JPH08322546A - 酒類、調味料の製造方法 - Google Patents
酒類、調味料の製造方法Info
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- JPH08322546A JPH08322546A JP7155537A JP15553795A JPH08322546A JP H08322546 A JPH08322546 A JP H08322546A JP 7155537 A JP7155537 A JP 7155537A JP 15553795 A JP15553795 A JP 15553795A JP H08322546 A JPH08322546 A JP H08322546A
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Abstract
作業性が向上し、かつその好適な品質を阻害しない高品
質の酒類、調味料の製造方法を提供する。 【構成】 醪を使用して酒類又は調味料を製造する方法
において、醪を固液分離して得た液を、その後清澄化す
る工程で高周波処理する工程を含む酒類、調味料の製造
方法。酒類、調味料としては、清酒、みりん、老酒、赤
酒、料理酒、ビール、ワイン、醤油、酢及び発酵調味液
等がある。高周波の周波数は、15kHz〜数100M
Hzが好ましい。清澄化では清澄剤を併用することが好
ましい。 【効果】 製品品質の香味やさえと光沢が改善され、除
鉄等の効果もあり、滓下げに要する清澄剤の量も低減で
きる。
Description
法に関し、製品品質が改善され、滓成分が十分除去で
き、かつ効率のよい迅速な滓下がりで、作業性の向上を
可能とした酒類、調味料の製造方法に関する。
み醪となし、糖化・発酵後、醪を圧搾して固液分離し、
搾汁を火入れ、滓下げし、精製して製品とする。みりん
の従来の製造方法は、伝統的製法としては、原料を仕込
み、糖化・熟成を行い、醪を圧搾して得られた搾汁を火
入れ・滓下げし、精製して製品とする。また、醪を圧搾
して得られた搾汁にデンプン部分加水分解物及びアルコ
ール溶液を添加して、火入れ・滓下げし、精製して製品
とする方法(特公平2−18060号)も知られてい
る。酒類、調味料の滓とは、製品の保存期間中に酒類、
調味料中に可溶化されていた成分が、温度変化や光照射
等により、変性して不溶化して、濁ったり、沈殿した
り、また調理の加熱時に不溶化して濁ったりする物質で
ある。滓の主たる原因の成分は、例えば清酒の場合は主
として米麹由来のグルコアミラーゼが変性したものであ
り、これに低分子の塩基性物質が関与しているものと考
えられている。みりんの場合は、原料中のタンパク質が
みりん中に未分解で可溶化しており、外部条件の変化に
より不溶化するものである。このタンパク質は、米タン
パク質の高分子ペプチド、米麹由来の酵素類、更には、
醪に添加する酵素剤の酵素タンパク質であろうといわれ
ている。この滓の発生は、商品価値を著しく低下させ、
また酵素類の残存は、活性を保持している場合には、製
品の成分を変化させたり、調理時にデンプン材料等の粘
度低下を来すなどの悪影響を及ぼす。
入れして液中のタンパク質を変性させた後、清澄剤とし
て、柿渋及び活性グルテン(若しくはゼラチン)が使用
されている。すなわち、火入れした液中へ柿渋を添加・
かくはんして分散させ、滓成分を更に変性、結合させた
後、活性グルテン(若しくはゼラチン)を添加・かくは
んして自然の凝集反応を待ち、沈殿させて清澄させるの
で、実生産の大規模タンクにおいては滓下がりに長期間
を要し、5〜10日間の静置期間を必要とする。一方、
柿渋・活性グルテン以外の清澄剤として、シリカゲルを
用いる高糖濃度含有調味料の滓下げ法(特開昭57−1
86457号)があり、加熱下でシリカゲルと接触させ
て、短時間で滓の原因物質を吸着させ、これを除去する
ことが知られている。しかし、滓発生の原因物質の吸着
と共に、芳香な呈味成分も吸着するといわれている。別
に、高糖濃度含有調味液のオリ下げ方法(特開昭63−
102649号)があり、特定の性状を有する合成フィ
ロケイ酸マグネシウムを用いて、滓成分を選択的に比較
的低温で風味を損なわずに、効率よく滓下げできること
が知られている。しかしながら、柿渋にはタンニンによ
るタンパク変性、除鉄作用や抗菌作用が知られ、この優
れた特性から醸造物の精製工程で多用されているのが現
状である。また、固液分離前、すなわち上槽直前の濃厚
な滓を含む清酒に高周波を周波数20kHz又は200
kHzで照射することにより、清酒の滓下がりが促進さ
れることが知られている〔日本醸造協会誌、第60巻、
第11号、第969頁(1965)〕。しかしながら、
この方法では清酒中にアミノ酸が多くなり雑味が出て、
酒質が悪くなるという欠点があることを本発明者らは見
出している。
味料の製造に、酵素剤、例えばα−アミラーゼやグルコ
アミラーゼが使用され、使用原料中のデンプンの溶解を
促進・向上させて、生産性と収率の改善が計られてい
る。したがって、酒類、調味料の品質の上から、滓下げ
工程で原料由来の可溶性の未分解タンパク質や麹由来の
酵素タンパク質の除去に加え、添加した酵素タンパク質
除去が必要である。ここで、酵素の失活については、ま
ず加熱失活が考えられるが、比較的耐熱性を有する酵素
剤使用の場合、酒類、調味料への過度の加熱は、香味を
損ない着色を生じ、品質劣化につながる。次に、酵素タ
ンパク質の除去については、清澄剤で除去することが考
えられる。例えば、火入れした液中へ柿渋を添加し充分
にかくはんして分散させ、柿渋タンニンが可溶性タンパ
ク質や酵素タンパク質を変性し、結合してコロイドを作
る。その後、更に活性グルテンやゼラチン等を加え、か
くはんして自然の凝集反応をさせ、沈殿を待つ。しかし
ながら、大規模タンクでの滓下げには長時間を有するこ
とになる。そこで、酒類、調味料の品質を低下させるこ
となく、柿渋タンニンと可溶性タンパク質や酵素タンパ
ク質の変性と結合を促進し、更に活性グルテンやゼラチ
ン等での凝集反応を円滑化し、清澄剤の使用量を低減さ
せ、滓量低減や香味成分の吸着の軽減と柿渋由来の臭い
の着香、収れん味の付与が防止されるような滓下げを行
う製造技術の確立が望まれていた。本発明の目的は、滓
成分が十分除去でき、効率のよい迅速な滓下がりで、滓
下げ時間の短縮と作業性が向上し、かつその好適な品質
を阻害しない高品質の酒類、調味料の製造方法を提供す
ることにある。
を使用して酒類又は調味料を製造する方法において、醪
を固液分離して得た液を、その後清澄化する工程で高周
波処理する工程を含むことを特徴とする酒類、調味料の
製造方法に関する。
を解決するため、鋭意研究を重ねた結果、醪を使用して
酒類又は調味料を製造する方法において、醪を固液分離
して得た液を、その後清澄化する工程で高周波処理する
ことにより、前記課題を解決した高品質の酒類、調味料
を得ることが可能であることを見出した。酒類、調味料
のうち、例えば清酒の製造は、原料処理、仕込、糖化・
発酵、上槽及び精製工程よりなり、また、例えばみりん
の製造は、原料処理、仕込、糖化・熟成、上槽及び精製
工程よりなる。ここでいう原料処理は、製麹工程及び掛
米の液化・糖化工程を含み、精製工程は火入れ、滓下
げ、清澄化を含む。
おける酒類、調味料としては、清酒、みりん、老酒、赤
酒、料理酒、ビール、ワイン、醤油、酢及び発酵調味液
等が挙げられる。
糯米)、麦、ヒエ、アワ、コウリャン、ソバ、トウモロ
コシ等の穀物、サツマイモ、ジャガイモ、サトイモ等の
イモ類及びデーツ、クリ、ゴマ、大豆等の果実、種子、
豆類等も使用できる。これらは未精白のまま使用しても
よいし、精白して用いることもできる。粒状物以外に破
砕物や粉体、更に粉体の粒状成形品若しくはペレット状
の成形加工品も原料として利用できる。前記原料は単独
又は混合して使用され、これらの原料を精白した場合に
は外層の糠部も併用でき、更に、前記粉体にデンプン、
デンプン部分加水分解物、ブドウ糖等が混合されていて
もよい。
て、液化酵素剤及び/又は糖化酵素剤がある。液化酵素
剤としては、中温性のスピターゼCP−3〔ナガセ生化
学工業(株)製〕、コクゲン〔大和化成(株)製〕、ク
ライスターゼ〔大和化成(株)製〕、α−アミラーゼ−
800〔上田化学工業(株)製〕や、高温性スピターゼ
HS〔ナガセ生化学工業(株)製〕、ターマミル〔ノボ
(株)製〕、クライスターゼTS〔大和化成(株)
製〕、コクゲンT20M〔大和化成(株)製〕等が使用
できる。糖化酵素剤としては、サンスーパー〔ノボ
(株)製〕、スミチームL〔新日本化学工業(株)
製〕、ユニアーゼK〔(株)ヤクルト本社製〕、ダビア
ーゼK−27〔ナガセ生化学工業(株)製〕等が使用で
きる。その他の酵素剤としてプロテアーゼ剤、セルラー
ゼ剤、ヘミセルラーゼ剤を併用してもよい。液化・糖化
処理工程に使用する装置としては回分式でもよく、連続
式も使用できる。
た液を、その後清澄化する」とは、下記のことを意味す
る。まず、本発明の醪は、糖化・熟成途中又は糖化・発
酵途中の醪でもよく、糖化・熟成後又は糖化・発酵後の
醪でもよい。次に「固液分離」は常法のいずれの方法で
もよく、例えば圧搾、遠心分離、自然沈降等がある。次
に、上記のように、糖化・熟成又は糖化・発酵途中の醪
を使用した場合には、固液分離後のいずれかの時点で熟
成又は発酵を行うこととなる。それ故、前記した「固液
分離して得た液を、その後清澄化する」とは、清澄化す
る液が、固液分離したままの液はもちろんのこと、該液
を糖化・熟成又は糖化・発酵等の処理を行った液、更に
前記各液に場合により火入れ処理を行った液のいずれで
もよいことを意味する。なお、いずれの醪を使用する場
合であっても、本発明方法により高周波を照射した後
に、更に糖化・熟成又は糖化・発酵を行ってもよい。
を使用し清澄化する場合には、醪を固液分離して得た
液、又は前記各処理液に清澄剤を分散させること並びに
滓成分を清澄剤と共に凝集させて滓下げし清澄とするこ
とを意味する。本発明に使用される清澄剤は、醸造に一
般に用いられるものであればよく、特に限定されない。
柿渋、タンパク質を主成分とする清澄剤、多糖類を主成
分とする清澄剤、プロテアーゼを主成分とする清澄剤、
ペクチナーゼを主成分とする清澄剤、二酸化ケイ素(例
えばシリカゲル、ケイ藻土など)、フィロケイ酸マグネ
シウム等が使用できる。また、ビール、ワイン、清酒の
清澄剤として使用できるポリビニルピロリドンやポリビ
ニルポリピロリドンも使用できる。柿渋としては、通常
の柿渋、粉末柿渋、タンニン酸添加柿渋等が使用でき
る。タンパク質を主成分とする清澄剤としては、活性グ
ルテン、ゼラチン、卵白等が使用できる。多糖類を主成
分とする清澄剤としては、アルギン酸塩、カラギーナン
等が使用できる。前記清澄剤は単独で使用することがで
きるが、組合せて使用することもできる。
の清澄剤を用いる方法以外に、滓下げ方法として従来用
いられている自然沈降による方法でもよく、特に限定は
されず、また遠心分離機等を用いた方法でもよい。
被処理物の種類及び形態により適宜選択される。周波数
は、好ましくは清澄剤の分散の観点より15kHz〜数
100MHz、特に好ましくは凝集反応の観点より20
kHz〜100MHzの範囲で適宜選択され、強度は好
ましくは0.001W/cm2 超、特に好ましくは0.
005W/cm2 超から適宜選択され、更に照射時間は
好ましくは数秒〜数時間、特に好ましくは数10秒〜数
10分の範囲で適宜選択され、連続的に行っても間欠的
に行ってもよい。醪を固液分離して得た液に清澄剤を分
散させるとき並びに滓成分を清澄剤とともに凝集させて
滓下げするときの二段階で高周波を照射するのが好まし
いが、それぞれ単独で照射してもよいし、照射する高周
波の周波数も通して同じ周波数で行ってもよい。
しいが、火入れするときに高周波を照射してもよい。火
入れ条件は、製品の香味保持の上から、火入れ温度は6
0〜90℃の範囲で選択され、火入れ時間は10秒〜数
分の範囲で適宜選択される。
とり、清澄化と残存酵素活性との関係を検討した結果を
示す。
し、酵素剤を添加して、清澄化する工程での高周波照射
が残存酵素活性に及ぼす影響を検討した。ブドウ糖を1
4%(v/v)アルコールを含む0.2M酢酸緩衝液に
溶解し、0%及び50%(w/w)濃度の溶液を調製し
た(各300g)。この調製した溶液中に細菌由来α−
アミラーゼ酵素剤〔ナガセ生化学工業(株)製、スピタ
ーゼCP−3、30,000単位/g〕を溶液1g当り
2単位となるように、各々の濃度の溶液に添加し、その
後、従来の方法〔ジャーナル オブ ファーメンテーシ
ョン バイオエンジニアリング(J.Ferm. Bioeng.)、
第68巻、第49〜51頁(1989)〕に従って75
℃で30秒火入れした。火入れ後、常温(20〜30
℃)の溶液へ、柿渋(岩本亀太郎商店製、ボーメ度 1
2)7ml/kg及び活性グルテン(大日本理化学研究
所製、日研ホワイト)1.3g/kgをそれぞれ添加し
た。柿渋添加後、活性グルテン添加後のそれぞれにおい
て、高周波照射の有無の効果の確認を行った。柿渋添加
後には、分散を目的として高周波を周波数38kHz、
強度0.4W/cm2 で5分間照射した。高周波照射し
ない場合は5分間よくかくはんするのみとした。活性グ
ルテン添加後においても、高周波照射する場合には高周
波を周波数2000kHz、強度0.4W/cm2 で5
分間照射し、高周波照射しない場合は5分間よくかくは
んするのみとした。この後、常温で24時間静置した。
この上澄液中の残存α−アミラーゼ活性を測定した。ま
た、糊化デンプンの粘度低下試験として、9%バレイシ
ョデンプンを含む溶液を蒸留水で調製して、内径18m
mの試験管中へ入れ、火入れ・滓下げした上澄液を0.
5g添加し、均一分散した後、60〜70℃でゲル化し
た。このゲルは80℃で試験管を逆さにしてもゲルが流
れない。80℃でゲルの軟化の経時変化を観察した。ゲ
ル軟化の評価は、ゲルを含む試験管を10分間隔で数秒
逆さにして流れのあるなしを評価し、180分以上経過
してゲルが流れなかった場合を「良」とし、180分未
満の場合を「不良」とした。結果を下記表1に示す。
0分間反応で10mlの1%アルカリ糊化バレイショデ
ンプン溶液のヨウ素による青色呈色値を10%減少させ
る酵素量をいう。
で、この清澄剤使用量では残存α−アミラーゼ活性は高
周波照射の有無に関わらず検出されなかった。高周波を
照射すると滓下がりが良好になった。ブドウ糖濃度50
%(w/w)では、柿渋添加後に高周波を照射した場合
には、高周波を照射しない場合に比べ残存α−アミラー
ゼ活性は顕著に低下し、活性グルテン添加後にも高周波
を照射することによりより滓下がりは良好となった。
活性グルテンの量が残存酵素活性に及ぼす影響を検討し
た。すなわち、検討1で用いたブドウ糖濃度50%(w
/w)のモデルのみりん(各300g)へ、スピターゼ
CP−3を2単位/gになるように添加し、75℃で3
0秒火入れし、検討1と同様に所定量の柿及び活性グル
テンを添加・かくはんした。高周波照射の有無の効果の
確認も、検討1と同様に柿渋添加後、活性グルテン添加
後のそれぞれについて行った。常温で24時間静置した
後、上澄中の残存α−アミラーゼ活性と粘度低下試験を
行い評価した。結果を下記表2に示す。
しても、柿渋添加後に高周波を照射すると残存α−アミ
ラーゼ活性は顕著に減少し、更に、活性グルテン添加後
に高周波を照射すると滓下がりも良好となった。
ることになるので、清澄剤を減少させ高周波照射するこ
とにより滓下げすることは酒類、調味料の品質向上の上
からも有効である。更に、酒類、調味料の滓下げの効率
化に、清澄剤分散時に比較的低周波の高周波を周波数1
5kHz〜数100kHzで照射し、また、清澄剤によ
る凝集反応には、比較的高周波の高周波を周波数100
kHz〜数100MHzで照射することが効果のあるこ
とがわかった。
説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
漬、水切りし、この浸漬米を加圧蒸着(124℃、10
分間)し、12リットル容の容器に予め細菌α−アミラ
ーゼ酵素剤〔ナガセ生化学工業(株)製、スピターゼC
P−3〕338mgを溶解した16%希釈アルコール溶
液1390gへ混合した。この混合物へ米麹320gと
糸状菌中性プロテアーゼ酵素剤〔ナガセ生化学工業
(株)製、デナチームXP−353〕150mgを投入
し、第一次仕込醪となし、室温(25〜30℃)で30
日間糖化・熟成した。仕込配合を下記表3に示す。
を下記表4に示す。
w)アルコール780g及びデンプン部分加水分解物
(水分22%、w/w)1435gを添加・かくはんし
た。調合した液は二等分し、それぞれ75℃で30秒の
火入れを行った。一方は、火入れ時に高周波を周波数3
8kHz、強度0.4W/cm2 で照射を行い、柿渋
(岩本亀太郎商店製、ボーメ度 12)4ml/kg添
加後、高周波を周波数38kHz、強度0.4W/cm
2 で5分間照射し、更に活性グルテン(大日本理化学研
究所製、日研ホワイト)0.6g/kg添加後、高周波
を周波数2000kHz、強度0.4W/cm2 で5分
間照射して滓下げした。対照は、いずれのときにも高周
波を照射せず、通常のかくはんを行い、柿渋7ml/k
g及び活性グルテン1.3g/kgを使用して、常温で
静置して滓下げした。この規模の滓下げで、対照の場合
3日間を要するのに対して、本発明は2日間で済むの
で、滓下げ期間が短縮され、見掛けの滓容量も本発明品
は対照の約半分となることが明らかとなった。それぞれ
の上澄と滓部分とを分離し、滓部分は遠心分離して滓を
除去した。本発明品及び対照の液組成を分析し、官能評
価を行った。結果を下記表5に示す。
析値は、ほぼ同じであったが、旨味に関与するアミノ酸
が対照に比べ本発明品に多く、みりんに含まれる鉄分は
減少していた。滓下げ評価によると、柿渋と活性グルテ
ンの使用量は、本発明品が対照に比べ、約半分であるに
もかかわらず、可溶性タンパク質は除去され、比濁度も
低く照りがよく、品質上優れていた。官能評価結果を下
記表6に示す。
も顕著に良好で旨味が豊富であり味なれがよいとの評
で、評価値も良い結果であった。
段仕込により清酒を試醸した。初添、仲添、留添とも
に、粳白米を常法により浸漬、蒸煮した蒸米を用いた。
蒸煮は常法で10分間蒸した。麹も同様に常圧蒸米を用
い、常法に従って調製したものを使用した。酵母は協会
701号を用いた。15℃で発酵を行い、留添後17日
目で発酵を終了し、これを圧搾し、搾汁と粕とに分離し
た。
行った。それぞれを1リットルずつに分け、柿渋(ボー
メ度 6)を1.8ml/リットル添加し、高周波を周
波数38kHz、強度0.4W/cm2 で、5分間常温
で照射し、その後活性グルテン0.06g/リットルを
添加し、高周波を周波数2000kHz、強度0.4W
/cm2 で5分間常温で照射し、15℃で静置して滓下
げした。一方、対照1は、高周波照射せずかくはんのみ
とした。対照2、対照3は、火入れをしない上槽直前の
清酒を5℃において、それぞれ周波数20kHz、20
0kHzで14時間高周波を照射した後上槽したものと
した〔日本醸造協会誌、第60巻、第11号、第969
頁(1965)〕。対照1、対照2及び対照3の滓下が
りはこの規模では1日で行えたが、本発明は約半日でほ
ぼ終了した。また、本発明の滓は凝集が十分に行え、沈
殿した見掛けの滓量は対照1の半分以下となった。次に
上澄液の成分分析を行い、結果を下記表8に示す。
ったが、清酒に含まれる鉄分と清酒のさえ(透明感)に
ついてみると、本発明品は対照1、対照2及び対照3に
比べ、鉄分が減少しており、また、透明感が増すことが
わかった。このことは、清酒中の鉄が滓粒子によく吸着
されたことを示している。また、対照2、対照3の全窒
素含量は、本発明品や対照1に比べ、高い値となり、ア
ミノ酸が多い酒質となった。次に、これらの清酒の官能
評価を行い、結果を下記表9に示す。
1、対照2及び対照3と同等、味については対照2及び
対照3が雑味が多いのに対し顕著に全体のバランスと味
のなじみがあるとの評で、清酒のさえ等光沢があり、総
合でも良い結果があった。
品品質の香味やさえと光沢が改善され、除鉄等の効果も
あり、滓下げに要する清澄剤の量も低減でき、かつ滓下
げ時間の短縮や滓量が減少して、作業も容易になる。し
たがって、本発明はコスト低減につながる有用な酒類、
調味料の製造方法である。
Claims (3)
- 【請求項1】 醪を使用して酒類又は調味料を製造する
方法において、醪を固液分離して得た液を、その後清澄
化する工程で高周波処理する工程を含むことを特徴とす
る酒類、調味料の製造方法。 - 【請求項2】 清澄化する工程で清澄剤を使用し、該清
澄剤が、柿渋、アルギン酸塩、カラギーナン、活性グル
テン、ゼラチン、卵白、プロテアーゼ、ペクチナーゼ、
二酸化ケイ素、フィロケイ酸マグネシウム、ポリビニル
ピロリドン及びポリビニルポリピロリドンからなる群よ
り選ばれた少なくとも一つである請求項1に記載の酒
類、調味料の製造方法。 - 【請求項3】 高周波の周波数が、15kHz〜数10
0MHzであることを特徴とする請求項1に記載の酒
類、調味料の製造方法。
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---|---|---|---|
JP15553795A JP3642501B2 (ja) | 1995-05-31 | 1995-05-31 | 酒類、調味料の製造方法 |
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JP15553795A JP3642501B2 (ja) | 1995-05-31 | 1995-05-31 | 酒類、調味料の製造方法 |
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JPH08322546A true JPH08322546A (ja) | 1996-12-10 |
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JP15553795A Expired - Lifetime JP3642501B2 (ja) | 1995-05-31 | 1995-05-31 | 酒類、調味料の製造方法 |
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