と前記被走査媒体とを相対的に移動させ、前記光偏向手段から前記被走査媒体に至る実際の光路長を適切な長さに調整する調整手段とを備えたことを特徴とする光走査装置。
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