JP3644499B2 - 高比重高強度タングステン基焼結合金製ウェート - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば携帯通信機器等における呼び出しのための振動発生用の偏心ウェートや、防振のためのバランスウェートや、その他の重りとしてのウェートなどに用いた場合に好適な高比重高強度タングステン基焼結合金製ウェートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の偏心ウェートを構成するタングステン基焼結合金としては、W(タングステン)−Ni(ニッケル)−Cu(銅)、W−Ni−Fe(鉄)、W−Ni−Mo(モリブデン)−Fe、W−Ni−Mo−Co(コバルト)合金等のものが知られている。このタングステン基焼結合金で所定の形状のものを製造するには、W、Ni、Cu等の粉末を押型で圧縮成形し、これによって得られた圧粉体を加熱焼結することによって行うことになる。このため、ウェートとしての所望の形状を容易に得ることができるという利点がある。しかし、焼結性を確保するために、W成分以外のNi、Cu等の低融点結合相形成成分を5重量%以上にする必要があることから、18.5以上の比重のウェートを製造することができなかった。
【0003】
一方、タングステン基焼結合金としては、例えば電球のフィラメントのように、Wをほぼ100重量%含むものも知られている。従って、このようなタングステン基焼結合金であれば、比重を18.5以上にすることが可能である。しかし、このタングステン基焼結合金で所定の形状のものを製造するには、Wの粉末を押型で圧縮成形して、細長い角棒状の圧粉体を成形し、その両端に大電流を通じて、融点(3370℃)の少し下の温度(2800℃)の高温で焼結して棒状の焼結体を形成してから、1700〜1800℃の高温で鍛造しなければならない。従って、線状のものを製造するにはよいが、ウェートとして要求される複雑形状のものや、精度の高いもの等を量産規模的に製造することは事実上不可能であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このため、タングステン基焼結合金製のウェートとしては、W−Ni−Cu系の焼結合金製のものが使用されてきたが、上述のようにW成分以外のNi、Cu等の結合相形成成分が5重量%以上であるため、18.5以上の比重のものが得られず、よって今まで以上に小型化するのが難しいという問題があった。
そこで、今までの既成概念にとらわれることなく、W成分以外のNi、Cu等の結合相形成成分を5重量%以下にすべく、鋭意研究を重ねた結果、結合相形成成分を3重量%以下にした場合でも、NiとCuとの相対的比率を適正に設定することによって緻密化と焼結性を確保して、高強度のものを得ることができるという知見を得た。
【0005】
この発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、残留空孔の低減とW成分の含有量を向上させることに伴う高比重化によりさらなる小型化を図ることができる高比重高強度タングステン基焼結合金製ウェートを提供することを課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、結合相形成成分として、Niが0.1重量%以上、Cuが0.1重量%以上の範囲であって、且つこれらの全量が3重量%以下であるとともに、NiとCuとの比率が(2:1)〜(6:1)となるように含有し、残部が分散相形成成分としてのW及び不可避不純物からなる組成を有し、比重が18.5〜19.2となるように調整されたW基焼結合金によって形成されていることを特徴としている。
【0007】
請求項2記載の発明は、結合相形成成分として、Niが0.1重量%以上、Cuが0.1重量%以上、Feが0.1〜1重量%の範囲であって、且つこれらの全量が3重量%以下であるとともに、(Ni+Fe)とCuとの比率が(2:1)〜(6:1)となるように含有し、残部が分散相形成成分としてのW及び不可避不純物からなる組成を有し、比重が18.5〜19.2となるように調整されたW基焼結合金によって形成されていることを特徴としている。
【0008】
請求項3記載の発明は、結合相形成成分として、Niが0.1重量%以上、Cuが0.1重量%以上、Feが0.1〜1重量%、Coが0.1〜1重量%の範囲であって、且つこれらの全量が3重量%以下であるとともに、(Ni+Fe+Co)とCuとの比率が(2:1)〜(6:1)となるように含有し、残部が分散相形成成分としてのW及び不可避不純物からなる組成を有し、比重が18.5〜19.2となるように調整されたW基焼結合金によって形成されていることを特徴としている。
【0009】
請求項4記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の発明において、モータの回転軸に、加締めによって一体的に結合されるようになっていることを特徴としている。
【0010】
上記のように構成された請求項1ないし4に記載の発明においては、結合相形成成分としてのNiを0.1重量%以上、Cuを0.1重量%以上の範囲で含有させ、また他の結合相形成成分を含めた結合相形成成分の全量を3重量%以下となるようにしているので、結局、Wの含有量を97重量%超にすることができる。従って、比重を18.5〜19.2にすることができる。
【0011】
上記Ni成分は、W粉末の焼結に必要な液相を提供し、且つWの粒界拡散係数を向上させるための必要不可欠な結合相形成成分である。そして、このNi成分を0.1重量%以上の範囲に限定しているのは、0.1重量%未満ではW焼結合金の緻密化が起きず、所定の高比重が得られないばかりでなく、残留空孔の存在によって強度が極端に低下してしまうことになるためである。
【0012】
上記Cu成分は、W粉末の焼結に必要な比較的融点の低い液相を提供し、且つNi−Cu合金の固溶体を形成することによって焼結性の促進と強度の向上に寄与する結合相形成成分である。そして、このCu成分を0.1重量%以上の範囲に限定したのは、0.1重量%未満では低温における焼結性の向上の効果が全く見られないためである。
また、NiとCuの合計が3重量%超では比重の低下を招くことになるためである。
【0013】
また、NiとCuとの相対的比率は、焼結過程におけるNi−Cuの結合相中へのWの固溶限及び液相の発生速度に影響することになる。すなわち、NiとCuとの比率を(2:1)〜(6:1)にすることによって、各W粒子間にNi−Cu液相が適正な速度で流入して空孔が無くなるとともに、各W粒子が溶解−再析出過程において成長して再配列することにより、緻密化が急激に進むことになる。つまり、NiとCuと比率は、残留空孔の量に影響し、比重や強度に影響を及ぼすことになる。また、換言すれば、合金の緻密化過程がNiとCuとの比率に依存することになる。したがって、NiとCuとの比率を上記のような適正な比率に設定することにより、緻密化が促進し、この緻密化に伴って強度が増加するとともに、靱性も向上することになる。ただし、NiとCuとの比率(2:1)において、Niの比率を2未満にすると、焼結の際の緻密化が進まず、高比重化が得られなくなる。一方、NiとCuとの比率(6:1)おいて、Niの比率を6超にすると、強度の低下を招くことになる。
【0014】
以上の結果、18.5〜19.2の高比重と、高強度とを得ることができるので、さらなる小型化を図ることができる。そして、このように構成された高比重高強度タングステン基焼結合金製ウェートは、例えば携帯電話の振動モータに偏心ウェートとして取り付けることにより、当該携帯電話の軽薄短小化を図ることができるとともに、より強力な振動量によって着信があったことを知らせることができる。
【0015】
なお、上記NiとCuとの比率については、焼結の際の緻密化を促進させ、かつ強度の低下を防止する上で、(2.5:1)〜(5:1)の範囲に設定することがより望ましい。
【0016】
請求項2に記載の発明においては、請求項1に記載の発明に対して更にFeを0.1〜1重量%の範囲で含有しているので、強度の向上を図ることができる。即ち、Fe成分は、Ni成分に固溶することによってその結合相の強度の向上を図ることができる。Fe成分を0.1〜1重量%の範囲に限定したのは、0.1重量%未満では強度向上の効果が全く見られず、一方、1重量%を超えると、延性の低下を招くことになるからである。
【0017】
請求項3に記載の発明においては、請求項1または2に記載の発明に対して更にCoを0.1〜1重量%の範囲で含有しているので、強度の向上を図ることができる。即ち、Co成分は、液相状態でW粒子との濡れ性が良いため、Ni結合相形成成分の補助成分として添加することにより、焼結促進と強度の向上を図ることができる。そして、このCo成分をCo:0.1〜1重量%の範囲に限定したのは、0.1重量%未満では、強度を向上させる効果が見られず、一方、1重量%超になると、延性の著しい低下を招くためである。
【0018】
請求項4に記載の発明においては、モータの回転軸に、加締めによって一体的に結合されるようになっているので、当該回転軸に、結合のための種々の手段を設けることなく簡単に固定することができる。即ち、高比重、高強度に加えて十分な延性を有することから、加締めによるだけで回転軸に強固に固定することができる。従って、加締め後に、回転軸に対して回転方向にずれたり、軸方向にずれたりするのを防止することができる。そして、高比重化の達成によって、極めて小さな偏心ウェートとして利用することができるので、例えば携帯通信機器に使用することによって、この携帯通信機器の軽薄短小化を促進することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図1及び図2を参照しながら説明する。図1は、高比重高強度タングステン基焼結合金製ウェート(以下、「ウェート」という)の製造プロセスを示すフロー図であり、図2は振動モータ(以下、「モータ」という)の回転軸にウェートを加締めにより結合した状態を示す図である。
【0020】
図1の製造プロセスで製造されるウェートは、結合相形成成分として、Niを0.1重量%以上、Cuを0.1重量%以上、Feを0.1〜1重量%、Coを0.1〜1.0重量%の範囲であって、且つこれらの全量が3重量%以下であるとともに、(Ni+Fe+Co)とCuとの比率が(2:1)〜(6:1)となるように含有し、残部が分散相形成成分としてのW及び不可避不純物からなる組成を有し、比重が18.5〜19.2となるように調整されたW基焼結合金によるものである。
【0021】
上記Wは、適正な成形性及び焼結性を得るため、平均粒径が0.5〜5μmの粉末を用いている。Ni、Cu、Fe及びCoについても、Wと同程度の平均粒径の粉末を用いている。
【0022】
ここで、Ni成分は、W粉末の焼結に必要な液相を提供し、且つWの粒界拡散係数を向上させるための必要不可欠な結合相形成成分である。そして、このNi成分を上記のような範囲に規定しているのは、0.1重量%未満ではW焼結合金の緻密化が起きず、所定の高比重が得られないばかりでなく、残留空孔の存在によって強度は極端に低下してしまうことになるためである。
【0023】
Cu成分は、W粉末の焼結に必要な比較的融点の低い液相を提供し、且つNi−Cu合金の固溶体を形成することによって焼結性の促進と強度の向上に寄与する結合相形成成分である。そして、このCu成分を上記のような範囲に規定しているのは、0.1重量%未満では低温における焼結性の向上の効果が全く見られないためである。
また、NiとCuの合計が3重量%超では比重の低下を招くことになるためである。
【0024】
また、NiとCuとの相対的比率は、焼結過程におけるNi−Cuの結合相中へのWの固溶限及び液相の発生速度に影響することになる。すなわち、NiとCuとの比率を(2:1)〜(6:1)にすることによって、各W粒子間にNi−Cu液相が適正な速度で流入して空孔が無くなるとともに、各W粒子が溶解−再析出過程において成長して再配列することにより、緻密化が急激に進むことになる。つまり、NiとCuと比率は、残留空孔の量に影響し、比重や強度に影響を及ぼすことになる。また、換言すれば、合金の緻密化過程がNiとCuとの比率に依存することとなる。したがって、NiとCuとの比率を上記のような適正な比率に設定することにより、緻密化が促進し、この緻密化に伴って強度が増加するとともに、靱性も向上することになる。ただし、上記比率(2:1)において、Niの比率を2未満にすると、焼結の際の緻密化が進まず、高比重化が得られなくなる。一方、上記比率(6:1)おいて、Niの比率を6超にすると、強度の低下を招くことになる。
【0025】
上記Fe成分は、Ni成分に固溶することによってその結合相の強度の向上を図ることができる。このFe成分は、0.1重量%未満では強度向上の効果が全く見られず、1重量%を超えると、延性の低下を招くことになる。
【0026】
上記Co成分は、液相状態でW粒子との濡れ性が良いため、Ni結合相形成成分の補助成分として添加することにより、焼結促進と強度の向上を図ることができる。このCo成分は、0.1重量%未満では、強度を向上させる効果が少なく、1重量%超になると、延性の著しい低下を招くことになる。
【0027】
以上の結果、18.5〜19.2の高比重と、高強度とを得ることができるので、さらなる小型化を図ることができる。そして、このように構成された高比重高強度タングステン基焼結合金製ウェートは、例えば携帯電話の振動モータに偏心ウェートとして取り付けることにより、当該携帯電話の軽薄短小化を図ることができるとともに、より強力な振動量によって着信があったことを知らせることができる。
【0028】
なお、上記NiとCuとの比率については、焼結の際の緻密化を促進させ、かつ強度の低下を防止する上で、(2.5:1)〜(5:1)の範囲に設定することがより望ましい。
【0029】
次に、上記成分のウェートについての製造方法について図1を参照しながら説明する。
まず、W粉末、Ni粉末、Cu粉末、Fe粉末、Co粉末を上述した成分範囲となるように配合して原料を作る(SP1)。そして、この原料をボールミルに投入し、アセトン等の有機溶媒を用いて48時間の湿式混合を行う(SP2)。これにより、各成分の粉砕、混合が十分に行われることになり、各粉末成分がW粉末に均一に分散された状態になる。
【0030】
その後、上記原料を押型に充填して、1960×105 Pa(2000kg/cm2 )の圧力で成形する(SP3)。これにより、図2に示すような形状(但し、加締め部14cが形成されてない形状)の圧粉体が得られる。
【0031】
次に、上記圧粉体を900℃の温度の水素雰囲気中で3時間予備焼結を行った(SP4)後、1400〜1550℃の温度の水素雰囲気中で1時間本焼結を行う(SP5)ことにより、図2に示すウェート10(但し、加締め部14cが形成されてないもの)が完成する。このウェートについては、比重、抗折強度(×107 Pa(kgf/mm2 ))等についての品質の評価が行われた(SP6)後に、完成品として取り扱われることになる。
【0032】
図2に示すウェート10は、携帯電話(携帯通信機器)に組み込まれたモータに取り付けられる振動発生用の偏心ウェートとして構成されたものであり、円弧半径が数mmの横断面略扇型状に成形され、その扇状部分全体が偏心荷重部11となっている。この偏心荷重部11の扇状を描く外周円弧の中心部には、例えば、SUS420などのステンレス製のモータの回転軸12が嵌まり込む溝部13が形成されている。また、この溝部13の両側には、偏心荷重部11から膨出して溝部13の両側縁部を形成する側壁14が一体に形成されている。
【0033】
そして、上記ウェート10は、側壁14の先端部端面14aのうち、軸線方向の両端部を残した中央部分において、側壁14の外周側部分14bを残した溝部13側の加締め部14cが、直方体状の加締めパンチ(図示せず)によって溝部13の開口15側から底側に向けて凹状に加締め変形させられることにより、回転軸12に一体的に結合されるようになっている。
【0034】
上記のように構成されたウェート10によれば、結合相形成成分としてのNiを0.1重量%以上及びCuを0.1重量%以上の範囲で含有させ、且つ他の結合相形成成分を含めた結合相形成成分の全量を3重量%以下となるようにしているので、結局、Wの含有量を97重量%超にすることができる。そして、上述したNi、Cu、Fe、Coの結合相形成成分によって、緻密化を図ることができるので、18.5〜19.2の高比重と、高強度とを得ることができる。したがって、従来にない小型のものを得ることができる。
【0035】
この結果、携帯電話の更なる軽薄短小化の要求に応えることができると共に、その着信を強力な振動量によって確実に知らせることができる。
【0036】
また、モータの回転軸12に、加締めによって一体的に結合されるようになっているので、当該回転軸12に対して、結合のための種々の手段を設けることなく簡単に固定することができる。即ち、高強度で、且つ十分な延性を有することから、加締めによるだけで回転軸に強固且つ確実に固定することができる。従って、回転軸12に対して回転方向にずれたり、軸方向にずれたりするのを確実に防止することができる。
【0037】
【実施例】
次に、この発明の実施例について、表1および表2を参照して説明する。表1および表2は、本焼結を行った後の各タングステン基焼結合金の試験結果を示したものである。この試験は、比較例1〜3、実施例1〜29のものについて行った。
【0038】
(成分組成について)
原料粉末として、いずれも2〜5μmの範囲内の平均粒径を有するW粉末、Ni粉末、Cu粉末、Fe粉末およびCo粉末を用意し、これらの原料粉末を表1に示す成分組成に配合した。
【0039】
(試験方法)
試験は、比較例1〜3、実施例1〜29のそれぞれについて供試体を作製して行った。
粉砕、混合、成形、予備焼結、本焼結については、上述したSP2〜SP5の通りである。また、本焼結(SP5)の温度は1460℃に設定した。
評価は、比重、抗折強度、加締めの可否によって行った。
【0040】
(考察)
表1、2に示される結果から、本発明の高比重W基焼結合金製ウェートの実施例1〜29は、何れも結合相の合計全量が3重量%以下であるにもかかわらず、NiとCuとの適正な比率で組み合わされていることに起因して、1400〜1550℃の焼結における焼結体の比重は、18.5〜19.2の範囲にある高比重の結果が得られており、且つ加締めによるシャフトへの固定に必要な充分な強度及び延性を有していることから、例えば携帯電話の軽薄短小化の要求に満足に対応できる振動モータの高比重高強度W基焼結合金製偏心ウェートを提供することができる。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
なお、上記ウェート10を、モータの回転軸12に結合するように構成したが、このウェート10は、例えば往復運動をするアクチュエータの軸や、その他の回転運動や往復運動をする軸に加締めにより結合するように構成してもよい。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1ないし4記載の発明によれば、
上記のように構成された請求項1ないし4に記載の発明においては、結合相形成成分としてのNiを0.1重量%以上、Cuを0.1重量%以上の範囲で含有させ、また他の結合相形成成分を含めた結合相形成成分の全量を3重量%以下となるようにしているので、結局、Wの含有量を97重量%超にすることができる。従って、比重を18.5〜19.2にすることができる。
【0045】
また、NiとCuとの比率を(2:1)〜(6:1)にすることによって、緻密化による強度の向上と、延性の向上を図ることができる。
【0046】
以上の結果、18.5〜19.2の高比重と、高強度とを得ることができるので、さらなる小型化を図ることができる。
【0047】
請求項2に記載の発明においては、請求項1に記載の発明に対して更にFeを0.1〜1重量%の範囲で含有しているので、強度の向上を図ることができる。
【0048】
請求項3に記載の発明においては、請求項1または2に記載の発明に対して更にCoを0.1〜1重量%の範囲で含有しているので、強度の向上を図ることができる。
【0049】
請求項4に記載の発明においては、モータの回転軸に、加締めによって一体的に結合されるようになっているので、当該回転軸に、結合のための種々の手段を設けることなく簡単に固定することができる。即ち、高比重、高強度に加えて十分な延性を有することから、加締めによるだけで回転軸に強固に固定することができる。従って、加締め後に、回転軸に対して回転方向にずれたり、軸方向にずれたりするのを防止することができる。そして、高比重化の達成によって、極めて小さな偏心ウェートとして利用することができるので、例えば携帯通信機器に使用することによって、この携帯通信機器の軽薄短小化を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施の形態として示した高比重高強度タングステン基焼結合金製ウェートの製造プロセスのフロー図である。
【図2】同高比重高強度タングステン基焼結合金製ウェートを電動モータの回転軸に加締めにより結合した状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
10 ウェート(高比重高強度タングステン基焼結合金製ウェート)
Claims (4)
- 結合相形成成分として、Niが0.1重量%以上、Cuが0.1重量%以上の範囲であって、且つこれらの全量が3重量%以下であるとともに、NiとCuとの比率が(2:1)〜(6:1)となるように含有し、残部が分散相形成成分としてのW及び不可避不純物からなる組成を有し、比重が18.5〜19.2となるように調整されたW基焼結合金によって形成されていることを特徴とする高比重高強度タングステン基焼結合金製ウェート。
- 結合相形成成分として、Niが0.1重量%以上、Cuが0.1重量%以上、Feが0.1〜1重量%の範囲であって、且つこれらの全量が3重量%以下であるとともに、(Ni+Fe)とCuとの比率が(2:1)〜(6:1)となるように含有し、残部が分散相形成成分としてのW及び不可避不純物からなる組成を有し、比重が18.5〜19.2となるように調整されたW基焼結合金によって形成されていることを特徴とする高比重高強度タングステン基焼結合金製ウェート。
- 結合相形成成分として、Niが0.1重量%以上、Cuが0.1重量%以上、Feが0.1〜1重量%、Coが0.1〜1重量%の範囲であって、且つこれらの全量が3重量%以下であるとともに、(Ni+Fe+Co)とCuとの比率が(2:1)〜(6:1)となるように含有し、残部が分散相形成成分としてのW及び不可避不純物からなる組成を有し、比重が18.5〜19.2となるように調整されたW基焼結合金によって形成されていることを特徴とする高比重高強度タングステン基焼結合金製ウェート。
- モータの回転軸に、加締めによって一体的に結合されるようになっていることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の高比重高強度タングステン基焼結合金製ウェート。
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