JP5471773B2 - バンパ構造 - Google Patents
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Description
ところで、米国のIIHS(Insurance Institute for Highway Safety:高速道路安全のための保険会社協会)の衝突安全性能試験に、微小ラップバリア試験と呼ばれるものがある。この試験は、車幅方向の中央部が車両前後方向外側に突出するように円弧状をなすバリアをバンパ装置に対し一部をラップさせながら上下方向にオフセットして配置し、このバリアに自動車を前方及び後方から時速10kmで衝突させるものである。
同様に、比較的車高の高い車両ではバリアに対してバンパの位置が高くなるため、ラップ量が不足する。ラップ量が不足すると、車両がバリアの上側に乗り上げる状態、いわゆるオーバーライドを生じ、車両の衝撃吸収性能が低下する可能性がある。
アンダーライドやオーバーライドを防止するための従来技術のバンパ構造としては、例えば、特許文献1、2に示されるものがある。
また、上記特許文献2に開示の技術では、ラップ量を増やすためにバンパリンフォース(バンパビーム)に別体の部材を設定しており、部品点数が多く、組み付け工数も増え、コストアップするという問題がある。
例えば、フルラップ前面衝突時においては、衝突相手が第1アブソーバ部と第2アブソーバ部の両者に対応し、第1アブソーバ部と第2アブソーバ部の両者によって効率的に衝突荷重が吸収される。
次に、請求項2に記載のバンパ構造の作用を説明する。
第1アブソーバ部を第2アブソーバ部の上側に配置したバンパ構造は、例えば、スポーツカー等、衝突相手に対して相対的に車高が低く、バンパアブソーバと衝突相手のバンパ(IIHSの微小ラップバリア試験ではバリアに対応する。)との上下方向のラップ量が少ない車両に適用される。
衝突初期においては、衝突相手のリアのバンパ(IIHSの微小ラップバリア試験ではバリアとなる。)は、第1アブソーバ部の斜面(凹部壁面)にガイドされて相対的に下方へ変位し、自車のバンパは相対的に上方へ変位するので、自車が衝突相手の車両下側へ潜り込む所謂アンダーライドが防止され、衝突相手のバンパと自車のバンパ構造におけるバンパアブソーバとの上下方向のラップ量が増加する。
衝突初期においては、自車の後方から追突してくる衝突相手のフロントのバンパは、第1アブソーバ部の斜面(凹部壁面)にガイドされて相対的に下方へ変位し、自車のバンパは相対的に上方へ変位するので、衝突相手のバンパと自車のバンパ構造におけるバンパアブソーバとのラップ量が増加する。
第1アブソーバ部を第2アブソーバ部の下側に配置したバンパ構造は、例えば、RV車等、衝突相手に対して相対的に車高が高く、バンパアブソーバと衝突相手のバンパとの上下方向のラップ量が少ない車両に適用される。
衝突初期においては、衝突相手のリアのバンパは第1アブソーバ部の斜面(凹部壁面)にガイドされて、衝突相手のバンパは相対的に上方へ変位し、自車のバンパは相対的に下方へ変位するので、自車が衝突相手の車両上側へ乗り上げる所謂オーバーライドが防止され、衝突相手のバンパと自車のバンパ構造におけるバンパアブソーバとのラップ量が増加する。
第2アブソーバ部は、バンパリンフォースの車両前後方向外側面から車両前後方向外側で、バンパリンフォースの第2アブソーバ側の車両上下方向端部よりも第1アブソーバ部側とは反対側へ突出しているため、第1アブソーバの斜面でガイドされて来た衝突相手のバンパを第2アブソーバが受け止めると、第2アブソーバ部の突出している部分が車両後方向側へ変位するように第2アブソーバが回転し、その結果、凹部の上下方向の開口幅が広がり、第1アブソーバの斜面でガイドされて来た衝突相手のバンパを受け止め易くなる。
第1アブソーバ部の第2アブソーバ部とは反対側の部分が、バンパリンフォースの第1アブソーバ部側の車両上下方向端部よりも第2アブソーバ部側とは反対側に突出すると共に、バンパリンフォースの車両前後方向外側面よりも車両前後方向内側へ突出しているので、例えば、第1アブソーバ部の斜面で衝突相手のバンパをガイドしている際に、第1アブソーバ部の突出している部分が、バンパリンフォースの車両上下方向端部で支持され、第1アブソーバ部の突出している部分が車両前後方向内側へ変位するような第1アブソーバ部の回動が抑えられ、第1アブソーバ部の斜面によるガイド性が向上する。
先ず、衝突の初期において、第1アブソーバ部には、衝突相手からの荷重が車両前後方向外側端部から水平に入力する。ここで、第1アブソーバ部の車両前後方向外側端部の位置が、バンパリンフォースの車両上下方向端部よりも車両上下方向にずれていると、バンパアブソーバの内部に車両前後方向に沿った剪断力が作用してバンパアブソーバに割れを生じる虞がある。
例えば、フラットバリアに正面衝突する場合を想定すると、凹部が車幅方向全体に形成されたバンパアブソーバは、凹部が車幅方向中央部のみに形成されたバンパアブソーバに比較してボリュームが減り、衝撃吸収性能が不十分となる虞がある。したがって、自車が平坦な面に正面衝突する場合を考慮すると、凹部をバンパアブソーバの車幅方向全体に形成せず、車幅方向中央部のみに形成して、バンパアブソーバのボリュームを確保することが好ましい。
以下、図面を用いて、本発明のバンパ構造の第1の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態では、本発明のバンパ構造をスポーツカー等の比較的車高の低い車両のフロントバンパに適用した例を説明する。なお、図面において、矢印FRは車両前方向、矢印UPは車両上方向、矢印Wは車両幅方向を示している。
なお、バンパリンフォース16の上面16Cの路面からの高さ位置は、IIHSの微小ラップ試験に用いるバリア18の高さ方向中心位置18CLよりも高く設定されている。
バンパアブソーバ20は、例えば、発泡材で構成されており、衝撃荷重が作用した際には変形して(潰れて)衝撃荷重を吸収できるようになっている。
なお、バンパアブソーバ20も、バンパリンフォース16と同様に、車幅方向中央部分が車両前方向側へ凸となる略円弧形状に形成されている。
バンパアブソーバ20は、鉛直方向に延びる後壁面20Aを備え、後壁面20Aの殆どの部分がバンパリンフォース16の前面16Aと密着している。
なお、バンパアブソーバ20の下側部分は、バンパリンフォース16の下面16Bよりも下方へ突出しているが、バンパリンフォース16の前面16Aよりも車両後方向側へは突出していない。
一方、バンパアブソーバ20の上側部分は、バンパリンフォース16の上面16Cよりも上側に突出し、かつ一部分が車両後方向側へ延びてバンパリンフォース16の上面16Cの上側に配置されている。
図3、及び図4に示すように、本実施形態では、このバンパアブソーバ20の凹部22が形成されている車両幅方向領域A(図4参照)において、凹部22の上側部分を上側アブソーバ部24、凹部22の下側部分を下側アブソーバ部26と呼ぶ。なお、本実施形態では、上側アブソーバ部24が本発明の第1アブソーバ部に相当し、下側アブソーバ部26が本発明の第2アブソーバ部に相当する。
図3の断面図で示すように、上側アブソーバ部24は、車両前方向側へ凸となる山形状とされ、下側アブソーバ部26と対向する上側凹部壁面22Aが、凹部22の開口側(車両前方向側)よりも底部22C側(車両後方向側)が下側アブソーバ部26に接近している斜面とされている。即ち、上側凹部壁面22Aは、水平方向に対して車両後方向側が車両前方向側よりも下側となるように斜め下向きに傾斜している。
断面で見たときに、本実施形態の上側凹部壁面22Aは、上側アブソーバ部24の車両前方向側頂部24Tから凹部22の底部22Cに向けて直線状に延びているが、湾曲していても良い。
また、本実施形態のバンパアブソーバ20は、上側アブソーバ部24の車両前方向側頂部24Tの路面からの高さ位置が、バンパリンフォース16の上面16Cよりも下側に位置していると共に、IIHSの微小ラップ試験に用いるバリア18の高さ方向中心位置18CLよりも下側に位置している。
本実施形態では、上側アブソーバ部24の厚さT0が60mm、バンパアブソーバ20の凹部22の底部22Cで計測した厚さT2が20mmである。なお、本実施形態の厚さT0、及び厚さT2は一例であり、バンパアブソーバ20の材質、形状等によって適宜変更されるものである。
下側アブソーバ部26は、上側アブソーバ部24と対向する下側凹部壁面22Bが、凹部22の開口側(車両前方向側)よりも底部側(車両後方向側)が上側アブソーバ部24に接近している斜面とされている。即ち、下側凹部壁面22Bは、水平方向に対して車両後方向側が車両前方向側よりも上側となるように傾斜している。なお、本実施形態の下側凹部壁面22Bは、上側凹部壁面22Aよりも水平方向に対する傾斜角度が小さく設定されている。
次に、本実施形態のバンパ構造10の作用を説明する。
先ず最初に、フルラップ前面衝突について説明する。本実施形態のバンパ構造10をフロントバンパに適用した車両が障壁(バリア)等にフルラップ前面衝突した時には、バンパアブソーバ20の全体が車両前後方向に圧縮変形して効率的に衝突荷重が吸収される。
凹部22は車幅方向に円弧形状に形成されたバンパアブソーバ20の車幅方向中央部分に設けられているので、衝突初期において、バリア18を凹部22の内方へ確実に取り込むことができる。
次に、本発明のバンパ構造の第2の実施形態を図5にしたがって説明する。なお、第1の実施形態と同一構成には同一符合を付し、その説明は省略する。第2の実施形態では、本発明のバンパ構造をスポーツカー等の比較的車高の低い車両のリアバンパに適用した例である。
なお、その他の作用、効果は、第1の実施形態と同様であるので、説明は省略する。
次に、本発明のバンパ構造の第3の実施形態を図6にしたがって説明する。なお、第1の実施形態と同一構成には同一符合を付し、その説明は省略する。第3の実施形態では、本発明のバンパ構造をRV車等の比較的車高の高い車両のフロントバンパに適用した例を説明する。
バンパアブソーバ20の上側部分はバンパリンフォース16の上面16Cよりも上側へ突出(寸法T3)しているが、バンパリンフォース16の前面16Aよりも車両後方向側へは突出していない。
本実施形態では、下側アブソーバ部26が本発明の第1アブソーバ部に相当する。
下側アブソーバ部26は、車両前方向側へ凸となる山形状とされ、上側アブソーバ部24と対向する下側凹部壁面22Bが、凹部22の開口側(車両前方向側)よりも底部22C側(車両後方向側)が上側アブソーバ部24に接近している斜面とされている。即ち、下側凹部壁面22Bは、水平方向に対して車両後方向側が車両前方向側よりも上側となるように斜め上向きに傾斜している。
本実施形態では、水平方向に対する下側凹部壁面22Bの傾斜角度が略45°であるが、例えば、30°〜60°の範囲内に設定されても良い。なお、下側凹部壁面22Bの傾斜角度はこれらの角度に限定されるものではない。
また、本実施形態では、下側アブソーバ部26の車両前方向側頂部26Tの路面からの高さ位置が、バンパリンフォース16の下面16Bよりも上側に位置しており、また、IIHSの微小ラップ試験に用いるバリア18の高さ方向中心位置18CLよりも下側に位置している。
本実施形態では、上側アブソーバ部24が本発明の第2アブソーバ部に相当する。
上側アブソーバ部24は、下側アブソーバ部26と対向する上側凹部壁面22Aが、凹部22の開口側(車両前方向側)よりも底部側(車両後方向側)が下側アブソーバ部26に接近している斜面とされている。即ち、上側凹部壁面22Aは、水平方向に対して車両後方向側が車両前方向側よりも下側となるように斜め下向きに傾斜している。
次に、本実施形態のバンパ構造10の作用を説明する。
本実施形態のバンパ構造10をフロントバンパに適用した車両がRV車等、比較的車高が高い場合には、本実施形態のバンパ構造10が適用された自車のフロントバンパは、衝突相手(前方の車両のリアバンパ、IIHSの微小ラップバリア試験ではバリア)よりも相対的に高くなる。
しかしながら、本実施形態のバンパ構造10が車両に適用されている場合には、衝突初期においては、バリア18は下側アブソーバ部26の下側凹部壁面22Bにガイドされて、バリア18は相対的に上方へ変位して自車のオーバーライドが防止され、バリア18と自車のバンパ構造10におけるバンパアブソーバ20とのラップ量が増加する。
次に、本発明のバンパ構造の第4の実施形態を図7にしたがって説明する。なお、前述した実施形態と同一構成には同一符合を付し、その説明は省略する。第4の実施形態では、本発明のバンパ構造をRV車等の比較的車高の高い車両のリアバンパに適用した例である。
なお、その他の作用、効果は、第3の実施形態と同様であるので、説明は省略する。
何れの実施形態のバンパ構造10においても、バンパアブソーバ20に最適化された凹部22を設けるという簡単な構成で、アンダーライドまたはオーバーライドを効果的に防止することができ、部品点数は最小限に抑えられている。
16 バンパリンフォース
20 バンパアブソーバ
22 凹部
22A 上側凹部壁面(斜面)
22B 下側凹部壁面(斜面)
24 上側アブソーバ部(第1アブソーバ部、第2アブソーバ部)
24T 車両前方向側頂部(車両前後方向外側端部)
26 下側アブソーバ部(第1アブソーバ部、第2アブソーバ部)
26T 車両前方向側頂部(車両前後方向外側端部)
116 バンパリンフォース
Claims (7)
- バンパリンフォースと、
前記バンパリンフォースよりも車両前後方向外側に配置されるバンパアブソーバと、
前記バンパアブソーバに設けられ、上下方向中間部に形成されて車両前後方向外側に向けて開口する凹部を挟んで上下方向の一方側に配置される第1アブソーバ部及び前記凹部を挟んで上下方向の他方側に配置される第2アブソーバ部と、
を備え、
前記第1アブソーバ部の前記第2アブソーバ部と対向する凹部壁面は、前記凹部の開口側よりも底部側が前記第2アブソーバに接近していると共に前記バンパリンフォースと高さ方向にオーバーラップした斜面とされ、
前記第2アブソーバ部は、前記バンパリンフォースの車両前後方向外側面から車両前後方向外側で、前記バンパリンフォースの第2アブソーバ側の車両上下方向端部よりも第1アブソーバ部側とは反対側へ突出している、バンパ構造。 - 前記第1アブソーバ部は、前記第2アブソーバ部の上側に配置されている、請求項1に記載のバンパ構造。
- 前記第1アブソーバ部は、前記第2アブソーバ部の下側に配置されている、請求項1に記載のバンパ構造。
- 前記第2アブソーバ部は、前記バンパリンフォースの車両前後方向外側面から車両前後方向内側へ突出していない、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のバンパ構造。
- 前記第1アブソーバ部は、前記第2アブソーバ部とは反対側の部分が、前記バンパリンフォースの第1アブソーバ部側の車両上下方向端部よりも第2アブソーバ部側とは反対側に突出すると共に、前記バンパリンフォースの車両前後方向外側面よりも車両前後方向内側へ突出している、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載のバンパ構造。
- 前記第1アブソーバ部の車両前後方向外側端部の路面からの高さ位置が、前記バンパリンフォースの車両上下方向中間部に位置している、請求項1〜請求項5の何れか1項に記載のパンバ構造。
- 前記凹部は、前記バンパアブソーバの車幅方向中央部のみに設けられている、請求項1〜請求項6の何れか1項に記載のパンバ構造。
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