JP6206672B2 - 車両用通風制御装置 - Google Patents
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Description
また、特許文献2には、エンジンルーム内への走行風の侵入を抑制するために、ラジエータを通さずにエンジンルーム内に走行風を導く導風路を閉じる手法が開示されているが、この手法でも、フロントグリルとエンジンルームとの間に存在する各種部材間の隙間などにより、エンジンルーム内への走行風の侵入を抑制するのに限界がある。
他方で、特許文献1に開示されたようなシャッターを、フロントグリルを塞ぐ手段として適用する手法が考えられる。この手法では、エンジンルーム内への走行風の侵入を効果的に抑制することができるが、シャッターが高価なため、コストが高くなってしまう。
このように構成された本発明においては、走行風が流入するフロント部材の開口部を取り囲み、フロント部材の背面からラジエータの表面まで延びる筒状の外壁によって形成された導風路を用いるので、この導風路内にはほとんど隙間がなく、フロント部材の開口部から流入した走行風が導風路から外部に抜けにくいため、導風路内の圧力が高い状態となり、走行風がフロント部材の開口部から流入しにくくなる。また、本発明では、そのような導風路内の圧力が高い状態で、車速が所定速度以上で、且つ冷却水の温度が所定温度未満である場合に、電動ファンを逆回転させるので、電動ファンから前方に送り出された風がラジエータを通して導風路に供給されて、導風路内の圧力が更に高い状態となり、走行風がフロント部材の開口部から更に流入しにくくなる。したがって、本発明によれば、フロントグリルなどを塞ぐシャッターを用いることなく、エンジンルーム内に走行風が侵入することを適切に抑制することができる。よって、本発明によれば、低コストにて、エンジンルーム内に走行風が侵入することを抑制して、走行中の空気抵抗を低減することが可能となる。
また、電動ファンを逆回転させる際の回転数を車速に基づいて設定するので、車速に応じた走行風量(走行風の圧力)に対応するための風圧を電動ファンから前方に適切に生じさせることができる。したがって、エンジンルーム内に走行風が侵入することをより効果的に抑制することができる。
このように構成された本発明においては、フロント部材の開口部から流入した走行風をラジエータに向けて指向させるように傾斜した上面及び下面を有するバンパービーム前方部材を導風路内に設けるので、フロント部材の開口部から流入した走行風を、バンパービーム前方部材の上面及び下面によって、ラジエータに向けて適切に指向させることができる。つまり、バンパービーム前方部材の上面及び下面により、バンパービームの後方で風が巻き込まれないようにし、ラジエータに向けて風を適切に流すことができる。したがって、本発明によれば、上述したように、導風路によって、フロント部材の開口部から流入する走行風を適切に制限しつつ、導風路内のバンパービーム前方部材によって、フロント部材の開口部から流入した走行風を用いてラジエータを適切に冷却することができる。
基本的には、電動ファン制御部7aは、冷却水温が高い場合に、電動ファン4が後方に向かって風を送り出すように、電動ファン4を正回転させる制御を行う。こうすることにより、フロント部材2に形成された開口部から外気(走行風)を取り込ませて、この外気をラジエータ3に送って、ラジエータ3内の冷却水温を低下させる。
他方で、電動ファン制御部7aは、冷却水温が低く、且つ車速が速い場合には、電動ファン4が前方に向かって風を送り出すように、電動ファン4を逆回転させる制御を行う。こうすることにより、電動ファン4からの風をラジエータ3の隙間などを通して前方に送り、この風によって、フロント部材2に形成された開口部から流入する走行風に対して抵抗することにより、エンジンルーム6内に走行風が侵入することを抑制する。
第1及び第2外気取込部材12、13は、車幅方向に延びる1以上の帯板状部材12a、13aを有する(車高方向に延びる1以上の帯板状部材を更に含んでいてもよい)。第1外気取込部材12が有する帯板状部材12a間の隙間、及びこの帯板状部材12aとフロントバンパー11との隙間が、第1外気取込部材12において走行風が流入する第1開口部12bを形成する。また、第2外気取込部材13が有する帯板状部材間13aの隙間、及びこの帯板状部材13aとバンパー11との隙間が、第2外気取込部材13において走行風が流入する第2開口部13bを形成する。
また、導風路20を形成する外壁16中にもある程度の隙間がある、つまり筒状の外壁16は完全に閉じた形態ではない。外壁16中に全く隙間がないと、第1及び第2外気取込部材12、13の第1及び第2開口部12b、13bから走行風が取り込まれなくなり、ラジエータ3に走行風が供給されなくなって、ラジエータ3を適切に冷却することができなくなる場合があるからである。
また、上壁16a、下壁16b及び側壁16cのそれぞれを異なる部材で形成することに限定はされず、上壁16a、下壁16b及び側壁16cの一部を同一の部材で形成してもよい。例えば、上壁16aの端部を下方に折り曲げて、その折り曲げた部分によって側壁16cの一部を形成したり、下壁16bの端部を上方に折り曲げて、その折り曲げた部分によって側壁16cの一部を形成したりしてもよい。
この場合、電動ファン制御部7aは、現在の車速に基づいて、電動ファン4を逆回転させる際の回転数を設定する。具体的には、電動ファン制御部7aは、車速が速くなるほど、電動ファン4を逆回転させる際の回転数を大きくする。こうするのは、車速が速くなるほど、走行風量が多くなるため(言い換えると走行風の圧力が大きくなるため)、エンジンルーム6内に走行風が侵入することを抑制するためには、電動ファン4によって前方に生じさせる風圧を大きくするべきだからである。例えば、電動ファン制御部7aは、車速に対して設定すべき電動ファン4の回転数が予め対応付けられたマップを参照して、電動ファン4の回転数を設定する。
比較例1は、導風路20が形成されておらず、電動ファン4を逆回転させない例である。比較例2は、導風路20が形成されておらず、電動ファン4を逆回転させないが、第1外気取込部材12の第1開口部12bを塞ぐシャッター(以下では適宜「フロントシャッター」と呼ぶ。)を有する例である。比較例3は、電動ファン4を逆回転させないが、導風路20が形成されている例である。本実施形態は、導風路20が形成されていると共に、電動ファン4を逆回転させるものである。
なお、第1外気取込部材12の第1開口部12bを塞ぐフロントシャッターを用いる代わりに、第2外気取込部材13の第2開口部13bを塞ぐフロントシャッターを用いてもよい。また、このようなフロントシャッターは、比較例2でのみ用いるものとする。
2 フロント部材
3 ラジエータ
4 電動ファン
7 ECU
7a 電動ファン制御部
11 フロントバンパー
12 第1外気取込部材
12b 第1開口部
13 第2外気取込部材
13b 第2開口部
16 外壁
20 導風路
22 バンパービーム
23 バンパービーム前方部材
Claims (2)
- 車両内に流入する走行風の流量を制御する車両用通風制御装置であって、
車両の前端部分に設けられ、走行風が流入する開口部が形成されたフロント部材と、
このフロント部材後方に配置され、冷却水を冷却するラジエータと、
このラジエータ後方に配置され、正回転することにより後方へ送風する電動ファンと、
上記フロント部材と上記ラジエータとの間に設けられ、上記フロント部材の開口部から流入した走行風を上記ラジエータへ導く導風路と、
上記電動ファンを制御する電動ファン制御手段と、を有し、
上記導風路は、上記フロント部材の開口部を取り囲み、該開口部から上記ラジエータの表面までほぼ隙間なく延びる筒状の外壁によって形成され、走行風が上記フロント部材の開口部から流入して上記導風路内の圧力が高い状態となり、
上記電動ファン制御手段は、上記冷却水の温度が所定温度未満であり且つ車速が所定速度以上の場合に、この所定車速以上の全速度域で、上記電動ファンを逆回転で駆動し且つ上記車速が速くなるほど上記電動ファンの回転数を大きくするように制御し、これにより、上記導風路内の圧力を更に高い状態とする、ことを特徴とする車両用通風制御装置。 - さらに、
上記フロント部材と上記ラジエータとの間に配置され、衝撃を吸収可能なバンパービームと、
上記フロント部材と上記バンパービームとの間で上記導風路内に配置され、車幅方向に延びるバンパービーム前方部材と、を有し、
このバンパービーム前方部材の上面及び下面は、上記フロント部材の開口部から流入した走行風を上記ラジエータに向けて指向させるように傾斜している、請求項1に記載の車両用通風制御装置。
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