JP4598286B2 - 光走査装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はレーザビームプリンタ、レーザビームプロッタ、普通紙を使用するファクシミリ、デジタル複写機等の画像形成装置に用いられる光走査装置、及びその光走査装置を用いた画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
光束を光偏向器等の偏向手段で偏向させ、その偏向された光束を被走査面に微小なスポット光として結像させ、被走査面上を主走査方向に等速走査させる光走査装置が従来から知られており、レーザビームプリンタ、レーザビームプロッタ、ファクシミリ、デジタル複写機等の画像形成装置の潜像書込手段等に応用されている。
この光走査装置は、例えばレーザ光源から射出されたレーザ光を光偏向器で偏向反射することによって像担持体等の被走査面上を走査させ、これと同時に、上記レーザ光を画像信号に応じて強度変調(例えばオン、オフ)させることにより、被走査面に画像を書き込むようになっている。
【0003】
上記光偏向器としては、等速回転する回転多面鏡(ポリゴンスキャナ)が広く用いられているが、回転多面鏡は装置が大掛かりとなり、また、機械的な高速回転を伴うため、振動によるバンディング、温度上昇、騒音、消費電力アップ等の問題がある。
一方、マイクロマシン技術を用いた、共振構造の正弦波振動を行うマイクロミラーが提案されている。このマイクロミラーを光走査装置の偏向手段として用いれば、装置が小型化され、上記のような振動によるバンディング、温度上昇、騒音、消費電力などを大幅に低減することができる。また、特開平8−75475号公報には、上記のような共振を利用した偏向ミラーを用いた光走査装置に関して記載されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
光走査装置の機能として、光偏向器により偏向反射された光束を、被走査面上において略等速度で走査させるものであること、そして、所定の有効書込幅を持っているものであることが一般的に要求される。
前述の共振を利用した偏向ミラーを用いる場合も同様の機能を備えていることが必要であり、正弦波振動する偏向ミラーによって偏向反射された光束を被走査面上において略等速度で走査させ、また、同時に広い有効書込幅を獲得するように工夫する必要がある。
【0005】
上記のように、偏向手段として共振を利用した偏向ミラーを用いる場合、正弦波振動する偏向ミラーによって偏向反射された光束を被走査面上において略等速度で走査させる必要があるが、従来、正弦波振動に応じて等速度走査させるため、下式で表される結像性能を有する走査光学系を用いていた。
H=K×sin- (φ/2φ) ・・・(1)
(但し、H:像高、K:比例定数、φ:振れ角、φ:振幅)
【0006】
ところが、偏向手段が等角速度的に運動すると仮定したときのリニアリティ(等速性)に偏差が生じ、これにより像高による主走査光束のスポット径に偏差が発生するという問題がある。
【0007】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであって、被走査面上における主走査光束のスポット径偏差が小さい光走査装置、及びそれを用いた画像形成装置を提供することを目的とする。
より詳しくは、請求項1,2に係る発明は、被走査面上における主走査光束のスポット径偏差が小さく、被走査面上の倍率誤差特性を良好に補正できる光走査装置を提供することを目的とし、請求項3に係る発明は、被走査面上における主走査光束のスポット径偏差が小さく、小型な光走査装置を提供することを目的とする。また、請求項に係る発明は、被走査面上における主走査光束のスポット径偏差が小さい光走査装置を用い、均一なドット形成が可能で、倍率誤差が良好に補正された画像形成装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する手段として、請求項1に係る発明は、光源と、画像情報に応じて前記光源を点灯する光源駆動手段と、前記光源からの光束を正弦波振動により偏向走査する偏向手段と、該偏向手段からの光束を被走査面上に導き、かつ、前記偏向手段が等角速度的に運動すると仮定したとき、有効書込幅の範囲での等速性(以下、リニアリティと言う)Lin(θ);
Lin(θ)={[H(θ+Δθ)-H(θ)]/Δθ−[H(0+Δθ)-H(0)]/Δθ}×100(%)
Lin(θ):画角θにおけるリニアリティ
H(θ):画角θにおける像高
Δθ:微小角
を、10%以下とするfθ機能を有する走査光学系と、を備え、前記光源駆動手段は、1ライン内の各画素毎に点灯開始タイミングを個別に設定する機能を有し、前記機能により周辺像高に行くに従い光束の走査速度を減少することを特徴としたものである。
【0009】
請求項2に係る発明は、請求項1記載の光走査装置において、前記有効書込幅の範囲でのリニアリティLin(θ)が略0であることを特徴としたものである。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項1または2記載の光走査装置において、前記偏向手段は、主走査方向について、入射光束に対し対称に光束を偏向することを特徴としたものである。
【0011】
請求項に係る発明は、帯電手段で像担持体を帯電した後、光書込手段により該像担持体に光を露光して潜像を形成し、該潜像を現像手段で現像して可視像化した後、像担持体上の可視像を転写手段により転写材に転写して画像を形成する画像形成装置において、前記光書込手段として、請求項1〜のうちの何れか一つに記載の光走査装置を用いたことを特徴としたものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る光走査装置及びその光走査装置を用いた画像形成装置の構成、動作及び作用を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明に係る光走査装置の一実施形態を示す図であり、(a)は光走査装置の主走査方向に沿った断面(主走査断面)の光学系配置図、(b)は光走査装置の副走査方向に沿った断面(副走査断面)の光学系配置図、(c)は(b)の偏向手段の部分Aを拡大して示す図である。図1において、符号1は光源である半導体レーザ(LD)、2は半導体レーザからの発散光束を略平行光束にするコリメートレンズ、3は光束径を制限するアパーチャ、4は副走査方向にのみ屈折力を持つシリンドリカルレンズ、5は半導体レーザからの光束を偏向する偏向手段、5aは偏向手段の偏向ミラー(偏向面)、5bは複数の固定ミラー、6aは入射ミラー、6bはダミーミラー、7は走査結像光学系の第1走査結像レンズ、8は走査結像光学系の第2走査結像レンズ、9は被走査面である。
【0013】
図1に示す構成の光走査装置においては、光源である半導体レーザ1を射出した発散光束はコリメートレンズ2により略平行光束とされ、アパーチャ3で光束径を絞られた後、主走査方向に長い線像を形成するためのシリンドリカルレンズ4を通過する。このシリンドリカルレンズ4を通過した光束は、図1(b),(c)に示すように入射ミラー6aで反射されることにより、副走査断面内で入射角を有して偏向手段5の偏向ミラー(偏向面)5aに入射する。このとき、偏向ミラー5aに対し、副走査断面で対向面が異なる複数のミラー5b(第1固定ミラー5b-1、第2固定ミラー5b-2)を用いて、図1(c)に示すように光束を多重反射させる。このとき、偏向手段5の偏向ミラー5aには正弦波振動を行うマイクロミラーを用い、この偏向ミラー5aを偏向器として正弦波振動を行い光束を偏向反射する。この際、当然、多重反射しているので走査角は増大される。また、偏向手段5に傾き角が異なる2つの対向ミラー5b(第1固定ミラー5b-1、第2固定ミラー5b-2)を配備することにより、光束分離が可能になり、尚且つ、波面収差を低減でき、主走査光束のビームスポット径の小径化が実現できる。尚、偏向手段5で偏向反射された光束は光軸が副走査方向に傾いた状態となるが、この光軸の副走査方向の傾きは、偏向光束を副走査方向に傾斜したダミーミラー6bで反射することにより補正される。
【0014】
従来、正弦波振動に応じて次式:
H=K×sin- (φ/2φ) ・・・(1)
(但し、H:像高、K:比例定数、φ:振れ角、φ:振幅)
で示されるような結像性能を有する走査光学系を用いて等速性(リニアリティ)を補正していたが、主走査光束のビームスポット径の像高間偏差を発生する。このことを下記の比較例を用いて説明する。以下に比較例の設計データを示す。
【0015】
[比較例]
偏向面5aへの入射角:19.4deg
偏向面5aでの有効振れ角:3.71deg
L:0.35mm
偏向面5aでの反射回数:5回
θ:26.02deg
θ:9.7deg
【0016】
ここで図1(b),(c)に図示したダミーミラー6bの傾け角βは11.9degである。
さらに、5回目反射の偏向面の面番号を1、第1走査結像レンズ7の光束入射側のレンズ面の面番号を2、第1走査結像レンズ7の光束出射側のレンズ面の面番号を3、第2走査結像レンズ8の光束入射側のレンズ面の面番号を4、第2走査結像レンズ8の光束出射側のレンズ面の面番号を5とする。また、Rmを主走査方向の近軸曲率半径、Rsを副走査方向の近軸曲率半径、Nを使用波長665nmでの屈折率とすると、各面の設計データは以下の表1の通りである。
【0017】
【表1】
Figure 0004598286
【0018】
走査結像光学系を構成する第1走査結像レンズ7の面番号2,3の面、及び第2走査結像レンズ8の面番号4,5の面の形状は、以下の式(2)で表せる。
Figure 0004598286
【0019】
尚、面番号2の面は走査結像レンズの子線頂点を結んだ母線が副走査方向に湾曲している。
また、各面における上記(2)式中の各係数は以下の通りである。
【0020】
(面番号2の面)
Km=−3.87
=a=a=・・・=0
=2.05E−04
=1.00E−07
=−8.0E−04
但し、E−04=×10−04、E−07=×10−07であり、以下においても同様の意味である。
【0021】
(面番号3の面)
Km=3.51E−02
=−3.53E−06
=1.04E−08
=−2.63E−11
=b=b=・・・=0
=0
=0
=0
【0022】
(面番号4の面)
Km=−1.39E+01
=−1.102E−06
=−9.881E−10
=1.072E−12
10=2.258E−15
12=−1.035E−18
14=−1.427E−23
=−1.514E−05
=3.384E−08
=0
=1.2E−04
=0
【0023】
(面番号5の面)
Km=8.36E+01
=6.973E−07
=2.973E−09
=−1.231E−11
10=2.875E−14
=4.87E−06
=3.78E−08
=4.28E−11
=−7.65E−14
12=2.0E−18
=0
=0
=0
【0024】
第1走査結像レンズ7のR1面は中央像高に向かう光束に対し上方向(Z方向)に0.2mmシフトされており、第2走査結像レンズ8のR1面は中央像高に向かう光束に対し上方向(Z方向)に0.5mmシフトされている。
図2に比較例の光走査装置における像高に対する等速偏向時のリニアリティを、図3に像高に対する主走査光束のビームスポット径を、図4に等速偏向時のリニアリティに対する主走査光束のビームスポット径を示す。
【0025】
ここで、等速偏向時のリニアリティとは、偏向手段が等角速度的に運動すると仮定したときのリニアリティを示し、下式で表す。
Lin(θ)
={[H(θ+Δθ)-H(θ)]/Δθ−[H(0+Δθ)-H(0)]/Δθ}×100(%)
Lin(θ):画角θにおけるリニアリティ
H(θ):画角θにおける像高
Δθ:微小角
【0026】
走査結像光学系は偏向器(偏向ミラー5a)の正弦波振動に対応するため、(1)式と概略近い特性を有しており、周辺像高に行くに従い主走査光束のビームスポット径が太る。
また、図4に示すように、等速偏向時のリニアリティと主走査光束のビームスポット径は概略線形関係となっており、等速偏向時のリニアリティが15%のとき、主走査光束のビームスポット径は中央像高に比べて15.5%太っている。
従って、主走査光束のビームスポット径のばらつきを10%以下にするためには、有効書込幅の範囲での等速偏向時のリニアリティの偏差が10%以下であることが必要である(請求項1)。以下に本発明の実施例の設計データを示す。
【0027】
[実施例]
本実施例は図1に示す構成の光走査装置に、fθ特性を有する走査結像光学系を用いた例である。
偏向面5aへの入射角:19.4deg
偏向面5aでの有効振れ角:3.71deg
L:0.35mm
偏向面5aでの反射回数:5回
θ:26.02deg
θ:9.7deg
【0028】
ここで図1(b),(c)に図示したダミーミラー6bの傾け角βは11.9degである。
さらに、5回目反射の偏向面の面番号を1、第1走査結像レンズ7の光束入射側のレンズ面の面番号を2、第1走査結像レンズ7の光束出射側のレンズ面の面番号を3、第2走査結像レンズ8の光束入射側のレンズ面の面番号を4、第2走査結像レンズ8の光束出射側のレンズ面の面番号を5とする。また、Rmを主走査方向の近軸曲率半径、Rsを副走査方向の近軸曲率半径、Nを使用波長665nmでの屈折率とすると、各面の設計データは以下の表2の通りである。
【0029】
【表2】
Figure 0004598286
【0030】
走査結像光学系を構成する第1走査結像レンズ7の面番号2,3の面、及び第2走査結像レンズ8の面番号4,5の面の形状は、前述の(2)式で表され、面番号2の面と5の面は走査結像レンズの子線頂点を結んだ母線が副走査方向に湾曲している。また、各面における(2)式中の各係数は以下の通りである。
【0031】
(面番号2の面)
Km=−1.85E+02
=2.08E−06
=−2.905E−09
=−1.15E−11
10=2.196E−14
=3.95E−04
=−9.533E−07
=1.906E−09
=1.57E−10
10=−3.37E−13
12=4.326E−15
=2.0E−04
=3.08E−06
=2.3E−08
【0032】
(面番号3の面)
Km=−1.93E−01
=2.91E−06
=1.375E−09
=−5.348E−12
10=2.535E−14
=−3.253E−04
=2.14E−07
=5.939E−09
=2.108E−11
10=1.117E−13
12=1.201E−15
=0
=0
=0
【0033】
(面番号4の面)
Km=−1.39E+01
=−1.102E−06
=−9.881E−10
=1.072E−12
10=2.258E−15
12=−1.035E−18
14=−1.427E−23
=−5.281E−06
=1.462E−08
=−3.916E−11
=3.006E−13
10=5.198E−16
12=4.551E−18
=0
=0
=0
【0034】
(面番号5の面)
Km=−6.91E+01
=−2.188E−06
=4.3228E−10
=2.7814E−12
10=−1.214E−15
12=7.686E−19
14=4.073E−22
=8.18E−05
=−1.48E−07
=1.26E−10
=7.0E−14
12=4.5E−18
=−4.0E−05
=−5.0E−09
=4.38E−11
【0035】
第1走査結像レンズ7のR1面が中央像高に向かう光束に対し上方向(Z方向)に0.1mmシフトされており、第2走査結像レンズ8のR1面は中央像高に向かう光束に対し上方向(Z方向)に0.1mmシフトされている。
また、本実施例においては、偏向手段(偏向器)5は入射光束に対し、主走査方向に関しては対称に光束を偏向している(請求項3)。これにより、光学特性が対称になるので、ビームスポット径の偏差が低減でき、また、有効書込幅を確保した上で小型化が実現できる。
【0036】
ここで、図5に本実施例の光走査装置における像高に対する等速偏向時のリニアリティを、図6に像高に対する主走査光束のビームスポット径を、図7に像高に対する正弦波振動時のリニアリティを示すが、像高に対する等速偏向時のリニアリティ偏差が小さくなっており、ビーム位置Hが主走査方向について、画角θと概略比例している。このとき、像高による主走査光束のビームスポット径はほぼ一定となっており、良好な光学特性が得られている。
ところが、偏向器5の偏向ミラー5aは正弦波振動しているため、図7に示すように、正弦波振動時のリニアリティは周辺に行くに従い小さくなり、1ライン内で画像信号の周波数が一定で、尚且つ、光源の点灯のタイミングが一定であれば倍率誤差が発生する。
【0037】
そこで本発明では、図1に示す構成の光走査装置において、画像情報に応じて光源1の点灯を制御する光源駆動手段(図示せず)は、1ライン内の各画素毎に点灯開始タイミングを個別に設定する機能を有する構成としている。以下、この本発明の構成について、図8に示すモデル図を用いて説明する。
【0038】
図7に示すように、本実施例では周辺像高に行くに従い、リニアリティが減少する。従って、1ライン内において画像信号の周波数や各画素の点灯開始タイミングが一定である場合、図8(a)に示すように、周辺に行くほどドット間隔が狭くなり、画像上で倍率誤差が発生する。
そこで、光源駆動手段により、1ライン内の各画素での点灯開始のタイミングを個別に設定することにより、図8(b)に示すようにドット間隔を等しくでき、画像上で倍率誤差が発生しない。
また、このままだと図8(b)に示すように周辺に行くほど露光分布の主走査方向の幅が小さくなるが、光源駆動手段に1ライン内の各画素毎に点灯幅を個別に設定する手段を配備すれば、露光分布の主走査方向の幅を均一にすることができる。
また、上記により各画素の積分光量が異なるが、光源駆動手段に1ライン内の各画素毎の点灯時間を個別に設定する手段を配備すれば、露光分布の積分光量を各画素毎に均一にすることができる。
【0039】
以上、本発明に係る光走査装置の実施例について説明したが、本実施例では偏向手段(偏向器)5として、正弦波振動ミラー(偏向ミラー)5aと複数の固定ミラー5b(第1固定ミラー5b-1,第2固定ミラー5b-2)を組み合わせて用いているが、この他に、表面弾性波による回折を利用して偏向しても良いし、変形ミラーを等角速度運動させることにより、偏向角が等角速度的に変化しないようにしても良い。また、有効書込幅をさらに増大させるために、走査結像光学系を主走査方向に複数個並べてもよい。
さらに、図1の構成例では、光源1は1つの半導体レーザであるが、複数の半導体レーザや、発光点を複数有する半導体レーザアレイ等を用いた、マルチビーム構成としても同様に実施することが可能であり、本発明の範疇に入るものである。
また、本実施例では、偏向器5を正弦波振動ミラー(偏向ミラー)5aと複数の固定ミラー5b(第1固定ミラー5b-1,第2固定ミラー5b-2)で構成して光束を複数回反射させているが、偏向器で1度だけ反射するようにしてもよい。
【0040】
次に本発明に係る画像形成装置の実施形態について説明する。
図9は本発明に係る画像形成装置の一実施形態を示す概略構成図である。図9において、符号11は像担持体であるドラム状の感光体、12は感光体11を帯電する帯電手段、13は帯電された感光体11に画像情報に応じた光束を露光して潜像を形成する光書込手段、14は感光体11上に形成された潜像を例えばトナーで現像して可視像化する現像手段、15は感光体11上の可視像(トナー像)を記録用紙等の転写材18に転写する転写手段、16は転写材18に転写された可視像(トナー像)を定着する定着手段、17は転写後の感光体11表面をクリーニングするクリーニング手段であり、帯電、露光、現像、転写、定着、クリーニングという工程(電子写真プロセス)により転写材に画像を形成して出力する。
【0041】
図9において、感光体11は、ドラム状の導電性基体の表面に、無機材料あるいは有機材料からなる光導電体層(感光層)を形成したものであり、感光体表面が被走査面となる。また、感光体としては、ドラム状の他、ベルト状のものを用いてもよい。
帯電手段12は、図示の例ではコロナ帯電器であるが、この他、帯電ローラ、帯電ブラシ等、種々のものを用いることができる。
光書込手段13としては、図1に示した構成の光走査装置が用いられ、その詳細は前述の実施例で述べた通りである。
現像手段14としては、現像剤としてトナーのみの1成分系現像剤を用いた現像器や、現像剤としてトナーとキャリアからなる2成分系現像剤を用いた現像器等、種々の構成のものを用いることができる。
転写手段15は、図示の例では転写用帯電器であるが、この他、転写ローラ、転写ベルト、転写ブラシ等、種々のものを用いることができる。
定着手段16は、加熱及び/または加圧により転写材上の画像を定着するものであり、加熱ローラと加圧ローラを用いたローラ定着器や、ベルトと加熱手段を用いたベルト定着器等、種々の構成のものを用いることができる。
クリーニング手段17は、ブレード式、ブラシ式、ローラ式等、種々の構成のものを用いることができる。
また、図9はモノカラーの画像形成装置の例であるが、2色以上の多色画像形成装置やフルカラー画像形成装置の構成とした場合にも、本発明の光走査装置を光書込手段に適用することができる。
【0042】
本発明に係る画像形成装置においては、光書込手段13として、例えば図1に示した構成の光走査装置を用いたことを特徴とするが、これにより、感光体11上に潜像を書き込む際の主走査光束のビームスポット径の偏差を低減できるので、均一なドット形成が可能で、倍率誤差が良好に補正された画像形成装置を実現できる。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1、2に記載の光走査装置では、光源と、画像情報に応じて前記光源を点灯する光源駆動手段と、前記光源からの光束を正弦波振動により偏向走査する偏向手段と、該偏向手段からの光束を被走査面上に導き、かつ、前記偏向手段が等角速度的に運動すると仮定したとき、有効書込幅の範囲での等速性(以下、リニアリティと言う)Lin(θ);
Lin(θ)={[H(θ+Δθ)-H(θ)]/Δθ−[H(0+Δθ)-H(0)]/Δθ}×100(%)
Lin(θ):画角θにおけるリニアリティ
H(θ):画角θにおける像高
Δθ:微小角
を、10%以下とするfθ機能を有する走査光学系と、
を備え、前記光源駆動手段は、1ライン内の各画素毎に点灯開始タイミングを個別に設定する機能を有し、前記機能により周辺像高に行くに従い光束の走査速度を減少することを特徴としたものであり、振動によるバンディング、温度上昇、騒音、消費電力アップ等を低減することができる。また、有効書込幅の範囲での等速偏向時のリニアリティLin(θ)を10%以下(略0)にすることにより、主走査光束のビームスポット径の偏差を低減することができる。
また、前記光源駆動手段は、1ライン内の各画素毎に点灯開始タイミングを個別に設定する機能を有することにより、倍率誤差を補正できる。
【0045】
請求項3記載の光走査装置では、請求項1または2の構成に加えて、前記偏向手段は、主走査方向について、入射光束に対し対称に光束を偏向することにより、被走査面上での主走査光束のビームスポット径の偏差が小さく、且つ有効書込幅を確保した上で小型化を実現できる光走査装置を提供できる。
【0046】
請求項記載の画像形成装置では、光書込手段として、請求項1〜のうちの何れか一つに記載の光走査装置を用いたことにより、像担持体上に潜像を書き込む際の主走査光束のビームスポット径の偏差を低減できるので、均一なドット形成が可能で、倍率誤差が良好に補正された画像形成装置を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光走査装置の一実施形態を示す図であり、(a)は光走査装置の主走査方向に沿った断面(主走査断面)の光学系配置図、(b)は光走査装置の副走査方向に沿った断面(副走査断面)の光学系配置図、(c)は(b)の偏向手段の部分Aを拡大して示す図である。
【図2】比較例の光走査装置における像高に対する等速偏向時のリニアリティを示す図である。
【図3】比較例の光走査装置における像高に対する主走査光束のビームスポット径を示す図である。
【図4】比較例の光走査装置における等速偏向時のリニアリティに対する主走査光束のビームスポット径を示す図である。
【図5】本実施例の光走査装置における像高に対する等速偏向時のリニアリティを示す図である。
【図6】本実施例の光走査装置における像高に対する主走査光束のビームスポット径を示す図である。
【図7】本実施例の光走査装置における像高に対する正弦波振動時のリニアリティを示す図である。
【図8】1ライン内の各画素毎に点灯開始タイミングを個別に設定する機能を説明するための図である。
【図9】本発明に係る画像形成装置の一実施形態を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1 光源(半導体レーザ)
2 コリメートレンズ
3 アパーチャ
4 シリンドリカルレンズ
5 偏向手段(偏向器)
5a 偏向ミラー(偏向面)
5b-1 第1固定ミラー
5b-2 第2固定ミラー
6a 入射ミラー
6b ダミーミラー
7 第1走査結像レンズ(走査結像光学系)
8 第2走査結像レンズ(走査結像光学系)
9 被走査面
11 感光体(像担持体)
12 帯電手段
13 光書込手段(光走査装置)
14 現像手段
15 転写手段
16 定着手段
17 クリーニング手段

Claims (4)

  1. 光源と、
    画像情報に応じて前記光源を点灯する光源駆動手段と、
    前記光源からの光束を正弦波振動により偏向走査する偏向手段と、
    該偏向手段からの光束を被走査面上に導き、かつ、前記偏向手段が等角速度的に運動すると仮定したとき、有効書込幅の範囲での等速性(以下、リニアリティと言う)Lin(θ);
    Lin(θ)={[H(θ+Δθ)-H(θ)]/Δθ−[H(0+Δθ)-H(0)]/Δθ}×100(%)
    Lin(θ):画角θにおけるリニアリティ
    H(θ):画角θにおける像高
    Δθ:微小角
    を、10%以下とするfθ機能を有する走査光学系と、
    を備え、
    前記光源駆動手段は、1ライン内の各画素毎に点灯開始タイミングを個別に設定する機能を有し、前記機能により周辺像高に行くに従い光束の走査速度を減少することを特徴とする光走査装置。
  2. 請求項1記載の光走査装置において、
    前記有効書込幅の範囲でのリニアリティLin(θ)が略0であることを特徴とする光走査装置。
  3. 請求項1または2記載の光走査装置において、
    前記偏向手段は、主走査方向について、入射光束に対し対称に光束を偏向することを特徴とする光走査装置。
  4. 帯電手段で像担持体を帯電した後、光書込手段により該像担持体に光を露光して潜像を形成し、該潜像を現像手段で現像して可視像化した後、像担持体上の可視像を転写手段により転写材に転写して画像を形成する画像形成装置において、
    前記光書込手段として、請求項1〜3のうちの何れか一つに記載の光走査装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
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