JP7031544B2 - Sm-Fe-N系磁石用バインダ - Google Patents

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本開示は、Sm-Fe-N系磁石用バインダに関する。特に、本開示は、合金系のSm-Fe-N系磁石用バインダに関する。
高性能希土類磁石としては、Sm-Co系希土類磁石及びNd-Fe-B系希土類磁石が実用化されているが、近年、これら以外の希土類磁石が検討されている。
例えば、Sm、Fe、及びNを含有する希土類磁石(以下、「Sm-Fe-N系磁石」ということがある。)が検討されている。Sm-Fe-N系磁石は、Sm-Fe結晶に、Nが侵入型で固溶していると考えられている。
Sm-Fe-N系磁石は、例えば、Sm、Fe、及びNを含有する磁性粉末(以下、「SmFeN粉末」ということがある。)を用いて製造される。SmFeN粉末は、熱によってNが乖離して分解され易い。そのため、Sm-Fe-N系希土類磁石は、SmFeN粉末を樹脂及び/又はゴム等を用いて成形して製造されることが多い。
それ以外のSm-Fe-N系磁石の製造方法としては、例えば、特許文献1には、SmFeN粉末とZn粉末を混合して成形し、その成形体を熱処理する製造方法が開示されている。
特開2015-201628号公報
特許文献1に開示されたSm-Fe-N系磁石の製造方法においては、SmFeN粉末のNが乖離して分解する温度よりも低い温度で、SmFeN粉末をZn粉末と共に熱処理することによって、Zn粉末がSmFeN粉末の粒子を結合するバインダの働きをする。
バインダ粉末の粒子が、SmFeN粉末の粒子よりも細かいと、両者が良好に混合される。このような混合粉末を熱処理(焼結)すると、均質なSm-Fe-N系磁石が得られ、磁気特性が向上する。
Zn粉末は、Znインゴットを粉砕して得られる。Znは軟質材料であるため、細かい粒子を有するZn粉末を得ることは容易ではない。特に、ジュークラッシャー、ボールミル、カッターミル、及びジェットミル等の粉砕機を用いて、軟質材料のインゴットから、工業的に多量の微粉末を得ることは容易ではない。
また、Sm-Fe-N系磁石用バインダは、上述したように、SmFeN粉末の分解温度よりも低い融点を有していることが好ましく、さらに、SmFeN粒子との濡れ性も良好であることが好ましい。
これらのことから、低融点で、破砕性に優れ、かつ、SmFeN粉末との濡れ性が良好なSm-Fe-N系磁石用バインダが期待されている、という課題を、本発明者らは見出した。
本開示は、上記課題を解決するためになされたものである。すなわち、本開示は、低融点で、破砕性に優れ、かつ、SmFeN粉末との濡れ性が良好なSm-Fe-N系磁石用バインダを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく、鋭意検討を重ね、本開示のSm-Fe-N系磁石用バインダを完成させた。本開示のSm-Fe-N系磁石用バインダは、次の態様を含む。
〈1〉Mg、Al、及びZnからなる群より選ばれる一種以上、20質量%以上のLa、及び20質量%以上のCuを含有する、Sm-Fe-N系磁石用バインダ。
本開示によれば、低融点で、破砕性に優れ、かつ、SmFeN粉末との濡れ性が良好なSm-Fe-N系磁石用バインダを提供することができる。
図1は、本開示のSm-Fe-N系磁石用バインダを使用して磁石を製造する工程を示す模式図である。 図2は、SmFeN粉末との濡れ性が良好でないバインダ粉末を混合し、それを焼結している場合の状態を示す模式図である。 図3は、高融点のバインダ粉末を使用した場合の焼結時の状態を示す模式図である。 図4は、軟質材料からバインダ粉末を得るときの模式図である。 図5は、比較例2の試料のSEM像を示す図である。 図6は、La-Cu-Znの三元系状態図を示す。
以下、本開示のSm-Fe-N系磁石用バインダの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は、本開示のSm-Fe-N系磁石用バインダを限定するものではない。
合金系のバインダを使用して、均質なSm-Fe-N系磁石を得るためには、SmFeN粉末とバインダ粉末を均一に混合することが重要である。しかし、SmFeN粉末とバインダ粉末を均一に混合しても、SmFeN粉末とバインダ粉末の融液の濡れ性が良好でないと、均一なSm-Fe-N系磁石を得ることはできない。
図2は、SmFeN粉末との濡れ性が良好でないバインダ粉末を混合し、それを焼結している場合の状態を示す模式図である。SmFeN粉末20とバインダ粉末90aを混合する。SmFeN粉末20よりも、バインダ粉末90aの方が細かければ、混合粉末50は均一である。しかし、焼結時に、SmFeN粉末20とバインダ融液90cの濡れ性が良好でないと、SmFeN粉末20が集合し、その集合体の外側にバインダ融液90cが排出される。このような状態で焼結を行っても、均質なSm-Fe-N系磁石は得られない。
また、バインダ粉末90aは低融点であることが重要である。混合粉末50は、SmFeN粉末20のNが乖離して分解する温度(以下、「分解温度」ということがある。)よりも低い温度で液相焼結する。図3は、高融点のバインダ粉末を使用した場合の焼結時の状態を示す模式図である。バインダ粉末90aの融点が、分解温度よりも高いと、図3に示したように、バインダ粉末90aが固相のままで、液相焼結することができない。
Zn及びSn等の低融点金属及びその合金は、延展性の高い軟質材料であることが多い。軟質材料を機械粉砕しようとしても、塑性変形及び/又は凝集等が発生するため、軟質材料の破砕性は良好でない。図4は、軟質材料からバインダ粉末を得るときの模式図である。軟質材料90を粉砕しても、粗大な粒子を有するバインダ粉末90aしか得られない。粗大な粒子の粒径は、60~100μm程度である。これよりも細かいバインダ粉末90aを得ようとすると、バインダ粉末90aの粒子が潰れてしまう。
これらのことから、バインダ粉末は、低融点で、破砕性に優れ、かつ、SmFeN粉末との濡れ性が良好であることが必要である。このようなバインダ粉末としては、La-Cu-Mg系合金、La-Cu-Al系合金、及びLa-Cu-Zn合金から選ばれる合金を含むインゴットを粉砕したバインダ粉末が有望であることを本発明者らは知見した。そして、このようなバインダ粉末を使用すると、均質なSm-Fe-N系磁石が得られ、そのような磁石は、磁気特性に優れていることを、本発明者らは知見した。
図1は、本開示のSm-Fe-N系磁石用バインダを使用して磁石を製造する工程を示す模式図である。原料合金10を粉砕して、本開示のSm-Fe-N系磁石用バインダ10aを得る。本開示のSm-Fe-N系磁石用バインダ10aは破砕性に優れる。そのため、本開示のSm-Fe-N系磁石用バインダ10aは、SmFeN粉末20よりも細かくすることができる。そのため、本開示のSm-Fe-N系磁石用バインダ10aとSmFeN粉末20を混合すると、均一な混合粉末50が得られる。そして、混合粉末50を焼結すると、本開示のSm-Fe-N系磁石用バインダ10aが溶融する。本開示のSm-Fe-N系磁石用バインダ10aの融液は、SmFeN粉末20との濡れ性が良好であるため、焼結中に、SmFeN粉末20の粒子間に、本開示のSm-Fe-N系磁石用バインダ10aの融液が存在し続ける。このようにして得られたSm-Fe-N系磁石60においては、SmFeN粉末20に由来する磁性粒子は、結合部10bが包囲して磁性粒子を結合する。また、本開示のバインダは非磁性であるため、結合部10bは非磁性である。そのため、結合部10bによって、SmFeN粉末20に由来する磁性粒子それぞれが磁気分断され、保磁力が向上する。
これまで述べてきた知見等によって完成された、本開示のSm-Fe-N系磁石用バインダの構成要件を、次に説明する。
《Sm-Fe-N系磁石用バインダ》
本開示のSm-Fe-N系磁石用バインダ(以下、「本開示のバインダ」ということがある。)は、Mg、Al、及びZnからなる群より選ばれる一種以上、20質量%以上のLa、及び20質量%以上のCuを含有する、Sm-Fe-N系磁石用バインダ。
本開示のバインダは、Al、及びZnからなる群より選ばれる一種以上の元素、並びにLa及びCuが合金を形成する。本開示のバインダは、バインダとしての機能、及び本開示のバインダを用いて得られたSm-Fe-N系磁石の磁気特性に悪影響を及ぼさない含有量範囲で、これらの元素以外の元素を含有してもよい。また、本開示のバインダが、不可避的不純物を含有してよいことは、もちろんである。不可避的不純物とは、本開示のバインダの原材料に含まれる不純物元素、あるいは、製造工程で混入してしまう不純物元素等、その含有を回避することが避けられない、あるいは、回避するためには著しい製造コストの上昇を招くような不純物元素のことをいう。
以下、本開示のバインダの構成元素ごとに説明する。
〈Mg、Al、及びZnからなる群より選ばれる一種以上〉
本開示のバインダは、Mg、Al、及びZnからなる群より選ばれる一種以上を含有する。これらの金属は、比較的低融点ではあるが、軟質材料であり、その延展性のために、破砕性に劣る。そこで、これらの金属に、La及びCuを加えて、破砕性を向上させる。
本開示のバインダは、Mg、Al、及びZnを組み合わせて含有することもできるが、これらから選ばれる一種を含有することが好ましい。Mg、Al、及びZnからなる群より選ばれる一種以上の元素の含有量は、3質量%以上、5質量%以上、10質量%以上であってよく、50質量%以下、40質量%以下、35質量%以下、30質量%以下、25質量%以下、又は20質量%以下であってよい。Mg、Al、及びZnを組み合わせて含有する場合には、これらの合計が、上述した範囲であってよい。
〈La〉
本開示のバインダは、Laを20質量%以上含有する。Laを含有することによって、破砕性を向上させる。また、Laによって、他の構成元素との組み合わせで、本開示のバインダの融液とSmFeN粉末との濡れ性を確保する。これらの観点からは、Laの含有量の含有量は、25質量%以上、30質量%以上、35質量%以上、又は40質量%以上であってもよい。一方、Laの含有量が過剰であると、本開示のバインダの融点が高くなる。この観点からは、Laの含有量は、60質量%以下、55質量%以下、50質量%以下、又は45質量%以下であってよい。
〈Cu〉
本開示のバインダは、Cuを20質量%以上含有する。Cuを含有することによって、破砕性を向上させる。また、Cuによって、他の構成元素との組み合わせで、本開示のバインダの融液とSmFeN粉末との濡れ性を確保する。これらの観点からは、Cuの含有量の含有量は、25質量%以上、30質量%以上、又は35質量%以上であってもよい。一方、Cuの含有量が過剰であると、本開示のバインダの融点が高くなる。この観点からは、Cuの含有量は、60質量%以下、55質量%以下、50質量%以下、又は45質量%以下であってよい。
本開示のバインダの融点は、本開示のバインダを用いて製造したSm-Fe-B系磁石の使用温度より高い必要がある。Sm-Fe-B系磁石の使用温度は200℃未満である。また、本開示のバインダにおいては、図1に示したように、本開示のSm-Fe-N系磁石用バインダ10aとSmFeN粉末20の混合粉末が、SmFeN粉末20の分解温度以下で液相焼結に供される。そのため、本開示のバインダの融点は、SmFeN粉末20の分解温度よりも低い必要がある。SmFeN粉末20の分解温度は、概ね600℃である。本開示のバインダの組成は、上述の範囲内で、本開示のバインダの融点が200~500℃になるように決定される。本開示のバインダの融点は、250℃以上、300℃以上、又は350℃以上であってもよく、470℃以下、450℃以下、420℃以下、又は400℃以下であってもよい。
〈形態〉
本開示のバインダの形態は、典型的には粉末であるが、これに限られない。バルク、薄帯、及び薄片等であってもよい。
本開示のバインダの形態が粉末である場合、Sm-Fe-N系磁石の製造を考慮して、本開示のバインダの粒径を任意に選択することができる。典型的には、粒径は、1nm以上、5nm以上、10nm以上、50nm以上、100nm以上、300nm以上、500nm以上、700nm以上、1μm以上、2μm以上、又は3μm以上であってよく、50μm以下、40μm以下、30μm以下、20μm以下、10μm以下、又は5μm以下であってよい。なお、本明細書で、特に断りがない限り、粒径は、投影面積円相当径を意味し、粒径が範囲で記載されている場合には、すべての粒子の80%以上がその範囲内に分布しているものとする。
〈使用〉
本開示のバインダは、Sm-Fe-N系磁石の製造に使用することができる。本開示のバインダは、Sm-Fe-N系磁石の磁性相を含むSmFeN粉末に対して、特に制限なく使用することができる。
Sm-Fe-N系磁石の磁性相に特に制限はない。磁性相は、典型的にはThZn17型の結晶構造を有しており、ThNi17型及び/又はTbCu型等の結晶構造を有していてもよい。
磁性相は、例えば、(Sm(1-i) (Fe(1-j)Co17を含んでいてよい。ここで、hは、1.5以上が好ましく、2.0以上がより好ましく、2.5以上がより一層好ましい。一方、hは、4.5以下が好ましく、4.0以下がより好ましく、3.5以下がより一層好ましい。また、iは、0以上、0.10以上、又は0.20以上であってよく、0.50以下、0.40以下、又は0.30以下であってよい。そして、jは、0以上、0.10以上、又は0.20以上であってよく、0.52以下、0.40以下、又は0.30以下であってよい。
及びCoは、Sm-Fe-N系磁石の磁性相で、Sm、Fe、及びN以外で含有していてもよい元素である。Rは、Sm以外の希土類元素並びにY及びZrから選ばれる1種以上である。本明細書で、希土類元素とは、Sc、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、及びLuである。Sm-Fe-N系磁石の磁性相のFeの一部は、Coで置換されていてもよい。そして、Sm-Fe-N系磁石の磁性相は、Ga、Ti、Cr、Zn、Mn、V、Mo、W、Si、Re、Cu、Al、Ca、B、Ni、及びCから選ばれる1種以上並びに不可避的不純物元素を少量含有していてもよい。
本開示のバインダは、SmFeN粉末のほかに、Sm-Fe-N系磁石の特定の特性、例えば、耐食性等を向上させる物質等とも併せて使用することができる。
また、本開示のバインダは、SmFeN粉末と混合して圧粉し、その圧粉体を無加圧又は加圧焼結して使用することができるが、これに限られない。例えば、本開示のバインダとSmFeN粉末とを混合し、その混合粉末を圧粉せずに熱処理してもよい。
本開示のバインダとSmFeN粉末を混合して、その混合粉末に磁場を印加しながら圧粉して圧粉体を得てもよい。
本開示のバインダを用いて得られたSm-Fe-N系磁石は、
Sm、Fe、及びNを含有し、少なくとも一部がThZn17型又はThNi17型の結晶構造を有する磁性相、及び
前記主相の周囲に存在し、本開示のバインダの組成を有する結合相、
を有する。
本開示のバインダを用いたSm-Fe-N系磁石の製造方法は、
Sm、Fe、及びNを含有し、少なくとも一部がThZn17型又はThNi17型の結晶構造を有する主相を含む磁性粉末と、本開示のバインダ粉末とを混合して混合粉末を得ること、
前記混合粉末を圧縮成形して圧粉体を得ること、
前記圧粉体を、前記バインダ粉末の融点以上、前記磁性相の分解温度未満で焼結すること、
を含む。
焼結温度は、250℃以上、300℃以上、350℃以上、又は400℃以上であってよく、500℃以下、490℃以下、又は480℃以下であってよい。また、焼結圧力は、30MPa以上、50MPa以上、100MPa以上、200MPa以上、又は400MPa以上であってよく、2GPa以下、1.5GPa以下、1.0GPa以下、又は700MPa以下であってよい。焼結は、不活性ガス雰囲気中又は真空中で行うことが好ましい。不活性ガス雰囲気には、窒素ガス雰囲気を含む。
前記圧縮成形は、磁場中で行ってもよい。印加する磁場は、例えば、0.3T以上、0.5T以上、又は1.0T以上であってよく、5.0T以下、4.0T以下、又は3.0T以下であってよい。
本開示のバインダの配合量については、磁性粉末の粒子同士の結合力確保の観点から、磁性粉末の質量を1としたとき、バインダ粉末の質量は、0.03以上、0.05以上、0.1以上、0.2以上、0.4以上、0.8以上、又は1.0以上であってよい。得られる磁石の磁化の低下を抑制する観点からは、磁性粉末の質量を1としたとき、バインダ粉末の質量は、2.4以下、2.2以下、2.0以下、1.8以下、1.6以下、1.4以下、又は1.2以下であってよい。結合力と磁化の低下抑制とのバランスを考慮すると、磁性粉末の質量を1としたとき、バインダ粉末の質量は、0.03以上、0.05以上、又は0.10以上であってよく、0.20以下、0.16以下、又は0.12以下であってよい。
《本開示のバインダ製造方法》
本開示のバインダの製造方法は、得られるバインダの組成が上述の範囲になれば、特に制限はない。原料を溶解して凝固させる方法が典型的である。このほかに、原料粉末を混合して融点以下で加熱する焼結法、金属イオンを含む水溶液を使用した化学的方法、及びメカニカルアロイング等が挙げられる。
原材料の溶解方法に、特に制限はなく、例えば、アーク溶解及び誘導加熱溶解等が挙げられる。原材料、溶湯、及び凝固後のインゴットの酸化を防止するため、真空又は不活性ガス中で、原材料の溶解及び凝固を行うことが好ましい。
凝固後のインゴットは、粉砕されることが好ましい。粉砕には、乳鉢のほか、工業用の粉砕機を使用することができる。粉砕機としては、例えば、ジュークラッシャー、ボールミル、カッターミル、及びジェットミル等が挙げられる。
以下、本開示のバインダを実施例及び比較例により、さらに具体的に説明する。なお、本開示のバインダは、以下の実施例で用いた条件に限定されるものではない。
《試料の準備》
表1に示す組成になるように原材料を秤量及び配合して、それを溶解及び凝固させてインゴットを得た。そして、インゴットを粉砕して、バインダとした。
SmFeN粉末とバインダ粉末とを、表1に示す質量比で配合し、それらを混合して、混合粉末を得る。混合粉末を超硬製の金型に装入して、圧粉及び焼結した。焼結はアルゴン雰囲気で行った。焼結温度は、250~475℃とした。焼結圧力は50MPaとした。焼結対象物の温度が焼結温度に達してから、焼結対象物を加圧した。焼結の終了後、金型から焼結体を取り出し、実施例1~3及び比較例1~2の試料とした。
《評価》
バインダの破砕性については、乳鉢を用いてインゴットを粉砕して評価した。粉末状に粉砕できた場合を「良好」、インゴットが潰れる等で、粉末状に粉砕できなかった場合を「不良」とした。
バインダ融液の濡れ性については、各試料を切断して評価した。問題なく切断できた場合を「良好」、SmFeN粉末の粒子が切断によって脱落した場合を「不良」とした。焼結磁石においては、実用的には、焼結体をワイヤカットして所望の寸法を有する磁石を得る。そのため、ワイヤカット時に焼結体が崩壊しないことが望まれていることを考慮して、バインダ融液の濡れ性の評価方法を決定した。
また、各試料について、パルス励磁型磁気特性測定装置(TPM)を用いて、磁気特性を評価した。測定は室温で行った。さらに、比較例2の試料については切断面をSEM観察した。
結果を表1に示す。表1には、SmFeN粉末とバインダ粉末の配合比、焼結温度、及び焼結圧力を併記した。また、図6は、比較例2の試料のSEM像を示す。また、参考までに、図6に、La-Cu-Znの三元系状態図を示す。図6は、状態図計算ソフトであるThermo-Calc(登録商標)で作成したものある。
Figure 0007031544000001
表1から、実施例1~3のバインダにおいては、粉砕性が良好であることを確認できた。このことから、実施例1~3のバインダにおいては、粉砕機を用いて工業的に大量にバインダインゴットを粉砕できると考えられる。また、実施例1~3の試料においては、SmFeN粉末の分解温度以下で焼結ができており、SmFeN粉末とバインダ粉末の融液との濡れ性が良好であることも確認できた。なお、図6の星印で示したように、実施例1のバインダの融点は、SmFeN粉末の分解温度以下になっていることが理解できる。
これに対し、比較例1~2のバインダにおいては、粉砕性が良好ではない。また、比較例2の試料では、SmFeN粉末の分解温度以下で焼結されてはいるものの、SmFeN粉末とバインダ粉末の融液との濡れ性が良好ではない。そして、図5から、比較例2の試料80においては、SmFeN粒子82とバインダ粒子84が濡れておらず、均質な組織が得られていない。また、表1から、比較例2の試料の磁気特性は良好ではない。これに対し、実施例1~3の試料においては、表1から、磁気特性が良好であり、濡れ性が良好であることが確認できるため、これらの試料の組織は均質であると考えられる。
これらの結果から、本開示のバインダの効果を確認できた。
10 原料合金
10a Sm-Fe-N系磁石用バインダ
10b 結合部
20 SmFeN粉末
50 混合粉末
60 Sm-Fe-N系磁石
80 試料
82 SmFeN粒子
84 バインダ粒子
90a バインダ粉末
90c バインダ融液

Claims (1)

  1. Mg及びZnからなる群より選ばれる一種以上、37.2~50質量%のLa、及び20~57質量%のCuを含有する、Sm-Fe-N系磁石用バインダ。
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