JPH0995633A - 加熱履歴表示用インキ組成物 - Google Patents

加熱履歴表示用インキ組成物

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JPH0995633A
JPH0995633A JP25338695A JP25338695A JPH0995633A JP H0995633 A JPH0995633 A JP H0995633A JP 25338695 A JP25338695 A JP 25338695A JP 25338695 A JP25338695 A JP 25338695A JP H0995633 A JPH0995633 A JP H0995633A
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electron
resin
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alcohols
compound
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Abstract

(57)【要約】 【課題】缶入り飲料水の品質管理などのために、スター
ト機能と検知機能とを備えた新たな技術手段を提供する
ことを主な目的とする。 【解決手段】1.電子供与性化合物、電子受容性化合
物、油溶性樹脂および溶剤を含むことを特徴とする、所
定温度で変色を開始し、加熱履歴を表示するインキ組成
物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、所定温度で変色し
始め、加熱履歴を表示することができるインキ組成物に
関する。
【0002】
【従来の技術】缶入りコーヒー、缶入りの茶類(ウーロ
ン茶、紅茶、緑茶など)、缶入りのスープ類など(以下
缶入り飲料という)は、冬季には、自動販売機のホット
ベンダーで暖められ、販売されている。これらの缶入り
飲料は、ホットベンダー内では、一定の期間経過後(種
類により異なるが、短い場合には、2〜4週間程度後)
に品質の低下が始まり、やがては腐敗して、消費者から
のクレームの対象となることがある。
【0003】現在ホットベンダーで保温中の缶入り飲料
の販売期限管理は、加熱履歴と相関する缶内部のグルコ
ースの増加量を測定することにより、行われている。し
かしながら、缶内部のグルコース量の分析は、公的機関
に依頼して行われているため、時間と費用がかかり、結
果として品質の低下に起因するクレームが発生するとい
う事態を招きがちである。さらに、PL法の施行に伴っ
て、缶入り飲料の品質管理は、今後一層厳重に行う必要
がある。
【0004】ホットベンダー中の缶入り飲料水の品質管
理方法として、ホットベンダーにおける加熱開始により
外観上何らかの変化を生じ(以下スタート機能とい
う)、一定期間(例えば、2ヶ月程度)の加熱後にさら
に別の外観上の変化を生じて賞味期限の完了を示す(以
下検知機能という)という新規な手段の開発が求められ
ている。
【0005】特開昭60−124681号公報は、「液
体に酸化還元指示薬と空気酸化される物質とを共存せし
めて成るタイムインジケーター」を開示している。この
タイムインジケーターは、上記の検知機能に類似する機
能を備えているが、スタート機能は備えていないし、ま
た、液状組成物であるので、ホットベンダー中の缶入り
飲料水の品質管理には使用できない。
【0006】特公昭57−27918号公報は、「乾熱
下或いは湿熱下に溶融しうる高分子物質の外殻中に水溶
性或いは水変色性の着色剤を内包せしめたマイクロカプ
セルを着色剤の少なくとも一成分として含有することを
特徴とする水浴での加熱処理あるいは湿熱処理の履歴を
表示するためのインク組成物」を開示している。このイ
ンク組成物は、単に一時点での熱処理の有無を表示する
ことができるのみで、スタート機能および検知機能を備
えていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、缶
入り飲料水の品質管理などのために、スタート機能と検
知機能とを備えた新たな技術手段を提供することを主な
目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、缶入り飲料
の製造および流通段階では、変化せず、所定温度のホッ
トベンダー内に配置された時点でスタート機能を発揮
し、且つ所定時間経過後に検知機能を発揮する材料を得
るべく種々研究を進めた結果、電子供与性化合物と電子
供与性化合物とを含む特定のインキ組成物を缶表面に印
刷しておく場合には、その目的を達成しうることを見出
し、本発明を完成するにいたった。
【0009】すなわち、本発明は、下記の加熱履歴表示
用インキ組成物を提供するものである。
【0010】1.電子供与性化合物、電子受容性化合
物、油溶性樹脂および溶剤を含むことを特徴とする、所
定温度で変色を開始し、加熱履歴を表示するインキ組成
物。
【0011】2.電子供与性化合物、電子受容性化合
物、油溶性樹脂および溶剤が、それぞれ下記の群から選
択される少なくとも1種である請求項1に記載のインキ
組成物: a.電子供与性化合物…トリフェニルメタンフタリド
類、フルオラン類、スピロピラン類、ロイコオーラミン
類およびローダミンラクタム類 b.電子受容性化合物…モノフェノール類、ジフェノー
ル類およびトリフェノール類 c.油溶性樹脂…炭化水素系樹脂、芳香族炭化水素系樹
脂、アクリル酸系樹脂、フェノール樹脂およびケトン樹
脂 d.…脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ハロゲン
化炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類、
エーテル類、アルコールエステル類、ケトンアルコール
類、エーテルルコール類、ケトンエーテル類、ケトンエ
ステル類およびエステルエーテル類 3.電子供与性化合物、電子受容性化合物、油溶性樹脂
および溶剤が、それぞれ下記の群から選択される少なく
とも1種である上記項2に記載のインキ組成物: a.電子供与性化合物…トリフェニルメタンフタリド類
およびフルオラン類 b.電子受容性化合物…ジフェノール類 c.油溶性樹脂…フェノール樹脂 d.…芳香族炭化水素類およびアルコール類 4.合計重量を基準として、電子供与性化合物0.1〜10.
0%、電子受容性化合物0.2〜80.0%、油溶性樹脂0.5〜6
0.0%および溶剤20.0〜99.2%である上記項1〜3のい
ずれかに記載のインキ組成物。
【0012】
【発明の実施の態様】本発明組成物において使用する電
子供与性化合物(着色剤)は、非揮発性であることを必
要とする。この様な電子供与性化合物としては、特に限
定されるものではないが、下記のものが例示される。
【0013】*トリフェニルメタンフタリド類…3,3
−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−フタリド、
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジ
メチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジメチルア
ミノフェニル)−6−クロロフタリド、3−(2'−ヒ
ドロキシ−4'−ジメチルアミノフェニル)−3−(2'
−メトキシ−5'−クロロフェニル)フタリド、3−
(2'−ヒドロキシ−4'−ジメチルアミノフェニル)−
3−(2'−メトキシ−5'−ニトロフェニル)フタリ
ド、3−(2'−ヒドロキシ−4'−ジエチルアミノフェ
ニル)−3−(2'−メトキシ−5'−メチルフェニル)
フタリド、3−(2'−メトキシ−4'−ジメチルアミノ
フェニル)−3−(2'−ヒドロキシ−4'−クロロ−
5'−メチルフェニル)フタリドなど。
【0014】*フルオラン類…3−シクロヘキシルアミ
ノ−6−クロロフルオラン、3−ジメチルアミノ−5,
7−ジメチルフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ク
ロロフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−メチルフル
オラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−クロロ
フルオラン、3−(N−P−トリル−N−エチルアミ
ノ)−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ピロ
リジノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジ
エチルアミノ−7、8−ベンズオラン、2−{N−
(3'−トリフルオロメチルフェニル)アミノ}−ジエ
チルアミノフルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o
−クロロアニリノ)フルオラン、3−ジブチルアミノ−
7−(o−クロロアニリノ)フルオラン、3−N−メチ
ル−N−アミルアミノ−6−メチル−7−アニリノフル
オラン、3−N−めちる−N−シクロヘキシルアミノ−
6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルア
ミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−
(N,N−ジエチルアミノ)−5−メチル−7−(N,
N−ジベンジルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミ
ノ−5−クロロ−7−(N−トリフルオロメチルアミ
ノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−5−クロロ−7
−(α−フェニルエチルアミノ)フルオラン、3−(N
−エチル−p−トルイジノ)−7−(α−フェニルエチ
ルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−(o
−メトキシカルボニルフェニルアミノ)フルオラン、3
−ジエチルアミノ−5−メチル−7−(α−フェニルエ
チルアミノ)フルオラン、3−ジエチルアミノ−7−ピ
ペリジノフルオラン、2−クロロ−3−(N−メチルト
ルイジノ)−7−(p−n−ブチルアニリノ)フルオラ
ン、3−(N−メチル−N−イソプロピルアミノ)−6
−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ブチルアミノ
−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチ
ル−N−(2−エトキシプロピル)アミノ−6−メチル
−7−アニリノフルオラン、3−(N−ベンジル−N−
シクロヘキシルアミノ)−5,6−ベンゾ−7−α−ナ
フチルアミノ−4'−ブロモフルオラン、3−ジエチル
アミノ−6−クロロ−7−アニリノフルオラン、3−ジ
エチルアミノ−6−メチル−メチシジノ−4',5'−ベ
ンゾフルオラン、3−N−メチル−N−イソブチル−6
−メチル−7−アニリノフルオラン、3−N−エチル−
N−イソアミル−6−メチル−7−アニリノフルオラ
ン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−(2',5'
−ジメチルアニリノ)フルオランなど。
【0015】*スピロピラン類…6'−クロロ−8'−メ
トキシ−ベンゾインドリノ−スピロピラン、6'−ブロ
モ−3'−メトキシ−ベンゾインドリノ−スピロピラン
など。
【0016】*ローダミン類…2−{3,6−ビス(ジ
エチルアミノ)−9−(o−クロロアニリノ)キサンチ
ル安息香酸ラクタムなど。
【0017】*ロイコオーラミン類…ベンゾイルロイコ
メチレンブルーなど。
【0018】上記の電子供与性化合物(着色剤)の中で
は、トリフェニルメタンフタリド類およびフルオラン類
がより好ましい。
【0019】本発明組成物において使用する電子受容性
化合物(顕色剤)は、電子供与性化合物と併用下に組成
物にスタート機能と検知機能を付与する。この様な電子
受容性化合物としては、特に限定されるものではない
が、下記のものが例示される。
【0020】1.モノフェノール類 *モノヒドロキシフェニル系…4−ヒドロキシベンゾフ
ェノン、p−ヒドロキシフェニル、4−ヒドロキシジフ
ェニルアミン、p−クミルフェノール、p−フェノール
スルホンアミド、4−ヒドロキシベンゼンスルホン酸メ
チル、4−ヒドロキシフェニルメチルケトンなど。
【0021】*…フェニルカルボン酸系…2−ヒドロキ
シフタル酸ジメチルエステル、2−ヒドロキシフタル酸
ジフェニルエステル、4−ヒドロキシサリチルアニリ
ド、5−ベンジルサリチルアニリドなど。
【0022】*…モノヒドロキシナフタレン系…α−ナ
フトール、β−ナフトール、2−メチル−1−ナフトー
ル、1−オキシ−2−ナフトエ酸、2−オキシ−3−ナ
フトエ酸、2−アセアンフトン、8−アミノ−2−ナフ
トール、ヒドロキシナフタレンスルホン酸など。
【0023】2.ジフェノール類 *…ビスフェノール系
【0024】
【化1】
【0025】式中、Rは、HまたはC1〜C10のアルキ
ルを示す。
【0026】
【化2】
【0027】式中、Rは、H、C1〜C10のアルキレ
ン、C1〜C10のシクロアルキルまたはアラルキルを示
す。
【0028】
【化3】
【0029】式中、nは、1〜10の整数を示す。
【0030】
【化4】
【0031】式中、Rは、C1〜C10のアルキレンを示
す。
【0032】
【化5】
【0033】
【化6】
【0034】
【化7】
【0035】式中、Rは、C1〜C10のアルキレンを示
す。
【0036】*ヒドロキシナフタレン系…1,3−ジオ
キシナフタレン、1,4−ジオキシナフタレン、1,4
−ジオキシナフタレンモノベンジルエーテル、1,4−
ジオキシナフタレンプロピルエーテルなど。
【0037】3.トリフェノール類
【0038】
【化8】
【0039】式中、Rは、C1〜C10のアルキルを示
す。
【0040】上記の電子受容性化合物(顕色剤)の中で
は、ビスフェノール系化合物がより好ましい。
【0041】本発明組成物において使用する樹脂は、イ
ンキ組成物に対し、被印刷物への密着性を付与するとと
もに、適度の粘性を与える。また、樹脂は、組成物のス
タート機能と検知機能とを阻害しないために、酸性を呈
する必要がある。この様な樹脂としては、特に制限され
るものではないが、下記のものが例示される。
【0042】*炭化水素系樹脂…石油樹脂、テルペン樹
脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリ
イソブチレン、クマロンインデン樹脂、ポリスチロール
など。
【0043】*芳香族炭化水素樹脂…キシレン樹脂、ト
ルエン樹脂、アルキルベンゼン樹脂など。
【0044】*アクリル酸系樹脂…ポリアクリル酸エス
テル、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリルニトリ
ル、ポリアクリル酸、ポリアクリルアマイドなど。
【0045】*アミノ樹脂…尿素樹脂、メラミン樹脂、
アミド樹脂など。
【0046】*その他…フェノール樹脂、ケトン樹脂な
ど。
【0047】これらの樹脂の中では、フェノール樹脂が
より好ましい。
【0048】本発明組成物において使用する溶剤は、電
子供与性化合物、電子受容性化合物および樹脂を溶解
し、被印刷面に組成物を印刷した後短時間内に揮散する
適度の揮発性を有していることを必要とする。また、電
子供与性化合物と電子受容性化合物との発色反応におい
て、減感性を発揮する必要がある。この様な溶剤として
は特に限定されるものではないが、下記のものが例示さ
れる。
【0049】*脂肪族炭化水素類…ガソリン、ベンジ
ン、ミネラルスピリット、ナフタ、石油ナフタなど。
【0050】*芳香族炭化水素類…ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、デカリン、テトラリン、p−シメンな
ど。
【0051】*ハロゲン化炭化水素類類…トリクロロエ
チレン、パークロロエチレン、クロロホルム、四塩化炭
素、モノブロモベンゼン、モノクロロベンゼン、ジクロ
ロベンゼンなど。
【0052】*アルコール類…アミルアルコール、エチ
ルアルコール、イソプロピルアルコール、2−エチルブ
チルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、シク
ロヘキシルアルコール、メチルアルコール、メチルアミ
ルアルコール、ベンジルアルコール、ブチルアルコール
など。
【0053】*ケトン類…アセトン、アセトニルアセト
ン、ジアセトアルコール、ジイソブチルケトン、ジエチ
ルケトン、ジプロピルケトン、メチルアミルケトン、メ
チルブチルケトン、メチルシクロヘキサノン、メチルジ
プロピルケトン、メチルエチルケトン、メチルn−ヘキ
シルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルプロピル
ケトン、メジシルオキシドなど。
【0054】*エステル類…酢酸エステル、酪酸エステ
ル、プロピオン酸エステル、ギ酸エステルなど。
【0055】*エーテル類…イソプロピルエーテル、エ
チルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテ
ル、エチレングリコールジエチルエーテル、ブチルエー
テルなど。
【0056】*アルコールエステル類…乳酸ブチル、乳
酸イソプロピル、乳酸エチル、オキシプロピオン酸エチ
ル、マレイン酸ジエチルなど。
【0057】*ケトンアルコール類…アセトニルアルコ
ール、ジアセトンアルコール、ジヒドロキシアセトン、
ピルビルアルコールなど。
【0058】*エーテルアルコール類…エチレングリコ
ールイソプロピルエーテル、グリシドール、エチレング
リコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモ
ノエチルエーテル、グリコールエーテル、エチレングリ
コールモノベンジルエーテル、ジエチレングリコールモ
ノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエー
テル、トリエチレングリコールモノエチルエーテルな
ど。
【0059】*ケトンエーテル類…アセタールエチルエ
ーテル、アセトニルメタノールエチルエーテル、メチル
エトキシエチルエーテルなど。
【0060】*ケトンエステル類…アセト酢酸エチル、
ピルビン酸エチルなど。
【0061】*エステルエーテル…酢酸ブチルブチルカ
ービトール、酢酸ブチルセロソルブ、酢酸カービトー
ル、酢酸セロソルブ、酢酸3−ブトキシブチル、酢酸メ
チルカービトール、酢酸メチルセロソルブなど。
【0062】これらの溶剤の中では、芳香族炭化水素お
よびアルコール類がより好ましい。その他の溶剤は、イ
ンキ組成物において、芳香族炭化水素および/またはア
ルコール類の揮発性を調整するために使用することが好
ましい。
【0063】本発明による加熱履歴表示用インキ組成物
においては、合計重量を基準として、電子供与性化合物
0.1〜10.0%(より好ましくは0.5〜10.0%)、電子受容
性化合物0.2〜80.0%(より好ましくは1.0〜50.0%)、
樹脂0.5〜60.0%(より好ましくは1.0〜40.0%)および
溶剤20.0〜99.2%(より好ましくは30.0〜95.0%)の割
合とする。
【0064】電子供与性化合物(着色剤)の量が過剰で
ある場合には、その析出が生じる危険性があるのに対
し、過小である場合には、発色性が低下するので、いず
れの場合にも、好ましくない。
【0065】電子受容性化合物(顕色剤)の量が過剰で
ある場合には、その析出を生じるとともに、地発色が残
るので、賞味期間の終了を明確に表示するという検知機
能を充分に発揮することができないのに対し、過小であ
る場合には、加熱後の発色濃度が低くなり、スタート機
能が充分に発揮できない。本発明においては、電子受容
性化合物(顕色剤)の量を上記の範囲内で適宜調整する
ことにより、インキ塗膜が検知機能を発揮する期間を調
節することができる。
【0066】樹脂の量が過剰である場合には、インキ組
成物がゲル化するのに対し、過小である場合には、被印
刷物に対する接着性が低下する。
【0067】溶剤の量は、インキ組成物が被印刷物に対
して印刷できる限り、本来特に限定されるものではない
が、実用的には上記の範囲とすることが好ましい。
【0068】本発明においては、必要に応じて、インキ
組成物に通常添加されている各種の添加剤を適量配合す
ることができる。この様な添加物としては、着色剤、荷
電物質、消泡剤、ドライヤー、充填剤、レベリング剤、
チキソトロープ剤などが例示される。
【0069】本発明によるインキ組成物の調製方法は、
特に限定されず、一般のインキ組成物と同様の方法で行
えばよい。例えば、まず樹脂を溶剤に溶解させた後、電
子供与性化合物と電子受容性化合物とを加え、さらに混
練して、均一なインキ組成物とする。混練は、常法に従
って、低粘度インキ(グラビアインキなど)の場合に
は、ボールミル、サンドミル、アトライターなどを使用
して行い、高粘度インキ(平凸版インキなど)の場合に
は、ロールミルなどを使用して行うことが好ましい。
【0070】
【発明の効果】本発明によるインキ組成物により被印刷
物上に印刷を行う場合には、貯蔵および流通の過程では
変色しないが、所定の温度での加熱により発色し(スタ
ート機能を発揮する)、一定期間経過後に他の色の変色
する(検知機能を発揮する)という特異な機能を備えた
インキ塗膜が形成される。従って、本発明によるインキ
組成物は、ホットベンダー内に保持されて保温状態で販
売される缶入り飲料の賞味期限の表示用材料として極め
て有用である。
【0071】さらに、本発明によるインキ組成物は、貯
蔵および流通を経て、加熱後の一定期間に利用される全
ての商品の品質管理乃至保証手段として極めて有用であ
る。
【0072】
【実施例】以下に実施例および比較例を示し、本発明の
特徴とするところをより一層明確にする。
【0073】以下の実施例および比較例において、各イ
ンキ組成物の加熱履歴表示機能を加熱開始前と一定期間
保持後の変色色差の保持率により評価した。すなわち、
被印刷物の常温での色度(Lab)をL1、a1、b1とし、イ
ンキ塗膜の加熱前常温での発色色度をLS、aS、bsとし、
インキ塗膜の加熱後高温保持状態での発色色度をLT、a
T、bTとして、下記の式で示される色差保持率(%)を
求めた。
【0074】
【数1】
【0075】接着性は、JIS 5400 8.5.3“Xカットテ
ープ法”に準じて、被印刷物上のインキ塗膜に粘着テー
プを張り付けて引っ張り、塗膜の剥離の有無により、下
記の基準で評価した。但し、塗膜のカットは行わなかっ
た。
【0076】良好:剥離なし。 不良:剥離あり。
【0077】また、各実施例において使用した材料の詳
細は、以下の通りである。
【0078】I.電子供与性化合物(着色剤) a.3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6
−ジメチルアミノフタリド b.2−(2−クロロアニリノ)−6−ブチルアミノフ
ルオラン II.電子受容性化合物(顕色剤) a.メチレンビスフェノール b.4,4'−エチリデンビスフェノール c.4,4'−(2−エチルヘキシリデン)ビスフェノ
ール d.p−フェノールスルホンアミド e.ヒドロキノン f.4,4',4''−メチリデントリスフェノール g.3,5−ジヒドロキシ安息香酸 h.p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル i.安息香酸亜鉛 j.ステアリン酸アミド III.樹脂 a.ロジン変性フェノール樹脂(「タマノール35
3」、荒川化学工業(株)製) b.芳香族炭化水素樹脂(「日石ポリマー120」、日
本石油化学(株)製) c.ビスフェノールA型エポキシ樹脂(「エピコート8
28」、油化シェル工業(株)製) IV.溶剤 a.キシレン b.エタノール c.イソプロパノール V.添加剤 a.赤色染料(「オイルスカーレット308s」、オリ
エント化学工業(株)製) b.荷電物質;塩化リチウム c.チキソトロピック剤(「BYK-P104」、ビックケミー
社製) d.消泡剤(「BYK-P104」、ビックケミー社製) e.ドライヤー(酸化乾燥促進触媒);ナフテン酸コバ
ルト 実施例1〜5および比較例1〜8 下記の表1に示すインキ組成物(数値は、重量%を示
す)を缶用印刷機(「インパルスジェット」、ユニオン
コーポレーション製。ノズル口径50μm、32ドット/イ
ンチ)によりステンレス鋼製飲料水用缶(直径59mm)の
底に印刷した後、乾燥し、表2に示す温度条件で所定期
間保存して、色差保持率とインキ塗膜の密着性とを測定
した。色差保持率を表2に併せて示す。
【0079】なお、インキ塗膜の密着性は、実施例1〜
5および比較例1〜6のインキについては良好であった
が、比較例7ではインキがゲル化し、比較例8では、発
色しなかった。
【0080】
【表1】
【0081】
【表2】
【0082】実施例6〜9 表3に示すインキ組成物を荷電型インクジェットプリン
ター(「Fx-2632」、(株)日立製作所製、ノズル口径6
0μm、35ドット/インチ)を使用して、ステンレス鋼
製飲料水用缶(直径59mm)の底に印刷した後、乾燥し、
表4に示す温度条件で所定期間保存して、色差保持率を
測定した。結果を表4に示す。インキ塗膜の密着性はい
ずれの場合にも、良好であった。
【0083】
【表3】
【0084】
【表4】
【0085】実施例10 表3に示すインキ組成物をドライオフセット印刷法によ
り缶に直接印刷した以外は実施例1と同様にして印刷
し、乾燥し、表4に示す温度条件で所定期間保存して、
色差保持率を測定した。結果を表4に併せて示す。イン
キ塗膜の密着性は良好であった。
【0086】実施例11 表3に示すインキ組成物をグラビア印刷法によりにより
シールに印刷し、乾燥した後、ラベラーにより缶に貼り
付け、表4に示す温度条件で所定期間保存して、色差保
持率を測定した。結果を表4に併せて示す。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電子供与性化合物、電子受容性化合物、油
    溶性樹脂および溶剤を含むことを特徴とする、所定温度
    で変色を開始し、加熱履歴を表示するインキ組成物。
  2. 【請求項2】電子供与性化合物、電子受容性化合物、油
    溶性樹脂および溶剤が、それぞれ下記の群から選択され
    る少なくとも1種である請求項1に記載のインキ組成
    物: a.電子供与性化合物…トリフェニルメタンフタリド
    類、フルオラン類、スピロピラン類、ロイコオーラミン
    類およびローダミンラクタム類 b.電子受容性化合物…モノフェノール類、ジフェノー
    ル類およびトリフェノール類 c.油溶性樹脂…炭化水素系樹脂、芳香族炭化水素系樹
    脂、アクリル酸系樹脂、フェノール樹脂およびケトン樹
    脂 d.…脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ハロゲン
    化炭化水素類、アルコール類、ケトン類、エステル類、
    エーテル類、アルコールエステル類、ケトンアルコール
    類、エーテルルコール類、ケトンエーテル類、ケトンエ
    ステル類およびエステルエーテル類
  3. 【請求項3】電子供与性化合物、電子受容性化合物、油
    溶性樹脂および溶剤が、それぞれ下記の群から選択され
    る少なくとも1種である請求項2に記載のインキ組成
    物: a.電子供与性化合物…トリフェニルメタンフタリド類
    およびフルオラン類 b.電子受容性化合物…ジフェノール類 c.油溶性樹脂…フェノール樹脂 d.…芳香族炭化水素類およびアルコール類
  4. 【請求項4】合計重量を基準として、電子供与性化合物
    0.1〜10.0%、電子受容性化合物0.2〜80.0%、油溶性樹
    脂0.5〜60.0%および溶剤20.0〜99.2%である請求項1
    〜3のいずれかに記載のインキ組成物。
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