JP3643133B2 - 自動二輪車 - Google Patents

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  • Hybrid Electric Vehicles (AREA)
  • Arrangement Or Mounting Of Propulsion Units For Vehicles (AREA)

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、エンジン動力,モータ動力の少なくともいずれか一方を利用して走行を行う自動二輪車に関し、詳細には全体をコンパクト化でき、コストを低減できるようにした構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動二輪車は、一般に、始動モータによりエンジンクランク軸を回転させてエンジンを始動させ、該エンジンの動力で後輪を回転させ走行を行うようになっている。その一方、このような自動二輪車において、走行用モータを備え、該モータの駆動力により後輪を回転させて走行を行うようにしたものも提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の自動二輪車では、始動モータと走行用モータという二種類のモータを備える必要があるため、エンジン部分の大型化により自動二輪車全体が大型化し、コストも増加するという問題がある。
【0004】
本発明は上記実情に鑑みてなされたもので、エンジン動力,モータ動力の少なくともいずれか一方を利用して走行を行う自動二輪車において、全体をコンパクト化でき、コストを低減できる自動二輪車を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、駆動輪と、クランク軸を有するエンジンと、上記クランク軸と平行に配設され上記駆動輪に動力を伝達する出力軸と、モータとを備え、上記エンジンの動力又は上記モータの動力の少なくともいずれか一方を上記駆動輪に伝達することにより走行を行なうようにした自動二輪車であって、上記モータの動力を上記クランク軸側に、又は上記駆動輪側に切り換え供給するための走行切り換え機構を設け、上記走行切り換え機構は、上記モータの動力をクランク軸に伝達するエンジン側動力伝達部材と、上記モータの動力を上記駆動輪に伝達する駆動輪側動力伝達部材と、該各動力伝達部材を軸方向に移動させることにより動力の切り換えを行う切り換え部材とを備え、上記エンジン側動力伝達部材と駆動輪側動力伝達部材とは、相対回転可能かつ軸方向相対移動不能にさらに径方向に重なるように組み立てられており、該両動力伝達部材の組立体は上記出力軸を囲みかつ同軸をなすように、さらに軸方向に移動可能に配置されていることを特徴としている。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1において、上記走行切り換え機構は、モータからの駆動力が伝達されるギヤを出力軸上に回転自在に配設し、第1スライドギヤ及び第2スライドギヤを上記出力軸上に同軸をなすようかつ軸方向に移動可能に配設し、上記第1スライドギヤを上記ギヤに係合するよう軸方向に摺動させたとき上記モータのからの駆動力が上記ギヤから第1スライドギヤを介して上記出力軸に支持された出力用スプロケットに伝達され、上記第2スライドギヤを上記ギヤに噛合するよう軸方向に摺動させたとき上記モータからの駆動力が上記ギヤから第2スライドギヤを介してクランク軸に伝達されるよう構成されていることを特徴としている。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1又は2において、上記各動力伝達部材の切り換え部材を駆動する駆動機構が共通の部材から構成されていることを特徴としている。
【0008】
【作用】
請求項1の発明に係る自動二輪車によれば、モータ動力をエンジンクランク軸にまたは直接駆動輪に切り換え供給するための走行切り換え機構を設けたので、該切り換え機構を切り換えることにより、モータ動力をエンジン始動用の動力として、または直接駆動輪を駆動させる走行用の動力として用いることが可能になる。この結果、始動用モータ及び走行用モータという二種類のモータを設ける必要がなくなり、これにより全体をコンパクト化でき、コストを低減できる。
【0009】
また、走行切り換え機構を構成するエンジン側動力伝達部材及び駆動輪側動力伝達部材が同軸をなすように配置されるので、該走行切り換え機構を別個設けたことによるエンジン容積の増大を極力抑えることができる。しかも、動力の切り換えの際には、切り換え部材を操作して各動力伝達部材を軸方向に移動させるだけでいいので、簡単な操作により動力の切り換えを行える。
【0010】
請求項3の発明では、各動力伝達部材の切り換え部材を駆動する駆動機構が共通の部材から構成されているので、全体をさらにコンパクトに構成できる。しかも同じ駆動機構の操作によって両方の切り換えが可能になるので、誤動作することがなく、各動力の切り換えを確実に行うことができる。
【0011】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図に基づいて説明する。
図1ないし図5は、本発明の一実施例による自動二輪車を説明するための図であり、図1は自動二輪車の左側面図、図2は該エンジンの概略構造図、図3は図1のIII-III 線断面図、図4は図1のIV−IV線断面図、図5は図1のV−V線断面図である。
【0012】
図において、1は本実施例装置を備えた自動二輪車であり、該自動二輪車1の車体フレームは、前フォーク2を左右に操向自在に軸支するヘッドパイプ3と、これから後方斜め下方に延びかつ燃料タンク15を支持するタンクレール4と、上記ヘッドパイプ3から下方に延びるダウンチューブ5と、上記タンクレール4及びダウンチューブ5の後端部を連結するリアアームブラケット6とから主として構成されている。なお、7,8はそれぞれシート16支持用のシートレール,バックステーである。
【0013】
上記リアアームブラケット6には、後輪7を軸支するリアアーム8が上下方向揺動自在に枢支されている。またダウンチューブ6の下方には後輪懸架装置10が配設されている。この後輪懸架装置10はショックアブソーバ式のものであり、そのピストン先端部は上記ダウンチューブ5下部に支持ブラケット11を介して進退可能に軸支されている。またそのシリンダ部はリンクプレート12を介して上記リアアーム8の支持ブラケット13で進退可能に軸支されている。なお、上記タンクレール7の下方にはバッテリ18,コントローラ19が配設されている。
【0014】
エンジン20は上記タンクレール4,ダウンチューブ5及びリアアームブラケット6によって懸架支持されている。また該エンジン20は空冷式4サイクルエンジンであり、クランクケース21の前部にシリンダブロック22,シリンダヘッド23を前傾状態に積層締結した構造となっている。
【0015】
上記シリンダブロック22内に形成されたシリンダボア22a内には、ピストン25が摺動自在に挿入されており、該ピストン25はコンロッド26を介してクランク軸27に連結されている。該クランク軸27の一端にはACジェネレータ24が、またその側方には始動ギヤ31が装着されている。またシリンダヘッド23にはカム軸28が配設されており、上記クランク軸27及びカム軸28間にはカムチェーン29が掛け渡されている。なお、上記シリンダヘッド23に形成された燃焼室を構成する燃焼凹部30には、点火プラグ9が螺挿されている。
【0016】
上記クランク軸27の後方には中間軸60が平行に配設されている。該中間軸60にはギヤ61,62が装着されており、該ギヤ61は上記始動ギヤ31と噛み合い、またギヤ62は後述する切り換え機構内のギヤと噛み合っている。また上記クランク軸27及び中間軸60に平行に出力軸32が配設されている。該出力軸32には、クラッチ34,トランスミッション35を介して上記クランク軸27の回転力が伝達されるようになっている。また出力軸32には、チェーン37を介して駆動輪である後輪7に動力を伝達するための出力用スプロケット36が回転自在に装着されている。さらに該出力軸32の一端には、後述するスタータモータの動力を上記中間軸60を介して上記クランク軸27に、または直接出力軸32に切り換え伝達するための切り換え機構40が設けられている。
【0017】
切り換え機構40は、上記出力軸32上にスプライン係合するとともに軸方向移動不能に固定されたピニオン41を有している。該ピニオン41の軸部41aの外周にはギヤ42が回転自在に装着されている。該ギヤ42には軸方向の係合孔42aが複数個形成されており、また該ギヤ42は外周歯42b及び内周歯42cを有している。一方、上記ピニオン41のボス部41bの外周には第1スライドギヤ43が軸方向摺動自在に設けられている。該第1スライドギヤ43の一端には、上記ギヤ42の係合孔42aにドグ係合し得るドグ43aが形成されている。また該第1スライドギヤ43には内周歯43b,43cが形成されている。内周歯43bは該第1スライドギヤの図右方へのスライド時に上記ピニオン41の歯部41cと噛合し得るようになっており、また内周歯43cは上記出力用スプロケット36に常時スプライン係合している。上記第1スライドギヤ43の外周には、同軸に第2スライドギヤ44が回転自在かつ第1スライドギヤ43と共に軸方向移動可能に設けられている。該第2スライドギヤ44は外周歯44a,44bを有しており、外周歯44aは上記第1ギヤの図右方へのスライド時に上記ギヤ42の内周歯42cに噛合するようになっており、また外周歯44bは上記中間軸60のギヤ62に常時噛合している。
【0018】
また上記第2スライドギヤ44に形成された係合凹部44cにはブラケット50の一端が係合しており、該ブラケット50はドラム52上に軸方向スライド自在に取り付けられている。また上記ドラム52には、エンジンの外部に配設された切り換えレバー58(図1)の一端が連結されている。
【0019】
一方、クランクケース21の背面側(後側)にはモータ70(図4,図5)が配置されている。該モータ70の出力軸端にはピニオン71が装着されており、該ピニオン71はアイドルギヤ72と噛合し、該アイドルギヤ72は上記ギヤ42の外周歯42bと常時噛合している。
【0020】
この構成により、上記切り換えレバー58を操作することによって、ドラム52,ブラケット50を介して第1,第2スライドギヤ43,44が軸方向にスライドし、この結果、上記切り換え機構40が、モータ70の動力を第2スライドギヤ44,中間軸ギヤ61,クランク軸ギヤ31を介してクランク軸27に供給するエンジン駆動位置(図3一点鎖線,図5)と、該モータ70の動力を第1スライドギヤ43を介して直接出力軸32に供給してモータ動力により後輪7を駆動するモータ駆動位置(図3実線,図4)とをとり得るようになっている。
【0021】
これにより、モータ動力をエンジン始動用の動力としてまたは走行用の動力として用いることができ、これにより全体をコンパクト化でき、コストを低減できる。また上記第1,第2スライドギヤ43,44を同軸に配置したことにより、切り換え機構40を別個設けたことによるエンジン容積の増大を極力抑えることができる。しかも動力の切り換えの際には、ブラケット50を軸方向に移動させるだけでいいので、簡単な操作により動力の切り換えを行えるようになる。
【0022】
次に本実施例の動作について説明する。
まずモータ70によりエンジンを駆動する場合には、切り換えレバー58をエンジン駆動位置におく。該レバー58の操作により、ブラケット50を介して第2スライドギヤ44が図右方にスライドし(図3一点鎖線参照)、これにより該第2スライドギヤ44の外周歯44aがギヤ42の内周歯42cと噛合する(図5参照)。なお、第2スライドギヤ44の外周歯44bは中間軸60のギヤ62と噛合した状態のままである。また第2スライドギヤ44の移動により第1スライドギヤ43も移動し、これによりドグ43aがギヤ42の係合孔42aから外れるとともに、内周歯43bがピニオン41の歯部41cと噛合する。なお、内周歯43cは出力用スプロケット36とスプライン係合した状態のままである。
【0023】
この状態からモータ70を始動すると、モータ70の回転力は、ピニオン71,アイドルギヤ72を介してギヤ42に伝達される。ギヤ42の回転は内周歯42cから第2スライドギヤ44に伝達され、外周歯44bからギヤ62を介して中間軸60に伝達される。そして、中間軸ギヤ62,61及び始動ギヤ31を介してクランク軸27に伝達されることになる。エンジン始動後、エンジン動力は、クラッチ34,トランスミッション35から出力軸32,ピニオン41,第1スライドギヤ43,スプロケット36,チェーン37を介して後輪7に伝達される。
【0024】
次に、モータ70により後輪7を直接駆動する場合には、切り換えレバー58をモータ駆動位置におく。該レバー58の操作により、ブラケット50を介して第2スライドギヤ44及び第1スライドギヤ43が図左方にスライドする(図3実線参照)。これにより該第2スライドギヤ44のドグ43aがギヤ42の係合孔42aに係合する。また第2スライドギヤ44の外周歯44aがギヤ42の内周歯42cから外れるとともに、第1スライドギヤ43の内周歯43bがピニオン41の歯部41cから外れる。
【0025】
この状態からモータ70を始動すると、モータ70の回転力は、ピニオン71,アイドルギヤ72を介してギヤ42に伝達され、ドグ43aから第1スライドギヤ43に伝達される。そして内周歯43cからスプロケット36,チェーン37を介して後輪7に伝達されることになる。このようにしてモータ70により後輪7を直接駆動することができる。
【0026】
このように、同じ切り換えレバー58の操作により、モータ動力の切り換えを行うことができるので、モータ駆動状態にありながらエンジン駆動する等の誤動作を起こすことがなく、各動力の切り換えを確実に行うことができる。またこのようなモータ動力の切り換えにより、通常はエンジン駆動による走行を行う一方、例えば排ガス,騒音規制の厳しい所や夜間等においてはモータ駆動による走行を行えるようになる。
【0027】
【発明の効果】
以上のように請求項1の発明に係る自動二輪車のエンジン始動装置によれば、モータ動力をエンジンクランク軸にまたは直接駆動輪に切り換え供給するための走行切り換え機構を設けるようにしたので、モータ動力をエンジン始動用の動力としてまたは走行用の動力として用いることができ、これにより全体をコンパクト化でき、コストを低減できる効果がある。
【0028】
また、走行切り換え機構を構成するエンジン側動力伝達部材及び駆動輪側動力伝達部材を同軸をなすように配置したので、該走行切り換え機構を別個設けたことによるエンジン容積の増大を極力抑えることができ、しかも簡単な操作により動力の切り換えを行える効果がある。
【0029】
さらに請求項3の発明によれば、全体をさらにコンパクトに構成でき、しかも同じ駆動機構の操作によって両方の切り換えが可能になるので、誤動作することがなく各動力の切り換えを確実に行うことができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例によるエンジン始動装置を備えた自動二輪車の左側面図である。
【図2】上記自動二輪車のエンジンの概略構成図である。
【図3】図1のIII-III 線断面図である。
【図4】図1のIV−IV線断面である。
【図5】図1のV−V線断面図である。
【符号の説明】
1 自動二輪車
7 後輪(駆動輪)
27 クランク軸
40 (走行)切り換え機構
43 第1スライドギヤ(駆動輪側動力伝達部材)
44 第2スライドギヤ(エンジン側動力伝達部材)
50 ブラケット(切り換え部材)
58 切り換えレバー(駆動機構)

Claims (3)

  1. 駆動輪と、クランク軸を有するエンジンと、上記クランク軸と平行に配設され上記駆動輪に動力を伝達する出力軸と、モータとを備え、上記エンジンの動力又は上記モータの動力の少なくともいずれか一方を上記駆動輪に伝達することにより走行を行なうようにした自動二輪車であって、上記モータの動力を上記クランク軸側に、又は上記駆動輪側に切り換え供給するための走行切り換え機構を設け、上記走行切り換え機構は、上記モータの動力をクランク軸に伝達するエンジン側動力伝達部材と、上記モータの動力を上記駆動輪に伝達する駆動輪側動力伝達部材と、該各動力伝達部材を軸方向に移動させることにより動力の切り換えを行う切り換え部材とを備え、上記エンジン側動力伝達部材と駆動輪側動力伝達部材とは、相対回転可能かつ軸方向相対移動不能にさらに径方向に重なるように組み立てられており、該両動力伝達部材の組立体は上記出力軸を囲みかつ同軸をなすように、さらに軸方向に移動可能に配置されていることを特徴とする自動二輪車。
  2. 請求項1において、上記走行切り換え機構は、モータからの駆動力が伝達されるギヤを出力軸上に回転自在に配設し、第1スライドギヤ及び第2スライドギヤを上記出力軸上に同軸をなすようかつ軸方向に移動可能に配設し、上記第1スライドギヤを上記ギヤに係合するよう軸方向に摺動させたとき上記モータのからの駆動力が上記ギヤから第1スライドギヤを介して上記出力軸に支持された出力用スプロケットに伝達され、上記第2スライドギヤを上記ギヤに噛合するよう軸方向に摺動させたとき上記モータからの駆動力が上記ギヤから第2スライドギヤを介してクランク軸に伝達されるよう構成されていることを特徴とする自動二輪車。
  3. 請求項1又は2において、上記各動力伝達部材の切り換え部材を駆動する駆動機構が共通の部材から構成されていることを特徴とする自動二輪車。
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