JP3644521B2 - 観音開き式扉装置付き家具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、キャビネット等、観音開き式扉装置を備えた家具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
2枚の扉を水平回動自在に設けた観音開き式の扉装置には、図18(A) に概念的に示すように両扉A,B が閉じた状態でその自由端A1,B1 が前後方向に重なり合うように構成したものと、図18(B) に示すように両扉A,B を互いに干渉しない状態にしたものとがある。このうち前者のように扉A,B の自由端を互いに重ね合わせたタイプの扉装置では、自由端B1が外側に位置する扉Bのみに対応した1つのラッチ装置を設け、後者のように両扉をフリーにしたタイプの扉装置では、両方の扉A,B に対応してそれぞれラッチ装置を設けている。
【0003】
ラッチ装置については様々な構造のものがあるが、一般的には、扉の上下両端のうちいずれか一方又は両方に、キャビネット等の本体に向けて延びる鉤型のラッチ爪を水平回動自在に設ける一方、本体には、前記ラッチ爪が係脱する係合穴を形成し、ラッチ爪を、前記係合穴に係合する方向にばねで付勢することにより、扉を閉じるいわゆる蹴り込み係合によってラッチ爪が係合穴に自動的に係合するように構成し、更に、扉に、ラッチ爪を係合穴から離脱する方向に回動させるための引手又はハンドルを設けた構造になっていることが多い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
左右の扉にラッチ装置を設けた場合、従来は2つのラッチ装置を互いに関連なく取り付けているに過ぎないため、左右扉を開くに当たっては両方の扉の引手やハンドルに指を掛けて回動操作しなければならず、このため扉の開き操作が面倒であった。
【0005】
本発明は、この問題を解消することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本願発明に係る家具は、前向きに開口した家具本体と、この家具本体の開口部を塞ぐ観音開き式の左右一対の扉と、扉をその閉じ回動にて閉じ状態に保持するラッチ手段とが備えられており、前記左右の扉は、両者を閉じた状態で互いの自由端が前後に重ならないように家具本体に水平回動自在に取付けられている一方、前記ラッチ手段は、扉の上端又は下端若しくは上下両端に設けられたラッチ爪と、このラッチ爪に対応して家具本体の上端又は下端若しくは上下両端に設けられた係合部とを備えていて、左右の扉に対応して一対のラッチ手段が設けられている。
更に、左右の扉には、ラッチ爪を係合部から係合解除させる操作手段がそれぞれ設けられ、前記家具本体には、左右のラッチ手段におけるラッチ爪と係合部との係合解除を同時に行わせる連動手段が設けられており、左右の扉を任意に開閉できる。
そして、請求項1の発明では、前記連動手段は、閉扉状態で一方の扉のラッチ爪が係合部から係合解除されるように操作されると係合保持位置から係合解除位置に水平スライドする第1スライダーと、閉扉状態で他方の扉のラッチ爪が係合部から係合解除されるように操作されると係合保持位置から係合解除位置に水平スライドする第2スライダーとを備えており、これら第1スライダーと第2スライダーとは、係合保持位置から係合解除位置へのスライドが一緒に行われるように連動しており、更に、本体又は扉のうちいずれか一方又は両方に、閉じた状態の扉を開き方向に付勢するばね手段を設けている。
請求項2の発明では、前記連動手段は、左右ラッチ爪のうち一方のラッチ爪が係合する係合部を有すると共に他方のラッチ爪の操作によって係合保持位置から係合解除位置に水平スライドする第1係合部材と、左右のラッチ爪のうち他方のラッチ爪が係合する係合部を有すると共に一方のラッチ爪の操作によって係合保持位置から係合解除位置に水平スライドする第1係合部材とを備えており、かつ、前記第1係合部材と第2係合部材とは係合保持位置にばねで付勢されており、更に、本体又は扉のうちいずれか一方又は両方に、閉じた状態の扉を開き方向に付勢するばね手段を設けている。
【0007】
【発明の奏する効果】
このように構成すると、一方の扉の引手やハンドル等の操作手段を操作して当該一方の扉を開くと、他方の扉のラッチ手段におけるラッチ爪と係合部との係合が解除されるから、他方の扉は、引手やハンドル等の操作手段をいちいち操作しなくても、扉の自由端に指を掛けて手前に引くだけで開くことができる。従って本発明によると、左右の扉にラッチ手段を設けたものでありながら、左右扉の開き操作を簡単に行うことができる。
【0008】
【発明の実施形態】
次に、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本実施形態は家具の一例としてのキャビネットに適用しており、先ず、図1〜図9に基づいて第1実施形態を説明する。図1はキャビネット1の外観斜視図であり、キャビネット1は、前面を開口した本体2とその開口部に蝶番(図示せず)を介して取付けた左右一対の観音開き式扉3,4 とを備えている。
【0009】
左右扉3,4 は薄金属板によって中空状に形成されており、両扉3,4 の自由端寄り部位の内部には、扉3,4 の上下中途高さ位置からほぼ上端まで延びるラッチ杆5が水平回転自在に支持されている。更に、両扉3,4 の自由端寄り部位の中途高さ位置には、前記ラッチ杆5を回転操作するための操作手段の一例としての引手6を内蔵している。引手6は回動式に構成しても良いしスライド式に構成しても良い。また、引手6に代えてハンドルや撮みを設けても良い。
【0010】
次に、図2〜図9に基づいてラッチ機構の主要部を説明する。図2は図1のII−II視断面図、図3は主要部の分離斜視図、図4は主要部の分離平面図、図5は図2の V-V視図、図6は図2のVI−VI視断面図、図7〜図9は作用を示す図である。
図2,3,4 等に示すように、両扉3,4 の上端部内面には、本体2の方向に向いた鉤型のラッチ爪7を回動自在に取付けている。ラッチ爪7は前記ラッチ杆5の上端に固定されており、平面視で先窄まりとなるように鉤部7aの側面は傾斜面7bに形成されている。一方、本体2のうち扉3,4 の上端部と対向したかまち部2aには、係合部の一例として、前記ラッチ爪7の鉤部7aが嵌まり係合し得る一対の係合穴8を形成している。ラッチ爪7と係合穴8とはラッチ手段を構成する。
【0011】
前記ラッチ爪7及びラッチ杆5は、図示しないばねにより、ラッチ爪7を係合穴8に係合させる方向に付勢されている。従って、扉3,4 を閉じると、ラッチ爪7は傾斜面7aが係合穴8の縁に当たることによるガイド作用によって一旦逃げ回動し、それからから扉3,4 を閉じ切るのと同時に鉤部7aが係合穴8に嵌まり込み、これによって扉3,4 は閉じた状態に保持される。
【0012】
図2〜図6に示すように、本体2における中空状のかまち部2aのうち左右係合穴8の間の箇所には、側面視コ字状のケース9が固定されている。ケース9の内面のうち正面視で中央の箇所に第1ピン10を前向き突設し、この第1ピン10に、請求項2に記載した連動手段の一環をなすピニオンギア11を回転自在に嵌め込んでいる。また、図2や図4に示すように、ケース9の前面には蓋板12を装着している。
【0013】
更に、ケース9の内面のうち第1ピン10を挟んだ左右両側に第2ピン13を前向き突設し、この第2ピン13に、前記蓋板12を貫通した円筒型のプッシャー14を被嵌し、プッシャー14をばね手段の一例としてのコイルばね15で前方に付勢している。プッシャー14には抜け止め用のフランジ14aが形成されており、閉じた状態の扉3,4 をプッシャー14で前向きに押している。
【0014】
本体2のかまち部2aのうち正面視でケース9を挟んだ左右両側に、請求項1に記載した連動手段の一環なす第1スライダー及び第2スライダーとして、前記ラッチ爪7が嵌まり込む穴17が形成された箱型のスライダー18,19 を配置し、左スライダー18には、ケース9に入り込んでピニオンギア11に上方から噛合するラック20を設け、右スライダー19には、ケース9に入り込んでピニオンギア11に下方から噛合するラック20を設けている。上下ラック20はピニオンギア11に噛合した状態でケース9の上内面又は下内面に対して摺動自在に接している。
【0015】
従って、左右スライダー18,19 のうちいずれか一方を左右方向に移動させると、これに連動して他方は逆方向に同じ距離だけ移動する。両スライダー18,19 における穴17の左右幅寸法は係合穴8の左右幅寸法よりもやや小さい寸法に設定されている。また、図2に示すように、左右スライダー18,19 は、ケース9寄りに位置した内側面18a,19a がラッチ爪7の鉤部7aに当たらない状態から、図7に示すように、ケース9寄りに位置した内側面18b,19b が係合穴8と若干重複する位置まで往復動し得るように設定している。
【0016】
また、図2に示すように、両扉3,4 を閉じた状態では、左右両スライダー18,19 は係合保持位置にあってその左右外側の内側面18a,19b にラッチ爪7の側面が当たるように設定している(多少の隙間が空いていても良い)。更に、符号18c,19c で示すように、スライダー18,19 の開口縁のうちケース9から遠い側に位置した部分は面取り状に切り欠かれている。
【0017】
以上の構成において、例えば右扉4の引手6を操作して、右扉4のラッチ爪7を係合穴8から係合解除させると、図7(A)に示すように、右スライダー19が右側のラッチ爪7によって右方向(係合解除位置)に押しやられ、これに連動して左スライダー18は左方向(係合解除位置)に横移動し、左扉3のラッチ爪7は、左スライダー18により、係合穴8から離脱する方向に回動させられる。そして、左スライダー18のうちケース9に近い側の内側面18a,19a が正面視で係合穴8に入り込んだ状態になると、左扉3はプッシャー14によって前方に押し出される。
【0018】
従って、左扉3は、一々引手6に指を掛けて回動操作しなくても、当該左扉3の自由端の箇所に手を当てて引くだけで開くことができる。同様に、先に左扉3を開けた場合は、右扉4は一々引手6を操作しなくても開けることができる。
左右扉3,4 を空けた状態では、左右スライダー19は横移動した状態のままになっている。この状態で、例えば右扉4を閉じると、図8及び図9に示すように、右扉4のラッチ爪7は一旦逃げ回動しながら係合穴8に入り込むと共に、鉤部7aが右スライダー19の穴17に入り込む。すると、ラッチ爪7は、鉤部7aが係合穴8に入り込むようにばねによって付勢されているため、図9に示すように、右扉4のラッチ爪7によって右スライダー19はケース9の方向に押しやられ、これにより、右扉4のラッチ爪7の鉤部7aが係合穴8に嵌まり係合する。
【0019】
そして、右スライダー19がケース9に向けて横移動すると左スライダー18もケース9に向けて横移動するため、左スライダー18は、ケース9に近い側の内側面18a,19a が係合穴8から外れた状態となり、このため、左扉3を閉じると、そのラッチ爪7は係合穴8に蹴り込み係合する。この場合、スライダー18,19 の開口縁に切欠き部18c,19c を形成していることにより、ラッチ爪7とスライダー18,19 との干渉が防止される。
【0020】
以上のように、ケース9とスライダー18,19 とから成る連動手段を設けたことにより、左右扉3,4 の蹴り込み機能を損なうことなく、一方の扉3,4 の引手6を操作するだけで他方も簡単に開くことができる。
実施形態のようにラッチ爪7を本体2のかまち部2aに係合させると、引手6に手をかけずに扉3,4 を開き操作してもスライダー18,19 等の連動手段には外力が作用しないため耐久性が高い利点である。また、ラックとピニオンからなる連動機構を利用すると、連動が確実になる利点である。連動手段としてはリンクなど他の機構を利用しても良い。更に、プッシャー14を設けると閉じた状態で扉3,4 のガタ付きを防止できる利点もある。
【0021】
次に、図10〜図17に基づいて第2実施形態を説明する。この実施形態は請求項2に対応したもので、このうち図10は要部の分離斜視図、図11(A) は要部の分離平面図、図11(B) は主要部材の斜視図、図12は要部の平断面図、図13は主要部材の正面図、図14のうち (A)は図13の XIV-XIV視図、(B) は (A)のB-B 視断面図、図15は図12の XV-XV断面図、図16及び図17は作用を示す図である。
【0022】
この実施形態において扉3,4 の構造は第1実施形態と同じで、それぞれラッチ爪7を設けている。他方、この実施形態では、図12に示すように、本体2の中空状のかまち部2a内に、係合部を有する一対のスライド式の係合部材22,23 を左右動自在に配置し、この左右係合部材22,23 の先端部に対して、かまち部2aに形成した窓穴24を介してラッチ爪7をそれぞれ係脱させるようにしている。以下、詳述する(請求項との関係では、左右係合部材 22,23 のうち一方が第1係合部材で他方が第2係合部材になる。)。
【0023】
前記左右係合部材22,23 は金属板製(合成樹脂製でも良い)であり、図10や図11に示すように、ラッチ爪7が嵌まる前向き開口の枠部25と、かまち部2aの前面に沿って延びる板部26とから成っている。両係合部材22,23 とも枠部25は同じ形態で外側板25aを備えている。
左係合部材22の板部26のうちラッチ爪7が係合する係合部となる先端部26aを除いた基部26bは、下方に大きく切り開かれることによって細幅状に形成されており、また、先端部26aは、基部26bよりも前方にずれるように段違いになっており、更に、先端部26aには、枠部25の方向に開口した溝穴27が切り開き形成されている。他方、右係合部材23の板部26は左係合部材22と対称状に形成されており、その基部26bは上方に向けて大きく切り開かれて細巾状になっている。また、右係合部材23の先端部26aにも溝穴27を形成している。
【0024】
左右係合部材22,23 は、図11に示すように、左右係合部材22,23 の板部26を互いに噛み合わせた状態で前後に重ね合わせており、一方の係合部材22,23 における板部26の先端部26aが、他方の係合部部22,23 における枠部25に部分的に重なるように設定している。また、図11(B) や図14(A) に明示するように、左右係合部材22,23 における板部26の間に左右長手の長溝穴31が形成されている。左右係合部材22,23 は重なり合った状態で互いにスライド自在である。この場合、両板部26の最先端26cは、他方の係合部材22,23 に向けて傾斜している。また、両係合部材22,23 の滑りを円滑に行うため、板部26の先端部26aの付け根箇所には折曲片26dを形成している。
【0025】
例えば図15に示すように、本体2のかまち部2aには、両係合部材22,23 の枠部25が嵌まり込む前向き開口のケース28を装着している。両係合部材22,23 はケース28内面にガイドされて左右方向にスライドし得る。図10や図11等に示すように、両係合部材22,23 の枠部25とケース28の左右内側面との間には、各々係合部材22,23 を付勢する第1ばね29を配置している。
【0026】
また、例えば図10,11 に示すように、ケース28の内部には、前向きに突出する2本のピン30を左右に振り分けて配置し、これら両ピン30に円筒状のプッシャー14を嵌め込んでいる。プッシャー14は一対の係合部材22,23 によって形成された長溝穴31を貫通しており、扉3,4 の裏面に当たるように設定している。また、左右プッシャー14間の間隔よりも長溝穴31の横幅寸法の方が大きい。また、各係合部材22,23 がスライドすると、当該係合部材22,23 の先端部26aに形成した溝穴27がプッシャー14に嵌まるように設定しており、このため前記溝穴27は横向きU字状に形成している。
【0027】
プッシャー14の基部にはフランジ24aが形成されており、プッシャー14はピン30に被嵌した第2ばね32によって前方に付勢されている。
前記ケース28の開口部のうち左右中央部には、前記プッシャー14が貫通した第1ガイド体33を嵌め込み装着しており、この第1ガイド体33の前面に形成した横長の凸条34を、両係合部材22,23 によって形成された長溝穴31に嵌め込んでいる。第1ガイド体33における凸条34の左右長さは長溝穴31の左右長さ寸法よりも小さい。また、図10及び図14(B) に示すように、係合部材22,23 の板部26の付け根箇所26eを凸条34の端面34aに当てることにより、係合部材22,23 の突出位置を規制している。
【0028】
前記第1ガイド体33の背面には、プッシャー14のフランジ14aが嵌まる凹所35を形成している。
係合部材22,23 の前方には、側面視後ろ向き開口コ字状の第2ガイド体36を配置している。この第2ガイド体36は正面視で第1ガイド体33と重なる大きさであり、図15に示すように、第1ガイド体33に嵌め込み装着されている。また、第2ガイド体36には前記プッシャー14が摺動自在に貫通している。また、図10及び図14(B) に示すように、第2ガイド体36の裏面には、第1ガイド体33の凸条34と重なり合う細巾で縦長のスペーサ部37を形成している。
【0029】
更に、第2ガイド体36の裏側には、その裏面から若干の間隔を開けた状態で上下長手の板片38を連接しており、第2ガイド36の裏面と板片38との間に係合部材22,23 の先端部26aを挿入している。これは、係合部材22,23 がガタ付きなくスライドするようにするためである。図10に示すように、第2ガイド体36のうち前記板片38の箇所には、正面視で板片38と重複する透孔39が空いているが、これは、第2ガイド体36を合成樹脂の射出成形によって製造するに際して、金型を抜き違いさせることによって生じたものである。
【0030】
図15に示すように、ケース28と両ガイド体33,36 とは前後方向にきっちりと重なり合った状態で本体2のかまち部2aに固定されている。また、かまち部2aにはプッシャー14が貫通する抜き穴40が空いている。
図12に示すように、両係合部材22,23 は第1ばねによって係合保持位置に付勢されており、この状態で、左係合部材22の先端部26aに対して右扉4のラッチ爪7が係合し、右係合部材23の先端部26aに対して左扉3のラッチ爪7が係合している。また、左係合部材22における枠部25の外側板25aに左扉3のラッチ爪7が近接又は密着し、右係合部材23における枠部25の外側板25aに右扉4のラッチ爪7が近接又は密着するように設定している。
【0031】
図16は扉3,4 を開ける状態を示しており、例えば右扉4の引手6を操作してラッチ爪7を回動させると、(A) に示すように右係合部材23が第1ばね29に抗して右方向(係合解除位置)にスライドし、これにより、右扉4のラッチ爪7と左係合部材22との係合が解除されると共に、右係合部材23が右方向に移動することにより、左扉3のラッチ爪7と右係合部材23との係合が解除される。
【0032】
そして、左扉3のラッチ爪7と右係合部材23との係合が解除されるのと同時に、左扉3はプッシャー14によって前方に押し出され、左扉3のラッチ爪7はかまち部2aの窓穴24から離脱する。右扉4を手前に引いて当該右扉4のラッチ爪7が右係合部材23から離脱すると、図16(B) に示すように、左右係合部材22,23 は共に第1ばね29によって押され、元の係合保持位置に復帰する。
【0033】
このように、いずれか一方の扉3,4 の引手6を操作すると、その操作により、他方の扉3,4 のラッチ爪7が係合部材22,23 から離脱するため、他方の扉3,4 を開けるに際していちいち引手6を操作する必要はない。
扉3,4 を閉じるに際しては、例えば右扉4を閉じる場合は、図17に示すように、ラッチ爪7における鉤部7aの傾斜面7bが左係合部材22の先端に当たり、ラッチ爪7の傾斜面7bのガイド作用により、左係合部材22が第1ばね29に抗して左方向に押しやられるか、又は、右係合部材23が一点鎖線の矢印で示すように回動して右係合部材23を右方向に押しやるかすることにより、右ラッチ爪7の鉤部7aが右係合部材23の枠部25の中に入り込む。左扉3を閉じる場合も同様である。
【0034】
このようにして両ラッチ爪7が係合部材22,23 の枠部25 内に入り込むと、係合部材22,23 は第1ばね29によって押されて、図12の状態の係合保持位置になる。
この第2実施形態のように構成すると、両係合部材22,23 はラッチ爪7が係合し得る状態に常にばね29によって押されているため、開けた扉3,4 を閉じるに際しての蹴り込み係合が確実になる利点がある。
【0035】
上記両実施形態において、ラッチ爪及び係合部を扉の上下2箇所の部位に一対ずつ設けても良いことは言うまでもない。
以上、本発明の実施形態を2例説明したが、本発明は更に種々の形態に変更することができる。例えばラッチ爪は鉤型には限らないし、又は回動式にも限らないのであり、このようなラッチ爪の形態の変更に伴って係合部の形態も変わってくる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したキャビネットの斜視図である。
【図2】図1のII−II視平断面図である。
【図3】第1実施形態の要部の分離斜視図である。
【図4】第1実施形態の要部の分離平面図である。
【図5】図2の V-V視図である。
【図6】図2のVI−VI視断面図である。
【図7】扉を開ける状態の説明図である。
【図8】扉を閉じる状態の説明図である。
【図9】扉を閉じる状態の説明図である。
【図10】第2実施形態の要部の分離斜視図である。
【図11】第2実施形態の要部を示す図である。
【図12】第2実施形態の要部の平断面図である。
【図13】第2実施形態の主要部材の正面図である。
【図14】(A) は図13の XIV-XIV視図、 (B)は (A)の B-B視断面図である。
【図15】図12の XV-XV断面図である。
【図16】扉を開けるときの説明図である。
【図17】扉を閉めるときの説明図である。
【図18】扉装置のタイプを示す概略図である。
【符号の説明】
2 本体
3,4 扉
6 引手
7 ラッチ爪
8 係合部の一例としての係合穴
9 ケース
11 ピニオンギア
14 プッシャー
18,19 スライダー(第1部材・第2部材)
20 ラック
22,23 係合部材
26 a 係合部を構成する先端部
28 係合穴
33 第1ガイド体
36 第2ガイド体
Claims (2)
- 前向きに開口した家具本体と、この家具本体の開口部を塞ぐ観音開き式の左右一対の扉と、扉をその閉じ回動にて閉じ状態に保持するラッチ手段とが備えられており、
前記左右の扉は、両者を閉じた状態で互いの自由端が前後に重ならないように家具本体に水平回動自在に取付けられている一方、
前記ラッチ手段は、扉の上端又は下端若しくは上下両端に設けられたラッチ爪と、このラッチ爪に対応して家具本体の上端又は下端若しくは上下両端に設けられた係合部とを備えていて、左右の扉に対応して一対のラッチ手段が設けられており、
更に、左右の扉には、ラッチ爪を係合部から係合解除させる操作手段がそれぞれ設けられ、前記家具本体には、左右のラッチ手段におけるラッチ爪と係合部との係合解除を同時に行わせる連動手段が設けられており、左右の扉を任意に開閉できる家具であって、
前記連動手段は、閉扉状態で一方の扉のラッチ爪が係合部から係合解除されるように操作されると係合保持位置から係合解除位置に水平スライドする第1スライダーと、閉扉状態で他方の扉のラッチ爪が係合部から係合解除されるように操作されると係合保持位置から係合解除位置に水平スライドする第2スライダーとを備えており、これら第1スライダーと第2スライダーとは、係合保持位置から係合解除位置へのスライドが一緒に行われるように連動しており、
更に、本体又は扉のうちいずれか一方又は両方に、閉じた状態の扉を開き方向に付勢するばね手段を設けている、
観音開き式扉装置付き家具。 - 前向きに開口した家具本体と、この家具本体の開口部を塞ぐ観音開き式の左右一対の扉と、扉をその閉じ回動にて閉じ状態に保持するラッチ手段とが備えられており、
前記左右の扉は、両者を閉じた状態で互いの自由端が前後に重ならないように家具本体に水平回動自在に取付けられている一方、
前記ラッチ手段は、扉の上端又は下端若しくは上下両端に設けられたラッチ爪と、このラッチ爪に対応して家具本体の上端又は下端若しくは上下両端に設けられた係合部とを備えていて、左右の扉に対応して一対のラッチ手段が設けられており、
更に、左右の扉には、ラッチ爪を係合部から係合解除させる操作手段がそれぞれ設けられ、前記家具本体には、左右のラッチ手段におけるラッチ爪と係合部との係合解除を同時に行わせる連動手段が設けられており、左右の扉を任意に開閉できる家具であって、
前記連動手段は、左右ラッチ爪のうち一方のラッチ爪が係合する係合部を有すると共に他方のラッチ爪の操作によって係合保持位置から係合解除位置に水平スライドする第1係合部材と、左右のラッチ爪のうち他方のラッチ爪が係合する係合部を有すると共に一方のラッチ爪の操作によって係合保持位置から係合解除位置に水平スライドする第1係合部材とを備えており、かつ、前記第1係合部材と第2係合部材とは係合保持位置にばねで付勢されており、
更に、本体又は扉のうちいずれか一方又は両方に、閉じた状態の扉を開き方向に付勢するばね手段を設けている、
観音開き式扉装置を備えている家具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17019197A JP3644521B2 (ja) | 1997-06-26 | 1997-06-26 | 観音開き式扉装置付き家具 |
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