JP4366595B2 - 光学ガラスレンズの熱間プレス成形金型として用いるのに適した高強度および高硬度を有するタングステン系焼結材料 - Google Patents

光学ガラスレンズの熱間プレス成形金型として用いるのに適した高強度および高硬度を有するタングステン系焼結材料 Download PDF

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この発明は、珪弗化ガラスなどの腐食性のきわめて強いガラスや高温成形を必要とする石英ガラスなどに対してすぐれた耐久性を示すと共に、高強度および高硬度を有し、熱伝導性(放熱性)にもすぐれ、さらに低い熱膨張係数を有し、したがって例えば各種の電子・電気機器や光学装置などに装着されている光機能装置の部品である光学ガラスレンズの熱間プレス成形金型として使用するのに適したタングステン(以下、Wで示す)系焼結材料に関するものである。
一般に、上記光学ガラスレンズの熱間プレス成形金型には、
(a)耐ガラス腐食性
(b)熱伝導性(放熱性)
(c)低熱膨張係数
などの特性が要求されることから、これらの特性を具備したW系焼結材料、すなわち、
(a)融点:1800〜2000℃、
(b)熱伝導率:90〜150W/m・K、
(c)熱膨張係数:4.5〜5.5×10-6/K、
を有するW系焼結材料が用いられている。
また、上記W系焼結材料が、質量%で(以下、%は質量%を示す)、
Ni:0.2〜0.8%、
W:残り、
からなる配合組成を有する圧粉体の焼結材で構成され、かつ、W相相互が焼結結合すると共に、前記W相の最大粒径が走査型電子顕微鏡による組織観察で、40μm以上である組織を有し、この結果として圧壊強度で700〜900MPaの強度およびビッカース硬さ(Hv)で250〜290の硬さを有することも知られている。
特開2003−239034
近年の各種の電子・電気機器や光学装置などの小型化および軽量化はめざましく、これらの機器や装置に装着されている光機能装置の部品である光学ガラスレンズも小径化および薄肉化を余儀なくされ、これに伴ない、光学ガラスレンズの熱間プレス成形装置の構造部材である熱間プレス成形金型における成形温度および成形圧力はいずれも上昇傾向にあるが、上記の従来W系焼結材料製熱間プレス成形金型では、特に強度および硬さが不十分であるために、これに満足に対応することができず、比較的短時間で使用寿命に至るのが現状である。
そこで、本発明者らは、上述のような観点から、上記の光学ガラスレンズの成形に用いられている従来W系焼結材料製熱間プレス成形金型のもつすぐれた特性を損なうことなく、強度および硬さの一段の向上を図り、小径化および薄肉化した光学ガラスレンズの熱間プレス成形にも長期に亘ってすぐれた性能を発揮するW系焼結材料製熱間プレス成形金型を開発すべく、特にこれを構成するW系焼結材料に着目して研究を行った結果、
(A)原料粉末を、
Ni:0.2〜1.5%、
Mo,Cr,Nb,およびReのうちの1種または2種以上:0.5〜4%、
酸化イットリウム(以下、Y23で示す):0.1〜1%、
さらに必要に応じて、
(a)炭化バナジウム(以下、VCで示す):0.05〜0.5%、
(b)CoおよびFeのうちのいずれか、または両方(以下、Co/Feで示す):0.01〜0.5%、
以上(a)および(b)のうちのいずれか、または両方、
W:残り、
からなる配合組成に配合すること。
(B)上記(A)の原料粉末の配合においては、Ni源として、例えば硝酸ニッケル粉末や塩酸ニッケル粉末、、さらに硫酸ニッケル粉末など、また必要に応じてCo源やFe源として、例えば硝酸コバルト粉末や硝酸鉄粉末などを用い、これらの所定量を、アセトンや純水などの溶媒中に完全に溶解した状態で、例えば0.5〜3μmの平均粒径をもったW粉末と、Mo粉末、Cr粉末、Nb粉末、およびRe粉末のうちの1種または2種以上[この場合これら原料粉末の一部または全部をW−M合金(ただし、MはMo,Cr,Nb,およびReのうちの1種または2種以上を示す)粉末として配合しても良く、以下、これらを総称してW−M合金形成粉末という]に配合して、スラリーとし、これを混合機で混練、乾燥させて、所定量の硝酸ニッケルや塩酸ニッケル、あるいは硫酸ニッケル、さらにこれらと硝酸コバルトや硝酸鉄などで表面が被覆された被覆W−M合金形成粉末とし、ついで、これらの被覆W−M合金形成粉末を、例えば水素雰囲気中、温度:800℃に1時間保持の加熱処理を施して、表面の硝酸ニッケル、塩酸ニッケル、あるいは硫酸ニッケル、さらに硝酸コバルトや硝酸鉄などを熱分解して、表面がNi、あるいはNiとCo/Feで被覆された被覆W−M合金形成粉末とし、この被覆W−M合金形成粉末に、いずれも5μm以上の粒径が存在しないように篩分調整した所定量のY23 粉末、あるいは前記Y23 粉末に、必要に応じて所定量のVC粉末およびCo/Fe粉末のうちのいずれか、または両方を配合すること。
(C)上記(B)の配合粉末を用いて、通常の条件で、湿式混合し、乾燥し、圧粉体にプレス成形し、前記圧粉体を焼結することにより製造されたW系焼結材料は、上記の従来W系焼結材料のもつ融点、熱伝導率、および熱膨張係数に相当する高融点、高熱伝導率、および低熱膨張係数、すなわち、
(a)融点:1800〜2000℃、
(b)熱伝導率:70〜130W/m・K、
(c)熱膨張係数:4.8〜6.2×10-6/K、
を有すると共に、焼結時にWにMo,Cr,Nb,およびReのうちの1種または2種以上が固溶してW−M合金相(ただし、MはMo,Cr,Nb,およびReのうちの1種または2種以上を示す)を形成し、さらに原料粉末の一部または全部をW−M合金粉末として配合した場合には、そのままW−M合金相として存在し、このW−M合金相はWに比して硬さが高く、かつW−M合金相相互が焼結結合すると共に、走査型電子顕微鏡による組織観察で、いずれも最大粒径が5μm以下の微細なNi相またはNi−Co/Fe合金相とY23 相とが前記W−M合金相相互間の境界部に分散分布し、さらに前記W−M合金相の最大粒径が30μm以下である細粒組織を有し、さらに、上記の従来W系焼結材料では前記W相の最大粒径が同じく走査型電子顕微鏡による組織観察で、上記の通り40μm以上(以下、粒径は走査型電子顕微鏡による組織観察で測定した結果を示す)で、かつ強度が圧壊強度で700〜900MPa、硬さがHvで250〜290であったものが、基本的にY23 によるW−M合金相成長抑制作用でW−M合金相個々の粒径が最大粒径で30μm以下となると共に、必要に応じて含有されるVCのY23 との共存による一段のW−M合金相成長抑制作用でW−M合金相個々の粒径は最大粒径で15μm以下になり、さらに同じく必要に応じて含有されるCo/Feによる一段の強度向上効果と相俟って、強度が圧壊強度で1400〜2200MPa、硬さもHv:350〜550に向上したものになり、したがって、この結果のW系焼結材料で構成した熱間プレス成形金型は、特に腐食性のきわめて強い珪弗化ガラスや、高い成形温度を必要とする石英ガラスなどで構成され、かつ一段と高いプレス成形圧力および成形温度が要求される小径化および薄肉化した光学ガラスレンズの熱間プレス成形に用いた場合にもすぐれた性能を長期に亘って発揮するようになること。
以上(A)〜(C)に示される研究結果を得たのである。
この発明は、上記の研究結果に基づいてなされたものであって、
Ni:0.2〜1.5%、
Mo,Cr,Nb,およびReのうちの1種または2種以上:0.5〜4%、
23:0.1〜1%、
さらに必要に応じて、
(a)VC:0.05〜0.5%、
(b)Co/Fe:0.01〜0.5%、
以上(a)および(b)のいずれか、または両方、
W:残り、
からなる配合組成を有する圧粉体の焼結材で構成され、かつ、W−M合金相(ただし、MはMo,Cr,Nb,およびReのうちの1種または2種以上を示す)相互が焼結結合すると共に、いずれも最大粒径が5μm以下の微細なNi相またはNi−Co/Fe合金相とY23 相とが前記W−M合金相相互間の境界部に分散分布し、さらに前記W−M合金相の最大粒径が30μm以下である細粒組織を有する、光学ガラスレンズの熱間プレス成形金型として用いるのに適した高強度および高硬度を有するW系焼結材料に特徴を有するものである。
つぎに、この発明のW系焼結材料の組成を上記の通りに限定した理由を説明する。
(a)Ni
Ni成分には、圧粉体中で上記W−M合金形成粉末の表面を被覆した状態で存在させることにより、焼結性を著しく向上させると共に、W−M合金相相互間の境界部に最大粒径で5μm以下の微細なNi相またはNi−Co/Fe合金相として存在させて、W系焼結材料の強度を向上させる作用があるが、その配合割合が0.2%未満では焼結性および前記Ni相またはNi−Co/Fe合金相の分布割合が不十分となり、所望の高強度を確保することができず、一方その配合割合が1.5%を越えると硬さに低下傾向が現れるようになるばかりでなく、最大粒径で5μmを越えたNi相またはNi−Co/Fe合金相が分布するようになり、これが金型キャビティ表面の摩耗促進の原因となることから、その配合割合を0.2〜1.5%、望ましくは0.5〜1.2%と定めた。
なお、W−M合金相相互間の境界部に分散する上記Ni相またはNi−Co/Fe合金相は、上記の通り原料粉末の混合時にNi、またはNiとCo/Feを上記の配合割合で原料粉末であるW−M合金形成粉末の表面にまぶした状態で存在させることによって5μm以下の最大粒径とすることができる。
また、前記上記Ni相またはNi−Co/Fe合金相の最大粒径を5μm以下としたのは、その粒径に5μmを越えたものが存在するようになると、金型キャビティの表面粗さが急激に低下するようになるという理由からである。
(b)Mo,Cr,Nb,およびRe
これらの成分には、Wに固溶し、焼結材中でWに比して一段と硬さの高いW−M合金相として存在し、W系焼結材料の硬さを向上させ、もって耐摩耗性向上に寄与する作用があるが、その配合割合が0.5%未満では所望の硬さ向上効果が得られず、一方その配合割合が4%を越えると遊離M相としてW−M合金相の粒界に析出するようになって、強度低下をもたらすことから、その配合割合を0.5〜4%、望ましくは1〜3%と定めた。
(c)Y23
23 は、焼結時のW−M合金相の成長粗大化を抑制し、焼結後にW−M合金相の境界に最大粒径で5μm以下の微細な状態で分散分布して、前記W−M合金相個々の最大粒径を30μm以下に抑制し、もって硬さおよび強度を向上させる作用があるが、その配合割合が0.1%未満では前記作用に所望の向上効果が得られず、一方その配合割合が1%を越えるとW−M合金相境界のY23 相に凝集傾向が現れ、これが強度低下の原因となることから、その配合割合を0.1〜1%、望ましくは0.2〜0.7%と定めた。
また、W−M合金相の境界に分散する上記Y23 相は、原料粉末であるY23 粉末の粒度を調整して、最大粒径で5μmを越えないようにする必要がある。これはY23 相の粒径に5μmを越えたものが存在するようになると、強度に著しい低下傾向が現れるようになるという理由からである。
(d)VC
VCには、Y23 との共存において、焼結時にNiあるいはNi−Co/Fe合金に固溶して、W−M合金相の成長粗大化を抑制し、前記W−M合金相の最大粒径を15μm以下に抑制する作用があるので、必要に応じて配合されるが、その配合割合が0.05%未満では前記作用に所望の向上効果が得られず、一方その配合割合が0.5%を越えるとW−M合金相境界に分散分布するようになり、強度低下の原因となることから、その配合割合を0.05〜0.5%、望ましくは0.1〜0.3%と定めた。
(e)Co/Fe
Co/Feには、Niと合金を形成した状態でW−M合金相相互間の境界強度を一段と向上させ、もって材料の強度向上に寄与する作用があるので、必要に応じて配合するが、その配合割合が0.01%未満では前記作用に所望の向上効果が得られず、一方その配合割合が0.5%を越えると,硬さに低下傾向が現れるようになり、これが金型キャビティ表面の摩耗促進の原因となることから、その配合割合を0.01〜0.5%、望ましくは0.05〜0.3%と定めた。
この発明のW系焼結材料は、相対的に硬さの高いW−M合金相相互が焼結結合すると共に、いずれも最大粒径が5μm以下の微細なNi相またはNi−Co/Fe合金相とY23 相が前記W−M合金相相互間の境界部に分散分布し、さらに前記W−M合金相の最大粒径が30μm以下である組織を有し、この結果として、
(a)融点:1800〜2000℃、
(b)熱伝導率:70〜130W/m・K、
(c)熱膨張係数:4.8〜6.2×10-6/K、
(d)圧壊強度:1400〜2200MPa、
(e)ビッカース硬さ(Hv):350〜550、
を有するようになるので、このW系焼結材料で構成した熱間プレス成形金型は、特に腐食性のきわめて強い珪弗化ガラスや、さらに1100℃以上の高い成形温度を必要とする石英ガラスなどで構成され、かつ小径化および薄肉化した光学ガラスレンズの熱間プレス成形でも、すぐれた性能を長期に亘って発揮するものである。
つぎに、この発明のW系焼結材料を実施例により具体的に説明する。
(a)まず、W−M合金形成粉末として、いずれも2.5μmの平均粒径をもったW粉末、Mo粉末、Cr粉末、Nb粉末、およびRe粉末を用意し、さらに、純度:99.6%の硝酸ニッケル水和物{分子式:Ni(NO32・6H2O}粉末、並びに同純度の硝酸コバルト水和物粉末および硝酸鉄水和物粉末を用意し、前記水和物粉末の所定量をアセトン中に溶解した状態で、前記W−M合金形成粉末およびW粉末(比較金型形成用)に配合して、スラリーとし、これを混合機で混練、乾燥させて、所定量の硝酸ニッケル、あるいは硝酸ニッケルと、硝酸コバルトおよび硝酸鉄のいずれか、または両方で表面が被覆された被覆W−M合金形成粉末および被覆W粉末(比較金型形成用)とし、
(b)ついで、上記の被覆W−M合金形成粉末、および被覆W粉末を、水素雰囲気中、温度:800℃に1時間保持の加熱処理を施して、表面の硝酸ニッケル、硝酸コバルト、および硝酸鉄を熱分解することにより、表面がNiまたはNi−Co/Fe合金で被覆された被覆W−M合金形成粉末、および表面がNiで被覆された被覆W粉末(比較金型形成用)を形成し、
(c)さらに、上記被覆W−M合金形成粉末だけに、いずれも5μm以上の粒径が存在しないように篩分調整した平均粒径:1μmのY23 粉末およびVC粉末、さらに3μmの平均粒径を有するCo粉末およびFe粉末の所定量を配合して、表1〜4に示される配合組成に調製し、
(d)つぎに、これをアセトン溶媒を用いてボールミル中にて48時間湿式混合し、乾燥した後、これをゴム鋳型に充填し、この場合上記の被覆W粉末(比較金型形成用)も別途ゴム鋳型に充填し、いずれも150MPaの静水圧にてプレス成形して、直径:50mm×高さ:40mmの寸法をもった成形体を形成し、この成形体に、水素雰囲気中、900℃に5時間保持の条件での予備焼結、および水素雰囲気中、1450℃に1時間保持の条件での本焼結を施して、直径:40mm×長さ:32mmの寸法をもったW系焼結材料の金型素材とし、
(e)これら金型素材のそれぞれ2個を1対の上下コア型とし、このうちの下コア型の上面に直径:38mm×中心部深さ:5mmの曲面キャビティを形成し、一方上コア型の下面は平面のままとし、これら両上下コア型の曲面をRmax:0.05μm以下の面粗度に研磨することにより本発明W系焼結材料製の光学ガラスレンズ熱間プレス成形金型(以下、本発明金型という)1〜60、並びに上記の従来W系焼結材料に相当する配合組成のW系焼結材料で構成された光学ガラスレンズ熱間プレス成形金型(以下、比較金型という)をそれぞれ製造した。
なお、この結果得られた本発明金型1〜60および比較金型を構成するW系焼結材料の融点、熱伝導率、および熱膨張係数を測定したところ、いずれも1800〜2000℃の範囲内の所定の高融点、70〜130W/m・Kの範囲内の所定の高熱伝導率、および4.8〜6.2×10-6/Kの範囲内の所定の低熱膨張係数を示し、さらに、圧壊強度およびビッカース硬さを測定したところ、表1,2に示される結果を示した。また、その組織を、走査型電子顕微鏡を用いて観察し、W−M合金相、並びにW−M合金相相互間の境界部に分散分布するNi相またはNi−Co/Fe合金相、およびY23 相の最大粒径を測定したところ、同じく表1〜4に示される結果を示し、さらに本発明金型1〜60を構成するW系焼結材料は、いずれもW−M合金相相互が焼結結合した組織を示し、かつ微細なNi相またはNi−Co/Fe合金相とY23 相が前記W−M合金相相互間の境界部に沿って均一に分散分布した組織を示した。
つぎに、これらの各種の金型を用いて、ガラスレンズ素材であるコブ:石英ガラス、前記ゴブの1個当たりの容量:0.2cm3、前記ゴブの加熱温度:1200℃、プレス成形圧力:10MPa、プレス成形速度:6個/時間の条件で、直径:5mm×最大厚さ:2
mmの小径化および薄肉化した光学ガラスレンズのプレス成形を行ない、コア型曲面の面粗度がRmax:0.06μmに達するまでのレンズ成形個数を測定した。この測定結果を同じく表1〜4に示した。
Figure 0004366595
Figure 0004366595
Figure 0004366595
Figure 0004366595
表1〜4に示される結果から、W相の境界にNi相またはNi−Co/Fe合金相と、Y23 相が存在せず、かつ前記W相の最大粒径が40μmを越えた粗粒組織のW系焼結材料からなる比較金型に比して、いずれも前記W相に比して高い硬さを有し、かつW−M合金相の最大粒径が30μm以下の細粒組織を有するW系焼結材料からなる本発明金型1〜60は、Ni相またはNi−Co/Fe合金相の分散分布と相俟って、高強度と高硬度を具備し、さらに耐ガラス腐食性にすぐれ、かつ高融点、高熱伝導性(高放熱性)、および低熱膨張係数を有することと相俟って、1100℃以上の高い成形温度を必要とする石英ガラスの加熱プレス成形においても、良好なキャビティ面を長期に亘って保持し、一段と長い使用寿命を示すことが明らかである。
上述のように、この発明のW系焼結材料製光学ガラスレンズの熱間プレス成形金型は、例えば比較的腐食性の弱い珪酸ガラスや硼化ガラスなどを用いた光学ガラスレンズの熱間プレス成形は勿論のこと、特に腐食性の強い珪弗化ガラスや、1100℃以上の高い成形温度を必要とする石英ガラスなどの加熱プレス成形にて、小径化および薄肉化した光学ガラスレンズを成形する場合においても、すぐれた性能を長期に亘って発揮し、長い使用寿命を示すものである。

Claims (4)

  1. 質量%で、Ni:0.2〜1.5質量%、
    Mo,Cr,Nb,およびReのうちの1種または2種以上:0.5〜4質量%、
    酸化イットリウム:0.1〜1質量%、
    タングステン(W):残り、
    からなる配合組成を有する圧粉体の焼結材で構成され、かつ、W−M合金相(ただし、MはMo,Cr,Nb,およびReのうちの1種または2種以上を示す)相互が焼結結合すると共に、走査型電子顕微鏡による組織観察で、いずれも最大粒径が5μm以下の微細なNi相と酸化イットリウム相が前記W−M合金相相互間の境界部に分散分布し、さらに前記W−M合金相の最大粒径が30μm以下である細粒組織を有することを特徴とする、光学ガラスレンズの熱間プレス成形金型として用いるのに適した高強度および高硬度を有するタングステン系焼結材料。
  2. 質量%で、Ni:0.2〜1.5質量%、
    Mo,Cr,Nb,およびReのうちの1種または2種以上:0.5〜4質量%、
    酸化イットリウム:0.1〜1質量%、
    炭化バナジウム:0.05〜0.5質量%、
    タングステン(W):残り、
    からなる配合組成を有する圧粉体の焼結材で構成され、かつ、W−M合金相(ただし、MはMo,Cr,Nb,およびReのうちの1種または2種以上を示す)相互が焼結結合すると共に、走査型電子顕微鏡による組織観察で、いずれも最大粒径が5μm以下の微細なNi相と酸化イットリウム相が前記W−M合金相相互間の境界部に分散分布し、さらに前記W−M合金相の最大粒径が15μm以下である細粒組織を有することを特徴とする、光学ガラスレンズの熱間プレス成形金型として用いるのに適した高強度および高硬度を有するタングステン系焼結材料。
  3. 質量%で、Ni:0.2〜1.5質量%、
    Mo,Cr,Nb,およびReのうちの1種または2種以上:0.5〜4質量%、
    酸化イットリウム:0.1〜1質量%、
    CoおよびFeのうちのいずれか、または両方:0.01〜0.5%、
    タングステン(W):残り、
    からなる配合組成を有する圧粉体の焼結材で構成され、かつ、W−M合金相(ただし、MはMo,Cr,Nb,およびReのうちの1種または2種以上を示す)相互が焼結結合すると共に、走査型電子顕微鏡による組織観察で、いずれも最大粒径が5μm以下の微細なNi−Co合金相、Ni−Fe合金相、およびNi−Co−Fe合金相のうちのいずれかと酸化イットリウム相とが前記W−M合金相相互間の境界部に分散分布し、さらに前記W−M合金相の最大粒径が30μm以下である細粒組織を有することを特徴とする、光学ガラスレンズの熱間プレス成形金型として用いるのに適した高強度および高硬度を有するタングステン系焼結材料。
  4. 質量%で、Ni:0.2〜1.5質量%、
    Mo,Cr,Nb,およびReのうちの1種または2種以上:0.5〜4質量%、
    酸化イットリウム:0.1〜1質量%、
    炭化バナジウム:0.05〜0.5質量%、
    CoおよびFeのうちのいずれか、または両方:0.01〜0.5%、
    タングステン(W):残り、
    からなる配合組成を有する圧粉体の焼結材で構成され、かつ、W−M合金相(ただし、MはMo,Cr,Nb,およびReのうちの1種または2種以上を示す)相互が焼結結合すると共に、走査型電子顕微鏡による組織観察で、いずれも最大粒径が5μm以下の微細なNi−Co合金相、Ni−Fe合金相、およびNi−Co−Fe合金相のうちのいずれかと酸化イットリウム相とが前記W−M合金相相互間の境界部に分散分布し、さらに前記W−M合金相の最大粒径が15μm以下である細粒組織を有することを特徴とする、光学ガラスレンズの熱間プレス成形金型として用いるのに適した高強度および高硬度を有するタングステン系焼結材料。
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