JP3651320B2 - バンパ構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、バンパ構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図2に示すような車両1には、その前部にバンパ2が取付けられている。
【0003】
従来のバンパ2は、図3に示すように、空気取入開口3を有するフェイシャ4(バンパフェース面)と、このフェイシャ4の裏面側で且つ前記空気取入開口3よりも上方に位置するアーマチャ5(補強材)と、前記フェイシャ4およびアーマチャ5の間に介装されるエネルギー吸収材6とを有する構造を備えている。
【0004】
ここで、前記空気取入開口3は上縁部7が、フェイシャ4を成形する成形型の型開き方向8とほぼ平行な方向へ向けて延設されている。
【0005】
そして、前記空気取入開口3には、エアガイド部材9が配設され、バンパ2の後方に配設されたラジエータ10へ風11を案内するようになっている。
【0006】
また、前記エネルギー吸収材6は、アーマチャ5の上面に係止可能な仮保持部12を有すると共に、アーマチャ5の前面に形成された開口部13へ挿入可能な仮保持部14を有している。
【0007】
このような構成によれば、空気取入開口3から入った風11によって、ラジエータ10が冷却される。
【0008】
また、フェイシャ4に外力が作用した時に、エネルギー吸収材6によって外力が吸収される。
【0009】
この際、エネルギー吸収材6は、仮保持部12,14によってアーマチャ5の上面および前面に保持されているので、外力が作用した時に脱落するのが防止される。
【0010】
なお、上記とほぼ同様な構成は、実開昭63−15255号公報などにも記載されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のバンパ構造では、以下のような問題があった。
【0012】
即ち、空気取入開口3はラジエータ10の下端部分のみとラップして配置されているので、空気取入開口3から入った風11をラジエータ10の上部へ案内するためには、空気取入開口3の上縁部7後端を図3に仮想線aで示すように上方へ向くようにするのが好ましいが、型抜きが難しくなるなどの問題で、空気取入開口3の上縁部7はフェイシャ4を成形する成形型の型開き方向8とほぼ平行な方向へ向けざるを得なかった。そのため、ラジエータ10の上部へ風11を送るのに、フェイシャ4前面の空気取入開口3を大きくする必要が生じ、フェイシャ4の造形上の自由度が損われていた。
【0013】
また、図3a部のような構造をエアガイド部材9で形成しようとしても、同様に、成形上の問題が生じる上に、エアガイド部材9が大型化して、コスト増を招く等の問題が生じる。
【0014】
さらに、エネルギー吸収材6は、仮保持部12,14によってアーマチャ5の上面および前面に保持されているので、機能の割にコストがかかっていた。
【0015】
そこで、本発明の目的は、上記の問題点を解消し、フェイシャの成形上の問題を生じることなく風を適切な方向に案内させることができ、しかも、コストパフォーマンスの良いバンパ構造を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載された発明では、空気取入開口を有するフェイシャと、該フェイシャの裏面側で且つ前記空気取入開口よりも上方又は下方に隣接したアーマチャと、前記フェイシャおよびアーマチャの間に介装されるエネルギー吸収材とを有するバンパ構造において、前記フェイシャと前記アーマチャとの間に位置する前記エネルギー吸収材に、前記空気取入開口アーマチャ側縁部からアーマチャ後面まで延びるエアガイド面を設けたことを特徴としている。
【0017】
このように構成された請求項1にかかる発明によれば、前記エネルギー吸収材に設けたエアガイド面により風を適切な方向へ導くことができる。
【0018】
エアガイド面により風を適切な方向へ導いて有効に使用することができるので、その分、空気取入開口を小さくすることが可能となる。
【0019】
また、フェイシャの前面に大きな空気取入開口を設ける必要がなくなるので、造形上の自由度を広げることができる。
【0020】
更に、風の案内をフェイシャで行う必要がないので、その分、フェイシャを成形する成形型を単純化することができる。
【0021】
請求項2に記載された発明では、前記エアガイド面は前記アーマチャ上下面のうち空気取入開口に面した開口隣接面側へ回り込むと共に、前記エネルギー吸収材はアーマチャの前面および開口隣接面で保持されることを特徴としている。
【0022】
このように構成された請求項2にかかる発明によれば、前記エネルギー吸収材をアーマチャの前面および開口隣接面で保持させるようにしているので、エネルギー吸収材のころびを防止することができる。
【0023】
請求項3に記載された発明では、前記エアガイド面前端は、前記フェイシャの空気取入開口のアーマチャ側縁部後端と正面視重複させた状態で近接配置されていることを特徴としている。
【0024】
このように構成された請求項3にかかる発明によれば、前記フェイシャに外力が作用した際に、エアガイド面前端とフェイシャとが当接されることとなるので、フェイシャの空気取入開口のアーマチャ側縁部分のべこつきを防止することができる。
【0025】
請求項4に記載された発明では、前記エネルギー吸収材のうち前記アーマチャよりも正面視上下方向にオフセットした部位と前記エアガイド面との間に凹部を設けたことを特徴としている。
【0026】
このように構成された請求項4にかかる発明によれば、前記エネルギー吸収材における各機能に寄与していない部分の肉をなくして材料を削減することができる。これにより、バンパの原価を下げ且つ重量を低減することができる。
【0027】
請求項5に記載された発明では、前記空気取入開口にエアガイド部材が挿入配置されると共に、該エアガイド部材が、前記エアガイド面前端と前記フェイシャの空気取入開口のアーマチャ側縁部後端との近接部分を覆うように配置されていることを特徴としている。
【0028】
このように構成された請求項5にかかる発明によれば、前記エアガイド部材で覆うことにより、フェイシャに外力が作用した際に、エアガイド面前端とフェイシャの空気取入開口アーマチャ側縁部後端とが潜り込みを起こして上下に嵌まり合うことを防止できる。
【0029】
また、エアガイド部材が、前記エアガイド面前端と前記フェイシャの空気取入開口アーマチャ側縁部後端との近接部分を覆うことにより、風の流動抵抗を少なくすることができる。
【0030】
【発明の実施の形態1】
以下、本発明の具体的な実施の形態1について、図示例と共に説明する。
【0031】
図1は、この発明の実施の形態1を示すものである。なお、前記従来例と同一ないし均等な部分については、同一の符号を付して説明する。
【0032】
まず、構成を説明すると、この実施の形態1のバンパ2では、空気取入開口3を有するフェイシャ21(バンパフェース面)と、このフェイシャ21の裏面側で且つ前記空気取入開口3よりも上方又は下方に隣接した位置、例えば、本実施の形態1では、上方に位置するアーマチャ5(補強材)と、前記フェイシャ21およびアーマチャ5の間に介装されるエネルギー吸収材22とを有している。
【0033】
そして、この実施の形態1では、前記フェイシャ21と前記アーマチャ5との間に位置するエネルギー吸収材22の下部に、前記空気取入開口3のアーマチャ5側縁部である上縁部23後端からアーマチャ5が位置する後上方へアーマチャ5後面まで延びるエアガイド面24を設ける。
【0034】
このエアガイド面24は前記アーマチャ5上下面のうち、空気取入開口3に面した開口隣接面としてのアーマチャ5下面側へ回り込むことにより、エネルギー吸収材22はアーマチャ5の下面で係止保持されるようになっている。
【0035】
また、前記エネルギー吸収材22は、アーマチャ5の前面に形成された開口部13へ挿入可能な仮保持部25によってアーマチャ5の前面で保持されるようになっている。
【0036】
そして、前記エアガイド面24前端は、前記フェイシャ21の空気取入開口3の上縁部23後端と正面視重複させた状態で近接配置されている。
【0037】
更に、前記エネルギー吸収材22のうち前記アーマチャ5よりも正面視上下方向にオフセットした部位(ここでは正面視下方にある部位)と前記エアガイド面24との間に凹部26を設けるようにしている。
【0038】
また、前記空気取入開口3に挿入配置されたエアガイド部材9が、前記エアガイド面24前端と前記フェイシャ21の空気取入開口3の上縁部23後端との近接部分の下方を覆うように配置されている。
【0039】
符号10はラジエータであり、空気取入開口3は、ラジエータ10の下端部に面して設けられている。
【0040】
次に、この実施の形態1の作用について説明する。
【0041】
空気取入開口3から入った風30によって、ラジエータ10が冷却される。
【0042】
また、フェイシャ21に外力が作用した時に、エネルギー吸収材22が外力を吸収する。
【0043】
そして、この実施の形態1によれば、エネルギー吸収材22の下部に設けたエアガイド面24によりフェイシャ21とアーマチャ5との間への風30の巻き込みを防止して風30をラジエータ10の上部へと導くことができる。
【0044】
エアガイド面24により風30をラジエータ10の上部へ導いてラジエータ10を有効に冷却させることができるので、その分、空気取入開口3を小さくすることが可能となる。
【0045】
また、フェイシャ21の前面に大きな空気取入開口3を設ける必要がなくなるので、造形上の自由度を広げることができる。
【0046】
更に、風30の案内をフェイシャ21で行う必要がないので、その分、フェイシャ21を成形する成形型を単純化することができる。
【0047】
また、前記エネルギー吸収材22を仮保持部25およびエアガイド面24によりアーマチャ5の前面および下面で保持させるようにしているので、上面側の仮保持部を廃止してもエネルギー吸収材22が取付状態、または、衝突時に上下方向に傾く、いわゆるころびを防止することができる。しかも、エアガイド面24に導風と仮保持の2つの機能を持たせて構成を集約することができるのでコストパフォーマンスを向上することができる。
【0048】
更に、前記フェイシャ21に外力が作用した際に、エアガイド面24前端とフェイシャ21とが当接されることとなるので、フェイシャ21の空気取入開口3上部のべこつきを防止することができる。
【0049】
また、前記エネルギー吸収材22における各機能に寄与していない部分の肉をなくして材料を削減することができる。これにより、バンパ2の原価を下げ且つ重量を低減することができる。
【0050】
更に、前記エアガイド部材9で覆うことにより、フェイシャ21に外力が作用した際に、エアガイド面24前端とフェイシャ21の空気取入開口3の上縁部23後端とが潜り込みを起こして上下に嵌まり合うことを防止できる。
【0051】
また、エアガイド部材9が、前記エアガイド面24前端と前記フェイシャ21の空気取入開口3の上縁部23後端との近接部分を覆うことにより、風30の流動抵抗を少なくすることができる。
【0052】
尚、本実施の形態では、空気取入開口3をアーマチャ5の下方に隣接させて設けたが、空気取入開口3はアーマチャ5の上方に設けても良い。この場合、空気取入開口3の下縁部が「アーマチャ側縁部」に相当し、アーマチャ5の上面が「開口隣接面」に相当する。
【0053】
【発明の効果】
以上説明してきたように、請求項1の発明によれば、エネルギー吸収材に設けたエアガイド面により風を適切な方向へ導くことができる。
【0054】
エアガイド面により風を適切な方向へ導いて有効に使用することができるので、その分、空気取入開口を小さくすることが可能となる。
【0055】
また、フェイシャの前面に大きな空気取入開口を設ける必要がなくなるので、造形上の自由度を広げることができる。
【0056】
更に、風の案内をフェイシャで行う必要がないので、その分、フェイシャを成形する成形型を単純化することができる。
【0057】
請求項2の発明によれば、エネルギー吸収材をアーマチャの前面および開口隣接面で保持させるようにしているので、エネルギー吸収材のころびを防止することができる。
【0058】
請求項3の発明によれば、フェイシャに外力が作用した際に、エアガイド面前端とフェイシャとが当接されることとなるので、フェイシャの空気取入開口のアーマチャ側縁部分のべこつきを防止することができる。
【0059】
請求項4の発明によれば、エネルギー吸収材における各機能に寄与していない部分の肉をなくして材料を削減することができる。これにより、バンパの原価を下げ且つ重量を低減することができる。
【0060】
請求項5の発明によれば、エアガイド部材で覆うことにより、フェイシャに外力が作用した際に、エアガイド面前端とフェイシャの空気取入開口のアーマチャ側縁部後端とが潜り込みを起こして上下に嵌まり合うことを防止できる。
【0061】
また、エアガイド部材が、前記エアガイド面前端と前記フェイシャの空気取入開口のアーマチャ側縁部後端との近接部分を覆うことにより、風の流動抵抗を少なくすることができる、という実用上有益な効果を発揮し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる図2のA−A線に沿った側方断面図である。
【図2】車両を前方からみた斜視図である。
【図3】従来例にかかる図2のA−A線に沿った側方断面図である。
【符号の説明】
2 バンパ
3 空気取入開口
5 アーマチャ
9 エアガイド部材
21 フェイシャ
22 エネルギー吸収材
23 上縁部(アーマチャ側縁部)
24 エアガイド面
26 凹部

Claims (5)

  1. 空気取入開口を有するフェイシャと、該フェイシャの裏面側で且つ前記空気取入開口よりも上方又は下方に隣接したアーマチャと、前記フェイシャおよびアーマチャの間に介装されるエネルギー吸収材とを有するバンパ構造において、
    前記フェイシャと前記アーマチャとの間に位置する前記エネルギー吸収材に、前記空気取入開口アーマチャ側縁部からアーマチャ後面まで延びるエアガイド面を設けたことを特徴とするバンパ構造。
  2. 前記エアガイド面は前記アーマチャ上下面のうち空気取入開口に面した開口隣接面側へ回り込むと共に、前記エネルギー吸収材はアーマチャの前面および開口隣接面で保持されることを特徴とする請求項1に記載のバンパ構造。
  3. 前記エアガイド面前端は、前記フェイシャの空気取入開口のアーマチャ縁部後端と正面視重複させた状態で近接配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載のバンパ構造。
  4. 前記エネルギー吸収材のうち前記アーマチャよりも正面視上下方向にオフセットした部位と前記エアガイド面との間に凹部を設けたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のバンパ構造。
  5. 前記空気取入開口にエアガイド部材が挿入配置されると共に、該エアガイド部材が、前記エアガイド面前端と前記フェイシャの空気取入開口のアーマチャ側縁部後端との近接部分を覆うように配置されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のバンパ構造。
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