JP3647555B2 - 扉錠のハンドル装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回動開閉する扉に使用される扉錠のハンドル装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
扉の内外両側にハンドルを設け、そのハンドルを扉の開く方向に押し引きすることによってラッチ錠を解錠できるようにした扉錠のハンドル装置は、例えば実開平6−62160号公報および実開平3−128177号公報に開示されている。
【0003】
上記前者の装置では、ハンドルの下部を内座及び外座の下部に枢支させ、そのハンドルの上半部を押し引き操作することによって、そのハンドルに連結させた解錠部材を介してラッチ錠を解錠できるように構成されている。
【0004】
一方、後者の装置では、ハンドルを内座及び外座にそれぞれ平行リンク機構を介して支持させ、そのハンドルの略中央部を押し引き操作することにより、そのハンドルと連動する解錠部材を介してラッチ錠を解錠できるように構成されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来の前者の場合、ハンドルが枢支されている下部を押し引きしてもラッチを解錠することができず、使い勝手がよくなかった。
【0006】
また、後者の場合、ハンドルの中央部を操作したときには動作はスムーズであるが、上部や下部を操作するときには平行リンク機構の動きがスムーズでなく、重く感じることがあった。また、急激に上部や下部を操作した時はほとんど作動しない。
【0007】
本発明はこのような実情に鑑みてなされ、ハンドルのどの部分を操作してもスムーズにラッチ錠の解錠ができる扉錠のハンドル装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述の課題を解決するための手段を以下のように構成している。
すなわち、扉の室内側に装着される内座と室外側に装着される外座とに縦長に形成されたハンドルをそれぞれ設けると共に、ラッチヘッドを後退させる解錠部材あるいはその後退を許容させる操作部材を作動させる解錠部材を前記各ハンドルと連動させて前記内座と外座とにそれぞれ設け、前記一方のハンドルの中央部、上部または下部のいずれに対しても行える押し操作又は前記他方のハンドルの中央部、上部または下部のいずれに対しても行える引き操作によって、前記ラッチヘッドを後退または後退を許容させて前記扉を開扉させるようにした扉錠のハンドル装置にあって、一方の前記解錠部材を前記内座内に、他方の前記解錠部材を前記外座内にそれぞれ回動自在に枢支させてなり、また、前記一方のハンドルは、前記解錠部材の一方に枢結される連結部の上下両側に突設されたガイド部を備えると共に、前記押し操作方向と反対方向に付勢され、各ガイド部は内座または外座の一方に抜け止め状態に保持され、さらに、前記他方のハンドルは、前記解錠部材の他方に枢結される連結部の上下両側が、内座または外座の他方の側部に突設された突起に当接するように構成されていると共に、前記引き操作方向と反対方向に付勢されていることを特徴としている。
【0009】
ハンドルの中央部内側に突設した突出片部を解錠部材の回動端と枢結させることによりハンドルを支持させているので、そのハンドルのどの部分を操作しても確実に解錠部材を連動させることができ、ラッチ錠を操作性よく解錠することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の扉錠のハンドル装置の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
図1は扉錠のハンドル装置の要部構成を示し、図中符号1は回動開閉される扉、2はその内側面、3はその外側面、4はその扉1の内側面2に装着された内座、5は外側面3に装着された外座、6は内座2に取り付けられた内ハンドル、7は外座5に取り付けられた外ハンドル、8,9はラッチ錠10(図2、図3参照)を解錠するための解錠部材である。
【0011】
上述の内側の解錠部材8は略L字状に形成され、その曲屈部が内座4に支軸41にて枢支される一方、内ハンドル6の中央部内側に突設された連結部61が内座4の外側部に開設した開孔42に遊嵌され、その連結部61がピン12によって前記解錠部材8の回動端81と枢結されている。
【0012】
その内ハンドル6の連結部61の上下両側にはガイド部62,63が突設されて内座4の外側部に開設した開孔43,44にそれぞれ遊嵌し、かつそのガイド部62,63の先端部に嵌着したリティナー64,65と底板45との間にコイルスプリング13,14が弾発介装され、その内ハンドル6が内方(室内側であり、後述する押し操作方向と反対方向)に付勢されて抜け止め状態に保持されている。
【0013】
他方、外側の解錠部材9も略L字状に形成され、その屈曲部が外座5に支軸51にて枢支されており、外ハンドル7の中央部内側に突設された連結部71が、外座5の外側部に開設した開孔52に遊嵌され、その連結部71がピン15によって前記解錠部材9の回動端91と枢結されている。
【0014】
その支軸51には底板55とピン15とに両端を掛止させたつる巻ばね17が巻装され、外ハンドル7を内方(後述する引き操作方向と反対方向)に引き込むように付勢し、その外ハンドル7の内側面を外座5の外側部に突設した突起53,54に当接させた状態でその外ハンドル7が保持されている。
【0015】
閉扉時に内ハンドル6と外ハンドル7が図1の状態にある場合、図2および図3の実線状態に示すように、ラッチヘッド18が扉枠19の受金具20の係入孔21内に係合し、また、ロッキングピース26,27はラッチヘッド18の係止溝a,aに係合して施錠状態となっているが、この施錠状態において内ハンドル6の中央部、上部または下部のどの部分を押しても、また、外ハンドル7の中央部、上部または下部のどの部分を引いても、解錠部材8または9が回動されてラッチ錠10を解錠することができる(図5〜図7参照)。
【0016】
内ハンドル6と外ハンドル7の解錠部材8,9との連動動作について具体的に説明すると、まず、内ハンドル6の中央部を押し操作した場合および外ハンドル7の中央部を引き操作した場合は、図5に示されるように、内ハンドル側では2つのコイルスプリング13,14の付勢力に抗して内ハンドル6が押動されて矢印方向に平行移動し、解錠部材8を時計まわりに回動させ、外ハンドル側ではつる巻きばね17の付勢力に抗して外ハンドル7が矢印方向に作動されて平行移動し、解錠部材9は時計まわりに回動される。
【0017】
内ハンドル6の上部を押し操作した場合は図6(A)に示すように、内ハンドル6はガイド部63の開孔44内に挿入された部分が支点となって時計まわりに揺動し、また、内ハンドル6の下部を押し操作した場合は図6(B)に示すように、内ハンドル6はガイド部62の開孔43内に挿入された部分が支点となって反時計まわりに揺動し、いずれの場合にも内ハンドル6の揺動に伴ってピン12が右方向に移動し、これにより、解錠部材8が時計まわりに回動される。一方、外ハンドル7の上部を引き操作した場合は図7(A)に示すように、外ハンドル7はピン15を軸にして時計回りに回動した後、突起54に当接した部分が支点となってさらに時計回りに揺動し、外ハンドル7の下部を引き操作した場合には図7(B)に示すように、外ハンドル7はピン15を軸にして反時計回りに回動した後、突起53に当接した部分が支点となってさらに反時計回りに揺動し、いずれの場合も外ハンドル7の揺動に伴ってピン15が右方向に移動し、これにより、解錠部材9が時計まわりに回動される。
【0018】
本実施形態では、内ハンドル6および外ハンドル7の中央部内側に突設した連結部61,71をそれぞれ解錠部材8,7の回動端81,91と枢結させたきわめて簡易な構成としているので、内ハンドル6の押し動作または外ハンドル7の引き動作を上述のようにそのまま解錠部材8,9に確実に伝達させることができ、その連動動作がきわめてスムーズであり、解錠部材8,9が作動不良や作動不能になることがなく、内ハンドル6および外ハンドル7の中央部、上部または下部のどの部分を押しまたは引き操作してもラッチ錠10の解錠を確実におこなうことができるのである。
【0019】
この内ハンドル6と外ハンドル7に連動するラッチ錠10は、後退式または反転後退式のいずれをも採用することができる。反転後退式のものでは(図2、図3、図4参照)、ラッチヘッド18は先尖状の菱形に形成され、その上部と下部に前後方向の係止溝a,aを有してラッチケース22内に収納され、その先端を前板23の開孔24から突出させるようにスプリング25で前方に付勢されており、その係止溝a,aに対して、上下一対のロッキングピース26,27の先端の係止片c,cが付勢状態に係止されることにより施錠状態となる。
【0020】
そのロッキングピース26,27は錠ケース28に幅方向に差し渡し固定支持されたピン軸29,30に枢支され、かつその基部同士がピン31で枢結されると共に、スプリング34によって両ロッキングピース26,27が前記ラッチヘッド18の溝a,aに係合する閉方向に付勢されており、さらにその後端部にはそれぞれ一対の操作部材32,33が上下方向から当接するように設けられると共に、その操作部材32,33に、解錠部材8,9の作動端82,92が係合されている。
【0021】
このような構成により、内ハンドル6の押し操作または外ハンドル7の引き操作により、いずれか一方の解錠部材8,9の作動端82,92が下方または上方に作動することによって、いずれか一方の操作部材32,33が下方または上方に操作され、両方のロッキングピース26,27がその係止片c,cをラッチヘッド18の係止溝a,aから離脱するように連動操作してラッチ錠10を確実に解錠することができるのである。
【0022】
このラッチ錠10が解錠されることによって、ラッチヘッド18が反転可能な解錠状態となり、さらなる内ハンドル6の押し操作または外ハンドル7の引き操作による閉扉方向への力により、扉枠19の受金具20の係入孔21に係合していたラッチヘッド18が図3の二点鎖線の状態に反転し、開扉を阻止していたラッチヘッド18の背面直線部が斜面となり、その斜面の作用により後退してその係合が解除され、扉1が開放される。なお、ラッチヘッド18は一旦、反転後退した後、受金具20から外れるとスプリング25の付勢でその先端を開孔24から突出させた図3の実線状態に戻る。
【0023】
一方、閉扉時には、受金具20の受座201にラッチヘッド18の斜面181が当接して、そのラッチヘッド18を一旦後退させた後、扉1が全閉の位置に閉まると再び突出して係入孔21内に係合し、また、ロッキングピース26,27の係止片c,cがラッチヘッド18の係止溝a,aに係合した施錠状態となる。
【0024】
尚、上述の内座4と外座5の扉1への取付方法としては、図示は省略するが、例えば外座5の内側に内方へ向けた螺子柱を2本程度立設してこれを扉1の開孔に挿入し、内座4に室内側から貫挿させた螺子をその螺子柱に螺合締結させる従来周知の方法でもよく、あるいは、その内座4の内部にコ字状の取付板を設け、その取付板に貫挿させた螺子を外座5の螺子柱に螺合締結させた後、その取付板に対して内座の上下または左右から螺子で固定し、螺子が室内側から見えないようにしてもよい。
【0025】
また、図示は省略するが、キー操作またはサムターンによって施解錠する本締錠は、例えば、内座4と外座5の直下の位置に設け、その本締錠を施解錠させるサムターンを扉1の内側面2に設ける一方、キー操作によって本締錠を施解錠させるシリンダを扉1の外側面3に設ればよい。
【0026】
図8〜図10は異なる実施形態を示し、外ハンドル7を内方に付勢するためにつる巻きばね17に代えて、2本のコイルスプリング131,141を用いたものである。この場合においても、その外ハンドル7の中央部を引き操作した場合には図9に、また、その上部を引き操作した場合には図10(A)に、その下部を引き操作した場合には図10(B)に、それぞれ示すように、解錠部材9を時計まわりに回動させることができる。なお、図示は省略するが、内ハンドル6を内側(室内側)に付勢するための2本のコイルスプリング13,14に代えて、つる巻きばねを用いることもできる。その場合は、例えばつる巻きばねを支軸41に巻装させてその一端を連結部61に、他端を底板45にそれぞれ掛止させればよい。
【0027】
以上の各実施形態では、扉1は外開きとしたが、本発明は、扉の開き方向を特定するものではなく、内開きの扉にも適用できるのはいうまでもない。その場合には、内ハンドルは引き操作、外ハンドルは押し操作することによりラッチ錠を解錠できるようにすればよい。その他、実施形態では、ハンドルと解錠部材との連結部を座内に設けたが、解錠部材に連結部を設け、それを座の外部に突出させ、座の外部でハンドルと連結させてもよい。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の扉錠のハンドル装置によれば、内ハンドルと連動する一方の解錠部材を内座内に、外ハンドルと連動する他方の解錠部材を外座内にそれぞれ回動自在に枢支させ、また、前記一方のハンドルは、前記解錠部材の一方に枢結される連結部の上下両側に突設されたガイド部を備えると共に、前記押し操作方向と反対方向に付勢され、各ガイド部は内座または外座の一方に抜け止め状態に保持され、さらに、前記他方の ハンドルは、前記解錠部材の他方に枢結される連結部の上下両側が、内座または外座の他方の側部に突設された突起に当接するように構成されていると共に、前記引き操作方向と反対方向に付勢されているので、構成が簡単であり、連動動作がスムーズに確実になされるため、扉の開扉方向にハンドルを押し、引きすることによって解錠・開扉ができ、しかも、ハンドルの中央部、上部または下部のどの部分を操作しても常に確実にラッチ錠を解錠することができ、高齢者や身障者にとってもきわめて操作性に優れたハンドル装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の扉錠のハンドル装置の一実施形態を示す要部断面図である。
【図2】 同ラッチ錠の縦断側面図である。
【図3】 同ラッチ錠の横断平面図である。
【図4】 同ラッチヘッドの斜視図である。
【図5】 同内ハンドルまたは外ハンドルの中央部を操作したときの動作の説明図である。
【図6】 同(A)は内ハンドルの上部を、(B)は下部をそれぞれ押し操作したときの動作の説明図である。
【図7】 (A)は同外ハンドルの上部を、(B)は下部をそれぞれ引き操作したときの動作の説明図である。
【図8】 同ハンドル装置の異なる実施形態を示す要部断面図である。
【図9】 同内ハンドルまたは外ハンドルの中央部と操作したときの動作の説明図である。
【図10】 (A)は同外ハンドルの上部を、(B)は下部をそれぞれ引き操作したときの動作の説明図である。
【符号の説明】
1…扉、4…内座、5…外座、6…内ハンドル、7…外ハンドル、8,9…解錠部材、18…ラッチヘッド。

Claims (1)

  1. 扉の室内側に装着される内座と室外側に装着される外座とに縦長に形成されたハンドルをそれぞれ設けると共に、ラッチヘッドを後退させる解錠部材あるいはその後退を許容させる操作部材を作動させる解錠部材を前記各ハンドルと連動させるように前記内座と外座とにそれぞれ設け、前記一方のハンドルの中央部、上部または下部のいずれに対しても行える押し操作又は前記他方のハンドルの中央部、上部または下部のいずれに対しても行える引き操作によって、前記ラッチヘッドを後退または後退を許容させて前記扉を開扉させるようにした扉錠のハンドル装置であって、一方の前記解錠部材を前記内座内に、他方の前記解錠部材を前記外座内にそれぞれ回動自在に枢支させてなり、また、前記一方のハンドルは、前記解錠部材の一方に枢結される連結部の上下両側に突設されたガイド部を備えると共に、前記押し操作方向と反対方向に付勢され、各ガイド部は内座または外座の一方に抜け止め状態に保持され、さらに、前記他方のハンドルは、前記解錠部材の他方に枢結される連結部の上下両側が、内座または外座の他方の側部に突設された突起に当接するように構成されていると共に、前記引き操作方向と反対方向に付勢されていることを特徴とする扉錠のハンドル装置。
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