JP3642501B2 - 酒類、調味料の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、酒類、調味料の製造方法に関し、製品品質が改善され、滓成分が十分除去でき、かつ効率のよい迅速な滓下がりで、作業性の向上を可能とした酒類、調味料の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
清酒の製造の一般的方法は、原料を仕込み醪となし、糖化・発酵後、醪を圧搾して固液分離し、搾汁を火入れ、滓下げし、精製して製品とする。みりんの従来の製造方法は、伝統的製法としては、原料を仕込み、糖化・熟成を行い、醪を圧搾して得られた搾汁を火入れ・滓下げし、精製して製品とする。また、醪を圧搾して得られた搾汁にデンプン部分加水分解物及びアルコール溶液を添加して、火入れ・滓下げし、精製して製品とする方法(特公平2−18060号)も知られている。
酒類、調味料の滓とは、製品の保存期間中に酒類、調味料中に可溶化されていた成分が、温度変化や光照射等により、変性して不溶化して、濁ったり、沈殿したり、また調理の加熱時に不溶化して濁ったりする物質である。
滓の主たる原因の成分は、例えば清酒の場合は主として米麹由来のグルコアミラーゼが変性したものであり、これに低分子の塩基性物質が関与しているものと考えられている。みりんの場合は、原料中のタンパク質がみりん中に未分解で可溶化しており、外部条件の変化により不溶化するものである。このタンパク質は、米タンパク質の高分子ペプチド、米麹由来の酵素類、更には、醪に添加する酵素剤の酵素タンパク質であろうといわれている。この滓の発生は、商品価値を著しく低下させ、また酵素類の残存は、活性を保持している場合には、製品の成分を変化させたり、調理時にデンプン材料等の粘度低下を来すなどの悪影響を及ぼす。
【0003】
酒類、調味料の滓下げ工程は、一般には火入れして液中のタンパク質を変性させた後、清澄剤として、柿渋及び活性グルテン(若しくはゼラチン)が使用されている。すなわち、火入れした液中へ柿渋を添加・かくはんして分散させ、滓成分を更に変性、結合させた後、活性グルテン(若しくはゼラチン)を添加・かくはんして自然の凝集反応を待ち、沈殿させて清澄させるので、実生産の大規模タンクにおいては滓下がりに長期間を要し、5〜10日間の静置期間を必要とする。
一方、柿渋・活性グルテン以外の清澄剤として、シリカゲルを用いる高糖濃度含有調味料の滓下げ法(特開昭57−186457号)があり、加熱下でシリカゲルと接触させて、短時間で滓の原因物質を吸着させ、これを除去することが知られている。しかし、滓発生の原因物質の吸着と共に、芳香な呈味成分も吸着するといわれている。
別に、高糖濃度含有調味液のオリ下げ方法(特開昭63−102649号)があり、特定の性状を有する合成フィロケイ酸マグネシウムを用いて、滓成分を選択的に比較的低温で風味を損なわずに、効率よく滓下げできることが知られている。しかしながら、柿渋にはタンニンによるタンパク変性、除鉄作用や抗菌作用が知られ、この優れた特性から醸造物の精製工程で多用されているのが現状である。
また、固液分離前、すなわち上槽直前の濃厚な滓を含む清酒に高周波を周波数20kHz又は200kHzで照射することにより、清酒の滓下がりが促進されることが知られている〔日本醸造協会誌、第60巻、第11号、第969頁(1965)〕。しかしながら、この方法では清酒中にアミノ酸が多くなり雑味が出て、酒質が悪くなるという欠点があることを本発明者らは見出している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
最近になり、酒類、調味料の製造に、酵素剤、例えばα−アミラーゼやグルコアミラーゼが使用され、使用原料中のデンプンの溶解を促進・向上させて、生産性と収率の改善が計られている。
したがって、酒類、調味料の品質の上から、滓下げ工程で原料由来の可溶性の未分解タンパク質や麹由来の酵素タンパク質の除去に加え、添加した酵素タンパク質除去が必要である。
ここで、酵素の失活については、まず加熱失活が考えられるが、比較的耐熱性を有する酵素剤使用の場合、酒類、調味料への過度の加熱は、香味を損ない着色を生じ、品質劣化につながる。次に、酵素タンパク質の除去については、清澄剤で除去することが考えられる。例えば、火入れした液中へ柿渋を添加し充分にかくはんして分散させ、柿渋タンニンが可溶性タンパク質や酵素タンパク質を変性し、結合してコロイドを作る。その後、更に活性グルテンやゼラチン等を加え、かくはんして自然の凝集反応をさせ、沈殿を待つ。しかしながら、大規模タンクでの滓下げには長時間を有することになる。
そこで、酒類、調味料の品質を低下させることなく、柿渋タンニンと可溶性タンパク質や酵素タンパク質の変性と結合を促進し、更に活性グルテンやゼラチン等での凝集反応を円滑化し、清澄剤の使用量を低減させ、滓量低減や香味成分の吸着の軽減と柿渋由来の臭いの着香、収れん味の付与が防止されるような滓下げを行う製造技術の確立が望まれていた。
本発明の目的は、滓成分が十分除去でき、効率のよい迅速な滓下がりで、滓下げ時間の短縮と作業性が向上し、かつその好適な品質を阻害しない高品質の酒類、調味料の製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明を概説すれば、醪を使用して酒類又は調味料を製造する方法において、醪を固液分離して得た液を、その後清澄化する工程で清澄剤を添加後、周波数20kHz〜100MHzの範囲で高周波処理する工程を含むことを特徴とする酒類、調味料の製造方法に関する。
【0006】
本発明者らは、製造工程における前記課題を解決するため、鋭意研究を重ねた結果、醪を使用して酒類又は調味料を製造する方法において、醪を固液分離して得た液を、その後清澄化する工程で高周波処理することにより、前記課題を解決した高品質の酒類、調味料を得ることが可能であることを見出した。
酒類、調味料のうち、例えば清酒の製造は、原料処理、仕込、糖化・発酵、上槽及び精製工程よりなり、また、例えばみりんの製造は、原料処理、仕込、糖化・熟成、上槽及び精製工程よりなる。ここでいう原料処理は、製麹工程及び掛米の液化・糖化工程を含み、精製工程は火入れ、滓下げ、清澄化を含む。
【0007】
以下に本発明を詳細に説明する。
本発明における酒類、調味料としては、清酒、みりん、老酒、赤酒、料理酒、ビール、ワイン、醤油、酢及び発酵調味液等が挙げられる。
【0008】
本発明における原料としては、米(粳米、糯米)、麦、ヒエ、アワ、コウリャン、ソバ、トウモロコシ等の穀物、サツマイモ、ジャガイモ、サトイモ等のイモ類及びデーツ、クリ、ゴマ、大豆等の果実、種子、豆類等も使用できる。これらは未精白のまま使用してもよいし、精白して用いることもできる。粒状物以外に破砕物や粉体、更に粉体の粒状成形品若しくはペレット状の成形加工品も原料として利用できる。前記原料は単独又は混合して使用され、これらの原料を精白した場合には外層の糠部も併用でき、更に、前記粉体にデンプン、デンプン部分加水分解物、ブドウ糖等が混合されていてもよい。
【0009】
酒類、調味料の製造に使用する酵素剤として、液化酵素剤及び/又は糖化酵素剤がある。液化酵素剤としては、中温性のスピターゼCP−3〔ナガセ生化学工業(株)製〕、コクゲン〔大和化成(株)製〕、クライスターゼ〔大和化成(株)製〕、α−アミラーゼ−800〔上田化学工業(株)製〕や、高温性スピターゼHS〔ナガセ生化学工業(株)製〕、ターマミル〔ノボ(株)製〕、クライスターゼTS〔大和化成(株)製〕、コクゲンT20M〔大和化成(株)製〕等が使用できる。糖化酵素剤としては、サンスーパー〔ノボ(株)製〕、スミチームL〔新日本化学工業(株)製〕、ユニアーゼK〔(株)ヤクルト本社製〕、ダビアーゼK−27〔ナガセ生化学工業(株)製〕等が使用できる。その他の酵素剤としてプロテアーゼ剤、セルラーゼ剤、ヘミセルラーゼ剤を併用してもよい。液化・糖化処理工程に使用する装置としては回分式でもよく、連続式も使用できる。
【0010】
本明細書において、「醪を固液分離して得た液を、その後清澄化する」とは、下記のことを意味する。
まず、本発明の醪は、糖化・熟成途中又は糖化・発酵途中の醪でもよく、糖化・熟成後又は糖化・発酵後の醪でもよい。次に「固液分離」は常法のいずれの方法でもよく、例えば圧搾、遠心分離、自然沈降等がある。次に、上記のように、糖化・熟成又は糖化・発酵途中の醪を使用した場合には、固液分離後のいずれかの時点で熟成又は発酵を行うこととなる。それ故、前記した「固液分離して得た液を、その後清澄化する」とは、清澄化する液が、固液分離したままの液はもちろんのこと、該液を糖化・熟成又は糖化・発酵等の処理を行った液、更に前記各液に場合により火入れ処理を行った液のいずれでもよいことを意味する。
なお、いずれの醪を使用する場合であっても、本発明方法により高周波を照射した後に、更に糖化・熟成又は糖化・発酵を行ってもよい。
【0011】
本発明における清澄化とは、醪を固液分離して得た液、又は前記各処理液に清澄剤を分散させること並びに滓成分を清澄剤と共に凝集させて滓下げし清澄とすることを意味する。
本発明に使用される清澄剤は、醸造に一般に用いられるものであればよく、特に限定されない。柿渋、タンパク質を主成分とする清澄剤、多糖類を主成分とする清澄剤、プロテアーゼを主成分とする清澄剤、ペクチナーゼを主成分とする清澄剤、二酸化ケイ素(例えばシリカゲル、ケイ藻土など)、フィロケイ酸マグネシウム等が使用できる。
また、ビール、ワイン、清酒の清澄剤として使用できるポリビニルピロリドンやポリビニルポリピロリドンも使用できる。柿渋としては、通常の柿渋、粉末柿渋、タンニン酸添加柿渋等が使用できる。タンパク質を主成分とする清澄剤としては、活性グルテン、ゼラチン、卵白等が使用できる。多糖類を主成分とする清澄剤としては、アルギン酸塩、カラギーナン等が使用できる。前記清澄剤は単独で使用することができるが、組合せて使用することもできる。
【0013】
本発明に用いる高周波を照射する条件は、被処理物の種類及び形態により適宜選択される。周波数は、好ましくは清澄剤の分散の観点より15kHz〜数100MHz、特に好ましくは凝集反応の観点より20kHz〜100MHzの範囲で適宜選択され、強度は好ましくは0.001W/cm2 超、特に好ましくは0.005W/cm2 超から適宜選択され、更に照射時間は好ましくは数秒〜数時間、特に好ましくは数10秒〜数10分の範囲で適宜選択され、連続的に行っても間欠的に行ってもよい。
醪を固液分離して得た液に清澄剤を分散させるとき並びに滓成分を清澄剤とともに凝集させて滓下げするときの二段階で高周波を照射するのが好ましいが、それぞれ単独で照射してもよいし、照射する高周波の周波数も通して同じ周波数で行ってもよい。
【0014】
火入れした後に高周波を照射するのが好ましいが、火入れするときに高周波を照射してもよい。
火入れ条件は、製品の香味保持の上から、火入れ温度は60〜90℃の範囲で選択され、火入れ時間は10秒〜数分の範囲で適宜選択される。
【0015】
以下に、酒類、調味料であるみりんを例にとり、清澄化と残存酵素活性との関係を検討した結果を示す。
【0016】
(検討1) まず、モデルのみりんを調製し、酵素剤を添加して、清澄化する工程での高周波照射が残存酵素活性に及ぼす影響を検討した。
ブドウ糖を14%(v/v)アルコールを含む0.2M酢酸緩衝液に溶解し、0%及び50%(w/w)濃度の溶液を調製した(各300g)。この調製した溶液中に細菌由来α−アミラーゼ酵素剤〔ナガセ生化学工業(株)製、スピターゼCP−3、30,000単位/g〕を溶液1g当り2単位となるように、各々の濃度の溶液に添加し、その後、従来の方法〔ジャーナル オブ ファーメンテーション バイオエンジニアリング(J.Ferm. Bioeng.)、第68巻、第49〜51頁(1989)〕に従って75℃で30秒火入れした。火入れ後、常温(20〜30℃)の溶液へ、柿渋(岩本亀太郎商店製、ボーメ度 12)7ml/kg及び活性グルテン(大日本理化学研究所製、日研ホワイト)1.3g/kgをそれぞれ添加した。
柿渋添加後、活性グルテン添加後のそれぞれにおいて、高周波照射の有無の効果の確認を行った。
柿渋添加後には、分散を目的として高周波を周波数38kHz、強度0.4W/cm2 で5分間照射した。高周波照射しない場合は5分間よくかくはんするのみとした。活性グルテン添加後においても、高周波照射する場合には高周波を周波数2000kHz、強度0.4W/cm2 で5分間照射し、高周波照射しない場合は5分間よくかくはんするのみとした。
この後、常温で24時間静置した。この上澄液中の残存α−アミラーゼ活性を測定した。また、糊化デンプンの粘度低下試験として、9%バレイショデンプンを含む溶液を蒸留水で調製して、内径18mmの試験管中へ入れ、火入れ・滓下げした上澄液を0.5g添加し、均一分散した後、60〜70℃でゲル化した。このゲルは80℃で試験管を逆さにしてもゲルが流れない。80℃でゲルの軟化の経時変化を観察した。ゲル軟化の評価は、ゲルを含む試験管を10分間隔で数秒逆さにして流れのあるなしを評価し、180分以上経過してゲルが流れなかった場合を「良」とし、180分未満の場合を「不良」とした。結果を下記表1に示す。
【0017】
【表1】
Figure 0003642501
【0018】
添加時の活性 : 2単位/g
酵素活性 : 1単位は、pH5.3、40℃、10分間反応で10mlの1%アルカリ糊化バレイショデンプン溶液のヨウ素による青色呈色値を10%減少させる酵素量をいう。
【0019】
表1から、ブドウ糖濃度0%(w/w)で、この清澄剤使用量では残存α−アミラーゼ活性は高周波照射の有無に関わらず検出されなかった。高周波を照射すると滓下がりが良好になった。ブドウ糖濃度50%(w/w)では、柿渋添加後に高周波を照射した場合には、高周波を照射しない場合に比べ残存α−アミラーゼ活性は顕著に低下し、活性グルテン添加後にも高周波を照射することによりより滓下がりは良好となった。
【0020】
(検討2) 次に、清澄化に用いる柿渋と活性グルテンの量が残存酵素活性に及ぼす影響を検討した。
すなわち、検討1で用いたブドウ糖濃度50%(w/w)のモデルのみりん(各300g)へ、スピターゼCP−3を2単位/gになるように添加し、75℃で30秒火入れし、検討1と同様に所定量の柿及び活性グルテンを添加・かくはんした。高周波照射の有無の効果の確認も、検討1と同様に柿渋添加後、活性グルテン添加後のそれぞれについて行った。
常温で24時間静置した後、上澄中の残存α−アミラーゼ活性と粘度低下試験を行い評価した。結果を下記表2に示す。
【0021】
【表2】
Figure 0003642501
【0022】
表2から、柿渋や活性グルテンの量を軽減しても、柿渋添加後に高周波を照射すると残存α−アミラーゼ活性は顕著に減少し、更に、活性グルテン添加後に高周波を照射すると滓下がりも良好となった。
【0023】
清澄剤の使用量が増加すると滓量が増加することになるので、清澄剤を減少させ高周波照射することにより滓下げすることは酒類、調味料の品質向上の上からも有効である。
更に、酒類、調味料の滓下げの効率化に、清澄剤分散時に比較的低周波の高周波を周波数15kHz〜数100kHzで照射し、また、清澄剤による凝集反応には、比較的高周波の高周波を周波数100kHz〜数100MHzで照射することが効果のあることがわかった。
【0024】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0025】
実施例1
精米歩合85%の糯白米995gを常法に従って、浸漬、水切りし、この浸漬米を加圧蒸着(124℃、10分間)し、12リットル容の容器に予め細菌α−アミラーゼ酵素剤〔ナガセ生化学工業(株)製、スピターゼCP−3〕338mgを溶解した16%希釈アルコール溶液1390gへ混合した。この混合物へ米麹320gと糸状菌中性プロテアーゼ酵素剤〔ナガセ生化学工業(株)製、デナチームXP−353〕150mgを投入し、第一次仕込醪となし、室温(25〜30℃)で30日間糖化・熟成した。仕込配合を下記表3に示す。
【0026】
【表3】
Figure 0003642501
【0027】
この熟成醪を圧搾して得られた搾汁の組成を下記表4に示す。
【0028】
【表4】
Figure 0003642501
【0029】
得られた搾汁2kgに対し、37%(w/w)アルコール780g及びデンプン部分加水分解物(水分22%、w/w)1435gを添加・かくはんした。調合した液は二等分し、それぞれ75℃で30秒の火入れを行った。
一方は、火入れ時に高周波を周波数38kHz、強度0.4W/cm2 で照射を行い、柿渋(岩本亀太郎商店製、ボーメ度 12)4ml/kg添加後、高周波を周波数38kHz、強度0.4W/cm2 で5分間照射し、更に活性グルテン(大日本理化学研究所製、日研ホワイト)0.6g/kg添加後、高周波を周波数2000kHz、強度0.4W/cm2 で5分間照射して滓下げした。対照は、いずれのときにも高周波を照射せず、通常のかくはんを行い、柿渋7ml/kg及び活性グルテン1.3g/kgを使用して、常温で静置して滓下げした。この規模の滓下げで、対照の場合3日間を要するのに対して、本発明は2日間で済むので、滓下げ期間が短縮され、見掛けの滓容量も本発明品は対照の約半分となることが明らかとなった。それぞれの上澄と滓部分とを分離し、滓部分は遠心分離して滓を除去した。本発明品及び対照の液組成を分析し、官能評価を行った。結果を下記表5に示す。
【0030】
【表5】
Figure 0003642501
【0031】
注)滓下げ前鉄分0.17ppm含有
【0032】
表5から、本発明品と対照の成分組成の分析値は、ほぼ同じであったが、旨味に関与するアミノ酸が対照に比べ本発明品に多く、みりんに含まれる鉄分は減少していた。滓下げ評価によると、柿渋と活性グルテンの使用量は、本発明品が対照に比べ、約半分であるにもかかわらず、可溶性タンパク質は除去され、比濁度も低く照りがよく、品質上優れていた。官能評価結果を下記表6に示す。
【0033】
【表6】
Figure 0003642501
【0034】
Figure 0003642501
【0035】
表6より、本発明品の評価は、香り、味とも顕著に良好で旨味が豊富であり味なれがよいとの評で、評価値も良い結果であった。
【0036】
実施例2
精米歩合75%の粳白米を用い表7に示す仕込配合で三段仕込により清酒を試醸した。初添、仲添、留添ともに、粳白米を常法により浸漬、蒸煮した蒸米を用いた。蒸煮は常法で10分間蒸した。麹も同様に常圧蒸米を用い、常法に従って調製したものを使用した。酵母は協会701号を用いた。15℃で発酵を行い、留添後17日目で発酵を終了し、これを圧搾し、搾汁と粕とに分離した。
【0037】
【表7】
Figure 0003642501
【0038】
分離した搾汁は、火入れを75℃、30秒行った。それぞれを1リットルずつに分け、柿渋(ボーメ度 6)を1.8ml/リットル添加し、高周波を周波数38kHz、強度0.4W/cm2 で、5分間常温で照射し、その後活性グルテン0.06g/リットルを添加し、高周波を周波数2000kHz、強度0.4W/cm2 で5分間常温で照射し、15℃で静置して滓下げした。一方、対照1は、高周波照射せずかくはんのみとした。対照2、対照3は、火入れをしない上槽直前の清酒を5℃において、それぞれ周波数20kHz、200kHzで14時間高周波を照射した後上槽したものとした〔日本醸造協会誌、第60巻、第11号、第969頁(1965)〕。対照1、対照2及び対照3の滓下がりはこの規模では1日で行えたが、本発明は約半日でほぼ終了した。また、本発明の滓は凝集が十分に行え、沈殿した見掛けの滓量は対照1の半分以下となった。次に上澄液の成分分析を行い、結果を下記表8に示す。
【0039】
【表8】
Figure 0003642501
【0040】
注)滓下げ前鉄分0.11ppm含有
【0041】
表8から、清酒の成分はほとんど同じであったが、清酒に含まれる鉄分と清酒のさえ(透明感)についてみると、本発明品は対照1、対照2及び対照3に比べ、鉄分が減少しており、また、透明感が増すことがわかった。このことは、清酒中の鉄が滓粒子によく吸着されたことを示している。また、対照2、対照3の全窒素含量は、本発明品や対照1に比べ、高い値となり、アミノ酸が多い酒質となった。次に、これらの清酒の官能評価を行い、結果を下記表9に示す。
【0042】
【表9】
Figure 0003642501
【0043】
Figure 0003642501
【0044】
表9より、本発明品の評価は、香りは対照1、対照2及び対照3と同等、味については対照2及び対照3が雑味が多いのに対し顕著に全体のバランスと味のなじみがあるとの評で、清酒のさえ等光沢があり、総合でも良い結果があった。
【0045】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、製品品質の香味やさえと光沢が改善され、除鉄等の効果もあり、滓下げに要する清澄剤の量も低減でき、かつ滓下げ時間の短縮や滓量が減少して、作業も容易になる。したがって、本発明はコスト低減につながる有用な酒類、調味料の製造方法である。

Claims (2)

  1. 醪を使用して酒類又は調味料を製造する方法において、醪を固液分離して得た液を、その後清澄化する工程で清澄剤を添加後、周波数20kHz〜100MHzの範囲で高周波処理する工程を含むことを特徴とする酒類、調味料の製造方法。
  2. 清澄剤が、柿渋、アルギン酸塩、カラギーナン、活性グルテン、ゼラチン、卵白、プロテアーゼ、ペクチナーゼ、二酸化ケイ素、フィロケイ酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン及びポリビニルポリピロリドンからなる群より選ばれた少なくとも一つである請求項1に記載の酒類、調味料の製造方法。
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