JP3653670B2 - 同期電動機のベクトル制御方法及び同装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、永久磁石形同期電動機のベクトル制御方法及び同装置に関するものである。特に、ベクトル制御のためのベクトル回転器に必要な回転子位置の情報の確保に、回転子に装着される回転子位置検出器に代わって位置推定器を利用し、更には推定器を固定子電流と固定子電圧の信号により駆動するベクトル制御方法及び同装置に関するものである。
【0002】
【従来技術】
同期電動機をして高い制御性能を発揮せしめるには、固定子電流の制御が不可欠であり、従来よりこのための制御法としてベクトル制御方法が知られている。ベクトル制御方法は、トルク発生に寄与する固定子電流を、互いに直交するd軸とq軸で構成される回転dq座標系上のベクトル信号として捕らえ制御する電流制御工程を有する。
【0003】
採用すべき回転dq座標系としては、座標系の位相が回転子磁束の位相(回転子N極の位置)と理想的には空間的位相差ゼロで同期するような座標系を目指すが一般的である。すなわち、採用すべき、直交のd軸とq軸からなる回転dq座標系としては、理想的にはd軸の位相が回転子磁束の位相に一致するような座標系を目指すが一般的である。なお、回転dq座標系の位相と回転子磁束の位相を空間的位相差ゼロで理想的に同期させるべく同期手段を構じても、実際的には両者の間には少量の位相誤差が発生する。本発明に関する以降の説明では、少量の空間的位相誤差を有する「準同期」の状態も、実際性を重視し「同期」として扱う。
【0004】
回転dq座標系の位相を回転子磁束の位相と同期状態に構成維持するには、一般には回転子磁束の位相、すなわち回転子N極の位置を知る必要がある。これを努めて正確に知るため、エンコーダに代表される回転子位置検出器を回転子に装着することが伝統的に行われている。
【0005】
図13は、永久磁石形同期電動機に対し、回転子位置検出器を利用したベクトル制御方法を装置化し、これに装着した場合の代表的1例を概略的にブロック図で示したものである。1は同期電動機を、2は回転子位置検出器を、3は電力変換器を、4は電流検出器を、5a、5bは夫々3相2相変換器、2相3相変換器を、6a、6bは共にベクトル回転器を、7は余弦正弦信号発生器を、8は電流制御器を、9は指令変換器を、10は速度制御器を、11は速度検出器を示している。図13では、4から9までの諸機器がベクトル制御装置を構成している。本図では、簡明性を確保すべく、本発明と関係の深い2x1のベクトル信号を1本の太い信号線で表現している。以下のブロック図表現もこれを踏襲する。
【0006】
特に、2の回転子位置検出器は、α軸をU相巻線の中心に選定した固定αβ座標系上における回転子位置を角度として検出し、7はその余弦・正弦信号をベクトル回転器6a,6bへ向け出力するもので、回転dq座標系のための回転信号を生成する手段を構成している。なお、同期電動機においては、一般に、基準とすべき回転子位置として回転子N極の位置を選定する。このため、当業者には周知のように、一般には回転子位置と回転子磁束位相とは同義に捕らえてよい。本発明の説明においても、回転子位置と回転子磁束位相を同義で使用する。図13における回転子位置検出器2は、実質的に、回転子磁束の位相を検出する手段として働いている。
【0007】
回転子の位置と速度は互いに積分と微分の関係にあり、速度の情報は、速度を直接測定する速度検出器を用いなくとも、回転子位置検出器による信号の処理を通じ得ることも可能である。11は、信号処理を中心としたこの種の速度検出器である。4、5a、5b、6a、6b、7、8の5種の機器は、トルク発生に寄与する固定子電流を、互いに直交するd軸とq軸で構成される回転dq座標系上のベクトル信号として捕らえ、d軸及びq軸の各成分を各軸電流指令値に追随するように制御する電流制御工程を実行する手段を構成している。
【0008】
電流検出器4で検出された3相の固定子電流は、3相2相変換器5aで固定αβ座標系上の2相電流に変換された後、ベクトル回転器6aで回転dq座標系の2相電流に変換され、電流制御器8へ送られる。電流制御器8は、回転dq座標系上の2相電流が、各相の電流指令値に追随すべく回転dq座標系上の2相電圧指令値を生成しベクトル回転器6bへ送る。6bでは、回転dq座標系上の2相電圧指令値を固定αβ座標系の2相電圧指令値に変換し、2相3相変換器5bへ送る。5bでは、2相信号を3相電圧指令値に変換し、電力変換器3への指令値として出力する。電力変換器3は、指令値に応じた電力を発生し、同期電動機1へ印加しこれを駆動する。このときの回転dq座標系上の2相電流指令値は、トルク指令値を指令変換器9に通じ変換することにより得ている。指令変換器9としては、電流指令値のd軸成分を一定に保ち、電流指令値のq軸成分をトルク指令値に比例して変化させる簡単なものが、多用されている。
【0009】
図13の本例では、速度制御系を構成した例を示しているので、速度指令値と速度検出値を入力とする速度制御器10の出力としてトルク指令値を得ている。当業者には周知のように、制御目的が発生トルクにあり速度制御系を構成しない場合には、速度制御器10、速度検出器11は不要である。この場合には、トルク指令値が外部から直接印加される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
同期電動機のための従来のベクトル制御方法を実現するには、上記代表例で説明したように、回転子位置を検出するための回転子位置検出器が必要不可欠である。しかし、エンコーダ等の回転子位置検出器の回転子装着は、以下のような課題を不可避的に発生してきた。
【0011】
第1課題が、電動機システムの信頼性の低下である。エンコーダ等の回転子位置検出器は、電動機本体と比較するならば、その機械的頑健性は著しく低い。すなわち、回転子位置検出器の装着により、電動機システムとしての機械的信頼性を著しく低下させている。回転子位置検出器の装着に起因する電動機システムの頑健性低下は、機械的側面のみならず、回転子位置検出器信号への電源ノイズの混入に見られる電気的側面、更には回転子発熱に遠因する回転子位置検出器の温度上昇に見られる熱的側面においても同様に発生している。このように、エンコーダ等の回転子位置検出器を電動機回転子に装着することにより、電動機システムの信頼性を甚だしく低下させてきた。
【0012】
第2課題が、電動機スペースの増大である。電動機単体での容積にも依存するが、回転子位置検出器を回転子に装着することにより、電動機の軸方向への容積が数パーセントから数十パーセント増大する。
【0013】
第3課題が、回転子位置検出器動作用の電源線、検出信号を受けるための信号線の配線と配線のためのスペースの確保である。当然のことながら、回転子位置検出器を動作させ、これから回転子の位置情報を得るには、このための配線が必要である。しかも、信号線と言えども、上述の機械的・電気的・熱的信頼性の低下を極力回避すべく、電動機本体を駆動するための電力線並みに頑健につくることが一般に要求される。結果的には、電動機1機につき本来の電力線とほぼ同等なサイズの信号線の配線、更にはこのためのスペースが必要となる。
【0014】
第4課題が、各種コストの増大である。小形電動機においては、製造時において既に回転子位置検出器のコストが電動機本体より高くなることさえある。回転子位置検出器に付随した配線のコストも、小形電動機では無視できない。更には、信頼性の低下に対応するための保守コストの増大も必然的に発生する。こうした各種コストは、電動機の使用個数に応じ、増大する。特に保守コストは個数に応じて指数的に増大する特性をもつ。
【0015】
上記の課題は回転子位置検出器に直接あるいは間接的に起因したものであり、回転子位置検出器を必要としない所謂センサレスベクトル制御方法が確立されれば、必然的に解決される。事実、このための同期電動機のセンサレスベクトル制御方法に関し、特色ある幾つかの方法が既に報告されている。例えば、同期電動機のセンサレスベクトル制御方法及び同装置に関する国内外の技術開発の最新サーベイ結果が、文献(電気学会交流電動機駆動方式の新技術調査専門委員会編、電気学会技術報告第760号、交流電動機駆動における最近の技術動向、平成12年2月発刊)において、詳しく紹介されている。
【0016】
これらは、1)純粋積分処理に代わって近似積分処理を利用し回転子磁束を推定する方法、2)回転子磁束の位相と等価な位相をもつ誘起電圧、あるいは拡張誘起電圧を外乱オブザーバにより推定する方法、3)回転子磁束あるいは誘起電圧を含む同一次元状態オブザーバを構成し、回転子磁束あるいは誘起電圧を推定する方法に大別される。
【0017】
1)の近似積分処理を利用した回転子磁束の推定法は、推定回転子磁束に対しハイパスフィルタ処理と等価処理を行うものであり、これによる回転子磁束の位相の推定値は、低速域で位相進み誤差を発生した。
【0018】
2)の外乱オブザーバによる方法は、外乱オブザーバに不可欠なローパスフィルタ処理を行う関係上、これによる回転子磁束の位相の推定値は、高速域で位相遅れ誤差を発生した。
【0019】
3)による同一次元状態オブザーバによる場合には、1)、2)の方法に見られる位相誤差の問題は基本的に有せず、この点において優れた方法である。しかし、2次元状態量である回転子磁束を推定するために、固定子電流など他の状態量を含めた4次元あるいは6次元の状態量を同時に推定する必要があり、大きな実時間演算処理を必要とした。状態オブザーバの演算量は、一般に、推定状態量の次元の2乗に比例して急激に増大する。状態オブザーバの次元の増大に応じ、状態オブザーバの特性を支配するオブザーバゲインの適切な設計が困難になると言う問題も有した。このため、必ずしも所期の性能が得られず、最悪の場合には状態オブザーバ工程を有するセンサレスベクトル制御システムが不安定化するという重大な問題を発生した。
【0020】
本発明は上記背景の下になされたものであり、その目的は、同期電動機のためのエンコーダ等の回転子位置検出器を必要としないベクトル制御方法及び同装置として、全速度領域で位相進みあるいは位相遅れのない状態で回転子磁束の位相を推定する特性を備え、しかも、演算量を最小限に抑えた、更にはシステム安定性の確保が容易なベクトル制御方法及び同装置を提供することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、トルク発生に寄与する固定子電流を、互いに直交するd軸とq軸で構成される回転dq座標系上のベクトル信号として捕らえ制御する電流制御工程と、回転dq座標系の位相を決定する位相決定工程とを有する同期電動機のベクトル制御方法であって、回転子磁束の位相の推定値を該回転dq座標系の位相決定に利用できるように、回転子磁束あるいは回転子磁束により発生した誘起電圧を推定対象とした、固定子電流と固定子電圧の信号により駆動される最小次元状態オブザーバ工程を、該位相決定工程が有するようにしたことを特徴とする。
【0022】
請求項2の発明は、請求項1記載の同期電動機のベクトル制御方法であって、該最小次元状態オブザーバを、回転子速度の推定値を利用して実現するようにしたことを特徴とする。
【0023】
請求項3の発明は、請求項1、請求項2記載の同期電動機のベクトル制御方法であって、該回転dq座標系の位相の微分値あるいは近似微分値を、該最小次元状態オブザーバに利用する該回転子速度推定値としたことを特徴とする。
【0024】
請求項4の発明は、請求項1記載の同期電動機のベクトル制御方法であって、該最小次元状態オブザーバを、回転子の同一方向回転に対しては一定のオブザーバゲイン用いて実現するようにしたことを特徴とする。
【0025】
請求項5の発明は、請求項1、請求項4記載の同期電動機のベクトル制御方法であって、該最小次元状態オブザーバを、交代行列に対し乗法の交換特性をもつ構造のオブザーバゲインを用いて実現するようにしたことを特徴とする。
【0026】
請求項6の発明は、請求項1記載の同期電動機のベクトル制御方法であって、該最小次元状態オブザーバを駆動するための固定子電流と固定子電圧の信号を、該回転dq座標系上で定義された固定子電流と固定子電圧の信号とすることを特徴する。
【0027】
請求項7の発明は、請求項1記載の同期電動機のベクトル制御方法であって、該最小次元状態オブザーバを駆動するための固定子電流と固定子電圧の信号を、互いに直交しかつ固定のα軸とβ軸で構成される固定αβ座標系上で定義された固定子電流と固定子電圧の信号とすることを特徴する。
【0028】
請求項8の発明は、トルク発生に寄与する固定子電流を、互いに直交するd軸とq軸で構成される回転dq座標系上のベクトル信号として捕らえ制御する電流制御手段と、回転dq座標系の位相を決定する位相決定手段とを有する同期電動機のベクトル制御装置であって、回転子磁束の位相の推定値を該回転dq座標系の位相決定に利用できるように、回転子磁束あるいは回転子磁束により発生した誘起電圧を推定する手段として、固定子電流と固定子電圧の信号により駆動される最小次元状態オブザーバを、該位相決定手段が有するようにしたことを特徴とする。
【0029】
次に本発明の作用について説明する。先ず、同期電動機の固定子U相巻線の中心の方向を基軸α軸とし、これに直交した副軸をβ軸とする固定αβ座標系を考える。回転中の回転子の位相すなわち回転子N極位置が、ある瞬時にα軸に対して電気的にθαをなしているものとする。次に、基軸d軸と副軸q軸からなる回転dq座標系を考える。この回転dq座標系は、回転子との同期を指向する座標系であり、多少の位相誤差を含みつつも、回転子と同期して回転するものとする。第3の座標系として、また最も一般性の高い座標系として、設計者が指定した任意の速度ωで回転する、基軸g軸、副軸h軸からなる一般gh座標系を考える。また、一般gh座標系の基軸g軸からみた回転子N極位置をθgとする。一般gh座標系は、特別な場合として、固定αβ座標系、回転子への同期を指向して回転する回転dq座標系を含む、高い一般性を有する座標系である。3つの座標系においては、共に、基軸から副軸の方向を正方向とする。図1に、3つの座標系の様子を示した。
【0030】
最も一般性の高い一般gh座標系上では、永久磁石同期電動機の電気磁気的特性は、以下の(1)〜(7)式で記述することができる。
【数1】
【数2】
【数3】
【数4】
【数5】
【数6】
【数7】
ここに、v1,i1,φ1,φi,φmは任意の瞬時角速度ωで回転する一般gh座標系上で定義された電動機の内部状態を示す2x1のベクトルであり、それぞれ固定子電圧、固定子電流、固定子鎖交磁束、固定子鎖交磁束の固定子電流貢献分(以下、固定子電流磁束と略記)、回転子磁束を意味している。R1は固定子巻線抵抗である。Li,Lmはそれぞれ固定子の同相、鏡相インダクタンスであり、いわゆるd、qインダクタンスとは次の関係を有する。
【数8】
また、sは微分演算子である。
【0031】
永久磁石同期電動機は、磁束特性が非突極のものと突極のものとがある。(1)〜(7)式は、鏡相インダクタンスがゼロすなわちLm=0の場合には、非突極特性をもつ同期電動機の電気磁気的関係を表し、鏡相インダクタンスが非ゼロすなわちLm≠0の場合には、突極特性をもつ同期電動機の電気磁気的関係を表す。このように、(1)〜(7)式は同期電動機の電気磁気的関係を一般性のある形で表現している。
【0032】
適切にトルク発生を行うには、トルク発生に寄与する固定子電流を回転子磁束との同期を目指す回転dq座標系上のベクトル信号として捕らえ、制御する必要がある。座標系の構成には座標系の位相を決定する必要がある。回転子磁束との同期を目指す回転dq座標系の位相は、固定αβ座標系のからみた回転子磁束の位相θαに選定する必要がある。すなわち、回転dq座標系の構成には、回転子磁束の位相θαが必要である。従来、回転子磁束の位相θαを知るために、エンコーダ等の回転子位置検出器を電動機回転子に装着してきた。
【0033】
回転子位置検出器を利用できない場合には、利用可能な固定子電流と固定子電圧の信号を用い、回転子磁束位相を推定すればよい。回転子磁束位相の推定は、必ずしも固定αβ座標系上で推定する必要はない。一般には、設計者が定めた一般gh座標系上で推定すればよい。一般gh座標系は、設計者が定めた座標系であるので、固定αβ座標系に対する一般gh座標系の位相差θα−θgは当然既知である。従って、一般gh座標系からみた回転子磁束位相θgがわかれば、固定αβ座標系からみた回転子磁束位相θαも必然的にわかることになる。
【0034】
本発明は、上記観点に立ち、同期電動機のベクトル制御装置の位相決定手段が、回転子磁束位相を推定する手段として最小次元状態オブザーバを有するようにしたものである。請求項1および請求項8の本発明のによる最小次元状態オブザーバの1つは、推定
表現すると、次の(9)式で記述することができる。
【数9】
ここに、ω2nは回転子の電気的角速度である。また、Gは最小次元状態オブザーバの構成に不可欠なオブザーバゲインである。オブザーバゲインGは2x2行列である。
【0035】
(9)式の状態オブザーバは、位相θgを2x1位相ベクトルu(θg)として有する回転子磁束(2x1ベクトル)のみを推定対象としており、これが最小次元状態オブザーバとなっていることは明らかである。
【0036】
次に、請求項1および請求項8の本発明による最小次元状態オブザーバによれば、回転子磁束が推定できることを説明する。(4)式を用いて表現された回転子磁束は、次の(10)式の性質をもつ。
【数10】
【0037】
(10)式に注意すると、(1)〜(7)式で記述された同期電動機の回転子磁束
は、次の(11)式に示す誤差方程式が成立する。
【数11】
【0038】
当業者には容易に理解できるように、(11)式は、本発明による最小次元状態
11)式の誤差方程式が明示しているように、オブザーバゲインGは回転子速度ω2nと積の形で、推定値の真値への収束効果を発揮するので、本発明の最小次元状態オブザーバによれば、ゼロ速度を除く全速度領域で、すなわち回転子の回転を伴う全速度領域で
ンGの具体的設計法に関しては、本発明の実施形態例の記述に際し、詳しく説明する。
【0039】
本発明による(9)式の最小次元状態オブザーバは、磁束強度Φと位相ベクトルu(θg)の積として記述される回転子磁束φmを直接的に推定するものである。磁束強
り位相ベクトルu(θg)の推定値あるい位相θgの推定値を得ることは、当業者には、極めて容易である。
【0040】
以上の説明より明白なように、請求項1あるいは請求項8の本発明によれば、回転子位置検出器を用いることなく、ベクトル制御ためのベクトル回転器の回転信号生成に必要な回転子位置の推定値を得ることができると言う作用が得られる。しかも、ゼロ速度を除く全速度領域で、すなわち回転子の回転を伴う全速度領域で、これら推定値を得ることができると言う作用が得られる。本発明による状態オブザーバは、所要の回転子磁束のみを推定対象とする最もコンパクトな最小次元であるので、状態オブザーバ駆動に要する演算量は状態オブザーバとしては最小になる、と言う作用も得られる。状態オブザーバの最小次元性によりオブザーバゲインGは単一の2x2行列となる。これにより、回転子磁束推定値の安定収束を保証するオブザーバゲインの設計は格段と容易になり、ひいてはこの設計にに要する手間を、同一次元状態オブザーバに比し著しく簡略化できると言う作用も得られる。
【0041】
次に、本発明の請求項2の作用について説明する。請求項1の本発明の最小次元状態オブザーバの実現には、(9)式の1例からも理解されるように、回転子速度の情報が必要である。請求項2の本発明は、回転子速度情報として回転子速度の推定値を利用して、請求項1の本発明における最小次元状態オブザーバを実現せしめるものである。換言するならば、回転子の速度検出の要なく、最小次元状態オブザーバの実現を可能とするものである。以上より明らかなように、請求項2の本発明によれば、回転子速度を検出するための速度検出器を用いることなく、最小次元状態オブザーバが実現できると言う作用が得られる。換言するならば、請求項2の本発明によれば、請求項1で説明した作用を回転子速度を検出するための速度検出器を用いることなく得ることができると言う作用が得られる。なお、回転子速度の具体的推定法に関しては、本発明の実施形態例の記述に際し、詳しく説明する。
【0042】
次に、本発明の請求項3の作用について説明する。請求項3の本発明によれば、請求項1、請求項3の発明における最小次元状態オブザーバに利用する回転子速度推定値として、回転dq座標系の位相の微分値あるいは近似微分値が利用できる。回転dq座標系は、回転子N極位置との同期を目指しており、同座標系の位相の微分値あるいは近似微分値は、回転子位置の微分値である回転子速度の近似値として最も相応しいものである。しかも、回転dq座標系の位相は先に得られているので、わずかな追加的演算で速度近似値を得ることができるようになる。以上の説明より明らかなように、請求項3の本発明によれば、推定位相と整合した合理的な速度推定値をわずかな追加的演算で得ることができると言う作用が得られる。換言するならば、請求項3の本発明によれば、請求項1、請求項2で説明した作用を最小の演算量で合理的に得ることができるようになると言う作用が得られる。
【0043】
次に、本発明の請求項4の作用について説明する。請求項4の本発明によれば、請求項1の最小次元状態オブザーバの実現に不可欠なオブザーバゲインを、回転子の同一方向回転に対しては一定として構成する。従って、本発明によれば、回転子が同一方向に回転している状態では、次の(12)式の関係が成立する。
【数12】
ここに、1/sは積分処理を意味する。
【0044】
当業者には(9)式と(12)式より理解されるように、請求項4の本発明によれば、回転子磁束推定のための最小次元状態オブザーバとして、次のものが利用できるようになる。
【数13】
なお、(13)式で記述された最小次元状態オブザーバにおける2x1ベクトル
【0045】
(13)式の最小次元状態オブザーバは、(9)式の最小次元状態オブザーバに基づくものであり、この結果、(9)式の最小次元状態オブザーバと同一の誤差方程式をもち、請求項1の発明に関する作用を継承している。(9)式の最小次元状態オブザーバは、(9)式右辺に微分処理を意味する微分演算子sを有していることから容易に理解されるように、(9)式で記述された最小次元状態オブザーバの実現には、信号の微分処理が必要とされる。これに対し、(13)式の最小次元状態オブザーバは、その右辺に微分処理を意味する微分演算子sを一切有していない。すなわち、(13)式で記述された最小次元状態オブザーバの実現には、信号の微分処理が一切必要とされない。当業者には、周知のように、実際の信号は程度の差こそあれノイズを含んでおり、しかも微分処理はノイズにすこぶる敏感に反応する特性を有するため、実際の信号に対する微分処理は努めて回避することが望まれる。
【0046】
以上の説明より明らかなように、請求項4の本発明によれば、信号の微分処理を一切行うことなく最小次元状態オブザーバを実現できるので、ノイズにロバストな最小次元状態オブザーバが実現できるようになると言う作用が得られる。換言するならば、請求項4の本発明によれば、請求項1で説明した作用をノイズにロバストな状態で得ることができるようになると言う作用が得られる。
【0047】
次に、請求項5の発明の作用について説明する。請求項5の本発明は、請求項1、請求項4のベクトル制御方法であって、オブザーバゲインの構造を、交代行列に対し乗法の交換特性をもつ構造とするものである。具体的には、請求項5の本発明は、オブザーバゲインGを次の(14)式の形で実現するものである。
【数14】
ここに、Iは2x2単位行列であり、Jは既に(7)式において定義されている2x2交代行列である。また、g1,g2は共にスカラである。
【0048】
オブザーバゲインを(14)式の構造とする場合には、オブザーバゲインは交代行列に対し乗法の交換特性を発揮するようになる。すなわち、次の(15)式が成立するようになる。
【数15】
【0049】
当業者には(13)式、(15)式より理解されるように、請求項5の本発明によれば、回転子磁束推定のための最小次元状態オブザーバとして、次の(16)式の簡潔なものが利用できるようになる。
【数16】
ここに、D(s,ω)は次の(17)式で定義されたD因子と呼ばれる2x2行列である。
【数17】
当然のことながら、(16)式の最小次元状態オブザーバは、(13)式の最小次元状態オブザーバ、ひいては(9)式の最小次元状態オブザーバに基づくものであり、この結果、請求項1、請求項4の発明に関する作用を継承している。
【0050】
以上の説明より明らかなように、請求項5の本発明によれば、最小次元状態オブザーバを最も簡潔な形で実現できる。この結果、要求演算量を最小化した最小次元状態オブザーバが実現できると言う作用が得られる。換言するならば、請求項5の本発明によれば、請求項1、請求項4で説明した作用を最小の演算量で得ることができるようになると言う作用が得られる。
【0051】
次に請求項6の本発明の作用について説明する。請求項6の本発明は、請求項1の発明における最小次元状態オブザーバを駆動するための固定子電流と固定子電圧の信号を、回転子N極位置と同期を目指した回転dq座標系上で定義された固定子電流と固定子電圧の信号とするものである。請求項1の作用の説明に際し説明したように、回転子が非回転のゼロ速度状態では、回転子磁束位相を正しく推定できない。本特性は、同期電動機の基本特性によるものであり、トルク発生に寄与する固定子電流と固定子電圧の信号を用いた推定では、本発明のみならず如何なる方法による場合にも不可能であることが知られている。ゼロ速度状態でも回転子位置を推定するには、トルク発生に寄与しない固定子電流等の信号を使用した推定法を併せて利用する必要がある。これらの推定方法は、回転dq座標系上で実現されるものと、固定αβ座標系上で実現されるものとがある。本発明による回転子回転状態での回転子磁束位相推定法と公知の回転子非回転状態での回転子磁束位相推定法との併用は、同一の座標系上で行う場合が最も整合性がよく、かつ容易である。
【0052】
以上の説明より明らかなように、請求項6の本発明によれば、先ず、回転dq座標系上の信号を利用して、請求項1の発明に基づき回転子磁束位相が推定できるようになると言う作用が得られる。次に、同じく回転dq座標系上の信号を利用してゼロ速度状態の回転子磁束位相を推定する他の推定方法と、請求項1の発明よる推定方法との併用が容易になると言う作用が得られる。
【0053】
続いて、請求項7の作用について説明する。請求項7の本発明は、請求項1の発明における最小次元状態オブザーバを駆動するための固定子電流と固定子電圧の信号を、互いに直交しかつ固定のα軸とβ軸で構成される固定αβ座標系上で定義された固定子電流と固定子電圧の信号とするものである。請求項7の作用は、請求項6の作用の説明で既に明らかなように、以下の通りである。
【0054】
請求項7の本発明によれば、先ず、固定αβ座標系上の信号を利用して、請求項1の発明に基づき回転子磁束位相が推定できるようになると言う作用が得られる。次に、同じく固定αβ座標系上の信号を利用してゼロ速度状態の回転子磁束位相を推定する他の推定方法と、請求項1の発明よる推定方法との併用が容易になると言う作用が得られる。
【0055】
以上、本発明による作用を、回転子磁束を推定する最小次元状態オブザーバを通して説明した。本発明に基づき、回転子磁束の回転により発生した誘起電圧を推定する最小次元状態オブザーバを構成する場合にも、同様な作用が得られる。以下に、これを説明する。
【0056】
一般gh座標系上で定義された誘起電圧eと回転子磁束φmに関しては次の(18)式の関係が成立する。
【数18】
回転子速度の変化が状態オブザーバの収束速度に比較して十分緩慢であるとの仮定が成立する場合には、状態オブザーバの収束の観点からは、回転子速度は実質
することになる。
【数19】
【0057】
次の(20)式より容易に理解されるように、誘起電圧は回転子磁束位相と等価な位相情報を有している。
【数20】
誘起電圧が回転子磁束の回転により発生した点を考慮するならば、これが回転子磁束位相と等価な位相を有することは、当然と言える。等価位相の含有に加え、回転子速度の変化が最小次元状態オブザーバの収束速度に比較して十分小さいと言う状況下における(19)式に示した誘起電圧の特性は、形式的には、(18)式の第2辺、第3辺に示した回転子磁束の特性と同一である。これより当業者には容易に理解されるように、回転子速度の変化が最小次元状態オブザーバの収束速度に比較して十分小さいと言う状況下では、誘起電圧eの推定に関しても、回転子磁束φmを推定対象とした最小次元状態オブザーバと同様な最小次元状態オブザーバの実現が可能である。
【0058】
例えば、(9)式の回転子磁束推定のための最小次元状態オブザーバに対応した、誘
次の(21)式のように、実現される。
【数21】
【0059】
また、(13)式の回転子磁束推定のための最小次元状態オブザーバに対応した、誘起電圧推定のための最小次元状態オブザーバは、次の(22)式のように実現される。
【数22】
【0060】
また、(16)式の回転子磁束推定のための最小次元状態オブザーバに対応した、誘起電圧推定のための最小次元状態オブザーバは、次の(23)式として実現される。
【数23】
【0061】
以上の3つの具体的例示より明白なように、本発明に従い、誘起電圧eの最小次元状態オブザーバによる推定を通して回転子磁束の位相を推定する場合にも、上述の回転子磁束φmの最小次元状態オブザーバによる推定を通して回転子磁束の位相を推定する場合と同様の作用が得られる。
【0062】
【実施の形態】
以下、図面を用いて、本発明の実施形態を詳細に説明する。同期電動機に対し本発明のベクトル制御方法を適用したベクトル制御装置の1実施形態例の基本的構造を図2に示す。本構造と図13を用いて説明した従来制御法による構造との基本的な違いは、回転子位置検出器2が撤去され、これに代わって位相決定器12が新規に導入されている点にある。また、本発明に基づく位相決定器12は後に詳しく説明するように回転子速度の推定機能をも有するため、従来制御法における速度検出器11も撤去されている。他の機器に関しては、基本的には図13に示した従来制御法に基づく装置と同一であり、その動作原理も従来と同一であ
処理・発生手順は、図13を用いて説明した従来の装置における電流ベクトルi1、電
【0063】
本発明の核心は位相決定器12にある。本実施形態例では、図13の従来法による装置との対比のため速度制御の1例を示したが、当業者にとっては明らかなように、トルク制御にも応用可能である。すなわち、トルク制御においても、速度制御に使用した位相決定器12を、何らの変更なしにそのまま使用することができる。以下では、速度制御、トルク制御等の制御モードに関し一般性を失うことなく、位相決定器12の実施形態例について説明する。
【0064】
図2に明示しているように、位相決定器12には、固定子電流と固定子電圧の信号として回転dq座標系上で定義された固定子電流の測定値i1と固定子電圧の
0へ送られている。
【0065】
図3は、図2における位相決定器12の1実施形態例として、その内部構造を示したものである。位相決定器12は、最小次元状態オブザーバ12aと位相同期器12bから構成されている。
【0066】
本実施形態例では、最小次元状態オブザーバ12aを駆動するための固定子電流と固定子電圧の信号としては、回転dq座標系上で定義された固定子電流の測
ブザーバは、整合性のよい回転dq座標系上で評価した回転子磁束の位相推定値
転dq座標系に選定するするようにすればよい。最小次元状態オブザーバは、回
回転dq座標系上で定義された固定子電流と固定子電圧の信号に加えて、回転d
この回転子速度推定値は、後に詳しく説明するように、回転dq座標系の位相
【0067】
図4は、最小次元状態オブザーバ12aとして、回転子磁束を推定させるようにした1実施形態例の構造を示したものである。本最小次元状態オブザーバは、先ず、回転子磁束を推定し、推定した回転子磁束に基づき回転子磁束位相の推定値を出力するものであり、回転子速度(電気的速度)として速度真値に代わって速度推定値を利用している点などを除けば、(16)式よるものに忠実に従って実現されている。本最小次元状態オブザーバの利用には、本発明の作用に関連して説明したように、オブザーバゲインG12a−1は、回転子の同一方向回転に対しては一定とすると共に、交代行列に対し乗法の交換特性を有する構造としなければならない。このための具体的オブザーバゲインGは次の(24)式のように構成すればよい。
【数24】
【0068】
回転子速度の正負符号情報のみを取り出す機能を有する。
【数25】
存性は、貫徹矢印で表現している。
【0069】
本実施形態例においては、(16)式第1式の右辺第2項に相当する項は、次の(26)式のように整理される。
【数26】
として明示)を乗じて回転子磁束の推定値をマイナスフィードバックしている。本フィードバックにより、回転子の回転状態では、最小次元状態オブザーバの極の
ことが可能である。
【0070】
(16)式第1式の左辺のD因子は、図4にブロック12a−3として明示しているように、最小次元状態オブザーバにおいてその逆行列として実現されている。図5に、D因子の逆行列12a−3の実現例を示した。D因子の逆行列は、ベクトル信号用の1個の積分器と1個の乗算器で実現されている。
【0071】
回転子磁束への同期を指向している回転dq座標系から見た回転子N極位置は
ように近似することができる。
【数27】
図4の実施形態例における固定子電流磁束φiは、(27)式に従い、固定子電流から生成している。図4では、これをブロック12a−4として明示した。
【0072】
座標系からみた微少な回転子磁束位相θgの推定値は、例えば次の(28)式に従い、生成し出力すればよい。
【数28】
図4の初期位相推定器12a−5は(28)式で示したような処理を行い、回転
を出力している。
【0073】
図6は、位相同期器12bの1実施形態例の内部構造を示したものである。位相同期器12bは、安定器12b−1と積分器12b−2から構成されている。
の(29)式で記述することもできる。
【数29】
ここに、C(s)は次の有理多項式で記述される安定器12b−1である。
【数30】
【0074】
安定器は、次の(31)式の多項式H(s)が安定多項式となるように設計すればよい。
【数31】
A(s)、B(s)は設計者が任意に選択できる多項式であるので、H(s)が安定になるようにこれらを設計することは、極めて容易である。例えば、先にH(s)、A(s)を定めて、次に(31)式を満足するようにB(s)を決めればよい。反対に、先にH(s)、B(s)を定めて、次に(31)式を満足するようにA(s)を決めてもよい。
【0075】
図2に明示されているように、センサレスベクトル制御においては、固定αβ
正弦信号発生器7へ送られ余弦正弦値に変換された後、回転dq座標系の位相を決定づけるベクトル回転器6a、6bの回転信号となっている。回転dq座標系の位相
6及び(29)、(30)式を用いて示した位相同期器は、回転dq座標系の位相の微分値を回転子速度の推定値とし、これを最小次元状態オブザーバに利用すべく、最小次元状態オブザーバに向け出力している。
【0076】
上記の実施形態例に代わって、回転dq座標系の回転速度ωをローパスフィル
もよい。この場合には、結果的に、回転dq座標系の位相の近似微分値を、最小次元状態オブザーバに利用したことになる。
【0077】
図4に示した最小次元状態オブザーバは、図3の実施形態例において、特に回転子磁束を推定対象とした最小次元状態オブザーバであった。これに代わって、誘起電圧を推定対象とした最小次元状態オブザーバを構成することも可能である。図7は、図3の実施形態例において、特に誘起電圧を推定対象とした最小次元状態オブザーバを構成した例である。本最小次元状態オブザーバは、先ず、誘起電圧を推定し、推定した誘起電圧に基づき回転子磁束位相の推定値を出力するものであり、回転子速度(電気的速度)として速度真値に代わって速度推定値を利用している点などを除けば、(23)式よるものに忠実に従って実現されている。本最小次元状態オブザーバの利用には、本発明の作用の関連して説明したように、オブザーバゲインG12a−1は、回転子の同一方向回転に対しては一定とすると共に、交代行列に対し乗法の交換特性を有する構造としなければならない。このための具体的オブザーバゲインG12a−1は、簡単には、次の(32)式のように一定の対角行列に構成すればよい。
【数32】
【0078】
本実施形態例においては、(23)式第1式の右辺第2項に相当する項は、次の(33)式のように整理される。
【数33】
図7の実施形態例では、(33)式の関係をブロック12a−2を用いたマイナスフィードバックとして明示している。このフィードバックにより、回転子の回転状態では、最小次元状態オブザーバの極の実数部は、−αすなわち常時負であり、回転子磁束の推定値を真値に収束させることが可能である。
【0079】
D因子の逆行列のブロック12a−3及び固定子電流磁束φiのブロック12a−4に関しては、図4を用いて説明した実施形態例と同一の要領で実現されている。このため、これらの説明は省略する。
【0080】
系からみた微少な回転子磁束位相θgの推定値は、例えば次の(34)式に従い、生成し出力すればよい。
【数34】
図7における初期位相推定器12a−5は(34)式で示したような処理を行い
【0081】
図7の誘起電圧の推定を目的とした最小次元状態オブザーバに対する位相同期器12bとしては、図4の回転子磁束の推定を目的とした最小次元状態オブザーバに対する位相同期器、すなわち図6の位相同期器をそのまま利用できる。これらは既に詳しく説明しているので、この説明は省略する。
【0082】
図2〜図7を利用して説明した複数の実施形態例では、最小次元状態オブザーバを駆動するための回転dq座標系上で定義された固定子電流、固定子電圧の信号として、固定子電流の実測値、固定子電圧の指令値を利用した。これに代わって、回転dq座標系上の定義された固定子電流の指令値、固定子電圧の実測値など、固定子電流、固定子電圧に関する他の信号を利用して差し支えないことを指摘しておく。
【0083】
次に、本発明による別の実施形態例として、最小次元状態オブザーバを駆動するための固定子電流、固定子電圧の信号として、互いに直交しかつ固定のα軸とβ軸で構成される固定αβ座標系上で定義された固定子電流と固定子電圧の信号を利用した例を示す。図8は、本発明よるこの種の1実施形態例の構造を概略的に示したものである。図2の実施形態例と図8の実施形態例との決定的な違いは、図8の実施形態例においては、位相決定器12への入力信号が、固定αβ座標系上で定義された固定子電流と固定子電圧の信号となっている点にある。図8における他の機器に関しては、図2のものと同一である。
【0084】
図8に明示しているように、位相決定器12には、固定子電流と固定子電圧の信号として固定αβ座標系上で定義された固定子電流の測定値i1と固定子電圧の
器10へ送られている。
【0085】
図9は、図8における位相決定器12の1実施形態例として、その内部構造を示したものである。位相決定器12は、最小次元状態オブザーバ12aと速度推定器12cとから構成されている。
【0086】
本実施形態例では、最小次元状態オブザーバ12aを駆動するための固定子電流と固定子電圧の信号としては、固定αβ座標系上で定義された固定子電流の測
ブザーバは、整合性のよい固定αβ座標系上で評価した回転子磁束の位相推定値(初期位相推定値)を出力している。これには、設計者が任意に選定できる一般gh座標系を固定αβ座標系に選定するようにすればよい。この場合は、当然、一般gh座標系の回転速度はゼロ、すなわちω=0となる。最小次元状態オブザ
力信号として、固定αβ座標系上で定義された固定子電流と固定子電圧の信号に
器6a、6bで指定される回転dq座標系の位相となるものである。速度推定値
【0087】
図10は、最小次元状態オブザーバ12aとして、回転子磁束を推定させるようにした1実施形態例の構造を示したものである。本最小次元状態オブザーバは、先ず、回転子磁束を推定し、推定した回転子磁束に基づき回転子磁束位相の初期
と速度(電気的速度)に関して真値に代わって推定値を利用している点などを除けば、(13)式、(16)式よるものに忠実に従って実現されている。ただし、一般gh座標系の回転速度ωは、これを固定αβ座標系に帰着させるべく、ゼロω=0としている。
【0088】
本最小次元状態オブザーバの利用には、本発明の作用の関連して説明したように、オブザーバゲインGは、回転子の同一方向回転に対しては一定としなければならない。このための具体的オブザーバゲインGは前述の(24)式のように構成すればよい。すなわち、オブザーバゲインGは図4を用い説明した実施形態例と同一のものを利用してよい。図10においては、オブザーバゲインGの推定速度符
【0089】
図4の実施形態例と同一のオブザーバゲインを利用するので、推定磁束のフィードバックに寄与するブロック12a−2も、図4の実施形態例の場合と同一となる。この結果、回転子の回転状態では、最小次元状態オブザーバの極の実数部が
に確保される。
【0090】
(13)、(16)式第2式の右辺の固定子電流磁束φiは、最終的な位相推定
【数35】
図10の実施形態例における固定子電流磁束φiは、(35)式に従い、固定子電流から生成している。図10では、これをブロック12a−4として明示した。
【0091】
【数36】
図10の初期位相推定器12a−5は(36)式で示したような処理を行い初期
【0092】
図11は、図9に示した位相決定器12のもう1つの主要な構成要素である、速度推定器12cの1実施形態例の内部構造を示したものである。速度推定器12cは、安定器12c−1と積分器12c−2から構成されている。入力として
37)式で記述することもできる。
【数37】
ここに、安定器C(s)12c−1は(30)式で定義された位相同期器のための安定器と同一である。また、速度推定器のための安定器C(s)12c−1の設計法も、位相同期器のための安定器の設計と同一である。このため、この設計法の説明は省略する。
【0093】
図8に明示されているように、センサレスベクトル制御においては、最終位相
系の位相を決定づけるベクトル回転器6a、6bの回転信号となっている。本実施形
に速度推定器12cを構成している。すなわち、図11及び(37)式を用いて示した速度推定器は、回転dq座標系の位相の微分値を回転子速度の推定値とし、これを最小次元状態オブザーバに利用すべく、最小次元状態オブザーバに向け出力している。
【0094】
上記の実施形態例に代わって、回転dq座標系の回転速度をローパスフィルタ処
この場合には、結果的に、回転dq座標系の位相の近似微分値を、最小次元状態オブザーバに利用したことになる。
【0095】
図10に示した最小次元状態オブザーバは、図9の実施形態例において、特に回転子磁束を推定対象とした最小次元状態オブザーバであった。これに代わって、誘起電圧を推定対象とした最小次元状態オブザーバを構成することも可能である。図12は、図9の実施形態例において、特に誘起電圧を推定対象とした最小次元状態オブザーバを構成した例である。本最小次元状態オブザーバは、先ず、誘起
力するものであり、回転子の位相と速度(電気的速度)に関して真値に代わって推定値を利用している点などを除けば、(22)、(23)式よるものに忠実に従って実現されている。ただし、一般gh座標系の回転速度ωは、これを固定αβ座標系に帰着せしめているので、ゼロω=0としている。
【0096】
本最小次元状態オブザーバの利用には、本発明の作用の関連して説明したように、オブザーバゲインGは、回転子の同一方向回転に対しては一定としなければならない。このための具体的オブザーバゲインGは、簡単には、前述の(32)式のように一定の対角行列に構成すればよい。すなわち、オブザーバゲインGは図7を用い説明した実施形態例と同一のものを利用してよい。
【0097】
図7の実施形態例と同一のオブザーバゲインGを利用する場合には、誘起電圧推
る。このフィードバックにより、回転子の回転状態では、最小次元状態オブザーバの極の実数部は、図7の場合と同様−αで常時負であり、誘起電圧の推定値を真値に収束させることが可能である。
【0098】
固定子電流磁束φiのブロック12a−4に関しては、図10を用いて説明した実施形態例と同一の要領で、すなわち(35)式に基づき実現されている。このため、これ以上の説明は省略する。
【0099】
【数38】
図12における初期位相推定器12a−5は(38)式で示したような処理を行
【0100】
図12の誘起電圧の推定を目的とした最小次元状態オブザーバに対する速度推定器12cとしては、図10の回転子磁束の推定を目的とした最小次元状態オブザーバに対する速度推定器、すなわち図11の速度推定器をそのまま利用できる。これらの説明は、既に詳しく行っているので、省略する。
【0101】
図8〜図12を利用して説明した複数の実施形態例では、最小次元状態オブザーバを駆動するための固定αβ座標系上で定義された固定子電流、固定子電圧の信号として、固定子電流の実測値、固定子電圧の指令値を利用した。これに代わって、固定αβ座標系上で定義された固定子電流の指令値、固定子電圧の実測値など、固定子電流、固定子電圧に関する他の信号を利用して差し支えないことを指摘しておく。
【0102】
以上、本発明による位相決定器に関し、各種の図を利用しつつ複数の実施形態例を用いて具体的かつ詳しく説明した。本発明の位相決定器は、アナログ的に実現可能であるが、最近のディジタル技術の著しい進歩を考えるとディジタル的に構成することが好ましい。ディジタル構成はハードウェア的構成とソフトウェア的構成があるが、当業者にとっては既に自明のように本発明はいずれでも構成できる。
【0103】
【発明の効果】
以上の説明より明白なように、本発明は以下の効果を奏する。請求項1あるいは請求項8の本発明によれば、回転子位置検出器を用いることなく、ベクトル制御ためのベクトル回転器の回転信号生成に必要な回転子位置の推定値、あるいは回転子位置の余弦・正弦推定値を得ることができると言う作用が得られた。しかも、ゼロ速度を除く全速度領域で、すなわち回転子の回転を伴う全速度領域で、これら推定値を得ることができると言う作用が得られた。本発明による状態オブザーバは、所要の回転子磁束のみを推定対象とする最もコンパクトな最小次元であるので、状態オブザーバ駆動に要する演算量は、状態オブザーバとしては最小となると言う作用も得られた。状態オブザーバの最小次元性により、回転子磁束推定値の安定収束を保証するオブザーバゲインの設計は格段と容易になり、ひいてはこの設計にに要する手間を、同一次元状態オブザーバに比し著しく簡略化できると言う作用も得られた。これらの作用の結果、請求項1あるいは請求項8の本発明によれば、以下の効果が得られる。先ず、位置検出器を用いることなく所謂センサレスで永久磁石同期電動機がベクトル制御できると言う効果が得られる。しかも、ゼロ速度を除く全速度領域ですなわち回転子の回転を伴う全速度領域で、センサレスベクトル制御ができると言う効果が得られる。本発明は、最もコンパクトな最小次元状態オブザーバを利用しているので、従来の同一次元状態オブザーバに比較し遥かに少量の演算量で、上記の特性を有するセンサレスベクトル制御を実現できると言う効果が得られる。これに加えて、状態オブザーバの最小次元性より、オブザーバゲインの設計が格段に容易となり、この結果、安定性の優れた状態オブザーバを有する、ひいては安定性の高いセンサレスベクトル制御を構成できると効果が得られる。更には、同期電動機のベクトル制御に際し、回転子に回転子位置検出器を装着することに起因して従来より発生した、電動機システムの信頼性の低下、軸方向の容積増大、配線問題、各種コストの増大と言った諸問題を克服することができると言う効果が得られる。
【0104】
次に、請求項2の本発明による効果を説明する。請求項2の本発明によれば、回転子速度を検出するための速度検出器を用いることなく、最小次元状態オブザーバが実現できると言う作用が得られた。すなわち、請求項2の本発明によれば、請求項1で説明した作用を回転子速度を検出するための速度検出器を用いることなく実現できると言う作用が得られた。これらの作用の結果、請求項2の本発明によれば、速度検出器を利用することなく請求項1の効果を奏するセンサレスベクトル制御を実現できると言う効果が得られる。
【0105】
請求項3の本発明の効果を説明する。請求項3の本発明によれば、推定位相と整合した合理的な速度推定値をわずかな演算量で得ることができると言う作用が得られた。すなわち、請求項3の本発明によれば、請求項1、請求項2で説明した作用を最小の演算量で合理的に得ることができると言う作用が得られた。この作用の結果、請求項3の本発明によれば、請求項1および請求項2の発明による効果を最小の速度推定演算量でしかも合理的に高めたセンサレスベクトル制御が実現できると言う効果が得られるようになる。
【0106】
請求項4の本発明の効果について説明する。請求項4の本発明によれば、信号の微分処理を一切行うことなく最小次元状態オブザーバを実現できるので、ノイズにロバストな最小次元状態オブザーバが実現できるようになると言う作用が得られた。すなわち、請求項4の本発明によれば、請求項1で説明した作用をノイズにロバストな状態で得ることができると言う作用が得られた。この作用の結果、請求項4の本発明によれば、請求項1の発明による効果に加え、ノイズに強い特性を有するセンサレスベクトル制御が実現できるようになると言う効果が得られる。
【0107】
請求項5の本発明の効果を説明する。請求項5の本発明によれば、演算負荷を最小化した最小次元状態オブザーバが実現できると言う作用が得られた。すなわち、請求項5の本発明によれば、請求項1、請求項4で説明した作用を最小の演算量で得ることができると言う作用が得られた。この作用の結果、請求項5の本発明によれば、請求項1、請求項4の発明による効果に加え、最小の演算量を誇るセンサレスベクトル制御が実現できるようになると言う効果が得られる。
【0108】
続いて、請求項6の本発明の効果を説明する。請求項6の本発明によれば、先ず、回転dq座標系上の信号を利用して、請求項1の発明に基づき回転子磁束位相が推定できるようになると言う作用が得られた。次に、回転dq座標系上の信号を利用してゼロ速度状態の回転子磁束位相を推定する他の推定方法と、請求項1の発明よる推定方法との併用が容易になると言う作用が得られた。この作用の結果、請求項6の本発明によれば、先ず、回転dq座標系上の信号を用い、請求項1の発明に基づくセンサレスベクトル制御が実現できようになると言う効果が得られる。次に、請求項1の発明に基づくセンサレスベクトル制御と、同じく回転dq座標系上の信号を用いた他のセンサレスベクトル制御との併用が容易になると言う効果が得られる。この結果、請求項1の発明によるセンサレスベクトル制御の効果及び有用性を総合的に高めることができると言う効果が得られる。
【0109】
請求項7の本発明の効果を説明する。請求項7の本発明によれば、先ず、固定αβ座標系上の信号を利用して、請求項1の発明に基づき回転子磁束位相が推定できるようになると言う作用が得られた。次に、固定αβ座標系上の信号を利用してゼロ速度状態の回転子磁束位相を推定する他の推定方法と、請求項1の発明よる推定方法との併用が容易になると言う作用が得られた。この作用の結果、請求項7の本発明によれば、先ず、固定αβ座標系上の信号を用い、請求項1の発明に基づくセンサレスベクトル制御が実現できようになると言う効果が得られる。次に、請求項1の発明に基づくセンサレスベクトル制御と、同じく固定αβ座標系上の信号を用いた他のセンサレスベクトル制御との併用が容易になると言う効果が得られる。この結果、請求項1の発明によるセンサレスベクトル制御の効果及び有用性を総合的に高めることができると言う効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】3つの座標系と回転子位置(電気角度)の関係を示すベクトル図
【図2】1実施形態例におけるベクトル制御装置の基本構成を示すブロック図
【図3】1実施形態例における位相決定器の基本構成を示すブロック図
【図4】最小次元状態オブザーバの1構成例を示すブロック図
【図5】D因子の逆行列の1実現例を示すブロック図
【図6】位相同期器の1構成例を示すブロック図
【図7】最小次元状態オブザーバの1構成例を示すブロック図
【図8】1実施形態例におけるベクトル制御装置の基本構成を示すブロック図
【図9】1実施形態例における位相決定器の基本構成を示すブロック図
【図10】最小次元状態オブザーバの1構成例を示すブロック図
【図11】速度推定器の1構成例を示すブロック図
【図12】最小次元状態オブザーバの1構成例を示すブロック図
【図13】従来の代表的ベクトル制御装置の基本構成を示すブロック図
【符号の説明】
1 同期電動機
2 回転子位置検出器
3 電力変換器
4 電流検出器
5a 3相2相変換器
5b 2相3相変換器
6a ベクトル回転器
6b ベクトル回転器
7 余弦正弦信号発生器
8 電流制御器
9 指令変換器
10 速度制御器
11 速度検出器
12 位相決定器
12a 最小次元状態オブザーバ
12a−1 オブザーバゲイン
12a−5 初期位相推定器
12b 位相同期器
12b−1 安定器
12b−2 積分器
12c 速度推定器
12c−1 安定器
12c−2 積分器
Claims (8)
- トルク発生に寄与する固定子電流を、互いに直交するd軸とq軸で構成される回転dq座標系上のベクトル信号として捕らえ制御する電流制御工程と、回転dq座標系の位相を決定する位相決定工程とを有する同期電動機のベクトル制御方法であって、
回転子磁束の位相の推定値を該回転dq座標系の位相決定に利用できるように、回転子磁束あるいは回転子磁束により発生した誘起電圧を推定対象とした、固定子電流と固定子電圧の信号により駆動される最小次元状態オブザーバ工程を、該位相決定工程が有するようにしたことを特徴とする同期電動機のベクトル制御方法。 - 該最小次元状態オブザーバを、回転子速度の推定値を利用して実現するようにしたことを特徴とする請求項1記載の同期電動機のベクトル制御方法。
- 該回転dq座標系の位相の微分値あるいは近似微分値を、該最小次元状態オブザーバに利用する該回転子速度推定値としたことを特徴とする請求項1、請求項2記載の同期電動機のベクトル制御方法。
- 該最小次元状態オブザーバを、回転子の同一方向回転に対しては一定のオブザーバゲイン用いて実現するようにしたことを特徴とする請求項1記載の同期電動機のベクトル制御方法。
- 該最小次元状態オブザーバを、交代行列に対し乗法の交換特性をもつ構造のオブザーバゲインを用いて実現するようにしたことを特徴とする請求項1、請求項4記載の同期電動機のベクトル制御方法。
- 該最小次元状態オブザーバを駆動するための固定子電流と固定子電圧の信号を、該回転dq座標系上で定義された固定子電流と固定子電圧の信号とすることを特徴する請求項1記載の同期電動機のベクトル制御方法。
- 該最小次元状態オブザーバを駆動するための固定子電流と固定子電圧の信号を、互いに直交しかつ固定のα軸とβ軸で構成される固定αβ座標系上で定義された固定子電流と固定子電圧の信号とすることを特徴する請求項1記載の同期電動機のベクトル制御方法。
- トルク発生に寄与する固定子電流を、互いに直交するd軸とq軸で構成される回転dq座標系上のベクトル信号として捕らえ制御する電流制御手段と、回転dq座標系の位相を決定する位相決定手段とを有する同期電動機のベクトル制御装置であって、
回転子磁束の位相の推定値を該回転dq座標系の位相決定に利用できるように、回転子磁束あるいは回転子磁束により発生した誘起電圧を推定する手段として、固定子電流と固定子電圧の信号により駆動される最小次元状態オブザーバを、該位相決定手段が有するようにしたことを特徴とする同期電動機のベクトル制御装置。
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