JP3356238B2 - みりんの製造方法 - Google Patents

みりんの製造方法

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聰 松岡
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春夫 大屋敷
尚宏 柿本
忠樹 茂野
忠▲徳▼ 矢野
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宝ホールディングス株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、みりんの製造方法に関
し、製品品質が顕著に改善され、滓成分が十分除去で
き、かつ効率のよい迅速な滓下がりで、作業性の向上を
可能としたみりんの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】みりんの従来の製造方法は、原料を仕込
み、その後にデンプン部分加水分解物を添加して醪とな
し、糖化・熟成を行い、醪を圧搾して得られた搾汁を火
入れ・滓下げして製品とする方法、並びに、原料を仕込
み、醪となし、糖化・熟成を行い、醪を圧搾して得られ
た搾汁にデンプン部分加水分解物及びアルコール溶液を
添加して、火入れ・滓下げして製品とする方法(特公平
2−18060号)が知られている。米及び米麹を主た
る原料とするみりんの糖濃度は、製品として40%(w
/w)以上を含有しているが、その製造工程には、滓下
げ工程が必須であり、滓の原因物質を予め除去すること
が行われている。みりんの滓とは、製品の保存期間中に
みりん液中に可溶化されていた成分が、温度変化や光照
射等により、変性して不溶化して、濁ったり、沈殿した
り、また調理の加熱時に不溶化して濁ったりする物質で
ある。滓の主たる原因の成分は、原料中のタンパク質が
みりん中に未分解で可溶化しており、外部条件の変化に
より不溶化するものである。このタンパク質は、米タン
パク質の未分解の高分子ペプチド、米麹由来の酵素類、
更には、醪に添加する酵素剤の酵素タンパク質であろう
といわれている。この滓の発生は、商品価値を著しく低
下させ、また酵素類の残存は、活性を保存している場合
には、調理時にデンプン材料等の粘度低下を来すなどの
悪影響を及ぼす。
【0003】従来の滓下げ工程は、火入れして液中のタ
ンパク質を変性させた後、清澄剤として、柿渋及び活性
グルテンが使用されている〔ジャーナル オブ ファー
メンテーション アンド バイオエンジニアリング(J.
Ferment.Bioeng.)、第68巻、第49〜51頁(198
9)〕。しかし、みりんは、液が粘ちょうであり、比重
も大きいので、実生産の大規模のタンクにおいて滓下が
りに長期間を要し、5〜10日間の静置時間が必要であ
る。一方、柿渋、活性グルテン以外の清澄剤として、シ
リカゲルを用いる高糖濃度含有調味料の滓下げ法(特開
昭57−186457号)があり、加熱下でシリカゲル
と接触させて、短時間で滓の原因物質を吸着させ、これ
を除去することが知られている。しかし、滓発生の原因
物質の吸着と共に、芳香や呈味成分も吸着するといわれ
ている。別に、高糖濃度含有調味液のオリ下げ方法(特
開昭63−102649号)があり、特定の性状を有す
る合成フィロケイ酸マグネシウムを用いて、滓成分を選
択的に比較的低温で風味を損なわずに、効率よく滓下げ
できることが知られている。しかしながら、柿渋には、
タンニンによるタンパク変性、除鉄作用や抗菌作用が知
られ、この優れた特性から醸造物の精製工程で、多用さ
れているのが現状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】最近になり、みりんの
製造に、α−アミラーゼ製剤が多用され、使用原料中の
デンプンの溶解を促進・向上させて、生産性と収率の改
善が計られている。したがって、みりんの品質の上か
ら、滓下げ工程で米由来の可溶性の未分解タンパク質や
麹由来の酵素タンパク質の除去に加え、添加した酵素タ
ンパク質除去が必要である。ここで、酵素の失活につい
ては、まず加熱失活が考えられるが、みりんへの過度の
加熱は、香味を損ない着色を生じ、品質劣化につなが
る。次に、酵素タンパク質の除去については、清澄剤で
除去することが考えられる。清澄剤である柿渋のタンニ
ンには、タンパク質の変性作用があり、可溶化タンパク
質を不溶化するが、多量の使用は、柿渋由来の臭いの着
香、収れん味の付与や香味成分の吸着、滓量増大に伴う
操作性の悪化、更には、滓下げコストの増大につなが
る。そこで、みりんの品質を低下させることなく滓下げ
を行える製造技術の確立が望まれていた。本発明の目的
は、滓成分を十分除去でき、効率のよい迅速な滓下がり
で、滓下げ時間の短縮と作業性の向上した高品質のみり
んの製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明を概説すれば、み
りんの製造方法において、醪を固液分離して得た液を火
入れ、滓下げして、次いで糖質を混合する工程を包含す
ることを特徴とするみりんの製造方法に関する。
【0006】本発明者らは、製造工程における前記課題
を解決するため、鋭意研究を重ねた結果、みりんの製造
方法において、醪を固液分離して得た液を火入れ、滓下
げして、次いで糖質を混合することにより、前記課題を
解決した高品質のみりんを得ることが可能であることを
見出した。みりんの製造は原料処理、仕込、糖化・熟
成、上槽及び精製工程よりなる。ここでいう原料処理は
製麹工程及び掛米の液化・糖化工程も含む。
【0007】以下に本発明を詳細に説明する。本発明に
おける原料としては、粳米、糯米、トウモロコシが例示
され、精白及び/又は未精白の原料が使用される。粒状
物以外に破砕物や粉体も原料として利用できる。また、
粉体の粒状若しくはペレット状の成形加工品も原料とし
て利用できる。前記原料は単独又は混合して使用され、
これらの原料を精白した場合は外層の糠部も併用でき
る。更に、前記粉体にデンプン、デンプン部分加水分解
物、ブドウ糖等が混合されていてもよい。
【0008】みりんの製造に使用する酵素剤として、液
化酵素剤及び/又は糖化酵素剤がある。液化酵素剤とし
ては、中温性のスピターゼCP−3〔ナガセ生化学工業
(株)製〕、コクゲン〔大和化成(株)製〕、クライス
ターゼ〔大和化成(株)製〕、α−アミラーゼ−800
〔上田化学工業(株)製〕や、高温性スピターゼHS
〔ナガセ生化学工業(株)製〕、ターマミル〔ノボ
(株)製〕、クライスターゼTS〔大和化成(株)
製〕、コクゲンT20M〔大和化成(株)製〕等が使用
できる。糖化酵素剤としては、サンスーパー〔ノボ
(株)製〕、スミチームL〔新日本化学工業(株)
製〕、ユニアーゼK〔(株)ヤクルト本社製〕、ダビア
ーゼK−27〔ナガセ生化学工業(株)製〕等が使用で
きる。その他の酵素剤としてプロテアーゼ剤、セルラー
ゼ剤、ヘミセルラーゼ剤を併用してもよい。液化・糖化
処理工程に使用する装置としては回分式でもよく、連続
式も使用できる。
【0009】本明細書において、「醪を固液分離して得
た液」とは、下記のことを意味する。まず、本発明の醪
は、糖化・熟成途中の醪でもよく、糖化・熟成後の醪で
もよい。次に「固液分離」は常法のいずれの方法でもよ
く、例えば圧搾、遠心分離、自然沈降等がある。次に、
上記のように、糖化・熟成途中の醪を使用した場合に
は、固液分離後のいずれかの時点で熟成を行うこととな
る。それ故、前記した「固液分離して得た液」とは、固
液分離したまゝの液はもちろんのこと、その後熟成等の
処理を行った液も含むことを意味する。なお、いずれの
醪を使用する場合であっても、本発明方法により糖質を
添加した後に、更に熟成を行ってもよい。
【0010】醪の全糖濃度が30%(w/w)以下にな
るように仕込む方法は、特に限定されないが、特公平2
−18060号公報の記載に準じて、掛米、麹、アルコ
ール溶液を仕込み醪となし、糖化・熟成を行い、醪を圧
搾する際、醪の全糖濃度が30%(w/w)以下になる
ように仕込むのが操作上好ましい。
【0011】火入れ条件は、製品の香味保持の上から、
火入れ温度は60〜90℃の範囲で選択され、火入れ時
間は10秒〜数分の範囲で適宜選択される。
【0012】次に、本発明に使用される滓下げ工程での
清澄剤は、醸造に一般に用いられるものであればよく、
特に限定されない。柿渋、タンパク質を主成分とする清
澄剤、多糖類を主成分とする清澄剤、プロテアーゼを主
成分とする清澄剤、ペクチナーゼを主成分とする清澄
剤、二酸化ケイ素(例えばシリカゲル、ケイ藻土な
ど)、フィロケイ酸マグネシウム等が使用できる。ま
た、ビール、ワイン、清酒の清澄剤として使用できるポ
リビニルピロリドンも使用できる。柿渋としては、通常
の柿渋、粉末柿渋、タンニン酸添加柿渋等が使用でき
る。タンパク質を主成分とする清澄剤としては、活性グ
ルテン、ゼラチン、卵白等が使用できる。多糖類を主成
分とする清澄剤としては、アルギン酸塩、カラギーナン
等が使用できる。前記清澄剤は単独で使用することがで
きるが、組合せて使用することもできる。
【0013】滓下げ方法は、従来用いられている自然沈
降による方法でよく、特に限定はされないが、遠心分離
機等を用いてもよい。
【0014】火入れ・滓下げ後、糖質を添加して全糖濃
度が30%(w/w)超になるようにするのが好まし
く、この時糖質と併用して、アルコール溶液、タンパク
質物分解物、有機酸、アミノ酸塩をそれぞれ単独又は組
合せて添加してもよい。作業性の上からは、これら添加
するものを予め加温しておくことが好ましい。
【0015】本発明で使用される糖質としては、デンプ
ン部分加水分解物、ブドウ糖が例示される。デンプン部
分加水分解物としては、水飴等が使用できる。ブドウ糖
としては、無水結晶ブドウ糖、含水結晶ブドウ糖、精製
ブドウ糖、固形ブドウ糖、液状ブドウ糖等が使用でき
る。
【0016】更に、本発明で使用されるタンパク質物分
解物として、小麦グルテンを原料としたものが例示され
る。
【0017】以下に、みりんの製造における火入れ・滓
下げと残存酵素活性との関係を検討した結果を示す。
【0018】(検討1) まず、モデルのみりんを調製
し、酵素剤を添加して、火入れ・滓下げが残存酵素活性
に及ぼす影響を検討した。すなわち、ブドウ糖を14%
(v/v)アルコールを含む0.2M酢酸緩衝液に溶解
し、0%、10%、20%、30%、40%及び50%
(w/w)濃度の溶液を調製した(各300g)。この
調製した溶液中に細菌由来α−アミラーゼ酵素剤〔ナガ
セ生化学工業(株)製、スピターゼCP−3、30,0
00単位/g〕を溶液1g当り2単位となるように、各
々の濃度の溶液に添加し、その後、従来の方法〔ジャー
ナル オブ ファーメンテーション バイオエンジニア
リング、第68巻、第49〜51頁(1989)〕に従
って75℃で30秒火入れした。火入れ後、常温(20
〜30℃)の溶液へ、柿渋(岩本亀太郎商店製、ボーメ
度 12)7ml/kg及び活性グルテン(大日本理化
学研究所製、日研ホワイト)1.3g/kgをそれぞれ
添加した。よくかくはんした後、常温で24時間静置し
た。この上澄液中の残存α−アミラーゼ活性を測定し
た。また、糊化デンプンの粘度低下試験として、9%バ
レイショデンプンを含む溶液を蒸留水で調製して、内径
18mmの試験管中へ入れ、火入れ・滓下げした上澄液
を0.5g添加し、均一分散した後、60〜70℃でゲ
ル化した。このゲルは80℃で試験管を逆さにしてもゲ
ルが流れない。80℃でゲルの軟化の経時変化を観察し
た。ゲル軟化の評価は、ゲルを含む試験管を10分間隔
で数秒逆さにして流れのあるなしを評価し、180分以
上経過してゲルが流れなかった場合を「良」とし、18
0分未満の場合を「不良」とした。結果を下記表1に示
す。
【0019】
【表1】 表 1 ブドウ糖濃度が残存酵素活性に及ぼす影響 ─────────────────────────────────── ブドウ糖濃度(%、w/w) ────────────────────── 0 10 20 30 40 50 ─────────────────────────────────── 残存α−アミラーゼ活性 0.00 0.00 0.02 0.04 0.12 0.25 (単位/g) 粘度低下試験 良 良 良 良 不良 不良 ───────────────────────────────────
【0020】添加時の活性 : 2単位/g 酵素活性 : 1単位は、pH5.3、40℃、1
0分間反応で10mlの1%アルカリ糊化バレイショデ
ンプン溶液のヨウ素による青色呈色値を10%減少させ
る酵素量をいう。
【0021】表1から、残存α−アミラーゼ活性は、ブ
ドウ糖濃度10%(w/w)以下で検出されず、40%
(w/w)以上では、0.1単位/g以上残存し、デン
プンの粘度低下試験の結果も不良を示し不満足であっ
た。したがって、一般のみりんの滓下げ条件の全糖濃度
30%(w/w)超では、酵素活性が残存しやすいとい
うことになる。そこで、滓下げ時に全糖濃度を30%
(w/w)以下にすることが望ましい。
【0022】(検討2) 次に、滓下げに用いる柿渋と
活性グルテンの量が残存酵素活性に及ぼす影響を検討し
た。すなわち、検討1で用いたブドウ糖濃度20%、3
0%、40%、及び50%(w/w)のモデルのみりん
(各300g)へ、スピターゼCP−3を2単位/gに
なるように添加し、75℃で30秒火入れし、検討1と
同様に所定量の柿渋及び活性グルテンを添加・かくはん
して、常温で24時間静置した後、上澄中の残存α−ア
ミラーゼ活性と粘度低下試験を行い評価した。結果を下
記表2に示す。
【0023】
【表2】 表 2 柿渋及び活性グルテンの量が残存酵素活性に及ぼす影響 ─────────────────────────────────── 残存α−アミラーゼ活性 粘度低下試験 柿渋 活性 (単位/g) グルテン ────────────────────────── (ml/kg) (g/kg) ブドウ糖濃度(%,w/w) ブドウ糖濃度(%,w/w) 20 30 40 50 20 30 40 50 ─────────────────────────────────── 4 0.6 0.00 0.07 0.28 0.76 良 良 不良 不良 7 1.3 0.00 0.04 0.12 0.25 良 良 不良 不良 10 1.9 0.00 0.00 0.09 0.18 良 良 不良 不良 14 2.6 0.00 0.00 0.04 0.10 良 良 良 不良 ───────────────────────────────────
【0024】表2から、柿渋や活性グルテンの量を軽減
しても、ブドウ糖濃度20%(w/w)の場合、残存α
−アミラーゼ活性は検出されず、30%(w/w)の場
合には、粘度低下試験が良で満足できる結果となった。
40%(w/w)以上では、柿渋や活性グルテンの量を
多くしないと残存α−アミラーゼ活性が除去できず、粘
度低下試験の結果も不良で、滓下がりが遅く、滓量も多
くなることが再確認された。したがって、みりん中の酵
素除去をするには全糖濃度30%(w/w)以下にし
て、滓下げすると効率的であることが明らかとなった。
【0025】本発明のみりんの製造方法を用いることに
より、滓成分を十分除去でき、効率のよい迅速な滓下が
りで、滓下げ時間が短縮でき、作業性が向上する。以
上、本発明で得られるみりんは、香味や照りが顕著に改
善され、十分高品質のみりんとなる。
【0026】
【実施例】以下、実施例によって本発明を更に具体的に
説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0027】実施例1 精米歩合85%の糯白米1890gを常法に従って、浸
漬、水切し、この浸漬米を加圧蒸煮(124℃、10分
間)し、12リットル容の容器に予め細菌α−アミラー
ゼ酵素剤〔ナガセ生化学工業(株)製、スピターゼCP
−3〕676mgを溶解した16%希釈アルコール溶液
2780gへ混合した。この混合物へ米麹640gと糸
状菌中性プロテアーゼ酵素剤〔ナガセ生化学工業(株)
製、デナチームXP−353〕300mgを投入し、第
一次仕込醪となし、室温(25〜30℃)で30日間糖
化・熟成した。仕込配合を下記表3に示す。
【0028】
【表3】 表 3 仕込配合 ─────────────────────────────────── 醪 85%精白、糯米(蒸糯米)(g) 1890(2880) 85%精白、麹用粳米(米麹)(g) 540 (640) 16%(w/w)アルコール(g) 2780 細菌α−アミラーゼ酵素剤(mg) 676 糸状菌中性プロテアーゼ酵素剤(mg) 300 醪計 6300g ───────────────────────────────────
【0029】この熟成醪を圧搾し、5860gの搾汁と
440gの粕を得た。得られた搾汁の組成を下記表4に
示す。
【0030】
【表4】 表 4 搾汁液の組成 ─────────────────────────────────── 成 分 含 量 ─────────────────────────────────── 全糖 (%、w/w) 28.8 含窒素成分(タンパク質として)(%、w/w) 1.51 アルコール (%、w/w) 7.2 ───────────────────────────────────
【0031】得られた搾汁を二等分し、一方の2930
gの搾汁は75℃で30秒の火入れ後、柿渋(岩本亀太
郎商店製、ボーメ度 12)7ml/kg(使用量2
0.5ml)及び活性グルテン(大日本理化学研究所
製、日研ホワイト)1.3g/kg(使用量3.81
g)になるように添加・かくはんして後、常温(20〜
30℃)で静置して滓下げした。対照は、2930gの
搾汁へ37%(w/w)アルコール1145g及びデン
プン部分加水分解物(水分22%、w/w)2105g
を添加・かくはんし、75℃で30秒火入れした。次い
で滓下げとして、柿渋7ml/kg(使用量43.3m
l)及び活性グルテン1.3g/kg(使用量8.03
g)を添加・かくはん後、前述と同様にして滓下げし
た。この規模の常温による滓下げで、対照の場合4日間
を要するのに対して、本発明は2日間で済むので、滓下
げ期間が短縮されることが明らかとなった。それぞれの
上澄と滓部分とを分離し、滓部分は遠心分離して滓を除
去した。本発明品は、その後、37%(w/w)アルコ
ール1145g及びデンプン部分加水分解物(水分22
%、w/w)を2105g添加した。最終的に得られた
みりんは、本発明品6170g及び対照6160gであ
った。本発明品及び対照の液組成を分析し、官能評価を
行った。結果を下記表5に示す。
【0032】
【表5】 表 5 みりんの成分組成と滓下げの評価 ─────────────────────────────────── 項 目 本発明品 対 照 ─────────────────────────────────── 全糖分 (%、w/w) 40.2 40.2 直糖分 (%、w/w) 32.3 32.3 含窒素成分(タンパク質として) 0.757 0.761 (%、w/w) アミノ態窒素 (%、w/w) 0.056 0.051 アルコール (%、w/w) 10.1 10.1 pH 5.50 5.50 比重 (15℃) 1.163 1.163 ボーメ度 20.3 20.3 ─────────────────────────────────── 可溶性タンパク質(mg/100g) 0.00 3.3 比濁度(OD660nm、1cmセル) 0.000 0.020 ───────────────────────────────────
【0033】表5から、本発明品と対照の成分組成の分
析値は、ほぼ同じであったが、旨味に関与するアミノ酸
が本発明品に多い。後記表6に示すように滓下げ評価に
よると、柿渋と活性グルテンの使用量は、本発明品が対
照に比べ、半分以下であるにもかかわらず、可溶性タン
パク質は除去され、比濁度も低く照りがよく、品質上優
れていた。官能評価結果を下記表6に示す。
【0034】
【表6】 表 6 官能評価結果 ─────────────────────────────────── 本発明品 対 照 ─────────────────────────────────── 香 り 1.7 2.4 味 1.5 1.9 総 合 1.5 2.3 ───────────────────────────────────
【0035】注)官能評価法 1:良 2:普通
3:不良 パネラー 10名
【0036】表6より、本発明品の評価は、香り、味と
も顕著に良好で旨味が豊富であるとの評で、評価値も良
い結果であった。
【0037】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、製
品品質の香味や照りが顕著に改善され、滓下げに使用す
る清澄剤の量の低減ができ、かつ滓下げ時間の短縮や滓
量が減少して、作業も容易になる。したがって、本発明
は滓下げ工程でのコスト低減につながる有用なみりんの
製造方法である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大屋敷 春夫 滋賀県大津市瀬田3丁目4番1号 寳酒 造株式会社中央研究所内 (72)発明者 柿本 尚宏 滋賀県大津市瀬田3丁目4番1号 寳酒 造株式会社中央研究所内 (72)発明者 茂野 忠樹 滋賀県大津市瀬田3丁目4番1号 寳酒 造株式会社中央研究所内 (72)発明者 矢野 忠▲徳▼ 大阪府堺市竹城台3丁19−3 (56)参考文献 特開 昭63−102649(JP,A) 特開 昭57−186457(JP,A) 特公 平2−18060(JP,B2) 野白喜久雄 外2名,醸造学,日本, 株式会社講談社,1982年 4月10日,86 頁 日本醸造協会雑誌,1969年,Vol. 64,No.11,p.969 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12G 1/00 - 3/12

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 みりんの製造方法において、醪を固液分
    離して得た液を火入れ、滓下げして、次いで糖質を混合
    する工程を包含することを特徴とするみりんの製造方
    法。
  2. 【請求項2】 醪の全糖濃度が30%(w/w)以下に
    なるように仕込むことを特徴とする請求項1に記載のみ
    りんの製造方法。
  3. 【請求項3】 滓下げ工程で、清澄剤が、柿渋、アルギ
    ン酸塩、カラギーナン、活性グルテン、ゼラチン、卵
    白、プロテアーゼ、ペクチナーゼ、二酸化ケイ素、フィ
    ロケイ酸マグネシウム及びポリビニルピロリドンからな
    る群より選ばれた少なくとも一つである請求項1に記載
    のみりんの製造方法。
  4. 【請求項4】 糖質が、デンプン部分加水分解物及び/
    又はブドウ糖であることを特徴とする請求項1に記載の
    みりんの製造方法。
  5. 【請求項5】 糖質と併用して、アルコール溶液、タン
    パク質物分解物、有機酸、アミノ酸塩を、それぞれ単独
    又は組合せて使用することを特徴とする請求項1に記載
    のみりんの製造方法。
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