JP2004353006A - タングステン基焼結合金製ウェート - Google Patents

タングステン基焼結合金製ウェート Download PDF

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辰夫 山本
Sekihin Yo
楊  積彬
Masato Otsuki
真人 大槻
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Abstract

【課題】形状精度およびNiの析出を防止することにある。
【解決手段】結合相形成成分として、Niが1〜6重量%の範囲、Feが0.5〜5重量%の範囲であって、且つこれらの全量が10重量%以下となるように含有するとともに、上記NiとFeとの含有量の重量による相対比率であるNi/Feが0.2〜1.5となるように設定され、上記NiおよびFe以外の残部が分散相形成成分としてのW及び不可避不純物からなる組成を有し、比重が17〜18となるように調整されたタングステン基焼結合金によって形成した構成になっている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば携帯通信機器等における呼び出しのための振動発生用の偏心ウェートや、防振のためのバランスウェートや、その他の重りとしてのウェートなどに用いた場合に好適なタングステン基焼結合金製ウェートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のタングステン基焼結合金製ウェートとしては、一般に液相焼結法を用いたタングステン基焼結合金、例えばW−Ni−Cu(タングステン−ニッケル−銅)系、W−Ni−Fe(タングステン−ニッケル−鉄)系、W−Ni−Co(タングステン−ニッケル−コバルト)系、W−Ni−Fe−Cu(タングステン−ニッケル−鉄−銅)系などによって形成されたものが知られている。
【0003】
上記タングステン基焼結合金製ウェートは、焼結性の確保を最重視する観点から、液相の発生を優先させ、例えばWとの反応性に富む結合相形成成分としてのNiの含有量を他の結合相形成成分より高めたものが用いられている。例えば、NiおよびFeを結合相形成成分とするタングステン基焼結合金製ウェートの場合には、NiとFeとの含有量の重量による相対比率であるNi/Feを1.5以上に設定することが一般に行われている。因みに、
Ni/Fe=Niの含有量(重量%)/Feの含有量(重量%) …(1)
である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記タングステン基焼結合金製ウェートにおいては、Feより融点が低く且つWとの反応性に富むNiの含有量が多いため、焼結の際にNiによる液相が一時に大量に発生することになるが、この際、大量に溶融したNiに対してW粉末の溶解反応が急激に起こることになるので、全体が急激に収縮するとともに、W粉末の各粒子の位置が大きくずれ、冷却後に全体的に歪んだ形状になりやすい。このため、形状精度の高いものが得られないという問題があった。
【0005】
また、Niが大量に溶融していることから、当該Niが固化の際に表面に析出することがあり、例えばモータの回転軸を嵌合させる挿通溝や挿通孔を有する場合には、析出したNiによって上記挿通溝等の内面間の寸法が変化し、上記モータの回転軸との嵌合公差を適正な範囲におさめることができないという問題があった。
【0006】
なお、上述した形状精度は、比較的長い寸法の範囲でうねるような凹凸が生じ、この凹凸の下端から上端までの寸法差で表示する精度であり、その寸法差が小さいほど精度が高く、歪みが少ないことを意味する。
【0007】
この発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、形状精度が高く、且つNiの析出を防止し得るタングステン基焼結合金製ウェートを提供することを課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、結合相形成成分として、Niが1〜6重量%の範囲、Feが0.5〜5重量%の範囲であって、且つこれらの全量が10重量%以下となるように含有するとともに、上記NiとFeとの含有量の重量による相対比率であるNi/Feが0.2〜1.5となるように設定され、上記NiおよびFe以外の残部が分散相形成成分としてのW及び不可避不純物からなる組成を有し、比重が17〜18となるように調整されたタングステン基焼結合金によって形成されていることを特徴としている。
【0009】
請求項2記載の発明は、結合相形成成分として、Niが1〜6重量%の範囲、Feが0.5〜5重量%の範囲、Cuが0.5〜2重量%の範囲であって、且つこれらの全量が10重量%以下となるように含有するとともに、上記NiとFeとの含有量の重量による相対比率であるNi/Feが0.2〜1.5となるように設定され、上記Ni、FeおよびCu以外の残部が分散相形成成分としてのW及び不可避不純物からなる組成を有し、比重が17〜18となるように調整されたタングステン基焼結合金によって形成されていることを特徴としている。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1または2に記載のタングステン基焼結合金製ウェートであって、モータの回転軸に、加締めによって一体的に結合されるようになっていることを特徴としている。
【0011】
上記のように構成された請求項1に記載の発明においては、結合相形成成分としてのNiが1〜6重量%、Feが0.5〜5重量%の範囲であって、且つこれらのNiおよびFeの合計量が10重量%以下であるとともに、NiとFeとの含有量の重量による相対比率であるNi/Feが0.2〜1.5の範囲内に設定されているので、十分多く含有された結合相形成成分の液相化により、良好な焼結性を確保することができる。すなわち、残留空孔が極めて少なく緻密なタングステン基焼結合金を得ることができる。
【0012】
また、焼結時には融点の低いNiから融点の高いFeへと順次溶融することになるが、上述のようにNiの絶対量が1〜6重量%に制限され、且つFeとの重量による相対比率もNi/Feで0.2〜1.5となるように制限されているので、溶融したNiに対するWの溶解反応が緩やかになり、全体的に緩やかで均一な収縮が実現できる。このため、焼結の際に、Wの各粒子が相対的に大きくずれるのを防止することができるので、冷却後に歪みが生じた状態になるのを防止することができる。
【0013】
したがって、形状精度の高いものを得ることができる。
【0014】
また、Niが過剰に溶融した状態になるのを避けることができるので、当該Niが固化の際に表面に析出するのを防止することができる。したがって、例えばモータの回転軸を嵌合させる挿通溝等を有する場合でも、Niの析出によって当該挿通溝等の内面間の寸法が変化することがないので、上記モータの回転軸との嵌合公差を適正な範囲におさめることができる。しかも、Niの析出がなくなるので、表面の滑らかな美観の優れたものを得ることができる。
【0015】
なお、上記Ni成分は、W粉末の焼結に必要な液相を提供し、且つWの粒界拡散係数を向上させるための必要不可欠な結合相形成成分である。そして、このNi成分を1〜6重量%の範囲に限定しているのは、1重量%未満では焼結時のタングステン基焼結合金の緻密化が起きず、所定の比重が得られないばかりでなく、残留空孔の存在によって強度も低下してしまうことになるためである。一方、6重量%を超えると、焼結時のNi液相の増大により、Wの各粒子の相対的な位置ずれが生じ、冷却後に全体的に歪んだ形状になるためである。
【0016】
一方、上記Fe成分は、Ni成分に固溶することによってその結合相の強度の向上を図ることができる。そして、Fe成分を0.5〜5重量%の範囲に限定しているのは、0.5重量%未満では強度向上の効果が全く見られず、5重量%を超えると、延性の著しい低下を招くことになるからである。
【0017】
また、NiとFeとの含有量の重量による相対比率であるNi/Feを0.2〜1.5に設定しているのは、0.2未満であればWの粒界拡散係数を向上させてタングステン基焼結合金の緻密化を図る上で不十分であり、1.5超であれば焼結時のNi液相の発生量が増大し、Niの析出が生じやすくなるとともに、Wの各粒子の相対的な位置ずれによって、冷却後に全体的に歪んだ形状になるためである。
なお、タングステン基焼結合金の緻密化をより確実に図り、且つ形状精度およびNiの析出を確実に防止する上で、上記Ni/Feは0.5〜1.0の範囲に設定することがより好ましい。
【0018】
また、Wは、高比重を得るための主成分であって、不可避不純物を考慮しなければ、90重量%超の含有量となり、これにより17〜18の高比重を達成することができる。なお、不可避不純物の含有量は、可能な限り低減することが好ましい。
このWは、平均粒径が1〜5μmの粉末によって構成することが好ましい。また、上記NiおよびFeについても、上記Wと同程度の平均粒径(1〜5μm)の粉末を用いることが好ましい。
【0019】
請求項2に記載の発明においては、請求項1に記載の発明に対してさらにCuが0.5〜2重量%の範囲で含有しているので、焼結の促進および強度の向上を図ることができる。すなわち、Cuを含有させることにより、Niより低い温度で液相を発生させることができるので、焼結性の向上を図ることができる。また、Ni−Fe−Cu合金による結合相形成成分によって、強度の向上を図ることができる。
【0020】
上記Cuの含有量を0.5〜2重量%の範囲に設定したのは、0.5重量%未満では焼結性を向上させる効果がほとんど見られないからであり、2重量%を超えると余分な液相の発生によって、冷却後に全体的に歪んだ形状になるためである。
【0021】
なお、上記Cuについても、上記Wと同程度の平均粒径(1〜5μm)の粉末を用いることが好ましい。
【0022】
請求項3に記載の発明においては、モータの回転軸に、加締めによって一体的に結合されるようになっているので、当該回転軸に、結合のための種々の手段を設けることなく簡単に固定することができる。即ち、形状精度が高く且つNiの析出による寸法変化もなく、しかも十分な延性を有していることから、加締めによるだけで回転軸に強固に固定することができる。従って、加締め後に、回転軸に対して、その軸回りおよび軸方向に相対的に位置ずれを起こすのを確実に防止することができる。そして、Wによる高比重化の達成によって、極めて小さな偏心ウェートを構成することができるので、例えば携帯通信機器に使用することによって、この携帯通信機器の軽薄短小化を促進することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
【0024】
(第1の実施の形態)
まず、第1の実施の形態を図1〜図4を参照しながら説明する。ここで、図1は、タングステン基焼結合金製ウェート(以下、「ウェート」という)の製造プロセスを示すフロー図であり、図2〜4はこのウェートを示す図である。
【0025】
図1の製造プロセスで製造されるウェートは、結合相形成成分として、Ni(ニッケル)が1〜6重量%の範囲、Fe(鉄)が0.5〜5重量%の範囲であって、且つこれらの全量が10重量%以下となるように含有するとともに、上記NiとFeとの含有量の重量による相対比率であるNi/Feが0.2〜1.5となるように設定され、上記NiおよびFe以外の残部が分散相形成成分としてのW(タングステン)及び不可避不純物からなる組成を有し、比重が17〜18となるように調整されたタングステン基焼結合金によりなるものである。また、上記相対比率としてのNi/Feは、上述した式(1)に示す通りである。
【0026】
上記Wは、適正な成形性及び焼結性を得るため、平均粒径が1〜5μmの粉末を用いている。NiおよびFeについても、Wと同程度の平均粒径(1〜5μm)の粉末を用いている。
【0027】
ここで、Ni成分は、W粉末の焼結に必要な液相を提供し、且つWの粒界拡散係数を向上させるための必要不可欠な結合相形成成分である。そして、このNi成分を上記のような範囲に規定しているのは、1重量%未満では焼結時のタングステン基焼結合金の緻密化が起きず、所定の比重が得られないばかりでなく、残留空孔の存在によって強度の低下をきたすことになるためである。一方、6重量%を超えると、焼結時のNi液相の増大により、Wの各粒子の相対的な位置ずれが生じ、冷却後に全体的に歪んだ形状になるためである。
【0028】
一方、Fe成分は、Ni成分に固溶することによってその結合相の強度の向上を図るための結合相形成成分である。そして、Fe成分を上記のような範囲に規定しているのは、0.5重量%未満では強度向上の効果が全く見られず、5重量%を超えると、延性の著しい低下を招くからである。
【0029】
また、Ni/Feを上記のような範囲に規定しているのは、0.2未満であればWの粒界拡散係数を向上させてタングステン基焼結合金の緻密化を図る上で不十分であり、1.5超であれば焼結時のNi液相の発生量が増大し、Niの析出が生じやすくなるとともに、Wの各粒子の相対的な位置ずれによって、冷却後に全体的に歪んだ形状になるためである。
なお、タングステン基焼結合金の緻密化をより確実に図り、且つ形状精度およびNiの析出を確実に防止する上で、Ni/Feは0.5〜1.0の範囲に設定することがより好ましい。
【0030】
また、Wは、高比重を得るための主成分であって、不可避不純物を考慮しなければ、90重量%超の含有量となり、これにより17〜18の比重を達成することができる。
【0031】
上記成分のウェートにおいては、結合相形成成分としてのNiが1〜6重量%、Feが0.5〜5重量%の範囲であって、且つこれらのNiおよびFeの合計量が10重量%以下であるとともに、NiとFeとの含有量の重量による相対比率であるNi/Feが0.2〜1.5の範囲内に設定されているので、十分多く含有された結合相形成成分の液相化により、良好な焼結性を確保することができる。したがって、残留空孔の極めて少ない緻密なものを得ることができる。
【0032】
また、焼結時には融点の低いNiから融点の高いFeへと順次溶融することになるが、上述のようにNiの絶対量が1〜6重量%に制限され、且つFeとの重量による相対比率もNi/Feで0.2〜1.5となるように制限されているので、溶融したNiに対するWの溶解反応が緩やかになり、全体的に緩やかで均一な収縮が実現できる。このため、焼結の際に、粉末状のWの各粒子が相対的に大きくずれるのを防止することができるので、冷却後に歪みが生じた状態になるのを防止することができる。
【0033】
したがって、形状精度の向上を図ることができる。
【0034】
また、Niが過剰に溶融した状態になるのを避けることができるので、当該Niが固化の際にウェートの表面に析出するのを防止することができる。したがって、例えば後述するモータの回転軸12が嵌まり込む軸挿通部(挿通溝、挿通孔)13a(図2参照)の内面間の寸法がNiの析出によって変化することがないので、モータの回転軸12との嵌合公差を適正な範囲におさめることができる。したがって、例えば、回転軸12が軸挿通部13aに挿入できなくなるというような不具合を確実に防止することができる。しかも、Niの析出がなくなるので、表面が滑らかに形成された美観の優れたものを得ることができる。
【0035】
次に、上記成分のウェートについての製造方法について図1を参照しながら説明する。
まず、W粉末、Ni粉末、Fe粉末を上述した成分範囲となるように配合して原料を作る(SP1)。そして、この原料をボールミルに投入し、アセトン等の有機溶媒を用いて24時間の湿式混合を行う(SP2)。これにより、各成分の粉砕、混合が十分に行われることになり、Ni粉末成分およびFe粉末成分がW粉末に均一に分散された状態になる。そして、これらの粉末を有機バインダーを用いて造粒し、押型に対する充填性の良好な成形用原料を得る。
【0036】
その後、上記原料を押型に充填して、1960×10〜2940×10Pa(2〜3ton/cm)の圧力で成形する(SP3)。これにより、図4の斜視図に示すような外観形状(但し、加締め部14cが形成されてない形状)の圧粉体が得られる。
【0037】
次に、上記圧粉体を900℃の温度の水素雰囲気中で3時間予備焼結を行った(SP4)後、1340〜1460℃の温度の水素雰囲気中で1時間本焼結を行う(SP5)ことにより、図2〜図4に示すウェート10(但し、加締め部14cが形成されてないもの)が完成する。このウェートについては、比重、抗折強度(×10MPa(kgf/mm))等についての品質の評価(SP6)が行われことになる。
【0038】
上記製造プロセスで製造された図2〜図4に示すウェート10は、携帯電話(携帯通信機器)に組み込まれたモータに取り付けられる振動発生用の偏心ウェートとして構成されたものであり、円弧半径が数mmの横断面略扇型状に成形され、その扇状部分全体が偏心荷重部11となっている。このウェート10は、偏心荷重部11の扇状を描く外周円弧の中心部に、例えば、SUS420などのステンレス製のモータの回転軸12が嵌まり込む溝部13が形成されている。また、この溝部13の両側には、偏心荷重部11から膨出して溝部13の両側縁部を形成する側壁14が一体に形成されている。
【0039】
上記溝部13は、回転軸12の中心角180°以上の範囲を内在させる軸挿通部13aと、この軸挿通部13aと溝部13の開口15との間に形成された立壁部13bとによって構成されている。ここで、立壁部13bは、回転軸12の外径寸法よりも狭い間隔を介して平行に対向するように形成されており、さらに軸挿通部13a内の回転軸12の軸線Oから開口15に至る長さ寸法Tと、回転軸12の直径Dとの比(T/D)が、0.5〜1.4の範囲になるように形成されている。このような範囲の一例を示せば、回転軸12の直径D(mm)が、それぞれ0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0である場合に、立壁部13bの上記寸法T(mm)は、それぞれ0.45、0.50、0.55、0.60、0.65、0.7に設定されている。
【0040】
また、溝部13は、開口15の幅寸法Hと回転軸12の直径Dとの比(H/D)が、0.50〜0.95の範囲になるように形成されている。同様に、当該範囲内の一例を示せば、回転軸12の直径D(mm)が、それぞれ0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0である場合に、溝部13の開口15の幅H(mm)は、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9に設定されている。
【0041】
そして、上記構成からなるウェート10は、図3および図4に示すように、側壁14の先端部端面14aのうち、軸線O方向の両端部を残した中央部分において、側壁14の外周側部分14bを残した溝部13側の部分14cが、直方体状の加締めパンチ18によって溝部13の開口15側から底側に向けて加締められることにより、回転軸12に一体的に結合されるようになっている。
【0042】
以上の構成からなるウェート10によれば、回転軸12が挿通される溝部13を、回転軸12の中心角180°以上の範囲を内在させる軸挿通部13aと、この軸挿通部13aと開口15との間に形成され、回転軸12の外径寸法よりも狭い間隔Hを介して平行に対向する立壁部13bとによって形成しているので、予め側壁14における溝部13近傍が、従来のウェートを加締めて塑性変形した後の形状に近付いた形状に形成されていることになる。
【0043】
この結果、側壁14の先端部端面14aを溝部13の開口15側から底側に向けて加締めると、図3に示すように、側壁14が塑性変形して回転軸12の外径寸法よりも狭い間隔Hの立壁部13b間が一層幅狭になるとともに、回転軸12を溝部13の底部16および立壁部13bの近傍に位置する軸挿通部13aの天井部17との3点によって強固に挟むことにより、ウェート10を回転軸12に高い引抜き強度で固定することができる。
【0044】
したがって、上記構成からなるウェート10によれば、より小さな加締め力によってウェート10を回転軸12に結合させることができる。ちなみに、本発明者等の実験によれば、例えば従来の略1/3といった浅い加締め量にも拘わらず、従来と比較して1.5〜2.5倍の引抜き強度を得ることができた。したがって、上記ウェート10にあっては、その製造が容易であることに加えて、さらにウェート10が小型化した場合においても、クラックを生じることなく、確実に高い引抜き強度でモータの回転軸12に固定することができる。この結果、ウェート10を有する振動発生装置およびこの装置を組み込む携帯電話(小型無線機等を含む)全体の小型軽量化を実現することが可能になる。また、加締め荷重を小さくし、且つウェート10の側壁14におけるクラックの発生を防ぐことができるために、上記振動発生装置の生産性を向上させることができ、且つウェート10の高比重化による振動効率の向上も可能となる。
【0045】
そしてさらに、上記ウェート10においては、形状精度が高く且つNiの析出のないものを得ることができるので、軸挿通部13aを回転軸12に精密に嵌合させることができる。しかも、上述した成分範囲に規定されたNiおよびFeの成分により、十分な延性を有するものとなるので、上述したように、加締めだけで回転軸12に強固に固定することができる。すなわち、ウェート10が回転軸12に対して軸回り、軸方向にずれるのを確実に防止することができる。
【0046】
(第2の実施の形態)
次ぎに、この発明の第2の実施の形態を説明する。この実施の形態で示すウェートは、上述したNiおよびFeに加えて、結合相形成成分としてのCuを0.5〜2重量%の範囲で含有させ、且つNi、FeおよびCuの全量が10重量%以下となるように含有するすべく規定したものであり、その他は上記第1の実施の形態と同一である。
【0047】
Cu成分は、W粉末の焼結に必要な比較的融点の低い液相を提供し、且つNi−Fe−Cu合金の固溶体を形成することによって焼結の促進と強度の向上に寄与する結合相形成成分である。また、Cuについても、上述したW等と同程度の平均粒径(1〜5μm)の粉末が用いられている。
【0048】
そして、このCu成分を上記のような範囲に規定しているのは、0.5重量%未満では焼結性を向上させる効果がほとんど見られないからであり、2重量%を超えると余分な液相の発生によって、W粉末の位置ずれを起こし、冷却後に全体的に歪んだ形状を生じさせることになるためである。
【0049】
また、上記ウェートを製造する際には、上述した図1のSP1において、W、Ni、Feの粉末にさらにCuの粉末を加えることになる。そして、上述したSP2〜SP6の処理を順次行うことにより、タングステン基焼結合金によって構成されたウェートが完成する。
【0050】
上記のように構成されたウェートにおいては、上記第1の実施の形態に対してさらにCuが0.5〜2重量%の範囲で含有していることから、当該第1の実施の形態よりさらに焼結の促進および強度の向上を図ることができる。すなわち、Cuを含有させることにより、Niより低い温度で液相を発生させることができるので、焼結性の向上を図ることができる。また、Ni−Fe−Cu合金による結合相形成成分によって、強度の向上を図ることができる。
【0051】
また、上述した図2〜4に示すウェート10を構成することによって、加締めるだけで回転軸12に強力に固定可能なものを得ることができる。
【0052】
【実施例】
次に、この発明の実施例について、表1を参照して説明する。表1は、本焼結を行った後の各タングステン基焼結合金の試験結果を示したものである。試験結果は、比較例1〜5、実施例1〜8のものについて表示した。
【0053】
(成分組成について)
原料粉末として、いずれも1〜5μmの範囲内の平均粒径を有するW粉末、Ni粉末、Fe粉末およびCu粉末を用意し、これらの原料粉末を表1に示す成分組成となるように配合した。
【0054】
(試験方法)
試験は、抗折試験片によって行った。
抗折試験片は、日本工業規格におけるJIS B−4104に基づく断面四角形の棒状のものであり、その断面の縦×横の寸法が4.0mm×8.0mmで、長さが24mmとなっている。
また、この抗折試験片の製造にあたって、湿式ボールミル粉砕、混合、乾燥、造粒、成形、予備焼結、本焼結については、上述したSP2〜SP5の通りである。また、本焼結(SP5)の温度は約1340〜1460℃の範囲内に入るように設定した。
【0055】
判定は、上述のようにして製造された抗折試験片の比重、抗折強度、抗折歪、寸法精度に基づいて行った。なお、抗折強度は、曲げ荷重によって抗折試験片が破断する直前の当該抗折試験片の最大曲げ応力を意味し、抗折歪は、上記破断直前の抗折試験片の歪を意味する。また、寸法精度は、抗折試験片の所定位置の外面間の寸法が所定の公差内に入れば「良」とし、形状精度の低下やNiの析出により上記寸法が所定の公差内に入らなければ「否」とした。さらに、総合判定は、×、△、○、◎の記号で示し、○以上、すなわち○または◎であれば上述したモータの回転軸12に固定する偏心ウェートとして使用可能であると評価した。
【0056】
(考察)
表1に示された結果から、本発明のウェート(抗折試験片)の実施例1〜8は、従来のウェート(抗折試験片)としての比較例1〜5に比べて、何れも比重が17以上の高比重となり、抗折強度および抗折歪が高く強度および靱性の点で優れたものであり、且つ寸法精度に優れたものである(形状精度が高く且つNiの析出がない)ことから、携帯電話の振動モータに取り付ける偏心ウェートとして十分使用可能であるという評価を得ることができた。
【0057】
【表1】
Figure 2004353006
【0058】
なお、上記各実施の形態においては、ウェート10を、モータの回転軸12に結合するように構成したが、このウェート10は、例えば往復運動をするアクチュエータの軸や、その他の回転運動や往復運動をする軸に加締めにより結合するように構成してもよい。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1に記載の発明によれば、結合相形成成分としてのNiが1〜6重量%、Feが0.5〜5重量%の範囲であって、且つこれらのNiおよびFeの合計量が10重量%以下であるとともに、NiとFeとの含有量の重量による相対比率であるNi/Feが0.2〜1.5の範囲内に設定されているので、十分多く含有された結合相形成成分の液相化により、良好な焼結性を確保することができる。すなわち、残留空孔が極めて少なく緻密なタングステン基焼結合金を得ることができる。
【0060】
また、焼結時には融点の低いNiから融点の高いFeへと順次溶融することになるが、上述のようにNiの絶対量が1〜6重量%に制限され、且つFeとの重量による相対比率もNi/Feで0.2〜1.5となるように制限されているので、溶融したNiに対するWの溶解反応が緩やかになり、全体的に緩やかで均一な収縮が実現できる。このため、焼結の際に、Wの各粒子が相対的に大きくずれるのを防止することができるので、冷却後に歪みが生じた状態になるのを防止することができる。
【0061】
したがって、形状精度の高いものを得ることができる。
【0062】
また、Niが過剰に溶融した状態になるのを避けることができるので、当該Niが固化の際に表面に析出するのを防止することができる。したがって、例えばモータの回転軸を嵌合させる挿通溝等を有する場合でも、当該挿通溝等の内面間の寸法がNiの析出によって変化することがないので、モータの回転軸との嵌合公差を適正な範囲におさめることができる。しかも、Niの析出がなくなるので、表面が滑らかな美観の優れたものを得ることができる。
【0063】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明に対してさらにCuが0.5〜2重量%の範囲で含有しているので、焼結の促進および強度の向上を図ることができる。すなわち、Cuを含有させることにより、Niより低い温度で液相を発生させることができるので、焼結性の向上を図ることができる。また、Ni−Fe−Cu合金による結合相形成成分によって、強度の向上を図ることができる。
【0064】
請求項3に記載の発明によれば、モータの回転軸に、加締めによって一体的に結合されるようになっているので、当該回転軸に、結合のための種々の手段を設けることなく簡単に固定することができる。即ち、形状精度が高く且つNiの析出による寸法変化がなく、しかも十分な延性を有していることから、加締めによるだけで回転軸に強固に固定することができる。従って、加締め後に、回転軸に対して、その軸回りおよび軸方向に相対的に位置ずれを起こすのを確実に防止することができる。そして、Wによる高比重化の達成によって、極めて小さな偏心ウェートを構成することができるので、例えば携帯通信機器に使用することによって、この携帯通信機器の軽薄短小化を促進することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施の形態として示したタングステン基焼結合金製ウェートの製造プロセスのフロー図である。
【図2】同タングステン基焼結合金製ウェートを示す正面図である。
【図3】同タングステン基焼結合金製ウェートを示す図であって、図4のIII−III線に沿う断面図である。
【図4】同タングステン基焼結合金製ウェートを電動モータの回転軸に加締めにより結合した状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
10 ウェート(タングステン基焼結合金製ウェート)

Claims (3)

  1. 結合相形成成分として、Niが1〜6重量%の範囲、Feが0.5〜5重量%の範囲であって、且つこれらの全量が10重量%以下となるように含有するとともに、上記NiとFeとの含有量の重量による相対比率であるNi/Feが0.2〜1.5となるように設定され、上記NiおよびFe以外の残部が分散相形成成分としてのW及び不可避不純物からなる組成を有し、比重が17〜18となるように調整されたタングステン基焼結合金によって形成されていることを特徴とするタングステン基焼結合金製ウェート。
  2. 結合相形成成分として、Niが1〜6重量%の範囲、Feが0.5〜5重量%の範囲、Cuが0.5〜2重量%の範囲であって、且つこれらの全量が10重量%以下となるように含有するとともに、上記NiとFeとの含有量の重量による相対比率であるNi/Feが0.2〜1.5となるように設定され、上記Ni、FeおよびCu以外の残部が分散相形成成分としてのW及び不可避不純物からなる組成を有し、比重が17〜18となるように調整されたタングステン基焼結合金によって形成されていることを特徴とするタングステン基焼結合金製ウェート。
  3. モータの回転軸に、加締めによって一体的に結合されるようになっていることを特徴とする請求項1または2に記載のタングステン基焼結合金製ウェート。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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KR101400685B1 (ko) * 2013-07-19 2014-05-29 효원테크(주) 크랭크샤프트용 밸런스웨이트 및 그 제조방법
CN104362015A (zh) * 2014-11-28 2015-02-18 桂林电器科学研究院有限公司 一种铜钨触头材料的制备方法

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