JPH0640060Y2 - エンジンフード構造 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 【産業上の利用分野】

本考案は、自動車のフロント・エンジンフードに関する
ものである。

【従来の技術】

従来、自動車のエンジンルーム上面を開閉可能に覆うフ
ロントエンジンフードは、例えば、第１図に示すＨ部を
裏面から見ると、第５図に示すように、フロントフード
アウター1,フロントフードインナー2,およびフロントフ
ードを開閉するためのフロントフードヒンジ３とからな
り、下面にエンジンからの熱を遮断し、かつエンジン音
の車外への透過を防止するたのフロントフードインシュ
レータ５（第６図に示す）が取付けられている。このＡ
−Ａ断面構造は、第６図に示すように、フロントフェン
ダ４とサスペンション６との間で、フロントフードアウ
ター１とフロントフードインナー２とで、高さａ′，幅
ｂ′のボックス状の閉断面構造を形成し、フロントエン
ジンフードの剛性を確保している。また、Ｂ−Ｂ断面を
示す第７図において、フロントフードヒンジ３はボルト
・ナット７でフロントフードインナー２に結合され、フ
ロントフードインシュレータ５はクリップ８によりフロ
ントフードインナー２に取付けられている（例えば、特
開昭61-184174号公報参照）。

【考案が解決しようとする課題】

ところで、上記のように構成されたフロントエンジンフ
ードでは、十分な剛性を確保するには閉断面構造の高さ
寸法ａ′および幅寸法ｂ′を大きくしなければならず、
従ってサスペンション６との干渉を避けるためにサスペ
ンション６頂部との間隔Ｃ′も大きくなり、フード面を
高くしなければならなかった。しかし、フード面が高く
なると、空力特性が悪化し、またデザイン上からも鈍重
感が出るなど好ましくない。このため、フード面を低く
しようとすればサスペンション６を低くしなければなら
ず、したがってサスペンションストロークが減少して乗
心地が悪くなり、実行性能を悪化させたりすることにな
る。特に、スポーティな車ほど、空力特性上やデザイン
上からフード面が低くなる傾向にあるため、フロントエ
ンジンフードの剛性確保とサスペンション性能の確保と
の両立が困難であった。 本考案は、上記のような課題を解決するためになされた
もので、サスペンション性能を低下させることなく、フ
ロントエンジンフードのフード面を低くできるようにす
ることを目的とする。

【課題を解決するための手段】

上記目的を達成するため、本考案は、フロントフードア
ウターとフロントフードインナーとでボックス状の閉断
面構造を形成して剛性を確保するようになされた自動車
のフロントエンジンフード構造において、フロントエン
ジンフードを開閉するためのフロントフードヒンジ部材
をサスペンション部まで延長すると共に、上記フロント
フードヒンジ部材に、複数箇所を切り起こしてフロント
フードインシュレータを掛止，取付けるための掛止片を
設けたものである。

【作用】

上記構成に基づき、剛性を確保するため、フロントフー
ドアウターとフロントフードインナーとで形成されたボ
ックス状の閉断面構造は、サスペンション部まで延長さ
れたフロントフードヒンジ部材によって補強されるの
で、上記閉断面構造の高さおよび幅寸法を小さくでき、
フロントフード面を低くすることができる。また、フロ
ントフードインシュレータは、フロントフードヒンジ部
材に設けられた掛止片に掛止されるので、クリップを使
用することなく、フロントエンジンフードの下面に取付
けられる。

【実施例】

以下、本考案の一実施例を第１図ないし第４図を参照し
て具体的に説明する。 フロントエンジンフードは、第２図，第３図に示すよう
に、フロントフードアウター１とフロントフードインナ
ー２とでボックス状の閉断面構造を、両側縁部および中
央の適当位置に帯状に形成して剛性を確保しており、第
１図に示すＨ部において、開閉のためのフロントフード
ヒンジ部材３がフロントフードインナー２に取付けられ
ており、フロントフードアウター１の上面はフロントフ
ェンダ４と面一に連続する。 そして、フロントエンジンフードの下面には、エンジン
から発生する熱を遮断し、かつエンジン音の車外への透
過を防止するため、フロントフードインシュレータ５が
後述するフロントフードヒンジ部材３の掛止片3aに掛止
されて、取付けられている。 上記フロントフードヒンジ部材３は、路面衝撃を吸する
ためのサスペンション６の側方まで、第５図に示す従来
のものよりも延長されて長くなり、第４図に示すよう
に、ボルト・ナット７でフロントフードインナー２に固
定されているので、フロントフードアウター１とフロン
トフードインナー２とで形成される閉断面構造の剛性を
補強するように作用する。したがって、閉断面構造の高
さａおよび幅寸法ｂを、従来のａ′,b′よりも小さくす
ることができる。この高さ寸法ａの縮小と、幅寸法ｂの
縮小により可能となるサスペンション６の上部形状の変
更（第３図に示す）とにより、フロントフードインシュ
レータ５の下面とサスペンション６の頂部との間隔ｃ
を、サスペンションストロークを縮めることなく大幅に
小さくすることが可能となり、空力特性およびデザイン
性が良好となるようにフロントエンジンフード面を低く
することができる。 また、フロントフードヒンジ部材３は、複数箇所に、プ
レス成形時に切り起されて、フロントフードインシュレ
ータ５の端縁が挿入されて掛止する掛止片3aが一体に設
けられている。したがって、フロントフードインシュレ
ータ５をフロントフードインナー２の下面に取付ける
際、従来のようにクリップ８を使用することなく取付け
ることができるので、部品点数の削減，コスト低減が可
能となる。

【考案の効果】

以上述べたように、本考案によれば、フロントフードヒ
ンジ部材を延長して、剛性を確保するためフロントフー
ドアウターとインナーとで形成されるボックス状閉断面
構造を補強するようにしたので、その閉断面面積を小さ
くでき、その分だけフロントエンジンフード面を下げら
れ、よりスポーティな車体のデザインが可能となり、ま
た前方視界も良好となる。さらに、新たな補強部材や、
フロントフードインシュレータを取付けるためのフロン
トフードヒンジ部におけるクリップが不要となるので、
部品点数の削減，ひいてはコスト低減も可能になるとい
う効果が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案が適用される自動車のフロントエンジン
フードの斜視図、第２図ないし第４図は本考案の一実施
例例で、第２図はフロントエンジンフードの裏面を、第
３図はその第２図のＡ−Ａ線に沿う断面図、第４図は第
３図のＢ−Ｂ線に沿う断面図、第５図は従来例を示す斜
視図、第６図は第５図のＡ′−Ａ′線に沿う断面図、第
７図は第６図のＢ′−Ｂ′線に沿う断面図である。 １…フロントフードアウター、２…フロントフードイン
ナー、３…フロントフードヒンジ部材、3a…掛止片、５
…フロントフードインシュレータ、６…サスペンショ
ン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】フロントフードアウターとフロントフード
   インナーとでボックス状の閉断面構造を形成して剛性を
   確保するようになされた自動車のフロントエンジンフー
   ド構造において、 フロントエンジンフードを開閉するためのフロントフー
   ドヒンジ部材をサスペンション部まで延長すると共に、
   上記フロントフードヒンジ部材に、複数箇所を切り起こ
   してフロントフードインシュレータを掛止、取付けるた
   めの掛止片を設けたことを特徴とするエンジンフード構
   造。