JP3651628B2 - Vベルト自動変速機のトルクカム機構 - Google Patents

Vベルト自動変速機のトルクカム機構 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動二輪車等に採用されているVベルト自動変速機におけるトルクカム機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
Vベルト自動変速機は、駆動プーリと従動プーリ間に断面がV字状をした無端状Vベルトが架渡され、両プーリの有効半径を機関回転数に応じて自動的に加減して動力を伝達するものであり、各プーリとも固定プーリ半体と軸方向に摺動可能な可動プーリ半体との間にVベルトを挟持し、固定プーリ半体に対する可動プーリ半体の軸方向の相対位置により有効半径を変えるようにしている。
【0003】
通常可動プーリ半体は、固定プーリ半体側に接近するようにスプリングにより付勢され、挟持したVベルトの有効半径を大きくするよう作用してVベルトに緊張を与えているが、負荷変動が大きいときには、スプリングの付勢力では足りずプーリとベルト間でスリップを生じるので、固定プーリ半体と可動プーリ半体との相対的な回転を利用して可動プーリの軸方向の推力に変えるトルクカム機構を備えたVベルト自動変速機の例が提案されている。
【0004】
かかる特開平4−224345号公報に記載された例を、図14および図15に示す。
図14は、内燃機関を前部に搭載し後部に軸支された後輪を一体に支持するパワーユニット01の後部を示しており、後車軸04を出力軸とする歯車減速機02の減速機入力軸03にVベルト自動変速機の従動プーリ020 が軸支されている。
【0005】
本従動プーリ020 の固定プーリ半体021 は、円筒状のインナスリーブ部021aと一体にアルミダイキャストにより鋳造成形されており、減速機入力軸030 に回動自在に軸支されいる。
一方可動プーリ半体022 もアウタスリーブ部022aと一体にアルミダイキャストにより鋳造成形されており、前記インナスリーブ部021aの外周に摺動自在にアウタスリーブ部022aが軸支されている。
【0006】
アウタスリーブ部022aの周りに周設されたスプリング025 が、インナスリーブ部021aの左端に嵌着されたクラッチ025 のドライブプレート026 と可動プーリ半体022 間に介装されて、可動プーリ半体022 を固定プーリ半体021 側に付勢してVベルト023 を挟持するようになっている。
そしてドライブプレート026 には等間隔に3個のカム接触突起031 が形成され、対向して可動プーリ半体022 に等間隔に3個のトルクカム(可動側カム部)033 が突出している。
【0007】
図15に示すようにカム接触突起031 は、ドライブプレート026 に半径方向内側と外側に平行に切り込みを入れ、その間を三角形状に切り起こしたもので、一方の傾斜片に合成樹脂製の摺動部材(固定側カム部)032 が装着され、同摺動部材032 の外側傾斜面が摺動面032aとなる。
一方トルクカム033 は、摺動部材032 の摺動面032aに対向して傾斜したカム面033aが形成されている。
【0008】
発進時等の急加速時では、後輪からの負荷が作用する固定プーリ半体021 と負荷が直接作用しない可動プーリ半体022 との間に相対的な回転が生じ、したがって固定側のカム接触突起031 に対し可動側のトルクカム033 が先行し、摺動部材032 の摺動面032aにカム面033aが摺接してトルクカム033 が可動プーリ半体022 とともに固定プーリ半体021 に接近する方向に移動しようとし、よってVベルト023 の挟持を強めスリップを防止するように作用する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしトルクカム033 は、常に摺動部材032 の摺動面032aに接触しているわけではなく、離れている場合はトルクカム033 が摺動部材032 の摺動面032aに接するまではVベルト023 のスリップは防止できず加速遅れを生じることになる。
【0010】
前記公報記載の例では、トルクカム033 は回転方向前方の摺動部材032 に接するよう構成され、後方の摺動部材032 との接触は考慮されておらず、したがって図14に示すように前後のカム接触突起031 ,031 間に位置するトルクカム033 の移動可能なクリアランスCは大きい。
【0011】
そこでこの大きなクリアランスCの範囲内でトルクカム033 が回転方向前方の摺動部材032 から離れていることがあり、相当程度離れていると加速遅れが大きくなり発進時等でスムーズな加速感が得られない。
またトルクカム033 は、クリアランスCが大きいので、摺動部材032 の摺動面032aに離れた位置から衝接したり、後方の樹脂等で摺動部を形成していないカム接触突起031 に接触するおそれもあり、良好な耐久性を維持できない。
【0012】
可動プーリ半体022 の3個のトルクカム033 は、アウタスリーブ部022aの外周に互いに間隔をあけて突出形成されているので、整備性が良くない。
さらに別途製造された樹脂製の摺動部材032 を、ドライブプレート026 のカム接触突起031 に装着するので、作業工程が多く生産性が良くない。
【0013】
本発明はかかる点に鑑みなされたもので、その目的とする処は、発進時等に加速遅れの発生を防止して良好な加速感を得られる整備性および耐久性に優れたVベルト自動変速機のトルクカム機構を供する点にある。
【0014】
【課題を解決するための手段および作用】
上記目的を達成するために、本発明は、回転軸に軸支された固定プーリ半体と、該固定プーリ半体と対向してVベルトを挟持すべく固定プーリ円筒軸に摺動自在に軸支された可動プーリ半体と、前記固定プーリ半体に対する前記可動プーリ半体の相対的な回動を前記可動プーリ半体の軸方向の推力に変えるトルクカム機構を備えたVベルト自動変速機において、前記トルクカム機構は、前記可動プーリ半体の可動プーリ円筒軸端縁に軸方向に延出した可動側カム部と、前記固定プーリ円筒軸端部に外周方向に延出して形成され前記可動側カム部と噛み合うように係合する固定側カム部とからなり、前記可動側カム部固定側カム部との回転方向のクリアランスを近接させて構成し、前記固定側カム部は、前記固定プーリ円筒軸端部に固着されたクラッチのドライブプレートに設けられたVベルト自動変速機のトルクカム機構とした。
【0015】
可動側カム部固定側カム部とが噛み合うように係合するとともに、両者の回転方向のクリアランスを小さく構成したので、可動側カム部が回転方向前方の固定プーリ側カム部と最大離れたとしても僅かであり、発進時等の急加速時にトルクカム機構が働くまでのタイムラグが常に短く、加速遅れを殆ど生じることがなくスムーズな加速感を常に得ることができる。
【0016】
可動側カム部固定側カム部との回転方向のクリアランスが近接しているので、両者の衝接があっても僅かに離れた距離からで影響が少なく耐久性に優れている。
固定側カム部は、固定プーリ円筒軸端部に固着されたクラッチのドライブプレートに設けられているので、部品点数を削減し生産性を向上させることができる。
【0017】
また前記可動プーリ半体は可動プーリ円筒軸および可動側カム部までアルミニウムにより一体に鋳造等により成形し、前記固定側カム部は断面が歪曲した芯部に樹脂部材が一体にモールドされて構成された請求項1記載のVベルト自動変速機のトルクカム機構とする。
【0018】
可動プーリ半体が可動プーリ円筒軸および可動側カム部までアルミニウムにより一体に鋳造等により成形されることで、部品点数を少なくして構造を簡素化し生産性を上げることができ、加えて固定側カム部が断面が歪曲した芯部に樹脂部材が一体にモールド
されることで、より一層生産性を向上させることができる。
【0019】
偏平な有底円筒状をしたクラッチアウターの内部において前記可動側カム部が前記可動プーリ円筒軸端縁にまとまって形成された請求項1記載のVベルト自動変速機のトルクカム機構とすることで、整備性が良い。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下本発明に係る一実施の形態について図1ないし図12に図示し説明する。
図1は、本Vベルト自動変速機を適用したスクータ型自動二輪車1の全体側面図である。
【0021】
車体前部2と車体後部3とが、低いフロア部4を介して連結されており、車体前部2から下方に延出したのちフロア部4を後方へ水平に延びた車体フレーム5は、フロア部後端から立上がり、さらに後方へ斜め上向きに傾斜して後端まで延出している。
【0022】
該車体フレーム5の前部には、上端に操向ハンドル6を備え、下端に前輪7を軸支するフロントフォーク8が枢支されている。
車体フレーム5の立上がり部には、後端に後輪9を軸支したスイング式のパワーユニット20の前端下部がリンク10を介して上下に揺動自在に枢支され、そのパワーユニット20の後部上面とその上方の車体フレーム5との間にリヤクッション11が介装されている。
【0023】
車体前部2はレッグシールド15で覆われ、フロア部4はステップフロア16が張設され、車体後部3はボデイカバー17で覆われており、ボデイカバー17の上部にシート18が設けられている。
【0024】
パワーユニット20は、前部に配置された単気筒2サイクルの内燃機関21と、後部に備えられた歯車減速機22と、内燃機関21と歯車減速機22間に配設された本Vベルト自動変速機23とが、ユニット化されてユニットケース25に収容されている。
【0025】
パワーユニット20の構造を図2に示す。
ユニットケース25は、Vベルト自動変速機23と歯車減速機22とを収容するとともに内燃機関21のクランクケースの左半部を兼ねる前後に長尺の左側ケース26と、この左側ケース26の前部に接合されてクランクケースの右半部を構成する右側ケース27と、前記左側ケース26の左側方を覆う伝動ケースカバー28と、歯車減速機22を左側から覆うギヤケース29とから構成されている。
【0026】
左側ケース26と右側ケース27により形成されるクランクケースには、左右一対の主軸受30,30によりクランクシャフト31が回転自在に支持され、内燃機関21の同クランクケースからシリンダブロック21aおよびシリンダヘッド21bが接合されて、上方に若干後傾して立設されている。
シリンダブロック21a内を摺動するピストン32は、コネクティングロッド33を介してクランクシャフト31に連結されている。
【0027】
クランクシャフト31の右端にはACジェネレータ34と冷却ファン35が設けられ、内燃機関21,ACジェネレータ34,冷却ファン35の外周をエンジンカバー36が覆っている。
【0028】
クランクシャフト31の左端には、Vベルト自動変速機23の駆動プーリ40が設けられており、駆動プーリ40は、クランクシャフト31の左端に固着された固定プーリ半体41とクランクシャフト31に軸方向に摺動自在に支持された可動プーリ半体42とが相対向してしており、可動プーリ半体42とクランクシャフト31に固着したランププレート43との間に遠心ウエイト44が半径方向に移動自在に収容されている。
【0029】
遠心ウエイト44の遠心方向の移動で可動プーリ半体42は、固定プーリ半体41に接近するようになり、両プーリ半体41,42間に挟持されるVベルト55の有効半径を大きくすることができる。
【0030】
一方左側ケース26の後部とギヤケース29内に配設される歯車減速機22は、図3に示すように減速機入力軸45と減速機出力軸である後車軸47との間に中間軸46が設けられ、減速機入力軸45に嵌着された入力ギヤ48に中間軸46に嵌着された大径の中間ギヤ49が噛合し、同じ中間軸46に嵌着された小径の中間ギヤ50に後車軸47に嵌着された出力ギヤ51が噛合して減速機構が構成されている。
【0031】
図3に示すように、この歯車減速機22の減速機入力軸45のギヤケース29を貫通した左半部に従動プーリ60とクラッチ70が設けられている。
従動プーリ60は、共にアルミニウム製である相対向する一対の固定プーリ半体61と可動プーリ半体62とからなる。
【0032】
図6に図示するように固定プーリ半体61は、本体の内周部が軸方向に延出して円筒状のインナスリーブ部61aが形成され、同インナスリーブ部61aの端部は若干縮径して外周にセレーションが刻設された取付部61bが形成され、同固定プーリ半体61は本体から取付部61bまでアルミダイキャストにより一体に鋳造されている。
【0033】
一方可動プーリ半体62は、図4および図5に図示するように本体の内周部が軸方向に延出して前記固定プーリ半体61のインナスリーブ部61aより内径が若干大きい円筒状のアウタスリーブ部62aが形成され、同アウタスリーブ部62aの端縁に周方向等間隔に3か所断面が円弧状の突起62bが軸方向に突出して形成され、同突起62bの先端部が図4で時計回り方向に屈曲して可動側カム部62cが形成されている。
可動側カム部62cは、周方向の前後端面が傾斜した外向きカム面62coと内向きカム面62ciを形成している。
【0034】
本例では、3つの可動側カム部62cにそれぞれ回転反対方向に三角形状の膨出部を設け内向きカム面62ciを形成しているが、同内向きカム面62ciは後記する固定側カム部75との相対的な回転を規制するものであり大きな負荷が加わらないので、3つのうち1つの可動側カム部62cにのみ膨出部を設けて内向きカム面を形成するようにしても足りる。
なお可動プーリ半体62の本体におけるアウタスリーブ部62aの付け根の外周部に環状に溝条62dが形成されている。
上記可動プーリ半体62は、本体から可動側カム部62cに至るまでアルミダイキャストにより一体に鋳造されている。
【0035】
以上のような従動プーリ60のうち固定プーリ半体61は、図3に示すようにインナスリーブ部61aが減速機入力軸45に貫通されてニードルベアリング63とボールベアリング64を介して回転自在に軸支され、同固定プーリ半体61のインナスリーブ部61aの外周にアウタスリーブ部62aを摺動自在に支持させて可動プーリ半体62が軸支される。
可動プーリ半体62は、固定プーリ半体61に対して本体どうしが相対向し、相対的に軸方向の摺動とともに周方向の回動が可能に支持されている。
【0036】
減衰機入力軸45の左端および固定プーリ半体61のインナスリーブ部61aの左端取付部61bにクラッチ70が設けられている。
クラッチ70の偏平な有底円筒状をしたクラッチアウター71は、その底壁71aの中心孔が減速機入力軸45の左端ねじ部にカラー73を介して嵌合し、ナット74により螺合緊締され、その周側壁71bを右方に向け開口している。
【0037】
同クラッチアウター71の内部において固定プーリ半体61のインナスリーブ部61aの左端取付部61bにクラッチインナーであるドライブプレート72がセレーション嵌合して取り付けられている。
【0038】
図8ないし図10に図示するようにドライブプレート72は、内周縁に偏平円筒状のセレーション嵌合部72aが形成され、同セレーション嵌合部72aの外周面から放射方向に芯部72bが延出し、同芯部72bにより若干段差を有して外周プレート部72cが連結された形状をしている。
【0039】
外周プレート部72cの等間隔に3か所ピン73が植設され、同ピン73にクラッチシュー74が軸支される。
前記芯部72bには、自己潤滑性を有する樹脂製の固定側カム部75が一体にモールドされて等間隔に3か所設けられている。
【0040】
各固定側カム部75,75の互いの間は空隙72dが形成されており、この3つの空隙72dに前記可動プーリ半体62の3つの可動側カム部62cが臨んで、樹脂製の固定側カム部75と可動側カム部62cが噛み合うようにして係合する。
樹脂製の固定側カム部75は、図10に図示するように歪曲した芯部72bに固着され、断面が概ね台形をしていて、周方向の前後端面が傾斜した平面である内向きカム面75iと湾曲した曲面である外向きカム面75oを形成している。
【0041】
かかるドライブプレート72は、クラッチアウター71内に配設され、ピン73に軸支されたクラッチシュー74が遠心力によりクラッチスプリング76に抗して半径外方向に揺動し、クラッチシュー74の外周に設けられた摩擦部材74aがクラッチアウター71の周側壁71bの内周面に当接し、係合するようになっている。
【0042】
ドライブプレート72は、固定プーリ半体61のインナスリーブ61aの左端取付部61bにセレーション嵌合されて一体に取り付けられるので、ドライブプレート72は、固定プーリ半体61と一体に回転する。
【0043】
図3に示すようにこのドライブプレート72と固定プーリ半体61の本体との間に摺動自在に支持される可動プーリ半体62は、そのアウタスリーブ部62aの外周に近接してバネ鋼製のスプリング80が周設され、同スプリング80はドライブプレート72と可動プーリ半体62間に介装されて可動プーリ半体62を固定プーリ半体61に接近させる方向に付勢する。
【0044】
このスプリング80の内周とアウタスリーブ部62aの外周との間隙に、樹脂製のスプリングガイド81が介装される。
スプリングガイド81は、図7に図示するように円筒状をしており、一端にフランジ81aが形成されており、その内径はアウタスリーブ部62aの外径より僅かに大きく、フランジ81a側の内径は若干拡径している。
【0045】
同スプリングガイド81をアウタスリーブ部62aの外周に配設し、ドライブプレート72をインナスリーブ61aの左端取付部61bに取り付けると、樹脂製の固定側カム部75がスプリングガイド81の拡径した内径部に嵌入してスプリングガイド81を支持し、スプリングガイド81のフランジ81aは、ドライブプレート72の外周プレート部72cの内周の段差部に当接する。
【0046】
一方可動プーリ半体62のアウタスリーブ部62aの付け根の外周部に設けられた環状に溝条62dに、鉄製の環状鉄板であるスプリングシート82が嵌装され、このスプリングシート82と前記スプリングガイド81のフランジ81aとに両端を当接してスプリング80が介装される。
【0047】
こうしてスプリング80により付勢される可動プーリ半体62と固定プーリ半体61との間に、前部を駆動プーリ40に巻き掛けたVベルト55の後部が挟持され、スプリング80により可動プーリ半体62が固定プーリ半体61側に付勢され、巻き掛けられたVベルト55の有効半径を大きくするように作用し、そのためVベルト55を緊張させることができる。
【0048】
また可動プーリ半体62のアウタスリーブ62aの左端可動側カム部62cは、固定プーリ半体61と一体に回転するドライブプレート72の空隙72dに臨んで樹脂製の固定側カム部75と噛み合うように係合しており、この3つの可動側カム部62cと3つの固定側カム部75の係合状態を展開して示した図が図11である。
【0049】
固定側カム部75の内向きカム面75iと外向きカム面75oが、可動側カム部62cの内向きカム面62ciと外向きカム面62coにそれぞれ対向しており、回転方向のクリアランスCは小さく、それぞれの対向するカム面が容易に接触する。
したがって固定側カム部75に対する可動側カム部62cの相対的な回転角度は小さく規制されている。
【0050】
本Vベルト自動変速機23は、以上のような構造をしており、以下動作について説明する。
内燃機関21の回転速度が小さいときは、図2に実線で示すように駆動プーリ40側のランププレート43に沿って移動する遠心ウエイト44は中心側にあって可動プーリ半体42が固定プーリ半体41から離れVベルト55の巻き掛けの有効半径が小さく、よって従動プーリ60側ではスプリング80により可動プーリ半体62が付勢されて固定プーリ半体61に接近し、Vベルト55の巻き掛けの有効半径は大きく維持され、大きな減速比で動力が伝達される。
【0051】
機関回転速度が増加すると、図2に2点鎖線で示すように、遠心ウエイト44が遠心方向に移動して、駆動プーリ40側の可動プーリ半体42が固定プーリ半体41に近づきVベルト55の巻き掛けの有効半径が大きくなり、よって従動プーリ60側ではスプリング80に抗して可動プーリ半体62が固定プーリ半体61から離れ、Vベルト55の巻き掛けの有効半径は小さくなり、減速比が次第に減少し、このときはクラッチ70も係合状態にあって後輪9の回転速度が増加される。
【0052】
なお機関回転速度が増加すると、上記したように可動プーリ半体62が固定プーリ半体61から離れる方向に移動するので、可動プーリ半体62と一体の可動側カム部62cは、図11に2点鎖線で示すように固定側カム部75間の空隙72dに入り込むことになる。
図11の2点鎖線で示す可動側カム部62cが、かかる小さな減速比の TOPレシオ状態を示す。
なお図11の実線で示す可動側カム部62cが、前記大きな減速比の LOWレシオ状態を示す。
【0053】
そして発進時等の急加速によりVベルト55の張力が急増したような場合は、後輪9に接続されて大きな負荷を受ける固定プーリ半体61とVベルト55との間にスリップが生じ、一方固定プーリ半体61に対し相対的な回転が可能な可動プーリ半体62には後輪9の荷重が直接作用しないため、可動プーリ半体62はVベルト55と一体に回転しようとする。
【0054】
したがって固定プーリ半体61に対し可動プーリ半体62は、相対的な回転を生じ、そのため可動プーリ半体62と一体の可動側カム部62cは、固定プーリ半体61と一体のドライブプレート72に固着された固定側カム部75に対して先行して回転しようとし、図11に示すように可動側カム部62cは、固定側カム部75に対して矢印A方向に相対的に移動する。
【0055】
すると可動側カム部62cの外向きカム面62coが、固定側カム部75の外向きカム面75oに当接して、可動側カム部62cは反作用により矢印B方向の力を受け、よって可動プーリ半体62を固定プーリ半体61に近づけVベルト55の挟圧が増加してVベルト55のスリップが防止されることになる。
【0056】
固定側カム部75と可動側カム部62cが噛み合うように係合し、両者間のクリアランスCが小さいので、可動側カム部62cの外向きカム面62coが、固定側カム部75の外向きカム面75oから離れたとしても最大で僅かなクリアランスCであり、発進時等の急加速時に上記カム面62co,75oが接してトルクカム機構が働きスリップが防止されるまでのタイムラグが短く、加速遅れは略防止され、常にスムーズな加速感を得ることができる。
【0057】
図12は機関回転数Neと車速Vの関係を示した図であり、ある機関回転数n0 でクラッチ70が係合して後輪9に動力が伝達されると、上記したようにトルクカム機構が働いて実線で示す如くクラッチ係合後、遅れなく加速されていく。
図12において破線は従来のトルクカム機構の場合を示しており、クラッチ係合後、Vベルト55のスリップ時間が長く加速遅れがあり、加速感に欠ける発進状態となる。
【0058】
また固定側カム部75と可動側カム部62cとのクリアランスCが小さく、かつ樹脂製の固定側カム部75の内向きカム面75iと外向きカム面75oが、可動側カム部62cのカム面62ci,62coに接するので、磨耗および疲労等が少なく、耐久性に優れている。
さらに3つの可動側カム部62cは、そのアウタスリーブ部62aの軸端にまとまって形成されていて、整備性が良い。
【0059】
固定プーリ61とともに可動プーリ半体62も、アウタスリーブ部62aおよび可動側カム部62cまでアルミニウムにより一体に鋳造されていて、部品点数を少なくして構造を簡素化し生産性を上げることができるようにしている。
【0060】
そして樹脂製の固定側カム部75もドライブプレート72の芯部72bに一体にモールドされているので、別途カム部を製造して装着する作業が簡素化され一層生産性を向上させることができる。
【0061】
図10に示すようにドライブプレート72の芯部72bは、1つ固定側カム部75に対して2つに分岐し、それぞれ断面が屈曲した形状をしており、したがって一体にモールドされた樹脂製の固定側カム部75が確実に固着されガタが生じることはない。
【0062】
この固定側カム部の固着構造は種々考えられ、例えば図13に示すようにドライブプレートの芯部90が、複雑に歪曲した断面形状をしており、かかる歪曲した芯部90に樹脂製の固定側カム部91が一体にモールドされることで、ガタなく確固として固着される。
なお図13は、固定側カム部91と可動側カム部92との係合状態を示す展開図であり、カム部91,92の形状は前記実施の形態と略同じである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係るVベルト自動変速機を適用したスクータ型自動二輪車の全体側面図である。
【図2】図1におけるII−II線に沿って截断したパワーユニットの断面図である。
【図3】パワーユニット後部の要部断面図である。
【図4】可動プーリ半体の側面図である。
【図5】図4におけるV−V線に沿って截断した断面図である。
【図6】固定プーリ半体の断面図である。
【図7】スプリングガイドの断面図である。
【図8】ドライブプレートの側面図である。
【図9】図8におけるIX−IX線に沿って截断した断面図である。
【図10】図8におけるX−X線に沿って截断した断面図である。
【図11】固定側カム部と可動側カム部との係合状態を示した展開図である。
【図12】機関回転数と車速の関係を示す図である。
【図13】別の実施の形態における固定側カム部と可動側カム部との係合状態を示した展開図である。
【図14】従来のプーリ構造を示す断面図である。
【図15】別の従来のプーリ構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1…スクータ型自動二輪車、2…車体前部、3…車体後部、4…フロア、5…車体フレーム、6…操向ハンドル、7…前輪、8…フロントフォーク、9…後輪、10…リンク、11…リヤクッション、
15…レッグシールド、16…ステップフロア、17…ボデイカバー、18…シート、 20…パワーユニット、21…内燃機関、22…歯車減速機、23…Vベルト自動変速機、
25…ユニットケース、26…左側ケース、27…右側ケース、28…伝動ケースカバー、29…ギヤケース、30…主軸受、31…クランクシャフト、32…ピストン、33…コネクティングロッド、34…ACジェネレータ、35…冷却ファン、36…エンジンカバー、
40…駆動プーリ、41…固定プーリ半体、42…可動プーリ半体、43…ランププレート、44…遠心ウエイト、45…減速機入力軸、46…中間軸、47…後車軸、48…入力ギヤ、49…中間ギヤ、50…中間ギヤ、51…出力ギヤ、
55…Vベルト、
60…従動プーリ、61…固定プーリ半体、62…可動プーリ半体、63…ニードルベアリング、64…ボールベアリング、
70…クラッチ、71…クラッチアウター、72…ドライブプレート、73…カラー、74…ナット、75…固定側カム部、76…クラッチスプリング、
80…スプリング、81…スプリングガイド、82…スプリングシート、
90…芯部、91…固定側カム部、92…可動側カム部。

Claims (4)

  1. 回転軸に軸支された固定プーリ半体と、該固定プーリ半体と対向してVベルトを挟持すべく固定プーリ円筒軸に摺動自在に軸支された可動プーリ半体と、前記固定プーリ半体に対する前記可動プーリ半体の相対的な回動を前記可動プーリ半体の軸方向の推力に変えるトルクカム機構を備えたVベルト自動変速機において、
    前記トルクカム機構は、前記可動プーリ半体の可動プーリ円筒軸端縁に軸方向に延出した可動側カム部と、前記固定プーリ円筒軸端部に外周方向に延出して形成され前記可動側カム部と噛み合うように係合する固定側カム部とからなり、
    前記可動側カム部固定側カム部との回転方向のクリアランスを近接させて構成し、
    前記固定側カム部は、前記固定プーリ円筒軸端部に固着されたクラッチのドライブプレートに設けられたことを特徴とするVベルト自動変速機のトルクカム機構。
  2. 前記可動プーリ半体は可動プーリ円筒軸および可動側カム部までアルミニウムにより一体に鋳造等により成形し、
    前記固定側カム部は断面が歪曲した芯部に樹脂部材が一体にモールドされて構成されたことを特徴とする請求項1記載のVベルト自動変速機のトルクカム機構。
  3. 偏平な有底円筒状をしたクラッチアウターの内部において前記可動側カム部が前記可動プーリ円筒軸端縁にまとまって形成されたことを特徴とする請求項1記載のVベルト自動変速機のトルクカム機構。
  4. 前記固定側カム部の内向きカム面と外向きカム面が、前記可動側カム部の内向きカム面と外向きカム面にそれぞれ対向して、それぞれの対向するカム面が接触することを特徴とする請求項1記載のVベルト自動変速機のトルクカム機構。
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