JP2979014B2 - 自動二輪車のvベルト自動変速機 - Google Patents

自動二輪車のvベルト自動変速機

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JP2979014B2 JP2339596A JP33959690A JP2979014B2 JP 2979014 B2 JP2979014 B2 JP 2979014B2 JP 2339596 A JP2339596 A JP 2339596A JP 33959690 A JP33959690 A JP 33959690A JP 2979014 B2 JP2979014 B2 JP 2979014B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は、自動二輪車のVベルト自動変速機に係
り、詳しくは、簡単な構造で、無段階でスムーズな変速
比が得られる自動二輪車のVベルト自動変速機に関す
る。
[従来の技術] 自動二輪車では動力伝達装置として、例えばVベルト
自動変速機を用いることがある。このVベルト自動変速
機は、例えば特開昭57-127152号公報に開示されるよう
に、エンジンのクランク軸側に駆動プーリを配置し、車
輪側に従動プーリを配置し、この駆動プーリと従動プー
リにVベルトを巻掛けたものがある。このVベルト自動
変速機は、駆動プーリのベルト巻掛径と、従動プーリの
ベルト巻掛径と自動的に変化して、無段階でスムーズな
変速比を得ている。
[発明が解決しようとする課題] ところで、このようなVベルト自動変速機の駆動プー
リと従動プーリに巻掛られたVベルトにテンションプー
リ等で所定の張力を与えることが行なわれるが、この場
合にVベルトに適切な張力が与えられていないと、低速
側と高速側との変速でVベルトに無理な力が作用して摩
耗し、Vベルトの耐久性が低下することがある。
この発明は、このような実状に鑑みてなされたもの
で、Vベルトに適切な張力を与え、Vベルトの摩耗によ
る耐久性の低下を防止する自動二輪車のVベルト自動変
速機を提供することを目的としている。
[課題を解決するための手段] 前記課題を解決するために、この発明の自動二輪車の
Vベルト自動変速機は、エンジンのクランク軸側に駆動
プーリを配置し、車輪側に従動プーリを配置し、この駆
動プーリと従動プーリにVベルトを巻掛けた自動二輪車
のVベルト自動変速機において、前記Vベルトに張力を
与えるテンション機構を備え、このテンション機構に低
速側から高速側へ変速するに従って付勢力が増大する第
1スプリングと、低速側から高速側へ変速するに従って
付勢力が減少する第2スプリングとを有することを特徴
としている。
[作用] この発明では、駆動プーリと従動プーリに巻掛けられ
たVベルトにテンション機構で張力を与えている。この
テンション機構は低速側から高速側へ変速するに従って
付勢力が増大する第1スプリングと、低速側から高速側
へ変速するに従って付勢力が減少する第2スプリングと
を有しており、使用頻度の高い高速側へ変速するに従っ
て、テンション機構による張力が増大することを軽減
し、Vベルトに低速側から高速側まで適切な張力を与え
る。
[実施例] 次に、添付図面と共に、この発明の実施例を詳細に説
明する。
第1図はこの発明のVベルト自動変速機を備えた自動
二輪車の側面図、第2図は自動二輪車のユニットスイン
グエンジンの断面図、第3図は自動二輪車のユニットス
イングエンジンの側面図、第4図は自動二輪車のVベル
ト自動変速機の側面図、第5図は自動二輪車のVベルト
自動変速機の断面図、第6図(a),(b)はVベルト
に与えられる張力を説明する図である。
図中符号1は自動二輪車で、ハンドルバー2の下方に
はフロントカバー3が、さらにその下方にはフロントフ
ォーク4を介して前輪5が設けられている。フロントカ
バー3の後方には足載台6が形成され、そのさらに後方
にはリヤカバー7が設けられている。このリヤカバー7
の下方にユニットスイングエンジン8が配置され、この
後側には後輪9が取付けられている。ユニットスイング
エンジン8の前端はブラケット10を介して上下揺動自在
に連結され、後端はクッションユニット11によって弾性
的に支持されている。
ユニットスイングエンジン8には、強制空冷式2サイ
クル単気筒のエンジン12と、このエンジン12の左側面か
ら後方に延びエンジン12と一体化された右側の伝動ケー
ス13と、この伝動ケース13にボルト14で取付けられた左
側の伝動ケース15とを備えている。この両伝動ケース1
3,15の後部の一側、すなわち右側には後輪9が保持さ
れ、さらに伝動ケース13,15はエンジン12の回転を後輪
9に伝える動力伝達装置16を覆っている。
エンジン12のピストン17はコンロッド18を介してクラ
ンク軸19に連結され、この横置きのクランク軸19の右端
には発電機20が取り付けられ、この発電機20のフライホ
イール21にはファン22が固定されている。このファン22
はエンジンカバー23に設けた冷却風取入口24から外気
を、このエンジンカバー23内に吸収してエンジン12を強
制的に冷却する。
クランク軸19の左端にはVベルト自動変速機25の駆動
プーリ26が取付けられている。この駆動プーリ26はクラ
ンク軸19上を摺動する可動プーリ半体26aと、この可動
プーリ半体26aに対向しクランク軸19の端部に固定され
た固定プーリ半体26bとを備えている。可動プーリ半体2
6aはローラ27によって回転速度に応じた押圧力で固定プ
ーリ半体26b側に押圧され、可動プーリ半体26a、固定プ
ーリ半体26b間に巻掛けられたVベルト28のベルト巻掛
半径が回転速度の増減によって変化する。
伝動ケース15にはキック式始動装置29が設けられ、こ
のキック式始動装置29はクランク軸19の端部に固定され
た固定噛合い歯車30と、これに対向し伝動ケース15に固
定された支持軸31上を軸方向に摺動可能な可動噛合い歯
車32と、この可動噛合い歯車32に一体に形成されたはす
ば歯車33と、可動噛合い歯車32の回転に抵抗を加える抵
抗リング34と、キック軸35と、このキック軸35に固定さ
れ前記はすば歯車33に噛合するはすば歯車36と、キック
軸35から後方へ延びるように固定されたキックペダルを
有するキッククランク70と、キック軸35に復帰習性を付
与するスプリング71とを備えている。従って、キックペ
ダルの踏込みにより、はすば歯車36によってはすば歯車
33が回転され、これで可動噛合い歯車32が支持軸31上を
移動する。これにより、可動噛合い歯車32が固定噛合い
歯車30に係合し、その後可動噛合い歯車32が回転して固
定噛合い歯車30を介してクランク軸19が回動され、エン
ジン12の始動が可能となる。
駆動プーリ26の回転力は、Vベルト28、従動プーリ3
7、遠心クラッチ38、従動軸39、減速歯車機構40を介し
て後輪軸41へ伝達される。
従動プーリ37のプーリ半体37a,37bはいずれも支持筒4
2に固定され、さらに支持筒42はベアリング43を介して
従動軸39に回動可能に支持され、従動プーリ37のベルト
巻掛半径は変化しないようになっている。支持筒42は遠
心クラッチ38の支持プレート44に固定されており、支持
プレート44には一対の摩擦シュー45が支持ピン46を支点
として回動可能に設けられており、この摩擦シュー45が
遠心力によって回転ドラム47に圧接されることで、クラ
ッチの接続が行なわれるようになっている。
従動プーリ37のベルト巻掛半径は変化しないことで、
従動プーリ37の軸方向の福はプーリ半体37a,37bで規定
されるだけに短縮でき、これにより遠心クラッチ38が車
体側方へ突出することが抑えられる。従って、遠心クラ
ッチ38に近接して伝動ケース15を覆うようにすること
で、バンク角を小さくすることができる。
また、従動プーリ37のベルト巻掛半径は変化しないた
め、従動プーリ37側に摺動面加工、バネ部材、或いは潤
滑油のシール部材等を設ける必要がなくなり、構造が簡
単で、部品点数が作成され、しかも材料コストを低減さ
せることができる。
駆動プーリ26と従動プーリ37に巻掛られたVベルト28
にはテンション機構48で張力が与えられており、このテ
ンション機構48のテンションプーリ49にVベルト28が支
持されている。このテンションプーリ49はベアリング50
を介してプーリ支持軸51に設けられ、このプーリ支持軸
51はテンションアーム52に支持されている。テンション
アーム52にはカラー53が固定され、このカラー53はブッ
シュ54を介して所定のクリアランスをもってアーム支持
軸55に回動可能に支持され、さらにカラー53の外周は支
持筒56で支持されている。テンションアーム52は前記ク
リアランスによって揺動できるようになっている。この
アーム支持軸55はテンションプーリ49より従動プーリ37
側の位置で伝動ケース13に設けられ、支持筒56にはトー
ションスプリング57が装着され、このトーションスプリ
ング57の一端部57aがテンションアーム52のテンション
プーリ49と反対側の端部に係止され、他端部57bは伝動
ケース13に突設したボス58に係止されており、このトー
ションスプリング57で、テンションアーム52のテンショ
ンプーリ49によってVベルト28を内側から外方へ広げる
方向へ付勢している。
このトーションスプリング57が低速側から高速側へ変
速するに従って付勢力が増大する第1スプリングを構成
している。
また、テンションアーム52にはターンオーバ機構59が
設けられ、このターンオーバ機構59の支持ピン60がテン
ションアーム52のテンションプーリ49側に設けられ、こ
の支持ピン60にはテンションスプリング61の一端部61a
が係止され、さらにテンションスプリング61の他端部61
bはアーム支持軸55よりさらに後方位置で伝動ケース13
に設けられたボス62に係止されている。
このテンションスプリング61が低速側で大きく高速側
へ変速するに従って付勢力が減少する第2スプリングを
構成している。
Vベルト自動変速機25では、アライメントずれが不可
避であり、この場合プーリがVベルト28のアライメント
ずれに追随するようにしておかないと、テンションプー
リ49が抵抗となり、効率低下や寿命が低下する原因とな
る。従い、Vベルト28のアライメントずれに追随できる
ように、テンションアーム52の支点をテンションプーリ
49から従動軸39寄りに設けている。このテンションアー
ム52の支点部のクリアランスにより、ベルトアライメン
トずれ方向にテンションプーリ49が追随するようにな
り、効率低下や寿命低下を防止することができる。
このテンション機構48を用いて自動変速させる場合、
低速側では駆動プーリ26のベルト巻掛径が小さく、テン
ションプーリ49は駆動プーリ26と従動プーリ37の軸間線
Lに近づく位置にあり、高速側では駆動プーリ26のベル
ト巻掛径が大きく、テンションプーリ49は駆動プーリ26
と従動プーリ37の軸間線Lから離れる位置にある。この
ときVベルト28を張るのに必要なテンションプーリ49の
要求荷重P1は第6図(a)のようになるが、このプーリ
荷重を与えるのにトーションスプリング57のみを用いる
と、第6図(a)のトーション荷重P2で示すように必要
以上の荷重を与えてしまい、ベルト寿命が短くなる。従
って、テンションスプリング61を使ったターンオーバ機
構59を併用することにより、第6図(b)に示すよう
に、所定のトーション荷重P2にテンション荷重P3を加え
ることで、要求荷重P1に合った特性を与えることがで
き、これによりVベルト28の寿命が向上する。
このように、テンションプーリ49をVベルト28に押圧
する付勢スプリングを2種類用い、一方は高速側へ変速
するに従って付勢力が増大し、他方はこれに相反して減
少させることで、高速側へ変速するに従ってテンション
プーリ49の付勢力が大となるのを防止し、Vベルト28の
耐久性を向上されている。即ち、Vベルト28の高速側が
使用頻度高く、Vベルト28の角度θが大の方がVベルト
28にかかる力が大となり、この無理のかかる高速側への
力を減少させる。
また、テンションプーリ49をテンションアーム52の一
端に軸支し、テンションアーム52の他端を伝動ケース13
に支持し、支持点をテンションプーリ49より従動プーリ
37側に配置することで、テンションプーリ49がテンショ
ンアーム52のカラー53とアーム支持軸55とのクリアラン
スによってベルトラインの傾きに追従して傾き、Vベル
ト28の摩耗による耐久性を向上させることができる。
また、駆動プーリ26と従動プーリ37に巻掛られたVベ
ルト28は駆動プーリ26のベルト巻掛径のみが変化する
が、このVベルト28のラインは高速側でまっすぐになる
ように設定されている。即ち、Vベルト28のアライメン
トずれが生ずることは不可避であるが、高速側での使用
頻度が高いため、高速側でのずれを無くし、低速側でア
ライメントずれが生じるようにすることで、Vベルト28
の摩擦による耐久性が低下しないようにしている。
また、後輪9側の従動プーリ37に負荷がかかると、V
ベルト28に矢印方向の力Aがかかり、駆動プーリ26のベ
ルト巻掛径が変化し、低速側へ変速され、トルクカムが
なくとも同様の効果が期待できる。
なお、この実施例では駆動プーリのベルト巻掛径が可
変で、従動プーリのベルト巻掛径が固定になっている
が、従動プーリのベルト巻掛径が可変なVベルト自動変
速機にも同様に適用することができる。
[発明の効果] 前記のように、この発明は、Vベルトに張力を与える
テンション機構を備え、このテンション機構に低速側か
ら高速側へ変速するに従って付勢力が増大する第1スプ
リングと、低速側から高速側へ変速するに従って付勢力
が減少する第2スプリングとを有するから、使用頻度の
高い高速側へ変速するに従って、テンション機構による
張力が増大することを軽減し、Vベルトに低速側から高
速側まで適切な張力を与えることができ、Vベルトに無
理な力がかかることがなく、摩耗による耐久性の低下を
防止することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明のVベルト自動変速機を備えた自動二
輪車の側面図、第2図は自動二輪車のユニットスイング
エンジンの断面図、第3図は自動二輪車のユニットスイ
ングエンジンの側面図、第4図は自動二輪車のVベルト
自動変速機の側面図、第5図は自動二輪車のVベルト自
動変速機の断面図、第6図(a),(b)はVベルトに
与えられる張力を説明する図である。 図面中、符号1は自動二輪車、9は後輪、12はエンジ
ン、13,15は伝動ケース、19はクランク軸、25はVベル
ト自動変速機、26は駆動プーリ、28はVベルト、37は従
動プーリ、39は従動軸、38は遠心クラッチ、48はテンシ
ョン機構、57はトーションスプリング、61はテンション
スプリングである。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】エンジンのクランク軸側に駆動プーリを配
    置し、車輪側に従動プーリを配置し、この駆動プーリと
    従動プーリにVベルトを巻掛けた自動二輪車のVベルト
    自動変速機において、前記Vベルトに張力を与えるテン
    ション機構を備え、このテンション機構に低速側から高
    速側へ変速するに従って付勢力が増大する第1スプリン
    グと、低速側から高速側へ変速するに従って付勢力が減
    少する第2スプリングとを有することを特徴とする自動
    二輪車のVベルト自動変速機。
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