JP3642539B2 - 加熱履歴表示用インキ組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、所定温度で変色し始め、加熱履歴を表示することができるインキ組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
缶入りコーヒー、缶入りの茶類(ウーロン茶、紅茶、緑茶など)、缶入りのスープ類など(以下缶入り飲料という)は、冬季には、自動販売機のホットベンダーで暖められ、販売されている。これらの缶入り飲料は、ホットベンダー内では、一定の期間経過後(種類により異なるが、短い場合には、2〜4週間程度後)に品質の低下が始まり、やがては腐敗して、消費者からのクレームの対象となることがある。
【0003】
現在ホットベンダーで保温中の缶入り飲料の販売期限管理は、加熱履歴と相関する缶内部のグルコースの増加量を測定することにより、行われている。しかしながら、缶内部のグルコース量の分析は、公的機関に依頼して行われているため、時間と費用がかかり、結果として品質の低下に起因するクレームが発生するという事態を招きがちである。さらに、PL法の施行に伴って、缶入り飲料の品質管理は、今後一層厳重に行う必要がある。
【0004】
ホットベンダー中の缶入り飲料水の品質管理方法として、ホットベンダーにおける加熱開始により外観上何らかの変化を生じ(以下スタート機能という)、一定期間(例えば、2ヶ月程度)の加熱後にさらに別の外観上の変化を生じて賞味期限の完了を示す(以下検知機能という)という新規な手段の開発が求められている。
【0005】
特開昭60−124681号公報は、「液体に酸化還元指示薬と空気酸化される物質とを共存せしめて成るタイムインジケーター」を開示している。このタイムインジケーターは、上記の検知機能に類似する機能を備えているが、スタート機能は備えていないし、また、液状組成物であるので、ホットベンダー中の缶入り飲料水の品質管理には使用できない。
【0006】
特公昭57−27918号公報は、「乾熱下或いは湿熱下に溶融しうる高分子物質の外殻中に水溶性或いは水変色性の着色剤を内包せしめたマイクロカプセルを着色剤の少なくとも一成分として含有することを特徴とする水浴での加熱処理あるいは湿熱処理の履歴を表示するためのインク組成物」を開示している。このインク組成物は、単に一時点での熱処理の有無を表示することができるのみで、スタート機能および検知機能を備えていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、缶入り飲料水の品質管理などのために、スタート機能と検知機能とを備えた新たな技術手段を提供することを主な目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、缶入り飲料の製造および流通段階では、変化せず、所定温度のホットベンダー内に配置された時点でスタート機能を発揮し、且つ所定時間経過後に検知機能を発揮する材料を得るべく種々研究を進めた結果、電子供与性化合物と電子供与性化合物とを含む特定のインキ組成物を缶表面に印刷しておく場合には、その目的を達成しうることを見出し、本発明を完成するにいたった。
【0009】
すなわち、本発明は、下記の加熱履歴表示用インキ組成物を提供するものである。
【0010】
1.電子供与性化合物、電子受容性化合物、油溶性樹脂および溶剤を含むことを特徴とする、所定温度で変色を開始し、加熱履歴を表示するインキ組成物。
【0011】
2.電子供与性化合物、電子受容性化合物、油溶性樹脂および溶剤が、それぞれ下記の群から選択される少なくとも1種である請求項1に記載のインキ組成物:
a.電子供与性化合物…トリフェニルメタンフタリド類、フルオラン類、スピロピラン類、ロイコオーラミン類およびローダミンラクタム類
b.電子受容性化合物…モノフェノール類、ジフェノール類およびトリフェノール類
c.油溶性樹脂…炭化水素系樹脂、芳香族炭化水素系樹脂、アクリル酸系樹脂、フェノール樹脂およびケトン樹脂
d.…脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、アルコールエステル類、ケトンアルコール類、エーテルルコール類、ケトンエーテル類、ケトンエステル類およびエステルエーテル類
3.電子供与性化合物、電子受容性化合物、油溶性樹脂および溶剤が、それぞれ下記の群から選択される少なくとも1種である上記項2に記載のインキ組成物:
a.電子供与性化合物…トリフェニルメタンフタリド類およびフルオラン類
b.電子受容性化合物…ジフェノール類
c.油溶性樹脂…フェノール樹脂
d.…芳香族炭化水素類およびアルコール類
4.合計重量を基準として、電子供与性化合物0.1〜10.0%、電子受容性化合物0.2〜80.0%、油溶性樹脂0.5〜60.0%および溶剤20.0〜99.2%である上記項1〜3のいずれかに記載のインキ組成物。
【0012】
【発明の実施の態様】
本発明組成物において使用する電子供与性化合物(着色剤)は、非揮発性であることを必要とする。この様な電子供与性化合物としては、特に限定されるものではないが、下記のものが例示される。
【0013】
*トリフェニルメタンフタリド類…3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−フタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−クロロフタリド、3−(2'−ヒドロキシ−4'−ジメチルアミノフェニル)−3−(2'−メトキシ−5'−クロロフェニル)フタリド、3−(2'−ヒドロキシ−4'−ジメチルアミノフェニル)−3−(2'−メトキシ−5'−ニトロフェニル)フタリド、3−(2'−ヒドロキシ−4'−ジエチルアミノフェニル)−3−(2'−メトキシ−5'−メチルフェニル)フタリド、3−(2'−メトキシ−4'−ジメチルアミノフェニル)−3−(2'−ヒドロキシ−4'−クロロ−5'−メチルフェニル)フタリドなど。
【0014】
*フルオラン類…3−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン、3−ジメチルアミノ−5,7−ジメチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−クロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロフルオラン、3−(N−P−トリル−N−エチルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロリジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7、8−ベンズオラン、2−{N−(3'−トリフルオロメチルフェニル)アミノ}−ジエチルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−N−メチル−N−アミルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−めちる−N−シクロヘキシルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N,N−ジエチルアミノ)−5−メチル−7−(N,N−ジベンジルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−5−クロロ−7−(N−トリフルオロメチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−5−クロロ−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−(N−エチル−p−トルイジノ)−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o−メトキシカルボニルフェニルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−5−メチル−7−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ピペリジノフルオラン、2−クロロ−3−(N−メチルトルイジノ)−7−(p−n−ブチルアニリノ)フルオラン、3−(N−メチル−N−イソプロピルアミノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ブチルアミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−(2−エトキシプロピル)アミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−(N−ベンジル−N−シクロヘキシルアミノ)−5,6−ベンゾ−7−α−ナフチルアミノ−4'−ブロモフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−メチシジノ−4',5'−ベンゾフルオラン、3−N−メチル−N−イソブチル−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−N−イソアミル−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2',5'−ジメチルアニリノ)フルオランなど。
【0015】
*スピロピラン類…6'−クロロ−8'−メトキシ−ベンゾインドリノ−スピロピラン、6'−ブロモ−3'−メトキシ−ベンゾインドリノ−スピロピランなど。
【0016】
*ローダミン類…2−{3,6−ビス(ジエチルアミノ)−9−(o−クロロアニリノ)キサンチル安息香酸ラクタムなど。
【0017】
*ロイコオーラミン類…ベンゾイルロイコメチレンブルーなど。
【0018】
上記の電子供与性化合物(着色剤)の中では、トリフェニルメタンフタリド類およびフルオラン類がより好ましい。
【0019】
本発明組成物において使用する電子受容性化合物(顕色剤)は、電子供与性化合物と併用下に組成物にスタート機能と検知機能を付与する。この様な電子受容性化合物としては、特に限定されるものではないが、下記のものが例示される。
【0020】
1.モノフェノール類
*モノヒドロキシフェニル系…4−ヒドロキシベンゾフェノン、p−ヒドロキシフェニル、4−ヒドロキシジフェニルアミン、p−クミルフェノール、p−フェノールスルホンアミド、4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸メチル、4−ヒドロキシフェニルメチルケトンなど。
【0021】
*…フェニルカルボン酸系…2−ヒドロキシフタル酸ジメチルエステル、2−ヒドロキシフタル酸ジフェニルエステル、4−ヒドロキシサリチルアニリド、5−ベンジルサリチルアニリドなど。
【0022】
*…モノヒドロキシナフタレン系…α−ナフトール、β−ナフトール、2−メチル−1−ナフトール、1−オキシ−2−ナフトエ酸、2−オキシ−3−ナフトエ酸、2−アセアンフトン、8−アミノ−2−ナフトール、ヒドロキシナフタレンスルホン酸など。
【0023】
2.ジフェノール類
*…ビスフェノール系
【0024】
【化1】
Figure 0003642539
【0025】
式中、Rは、HまたはC1〜C10のアルキルを示す。
【0026】
【化2】
Figure 0003642539
【0027】
式中、Rは、H、C1〜C10のアルキレン、C1〜C10のシクロアルキルまたはアラルキルを示す。
【0028】
【化3】
Figure 0003642539
【0029】
式中、nは、1〜10の整数を示す。
【0030】
【化4】
Figure 0003642539
【0031】
式中、Rは、C1〜C10のアルキレンを示す。
【0032】
【化5】
Figure 0003642539
【0033】
【化6】
Figure 0003642539
【0034】
【化7】
Figure 0003642539
【0035】
式中、Rは、C1〜C10のアルキレンを示す。
【0036】
*ヒドロキシナフタレン系…1,3−ジオキシナフタレン、1,4−ジオキシナフタレン、1,4−ジオキシナフタレンモノベンジルエーテル、1,4−ジオキシナフタレンプロピルエーテルなど。
【0037】
3.トリフェノール類
【0038】
【化8】
Figure 0003642539
【0039】
式中、Rは、C1〜C10のアルキルを示す。
【0040】
上記の電子受容性化合物(顕色剤)の中では、ビスフェノール系化合物がより好ましい。
【0041】
本発明組成物において使用する樹脂は、インキ組成物に対し、被印刷物への密着性を付与するとともに、適度の粘性を与える。また、樹脂は、組成物のスタート機能と検知機能とを阻害しないために、酸性を呈する必要がある。この様な樹脂としては、特に制限されるものではないが、下記のものが例示される。
【0042】
*炭化水素系樹脂…石油樹脂、テルペン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリイソブチレン、クマロンインデン樹脂、ポリスチロールなど。
【0043】
*芳香族炭化水素樹脂…キシレン樹脂、トルエン樹脂、アルキルベンゼン樹脂など。
【0044】
*アクリル酸系樹脂…ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリルニトリル、ポリアクリル酸、ポリアクリルアマイドなど。
【0045】
*アミノ樹脂…尿素樹脂、メラミン樹脂、アミド樹脂など。
【0046】
*その他…フェノール樹脂、ケトン樹脂など。
【0047】
これらの樹脂の中では、フェノール樹脂がより好ましい。
【0048】
本発明組成物において使用する溶剤は、電子供与性化合物、電子受容性化合物および樹脂を溶解し、被印刷面に組成物を印刷した後短時間内に揮散する適度の揮発性を有していることを必要とする。また、電子供与性化合物と電子受容性化合物との発色反応において、減感性を発揮する必要がある。この様な溶剤としては特に限定されるものではないが、下記のものが例示される。
【0049】
*脂肪族炭化水素類…ガソリン、ベンジン、ミネラルスピリット、ナフタ、石油ナフタなど。
【0050】
*芳香族炭化水素類…ベンゼン、トルエン、キシレン、デカリン、テトラリン、p−シメンなど。
【0051】
*ハロゲン化炭化水素類類…トリクロロエチレン、パークロロエチレン、クロロホルム、四塩化炭素、モノブロモベンゼン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼンなど。
【0052】
*アルコール類…アミルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、2−エチルブチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、シクロヘキシルアルコール、メチルアルコール、メチルアミルアルコール、ベンジルアルコール、ブチルアルコールなど。
【0053】
*ケトン類…アセトン、アセトニルアセトン、ジアセトアルコール、ジイソブチルケトン、ジエチルケトン、ジプロピルケトン、メチルアミルケトン、メチルブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、メチルジプロピルケトン、メチルエチルケトン、メチルn−ヘキシルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルプロピルケトン、メジシルオキシドなど。
【0054】
*エステル類…酢酸エステル、酪酸エステル、プロピオン酸エステル、ギ酸エステルなど。
【0055】
*エーテル類…イソプロピルエーテル、エチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ブチルエーテルなど。
【0056】
*アルコールエステル類…乳酸ブチル、乳酸イソプロピル、乳酸エチル、オキシプロピオン酸エチル、マレイン酸ジエチルなど。
【0057】
*ケトンアルコール類…アセトニルアルコール、ジアセトンアルコール、ジヒドロキシアセトン、ピルビルアルコールなど。
【0058】
*エーテルアルコール類…エチレングリコールイソプロピルエーテル、グリシドール、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、グリコールエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルなど。
【0059】
*ケトンエーテル類…アセタールエチルエーテル、アセトニルメタノールエチルエーテル、メチルエトキシエチルエーテルなど。
【0060】
*ケトンエステル類…アセト酢酸エチル、ピルビン酸エチルなど。
【0061】
*エステルエーテル…酢酸ブチルブチルカービトール、酢酸ブチルセロソルブ、酢酸カービトール、酢酸セロソルブ、酢酸3−ブトキシブチル、酢酸メチルカービトール、酢酸メチルセロソルブなど。
【0062】
これらの溶剤の中では、芳香族炭化水素およびアルコール類がより好ましい。その他の溶剤は、インキ組成物において、芳香族炭化水素および/またはアルコール類の揮発性を調整するために使用することが好ましい。
【0063】
本発明による加熱履歴表示用インキ組成物においては、合計重量を基準として、電子供与性化合物0.1〜10.0%(より好ましくは0.5〜10.0%)、電子受容性化合物0.2〜80.0%(より好ましくは1.0〜50.0%)、樹脂0.5〜60.0%(より好ましくは1.0〜40.0%)および溶剤20.0〜99.2%(より好ましくは30.0〜95.0%)の割合とする。
【0064】
電子供与性化合物(着色剤)の量が過剰である場合には、その析出が生じる危険性があるのに対し、過小である場合には、発色性が低下するので、いずれの場合にも、好ましくない。
【0065】
電子受容性化合物(顕色剤)の量が過剰である場合には、その析出を生じるとともに、地発色が残るので、賞味期間の終了を明確に表示するという検知機能を充分に発揮することができないのに対し、過小である場合には、加熱後の発色濃度が低くなり、スタート機能が充分に発揮できない。本発明においては、電子受容性化合物(顕色剤)の量を上記の範囲内で適宜調整することにより、インキ塗膜が検知機能を発揮する期間を調節することができる。
【0066】
樹脂の量が過剰である場合には、インキ組成物がゲル化するのに対し、過小である場合には、被印刷物に対する接着性が低下する。
【0067】
溶剤の量は、インキ組成物が被印刷物に対して印刷できる限り、本来特に限定されるものではないが、実用的には上記の範囲とすることが好ましい。
【0068】
本発明においては、必要に応じて、インキ組成物に通常添加されている各種の添加剤を適量配合することができる。この様な添加物としては、着色剤、荷電物質、消泡剤、ドライヤー、充填剤、レベリング剤、チキソトロープ剤などが例示される。
【0069】
本発明によるインキ組成物の調製方法は、特に限定されず、一般のインキ組成物と同様の方法で行えばよい。例えば、まず樹脂を溶剤に溶解させた後、電子供与性化合物と電子受容性化合物とを加え、さらに混練して、均一なインキ組成物とする。混練は、常法に従って、低粘度インキ(グラビアインキなど)の場合には、ボールミル、サンドミル、アトライターなどを使用して行い、高粘度インキ(平凸版インキなど)の場合には、ロールミルなどを使用して行うことが好ましい。
【0070】
【発明の効果】
本発明によるインキ組成物により被印刷物上に印刷を行う場合には、貯蔵および流通の過程では変色しないが、所定の温度での加熱により発色し(スタート機能を発揮する)、一定期間経過後に他の色の変色する(検知機能を発揮する)という特異な機能を備えたインキ塗膜が形成される。従って、本発明によるインキ組成物は、ホットベンダー内に保持されて保温状態で販売される缶入り飲料の賞味期限の表示用材料として極めて有用である。
【0071】
さらに、本発明によるインキ組成物は、貯蔵および流通を経て、加熱後の一定期間に利用される全ての商品の品質管理乃至保証手段として極めて有用である。
【0072】
【実施例】
以下に実施例および比較例を示し、本発明の特徴とするところをより一層明確にする。
【0073】
以下の実施例および比較例において、各インキ組成物の加熱履歴表示機能を加熱開始前と一定期間保持後の変色色差の保持率により評価した。すなわち、被印刷物の常温での色度(Lab)をL1、a1、b1とし、インキ塗膜の加熱前常温での発色色度をLS、aS、bsとし、インキ塗膜の加熱後高温保持状態での発色色度をLT、aT、bTとして、下記の式で示される色差保持率(%)を求めた。
【0074】
【数1】
Figure 0003642539
【0075】
接着性は、JIS 5400 8.5.3“Xカットテープ法”に準じて、被印刷物上のインキ塗膜に粘着テープを張り付けて引っ張り、塗膜の剥離の有無により、下記の基準で評価した。但し、塗膜のカットは行わなかった。
【0076】
良好:剥離なし。 不良:剥離あり。
【0077】
また、各実施例において使用した材料の詳細は、以下の通りである。
【0078】
I.電子供与性化合物(着色剤)
a.3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド
b.2−(2−クロロアニリノ)−6−ブチルアミノフルオラン
II.電子受容性化合物(顕色剤)
a.メチレンビスフェノール
b.4,4'−エチリデンビスフェノール
c.4,4'−(2−エチルヘキシリデン)ビスフェノール
d.p−フェノールスルホンアミド
e.ヒドロキノン
f.4,4',4''−メチリデントリスフェノール
g.3,5−ジヒドロキシ安息香酸
h.p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル
i.安息香酸亜鉛
j.ステアリン酸アミド
III.樹脂
a.ロジン変性フェノール樹脂(「タマノール353」、荒川化学工業(株)製)
b.芳香族炭化水素樹脂(「日石ポリマー120」、日本石油化学(株)製)
c.ビスフェノールA型エポキシ樹脂(「エピコート828」、油化シェル工業(株)製)
IV.溶剤
a.キシレン
b.エタノール
c.イソプロパノール
V.添加剤
a.赤色染料(「オイルスカーレット308s」、オリエント化学工業(株)製)
b.荷電物質;塩化リチウム
c.チキソトロピック剤(「BYK-P104」、ビックケミー社製)
d.消泡剤(「BYK-P104」、ビックケミー社製)
e.ドライヤー(酸化乾燥促進触媒);ナフテン酸コバルト
実施例1〜5および比較例1〜8
下記の表1に示すインキ組成物(数値は、重量%を示す)を缶用印刷機(「インパルスジェット」、ユニオンコーポレーション製。ノズル口径50μm、32ドット/インチ)によりステンレス鋼製飲料水用缶(直径59mm)の底に印刷した後、乾燥し、表2に示す温度条件で所定期間保存して、色差保持率とインキ塗膜の密着性とを測定した。色差保持率を表2に併せて示す。
【0079】
なお、インキ塗膜の密着性は、実施例1〜5および比較例1〜6のインキについては良好であったが、比較例7ではインキがゲル化し、比較例8では、発色しなかった。
【0080】
【表1】
Figure 0003642539
【0081】
【表2】
Figure 0003642539
【0082】
実施例6〜9
表3に示すインキ組成物を荷電型インクジェットプリンター(「Fx-2632」、(株)日立製作所製、ノズル口径60μm、35ドット/インチ)を使用して、ステンレス鋼製飲料水用缶(直径59mm)の底に印刷した後、乾燥し、表4に示す温度条件で所定期間保存して、色差保持率を測定した。結果を表4に示す。インキ塗膜の密着性はいずれの場合にも、良好であった。
【0083】
【表3】
Figure 0003642539
【0084】
【表4】
Figure 0003642539
【0085】
実施例10
表3に示すインキ組成物をドライオフセット印刷法により缶に直接印刷した以外は実施例1と同様にして印刷し、乾燥し、表4に示す温度条件で所定期間保存して、色差保持率を測定した。結果を表4に併せて示す。インキ塗膜の密着性は良好であった。
【0086】
実施例11
表3に示すインキ組成物をグラビア印刷法によりによりシールに印刷し、乾燥した後、ラベラーにより缶に貼り付け、表4に示す温度条件で所定期間保存して、色差保持率を測定した。結果を表4に併せて示す。

Claims (5)

  1. 電子供与性化合物、電子受容性化合物、油溶性樹脂および溶剤を含むことを特徴とする、所定温度で変色を開始し、加熱履歴を表示するために用いるインキ組成物であって、電子供与性化合物、電子受容性化合物、油溶性樹脂および溶剤が、それぞれ下記の群から選択される少なくとも1種であるインキ組成物:
    a.電子供与性化合物…トリフェニルメタンフタリド類、フルオラン類、スピロピラン類、ロイコオーラミン類およびローダミンラクタム類、
    b.電子受容性化合物…モノフェノール類、ジフェノール類およびトリフェノール類、
    c.油溶性樹脂…フェノール樹脂、
    d.溶剤…脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ハロゲン化炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、アルコールエステル類、ケトンアルコール類、エーテル。
  2. 電子供与性化合物、電子受容性化合物、油溶性樹脂および溶剤が、それぞれ下記の群から選択される少なくとも1種である請求項1に記載のインキ組成物
    a.電子供与性化合物…トリフェニルメタンフタリド類およびフルオラン類、
    b.電子受容性化合物…ジフェノール類、
    c.油溶性樹脂…フェノール樹脂、
    d.溶剤…芳香族炭化水素類およびアルコール類。
  3. 合計重量を基準として、電子供与性化合物 0.5 10.0 %、電子受容性化合物 1.0 50.0 %、油溶性樹脂 1.0 40.0 %および溶剤 30.0 95.0 %である請求項1〜3のいずれかに記載のインキ組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のインキ組成物からなる、ホットベンダー内に保持されて保温状態で販売される缶入り飲料の賞味期限の表示材料。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載のインキ組成物が印刷された缶入り飲料を加熱して該インキ組成物を発色させて、一定期間後に該インキ組成物を他の色に変色させることを特徴とする缶入り飲料の加熱履歴の表示方法。
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