JP3645032B2 - シリコン量子細線構造の作製方法。 - Google Patents
シリコン量子細線構造の作製方法。 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は量子細線デバイスおよび単電子トランジスタに適用可能なシリコン量子細線と、それに任意のシリコン膜厚の段差を持つ接続部を有する半導体装置のシリコン量子細線構造の作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
シリコン量子細線を有する半導体装置については、シリコン量子細線の高さを小さく抑える必要があるために、シリコン膜厚の極めて薄いSOI(Silicon on Insulator)ウェハを用いていた。したがって、従来の手法ではシリコン量子細線の細線部以外の部分のシリコン膜厚も薄くなってしまうため、細線部の両端に寄生する抵抗を抑制できず、量子細線単独の特性を抽出する半導体装置が実現できなかった。これは、従来技術において量子細線部となる予定の領域のシリコン層を加工技術により薄くし、その後、該シリコン層の領域に量子細線を作製しようとすると、少なくとも2回、独立したリソグラフィーが必要となり、この2回のリソグラフィー間のパターンのずれによって、微細な量子細線パターンがシリコン層を薄く加工した領域に正確に挿入することができないからである。
また、量子細線構造から作製できる単電子トランジスタについては、従来の均一なシリコン膜厚からスタートして、パターン依存の酸化を行う方法では、素子が動作するための接続部のシリコン量子細線幅に制限があるために、任意の接続部のシリコン量子細線幅を持つ単電子トランジスタや、それらが互いに近接した複合構造を実現することができなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記従来技術における問題点を解消し、シリコン膜厚に任意の量の段差の付いた量子細線を有する半導体装置を容易に作製できる方法を提案し、これにより量子細線の一部、あるいは量子細線以外の部分のシリコン膜厚を厚くする構造を実現すると共に、この構造で容易に寄生抵抗を低減化し、量子細線単独の特性を抽出することができる半導体装置を実現することにある。さらに、本発明の量子細線構造から単電子トランジスタを作製することにより、任意の接続部のシリコン細線幅をもつ単電子トランジスタや、それらが互いに近接した複合構造のトランジスタを実現することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
従来の均一なシリコン膜厚から出発して電子線リソグラフィー等によって量子細線の幅、長さのみを変える方法では、量子細線接続部のシリコン膜厚を制御することができないため、量子細線以外の直列導通部の電気特性を制御できる半導体装置や、任意の接続部のシリコン細線幅をもつ単電子トランジスタや、それらが互いに近接した複合構造を実現することができなかった。
本発明のシリコン量子細線構造の作製方法の特徴は、シリコン層に対して、少なくとも2回のエッチングを行うことにより、第1のシリコン膜厚を有するシリコン量子細線の領域と、その少なくとも片側に接続された第2のシリコン膜厚を有する領域とを持つ構造を実現することであり、量子細線のシリコン膜厚とその接続部のシリコン膜厚を独立して制御できるところにある。そして、電子線(ビーム)リソグラフィー等の公知の技術を組み合わせることにより、量子細線の幅、長さ、膜厚と、細線接続部の幅、長さ、膜厚を自由(自在)に変えた構造を有する単電子トランジスタや、それらが互いに近接した複合構造の半導体装置を実現することができる。
そして、上記本発明の目的を達成するために、具体的には、特許請求の範囲の請求項1に示す工程を用いてシリコン量子細線構造を作製するものである。すなわち、
請求項1に記載のように、少なくとも、第1のシリコン膜厚を有する第1のシリコン量子細線の領域と、該第1のシリコン量子細線の少なくとも片側に、上記第1のシリコン量子細線より広い幅を持って接続され、かつ上記第1のシリコン膜厚より厚い第2のシリコン膜厚を有する量子細線接続領域と、上記シリコン膜厚の異なる二つのシリコン膜領域を酸化して、これら膜厚の異なる二つのシリコン膜を覆うように形成した酸化シリコン膜よりなるシリコン量子細線構造を作製する方法であって、
シリコン基板上に、酸化シリコン膜を介して、シリコン層を形成する工程と、
上記シリコン層上に、シリコン量子細線部となる第1のシリコン膜厚の領域と、絶縁膜のマスクに覆われたシリコン量子細線接続部となる第2のシリコン膜厚の領域を形成する工程と、
上記第2のシリコン膜厚の領域の絶縁膜を残したまま、上記第1のシリコン膜厚の領域に新たな絶縁膜マスクを形成する工程と、
上記二つの絶縁膜をマスクとしてシリコン層をエッチングし、上記第1および第2のシリコン層領域以外のシリコン層を除去する工程と、
上記第1および第2のシリコン層の周囲を酸化して、上記二つの膜厚の異なるシリコン層の周囲を覆うように酸化膜を形成する工程を、少なくとも用いるシリコン量子細線構造の作製方法とするものである。
本発明は請求項1に記載のように、第1のシリコン膜厚を有するシリコン量子細線と、該量子細線の少なくとも片側に接続された第2のシリコン膜厚を有する量子細線接続部を有し、上記量子細線を構成する第1のシリコン膜厚およびその形状と、上記量子細線接続部を構成する第2のシリコン膜厚およびその形状を、それぞれ独立して制御可能な構造としたシリコン量子細線構造の作成方法とするものである。
また、本発明は請求項1に記載のシリコン量子細線構造の作製方法において、シリコン量子細線の幅、長さおよび膜厚と、量子細線接続部の幅、長さおよび膜厚を、それぞれ自在に制御可能な構造としたシリコン量子細線である。
このように、上記請求項1に記載のシリコン量子細線構造とすることにより、量子細線のシリコン膜厚と、その接続部のシリコン膜厚を独立して制御できるので、電子線(ビーム)リソグラフィー等の技術の組合せにより、量子細線の幅、長さ、膜厚と、細線接続部の幅、長さ、膜厚を自在に変えた構造の単電子トランジスタや、それらが互いに近接した複合構造の半導体装置を容易に実現できる効果がある。
また、本発明は、少なくとも、第1のシリコン膜厚を有する第1のシリコン量子細線の領域と、該第1のシリコン量子細線の少なくとも片側に、上記第1のシリコン量子細線より広い幅を持って接続され、かつ上記第1のシリコン膜厚より厚い第2のシリコン膜厚を有する量子細線接続領域と、上記シリコン膜厚の異なる二つのシリコン膜領域を酸化して、これら膜厚の異なる二つのシリコン膜を覆うように形成した酸化シリコン膜よりなるシリコン量子細線構造の作製方法とするものである。
また、本発明は請求項1に記載のシリコン量子細線構造において、シリコン量子細線は伝導体として働くシリコン量子細線構造の作製方法とするものである。
このように、上記請求項1に記載のシリコン量子細線構造とすることにより、量子細線デバイスおよび単電子トランジスタに適用可能なシリコン量子細線と、それに任意のシリコン膜厚の段差を持つ接続部を有する半導体装置のシリコン量子細線構造を容易に実現できる効果がある。
【0005】
また、本発明は請求項1に記載のように、シリコン量子細線構造を作製する方法であって、
シリコン基板上に、酸化シリコン膜を介して、シリコン量子細線部となる第1のシリコン膜厚の領域と、シリコン量子細線接続部となる第2のシリコン膜厚の領域を有する少なくとも二つの膜厚の異なるシリコン層の領域を形成する工程と、
上記第1のシリコン膜厚の領域と、上記第2のシリコン膜厚の領域の表面を酸化して、上記二つの膜厚の異なるシリコン層の周囲を覆うように酸化膜を形成する工程を、少なくとも用いるシリコン量子細線構造の作製方法とするものである。
また、本発明は請求項1に記載のように、シリコン量子細線構造を作製する方法であって、
シリコン基板上に、酸化シリコン膜を介して、シリコン層を形成する工程と、
上記シリコン層上に、シリコン量子細線部となる第1のシリコン膜厚の領域と、絶縁膜のマスクに覆われたシリコン量子細線接続部となる第2のシリコン膜厚の領域を形成する工程と、
上記第2のシリコン膜厚の領域の絶縁膜を残したまま、上記第1のシリコン膜厚の領域に新たな絶縁膜マスクを形成する工程と、
上記二つの絶縁膜をマスクとしてシリコン層をエッチングし、上記第1および第2のシリコン層領域以外のシリコン層を除去する工程と、
上記第1および第2のシリコン層の周囲を熱酸化して、上記二つの膜厚の異なるシリコン層の周囲を覆うように酸化膜を形成する工程を、少なくとも用いるシリコン量子細線構造の作製方法とするものである。
このように、上記シリコン量子細線構造の作製方法とすることにより、シリコン量子細線部となるシリコン層の膜厚と、量子細線接続部となるシリコン層の膜厚を、エッチング量の調整により、それぞれ独立して制御することができるので、シリコン量子細線の薄膜部の膜厚と、量子細線接続部となる厚膜部の膜厚を、それぞれ独立して所望の値に容易に制御できる効果がある。また、幅広のリードとなるシリコン層の厚膜部の間に、量子細線となるシリコン層の薄膜部を自己整合的に形成することができ、量子細線の幅、長さ、膜厚と、細線接続部の幅、長さ、膜厚を自在に変えた構造の単電子トランジスタや、それらが互いに近接した複合構造の半導体装置を容易に作製できる効果がある。
【0006】
【発明の実施の形態】
〈第1の実施の形態〉
図1(a)〜(h)に、本発明のシリコン膜厚に任意の量の段差を付けたシリコン量子細線構造を有する半導体装置の作製方法の工程を示す。
〔工程1〕
シリコン中に酸素をイオン注入後、熱処理して形成したSIMOX(Separation by Implanted Oxygen)ウェハ等の単結晶シリコン基板1上に、酸化シリコン膜2を介して、単結晶シリコン層(上層シリコン層)3が形成されたSOIウェハを用いて〔図1(a)〕、少なくとも上層シリコン層3を、所望の膜厚になるまで薄層化する〔図1(b)〕。薄層化の手法としては、例えば酸素雰囲気中でシリコンを熱酸化し、形成された酸化シリコン膜をエッチングにより除去する方法を用いる。
〔工程2〕
次に、上層シリコン層3上に、シリコン窒化膜4を形成し、パターニングにより、図2(a)に示す領域Aに存在するシリコン窒化膜4を残し、それ以外の領域にあるシリコン窒化膜4をエッチングにより除去する。ここで、領域Aは量子細線を外部と接続するためのリードとなる2次元の部分を示す。なお、この領域Aはシリコン窒化膜に覆われているので、〔工程1〕の薄層化で得られたシリコンの膜厚が維持される。この領域をシリコンの厚膜部と言う。
〔工程3〕
続いて、シリコン窒化膜4をマスクとして、上層シリコン層(単結晶シリコン層)3が所望の膜厚となるまで、KOH(水酸化カリウム)水溶液等のアルカリ性溶液や、沸酸・硝酸の混合液等で化学エッチングを行う〔図1(c)〕。上記〔工程1〕での単結晶シリコン層3の初期膜厚と、この〔工程3〕での単結晶シリコン層3のエッチング量は、それぞれ独立して制御することができるので、領域Aにおける単結晶シリコン層3の厚膜部の膜厚と、量子細線部となる単結晶シリコン層3の薄膜部の膜厚は、それぞれ独立して所望の値に制御することができる。
〔工程4〕
次に、領域Aのシリコン窒化膜4のマスクを残したまま、電子線リソグラフィー等によりレジスト層をパターニングして、シリコン細線を形成する領域のみを除いてレジストマスク5を形成する〔図1(d)〕。すなわち、図1(d)および図2(b)に示す開口部の領域Bを除いてレジストマスク5を形成する。
〔工程5〕
レジストマスク5を形成した単結晶シリコン層3の表面をプラズマ酸化し、レジスト層を有機溶剤で剥離する〔図1(e)〕。レジストマスク5の開口部の領域Bと、上記〔工程3〕において形成した単結晶シリコン層3の薄膜部(シリコン窒化膜で覆われていない領域、すなわち領域A以外の領域に対応する)の重なった部分にのみプラズマ酸化膜6が形成される。
〔工程6〕
次に、領域Aのシリコン窒化膜4と、領域Bに形成されたプラズマ酸化膜6をマスクとして、残留している上層シリコン層(単結晶シリコン層)3を完全に除去する。これは、例えば、フッ素や塩素を含む化学種のプラズマを用いたECR(電子サイクロトロン共鳴)プラズマエッチングを用いることにより可能となる。ここでは、薄いプラズマ酸化膜6をマスク膜として、上記残留している上層シリコン層3をエッチングするので、プラズマ酸化膜6に対するエッチング速度が極めて低いエッチング法を用いることが必要である。
〔工程7〕
続いて、領域Aのシリコン窒化膜4と、領域Bのプラズマ酸化膜6を除去する〔図1(f)〕。
以上の工程により、〔工程3〕において形成された単結晶シリコン層3の薄膜部(領域A以外の部分)の中で、領域Bと重なった領域のみが残り、その他の単結晶シリコン層3の薄膜部は、エッチングされ素子分離領域を形成することになる。この作製方法を用いると、幅広のリードとなる厚膜部の間に、シリコンの厚さの薄い細線が自己整合的に形成される。すなわち、厚膜のシリコン層の間に薄い膜厚のシリコン細線を形成する場合に、リードとなる幅広部に開けたスリットと、領域Bの細線パターンを直交させることにより、幅広部のスリットの長さ(幅広部の幅に対応する)と、細線の長さの分だけパターンの重ね合わせのマージンが取れることになる。
ここで、付け加えておくと、細線部以外の領域においても、薄いシリコン層を残す必要がある場合には、領域Bと同様に、〔工程4〕において開口部とすることで形成することができる。
〔工程8〕
次に、酸素雰囲気中で単結晶シリコン層(上層シリコン層)3を熱酸化し、上記シリコン層の厚膜部と薄膜部の領域の両方の膜厚を、さらに小さくすると共に、ゲート酸化膜または周辺との保護膜としての酸化シリコン膜7を形成する〔図1(g)〕。
〔工程9〕
その後、細線部上に、ゲート電極8を形成した後、通常行われているMOSトランジスタの製造工程を用いることにより、量子細線部を有する半導体集積回路装置を形成することができる〔図1(h)〕。
上記シリコン量子細線構造では、領域Aの厚膜部は、単結晶シリコン層(上層シリコン層)3の膜厚のゆらぎが半導体集積回路装置の電気特性に影響を与えないようにするため、ゲート酸化後のシリコン膜厚は約10nm程度から約100nmにする必要がある。また、薄膜部の量子細線部は、1次元の電気伝導特性を示すようにするため、ゲート酸化後のシリコン膜厚は約1nm程度から約10 nm程度にする必要がある。ここでは、ゲート酸化によりシリコン膜厚が減少することを考慮して、厚膜部と量子細線となる薄膜部の膜厚を設定する必要があることは言うまでもない。
また、領域Aの形成において、シリコン窒化膜4をマスク膜として用いたが、この代わりに熱酸化(上層シリコン層3の表面を酸化する)や、CVD法等によって堆積した酸化シリコン膜などを用いることができる。しかし、シリコン窒化膜4を用いると、以下に示す点で有利である。すなわち、〔工程3〕で領域Aに形成したシリコン窒化膜4をマスクとしシリコン層を薄層化した後に、〔工程4〕でレジスト開口部(領域B)を残してレジストで表面を覆い、〔工程5〕で開口部の内のシリコン層が露出した部分にプラズマ酸化膜6を形成するわけであるが、プラズマ酸化の量を増やすと、レジストの側面も酸化されて気化するので、レジスト面が後退することになる。そこで、プラズマ酸化の量をできるだけ抑えることによりパターン変形量を小さくできる点で有利である。また、量子細線を細く形成する点でも有効である。そのためには〔工程4〕で、レジストを塗布する前のシリコンの表面に〔工程6〕におけるシリコン層のエッチングを阻害する膜を形成しないことである。これは、薄いプラズマ酸化膜をマスクに薄層シリコンをエッチングし尽くすことを意図したものである。また、〔工程3〕でシリコン層を薄層化した後、大気中で放置したり、あるいは洗浄等の工程を経て、シリコンの表面が酸化される。したがって、〔工程4〕ではフッ酸水溶液等で、表面の酸化膜を除去した後に、レジストを塗布する必要性が生じるが、酸化膜をマスク膜として用いると、この工程でエッチングされてマスク膜が後退し、量子細線と幅広部の連結部に段差が形成されることになる。シリコン窒化膜のフッ酸水溶液に対するエッチング速度は、シリコン酸化膜と比べて著しく遅いので、シリコン窒化膜をマスク膜として用いることで、上記問題をほとんど抑制することが可能となる。また、〔工程2〕でシリコン窒化膜あるいはシリコン酸化膜をパターン形成においてドライエッチングで行うと、シリコン層の表面に変質層が形成され、次の〔工程3〕でのシリコン層のエッチングを阻害することがある。この変質層の除去のためにフッ酸水溶液でのエッチングは有効であるが、この場合も上記と同様に、シリコン窒化膜を用いることでパターンの後退を抑制することができる。
【0007】
〈第2の実施の形態〉
上記第1の実施の形態では、〔工程1〕のシリコン層の薄層化の手法について熱酸化を用いる例を示した。この薄層化の工程については、KOH水溶液等のアルカリ性溶液や、沸酸・硝酸混合液などの溶液中での化学エッチングを用いてシリコン層をエッチングする方法、酸素雰囲気中でシリコン層を熱酸化し、形成された酸化シリコン膜をエッチングにより除去する方法、フッ素や塩素を含む化学種のプラズマを用いたドライエッチング法を用いてシリコン層をエッチングする方法、あるいは、これらの方法を併用する方法等を用いることができる。
また、第1の実施の形態の〔工程3〕におけるシリコン層のエッチング、および〔工程6〕のシリコン層のエッチングについては、KOH水溶液等のアルカリ性溶液や、沸酸・硝酸混合液などの溶液中での化学エッチングを用いてシリコン層をエッチングする方法、フッ素や塩素を含む化学種のプラズマを用いたドライエッチング法を用いてシリコン層をエッチングする方法、あるいは、これらの方法を併用する方法等を用いることができる。特に、〔工程3〕におけるシリコン層のエッチングについて、方向性の強いドライエッチングを行った場合は、第1の膜厚と第2の膜厚との間に急峻な段差を形成することができ、量子サイズ効果によって形成されるポテンシャルバリアとして利用することができる。一方、等方性の強い沸酸・硝酸混合液中でシリコン層をエッチングした場合には、第1の膜厚と第2の膜厚との間になだらかな段差を形成することができ、量子細線接続部における電子の散乱を抑制し、量子細線周辺部が電気特性に及ぼす影響を最小限にすることができる。また、〔工程3〕、あるいは〔工程6〕で、KOH水溶液等のアルカリ性溶液でシリコン層をエッチングする手法を用いた場合、
(100)シリコン基板を用い、量子細線あるいは領域Aのスリット部の方位を<110>方位に平行になるように形成すると、マスク膜の下端から裾が広がるようにシリコン層がエッチングされる。これは、(111)面のアルカリ性溶液に対するエッチング速度が、他の方位と比べて著しく遅いためである。また、量子細線あるいは領域Aのスリット部の方位を<110>方位からわずかにずらすと、マスク膜の下に方位のずれに応じたアンダーカットが入るため、形成された台形状の断面の上底がマスク幅より狭くなる。この変換差は、方位のずれとエッチング時間によって制御することができる。
【0008】
〈第3の実施の形態〉
第1の実施の形態では、SOIウェハとしてSIMOXウェハを用いる例を示した。しかし、SIMOXウェハの代わりに2枚のシリコンウェハを用い、少なくとも一枚のシリコンウェハの表面に酸化シリコン膜を形成し、これを従来の貼り合わせ技術を用いて貼り合わせたウェハを用いることも可能である。
【0009】
〈第4の実施の形態〉
第1の実施の形態の〔工程5〕は、レジストマスクにECR放電により得られる酸素プラズマを全面に照射し、露出したシリコン層表面に2nmから4nm程度の厚さのプラズマ酸化膜を形成する手法を用いるものである。この絶縁膜(プラズマ酸化膜)をマスクにシリコン層をエッチングして反転パターンを得ることができる。〔工程5〕の代わりに、レジストパターン上に、スパッタ酸化膜や、ECR、CVD酸化膜等を形成した後、リフトオフ法によりパターンを反転させる方法も用いることができる。これらの方法を用いると、第1の実施の形態のプラズマ酸化膜より厚いマスクができるので、少なくとも2回目のシリコン層のエッチング量を増やすことが可能となり、実現できる量子細線部および厚膜部の構造がより広範となる。
【0010】
〈第5の実施の形態〉
第1の実施の形態の〔工程1〕と〔工程2〕の間において、公知の技術であるLOCOS(シリコンの選択的酸化)工程等によるシリコン表面の一部のみ酸化を促進する手法で、局所的に酸化が進んだ領域を形成し、ついで局所酸化領域を除去することにより、あらかじめ、さらにシリコン膜厚の段差を付けておくこともできる。ただし、LOCOS工程による膜厚の段差は、基板面内方向に緩やかであるため、量子細線部の厚さの制御性を高めるうえで、量子細線の領域から約1μm程度離す必要がある。
また、LOCOS工程や、第1の実施の形態の〔工程4〕から〔工程6〕までを複数回繰り返し、その各回に用いるレジストマスクを変えることにより、任意のシリコン膜厚の段差数を有するシリコン半導体装置を作製することができる。
【0011】
〈第6の実施の形態〉
第1の実施の形態の〔工程4〕では、領域Aの絶縁膜を残したまま、レジスト層を形成する例を示した。しかし〔工程3〕で厚膜部と薄膜部の領域を形成した後、領域Aのマスク膜を除去し、その後、新たにレジスト層を形成する方法もある。すなわち、厚膜部のシリコンの厚さをx、1回目、2回目のシリコンのエッチング深さをそれぞれy、zとすると、x<y+zの条件が満たされるときは、x、x−y、x−zの3種類のシリコン膜厚の領域と、シリコン層完全除去部を形成することができる。これにより、少ない工程で多数のシリコン膜厚の段差を有する半導体装置を作製することができる。
【0012】
〈第7の実施の形態〉
第1の実施の形態では、段差の付いた量子細線を有する半導体装置の形成方法を示した。しかし、第1の実施の形態の〔工程8〕のように、量子細線を含んだ薄層シリコン層〔図3(a)〕を熱酸化すると、酸化速度が形状に伴って不均一になるという事実を利用して、単電子トランジスタ素子を作製することができる〔図3(b)〕。この酸化速度が不均一になるという理由は、以下のように説明できる。すなわち、上層シリコン層3がエッチングされた開口部付近では、SIMOX基板の埋め込み酸化シリコン膜2側からの酸素の拡散による酸化がより進むのに対し、量子細線部のようにパターン端部のみで囲まれた部分では、酸化に伴うシリコン/酸化膜界面の圧縮応力によって酸化の反応速度定数が低下し、酸素の固溶度が低下するので酸化は急激に抑制される。これによって、量子細線部の両側で上層シリコン層3が薄くなって「くびれ」ができる。この「くびれ」が、量子サイズ効果によりポテンシャルバリアを形成し、トンネル容量として作用する。
例えば、量子細線を含んだ薄層シリコン層が均一に30nm程度の厚さであった場合は、量子細線部の両側の2次元シリコン層が400nm程度の幅を有していると、2次元シリコン層の量子細線側の開口部のみならず、両側の開口部からも酸素が侵入し横方向拡散するため、酸化がいっそう進み、量子細線部をシリコン島とするシングルエレクトロントランジスタが実現される。しかし、第1の実施の形態の〔工程1〕から〔工程7〕までを行えば、量子細線部と2次元シリコン層の膜厚を、あらかじめ変えておいてから熱酸化することが可能であるため、量子細線部の両側の2次元シリコン層の幅についての制限が緩和される。つまり、量子細線部と、その両端の2次元シリコン層の膜厚を、それぞれ任意に設定することができるので、量子細線に接続する2次元シリコン層の幅を考慮して、パターン形状依存酸化によって、単電子トランジスタ動作に最適なトンネル容量となるように、適切な2次元シリコン層の膜厚を決めることができる。また、〔工程7〕のシリコン窒化膜の除去工程を省いて熱酸化することも可能である。この場合は、酸化に伴うシリコン窒化膜の応力と、シリコン窒化膜が酸素や水分を透過させないという性質の双方が重なり合って、厚膜部の上からのシリコンの酸化が抑制される。
【0013】
〈第8の実施の形態〉
第1の実施の形態の〔工程6〕では、領域Aと領域Bのいずれにもない領域の上層シリコン層をすべて除去する方法を示した。しかし、この〔工程6〕ですべて除去しなくても、後の〔工程7〕で酸化した後に、上層シリコン層をすべて酸化し酸化シリコン膜としても良い。
【0014】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明のシリコン量子細線構造では、シリコン膜厚に段差の付いた量子細線構造を形成することが可能であるので、量子細線を有する半導体装置やシングルエレクトロントランジスタ、およびこれらの組み合わせ構造を容易に実現できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態で例示したシリコン量子細線構造の作製過程を示す工程図。
【図2】本発明の第1の実施の形態で例示したシリコン量子細線構造のA領域およびB領域を示す模式図。
【図3】本発明の第7の実施の形態で例示した単電子トランジスタ素子の作製過程を示す工程図。
【符号の説明】
1…単結晶シリコン基板
2…酸化シリコン膜
3…単結晶シリコン層(上層シリコン層)
4…シリコン窒化膜
5…レジストマスク
6…プラズマ酸化膜
7…熱酸化膜
8…ゲート電極
9…ソース・ドレイン電極
A…領域A(シリコン窒化膜)
B…領域B(レジスト開口部)
Claims (1)
- 少なくとも、第1のシリコン膜厚を有する第1のシリコン量子細線の領域と、該第1のシリコン量子細線の少なくとも片側に、上記第1のシリコン量子細線より広い幅を持って接続され、かつ上記第1のシリコン膜厚より厚い第2のシリコン膜厚を有する量子細線接続領域と、上記シリコン膜厚の異なる二つのシリコン膜領域を酸化して、これら膜厚の異なる二つのシリコン膜を覆うように形成した酸化シリコン膜よりなるシリコン量子細線構造を作製する方法であって、
シリコン基板上に、酸化シリコン膜を介して、シリコン層を形成する工程と、
上記シリコン層上に、シリコン量子細線部となる第1のシリコン膜厚の領域と、絶縁膜のマスクに覆われたシリコン量子細線接続部となる第2のシリコン膜厚の領域を形成する工程と、
上記第2のシリコン膜厚の領域の絶縁膜を残したまま、上記第1のシリコン膜厚の領域に新たな絶縁膜マスクを形成する工程と、
上記二つの絶縁膜をマスクとしてシリコン層をエッチングし、上記第1および第2のシリコン層領域以外のシリコン層を除去する工程と、
上記第1および第2のシリコン層の周囲を酸化して、上記二つの膜厚の異なるシリコン層の周囲を覆うように酸化膜を形成する工程を、少なくとも用いることを特徴とするシリコン量子細線構造の作製方法。
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JP5491145B2 (ja) * | 2009-11-26 | 2014-05-14 | 日本電信電話株式会社 | 単電子ターンスタイルデバイスおよびその製造方法 |
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1996
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