JP6735106B2 - 高温耐摩耗性、高温強度に優れるCoフリー耐熱焼結材およびその製造方法 - Google Patents
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Description
内燃機関の高温用耐熱部材として、高温EGR(Exhaust Gas Recirculation)用ブッシュが知られており、このブッシュには従来、以下の特許文献1に記載されているCo−Mo系の硬質粒子分散焼結材が使用されている。
ところが、特許文献1に記載されている耐摩耗性焼結部材は、硬質相に多量のCoを含んでいるので、近年になって問題視されるCoの人体への悪影響が懸念される。特に、Coが1%以上含有されているCo含有材は、特定化学物質に指定されることがあるので、Coを含まない耐摩耗性焼結部材の登場が望まれる。
ところが、従来の耐摩耗性焼結材においてCoMo系以外の硬質粒子を用い、全体としてCoを含まない組成であって、強度と耐摩耗性を両立できる耐熱焼結材が提供されていないのが実情であった。
前記硬質粒子が、Cr:40〜64質量%、B:8〜12質量%、Ni:0.5〜5質量%、残部Feおよび不可避不純物の組成を有し、前記基地と硬質粒子を合わせた全体組成においてB:2.9〜5.5質量%を含み、有効多孔率が5%以下であることを特徴とする。
Fe系の合金基地中にCr−Fe−B系の硬質粒子を33〜60体積%分散させることで優れた耐摩耗性と高い強度を両立できる耐熱焼結材を得ることができる。また、基地と硬質粒子の両方にCoを含まなくとも優れた耐摩耗性と強度を実現できるので、Coを含まない耐熱焼結材を提供できる。
有効多孔率が5%以下であるならば、焼結が良好になされてFe系の合金基地と硬質粒
子がいずれも緻密な組織となっており、強度が高く耐摩耗性の良好な耐熱焼結材を提供で
きる。
(2)本発明において、前記Fe系の合金基地がFe−Cr−Ni系の母相からなることが好ましい。
CrB2粉末またはCrB粉末が圧縮成形されたCrB2粒子またはCrB粒子に対し焼結時にFe系の合金基地からFeを主体とする元素が拡散し、Cr−Fe−B系の硬質粒子が生成される。この元素拡散により生成される硬質粒子はFe系の合金基地と強固に結合しているので強度が高く、高温域での耐摩耗性に優れた焼結材が得られる。
(4)本発明の製造方法において、前記Fe系の合金粉末として、ステンレス鋼の粉末を用いることができる。
(5)本発明の製造方法において、前記焼結する際に0.1〜3時間真空焼結することができる。
本実施形態に係るCoフリー耐熱焼結材はFe系の合金基地中にCr−Fe−B系の硬質粒子が33〜60体積%分散された組織を有する。なお、本願明細書において33〜60体積%のように範囲を表す場合、特に注記しない限り上限と下限を含む範囲を意味する。このため、33〜60体積%は33体積%以上60体積%以下の範囲を意味する。
本実施形態のCoフリー耐熱焼結材の組織の一例を図1に示す。図1に示すようにCoフリー耐熱焼結材AはFe系の合金基地1中に不定形のCr−Fe−B系の硬質粒子2が複数分散された組織を有する。また、図1の組織の一部に黒色の粒子状に示すように気孔3が分散形成され、組織全体における有効多孔率が5%以下とされている。
組織全体に占める硬質粒子2の体積率は33〜60%であることが好ましい。硬質粒子2の体積率が33体積%未満ではCoフリー耐熱焼結材Aの耐摩耗性が不足するおそれがあり、硬質粒子2の体積率が60体積%を超えるようでは強度不足となるおそれがある。
本実施形態の耐熱焼結材Aは後述する如く合金基地1が原料粉末を圧縮成形し焼結して得られるので原料とする粉末の粒径が大きい場合あるいは焼結温度が低い場合に焼結が不充分となり、有効多孔率が大きくなる。有効多孔率が大きくなると、強度が低下し、耐摩耗性が悪化するおそれがある。
Cr−Fe−B系の硬質粒子2はCr:40〜64質量%、B:8〜12質量%、Ni:0.5〜5質量%、残部Fe及び不可避不純物の組成を有する。
合金基地1中に硬質粒子2が分散された組織全体における望ましい組成は、Cr:28〜35質量%、Ni:15〜20質量%、B:2.9〜5.5質量%、残部Feおよび不可避不純物である。
中でも組織全体においてBを2.9〜5.5質量%含むことが好ましい。
組織全体においてB含有量が2.9質量%未満であると耐摩耗性が不足するおそれがあり、B含有量が5.5質量%を超えると強度不足となるおそれがある。
硬質粒子2において、Crが40質量%未満では、Feの拡散が多すぎる状態であり、硬質相自体が粗大化する為、耐摩耗性が低下する問題があり、Crが64質量%を超える状態では、硬質相へのFeの拡散が不十分であり、強度が低下する問題がある。
また、硬質粒子2において、Bが8質量%未満では、複合硼化物の分散量が低下し、耐摩耗性が低下する問題があり、Bが12質量%を超えると複合硼化物の分散量が増加し過ぎる為、強度が低下する問題がある。
この硬質粒子2は、Cr2B、CrB2あるいはCrBのCrの一部をFeで置換した(Cr,Fe)2B、(Cr,Fe)B2あるいは(Cr,Fe)Bと表記できる複合硼化物からなる。
このため硬質粒子2にはCrとBに加えてFeとNiが含まれている。また、硬質粒子2にはステンレスの粉末から拡散されたMoやMnあるいはSiなどの不純物が含まれていても良い。
以上説明のCoフリー耐熱焼結材Aはターボチャージャー用のノズル機構やバルブ機構に組み込まれる軸受けを形成する目的などのために用いられる。
Coフリー耐熱焼結材Aを製造するためには、合金基地の原料となるFe系合金粉末、例えば、オーステナイト系ステンレス合金粉末とCrB2粉末あるいはCrB粉末を混合機などで所定の割合で均一混合した原料粉末を用意する。この原料粉末を成形型に投入し目的の軸受け形状、例えば、リング状に圧縮成形する。圧縮成形する場合の圧力は6〜10t/cm2の範囲を選択できる。
この成形体を真空雰囲気中あるいは窒素雰囲気などの非酸化性雰囲気中において1150〜1250℃で0.1〜3時間程度焼結することによりCoフリー耐熱焼結材Aを得ることができる。
原料となるFe系合金粉末は有効多孔率を低くするために微粉末の状態で用いることが望ましく、例えば平均粒径(D50)5〜15μm程度の微粉末を用いることが好ましい。
Fe系合金粉末の平均粒径(D50)が5μm未満では、粉末製造時に酸化し易く、Fe系合金粉末の酸化の影響により焼結性が阻害され、強度が低下する問題がある。
Fe系合金粉末の平均粒径(D50)が15μmを超えるようでは、焼結性が悪化し、強度が低下する問題がある。
オーステナイト系ステンレス粉末として例えば、Fe−25Cr−20Ni基合金粉末を用いることができる。この他、JIS規定SUS310、316などのオーステナイト系合金粉末を用いても良い。
硬質相2の原料とするCrB2粉末、Cr2B粉末あるいはCrB粉末として例えば、平均粒径(D50)1〜15μm程度の微粉末の状態で用いることが好ましい。
圧縮成形する場合、プレス装置による圧縮成形の他に熱間静水圧加圧(HIP)、冷間静水圧加圧(CIP)など、種々の方法を採用しても良い。
圧縮成形により得た圧粉体に1150〜1250℃で焼結する場合、1150℃未満の温度では焼結不十分で強度が低下する問題があり、1250℃を超える温度では硬質相、母相の結晶粒が粗大化し、耐摩耗性が低化する問題がある。
焼結する時間については、0.1時間未満では焼結が完了しないおそれがあり、3時間を超える焼結では硬質相、母相の結晶粒が粗大化し、耐摩耗性が低化する問題がある。
Cr−Fe−B系の硬質粒子2であるならばFe系の合金基地1との結合状態が良好であり、合金基地1の中に均一分散させることができ、また、均一分散させた場合に優れた耐摩耗性を発揮できる。
また、本実施形態の耐熱焼結材Aであるならば、Coを含んでいないので、人体への悪影響もない。
「実施例1〜11、比較例1〜4」
原料粉末として、平均粒径(D50)10μmのFe-25Cr-20Ni-1Si合金粉末と、平均粒径(D50)5μmのCrB2粉末あるいはCrB粉末を用意し、これらの粉末を以下の表1に示す最終成分組成となるように配合し、V型混合機で30分間混合した後、成形圧力8t/cm2にてプレス成形して圧粉体を作製した。
次に、この圧粉体を真空雰囲気中において、1200℃の温度で1.5時間焼結し、耐熱焼結材を得た。いずれの耐熱焼結材も以下の各試験毎に好適な形状に成形し各試験に供した。(実施例1〜5、比較例1、2)
また、対比材として、Fe25Cr20Ni1Si合金粉末をFe17Cr12Ni2Mo1Si合金粉末に替え、他は前記と同等の工程を経ることにより得た耐熱焼結材を製造した。(実施例6〜8)
更に、Fe25Cr20Ni1Si合金粉末に対しCrB2粉末に替えてCrB粉末を加え、他は前記と同等の工程により得た耐熱焼結材を製造した。(実施例9〜11)
平均粒径(D50)10μmのFe25Cr20Ni1Si合金粉末に替えて平均粒径(D50)100μmのFe25Cr20Ni1Si合金粉末を用い、硬質粒子体積率40%となるようにCrB2粉末を加え、他は同等の条件で耐熱焼結材を製造した。(比較例3)
平均粒径(D50)10μmのFe25Cr20Ni1Si合金粉末とCrB2粉末を用い、焼結温度を1140℃とする以外は、前記と同等の条件で製造することで有効多孔率12%の耐熱焼結材を製造した。(比較例4)
原料粉末として、平均粒径(D50)10μmのFe25Cr20Ni1Si合金粉末と、平均粒径(D50)40μmのCo28Mo9Cr2.5Si粉末を用意し、これらの粉末を以下の表2に示す最終成分組成となるように配合し、V型混合機で30分間混合した後、成形圧力8t/cm2にてプレス成形して圧粉体を作製した。また、平均粒径(D50)10μmのFe25Cr20Ni1Si合金粉末に替えて平均粒径(D50)100μmのFe25Cr20Ni1Si合金粉末を用い、その他の工程は上述の工程と同等として圧粉体を作製した。
次に、これらの圧粉体を真空雰囲気中において、1250℃の温度で1.5時間焼結し、比較例5〜比較例11の耐熱焼結材を得た。これらの耐熱焼結材は、Fe系の合金基地の中にCoMo系の硬質粒子が分散された構造の焼結材である。
原料粉末として、平均粒径(D50)10μmのFe25Cr20Ni1Si合金粉末と、平均粒径(D50)40μmのFe−65%Mo粉末を用意し、これらの粉末を以下の表3に示す最終成分組成となるように配合し、V型混合機で30分間混合した後、成形圧力8t/cm2にてプレス成形して圧粉体を作製した。
次に、この圧粉体を真空雰囲気中において、1250℃の温度で1.5時間焼結し、比較例12〜比較例17の耐熱焼結材を得た。これらの耐熱焼結材は、Fe系の合金基地の中にFeMo系の硬質粒子が分散された構造の焼結材である。
「比較例18〜22」
原料粉末として、平均粒径(D50)10μmのFe25Cr20Ni1Si合金粉末と、平均粒径(D50)40μmのFe−65%Cr粉末を用意し、これらの粉末を以下の表に示す最終成分組成となるように配合し、V型混合機で30分間混合した後、成形圧力8t/cm2にてプレス成形して圧粉体を作製した。
次に、この圧粉体を真空雰囲気中において、1250℃の温度で1.5時間焼結し、比較例18〜比較例22の耐熱焼結材を得た。これらの耐熱焼結材は、Fe系の合金基地の中にFeCr系の硬質粒子が分散された構造の焼結材である。
アルキメデス法にて有効多孔率(含油率)を測定した。
してみました。
ロールオンブロック試験を行うために、ブロックの上に円柱のシャフトを載せ900往復回転させる試験を行った。測定温度600℃、120分間行い、往復回数を10000回として摩耗量を評価した。
摩耗量測定は、3Dマイクロスコープにより摩耗面の写真を撮影し、摩耗深さを測定した。摩耗試験片の形状は50×10×5mm厚の焼結材からなる直方体形状のブロックである。相手材のシャフトは、SUS316からなる直径8mm、長さ150mmのステンレスロッドであり、前記ブロックに、加重80Nで、このステンレスロッドを押し付けつつ、モーターの回転軸として、往復回転させて試験した。
「圧環強度」
外径20×内径12×高さ5mmサイズの試験片を用いて圧環強度を測定した。
以上の試験結果を以下の表1〜表4に示す。
これらの実施例に対し、表1に示す比較例1の焼結材は硬質粒子体積率が大きすぎた例であり、強度が低く、摩耗量も多くなり、比較例2の焼結材は硬質粒子体積率が小さすぎて摩耗量が増加した例である。
比較例3の焼結材はFe-25Cr-20Ni-1Si合金粉末の粒径が大きすぎたため、有効気孔率が6.0%と大きくなり、強度が低下し、摩耗量も増大した。
比較例4の焼結材は、焼結温度が1140℃と低く、焼結不十分であることが原因で気孔率が大きいため、強度が低下し、摩耗量も増大した。
この点、上述した表1の実施例に記載の焼結材であるならば、表2に示す比較例5〜比較例10の焼結材と同等の高い強度と優れた耐摩耗性を有した上に、人体に対する影響を懸念する必要もない優れた耐熱焼結材であることがわかる。
表4に示す比較例18〜比較例22はFe系の基地に分散させる硬質粒子としてFeCr系の硬質粒子を選択した試料である。表4に示す試料は強度が低い試料が多く、摩耗量も多いので、Fe系の基地にFeCr系の硬質粒子を用いても強度と耐摩耗性の両立はできないことがわかる。
表3に示す比較例で用いたFeMo系硬質粒子、表4に示す比較例で用いたFeCr系硬質粒子は、いずれも硬質粒子として著名であり、Fe系の基地に分散させることで、強度と耐摩耗性の面で有望な特徴を発揮できると期待できる硬質粒子であるが、今回の試験により強度と耐摩耗性の両立ができないことがわかった。
このため、特許文献1に記載の構造においてCoMo系の硬質粒子の代わりに公知の硬質粒子を単に適用したとしても、強度と耐摩耗性の両立は容易ではないことがわかる。この点に鑑み、本願発明の如くCr−Fe−B系の硬質粒子を選択する事が重要であり、焼結時の元素拡散によりCrB粒子、Cr2B粒子あるいはCrB2粒子に対しCrに置換するようにFeを拡散させて複合硼化物とした硬質粒子を適用することの優位性が明らかである。
図2に示すように、Cr−Fe−B系の硬質粒子を分散させた耐熱焼結材は硬質粒子の体積率が大きい場合においても圧環強度が高いことがわかり、従来材として優れたCoMo系の硬質粒子を析出させた試料と同等の性能を有していることがわかる。
図3に示すように、Cr−Fe−B系の硬質粒子を分散させた耐熱焼結材は硬質粒子の体積率が30〜60体積%の範囲において摩耗量が低いことがわかり、従来材として優れたCoMo系の硬質粒子を析出させた試料と同等の性能を有していることがわかる。
図2、図3に示すようにCr−Fe−B系の硬質粒子を分散させた耐熱焼結材は他の硬質粒子を分散させた耐熱焼結材に対比し優れていることがわかる。
また、同じ視野から特性X線を用いたCrの元素マッピングとNiの元素マッピングと、Feの元素マッピングと、Bの元素マッピングを行った。元素マッピングの結果、薄い灰色の部分がオーステナイト系母材であることがわかり、暗色の不定形の部分がCr−Fe−B系の硬質粒子であることがわかった。
このような組織を有する本発明に係るCoフリー耐熱焼結材であるならば、強度と耐摩耗性に優れ、有効多孔率が小さい焼結材が得られる。
Claims (5)
- Fe系の合金基地中にCr−Fe−B系の硬質粒子が33〜60体積%分散され、
前記Cr−Fe−B系の硬質粒子が(Cr,Fe)B、(Cr,Fe) 2 Bあるいは(Cr,Fe)B 2 で示される複合硼化物であり、
前記硬質粒子が、Cr:40〜64質量%、B:8〜12質量%、Ni:0.5〜5質量%、残部Feおよび不可避不純物の組成を有し、
前記基地と硬質粒子を合わせた全体組成においてB:2.9〜5.5質量%を含み、
有効多孔率が5%以下である高温耐摩耗性、高温強度に優れるCoフリー耐熱焼結材。 - 前記Fe系の合金基地がFe−Cr−Ni系の母相からなる請求項1に記載の高温耐摩耗性、高温強度に優れるCoフリー耐熱焼結材。
- Fe系の合金基地中にCr−Fe−B系の硬質粒子が33〜60体積%分散され、
前記Cr−Fe−B系の硬質粒子が(Cr,Fe)B、(Cr,Fe) 2 Bあるいは(Cr,Fe)B 2 で示される複合硼化物であり、
前記硬質粒子が、Cr:40〜64質量%、B:8〜12質量%、Ni:0.5〜5質量%、残部Feおよび不可避不純物の組成を有し、
前記基地と硬質粒子を合わせた全体組成においてB:2.9〜5.5質量%を含み、
有効多孔率が5%以下である高温耐摩耗性、高温強度に優れるCoフリー耐熱焼結材を製造するに際し、
平均粒径5〜15μmのFe系の合金粉末に、平均粒径1〜15μmのCrB2粉末と平均粒径1〜15μmのCr2B粉末と平均粒径1〜15μmのCrB粉末の少なくとも1種または2種以上を添加混合し、混合した粉末を圧縮成形し、1150〜1250℃で焼結する高温耐摩耗性、高温強度に優れるCoフリー耐熱焼結材の製造方法。 - 前記Fe系の合金粉末としてステンレス鋼の粉末を用いる請求項3に記載の高温耐摩耗性、高温強度に優れるCoフリー耐熱焼結材の製造方法。
- 前記焼結する際に0.1〜3時間真空焼結することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の高温耐摩耗性、高温強度に優れるCoフリー耐熱焼結材の製造方法。
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