JP4506981B2 - 希土類焼結磁石の製造方法 - Google Patents
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このとき磁場に対する原料粉の配向性を向上させるため、原料粉に潤滑剤が加えられることがある。
また、上記のように磁場中成形を行うに先立ち、原料合金をジェットミル等で粉砕して原料粉を得る工程で、粉砕性を向上させるために潤滑剤を加えることがある(例えば、特許文献1参照)。
また、粉砕粉に対する化合物Aと化合物Bとの合計添加量が0.01〜0.12wt%であることが好ましい。
粉砕粉に対する化合物Dの添加量は0.01〜0.12wt%であることが好ましい。
なお本発明においては、化合物A,化合物B,化合物Dの平均粒径は800μm以下であることが好ましい。
本発明は、例えば、希土類焼結磁石、特にR−T−B系焼結磁石に適用することができる。
このR−T−B系焼結磁石は、希土類元素(R)を25〜37wt%含有する。ここで、本発明におけるRはYを含む概念を有しており、したがってY、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb及びLuの1種又は2種以上から選択される。Rの量が25wt%未満であると、R−T−B系焼結磁石の主相となるR2T14B相の生成が十分ではなく軟磁性を持つα−Feなどが析出し、保磁力が著しく低下する。一方、Rが37wt%を超えると主相であるR2T14B相の体積比率が低下し、残留磁束密度が低下する。またRが酸素と反応し、含有する酸素量が増え、これに伴い保磁力発生に有効なRリッチ相が減少し、保磁力の低下を招く。したがって、Rの量は25〜37wt%とする。望ましいRの量は28〜35wt%、さらに望ましいRの量は29〜33wt%である。
このR−T−B系焼結磁石は、Coを2.0wt%以下(0を含まず)、望ましくは0.1〜1.0wt%、さらに望ましくは、0.3〜0.7wt%含有することができる。CoはFeと同様の相を形成するが、キュリー温度の向上、粒界相の耐食性向上に効果がある。
さらに、このR−T−B系焼結磁石は、他の元素の含有を許容する。例えば、Zr、Ti、Bi、Sn、Ga、Nb、Ta、Si、V、Ag、Ge等の元素を適宜含有させることができる。一方で、酸素、窒素、炭素等の不純物元素を極力低減することが望ましい。特に磁気特性を害する酸素は、その量を5000ppm以下、さらには3000ppm以下とすることが望ましい。酸素量が多いと非磁性成分である希土類酸化物相が増大して、磁気特性を低下させるからである。
R−Co系焼結磁石は、Rと、Fe、Ni、Mn及びCrから選ばれる1種以上の元素と、Coとを含有する。この場合、望ましくはさらにCu又は、Nb、Zr、Ta、Hf、Ti及びVから選ばれる1種以上の元素を含有し、特に望ましくはCuと、Nb、Zr、Ta、Hf、Ti及びVから選ばれる1種以上の元素とを含有する。これらのうち特に、SmとCoとの金属間化合物、望ましくはSm2Co17金属間化合物を主相とし、粒界にはSmCo5系を主体とする副相が存在する。具体的組成は、製造方法や要求される磁気特性等に応じて適宜選択すればよいが、例えば、R:20〜30wt%、特に22〜28wt%程度、Fe、Ni、Mn及びCrの1種以上:1〜35wt%程度、Nb、Zr、Ta、Hf、Ti及びVの1種以上:0〜6wt%、特に0.5〜4wt%程度、Cu:0〜10wt%、特に1〜10wt%程度、Co:残部の組成が望ましい。
以上、R−T−B系焼結磁石、R−Co系焼結磁石について言及したが、本発明は他の希土類焼結磁石への適用を妨げるものではない。
原料合金は、真空又は不活性ガス、望ましくはアルゴン雰囲気中でストリップキャスト法、その他公知の溶解法により作製することができる。ストリップキャスト法は、原料金属をアルゴンガス雰囲気などの非酸化性雰囲気中で溶解して得た溶湯を回転するロールの表面に噴出させる。ロールで急冷された溶湯は、薄板又は薄片(鱗片)状に急冷凝固される。この急冷凝固された合金は、結晶粒径が1〜50μmの均質な組織を有している。原料合金は、ストリップキャスト法に限らず、高周波誘導溶解等の溶解法によって得ることができる。なお、溶解後の偏析を防止するため、例えば水冷銅板に傾注して凝固させることができる。また、還元拡散法によって得られた合金を原料合金として用いることもできる。
R−T−B系焼結磁石を得る場合、R2T14B結晶粒を主体とする合金(低R合金)と、低R合金よりRを多く含む合金(高R合金)とを用いる所謂混合法を本発明に適用することもできる。
まず、粗粉砕工程では、原料合金を、粒径数百μm程度になるまで粗粉砕し、粗粉砕粉末(原料合金粉)を得る。粗粉砕は、スタンプミル、ジョークラッシャー、ブラウンミル等を用い、不活性ガス雰囲気中にて行うことが望ましい。粗粉砕に先立って、原料合金に水素を吸蔵させた後に放出させることにより粉砕を行うことが効果的である。水素放出処理は、希土類焼結磁石として不純物となる水素を減少させることを目的として行われる。
潤滑剤の粒径は、好ましくは10〜1000μm、後述する成形体の強度を高め、焼結磁石の磁気特性を高くするためにさらに好ましくは10〜800μm、特に好ましくは20〜500μmである。なお潤滑剤を上記粒径とするには、潤滑剤を粉砕し、篩等で分級するのが好ましい。潤滑剤を粉砕するには、潤滑剤を、例えば液体窒素を用いて冷凍し、その状態のまま、粉砕ミル等で粉砕するのが好ましい。
潤滑剤の混合は、例えばナウターミキサー等により5〜60分間ほど行う程度でよい。
磁場中成形における成形圧力は0.3〜3ton/cm2(30〜300MPa)の範囲とすればよい。成形圧力は成形開始から終了まで一定であってもよく、漸増又は漸減してもよく、あるいは不規則変化してもよい。成形圧力が低いほど配向性は良好となるが、成形圧力が低すぎると成形体の強度が不足してハンドリングに問題が生じるので、この点を考慮して上記範囲から成形圧力を選択する。磁場中成形で得られる成形体の最終的な相対密度は、通常、50〜60%である。
また、印加する磁場は、12〜20kOe(960〜1600kA/m)程度とすればよい。また、印加する磁場は静磁場に限定されず、パルス状の磁場とすることもできる。また、静磁場とパルス状磁場を併用することもできる。
先ず、評価対象となる成形体及びこれを焼結した希土類焼結磁石を作製した。原料合金の組成は、Nd24.5wt%、Pr6.0wt%、Dy1.8wt%、Co0.5wt%、Al0.2wt%、Cu0.07wt%、B1.0wt%、残部Feとした。原料となる金属又は合金を前記組成となるように配合し、ストリップキャスト法により原料合金薄板を溶解、鋳造した。
実施例及び比較例の結果を表1に示す。
これに対し、化合物A、化合物Bの双方を添加した場合、Brは13.2kGを上回り、成形体強度も1.05MPaを上回った。すなわち、化合物A、化合物Bを複合添加することで、高い成形体強度と高い磁気特性を兼ね備えることができることが確認された。しかも、得られる成形体強度、磁気特性は、化合物Aを単独添加した場合の成形体強度、化合物Bを単独添加した場合の磁気特性と同等以上であることがわかる。
また、潤滑剤添加量が0.03wt%の試料と、潤滑剤添加量が0.12wt%である試料について保磁力(HcJ)を測定した結果、以下に示すように、両者は同等のHcJを示した。後者の潤滑剤添加量が前者の4倍であることを考慮すると、本発明が推奨する潤滑剤を本発明が推奨する範囲内で添加することはHcJに何ら悪影響を及ぼすものではないことが確認できた。
潤滑剤添加量0.03wt%の試料:HcJ 18.3kOe
潤滑剤添加量0.12wt%の試料:HcJ 18.5kOe
Claims (9)
- 原料合金粉を粉砕して粉砕粉を得る工程と、
ステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド及びカプリル酸アミドからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物である化合物Aと、ステアリン酸、モノステアリン酸グリセリン、ステアリン酸亜鉛、ステアリルアルコール、ラウリン酸及びベヘン酸からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物である化合物Bとを添加した前記粉砕粉に磁場を印加し、かつ加圧成形することにより成形体を得る工程と、
前記成形体を焼結する工程とを備えることを特徴とする希土類焼結磁石の製造方法。 - 前記粉砕粉に対する前記化合物Aと前記化合物Bとの合計添加量が0.01〜0.12wt%であることを特徴とする請求項1に記載の希土類焼結磁石の製造方法。
- 前記化合物Aと前記化合物Bの平均粒径が800μm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の希土類焼結磁石の製造方法。
- 原料合金粉を粉砕して粉砕粉を得る工程と、
ステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド及びカプリル酸アミドからなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物である化合物Aと、ステアリン酸、モノステアリン酸グリセリン、ステアリン酸亜鉛、ステアリルアルコール、ラウリン酸及びベヘン酸からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物である化合物Bとが炭化水素を介して結合した化合物Dを添加した前記粉砕粉に磁場を印加し、かつ加圧成形することにより成形体を得る工程と、
前記成形体を焼結する工程とを備えることを特徴とする希土類焼結磁石の製造方法。 - 前記化合物DがR5−CONH−R6−OCO−R5(R5、R6は炭化水素)で示されることを特徴とする請求項4に記載の希土類焼結磁石の製造方法。
- 前記化合物Dの前記R5はCnH2n+1(nが12以上17以下)で表されることを特徴とする請求項5に記載の希土類焼結磁石の製造方法。
- 前記化合物Dはステアロイドエチルステアレートであることを特徴とする請求項4から6のいずれかに記載の希土類焼結磁石の製造方法。
- 前記粉砕粉に対する前記化合物Dの添加量が0.01〜0.12wt%であることを特徴とする請求項4から7のいずれかに記載の希土類焼結磁石の製造方法。
- 前記化合物Dの平均粒径が800μm以下であることを特徴とする請求項4から8のいずれかに記載の希土類焼結磁石の製造方法。
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