JP3412741B2 - Vベルト自動変速機 - Google Patents

Vベルト自動変速機

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JP3412741B2 JP12541097A JP12541097A JP3412741B2 JP 3412741 B2 JP3412741 B2 JP 3412741B2 JP 12541097 A JP12541097 A JP 12541097A JP 12541097 A JP12541097 A JP 12541097A JP 3412741 B2 JP3412741 B2 JP 3412741B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本願の発明は、自動二輪車等
に採用されているVベルト自動変速機に関し、特にその
従動側の固定プーリ半体と可動プーリ半体の熱変形によ
るそれら各円筒軸間の軸受クリアランスの変化を解消し
て、軸受の耐久性の向上、両プーリ半体間の回転のガタ
つきの解消等を図ったVベルト自動変速機に関する。
【0002】
【従来の技術、発明が解決しようとする課題】Vベルト
自動変速機は、駆動プーリと従動プーリとの間に断面が
V字状をした無端状Vベルトが架渡され、両プーリの有
効半径を機関回転数に応じて自動的に加減して動力を伝
達するものであり、各プーリとも、固定プーリ半体と軸
方向に摺動可能な可動プーリ半体との間にVベルトを挟
持し、固定プーリ半体に対する可動プーリ半体の軸方向
の相対位置により有効半径を変えるようにしている。
【0003】通常、可動プーリ半体は、固定プーリ半体
側に接近するようにスプリングにより付勢され、挟持し
たVベルトの有効半径を大きくするように作用してVベ
ルトに緊張を与えているが、負荷変動が大きいときに
は、スプリングの付勢力では足りず、プーリとベルト間
でスリップを生じるので、固定プーリ半体と可動プーリ
半体との相対的な回転を利用して可動プーリの軸方向の
推力に変えるトルクカム機構を備えたVベルト自動変速
機の例が提案されている。
【0004】このような提案の例として、本出願人は、
先に特願平8−101187号の特許出願をした(図2
4参照)。この出願の発明において、前記トルクカム機
構は、可動プーリ半体062 の円筒軸062aの端部から軸方
向に延出して形成された可動側カム部062cと、固定プー
リ半体061 の円筒軸061aの端部外周に半径方向に延出し
て形成され前記可動側カム部062cと噛み合うように係合
する固定側カム部075とからなり、これら可動側カム部0
62cと固定側カム部075 との回転方向のクリアランスが
小さくなるようにして構成されており、これにより、ス
ムーズな加速感が得られ、トルクカム機構の整備性のよ
いVベルト自動変速機が得られている。なお、同図にお
いて、022 は歯車減速機、045 は減速機入力軸、047 は
後車軸である。
【0005】しかしながら、このものにおいては、両プ
ーリ半体061 、062 の各円筒軸061a、062a間の軸受027
の熱膨張による耐磨耗性の劣化や、その支持に対して十
分な考慮が払われていなかった。すなわち、各プーリ半
体061 、062 とも、アルミニウムにより一体的に鋳造成
形されたことに伴い、両プーリ半体061 、062 の各円筒
軸061a、062a間の軸受材料として、特開平4−2585
59号公報にも示されているような潤滑性合成樹脂の使
用が考えられたが、このような材料からなる軸受は、金
属軸受と比較して軟らかく、また、熱膨張も大きいの
で、使用条件によっては、摩耗し易く、その耐久性を向
上させることが望まれていた。
【0006】また、アルミ系素材からなる両プーリ半体
061 、062 の各円筒軸061a、062a間の軸受部摺動面に、
実開昭53−107780号公報にも示されているよう
な硬質アルマイト被覆を施すことも考えられたが、この
ものにあっては、各円筒軸061a、062aの熱膨張に対する
考慮が払われておらず、軸受クリアランスの変化による
両プーリ半体061 、062 間の回転のガタつきが生じてい
た。
【0007】また、両プーリ半体061 、062 の各円筒軸
061a、062a間の軸受027 の支持手段については、従来か
ら全く考慮が払われていなかったか、払われたとして
も、抜け止め用クリップが、可動プーリ半体062 の円筒
軸062aの端部側の内周面に設けられていた(特開平4−
224345号公報参照)。前者の場合には、軸受が抜
ける恐れがあり、また、後者の場合には、抜け止め用ク
リップが設けられる分、可動プーリ半体062 の円筒軸06
2a端部側が肉厚に形成されなければならなかった。
【0008】そして、可動プーリ半体062 の円筒軸062a
の端部側が肉厚に形成されると、先の本出願人による出
願発明のように、トルクカム機構が両プーリ半体061 、
062の各円筒軸061a、062aの端部側に形成される場合に
は、可動側カム部062cの半径が大きくなり、この結果、
トルクカム機構部に作用するトルクが一定の場合、該部
に生ずるカム力(可動側カム062cが固定側カム075 を回
転方向に押す力)が小さくなり、その軸方向成分も小さ
くなるので、可動プーリ半体062 を固定プーリ半体061
側に接近するように押す力が小さくなり、可動プーリ半
体062 を同方向に付勢するスプリング080 のスプリング
荷重を大きく設定する必要が生ずる。スプリング荷重が
大きく設定されると、該スプリング荷重により常時両プ
ーリ半体061 、062 間に挟持されているVベルト055 の
耐久性が低下することになる。
【0009】さらに、先の本出願人による出願発明にお
いては、固定プーリ半体061 の円筒軸061aの端部061bに
スプライン嵌合されているクラッチ070 のドライブプレ
ート072 の抜け止め用クリップ078 は、通常のカットリ
ング状のクリップが使用されており、このため、遠心力
がかかると拡径しようとするので、これに耐えるように
過大な締付力で締め付ける必要があり、このため、組付
性が悪くなり、また、応力に耐える材質を得るための材
料の選択や処理の実施など、その製作に手間を要してい
た。また、その抜け止めをナットを用いて行なおうとす
ると、その部分に特別のスペースを要していた。
【0010】さらにまた、先の本出願人による出願発明
においては、固定プーリ半体061 の円筒軸061aの付け根
部061dの形状が、該部に生ずる応力を効率よく拡散でき
るような形状にされておらず、このため、該部の形状
が、強度を確保する上から寸法的に大きくなっていた。
【0011】本願の発明は、前記のような問題点に鑑み
なされたものであって、その目的とするところは、固
定、可動両プーリ半体061 、062 の各円筒軸061a、062a
間の軸受027 の耐久性を向上させ、該軸受027 の抜け止
めを、両プーリ半体061 、062の円筒軸061a、062aの端
部側が肉厚に形成されなくて済むようにして行なえる手
段を提供するなどにより、Vベルト自動変速機の従動プ
ーリ側の構造の耐久性と機能の向上、小型化、軽量化等
を図ることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段および効果】前記目的を達
成するための本願の請求項1に記載された発明は、アル
ミ材により一体に成形され回転軸に軸支された固定プー
リ半体と、アルミ材により一体に成形され前記固定プー
リ半体に対向してVベルトを挟持すべく該固定プーリ半
体の円筒軸の外周面に円筒軸が摺動自在に嵌合される可
動プーリ半体とを備えたVベルト自動変速機において、
軸受用円筒状摺動部材は、鋼製のバックメタルと、該鋼
製バックメタルの内周面に一体に形成された自己潤滑性
を備えかつ前記アルミ材よりも熱膨張率の大きな合成樹
脂製摺動体部とよりなり、前記可動プーリ半体の円筒軸
の内周面に、前記軸受用円筒状摺動部材の鋼製バックメ
タルが圧入され、該軸受用筒状摺動部材は、前記可動プ
ーリ半体円筒軸の内周面軸端部に形成された段部と、該
可動プーリ半体円筒軸の内周面プーリ半体側端部の溝に
嵌入された抜け止めとにより抜け止めされたことを特徴
とするものである。
【0013】請求項1に記載された発明では、前記のよ
うに構成されているので、Vベルト自動変速機の稼動中
に固定プーリ半体および可動プーリ半体とVベルトとの
摩擦熱により、該両プーリ半体が加熱されて、前記アル
ミ材製可動プーリ半体の円筒軸が鋼製バックメタルより
も大きく膨張することがあっても、該アルミ材製可動プ
ーリ半体円筒軸の内周面に圧入された軸受用円筒状摺動
部材の鋼製バックメタルが前記可動プーリ半体円筒軸の
内周面に対し緩むことがない。また鋼製バックメタルが
穏やかな圧入状態となったとしても、前記軸受用円筒状
摺動部材は、前記可動プーリ半体円筒軸の内周面軸端部
に形成された段と、該可動プーリ半体円筒軸の内周面プ
ーリ半体側端部の溝に嵌入された抜け止めとにより抜け
止めされているため、前記軸受用円筒状摺動部材の鋼製
バックメタルが、該アルミ材製可動プーリ半体円筒軸に
対して軸方向にずれることもなければ、脱落することも
ない。しかも、前記抜け止めは、前記アルミ材製可動プ
ーリ半体円筒軸の半径方向厚さの厚いプーリ半体側端部
の溝に嵌入されているため、該溝付近の強度、剛性が高
く、該溝に前記抜け止めは強固に係合され、前記軸受用
円筒状摺動部材の鋼製バックメタルの軸方向力に耐え
て、前記溝から脱落する惧れもない。
【0014】また、請求項2記載のように請求項1記載
の発明を構成することにより、高度に耐熱性と耐蝕性に
優れた軸受が得られる。
【0015】さらに、請求項3記載のように請求項1ま
たは請求項2記載の発明を構成することにより、前記ト
ルクカム機構のカム部が、前記両プーリ半体の円筒軸の
中心線に近い個所に位置して、該カム部と円筒軸中心線
との距離が短かくなるため、該両プーリ半体を相対的に
回転させるトルクに対して大きなカム力が発生し、その
軸方向成分も大きくなる結果、前記可動プーリ半体を固
定プーリ半体側に接近するように付勢するスプリング荷
重が小さく設定され、これら両プーリ半体間に挟持され
るVベルトの耐久性を向上させることが可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、図1ないし図23に図示さ
れた本願の請求項1ないし請求項3に記載された発明の
一実施形態について説明する。図1は、本実施形態にお
けるVベルト自動変速機が適用されたスクータ型自動二
輪車1の全体側面図である。
【0017】該スクータ型自動二輪車1は、車体前部2
と車体後部3とが、低いフロア部4を介して連結されて
おり、車体前部2から下方に延出したのちフロア部4を
後方へ水平に延びた車体フレーム5は、フロア部後端か
ら立上がり、さらに後方へ斜め上向きに傾斜して後端ま
で延出している。
【0018】該車体フレーム5の前部には、上端に操向
ハンドル6を備え、下端に前輪7を軸支するフロントフ
ォーク8が枢支されている。車体フレーム5の後方立上
がり部には、後端に後輪9を軸支したスイング式のパワ
ーユニット20の前端下部がリンク10を介して上下に揺動
自在に枢支され、そのパワーユニット20の後部上面と、
その上方の車体フレーム5との間に、リヤクッション11
が介装されている。
【0019】車体前部2は、レッグシールド15で覆わ
れ、フロア部4には、ステップフロア16が張設され、車
体後部3は、ボデイカバー17で覆われており、該ボデイ
カバー17の上部にシート18が設けられている。
【0020】パワーユニット20は、前部に配置された単
気筒2サイクルの内燃機関21と、後部に備えられた歯車
減速機22と、内燃機関21と歯車減速機22との間に配設さ
れた本Vベルト自動変速機23とが、ユニット化されてユ
ニットケース25に収容されている。
【0021】パワーユニット20の構造が、図2に図示さ
れている。ユニットケース25は、Vベルト自動変速機23
と歯車減速機22とを収容するとともに、内燃機関21のク
ランクケースの左半部を兼ねる前後に長尺の左側ケース
26と、この左側ケース26の前部に接合されてクランクケ
ースの右半部を構成する右側ケース27と、前記左側ケー
ス26の左側方を覆う伝動ケースカバー28と、歯車減速機
22を左側から覆うギヤケース29とから構成されている。
【0022】左側ケース26と右側ケース27とにより形成
されるクランクケースには、左右一対の主軸受30,30に
よりクランクシャフト31が回転自在に枢支され、該クラ
ンクケースの上方には、シリンダブロック21a、シリン
ダヘッド21bが順次接合されて、これらによる組立体
が、上方に若干後傾して立設されている。シリンダブロ
ック21a内を摺動するピストン32は、コネクティングロ
ッド33を介してクランクシャフト31に連結されている。
【0023】クランクシャフト31の右端には、ACジェ
ネレータ34と冷却ファン35が設けられ、内燃機関21、A
Cジェネレータ34,冷却ファン35の外周をエンジンカバ
ー36が覆っている。
【0024】クランクシャフト31の左端には、Vベルト
自動変速機23の駆動プーリ40が設けられている。該駆動
プーリ40は、クランクシャフト31の左端に固着された固
定プーリ半体41と、クランクシャフト31に軸方向に摺動
自在に支持された可動プーリ半体42とが相対向してお
り、可動プーリ半体42と、クランクシャフト31に固着し
たランププレート43との間に、複数個の遠心ウエイト44
が半径方向に移動自在に収容されている。
【0025】遠心ウエイト44の遠心方向への移動によ
り、可動プーリ半体42は、固定プーリ半体41に接近する
ようになり、両プーリ半体41、42間に挟持されるVベル
ト55の有効半径を大きくすることができる。
【0026】一方、左側ケース26の後部とギヤケース29
内に配設される歯車減速機22は、図3に図示されるよう
に、減速機入力軸45と減速機出力軸である後車軸47との
間に中間軸46が設けられ、減速機入力軸45に嵌着された
入力ギヤ48に中間軸46に嵌着された大径の中間ギヤ49が
噛合し、同じ中間軸46に嵌着された小径の中間ギヤ50に
後車軸47に嵌着された出力ギヤ51が噛合して、減速機構
が構成されている。
【0027】図3に図示されるように、この歯車減速機
22の減速機入力軸45のギヤケース29を貫通した左半部
に、従動プーリ60とクラッチ70とが設けられている。従
動プーリ60は、共にアルミニウム製である相対向する一
対の固定プーリ半体61と可動プーリ半体62とからなる。
【0028】図7に図示されるように、固定プーリ半体
61は、本体の内周部が軸方向に延出して、円筒状のイン
ナスリーブ部(円筒軸)61aが形成され、該インナスリ
ーブ部61aの端部は、若干縮径して外周にセレーション
が刻設された取付部61bが形成されており、また、該取
付部61bの端部には、後述するクラッチ70のドライブプ
レート72の抜け止め用ワイヤタイプクリップ78が嵌合さ
れる断面略半円弧状のクリップ溝61c が周設されてい
る。該固定プーリ半体61は、本体から取付部61bまで、
アルミダイキャストにより一体に鋳造成形されている。
【0029】さらに、該固定プーリ半体61のインナスリ
ーブ部61aの付け根部61d には、Vベルト55の張力によ
り大きな応力が生ずるので、従来、この部分は、強度を
確保するため、大きな寸法に形成され、重量が重くなっ
ていたが、本実施形態においては、該部分の断面輪郭線
を構成する複数の曲率の曲線のうち、最大の曲率の曲線
に接する接線の頂角α(α1 、α2 等)が所定角度以上
になるような形状に形成されている(図7、図8参
照)。
【0030】このようにすると、従来の固定プーリ半体
61の基本形状を変えないで、付け根部61d に生ずる応力
を効率よく拡散させることができ、該部の強度が維持さ
れるので、該部の強度をより小さい寸法形状により得る
ことができることとなり、固定プーリ半体61の小型化、
軽量化を図ることができる。
【0031】本実施形態において、固定プーリ半体61の
インナスリーブ部61aの外径D1 =34mm、固定プーリ
半体61の本体部の外径D2 =118mm、付け根部61d の
最大径D3 =45mm、固定プーリ半体61の本体部の最大
肉厚t=5mm、同傾斜角β=15°、付け根部61d の輪
郭線の最大曲率R3 =5.5mmのとき、α≧90°とす
ると、付け根部61d に生ずる応力を最も効率よく拡散さ
せることができた。このとき、付け根部61d の最大曲率
3 =5.5mmの輪郭線に隣接する輪郭線の曲率R1
2 は、R1 =2.2mm、R2 =2.0mmであった。
【0032】一方、可動プーリ半体62は、図4および図
5に図示されるように、本体の内周部が軸方向に延出し
て、前記固定プーリ半体61のインナスリーブ部61aより
内径が若干大きい円筒状のアウタスリーブ部(円筒軸)
62aが形成され、該アウタスリーブ部62aの端部に、周
方向等間隔に3個所断面が円弧状の突起62bが軸方向に
突出して形成され、該突起62bの先端部が図4において
時計回り方向に屈曲して、可動側カム部62cが形成され
ている。該可動側カム部62cには、周方向の前後端面が
傾斜した外向きカム面62coと内向きカム面62ciとが形成
されている。
【0033】本実施形態においては、3つの可動側カム
部62cにそれぞれ回転反対方向(図4において時計回り
方向)に三角形状の膨出部を設け、内向きカム面62ciを
形成しているが、該内向きカム面62ciは、後述する固定
側カム部75との相対的な回転を規制するものであり、大
きな負荷が加わらないので、3つのうち1つの可動側カ
ム部62cにのみ膨出部を設けて、内向きカム面62ciを形
成するようにしても足りる(図6参照)。前記可動プー
リ半体62は、本体から可動側カム部62cに至るまで、ア
ルミダイキャストにより一体に鋳造成形されている。
【0034】なお、可動プーリ半体62の本体におけるア
ウタスリーブ部62aの付け根の外周部に、環状に溝条62
dが形成されている。また、可動プーリ半体62の本体の
内周部のアウタスリーブ部62aと反対側の端部には、該
可動プーリ半体62のアウタスリーブ部62aと固定プーリ
半体61のインナスリーブ部61aとの間に介装される後述
する軸受用ブッシュ65の抜け出しを防止するための抜け
止めクリップ66(図13、図14参照)が嵌入されるク
リップ溝62e が周設されている。
【0035】該抜け止めクリップ66は、図13および図
14に図示されるように、ワイヤタイプクリップが使用
されているので、後述するクラッチ70のドライブプレー
ト72の抜け止め用ワイヤタイプクリップ78と同様に、こ
れがクリップ溝62e に嵌合されたとき、その弾性復元力
により、軸受用ブッシュ65の右方端の肩部を弾発して、
これをアウタスリーブ部62aの端部方向に付勢するの
で、その抜け出しが確実に防止される。
【0036】以上のようにして構成される従動プーリ60
のうち、固定プーリ半体61は、図3に図示されるよう
に、そのインナスリーブ部61aが減速機入力軸45により
貫通されて、ニードルベアリング63とボールベアリング
64とを介してこれに回転自在に軸支され、また、可動プ
ーリ半体62は、そのアウタスリーブ部62aが前記固定プ
ーリ半体61のインナスリーブ部61aの外周に軸受用ブッ
シュ65を介して摺動自在に支持されて、これに軸支され
ている。可動プーリ半体62は、固定プーリ半体61に対し
て本体同志が相対向し、相対的に軸方向の摺動ととも
に、周方向の回動が可能に支持されている。
【0037】前記軸受用ブッシュ(摺動部材)65は、本
実施形態においては、図10および図11にその詳細構
造が図示されるように、鋼材表面に銅メッキが施されて
なるバックメタル部65a の層の内周面に、合成樹脂(ポ
リテトラフルオロエチレン)からなる自己潤滑性を備え
た摺動体部65b の層が固着されて形成された薄肉のもの
であり、このような2層からなる軸受用ブッシュ65が、
前記可動プーリ半体62のアウタスリーブ部62aの内周面
に圧入されてこれに保持されており、その摺動体部65b
の表面層が、前記固定プーリ半体61のインナスリーブ部
61aの外周面と、その自己潤滑性により滑らかに摺動接
触して、可動プーリ半体62が固定プーリ半体61に滑らか
に軸受けされる。なお、図11において、65c は、摺動
体部65bのバックメタル部65a への固着を容易にするた
めの焼結層である。
【0038】しかも、前記軸受用ブッシュ65の摺動体部
65b の層は、両プーリ半体61、62の構成素材であるアル
ミニウムよりも熱膨張率が大きく、かつ所定の厚さの薄
肉に形成されているので、固定プーリ半体61のインナス
リーブ部61aの外径の熱による寸法変化aと、可動プー
リ半体62のアウタスリーブ部62aの内径の熱による寸法
変化b(a<b)とにより、これら内外径間の軸受クリ
アランスcが拡大したとしても、その拡大量dを丁度埋
めて膨張し、該軸受クリアランスcを当初の略一定の大
きさに保つ(図12参照)。
【0039】したがって、軸受用ブッシュ65は、両プー
リ半体61、62の各スリーブ部61a、62aの拡径による軸
受クリアランスcの拡大量以上に拡径して、それらの摺
動面により激しい摺動摩耗を受けたり、また、該軸受ク
リアランスcの拡大により、従動プーリ60の両プーリ半
体61、62間に回転のガタが生ずるというようなことが防
止される。
【0040】本実施形態において、固定プーリ半体61の
インナスリーブ部61aの外径D1 =34mm、可動プーリ
半体62のアウタスリーブ部62aの内径D4 =37mm、軸
受用ブッシュ65の肉厚h=2mmのとき、摺動体部65b の
厚さh1 が0.75mmの薄肉に設定することにより、前
記軸受クリアランスcを当初の略一定の大きさに保つこ
とができた。摺動体部65b の厚さh1 のこのような寸法
設定は、例えば、摺動体部65b の表面層に機械加工を施
すことにより、容易に実施することができる。
【0041】前記軸受用ブッシュ65は、両プーリ半体6
1、62の各スリーブ部61a、62a間に介装されたとき、
その一方端が、可動プーリ半体62のアウタスリーブ部62
aの内周面の突起62b付根部に形成された段部62f に当
接され、その他方端が、前記のとおり、該可動プーリ半
体62の本体の内周部のアウタスリーブ部62aと反対側の
端部に形成されたクリップ溝62e に嵌入された抜け止め
クリップ66により支持されて、軸方向の動きが規制され
ている。
【0042】したがって、軸受用ブッシュ65の抜け防止
用のクリップ66は、可動プーリ半体62のアウタスリーブ
部62aの突起62b側内周面に配置されないので、この部
分のアウタスリーブ部62aの肉厚を大きくする必要がな
くなり、その外径を小さく形成できるので、トルクカム
機構部に作用するトルクが一定の場合、該トルクカム機
構部に生ずるカム力を大きくすることができ、その軸方
向の、可動プーリ半体62を固定プーリ半体61側に押す分
力も大きくすることができるので、可動プーリ半体62を
同方向に付勢するスプリング80のスプリング荷重を小さ
く設定することができ、両プーリ半体61、62間に挟持さ
れるVベルト55の耐久性を向上させることができる。
【0043】次に、クラッチ70とトルクカム機構につい
て説明する。減速機入力軸45の左端および固定プーリ半
体61のインナスリーブ部61aの左端取付部61bには、ク
ラッチ70が設けられている。クラッチ70の偏平な有底円
筒状をしたクラッチアウター71は、その底壁71aの中心
孔が、減速機入力軸45の左端ねじ部にカラー79を介して
嵌合され、ナット74により螺合緊締され、さらに、その
周側壁71bが右方に向け開口するようにして形成されて
いる。
【0044】前記クラッチアウター71の内部において、
固定プーリ半体61のインナスリーブ部61aの左端取付部
61bには、図3に図示されるように、クラッチインナー
であるドライブプレート72がセレーション嵌合により取
り付けられている。
【0045】そして、さらに、このセレーション嵌合が
緩まないように、ワイヤタイプクリップ78が、取付部61
bの端部に周設された断面略半円弧状のクリップ溝61c
に嵌合されて、後述するドライブプレート72のセレーシ
ョン嵌合部72aの面取り部72e に弾接しており、これに
より、ドライブプレート72を常時固定プーリ半体61の本
体側方向に付勢している(図21ないし図23参照)。
【0046】このワイヤタイプクリップ78は、図示され
るように、僅かに円弧部が切り取られて切断されたリン
グ状のものが、自然状態においてその両端部を所定の僅
かの量食い違い状にされた形状をしているので、これが
クリップ溝61c に嵌合されると、弾性復元力F1 によ
り、ドライブプレート72の面取り部72e を強く軸方向
(固定プーリ半体61の本体側方向)に押すので、従動プ
ーリ60が高速で回転して、ワイヤタイプクリップ78に遠
心力F2 が作用したとしても、これらの力の合力Fに対
し、面取り部72e のワイヤタイプクリップ78との接点か
ら反力が有効に作用して、該クリップ78の拡径が防止さ
れ、外れることがない。しかも、このようなワイヤタイ
プクリップ78は、構造が簡単で、安価であり、狭いスペ
ースでも容易にレイアウトすることができる。
【0047】図15および図16に図示されるように、
ドライブプレート72は、内周縁に偏平円筒状のセレーシ
ョン嵌合部72aが形成され、該セレーション嵌合部72a
の外周面から放射方向に芯部72bが延出され、該芯部72
bにより若干段差を有して、外周プレート部72cが連結
されている。
【0048】外周プレート部72cには、周方向に等間隔
に3個所ピン73が植設され、該ピン73にクラッチシュー
74が軸支される(図3参照)。前記芯部72bには、自己
潤滑性を有する樹脂製の固定側カム部75が一体にモール
ドされて、周方向に等間隔に3個所設けられている。
【0049】各固定側カム部75の相互間には、空隙72d
が形成されており、この3つの空隙72dに前記可動プー
リ半体62の3つの可動側カム部62cが臨んで、樹脂製の
固定側カム部75と可動側カム部62cとが噛み合うように
して係合する。樹脂製の固定側カム部75は、図17に図
示されるように、歪曲した芯部72bに固着され、断面が
概ね台形をしていて、周方向の前後端面が傾斜した平面
である内向きカム面75iと、湾曲した曲面である外向き
カム面75oとを有している。
【0050】このようなドライブプレート72は、クラッ
チアウター71内に配設され、ピン73に軸支されたクラッ
チシュー74が、遠心力によりクラッチスプリング76に抗
して半径方向外方に揺動し、クラッチシュー74の外周に
設けられた摩擦部材74aが、クラッチアウター71の周側
壁71bの内周面に当接して、係合するようになってい
る。
【0051】ドライブプレート72は、固定プーリ半体61
のインナスリーブ61aの左端取付部61bにセレーション
嵌合されて一体に取り付けられているので、該ドライブ
プレート72は、固定プーリ半体61と一体に回転する。
【0052】図3に図示されるように、このドライブプ
レート72と固定プーリ半体61の本体との間に摺動自在に
支持される可動プーリ半体62は、そのアウタスリーブ部
62aの外周に近接して、バネ鋼製のスプリング80が周設
され、該スプリング80は、ドライブプレート72と可動プ
ーリ半体62との間に介装されて、可動プーリ半体62を固
定プーリ半体61に接近させる方向に付勢している。
【0053】このスプリング80の内周とアウタスリーブ
部62aの外周との間隙に、樹脂製のスプリングガイド81
が介装されている。該スプリングガイド81は、図9に図
示されるような円筒状をしており、一端にフランジ81a
が形成され、その内径は、アウタスリーブ部62aの外径
より僅かに大きく、フランジ81a側の内径は、若干拡径
している。
【0054】該スプリングガイド81をアウタスリーブ部
62aの外周に配設し、ドライブプレート72をインナスリ
ーブ61aの左端取付部61bに取り付けると、樹脂製の固
定側カム部75がスプリングガイド81の拡径した内径部に
嵌入して、スプリングガイド81を支持し、スプリングガ
イド81のフランジ81aは、ドライブプレート72の外周プ
レート部72cの内周の段差部72f に当接する。
【0055】一方、可動プーリ半体62のアウタスリーブ
部62aの付け根の外周部に設けられた環状の溝条62d
に、鉄製の環状鉄板であるスプリングシート82が嵌装さ
れ、このスプリングシート82と前記スプリングガイド81
のフランジ81aとに両端を当接させ、スプリング80が介
装されている(図、図4、図5参照)。
【0056】このようにして、スプリング80により固定
プーリ半体61側に付勢される可動プーリ半体62と該固定
プーリ半体61との間に、前部を駆動プーリ40に巻き掛け
られたVベルト55の後部が挟持され、巻き掛けられて、
該巻き掛けられたVベルト55の有効半径を大きくするよ
うに作用し、これにより、Vベルト55を緊張させること
ができる。
【0057】また、可動プーリ半体62のアウタスリーブ
62aの左端の3つの可動側カム部62cは、固定プーリ半
体61と一体に回転するドライブプレート72の3つの空隙
72dにそれぞれ臨んで、樹脂製の3つの固定側カム部75
と噛み合うようにして係合している。これら3つの可動
側カム部62cと3つの固定側カム部75との係合状態が、
図18に図示されている。
【0058】図18において、固定側カム部75の内向き
カム面75iと外向きカム面75oが、可動側カム部62cの
内向きカム面62ciと外向きカム面62coとにそれぞれ対向
しており、回転方向のクリアランスCは小さく、それぞ
れの対向するカム面が容易に接触する。したがって、固
定側カム部75に対する可動側カム部62cの相対的な回転
角度は小さく規制されている。
【0059】本実施形態におけるVベルト自動変速機23
は、前記のように構成されているので、次のように作動
する。内燃機関21の回転速度が小さいときは、図2に実
線で示されるように、駆動プーリ40側のランププレート
43に沿って移動する遠心ウエイト44は中心側にあって、
可動プーリ半体42が固定プーリ半体41から離れ、Vベル
ト55の巻き掛けの有効半径が小さく、よって、従動プー
リ60側では、スプリング80により可動プーリ半体62が付
勢されて固定プーリ半体61に接近し、Vベルト55の巻き
掛けの有効半径を大きくするように作用し、大きな減速
比で動力が伝達される。
【0060】機関回転速度が増加すると、図2に2点鎖
線で示されるように、遠心ウエイト44が遠心方向に移動
して、駆動プーリ40側の可動プーリ半体42が固定プーリ
半体41に近づき、Vベルト55の巻き掛けの有効半径が大
きくなり、よって、従動プーリ60側では、スプリング80
に抗して可動プーリ半体62が固定プーリ半体61から離
れ、Vベルト55の巻き掛けの有効半径が小さくなり、減
速比が次第に減少し、このときは、クラッチ70も係合状
態にあって、後輪9の回転速度が増加される。
【0061】なお、機関回転速度が増加すると、前記し
たように可動プーリ半体62が固定プーリ半体61から離れ
る方向に移動するので、可動プーリ半体62と一体の可動
側カム部62cは、図18に2点鎖線で示されるように、
固定側カム部75間の空隙72dに深く入り込むことにな
る。図18の2点鎖線で示される可動側カム部62cが、
このような小さな減速比のTOPレシオ状態を示す。ま
た、同図の実線で示される可動側カム部62cが、前記大
きな減速比のLOWレシオ状態を示している。
【0062】そして、発進時等の急加速により、Vベル
ト55の張力が急増したような場合には、後輪9に接続さ
れて大きな負荷を受ける固定プーリ半体61とVベルト55
との間にスリップが生じ、一方、固定プーリ半体61に対
し相対的な回転が可能な可動プーリ半体62には、後輪9
の荷重が直接作用しないため、可動プーリ半体62は、V
ベルト55と一体に回転しようとする。
【0063】したがって、固定プーリ半体61に対し、可
動プーリ半体62は相対的な回転を生じ、そのため、可動
プーリ半体62と一体の可動側カム部62cは、固定プーリ
半体61と一体のドライブプレート72に固着された固定側
カム部75に対して先行して回転しようとし、この結果、
可動側カム部62cは、図18に示されるように、固定側
カム部75に対して矢印A方向に相対的に移動する。
【0064】そうすると、可動側カム部62cの外向きカ
ム面62coが、固定側カム部75の外向きカム面75oに当接
して、可動側カム部62cは、反作用により、矢印B方向
の力を受け、よって、可動プーリ半体62を固定プーリ半
体61に近づけ、Vベルト55の挟圧が増加して、Vベルト
55のスリップが防止されることになる。
【0065】固定側カム部75と可動側カム部62cが噛み
合うように係合し、両者間のクリアランスCが小さいの
で、可動側カム部62cの外向きカム面62coが、固定側カ
ム部75の外向きカム面75oから離れたとしても、最大で
僅かなクリアランスCであり、発進時等の急加速時に、
前記カム面62co、75oが接してトルクカム機構が働き、
スリップが防止されるまでのタイムラグが短く、加速遅
れは略防止され、常にスムーズな加速感を得ることがで
きる。
【0066】図19は、機関回転数Neと車速Vとの関
係を示した図であり、ある機関回転数n0 で、クラッチ
70が係合して、後輪9に動力が伝達されると、前記した
ようにトルクカム機構が働いて、実線で示されるように
クラッチ係合後、遅れなく加速されていく。同図におい
て、破線は従来のトルクカム機構の場合を示しており、
クラッチ係合後、Vベルト55のスリップ時間が長く、加
速遅れがあり、加速感に欠ける発進状態となる。
【0067】また、固定側カム部75と可動側カム部62c
とのクリアランスCが小さく、かつ樹脂製の固定側カム
部75の内向きカム面75iと外向きカム面75oが、それぞ
れ可動側カム部62cの内向きカム面62ciと外向きカム面
62coに接するので、磨耗および疲労等が少なく、耐久性
に優れている。さらに、3つの可動側カム部62cは、そ
のアウタスリーブ部62aの軸端にまとまって形成されて
いるので、整備性がよい。
【0068】固定プーリ半体61とともに、可動プーリ半
体62も、アウタスリーブ部62aおよび可動側カム部62c
までアルミニウムにより一体に鋳造成形されているの
で、部品点数が削減されて、構造が簡素化され、生産性
を向上させることができる。
【0069】そして、樹脂製の固定側カム部75も、ドラ
イブプレート72の芯部72bに一体にモールドされている
ので、別途カム部を製造して装着する作業が省略され、
一層生産性を向上させることができる。
【0070】図17に図示されるように、ドライブプレ
ート72の芯部72bは、1つ固定側カム部75に対して2つ
に分岐し、それぞれ断面が屈曲した形状をしており、し
たがって、一体にモールドされた樹脂製の固定側カム部
75が確実に固着され、ガタが生じることがない。
【0071】この固定側カム部75の固着構造は種々考え
られ、例えば、図20に図示されるように、ドライブプ
レート72の芯部90が複雑に歪曲した断面形状にされても
よく、このような歪曲した芯部90に一体にモールドされ
ることにより、樹脂製の固定側カム部91は、ガタがな
く、確固として固着される。なお、図20は、固定側カ
ム部91と可動側カム部92との係合状態を示す展開図であ
り、カム部91、92の形状は、前記実施形態におけると略
同じである。
【0072】本実施形態において、固定プーリ半体61の
インナスリーブ部61aと可動プーリ半体62のアウタスリ
ーブ部62aとの間の軸受として、軸受用ブッシュ65が採
用されたが、このようにすると、別部品としてのブッシ
ュが必要になるので、部品点数が増加し、組立工程が煩
雑となる。そこで、これに代えて、次のような手段が採
用されてもよい。
【0073】すなわち、固定プーリ半体61のインナスリ
ーブ部61aの外周面および可動プーリ半体62のアウタス
リーブ部62aの内周面の各々に陽極酸化皮膜処理を施
し、その多孔質皮膜中に二硫化モリブデン等の潤滑剤を
含浸させる。このようにして、固定プーリ半体61のイン
ナスリーブ部61aと可動プーリ半体62のアウタスリーブ
部62aとの間の軸受を、これらスリーブ(円筒軸)に一
体的に形成された同軸構造軸受として構成する。そし
て、これら両同軸構造軸受間にグリースを塗り込んで、
オイルシールにより密閉する。
【0074】このようにすると、Vベルト55の巻き掛け
により従動プーリ60が回転して、固定プーリ半体61のイ
ンナスリーブ部61aと可動プーリ半体62のアウタスリー
ブ部62aとが熱膨張したとしても、軸受部の熱引きがよ
いので、それらの間の軸受クリアランスの変化を少なく
することができる。
【0075】また、軸受部摺動面の表面処理とグリース
とにより軸受が構成されているので、特に軸受用ブッシ
ュ等の別部品を必要とせず、部品点数が削減されて、組
立工程が簡素化される。また、その分、軽量化が可能と
なる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願の請求項1ないし請求項3に記載された発
明の一実施形態のVベルト自動変速機が適用されたスク
ータ型自動二輪車の全体側面図である。
【図2】図1におけるII−II線に沿って截断したパワー
ユニットの断面図である。
【図3】図2におけるパワーユニット後部の要部断面図
である。
【図4】図1の実施形態において、可動プーリ半体の側
面図である。
【図5】図4におけるV−V線に沿って截断した断面図
である。
【図6】可動プーリ半体の変形例の、図4におけると同
様の図である。
【図7】図1の実施形態において、固定プーリ半体の断
面図である。
【図8】図7におけるVIII部の輪郭形状の拡大図であ
る。
【図9】図1の実施形態において、スプリングガイドの
断面図である。
【図10】図1の実施形態において、軸受用ブッシュの
断面図である。
【図11】図10におけるXI部の拡大図である
【図12】図1の実施形態において、軸受用ブッシュの
作用を説明するための図である。
【図13】図1の実施形態において、抜け止めクリップ
の正面図である。
【図14】同側面図である。
【図15】図1の実施形態において、ドライブプレート
の側面図である。
【図16】図15におけるXVI−XVI線に沿って截断し
た断面図である。
【図17】図15におけるXVII −XVII 線に沿って截
断した断面図である。
【図18】図1の実施形態において、固定側カム部と可
動側カム部との係合状態を示した展開図である。
【図19】図1の実施形態において、機関回転数と車速
との関係を示す図である。
【図20】固定側カム部の変形例と可動側カム部との係
合状態を示した展開図であって、図18におけると同様
の図である。
【図21】図1の実施形態において、抜け止め用ワイヤ
タイプクリップの正面図である。
【図22】同側面図である。
【図23】図3におけるXXIII 部の拡大図である。
【図24】従来のプーリ構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1…スクータ型自動二輪車、2…車体前部、3…車体後
部、4…フロア部、5…車体フレーム、6…操向ハンド
ル、7…前輪、8…フロントフォーク、9…後輪、10…
リンク、11…リヤクッション、15…レッグシールド、16
…ステップフロア、17…ボデイカバー、18…シート、20
…パワーユニット、21…内燃機関、22…歯車減速機、23
…Vベルト自動変速機、25…ユニットケース、26…左側
ケース、27…右側ケース、28…伝動ケースカバー、29…
ギヤケース、30…主軸受、31…クランクシャフト、32…
ピストン、33…コネクティングロッド、34…ACジェネ
レータ、35…冷却ファン、36…エンジンカバー、40…駆
動プーリ、41…固定プーリ半体、42…可動プーリ半体、
43…ランププレート、44…遠心ウエイト、45…減速機入
力軸、46…中間軸、47…後車軸、48…入力ギヤ、49…中
間ギヤ、50…中間ギヤ、51…出力ギヤ、55…Vベルト、
60…従動プーリ、61…固定プーリ半体、61a…インナス
リーブ部(円筒軸)、62…可動プーリ半体、62a…アウ
タスリーブ部(円筒軸)、62c…可動側カム部、63…ニ
ードルベアリング、64…ボールベアリング、65…軸受用
ブッシュ(摺動部材)、65b …摺動体部、66…抜け止め
クリップ、70…クラッチ、71…クラッチアウター、72…
ドライブプレート、73…ピン、74…ナット、74…クラッ
チシュー、75…固定側カム部、76…クラッチスプリン
グ、78…抜け止め用ワイヤタイプクリップ、79…カラ
ー、80…スプリング、81…スプリングガイド、82…スプ
リングシート、90…芯部、91…固定側カム部、92…可動
側カム部。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−258559(JP,A) 特開 平4−224345(JP,A) 実開 昭58−122059(JP,U) 実開 昭63−164648(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) F16H 9/00 - 9/26 F16H 55/32 - 55/56 F16C 17/00 - 17/26 F16C 33/00 - 33/28

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アルミ材により一体に成形され回転軸に
    軸支された固定プーリ半体と、アルミ材により一体に成
    形され前記固定プーリ半体に対向してVベルトを挟持す
    べく該固定プーリ半体の円筒軸の外周面円筒軸が摺動
    自在に嵌合される可動プーリ半体と備えたVベルト自
    動変速機において、軸受用円筒状摺動部材は、鋼製のバックメタルと、該鋼
    製バックメタルの内周面に一体に形成された自己潤滑性
    を備えかつ前記アルミ材よりも熱膨張率の大きな合成樹
    脂製摺動体部とよりなり、 前記可動プーリ半体の円筒軸の内周面に、前記軸受用円
    筒状摺動部材の鋼製バックメタルが圧入され、 該軸受用筒状摺動部材は、前記可動プーリ半体円筒軸の
    内周面軸端部に形成された段部と、該可動プーリ半体円
    筒軸の内周面プーリ半体側端部の溝に嵌入された抜け止
    とにより抜け止めされたことを特徴とするVベルト自
    動変速機。
  2. 【請求項2】 前記摺動体部は、ポリテトラフルオロエ
    チレン層を機械加工により薄肉に成形して形成されたこ
    とを特徴とする請求項1記載のVベルト自動変速機。
  3. 【請求項3】 前記固定プーリ半体に対する前記可動プ
    ーリ半体の相対的な回動を該可動プーリ半体の軸方向の
    推力に変えるトルクカム機構のカム部が前記可動プーリ
    半体の円筒軸の軸端に設けられたことを特徴とする請求
    項1または請求項2記載のVベルト自動変速機。
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