JP3643636B2 - 光起電力装置用基板の製造方法及び光起電力装置の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、光起電力装置に用いられる基板の製造方法及びその基板を用いた光起電力装置の製造方法。
【0002】
【従来の技術】
金属基板の表面上に絶縁膜を形成する方法として、特公平7−105516には、金属基板の表面上に有機シリケ−トを主成分とするコ−ティング剤を塗布し、加熱処理をしてシリカ被膜を形成する方法が開示されている。そして、このシリカ被膜表面上に、背面電極層、非晶質半導体層及び透明電極層を積層して複数の発電領域を形成すると共に、隣接する発電領域の背面電極層と透明電極層とを電気接続することによって複数の発電領域を直列電気接続し、集積化光起電力装置を完成している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、導電性基板の表面上に絶縁膜の母材料であるコーティング剤を塗布し、その後加熱して絶縁膜を形成する工程を含む集積化光起電力装置の製造方法において、より簡略された絶縁膜付き基板の製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の光起電力装置用基板の製造方法は、第1電極膜、半導体光活性層及び第2電極膜の積層体からなる複数の発電領域を電気接続した光起電力装置に用いる絶縁膜付き基板の製造方法であって、前記複数の発電領域の隣接間の導電性基板上に絶縁部材を配置する工程と、前記絶縁部材を含んで前記基板上に絶縁膜の母材料であるコーティング剤を塗布する工程と、前記コ−ティング剤及び前記絶縁部材を含む前記基板を加熱して前記絶縁膜を形成する工程と、からなることを特徴とする。
【0005】
また、本発明の第2の光起電力装置用基板の製造方法は、第1電極膜、半導体光活性層及び第2電極膜の積層体からなる複数の発電領域を電気接続した光起電力装置に用いる絶縁膜付き基板の製造方法であって、導電性基板上に前記絶縁膜の母材料であるコーティング剤を塗布する工程と、前記塗布されたコ−ティング剤上の前記複数の発電領域の隣接間に絶縁部材を配置する工程と、前記コ−ティング剤及び前記絶縁部材を含む前記基板を加熱して前記絶縁膜を形成する工程と、からなることを特徴とする。
【0006】
【作用】
本発明においては、コ−ティング剤及び絶縁部材を同時に加熱処理して硬化を行っているので、製造工程が簡略化される。
【0007】
【実施例】
図1〜5は、本発明の一実施例を説明する工程別の断面図である。
【0008】
1は、ステンレスや、アルミニウム等の導電性基板1で、ステンレスを用いる場合は、厚さ0.15mm、表面粗さ0.5μm以下に研摩されたものが利用される。
【0009】
図1の工程においては、基板1の表面上の所望の位置に、帯状の第1絶縁部材2ab、2bcが配置される。
【0010】
これら第1絶縁部材2ab、2bcは、ポリイミド、または、フェノール系のバインダーを含んだ二酸化シリコン等の無機材料の粉末(粒径1.5〜7μm)を含む絶縁ペーストで、スクリーン印刷法によりパタ−ニングされた後、150〜200℃の低温で約20分間予備焼成される。
【0011】
図2の工程においては、第1絶縁部材2ab、2bcを含む基板1全体を、有機シリケ−トを主成分とするコ−ティング剤の液体中にディップすることにより、基板1の表面及び裏面を含む全体にコーティング剤を塗布する。コーティング剤としては、金属アルコキシド溶液(Si(OC254、H2O、HCl、C25OH)が用いられる。その後、この基板1を500℃、約30分間加熱処理 することによって、第1絶縁部材及びコーティング剤を同時に焼成し、膜厚1.0〜15μmのシリカ膜からなる絶縁膜3を形成する。第1絶縁部材2ab、2bcは、高さ約10〜30μm、幅約0.4〜0.6mmに形成される。
【0012】
図3の工程においては、第1絶縁部材2ab、2bcが形成されている側の絶縁膜3上の略全表面に、約0.1〜1.0μmの第1電極膜4が形成される。この第1電極膜4としては、チタン、ニッケル、アルミニウム等の金属膜が用いられる。そして、この第1電極膜4の露出方向から第1絶縁部材2ab、2bc上にレーザビームや電子ビーム等の第1エネルギービーム5を照射して、照射部分の第1電極膜4及び絶縁膜3を除去し、第1絶縁部材2ab、2bcに到達し第1電極膜4を電気的に分割する分割溝6ab、6bcを形成することにより、第1電極膜4を発電領域7a、7b、7cに対応する第1電極膜4a、4b、4cに分割する。
【0013】
ここで、第1絶縁部材2ab、2bcの断面を示す図3のように、第1絶縁部材2ab、2bc各々の両側部は、絶縁膜3により被われることになるので、第1絶縁部材2ab、2bcと基板1との密着力が向上する。とりわけ、本実施例においては、絶縁膜3がこれとの密着力が大きい基板1上に形成されていることより、第1絶縁部材がより剥離しにくい。仮に、絶縁膜3上に第1絶縁部材2ab、2bcを配置した場合は、金属膜からなる第1電極膜4により、第1絶縁部材2ab、2bcが被われることになるが、第1電極膜4とシリカ膜からなる絶縁膜3との密着力が小さいことより、第1絶縁部材2ab、2bcの密着力はやや劣ることになる。
【0014】
図4の工程においては、分割溝6ab、6bcにこれら各々の両側の第1電極膜4上にまたがって、帯状の第2絶縁部材8ab、8bcを配置する。そして、これら第2絶縁部材8ab、8bcの右側の第1電極膜4b、4c上に、第2絶縁部材8ab、8bcと平行に、帯状の導電部材9b、9cを配置する。更に、導電部材9b、9cの右側の第1電極膜4b、4c上に、導電部材9b、9cと平行に、帯状の第3絶縁部材10b、10cを配置する。これら第2絶縁部材8ab、8bc、及び、第3絶縁部材10b、10cは、上記の第1絶縁部材2ab、2bcと、同材料である。
【0015】
ここで、導電部材9b、9cは、ポリイミド、または、フェノール系のバインダーを含んだ銀、ニッケルまたはアルミニウム等の粉末(粒径約3〜7μm)を含む金属ペーストで、スクリーン印刷法によりパタ−ニングされた後、250〜300℃で焼成され、高さ約10〜30μm、幅約0.4〜0.6mmに形成される。そして、上記の第2絶縁部材8ab、8bc及び第3絶縁部材10b、10cの焼成は、この導電部材9b、9cの焼成と同時に行われる。
【0016】
その後、基板1上の略全表面に、アモルファスシリコン、アモルファスシリコンカーバイド、アモルファスシリコンゲルマニウム等をpnまたはpinに積層した半導体光活性層11(厚さ約0.3〜1μm)、及び、酸化亜鉛(ZnO)、酸化インジウム錫(ITO)、酸化錫(SnO2)等の透明導電膜からなる第 2電極膜12(厚さ約0.1〜1.0μm)を積層形成する。
【0017】
図5の工程においては、第3絶縁部材10b、10c上に第2電極膜12の露出方向から第2エネルギービーム13を照射して、第2電極膜12を第2電極膜12a、12b、12cに分割する。
【0018】
そして、導電部材9b、9c上に第2電極膜12の露出方向から第3エネルギービーム14を照射して、第2電極膜12a、12bと導電部材9b、9cとを各々溶融することにより、第2電極膜12a、12bと第1電極膜4b、4cとが電気接続され、発電領域7a〜7cが直列に接続される。
【0019】
ここで、本実施例においては、シリカ膜の母材料であるコーティング剤を塗布する工程において、ディップ方式を採用しているので、基板の表面、側面及び裏面をも含む基板全体にシリカ膜が形成される。従って、この全体を被うシリカ膜により、基板が腐食されることなく、光起電力装置の耐候性を向上させることができる。
【0020】
また、本実施例では、ディップ方式により、基板の表面及び裏面を含む基板の全体にシリカ膜を形成しているが、これに代わって、基板の表面上のみに、印刷法又はスピンコート法等により、コーティング剤を塗布して、シリカ膜を形成してもよい。
【0021】
更には、絶縁膜3の他の材料として、シリカ膜に代わって、ポリイミド膜を利用することもできる。この場合、コーティング剤として、ポリイミド膜の母材料であるワニスを用い、このワニスを、基板1の表面上に、スピンコ−タ又はロールコ−タ等で均一に塗布し、100〜300℃まで段階的に昇温加熱することによりイミド化させ、ポリイミド膜を形成する。そして、このポリイミド膜形成の加熱時と同時に、第1絶縁部材2ab、2bcも加熱し形成できる。
【0022】
加えて、本実施例では、第1絶縁部材をコーティング剤の塗布に先立ち基板上に形成しているが、これに代わって、コーティング剤を先に塗布し予備乾燥(約100℃)した後、第1絶縁部材を配置し、加熱処理を行ってもよい。
【0023】
【発明の効果】
本発明においては、以上の構成であり、コ−ティング剤及び第1絶縁部材を同時に加熱処理して硬化を行っているので、製造工程が簡略化される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における第1工程を示す断面図である。
【図2】本発明の一実施例における第2工程を示す断面図である。
【図3】本発明の一実施例における第3工程を示す断面図である。
【図4】本発明の一実施例における第4工程を示す断面図である。
【図5】本発明の一実施例における第5工程を示す断面図である。
【符号の説明】
1 導電性基板
2ab、2bc 第1絶縁部材
3 絶縁膜
4、4a、4b、4c 第1電極膜
5 第1エネルギービーム
6ab、6bc 分割溝
7a、7b、7c 発電領域
8ab、8bc 第2絶縁部材
9b、9c 導電部材
10b、10c 第3絶縁部材
11 半導体光活性層
12、12a、12b、12c 第2電極膜
13 第2エネルギービーム
14 第3エネルギービーム

Claims (5)

  1. 第1電極膜、半導体光活性層及び第2電極膜の積層体からなる複数の発電領域を電気接続した光起電力装置に用いる基板の製造方法であって、
    前記複数の発電領域の隣接間の導電性基板上に絶縁部材を配置する工程と、
    前記絶縁部材を含んで前記基板上に絶縁膜の母材料であるコーティング剤を塗布する工程と、
    前記コーティング剤及び前記絶縁部材を含む前記基板を加熱して前記絶縁膜を形成する工程と、
    前記絶縁膜上の略全表面に前記第1電極膜を形成する工程と、
    前記第1電極膜の露出方向から前記絶縁部材上にエネルギービームを照射して、照射部分の前記第1電極膜を除去し、前記絶縁部材に到達して、前記第1電極膜を電気的に分割する分離溝を形成する工程と、からなることを特徴とする光起電力装置用基板の製造方法。
  2. 第1電極膜、半導体光活性層及び第2電極膜の積層体からなる複数の発電領域を電気接続した光起電力装置に用いる基板の製造方法であって、
    導電性基板上に前記絶縁膜の母材料であるコーティング剤を塗布する工程と、
    前記塗布されたコーティング剤上の前記複数の発電領域の隣接間に絶縁部材を配置する工程と、
    前記コーティング剤及び前記絶縁部材を含む前記基板を加熱して前記絶縁膜を形成する工程と、
    前記絶縁膜上の略全表面に前記第1電極膜を形成する工程と、
    前記第1電極膜の露出方向から前記絶縁部材上にエネルギービームを照射して、照射部分の前記第1電極膜を除去し、前記絶縁部材に到達して、前記第1電極膜を電気的に分割する分離溝を形成する工程と、からなることを特徴とする光起電力装置用基板の製造方法。
  3. 請求項1又は2の製造方法において、前記コーティング剤を塗布する工程は、前記コーティング剤からなる液体中に前記基板をディップすることにより、前記基板の全体にコーティング剤を塗布する工程であることを特徴とする光起電力装置用基板の製造方法。
  4. 請求項1又は2の製造方法において、前記コーティング剤が、有機シリケートを主成分とするもの又はポリイミドの母材料であるワニスであることを特徴とする光起電力装置用基板の製造方法。
  5. 請求項1又は2の光起電力装置用基板の前記第1電極膜上に半導体光活性層と第2電極膜を分割積層形成し、前記第1電極膜、前記半導体光活性層及び前記第2電極膜の積層体からなる複数の発電領域を形成すると共に、隣接する前記第1電極膜及び前記第2電極膜を電気的に接続することによって、複数の前記発電領域を電気接続する工程と、を有することを特徴とする光起電力装置の製造方法。
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