JP3647630B2 - アミノ基変性ポリビニルアルコールの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、アミノ基変性ポリビニルアルコールの製造方法に関する。さらに詳しくは、着色のないアミノ基変性ポリビニルアルコールを得ることが可能な製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ポリビニルアルコール(以下、PVAと略記することがある。)は各種バインダー、接着剤あるいは表面処理剤として広く使用されており、造膜性および強度において他の水溶性樹脂の追随を許さぬ優れた性能を有することが知られている。しかしながら、PVAは水溶性であるため、耐水性、特に低温で乾燥する場合の耐水性が低いという欠点があり、この欠点を改良するための種々の方法が検討されてきた。例えば、PVAをグリオキザール、グルタルアルデヒドあるいはジアルデヒドデンプン、水溶性エポキシ化合物、メチロール化合物等で架橋させる方法が知られている。しかしながら、この方法でPVAを十分耐水化するためには100℃以上、特に120℃以上の高温で長時間熱処理することが必要である。また低温乾燥で耐水化するためには、例えばpH2以下のような強酸性条件が知られているが、この場合にはPVA水溶液の粘度安定性が悪く使用中にゲル化するという問題があり、耐水性も不十分であるという欠点を有している。このような状況の中で、本発明者らはアミノ基変性PVAを見出しているが、アミノ基変性PVAは製造する際に、アミノ基の酸化が起こり、黄色に着色するという問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、アミノ基変性PVAの反応性や放置安定性等を低下させることなく、製造時に着色が生じないアミノ基変性PVAの製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記の問題点を解決すべく鋭意検討した結果、アミノ基変性ポリビニルアルコールの製造時の乾燥工程において、有機溶剤を含有するアミノ基変性ポリビニルアルコールを、酸性化合物の存在下で乾燥することを特徴とするアミノ基変性ポリビニルアルコールの製造方法を見出し、本発明を完成させるに至った。
【0005】
【発明の実施の形態】
有機溶剤を含有するアミノ基変性PVAの乾燥は、酸性化合物の存在下で行われる。酸性化合物の添加方法としては、アルコールなどの溶剤中で行うのが好ましい。添加時の温度には特に制限はないが、−30〜150℃の範囲が適当である。酸性化合物の添加量としては、アミノ基変性ポリビニルアルコールに対して、0.01〜10重量%が好ましく、0.05〜5重量%がより好ましい。酸性化合物の添加量が0.01重量%未満ではその効果が低く、10重量%を越えるとアミノ基変性PVAの水溶性が損なわれる場合がある。
【0006】
酸性化合物としては、アミノ基変性PVA中のアミノ基のpKaよりも小さいpKaを有するものが好ましい。具体的には、有機酸、無機酸が挙げられる。有機酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、コハク酸、グルコン酸、フマル酸、DLリンゴ酸などが挙げられる。無機酸としては、塩酸、硫酸、硝酸などが挙げられる。
【0007】
本発明に使用するアミノ基変性PVAとしては、各種のものが挙げられる。例えば、下記の化2で表される構成単位を有するアミノ基変性PVA、アミノ基を有するアルデヒドをアセタール化反応させて得られたアミノ基変性PVA、アミノ安息香酸ビニル単位を有するアミノ基変性PVA等が挙げられる。
【0008】
【化2】
【0009】
(ここで、R1,R2,R3,R4およびR5は水素原子または炭素数8以下の炭化水素基を表し、Aは2価の炭化水素基を表し、Sは硫黄原子を表し、Xはアミノ基を含有する1価の基を表す。)
【0010】
化2で表される構成単位中のR1,R2,R3,R4およびR5は、水素原子または置換基を有していてもよい炭素数8以下の炭化水素基である。好ましい態様としては、R1が水素原子であり、R2が水素原子またはメチル基であり、R3,R4およびR5が水素原子または炭素数8以下(好ましくは炭素数6以下)の炭化水素基が好ましい。なお、R3とR4(またはR5)が一緒になって環を形成することも差し支えない。
【0011】
化2で表される構成単位中のAは、窒素原子、酸素原子または硫黄原子を含んでいても良い2価の炭化水素基である。具体例としては、−(CH2)n−(n=1〜10、好適には1〜8)、−CH2OCH2−、−OCH2−、−CONH−ph−OCH2−、−CONHCH2−、−CONHCH2OCH2−、−CONHCH2OCH2CH2−、−CONHCH2OCH2CH2CH2−、−CONHCH2OCH2CH2CH2CH2−、−CONHCH2−ph(CH3)2−CH2−等が挙げられる。(なお、phはフェニル基を意味する。)
【0012】
化2で表される構成単位中のXは、アミノ基を含有する一価の基である。具体的には、−ph−NH2(1,2−)、−ph−NH2(1,3−)、−ph−NH2(1,4−)、−CH2−ph−NH2(1,2−)、−CH2−ph−NH2(1,3−)、−CH2−ph−NH2(1,4−)、−CH2CH2−ph−NH2(1,2−)、−CH2CH2−ph−NH2(1,3−)、−CH2CH2−ph−NH2(1,4−)、−ph(CH3)−NH2(1,2,3−)、−ph(CH3)−NH2(1,2,4−、−ph(CH3)−NH2(1,2,5−)、−ph(CH3)−NH2(1,2,6−)、−nph−NH2(1,2−)、−nph−NH2(1,4−)、−nph−NH2(1,8−)等が挙げられる。(なお、phはフェニル基を意味し、nphはナフタレン基を意味する。)上記カッコ中に2個の数字がある場合には、最初の数字はフェニル基に−S−が結合している位置(全ての場合1となる。)を示し、2番目の数字は−NH2基が結合している位置(フェニル基に−S−が結合している位置を1とする。)を示す。なお、上記カッコ中に3個の数字がある場合には、最初の数字はフェニル基に−S−が結合している位置(全ての場合1となる。)を示し、2番目の数字は他の置換基の位置を示し、3番目の数字は−NH2基が結合している位置を示す。
【0013】
アミノ基からなる構成単位の含有量としては、0.01〜30モル%が好ましく、0.02〜20モル%がより好ましく、0.05〜15モル%が特に好ましい。該構成単位の含有量が0.01モル%未満の場合には導入効果が十分ではなく、30モル%を越える場合にはアミノ基変性PVAの保存安定性が低下する。
【0014】
本発明におけるアミノ基変性PVAの粘度平均重合度(以下、重合度と略記する。)は特に制限はないが、通常50〜10000、好ましくは100〜7000、より好ましくは100〜5000である。けん化度についても特に制限はないが、通常50モル%以上、好ましくは70モル%以上である。けん化度が50モル%より低い場合にはアミノ基変性PVAの水溶性が低下する。
【0015】
本発明におけるアミノ基変性PVAは、アミノ基からなる構成単位を除くと、ビニルアルコール単位またはビニルアルコール単位とビニルエステル単位からなる。ビニルエステル単位としては、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル等の単位が挙げられる。
【0016】
また、本発明におけるアミノ基変性PVAは、上記以外のモノマー単位を含有してもよい。このような単位としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテンなどのオレフィン類;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸などの不飽和酸類あるいはその塩あるいはその炭素数1〜18のモノもしくはジアルキルエステル類;アクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩などのアクリルアミド類;メタクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、2−メタクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩などのメタクリルアミド類;N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミドなどのN−ビニルアミド類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル類;炭素数1〜18のアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、アルコキシアルキルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、臭化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;トリメトキシビニルシランなどのビニルシラン類、酢酸アリル、塩化アリル、アリルアルコール、ジメチルアリルアルコール、トリメチル−(3−アクリルアミド−3−ジメチルプロピル)−アンモニウムクロリド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸塩等の単位が挙げられる。
【0017】
本発明におけるアミノ基変性PVAは、ビニルエステルモノマーとエポキシ基を有するビニルモノマーとの共重合体に、アミノ基を有するチオールを反応させた後、加水分解することにより得られる。
【0018】
ビニルエステルモノマーとエポキシ基を有するビニルモノマーとの共重合の方法としては、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法などの公知の方法が挙げられる。その中でも、無溶媒あるいはアルコールなどの溶媒中で重合する塊状重合法や溶液重合法が通常採用される。また、高重合度のものを得る場合には、乳化重合法が採用される。溶液重合時に溶媒として使用されるアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールなどの低級アルコールが挙げられる。共重合に使用される開始剤としては、例えば、α,α'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、過酸化ベンゾイル、n−プロピルパーオキシカーボネートなどのアゾ系開始剤または過酸化物系開始剤などの公知の開始剤が挙げられる。重合温度については特に制限はないが、−30〜150℃の範囲が適当である。
【0019】
ビニルエステルモノマーとエポキシ基を有するビニルモノマーとの共重合に使用されるエポキシ基を有するビニルモノマーとしては、アリルグリシジルエーテル、メタクリルグリシジルエーテル、1,2−エポキシ−5−ヘキセン、1,2−エポキシ−7−オクテン、1,2−エポキシ−9−デセン、8−ヒドロキシ−6,7−エポキシ−1−オクテン、8−アセトキシ−6,7−エポキシ−1−オクテン、N−(2,3−エポキシ)プロピルアクリルアミド、N−(2,3−エポキシ)プロピルメタクリルアミド、4−アクリルアミドフェニルグリシジルエーテル、3−アクリルアミドフェニルグリシジルエーテル、4−メタクリルアミドフェニルグリシジルエーテル、3−メタクリルアミドフェニルグリシジルエーテル、N−グリシドキシメチルアクリルアミド、N−グリシドキシメチルメタクリルアミド、N−グリシドキシエチルアクリルアミド、N−グリシドキシエチルメタクリルアミド、N−グリシドキシプロピルアクリルアミド、N−グリシドキシプロピルメタクリルアミド、N−グリシドキシブチルアクリルアミド、N−グリシドキシブチルメタクリルアミド、4−アクリルアミドメチル−2,5−ジメチル−フェニルグリシジルエーテル、4−メタクリルアミドメチル−2,5−ジメチル−フェニルグリシジルエーテル、アクリルアミドプロピルジメチル(2,3−エポキシ)プロピルアンモニウムクロリド、メタクリルアミドプロピルジメチル(2,3−エポキシ)プロピルアンモニウムクロリド、メタクリル酸グリシジル等が挙げられる。
【0020】
アミノ基変性PVAの製造において、チオール基もしくはチオエステル基とエポキシ基との反応は、無溶媒、またはチオール基もしくはチオエステル基を有する化合物ならびにエポキシ基を有する化合物を溶解もしくは膨潤させる溶剤中で実施される。このような溶剤としては、メタノール、エタノール、n−ブチルアルコール等のアルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル類やn−ヘキサン等の炭化水素類が挙げられる。これらの溶剤は単独もしくは混合して使用される。反応条件は、エポキシ基の構造やチオールもしくはチオエステルの構造により異なるが、溶剤を使用する場合には、ポリマー濃度5〜90%、チオール基もしくはチオエステル基の濃度/エポキシ基濃度=1.0〜5.0(モル比)、反応温度0〜250℃、反応時間0.01〜20時間である。ここで、チオールとの反応では3級アミン(例えばトリエチルアミン、ピリジン等)、ホスフィン(例えばトリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等)、水酸化ナトリウム、酢酸ナトリウム、テトラエチルアンモニウムヒドロオキサイド、ナトリウムメチラートなどの塩基性化合物が反応触媒として有効であり、チオエステルとの反応ではトリブチルアンモニウムクロリド、トリブチルアンモニウムブロミド等の4級アンモニウム塩が反応触媒として有効である。また、チオールの酸化を防止するために、反応系を脱気あるいは窒素置換したり、酸化防止剤等を添加することもできる。
【0021】
ビニルエステルモノマーとエポキシ基を有するビニルモノマーとの共重合体に反応させるフェニル基に結合した1級アミノ基を有するチオールとしては、2−アミノチオフェノール、3−アミノチオフェノール、4−アミノチオフェノール、2−(N−メチル)アミノチオフェノール、3−(N−メチル)アミノチオフェノール、4−(N−メチル)アミノチオフェノール、2−(N,N−ジメチル)アミノチオフェノール、3−(N,N−ジメチル)アミノチオフェノール、4−(N,N−ジメチル)アミノチオフェノール等が挙げられる。また、これらの酢酸エステルや安息香酸エステル等のエステルも使用できる。
【0022】
チオール基もしくはチオエステル基とエポキシ基との反応に引き続く加水分解には、通常のポリビニルエステルのけん化で用いられる塩基性触媒または酸触媒を用いたけん化反応が適用できる。すなわち、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート等の塩基性触媒やp−トルエンスルホン酸等の酸性触媒を用い、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール等のアルコールやグリコールを溶媒に用いて反応が行われる。この場合、ビニルエステル系重合体や触媒の溶解性を向上するために、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トルエン、アセトン、水等の溶剤が適宜混合して使用される。けん化反応の条件は、使用するアミノ基変性PVAの構造や目的とするアミノ基変性PVAのけん化度によって適宜調整されるが、通常、けん化は触媒濃度/ビニルエステル単位濃度(モル比)=0.001〜1.2、反応温度20〜180℃、反応時間0.1〜20時間の範囲で実施される。
【0023】
本発明の製造方法により得られるアミノ基変性PVAは、従来のPVAにはない反応性を有しており、特定の色に着色するといった問題点もないことから、紙用オーバーコート剤とりわけ高温で熱処理のできない感熱紙用オーバーコート剤に好適に使用される。また、合板二次加工用接着剤等の無機物あるいは有機物用接着剤、セラミックス用バインダー、顔料用分散剤、架橋性エマルジョンの重合安定剤、ゼラチンブレンドあるいは感光性樹脂等の画像形成材料、菌体固定ゲルあるいは酵素固定ゲル等のハイドロゲル用基材、塗料用ビヒクル、無機質材料あるいは有機質材料の処理剤(たとえば表面コート剤)に有効に使用される。さらに、フィルム、シート、繊維などの成形物にも使用できる。さらに、従来水溶性樹脂が使用されていた用途にも広範に使用できる。
【0024】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。なお実施例中特に断りのない限り、「%」および「部」はそれぞれ「重量%」および「重量部」を意味する。
【0025】
合成例1(エポキシ基を有する酢酸ビニル系重合体の合成例)
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管及び温度計を備えた反応器に、酢酸ビニルモノマー405部、アリルグリシジルエーテル11部およびメタノール30部を仕込み、窒素ガスを15分バブリングして脱気した。別途、メタノール15部に2,2’−アゾビスイソブチロニトリル4.5部を溶解した開始剤溶液を調製し、窒素ガスのバブリングにより窒素置換した。
反応器の昇温を開始し、内温が60℃となったところで、別途調製した開始剤溶液を添加して重合を開始した。60℃で4時間重合した後、冷却して重合を停止した。この時の固形分濃度は54.8%であった。続いて30℃、減圧下でメタノールを時々添加しながら未反応の酢酸ビニルモノマーの除去を行い、ポリ酢酸ビニル共重合体のメタノール溶液(濃度44.5%)を得た。このメタノール溶液の一部をエーテル中に投入してポリマーを回収し、アセトン−エーテルで2回再沈精製した後、40℃で減圧乾燥した。この精製ポリマーについて、CDCl3を溶媒にしてプロトンNMR(日本電子製、GSX−270)測定およびアセトン中の極限粘度測定(JIS)を実施し粘度平均分子量を算出したところ、アリルグリシジルエーテル単位(エポキシ基)を2.1モル%含有する粘度平均分子量が80×103の酢酸ビニル系重合体であった。
【0026】
実施例1
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管及び温度計を備えた反応器に、上記の合成例1で得られたエポキシ基を有する酢酸ビニル系重合体のメタノール溶液(濃度44.5%)100部を計り取り15分窒素ガスをバブリングした後、2−アミノチオフェノール8.0部と水酸化ナトリウム0.03部をメタノール48部に溶解したものを仕込んだ。撹拌しながら50℃で2時間反応させた後、40℃に冷却した。次に、濃度10%の水酸化ナトリウムのメタノール溶液20部を添加し、40℃で5時間放置することによりけん化反応を行った。得られたものを粉砕した後、酢酸8部を加えて中和した。次に、ソックスレー抽出器を用いてメタノールで48時間以上洗浄した。洗浄後のアミノ基変性PVA100部に対して、酒石酸2部をメタノール200部に溶解した溶液を加え、20℃で1時間放置し、含浸を行った。その後、60℃で20時間以上乾燥することにより、アミノ基(アニリン基)変性PVAを得た。該変性PVAのIRおよびプロトンNMR(d6 −DMSO)を測定したところ、エポキシ基は完全に消失しており、2.1モル%のアニリン基の導入が確認された。該変性PVAのビニルアルコール単位の含量は97.0モル%であった。該変性PVAの4%DMSO溶液を調製し、20℃で粘度を測定したところ、61.2cpであった。次に、該変性PVAの1%水溶液を調製し、目視で観察したところ、着色は認められず、UVスペクトルの測定においても可視部に吸光はなかった。
【0027】
実施例2
実施例1で用いた酒石酸に代えて、クエン酸を用いる以外は実施例1と同様にしてアミノ基変性PVAを得た。結果を表1に示す。
【0028】
実施例3
実施例1で用いた酒石酸に代えて、1規定塩酸を用いる以外は実施例1と同様にしてアミノ基変性PVAを得た。結果を表1に示す。
【0029】
実施例4
実施例1で用いた酒石酸に代えて、1規定硫酸を用いる以外は実施例1と同様にしてアミノ基変性PVAを得た。結果を表1に示す。
【0030】
比較例1
実施例1で用いた酒石酸を用いない以外は実施例1と同様にしてアミノ基変性PVAを得た。結果を表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
【発明の効果】
本発明の製造方法は、アミノ基変性PVAの耐水性、放置安定性等の諸物性を低下させることなく、製造時の着色を防止しうることが可能である。本発明の製造方法により得られたアミノ基変性PVAは、紙用加工剤、木材、合板、紙、プラスチック、繊維、無機物等の接着剤や処理剤、各種塗料、フィルムやシートなどの成形物、セメント添加剤などに有用である。
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