JP3641916B2 - 弁付塗布具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、修正液、化粧品、顔料系マーキングインキなどのような塗布液を内蔵した弁付塗布具に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、上記修正液、化粧品、顔料系マーキングインキなどのような塗布液を用いる弁付塗布具としては、先端孔後端後方に座部を形成し、前記先端孔より塗布部を突出すると共に、前記座部に弁部を圧接するよう前方へ弾撥体により付勢された弁体とよりなる弁機構を有する前軸を、内部を塗布液収容室となした有底の軸筒の先端開口部に固着してなり、この前軸に着脱可能なキャップを取り付けたものが用いられている。
前記のような弁付塗布具は、以下の機構によって塗布液を塗布する。
即ち、被塗布物に前記弁体の塗布部を押しつけることにより弁体が後退し、弁部と座部の圧接が解除され開弁する。同時に有底の軸筒を押圧する或いはその内部を加圧することにより、内部の塗布液を前軸先端孔より流出させる。そして、その塗布液を前軸の先端面(塗布面)で伸ばして塗布する。
ところで、前記従来の弁付塗布具において、前軸や弁体の形状は、塗布具使用時の用途により適宜設計される。
例えば、細部に塗布液を塗布する場合には、前軸や弁体の先端部を細い円柱や円錐形状となし、広い面積に塗布液を塗布する場合には、前軸や弁体の先端部を太い円柱や円錐形状にしたり、前軸の先端面を長方形、三角形、或いは、その他複雑な形状などとなしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記弁付塗布具において、前軸は樹脂材料を用いて射出成形により成形することが多い。
このとき、広い面積への塗布用として、前軸の先端部を太い円錐形状にしたり、或いは、前軸の先端面を長方形、三角形、或いは、複雑な形状など、断面を異形の形状とした場合、成形後の熱降下による材料の収縮、いわゆる、ひけの影響で、前軸内形と異形である外形の肉厚差において、厚肉部は寸法収縮が大きく、薄肉部は寸法収縮が小さくなり表面形状が均一に形成されないという現象により、弁機構を構成する前軸内側の先端孔後端後方の座部の表面形状が精度良く製作されにくく、弁密閉が不十分になるという問題があった。
【0004】
本発明は、前軸先端断面形状が異形な弁付塗布具において、前軸内側の弁機構の密閉性が確実な弁付塗布具を提供することを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、内部を塗布液収容室となした有底の軸筒と、この有底の軸筒の先端開口部に固着した、先端部の断面形状が異形の前軸と、この前軸内に摺動自在に配置され、前方に弾撥的に付勢されて前記前軸の先端孔より塗布部を突出させた弁体とよりなり、前記前軸の先端孔後端後方に形成された座部と、前記弁体の弁部とが当接して弁機構を形成した弁付塗布具において、前記座部を、前記前軸の先端孔後端後方に一体に成形した環状の突起部に形成したことを特徴とする弁付塗布具を要旨とする。
【0006】
【作用】
本発明に係る弁付塗布具は、前軸先端孔後端後方に、環状の突起部を前軸と一体に形成しているが、この環状の突起部は、前軸の内壁との間に空隙部を形成しているため、射出成形後の熱降下において前軸の壁部の影響を受けず、その収縮は均一になるのでひけが発生しない。従って、本発明に係る弁付塗布具は、突起部に形成した座部が、ひけなどの凹みの無い平滑な表面形状のものとして成形されるので、弁密閉が良好なものとなる。
【0007】
【実施例】
以下、本発明を詳細に説明する。
実施例1
図1〜3に実施例1を示す。図1は実施例1を示す縦断面図であり、図2は図1の要部断面拡大図であり、そして、図3は実施例1の上面図である。
参照符号1は内部が修正液、化粧液、顔料系マーキングインキなどの塗布液収容室2である有底の軸筒である。この軸筒1は、側面を押圧して塗布液を吐出できるように、合成樹脂などの可撓性材料よりなっている。但し、従来知られている加圧ポンプ機構を軸筒1に取り付け、塗布液収容室2を加圧するようになした場合、軸筒1は金属などの剛性材料を用いることもできる。
【0008】
また、この軸筒1の塗布液収容室2内には、沈降した着色材などの不溶解物質を撹拌して、再分散する棒状の撹拌体3が配置されている。この撹拌体3は、沈降した不溶解物質を良好に再分散可能なように、金属などの比重の大きな材質を用いることが好ましい。形状や個数は任意であって、使用する塗布液の種類や弁付塗布具(塗布液収容室)の大きさなどに合わせて、適宜選択すれば良い。
上記軸筒1の先端開口部1bには、貫通孔を有する前軸4が螺合、接着、圧入などの適宜手段で固着されている。また、この前軸4には塗布先の乾燥を防ぐ、キャップ5が嵌合、螺合などの適宜手段により着脱自在に取り付けられている。
【0009】
前記前軸4は、塗布液を幅広く塗布するため、また、平らに塗布できるよう、その先端面4a形状が長方形になっている。但し、本発明に係る弁付塗布具は、広い面積に塗布したり、塗布幅が複数持ち得るように、前軸先端面、即ち、先端部の断面形状を、先端偏平形状、長方形、三角形、或いは、複雑な形状など、所謂、異形の形状となしたものであり、本実施例の形状に限定されるものではない。
更に、前軸先端面は、本実施例では平滑な面で示したが、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の構成を採用できる。例えば、前軸先端面に植毛して筆穂のようになしたり、前軸先端面に可撓性を有するような扁平の突起を多数形成したりして、塗布時の感触を良くしたり、塗りむらの発生を防止することや、前軸の1辺に薄片よりなる舌片を取付けて、均一な厚みの塗膜を形成できるようにすることが例示できる。
【0010】
前軸内部には、弁体6が摺動自在に配置されている。この弁体6は、先端の塗布部6aと弁部6bとを有しており、コイルバネよりなる弾撥体7により前方に付勢され、前軸4の先端孔4bより、塗布部6aを突出させている。
【0011】
参照符号8は、貫通孔8aを有する中軸である。この中軸8は、その前端が、前記弾撥体7の受け部となっており、貫通孔8aは、弁体6の後部が、塗布液導通路を確保しながら挿入されるようになっており、弁体6の摺動時の中心ズレを防止するものである。
【0012】
そして、この前軸4は、その先端孔4b後端後方に環状の突起部9を一体に形成しており、この環状の突起部9の頂上近傍に、前記弁体6の弁部6bと当接する座部9aを形成している。この弁部6bと座部9aとは、弁体6が前方に付勢されて圧接する事によって閉弁し、弁体6が後退し圧接が解除される事によって開弁する弁機構を形成している。なお、突起部9は、座部9aが形成される部分であるので、環状であることが必要であるが、環状の形状については、円形だけでなく楕円形や長円形なども採用できる。更に、突起部9は、射出成形後の熱降下によるひけの発生を防止するために、その肉厚は均等にすることが好ましい。
また、この環状の突起部9の、先端孔4b後端から突起部後端迄の高さは、前軸4外形と先端孔4b後端後方付近との内径差の違いによる射出成形後の熱収縮の影響を受けないよう、高めに設定する方が好ましい。しかし、突起部9の高さが高くなると、弁機構部から先端孔4b先端迄の距離が長くなり、この間に滞留した塗布液が外気に触れ乾燥してしまうことにより、塗布液が詰まり出てこなくなりやすい傾向があるため、その高さは、前軸の形状・寸法、先端孔の大きさ、塗布液の性質など種々の条件を勘案して設定することが必要である。
【0013】
実施例2
図4は実施例2の縦断面図である。実施例2は実施例1において、環状の突起部19を薄肉に形成し、変形可能にした以外は、実施例1と同様である。
本実施例による弁付塗布具は、環状の突起部19が変形可能であるので、弁体6の弁部6bと座部19aとの密着が良くなり、弁密閉が更に確実になる。
また、本実施例による弁付塗布具は、塗布液中に沈降性の異物があったとしても、この異物は、環状の突起部19の外周部に溜まり、弁部6bと座部19aとの間には入らないので、弁密閉が阻害されにくいという利点もある。
【0014】
実施例3
図5は実施例3の縦断面図である。実施例3は実施例2において、環状の突起部29の開口部形状を弁体6の弁部6bの形状に合わせたものとなし、且つ、弾撥体の代わりに弁体6の後部を螺旋状弾撥部となした以外は実施例2と同様である。
本実施例による弁付塗布具は、突起部29の開口部に形成した座部29aと弁体6の弁部6bとを面接触による弁密閉にしたため、更に弁部との密着性が良くなり、弁密閉が確実になる。
【0015】
実施例4
図6は実施例4の縦断面図である。実施例4は実施例1において、弁体6の弁部6bに、環状の突起部39の先端が入り込める凹部6cを形成した以外は、実施例1と同様である。
本実施例による弁付塗布具は、突起部39先端の座部39aが弁体6の凹部6cに入り込み嵌合するようになっているため、弁部6bと座部39aとの圧接位置が必ず定位置になることより、弁部6bと座部39aとのズレが生じなくなり弁密閉が確実になる。
【0016】
実施例5
図7は実施例5の縦断面図であり、図8は実施例5の側面図である。実施例5は実施例1において、環状の突起部49の内壁に内向きになる薄肉の突起49bを設け、更に、前軸4の先端の両端部に突起10を形成した以外は、実施例1と同様である。
本実施例による弁付塗布具は、突起部49内壁に形成した薄肉の突起49bの先端を座部49aとなしているので、射出成形後の熱収縮の影響を受けず、座部49aが精度良く形成されるため弁密閉性が確実になる。
また、前軸先端面の突起10は、塗布方向に対し湾曲できるよう薄肉片にて形成されているため、塗布具の保持角度が変化した場合でも、その変化を吸収するよう突起部が折れ曲がり、常時、突起先端部が被修正面に接触できる。したがって、突起外への塗布液の広がりを押さえ一定幅で塗布液が塗布できるので、塗布幅の不均一や再塗布による塗布面の凸凹など塗布性の問題を防止することができるものである。
【0017】
【発明の効果】
本発明の弁付塗布具は、前軸の先端部断面形状を異形となしたものであるが、前軸先端孔後端後方に環状の突起部を前軸と一体に形成し、前軸内壁と突起部との間に空隙部を設けたので、突起部に設けた座部は、射出成形後の熱降下による材料の収縮、所謂、ひけの影響を受けず、その表面形状は、ひけなどの凹みの無い平滑なものとして形成されるので、弁密閉が不十分になるという問題を防止することができる優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の縦断面図である。
【図2】図1の要部拡大縦断面図である。
【図3】第1実施例の上面図である。
【図4】第2実施例の縦断面図である。
【図5】第3実施例の縦断面図である。
【図6】第4実施例の縦断面図である。
【図7】第5実施例の縦断面図である。
【図8】第5実施例の側面図である。
【符号の説明】
1 軸筒
2 塗布液収容室
3 攪拌体
4 前軸
5 キャップ
6 弁体
6b 弁部
7 弾撥体
8 中軸
9、19、29、39、49 環状の突起部
9a、19a、29a、39a、49a 座部

Claims (1)

  1. 内部を塗布液収容室となした有底の軸筒と、この有底の軸筒の先端開口部に固着した、先端部の断面形状が異形の前軸と、この前軸内に摺動自在に配置され、前方に弾撥的に付勢されて前記前軸の先端孔より塗布部を突出させた弁体とよりなり、前記前軸の先端孔後端後方に形成された座部と、前記弁体の弁部とが当接して弁機構を形成した弁付塗布具において、前記座部を、前記前軸の先端孔後端後方に一体に成形した環状の突起部に形成したことを特徴とする弁付塗布具。
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