JP3649999B2 - 回転再生式熱交換器の運転方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼片加熱炉、鋼片熱処理炉、鋼塊均熱炉などの炉に設置されている回転再生式熱交換器の運転方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
鋼片加熱炉や熱処理炉などの炉から排出される高温の排ガスの保有熱を回収するために、従来から回転再生式熱交換器が使用されている。この回転再生式熱交換器は、図1に示すようにハウシング1の内部をセクタープレート2により分割し、その片側に排ガスを流し、他方の側に燃焼空気を流しながらこのハウシング1の内部でロータ3を回転させ、熱交換を行わせるものである。
【0003】
ロータ3には波板鋼鈑等よりなる蓄熱体が設けられており、排ガス側で加熱され、燃焼ガス側に回転して燃焼空気を予熱する。回転再生式熱交換器は従来主として400℃以下の低温の排ガスに用いられていたのであるが、近年においては使用可能温度が1000℃付近まで高まっている。そのためロータ3の熱膨張が大きくなり、特に炉の昇温時等のように炉温が大きく変動する時には、ハウシング1の熱膨張とロータ3の熱膨張とがアンバランスになって、回転摺動部で過接触が生じ、ロータ3の回転が停止してしまうことがあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記した従来の問題点を解決し、炉温が大きく変動する時にも回転摺動部の過接触を防止することができる回転再生式熱交換器の運転方法を提供するためになされたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するためになされた本発明は、炉の排ガスから排熱回収を行う回転再生式熱交換器の排ガス入り側に、この回転再生式熱交換器を出た排ガスの一部を戻すことにより、炉温変動時における排ガス入り側の排ガス温度の急激な変化を防止することを特徴とするものである。
なお、排ガス出側に設けられた外気吸引ダンパーから外気を吸引することにより、回転再生式熱交換器に入る排ガス量を抑制する手段を併用してもよい。そして排ガス入り側の排ガス温度を、150℃/Hr以下に抑制することが好ましい。
【0006】
本発明の回転再生式熱交換器の運転方法によれば、炉の昇温時等に回転再生式熱交換器を出た排ガスの一部をこの回転再生式熱交換器の排ガス入り側に戻すことにより、排ガス入り側の排ガス温度の急激な変化を防止することができるので、熱交換器の全体が均一に膨張収縮するようになり、ハウシングの熱膨張とロータの熱膨張とのアンバランスによる回転摺動部の過接触を防止することができる。またこれと同時に排ガス出側に設けられた外気吸引ダンパーから外気を吸引するようにすれば、回転再生式熱交換器に入る排ガス量を抑制できるので、さらに確実に排ガス入り側の排ガス温度の急激な変化を防止することができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の好ましい実施形態を示す。
図2は本発明の第1の実施形態を示す図である。この図中、10は図1に示した回転再生式熱交換器であり、図示しない鋼片加熱炉や熱処理炉などの炉から排出される高温の排ガスと、燃焼ブロワ11からバーナに供給される燃焼空気との間で熱交換を行っている。回転再生式熱交換器10の出側の排ガス流路12には排ガス吸引ブロワ13が設置されており、回転再生式熱交換器10を通過して温度降下した排ガスを煙突14に送っている。
【0008】
15は、この排ガス吸引ブロワ13と煙突14との間から排ガスの一部を抜き出す排ガス循環流路である。本発明では、この排ガス循環流路15により抜き出された低温の排ガスは、希釈ダンパー16を経由して回転再生式熱交換器10の入り側の排ガス流路17に戻される。この希釈ダンパー16の開閉は、温度制御プログラム17により制御されている。温度制御プログラム17は、入り側の排ガス流路17に設けられた温度センサ18により回転再生式熱交換器10の入り側の排ガス温度をモニタリングし、炉の昇温時等のように炉温が変動して排ガス温度が急激に高まった場合には、希釈ダンパー16の開度を大きくして排ガス循環流路15からの低温の排ガスを入り側の排ガス流路19に導入し、回転再生式熱交換器10の入り側の排ガス温度の急上昇を抑制する。
【0009】
排ガス温度の上昇勾配は、回転再生式熱交換器10の回転摺動部の過接触を発生させない程度に設定すればよく、例えば回転再生式熱交換器10の入り側の排ガス温度の変動を常に150℃/Hr以下に抑制することが好ましい。これによりハウシングの熱膨張とロータの熱膨張とのアンバランスによる回転摺動部の過接触を防止することができる。
なお、このように入り側の排ガス温度を抑制することは回転再生式熱交換器10の熱効率を低下させるので、炉温が安定した後は速やかに希釈ダンパー16を閉じることが好ましい。
【0010】
図3に示す第2の実施形態では、回転再生式熱交換器10の出側の排ガス流路12に新たに外気吸引ダンパー20を設けてある。この外気吸引ダンパー20も第1の実施形態と同様に温度制御プログラム17により開閉を制御される。外気吸引ダンパー20が開かれると煙突14でのドラフトにより外気が吸引され、その分だけ回転再生式熱交換器10に流入する排ガス量及び排ガス熱量が減少するので、回転再生式熱交換器10の入り側の排ガス温度の急上昇を抑制する効果が得られる。
【0011】
このように第2の実施形態では、第1の実施形態に示された低温の排ガスを、希釈ダンパー16を経由して回転再生式熱交換器10の入り側の排ガス流路19に戻す手段と、外気吸引ダンパー20による外気吸引手段との併用により、より確実に排ガス温度の制御を行うことができる。
以下に本発明の実施例を示す。
【0012】
【実施例】
(実施例1)
鋼片加熱炉に設置された回転再生式熱交換器に本発明を適用した。この鋼片加熱炉は、常温から鋼材の目標加熱温度まで昇温されるものであり、かつ鋼材の目標加熱温度も900〜1300℃の範囲でバラツキがある。従って、回転再生式熱交換器の入り側排ガス温度も常温〜1000℃程度の範囲で変動するものである。
【0013】
回転再生式熱交換器の入り側排ガス温度の上昇は、なりゆきに任せた場合には加熱作業時に200℃/Hr以上となり、急激な温度上昇に伴う摺動部の過接触が原因で回転駆動装置が過負荷となり、熱交換が中断されることがあった。これに対して図3に示したように、回転再生式熱交換器通過後の低温の排ガスを回転再生式熱交換器10の入り側の排ガス流路19に希釈ダンパー16を介して戻すとともに、外気吸引ダンパー20から外気を吸引して昇温時における回転再生式熱交換器の入り側排ガス温度の変動を100℃/Hr以下に抑制したところ、過接触による回転駆動装置の過負荷はなくなり、連続して安定な熱交換を行うことができた。
【0014】
(実施例2)
目標加熱温度が900〜1400℃の範囲でばらつく鋼塊均熱炉に設置された回転再生式熱交換器に、本発明を適用した。この回転再生式熱交換器の入り側排ガス温度は常温〜1200℃の範囲で変動するものである。回転再生式熱交換器の入り側排ガス温度の変動は、温度制御を行わない場合には300℃/Hr以上となり、急激な温度上昇に伴う摺動部の過接触が原因で回転駆動装置が過負荷となり、熱交換が中断されることがあった。
【0015】
しかし図2に示したように回転再生式熱交換器通過後の低温の排ガスを回転再生式熱交換器10の入り側の排ガス流路19に希釈ダンパー16を介して戻すことによって回転再生式熱交換器の入り側排ガス温度の変動を150℃/Hr以下に抑制したところ、過接触による回転駆動装置の過負荷はなくなり、連続して安定な熱交換を行うことができた。
【0016】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明によれば炉の排ガスから排熱回収を行う回転再生式熱交換器の排ガス入り側に、この回転再生式熱交換器を出た低温の排ガスの一部を戻すことにより、炉温の急激な変動時における入り側排ガス温度の急激な変化を防止するようにしたので、熱膨張のアンバランスによる回転再生式熱交換器の回転摺動部の過接触を防止することができる効果がある。また請求項2の発明のように外気吸引手段を併用すれば、より効果的に入り側排ガス温度の制御が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】回転再生式熱交換器の断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態を示す系統図である。
【図3】本発明の第2の実施形態を示す系統図である。
【符号の説明】
1 ハウシング
2 セクタープレート
3 ロータ
10 回転再生式熱交換器
11 燃焼ブロワ
12 出側の排ガス流路
13 排ガス吸引ブロワ
14 煙突
15 排ガス循環流路
16 希釈ダンパー
17 温度制御プログラム
18 温度センサ
19 入り側の排ガス流路
20 外気吸引ダンパー

Claims (3)

  1. 炉の排ガスから排熱回収を行う回転再生式熱交換器の排ガス入り側に、この回転再生式熱交換器を出た排ガスの一部を戻すことにより、炉温変動時における排ガス入り側の排ガス温度の急激な変化を防止することを特徴とする回転再生式熱交換器の運転方法。
  2. 排ガス出側に設けられた外気吸引ダンパーから外気を吸引することにより、回転再生式熱交換器に入る排ガス量を抑制する請求項1記載の回転再生式熱交換器の運転方法。
  3. 排ガス入り側の排ガス温度を150℃/Hr以下に抑制する請求項1〜3のいずれか記載の回転再生式熱交換器の運転方法。
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