JP3913320B2 - 二重結合を有するビニルアルコール系重合体 - Google Patents

二重結合を有するビニルアルコール系重合体 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は新規な変性ビニルアルコール系重合体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ビニルアルコール系重合体(以下「PVA」と略記する)は数少ない結晶性の水溶性高分子として優れた界面特性および強度特性を有することから、紙加工、繊維加工およびエマルジョン用の安定剤に利用されているほか、PVA系フィルムおよびPVA系繊維等の原料として重要な地位を占めている。また、結晶性を制御したり、官能基を導入して特定の性能を向上させた高機能化の追求も行われており、変性PVAも種々開発されている。
【0003】
ラジカル重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する変性PVAについても種々開発されている。特開平03-192103号によると、酸性の熱水中で、カルボン酸変性ビニルアルコール系重合体とグリシジルメタクリレートとを反応させる方法が提案されている。しかしながら、この方法では、酸性の熱水中で長時間反応させる必要があり、カルボン酸とグリシジル基との反応性が低いことから、多量のグリシジルメタクリレートが必要である。したがって、この方法では、エチレン性不飽和二重結合の導入量が低く、得られたPVAの水溶液はスチレン等のモノマー類を乳化させる能力が低いという問題点があった。また、特開平04-303842号によると、アミノ基変性ビニルアルコール系重合体と、エポキシ基およびエチレン性不飽和二重結合を含有する化合物(例:グリシジルメタクリレート)とを反応させる方法が提案されている。しかしながら、反応に用いるアミノ基変性PVAは、工業的にも合成しにくい上、得られたPVAの水溶液はスチレン等のモノマー類を乳化させる能力が低いという問題点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、PVA本来の性質を保持しつつ、他のエチレン性不飽和二重結合を有する単量体とラジカル重合することが可能な新規なPVAを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を鑑み鋭意検討した結果、下記の化2で表される構造単位が側鎖または末端に結合したビニルアルコール系重合体を見出し、本発明を完成させるに至った。
【0006】
【化2】
Figure 0003913320
【0008】
(ただし、R 〜R およびR 〜R 11 は水素原子または炭素数8以下の炭化水素基であり、R は酸素原子、窒素原子または硫黄原子を有していてもよい2価の炭化水素基であり、nは1〜6の整数であり、Xは酸素原子、窒素原子または硫黄原子で中断されていてもよい炭素数8以下の炭化水素基を表す。)
【0011】
【発明の実施の形態】
化2におけるR 〜R は水素原子または炭素数8以下の炭化水素基であり、水素原子またはメチル基が好ましい。R は酸素原子、窒素原子または硫黄原子を有していてもよい2価の炭化水素基である。R 〜R 11 は水素原子または炭素数8以下の炭化水素基であり、好ましくは水素原子または炭素数3以下の炭化水素基である。nは1〜6の整数であり、1〜3がより好ましい。Xは酸素原子、窒素原子または硫黄原子で中断されていてもよい炭素数8以下の炭化水素基であり、炭素数3以下の炭化水素基または下記の化3〜化5から選ばれる連結基が好ましい。
【0012】
【化3】
Figure 0003913320
【0013】
(ただし、化3における炭素・酸素二重結合側が、化2において二重結合を構成する炭素原子に連結する。)
【0014】
【化4】
Figure 0003913320
【0015】
(ただし、化4における炭素・酸素二重結合側が、化2において二重結合を構成する炭素原子に連結する。R 12 は水素原子または炭素数8以下の炭化水素基を表し、好ましくは水素原子または炭素数3以下の炭化水素基である。)
【0016】
【化5】
Figure 0003913320
【0017】
(ただし、化5におけるメチレン基側が、化2において二重結合を構成する炭素原子に連結する。)
【0018】
化2で表される構成単位の一部を構成する芳香族環としては、ベンゼン環の他に、水素原子、メチル基、メトキシ基、ニトロ基およびヒドロキシ基の中から選ばれる置換基を有しているものでもよい。また、ベンゼン環がさらに結合したナフタレン環でもよい化2おいて芳香族環に窒素原子で結合した二重結合を有する構造単位はオルト、メタ、パラのどの位置に置換していてもよい
【0021】
は炭素数20以下、好ましくは15以下の炭化水素基を表し、具体的には−CHOCH−、−OCH−、−CONH−φ−OCH−、−CONHCH−、−CONHCHOCH−、−CONHCHOCHCH−、−CONHCHOCHCHCH−、−CONHCHOCHCHCHCH−、−CONHCH−φ(CH−CH−等が挙げられる。なお、φはフェニレン基を意味する。
【0022】
化2で表される構造単位は、PVAの側鎖あるいは末端に結合していてもよいが、側鎖に結合しているものが好ましい。この構造単位は、PVAの主鎖に直接結合していてもよく、何らかのスペーサーを介して主鎖に結合していてもよい
【0023】
本発明のPVA中における二重結合を有する構造の含有量は、通常0.01〜30モル%、好ましくは0.1〜20モル%、さらに好ましくは0.5〜10モル%である。含有量が極端に少ない場合には本発明の目的を十分果たし得ず、極端に多い場合にはビニルアルコール系重合体が本来有する水溶性などの特徴が失われ、保存安定性などが悪化する。
【0024】
本発明のPVAの分子量は特に制限はないが、該PVAの4%ジメチルスルホキシド(DMSO)溶液の20℃での粘度(ブルックフィールド粘度計で測定)で表して、3〜10,000mPa・が好ましく、3〜5000mPa・がより好ましく、5〜1000mPa・がさらに好ましい。
本発明のPVAのけん化度は、水溶性もしくは水分散性であれば特に制限はないが、通常は65モル%以上、好ましくは80モル%以上である。
【0025】
本発明のPVAは、二重結合を有する構造を含む共重合単位を除くと、実質的にビニルアルコール単位あるいはビニルアルコール単位とビニルエステル単位からなる。
ビニルエステル単位としては、蟻酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、トリフルオロ酢酸ビニル、2−エチルヘキサン酸ビニル等に由来する単位が挙げられが、通常は酢酸ビニル単位が用いられる。
【0026】
本発明の主旨を損なわない範囲でこれら以外のモノマー単位を含有することは差し支えない。このような単位としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテンなどのオレフィン類;アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸、(無水)イタコン酸などの不飽和酸類あるいはその塩あるいはその炭素数1〜18のモノもしくはジアルキルエステル類;アクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、アクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩などのアクリルアミド類;メタクリルアミド、炭素数1〜18のN−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、2−メタクリルアミドプロパンスルホン酸あるいはその塩、メタクリルアミドプロピルジメチルアミンあるいはその酸塩あるいはその4級塩などのメタクリルアミド類;N−ビニルピロリドン、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミドなどのN−ビニルアミド類;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアン化ビニル類;炭素数1〜18のアルキルビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、アルコキアルキルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、臭化ビニルなどのハロゲン化ビニル類;トリメトキシビニルシランなどのビニルシラン類、酢酸アリル、塩化アリル、アリルアルコール、ジメチルアリルアルコール等に由来する単量体単位が挙げられる。これら単量体単位の含有量については特に制限はなく、重合体が水溶性あるいは水分散性であればよい。
【0027】
本発明のPVAは、アミノ基で置換された芳香族基(以下「芳香族アミノ基」と略記する)を有するビニルアルコール系重合体(A)と、エポキシ基およびエチレン性不飽和二重結合を含有する化合物(B)とを反応させることにより得られる。芳香族アミノ基を含有するビニルアルコール系重合体(A)は、ビニルエステルモノマーとエポキシ基を有するビニルモノマーとの共重合体に、芳香族アミノ基を含有するチオールもしくはチオエステルを反応させた後に加水分解することにより得られる。
【0028】
ビニルエステルモノマーとエポキシ基を有する単量体との共重合の方法としては、塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、乳化重合法など公知の方法が挙げられる。その中でも、無溶媒あるいはアルコールなどの溶液中で重合する塊状重合法や溶液重合法が通常採用され、高重合度のものを得る場合には乳化重合法が採用される。溶液重合時に溶媒として使用されるアルコールとしては、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコールなどの低級アルコールが挙げられる。共重合に使用される開始剤としては、α,α’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、過酸化ベンゾイル、n−プロピルパーオキシカーボネートなどのアゾ系開始剤または過酸化物系開始剤など公知の開始剤が挙げられる。重合温度については特に制限はないが、−10℃〜150℃の範囲が適当である。
【0029】
ビニルエステルモノマーとの共重合に用いるエポキシ基を有するビニルモノマーとしては、アリルグリシジルエーテル、メタリルグリシジルエーテル、ブタジエンモノエポキサイド、1,2−エポキシ−5−ヘキセン、1,2−エポキシ−7−オクテン、1,2−エポキシ−9−デセン、8−ヒドロキシ−67−エポキシ−1−オクテン、8−アセトキシ−67−エポキシ−1−オクテン、N−(2,3−エポキシ)プロピルアクリルアミド、N−(2,3−エポキシ)プロピルメタクリルアミド、4−アクリルアミドフェニルグリシジルエーテル、3−アクリルアミドフェニルグリシジルエーテル、4−メタクリルアミドフェニルグリシジルエーテル、3−メタクリルアミドフェニルグリシジルエーテル、N−グリシドキシメチルアクリルアミド、N−グリシドキシメチルメタクリルアミド、N−グリシドキシエチルアクリルアミド、N−グリシドキシエチルメタクリルアミド、N−グリシドキシプロピルアクリルアミド、N−グリシドキシプロピルメタクリルアミド、N−グリシドキシブチルアクリルアミド、N−グリシドキシブチルメタクリルアミド、4−アクリルアミドメチル−2,5−ジメチル−フェニルグリシジルエーテル、4−メタクリルアミドメチル−2,5−ジメチル−フェニルグリシジルエーテル、アクリルアミドプロピルジメチル(2,3−エポキシ)プロピルアンモニウムクロリド、メタクリルアミドプロピルジメチル(2,3−エポキシ)プロピルアンモニウムクロリド、メタクリル酸グリシジル等が挙げられる。
【0030】
ビニルエステルモノマーとエポキシ基を有する単量体との共重合体に、芳香族アミノ基を含有するチオールもしくはチオエステルを反応させる方法としては、チオール基もしくはチオエステル基とエポキシ基との反応を利用する。該反応は、無溶媒、またはチオール基もしくはチオエステル基を有する化合物ならびにエポキシ基を有する共重合体を溶解もしくは膨潤させる溶剤中で実施される。このような溶剤としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール等のアルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル類やn−ヘキサン等の炭化水素類が挙げられる。これらの溶媒は単独もしくは混合して使用される。反応条件は、エポキシ基の構造やチオール基もしくはチオエステル基の構造により異なるが、通常、溶剤を使用する場合には共重合体の濃度は5〜90%であり、チオール基もしくはチオエステル基の濃度/エポキシ基濃度(モル比)=1.0〜5.0であり、反応温度は0〜250℃であり、反応時間は0.01〜20時間である。チオール基との反応では、3級アミン(例えばトリエチルアミン、ピリジン等)、ホスフィン(例えばトリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等)、水酸化ナトリウム、テトラエチルアンモニウムヒドロオキサイド、ナトリウムメチラート等の塩基性化合物や酢酸ナトリウムや炭酸ナトリウムなどの弱塩基性化合物などが反応触媒として有効である。チオエステル基との反応では、トリブチルアンモニウムクロリド、トリブチルアンモニウムブロミド等の4級アンモニウム塩が反応触媒として有効である。また、チオール基の酸化を防止するために、反応系を脱気あるいは窒素置換したり、酸化防止剤等を添加することもできる。
【0031】
エポキシ基を有する共重合体に反応させる芳香族アミノ基を含有するチオールとしては、2−アミノチオフェノール、3−アミノチオフェノール、4−アミノチオフェノール、2−(N−メチル)アミノチオフェノール、3−(N−メチル)アミノチオフェノール、4−(N−メチル)アミノチオフェノール、2−アミノ−3−メトキシチオフェノール、2−アミノ−4−メトキシチオフェノール、4−アミノ−2−メトキシチオフェノール、4−アミノ−3−メトキシチオフェノール、2−アミノ−3−ヒドロキシチオフェノール、2−アミノ−4−ヒドロキシチオフェノール、4−アミノ−2−ヒドロキシチオフェノール、4−アミノ−3−ヒドロキシチオフェノール、2−アミノ−3−ニトロオフェノール、2−アミノ−4−ニトロチオフェノール、4−アミノ−2−ニトロチオフェノール、4−アミノ−3−ニトロチオフェノール、2,3−ジアミノチオフェノール、2,4−ジアミノチオフェノール、3,4−ジアミノチオフェノール、2−アミノチオナフトール等が挙げられる。また、これらの酢酸エステルや安息香酸エステル等のエステルも使用できる。
【0032】
チオール基もしくはチオエステル基とエポキシ基との反応に引き続く加水分解は、通常のポリビニルエステルのけん化で用いられる塩基性触媒または酸触媒を用いたけん化反応が適用できる。すなわち、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート等の塩基性触媒やp−トルエンスルホン酸等の酸性触媒を用い、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコール等のアルコールやグリコールを溶媒として反応が行われる。この場合、ビニルエステル系重合体や触媒の溶解性を向上するために、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トルエン、アセトン、水等の溶剤が適宜混合して使用される。また、ヒドロキノンやp−メトキシフェノール等のラジカル重合禁止剤等を添加する場合もある。けん化反応の条件は、使用するビニルエステル系重合体の構造や目的とするニルアルコール系重合体のけん化度によって適宜調整される。通常、けん化触媒濃度/ビニルエステル単位濃度(モル比)=0.001〜1.2であり、反応温度は20〜180℃であり、反応時間は0.1〜20時間の範囲で実施される。
【0033】
芳香族アミノ基変性PVAとエポキシ基およびエチレン性不飽和二重結合を有する化合物との反応は、芳香族アミノ基とエポキシ基との反応を利用する。該反応は、無溶媒、または芳香族アミノ基変性PVAならびにエポキシ基およびエチレン性不飽和二重結合を有する化合物を溶解もしくは膨潤させる溶剤中で実施される。このような溶剤としては、水、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルアセトアミドや、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール等のアルコール類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル等のエーテル類やn−ヘキサン等の炭化水素類が挙げられる。これらの溶媒は単独もしくは混合して使用される。反応条件は、芳香族アミノ基変性PVAやエポキシ基の構造により異なるが、通常、溶剤を使用する場合には、芳香族アミノ基変性PVA濃度が1〜90%であり、エポキシ基の濃度/アミノ基濃度=(モル比)1.0〜5.0であり、反応温度は0〜250℃であり、反応時間は0.01〜40時間である。また、反応の際にp−メトキシフェノールやヒドロキノンなどのラジカル重合禁止剤を添加して行う場合がある。ここで、アミノ基とエポキシ基との反応では、3級アミン(例えばトリエチルアミン、ピリジン等)、ホスフィン(例えばトリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等)、水酸化ナトリウム、テトラエチルアンモニウムヒドロオキサイド、ナトリウムメチラート等の塩基性化合物や酢酸ナトリウムや炭酸ナトリウムなどの弱塩基性化合物、四塩化チタンやフッ化ホウ素類などのルイス酸、トリブチルアンモニウムクロリド、トリブチルアンモニウムブロミド等の4級アンモニウム塩などが反応触媒として有効である。
【0034】
芳香族アミノ基変性PVAとの反応に用いられるエポキシ基およびエチレン性二重結合を有する化合物としては、グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有の(メタ)アクリレート類、N−グリシドキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−グリシドキシメチル−N−メチル(メタ)アクリルアミドなどのエポキシ基含有の(メタ)アクリルアミド類、グリシジルビニルエーテルなどのエポキシ基含有のビニルエーテル類、アリルグリシジルエーテルなどのエポキシ基含有のアリルエーテル類、ブタジエンモノオキサイド、ヘキサジエンモノオキサイド、オクタジエンモノオキサイドなどのエポキシ基含有のα−オレフィン類などが挙げられる。
【0035】
本発明のPVAは、ラジカル重合禁止剤等の存在下で単離が可能であるが、多くの場合は、溶媒中で反応させて得られたものをそのまま用いるのが簡便である。すなわち、水中で芳香族アミノ基変性PVAと、エポキシ基およびエチレン性不飽和二重結合を有する化合物を反応させて得られた本発明のPVAの水溶液に、他のエチレン性不飽和二重結合を有する単量体などを加えることにより、エマルジョン重合、感光性樹脂などへの応用がより簡便に行える。
【0036】
本発明のPVAは、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有すると共に、芳香族などの疎水性を有する官能基を含有していることから、従来のエチレン性不飽和二重結合を有するPVAに比較して、エマルジョン重合に用いられる単量体(例えば、スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン類、メチルメタクリレート、ブチルメタクリレートなどのメタクリレート類、ブチルアクリレート、2−エチルへキシルアクリレートなどのアクリレート類、ブタジエン、イソプレンなどのジエン類)を乳化する能力に優れている。したがって、本発明のPVAをエマルジョン重合の乳化安定剤として用いた場合、良好なエマルジョンが比較的容易に得られる。
【0037】
また、本発明のPVAは、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有することから、容易にグラフト体を形成することができる。例えば、本発明のPVAの水溶液もしくはラジカル重合可能なエチレン性不飽和二重結合を有する単量体をその水溶液に添加した溶液に光重合開始剤を加えた感光性組成物として好適である。その組成物から成形されるシートに露光し、水洗して得られる樹脂凸版などにも応用可能である。
【0038】
また、本発明のPVAは、上記の用途の他に、ブロック重合体原料、懸濁重合用分散安定剤、各種接着剤などに特に有用である。また、従来のPVA用途、例えばフィルム、シート、パイプ、分離膜、繊維、繊維用糊剤、紙加工剤、顔料分散剤、各種バインダー用途、モルタルやセメントの添加剤などにも好適に用いることができる。
【0039】
【実施例】
以下、実施例および比較例により、本発明を詳細に説明する。以下の実施例および比較例において「部」および「%」は特に断りのない限り重量基準を意味する。
【0040】
(エポキシ基を有するビニルエステル系重合体の合成例)
重合体1
撹拌機、環流冷却管、窒素導入管および温度計を取り付けた反応器に、酢酸ビニルモノマー1000部、アリルグリシジルエーテル13.4部およびメタノール400部を仕込み、窒素ガスを15分バブリングして脱気した。別途、メタノール29部に2,2’−アゾビスイソブチロニトリル4.3部を溶解した開始剤溶液を調し、窒素ガスのバブリングにより窒素置換した。
反応器の昇温を開始し、内温が60℃となったところで、別途調した開始剤溶液を添加し重合を開始した。60℃で5時間重合したのち冷却して重合を停止した。このときの固形分濃度は45.1%であった。続いて30℃、減圧下でメタノールを時々添加しながら未反応の酢酸ビニルモノマーの除去を行い、ポリ酢酸ビニル共重合体のメタノール溶液(濃度44.5%)を得た。このメタノール溶液の一部をエーテル中に投入してポリマーを回収し、アセトン−エーテルで2回再沈精製したのち、40℃で減圧乾燥した。この精製ポリマーについて、CDClを溶媒にしてプロトンNMR(日本電子(株)製GSX−270)測定およびアセトン中の極限粘度測定(JIS)を実施し粘度平均分子量を算出したところ、アリルグリシジルエーテル単位(エポキシ基)を1.0モル%含有する粘度平均分子量82×10の酢酸ビニル共重合体であった。この共重合体を重合体1とする。
【0041】
重合体2〜重合体4
ビニルエステル量、メタノール量、開始剤の種類や量、エポキシ基およびエチレン性不飽和二重結合を有する化合物の種類、量および添加方法を適宜変更したこと以外は、重合体1と同様にして、表1に示すエポキシ基を有するビニルエステル系重合体を得た。
【0042】
【表1】
Figure 0003913320
【0043】
(芳香族アミノ基を有するPVAの合成例)
重合体a
撹拌機、環流冷却管、窒素導入管および温度計を備えた反応器に、重合体1のメタノール溶液(濃度40.2%)100部を計りとり、15分間窒素ガスをバブリングしたのち、2−アミノチオフェノール2.2部および酢酸ナトリウム0.07部をメタノール32部に溶解した溶液を仕込んだ。撹拌しながら50℃で2時間反応させたのち、40℃に冷却してから10%濃度の水酸化ナトリウムのメタノール溶液9.4部添加して、けん化を行った。40℃で1時間放置したのち粉砕し、酢酸を加え中和してからソックスレー抽出器を用いて48時間以上洗浄し、60℃で20時間以上乾燥して、芳香族アミノ基変性PVAを得た。該PVAのIRおよびプロトンNMR(d−DMSO)を測定したところ、エポキシ基は完全に消失しており、1.0モル%のアニリン基の導入が確認でき、ビニルアルコール含量は97.4モル%であった。また、該PVAの4%DMSO溶液を調し、20℃で粘度(ブルックフィールド粘度計使用)を測定したところ64.2mPa・であった。このPVAを重合体aとする。
【0044】
重合体b〜重合体g
重合体Aの場合と同様にして、重合体1〜重合体4を用いて、表2に示す条件で反応させることにより重合体b〜重合体gを得た。
【0045】
【表2】
Figure 0003913320
【0046】
実施例1
撹拌機、環流冷却管および温度計を備えた反応器に、ジメチルスルホキシド(DMSO)90部および重合体aを10部加え、90℃で1時間加熱溶解した。溶液温度を50℃まで冷却したのち、p−メトキシフェノール0.24部を加え、続いてグリシジルメタクリレート(GMA)を1.6部を加え反応させた。反応中、ガスクロマトグラフィーで未反応GMAを測定し、経時変化を追跡した結果、24時間後には変化が見られなくなった。大量のメタノール溶液(1%p−メトキシフェノール含有)に、得られた反応溶液を加え、未反応のGMAを取り除いたのち、20℃減圧下で乾燥し、重合体Aを得た。重合体AのIRおよびプロトンNMR(d−DMSO)を測定したところ、0.9モル%のGMA由来のエチレン性不飽和二重結合の導入が確認できた。また、該PVAの4%DMSO溶液を調し、20℃で粘度(ブルックフィールド粘度計使用)を測定したところ68.1mPa・であった。なお、該PVAを重合体Aとする。
【0047】
実施例2〜9
実施例1と同様にして、重合体b〜重合体gを用いて、表3に示す条件で反応させて、重合体B〜重合体Iを得た。
【0048】
【表3】
Figure 0003913320
【0049】
実施例10
撹拌機、環流冷却管および温度計を備えた反応器に重合体f10部を取り、別途メタノール50部にGMA8部およびp−メトキシフェノール0.13部を溶解したメタノール溶液を調し、反応器に加えた。メタノールが環流する温度まで加熱し反応を行った。反応中、ガスクロマトグラフィーを用いて、未反応GMAを測定し、経時変化を追跡した結果、24時間後には変化が見られなくなった。
反応後、得られたPVAを濾過し、メタノール溶液(1%p−メトキシフェノール含有)でPVAを洗浄したのち、20℃減圧下で乾燥して重合体Jを得た。重合体JのIRおよびプロトンNMR(d−DMSO)を測定したところ、4.9モル%のGMA由来のエチレン性不飽和二重結合の導入が確認できた。また、該PVAの4%DMSO溶液を調し、20℃で粘度(ブルックフィールド粘度計使用)を測定したところ171mPa・であった。
【0050】
比較重合体(A)〜(E)
公知の方法により、表4に示すベースPVAとエポキシ基およびエチレン性二重結合を有する化合物を反応させて、比較重合体(A)〜比較重合体(E)を合成した。
【0051】
【表4】
Figure 0003913320
【0052】
(モノマーの乳化能力)
実施例11〜17、比較例1〜5
500mlセパラブルフラスコに水200部およびPVA15部を加え加熱溶解した後、スチレンモノマーを5部添加し200rpmで5分間撹拌を行い、撹拌停止後5分後の溶液状態を目視にて評価した。その結果を下記の記号で表5に示す。
○:溶液が乳白色
×:液液層分離
【0053】
【表5】
Figure 0003913320
【0054】
【発明の効果】
本発明のPVAは、ラジカル可能なエチレン性二重結合を有することから、グラフトポリマーを容易に合成可能である。また、本発明のPVAは芳香族環を有することから、その水溶液はスチレンなどの疎水性単量体を水中で乳化させる能力に優れており、たとえばPVAをグラフトさせたエマルジョン、感光性樹脂ブロック重合体原料、エマルジョン重合用乳化安定剤、懸濁重合用分散安定剤、各種接着剤などに応用可能であり非常に有用である。また、PVA本来の特徴も有していることから、PVAの公知の用途、例えばフィルム、シート、パイプ、分離膜、繊維、繊維用糊剤、紙加工剤、顔料分散剤、各種バインダー用途、モルタルやセメントの添加剤などにも好適に用いることができる。

Claims (1)

  1. 下記の化1で表される構造単位が側鎖または末端に結合したビニルアルコール系重合体。
    Figure 0003913320
    (ただし、R〜RおよびR〜R11は水素原子または炭素数8以下の炭化水素基であり、Rは酸素原子、窒素原子または硫黄原子を有していてもよい2価の炭化水素基であり、nは1〜6の整数であり、Xは酸素原子、窒素原子または硫黄原子で中断されていてもよい炭素数8以下の炭化水素基を表す。)
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