JPH09237708A - 希土類FeN系焼結磁石およびその製造方法 - Google Patents

希土類FeN系焼結磁石およびその製造方法

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JPH09237708A
JPH09237708A JP8041799A JP4179996A JPH09237708A JP H09237708 A JPH09237708 A JP H09237708A JP 8041799 A JP8041799 A JP 8041799A JP 4179996 A JP4179996 A JP 4179996A JP H09237708 A JPH09237708 A JP H09237708A
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powder
liquid phase
alloy
phase
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Mitsuya Hosoe
光矢 細江
Hajime Goto
肇 後藤
Naomasa Kimura
直正 木村
Katsutoshi Nozaki
勝敏 野崎
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Honda Motor Co Ltd
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    • H01F1/03Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity
    • H01F1/032Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of hard-magnetic materials
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    • H01F1/059Alloys characterised by their composition containing rare earth metals and magnetic transition metals, e.g. SmCo5 and Va elements, e.g. Sm2Fe17N2

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた磁石特性を有する希土類FeN系焼結
磁石を提供する。 【解決手段】 希土類FeN系焼結磁石は、多数の粒状
強磁性相P1 と、その粒状強磁性相P1 の分解温度より
も低い温度で液相を生じて相隣る両粒状強磁性相P1
を接合するバインダ相P2 とよりなる液相焼結組織を有
する。粒状強磁性相P1 は希土類FeN系化合物よりな
り、またバインダ相P2 は希土類元素REの含有量がR
E≧50原子%であるRE系合金よりなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は希土類FeN系焼結
磁石およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、高性能永久磁石材料としては、高
いキュリー点と、高い異方性磁場を有する希土類FeN
系化合物、例えばSm2 Fe173 化合物が知られてい
る。
【0003】ところが、Sm2 Fe173 化合物は、6
50℃以上の高温に曝されると、Sm2 Fe173 →2
SmN+17Fe+N2 /2といった不可逆的な分解反
応を生じるため、Sm2 Fe173 化合物よりなる焼結
磁石を得ることは非常に困難であった。
【0004】そこで、現状では、Sm2 Fe173 化合
物は、その粉末を合成樹脂バインダで結合した樹脂ボン
ド磁石に用いられている(特開平4−346203号公
報参照)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら樹脂ボン
ド磁石は圧縮成形によるものであるから、比較的密度が
低く、それに起因して、特に残留磁束密度Brが低い、
という問題があった。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は高密度化を達成
され、これにより優れた磁石特性を有する前記希土類F
eN系焼結磁石を提供することを目的とする。
【0007】前記目的を達成するため本発明によれば、
多数の粒状強磁性相と、その粒状強磁性相の分解温度よ
りも低い温度で液相を生じて相隣る両粒状強磁性相間を
接合するバインダ相とよりなる液相焼結組織を有し、前
記粒状強磁性相が希土類FeN系化合物よりなり、前記
バインダ相は希土類元素REの含有量がRE≧50原子
%であるRE系合金よりなる希土類FeN系焼結磁石が
提供される。 希土類FeN系焼結磁石は、前記のよう
に特定された液相焼結組織を有するので高密度化を達成
され、これにより優れた磁石特性、特に、高い残留磁束
密度Brを有する。
【0008】また本発明は前記のような希土類FeN系
焼結磁石を量産することが可能な前記製造方法を提供す
ることを目的とする。
【0009】前記目的を達成するため本発明によれば、
希土類FeN系化合物よりなる永久磁石用粉末と、希土
類元素REの含有量がRE≧50原子%であり、且つ前
記希土類FeN系化合物の分解温度よりも低い液相発生
温度を持つRE系合金よりなるバインダ粉末とを混合し
て混合粉末を得る工程と、前記混合粉末を用いて圧粉体
を得る工程と、前記圧粉体に、前記バインダ粉末より液
相を生じさせる液相焼結処理を施す工程とを用いる希土
類FeN系焼結磁石の製造方法が提供される。
【0010】前記RE系合金より生じた液相は高活性で
あって、希土類元素REを含む永久磁石用粉末に対して
良好な濡れ性を発揮する。これにより高密度化を達成さ
れた希土類FeN系焼結磁石を得ることができる。
【0011】またRE系合金の液相発生温度は希土類F
eN系化合物の分解温度よりも低いので、その化合物の
特性に何等影響を与えることがない。
【0012】さらに粉末冶金法の採用によって、均質で
あると共に形状自由度の高い希土類FeN系焼結磁石を
量産することが可能である。
【0013】
【発明の実施の形態】図1は、希土類FeN系焼結磁石
の液相焼結組織を示す概略図である。その液相焼結組織
は、多数の粒状強磁性相P1 と、その粒状強磁性相P1
の分解温度よりも低い温度で液相を生じて、相隣る両粒
状強磁性相P1 間を接合すべく、それら粒状強磁性相P
1 間の境界を埋めたバインダ相P2 とより構成される。
粒状強磁性相P1 は希土類FeN系化合物よりなり、ま
たバインダ相P2 は希土類元素REの含有量がRE≧5
0原子%であるRE系合金よりなる。
【0014】希土類FeN系化合物は、組成上、二種類
に分けられる。一種はREFeN系であり、このREに
は必須元素であるSmと、他の希土類元素から選択され
た少なくとも一種であって、必要に応じて添加されるも
のが含まれる。この系に該当する化合物例としては、強
磁性を示すSm2 Fe173 化合物を挙げることができ
る。他種はREFeTiN系であり、このREはNdま
たはPrである。この系に該当する化合物例としては、
それぞれ強磁性を示すNdFe11TiN1.5 化合物およ
びPrFe11TiN1.5 化合物を挙げることができる。
【0015】これらの化合物の分解温度は、Sm2 Fe
173 化合物の場合650℃、NdFe11TiN1.5
合物の場合580〜600℃、PrFe11TiN1.5
合物の場合580〜600℃である。
【0016】RE系合金には希土類元素REの含有量が
RE≧50原子%である二元、三元合金等が該当する。
そのRE系合金はその液相発生温度TL がTL ≦650
℃であって、焼結磁石製造のための液相焼結処理工程で
は、液相状態または固相と液相とが共存する固液共存状
態となる。
【0017】希土類元素REはSc、Yおよびランタノ
イド、つまり17種の元素から選択される少なくとも一
種であり、それらは単体、または混合物であるMm(ミ
ッシュメタル)若しくはDi(ジジミウム)の形態で用
いられる。また合金元素AEはFe、Co、Ni、R
u、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Ag、Au、Z
n、B、Al、Ga、In、C、Si、Ge、Sn、P
b、P、Sb、MnおよびBiから選択される少なくと
も一種である。
【0018】この場合、希土類元素REの含有量がRE
<50原子%ではRE系合金より生じた液相の活性が損
われる。一方、希土類元素RE含有量の上限値はRE=
95原子%が適当である。これは、RE>95原子%で
はRE系合金の液相発生温度が上昇するため液相焼結処
理において液相量が減少し、その結果焼結が不十分とな
るからである。
【0019】二元合金としては、RE系共晶合金、RE
系亜共晶合金およびRE系過共晶合金を挙げることがで
きる。
【0020】RE系共晶合金を例示すれば表1の通りで
ある。
【0021】
【表1】
【0022】またRE系亜共晶、過共晶合金を例示すれ
ば表2の通りである。表中、各化学式における数値の単
位は原子%である。
【0023】
【表2】
【0024】三元合金としては、例えば、RE−Cu−
AE系合金を挙げることができる。表3はNd70Cu20
AE10合金(数値の単位は原子%)の例を示す。
【0025】
【表3】
【0026】表4はNd−Cu−Al系合金の例を示
す。表中、溶融温度TM とは、各合金においてその80
%以上が液相となる温度を意味し、これは以下同じであ
る。
【0027】
【表4】
【0028】表5はPr−Cu−Al系合金およびMm
−Cu−Al系合金の例を示す。ここで、Mmは、58
原子%Ce、24原子%La、13原子%Ndおよび5
原子%Prよりなる。
【0029】
【表5】
【0030】表6はRE−Cu−Al系合金の例を示
す。表中、各化学式における数値の単位は原子%であ
る。
【0031】
【表6】
【0032】その他の三元合金としては、Nd65Cu30
Fe5 合金(TL =501℃)、Nd80Ag16Al4
金(TL =630℃)、Pr80Co16Al4 合金(TL
=570℃)等を挙げることができる。この場合、各化
学式における数値の単位は原子%である。
【0033】希土類FeN系永久磁石の製造に当って
は、希土類FeN系化合物よりなる永久磁石用粉末と、
RE系合金よりなるバインダ粉末とを混合して混合粉末
を得る工程と、その混合粉末を用いて圧粉体を得る工程
と、その圧粉体に、バインダ粉末より液相を生じさせる
液相焼結処理を施す工程とが用いられる。
【0034】希土類FeN系焼結磁石の液相焼結組織
は、図1に示したように、その磁石特性を高度に保持す
べく、多数の粒状強磁性相P1 が互に分離すると共に、
各粒状強磁性相P1 を薄いバインダ相P2 が包んでい
る、といった構造を有する場合が理想的である。
【0035】この点を勘案して、混合粉末における永久
磁石用粉末およびバインダ粉末の平均粒径ならびに配合
重量比が設定される。
【0036】即ち、混合粉末における永久磁石用粉末お
よびバインダ粉末の平均粒径dは1μm≦d≦5μmに
設定される。この場合、平均粒径dがd<1μmでは磁
石特性である飽和磁化が減少する。これは、表面酸化に
よる非磁性相の増加に起因すると考えられる。一方、d
>5μmでは保磁力が低下する。
【0037】実施例においては、混合粉末の調製工程で
永久磁石用粉末およひバインダ粉末の微細化を行う、と
いった手段を採用しているので、特に、バインダ粉末の
微細化を容易にして、それと永久磁石用粉末とを均一に
混合しなければならない。
【0038】そのため、バインダ粉末の製造に当って
は、非晶質単相構造を持つ薄帯の形成、その薄帯のナノ
オーダの微結晶化、その微結晶化薄帯の粉砕といった一
連の工程が順次実施される。
【0039】このようにして得られたバインダ粉末は混
合粉末調製工程で容易に微細化されて永久磁石用粉末と
の均一混合を実現する。
【0040】バインダ粉末の易融化を図り、また薄帯の
非晶質単相化を容易にすると共にその連続性および均質
性を良好にすべく、前記三元合金の組成は次のように特
定される。
【0041】RE−Cu−AE系合金においては、例え
ば、表3に示したNd70Cu20AE 10合金のごとく、希
土類元素REの含有量はRE≧50原子%に、Cuの含
有量は18原子%≦Cu<40原子%に、合金元素AE
の含有量はAE≦20原子%にそれぞれ設定される。
【0042】ただし、希土類元素REの含有量がRE<
50原子%では液相発生温度TL が上昇傾向となり、ま
た粒状強磁性相P1 相互間の接合強度が低下する。Cu
の含有量がCu<18原子%では薄帯の非晶質単相化を
達成することが困難となり、一方、Cu≧40原子%で
は液相発生温度TL が上昇する。合金元素AEの含有量
がAE>20原子%では、非晶質単相構造を持つ薄帯の
連続性および均質性が悪化する。
【0043】Nd−Cu−Al系合金においては、表4
に示すごとく、Ndの含有量は68原子%≦Nd≦70
原子%に、Cuの含有量は22原子%≦Cu≦30原子
%に、Alの含有量は2原子%≦Al≦8原子%にそれ
ぞれ設定される。これは、表4において、Nd60Cu30
Al10合金およびNd65Cu30Al5 合金は溶融温度T
M がやや高く、またNd72Cu26Al2 合金およびNd
72Cu24Al4 合金の場合は、薄帯に結晶質相が混在す
ることがあるからである。
【0044】RE−Cu−Al系合金においては、表
5,6に示すごとく、希土類元素REの含有量は57原
子%≦RE<80原子%に、Cuの含有量は18原子%
≦Cu<40原子%に、Alの含有量はAl≦20原子
%にそれぞれ設定される。
【0045】この場合、特に、Pr−Cu−Al系合金
においては、表5に明示するように、Prの含有量は6
0原子%≦Pr≦70原子%に、Cuの含有量は20原
子%≦Cu≦30原子%に、Alの含有量は5原子%≦
Al≦20原子%にそれぞれ設定される。
【0046】永久磁石用粉末とバインダ粉末との混合に
当っては、永久磁石用粉末の配合重量をa、バインダ粉
末の配合重量をbとしたとき、それらの配合重量比a/
bは85/15≦a/b≦95/5となるように設定さ
れる。この場合、a/b<85/15では、バインダ相
2 の量が過多となるため磁石特性が低下し、一方、a
/b>95/5ではバインダ相P2 の量が過少となるた
め粒状強磁性相P1 相互間の接合強度が低下する。
【0047】圧粉体の圧縮成形に当っては、混合粉末に
上方から成形圧力を付与すると共に左右方向に磁場を作
用させる横磁場成形法が適用される。磁場は永久磁石用
粉末の磁化容易軸をそろえるために付与されるもので、
その磁場の強さHは15kOe≦H≦25kOeに設定
される。
【0048】液相焼結処理において、焼結温度TS は、
希土類FeN系化合物の分解温度をTD としたとき、バ
インダ粉末の液相発生温度TL との関係において、TL
≦T S <TD に設定される。焼結時間tは1時間≦t≦
10時間、好ましくはt≦3時間である。焼結時間tが
t<1時間では十分な液相焼結を行うことができず、一
方、t>10時間では粒状強磁性相の結晶粒が粗大化し
始め、保磁力の低下が生じるようになる。
【0049】〔実施例1〕 A.永久磁石用粉末の製造 (1) 純度がそれぞれ99.9%であるSmおよび電
解鉄を、Sm2 Fe17化合物が得られるように秤量し、
次いでその秤量物を高周波溶解炉を用いて溶解し、その
後鋳造を行ってインゴットを得た。
【0050】(2) インゴットに、1100℃、2時
間の条件で均質化処理を施した。
【0051】(3) インゴットをスタンプミルにより
粗粉砕し、次いで篩分けを行って、粒径50〜75μm
のSm2 Fe17化合物粉末を得た。この粗粉砕は水素吸
蔵処理により行ってもよい。
【0052】(4) Sm2 Fe17化合物粉末に、真空
中、300℃、3時間の条件で活性化処理を施した。
【0053】(5) Sm2 Fe17化合物粉末に、50
MPaの純度99.9%N2 ガス中、500℃、5時間
の条件で窒化処理を施し、次いで粉末を室温まで冷却し
た。
【0054】このような工程を経て得られた粉末は、X
線回折の結果、Sm2 Fe173 化合物のみから構成さ
れていることが判明した。したがって、この粉末を永久
磁石用粉末とする。
【0055】B.バインダ粉末の製造 (1) 純度がそれぞれ99.9%であるPr、Cuお
よびAlを、表5に示したPr68Cu27Al5 合金(数
値の単位は原子%)が得られるように秤量し、次いでそ
の秤量物を真空溶解炉を用いて溶解し、その後鋳造を行
ってインゴットを得た。
【0056】(2) インゴットから約50gの原料を
採取し、これを石英ノズル内で高周波溶解して溶湯を調
製し、次いで溶湯を石英ノズルのスリットから、その下
方で高速回転するCu製冷却ロール外周面にアルゴンガ
ス圧により噴出させて超急冷し、幅30mm、厚さ100
μmのPr68Cu27Al5 合金よりなる薄帯を得た。
【0057】この場合の製造条件は次の通りである。即
ち、石英ノズルの内径 40mm、スリットの寸法 幅
0.25mm、長さ 30mm、アルゴンガス圧 1.0kg
f/cm2 、溶湯温度 580℃、スリットと冷却ロール
との距離 1.0mm、冷却ロールの周速 13m/sec
、溶湯の冷却速度 約105 K/sec である。
【0058】この薄帯においては、X線回折の結果、2
θ≒32°に幅広のハローパターンが観察され、このこ
とから薄帯の金属組織は非晶質単相構造であることが判
明した。また薄帯は高い靱性を有し、180°密着曲げ
が可能であった。
【0059】さらにPr68Cu27Al5 合金について示
差走査熱量測定(DSC)を行ったところ、図2の結果
を得た。図2の示差熱分析曲線CL から、前記合金の結
晶化温度TX はTX =127℃、溶融温度TM はTM
427.3℃であることが判った。
【0060】(3) 薄帯に、真空中、結晶化温度TX
未満の温度である100℃、5時間の条件で熱処理を施
してナノオーダに微結晶化した薄帯を得た。
【0061】(4) 薄帯を、めのう製乳鉢により粗粉
砕し、次いで粗粉砕物をジェット粉砕機により微粉砕し
て、Pr68Cu27Al5 合金よりなる粒径50μm以下
のバインダ粉末を得た。
【0062】C.焼結磁石の製造 (1) 永久磁石用粉末(配合重量a)とバインダ粉末
(配合重量b)とを、それらの配合重量比a/bがa/
b=90/10となるように秤量した。次いで、その秤
量物および直径9.5mmのクロム鋼製ボールを、ボール
ミルにおける内径120mm、深さ160mm(約2リット
ル)のステンレス製ポットに投入した。この場合、ボー
ルの投入量はポットの容量に対して30〜33体積%に
設定された。また溶媒としての脱気したn−ヘキサン
を、両粉末の酸化を防止すべく、ポットに満たした。そ
の後、微粉砕処理を1時間行って、平均粒径dがd=3
μmの微細混合粉末を得た。
【0063】(2) 微細混合粉末を用い、20kOe
の磁場中、成形圧力3t/cm2 の条件で横磁場成形を行
って、縦8mm、横8mm、厚さ5mmの圧粉体を得た。
【0064】(3) 圧粉体に、真空中、580℃、3
時間の条件で液相焼結処理を施して焼結体を得た。この
処理中において、バインダ粉末は、それを構成するPr
68Cu27Al5 合金の溶融温度TM がTM =427.3
℃であることから液相状態となり、また永久磁石用粉末
を構成するSm2 Fe173 化合物の分解温度TD はT
D =650℃であるからその化合物の分解が回避され
る。
【0065】(4) 焼結体に、保磁力向上のために、
420℃、2時間の条件で熱処理を施した。
【0066】(5) 焼結体に着磁処理を施してSmF
eN系焼結磁石を得た。
【0067】このSmFeN系焼結磁石について、振動
試料型磁力計によりその磁石特性を調べたところ、残留
磁束密度Br=11.0kG、保磁力 Ic =10.5
kOe、最大磁気エネルギ積(BH)max=24MG
Oe、キュリー点Tc =470℃であって、永久磁石と
して優秀であることが判明した。
【0068】比較のため、次のような方法で異方性樹脂
ボンド磁石を製造した。
【0069】(1) 前記A項で述べた、Sm2 Fe12
3 化合物よりなる永久磁石用粉末をボールミルを用い
て微粉砕し、平均粒径3μmの微細永久磁石用粉末を得
た。
【0070】(2) 微細永久磁石用粉末に3重量%の
エポキシ樹脂を混合し、次いでその混合物を用い、成形
圧力8t/cm2 の条件で圧縮成形を行って圧粉体を得
た。
【0071】(3) 圧粉体に着磁処理を施して異方性
樹脂ボンド磁石を得た。
【0072】この樹脂ボンド磁石について前記と同様の
方法でその磁石特性を調べたところ、残留磁束密度Br
=8.3kG、保磁力 Ic =6.0kOe、最大磁気
エネルギ積(BH)max=13MGOe、キュリー点
c =470℃であることが判明した。
【0073】この樹脂ボンド磁石は前記焼結磁石に比べ
て磁石特性が低く、特に、圧縮成形による低密度化に起
因して残留磁束密度Brが低い。
【0074】〔実施例2〕実施例1と同様の方法で、表
5に示したMm72Cu23Al5 合金よりなる粒径50μ
m以下のバインダ粉末を得た。
【0075】ただし、薄帯製造条件において、溶湯温度
は560℃に、また冷却ロールの周速は15m/sec に
それぞれ変更された。このMm72Cu23Al5 合金の結
晶化温度TX はTX =90℃、溶融温度TM はTM =3
85.4℃であった。さらに非晶質薄帯の微結晶化のた
めの熱処理条件は80℃、1時間に変更された。
【0076】次いで、実施例1と同様のSm2 Fe12
3 化合物よりなる永久磁石用粉末と前記バインダ粉末と
を用い、実施例1と同様の方法でSmFeN系焼結磁石
を得た。
【0077】ただし、液相焼結処理条件は560℃、3
時間に変更され、また液相焼結処理後の熱処理条件は3
80℃、2時間に変更された。
【0078】この焼結磁石について、実施例1と同様の
方法でその磁石特性を調べたところ、残留磁束密度Br
=10.6kG、保磁力 Ic =9.0kOe、最大磁
気エネルギ積(BH)max=23MGOe、キュリー
点Tc =470℃であることが判明した。この磁石特性
は実施例1の焼結磁石のそれと略同等である。
【0079】〔実施例3〕実施例1と同様の方法で、表
6に示したSm71Cu25Al4 合金よりなる粒径50μ
m以下のバインダ粉末を得た。
【0080】ただし、薄帯製造条件において、溶湯温度
は700℃に、また冷却ロールの周速は18m/sec に
それぞれ変更された。このSm71Cu25Al4 合金の結
晶化温度TX はTX =148℃、液相発生温度TL はT
L =563.5℃であった。さらに非晶質薄帯の微結晶
化のための熱処理条件は130℃、2時間に変更され
た。
【0081】次いで、実施例1と同様のSm2 Fe12
3 化合物よりなる永久磁石用粉末と前記バインダ粉末と
を用い、実施例1と同様の方法でSmFeN系焼結磁石
を得た。
【0082】ただし、液相焼結処理条件は620℃、3
時間に変更され、また液相焼結処理後の熱処理条件は5
80℃、2時間に変更された。
【0083】この焼結磁石について、実施例1と同様の
方法でその磁石特性を調べたところ、残留磁束密度Br
=11.2kG、保磁力 Ic =10.0kOe、最大
磁気エネルギ積(BH)max=25MGOe、キュリ
ー点Tc =470℃であることが判明した。この磁石特
性は実施例1の焼結磁石のそれと略同等である。
【0084】
【発明の効果】本発明によれば、前記のような液相焼結
組織を備えることによって、優れた磁石特性を有する希
土類FeN系焼結磁石を提供することができる。
【0085】また本発明によれば、前記のように特定さ
れた手段を採用することによって前記希土類FeN系焼
結磁石を量産することが可能な製造方法を提供すること
ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】希土類FeN系焼結磁石の液相焼結組織を示す
概略図である。
【図2】Pr68Cu27Al5 合金の示差熱分析曲線であ
る。
【符号の説明】
1 粒状強磁性相 P2 バインダ相
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年4月11日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0017
【補正方法】変更
【補正内容】
【0017】希土類元素REはSc、Yおよびランタノ
イド、つまり17種の元素から選択される少なくとも一
種であり、それらは単体、または混合物であるMm(ミ
ッシュメタル)若しくはDi(ジジミウム)の形態で用
いられる。また合金元素AEは、Cu、Fe、Co、N
i、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Ag、A
u、Zn、B、Al、Ga、In、C、Si、Ge、S
n、Pb、P、Sb、MnおよびBiから選択される少
なくとも一種である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野崎 勝敏 埼玉県和光市中央1丁目4番1号 株式会 社本田技術研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多数の粒状強磁性相(P1 )と、その粒
    状強磁性相(P1 )の分解温度よりも低い温度で液相を
    生じて相隣る両粒状強磁性相(P1 )間を接合するバイ
    ンダ相(P2 )とよりなる液相焼結組織を有し、前記粒
    状強磁性相(P1 )が希土類FeN系化合物よりなり、
    前記バインダ相(P2 )は希土類元素REの含有量がR
    E≧50原子%であるRE系合金よりなることを特徴と
    する希土類FeN系焼結磁石。
  2. 【請求項2】 希土類FeN系化合物よりなる永久磁石
    用粉末と、希土類元素REの含有量がRE≧50原子%
    であり、且つ前記希土類FeN系化合物の分解温度より
    も低い液相発生温度を持つRE系合金よりなるバインダ
    粉末とを混合して混合粉末を得る工程と、前記混合粉末
    を用いて圧粉体を得る工程と、前記圧粉体に、前記バイ
    ンダ粉末より液相を生じさせる液相焼結処理を施す工程
    とを用いることを特徴とする、希土類FeN系焼結磁石
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記RE系合金の液相発生温度TL がT
    L ≦650℃である、請求項2記載の希土類FeN系焼
    結磁石の製造方法。
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