JP3641036B2 - カラー画像の面順次記録方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱転写等のカラーサーマル記録であって、特にバリアブル・ドットサイズ(Variable Dot Size 、以下「VDS」という。)法を用いた千鳥配列画素サイズによる面積階調変調方式のカラー画像の面順次記録方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
本発明が適用されるVDS法自体は従来より公知であって、ヒータに印加する電圧の印加時間を変えることにより記録材料へ与える熱エネルギを変化させ、これによって記録されるドットの大きさを可変にする方式である。この熱エネルギによってインクフイルムが背後から加熱されるとインク受像シートに転写される。この場合、1画素を上下左右に千鳥状に配列された複数の単位ドットにより構成し、その単位ドットの発色面積をこのVDS法により変えることにより1画素の発色面積を変えるものである。インクフイルムの背後から加熱するためのサーマルヘッドは、入力された駆動データに従いサーマルヘッドドライバから駆動パルスを送出されて、各ヒータを発熱させるものである。
【0003】
この装置の1例を図3に示す。同図において、サーマルヘッド31には受像シート32の搬送方向(副走査方向:矢印A)の長さが例えば80μmでこれと直角方向(主走査方向:矢印B)の幅が70μm程度のヒータが主走査方向に複数個ライン状に並べられている。サーマルヘッド31の下方にはプラテン33が設けられており、これらの間にはインクリボン(記録材料)34と受像シート(受像材料)32が重ね合わされながら、樹脂ローラ35とゴムローラ36によって単位送り幅ずつ間欠的に矢印Aの副走査方向へ搬送される。そして受像シート32が単位送り幅分移送されながら、各ヒータが駆動パルスによって駆動される。記録終了後インクリボン34は剥離バー37にて上方へ方向転換し排出される。
【0004】
図4は図3の記録部分を拡大した模式図である。同図において、インクリボン34は3〜6μmの薄い支持体341とその上の薄い剥離型色材層342とから構成されており、一方受像シート32は、支持体321とその上のクッション層322と更にその上の受像層323とから構成されている。記録時は、インクリボン34と受像シート32とを重ね合わせた状態で、インクリボン34の支持体341側にヒータ311が接し、またインクリボン34の支持体341上に支持される薄い剥離型色材層342が受像シート32の受像層323と接するように重ね合わされるので、インクリボン34はヒータ311と相対走査されて加熱されることにより、画像状に色材342’が剥離するようになる。ヒータ311は紙面と直交する方向に延びる画素単位に分割された線形である。
【0005】
カラーハードコピーの場合はインクリボン34としてインク層を1フレームの長さごとにイエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色に色分けしたものを用いるとともに、図示しない画像信号処理回路で階調補正の他に色調補正を行い、テーブルメモリで画像のYMCK各成分の濃度をそれぞれYMCKの転写時間に変換する。そして、まず、例えばYの転写を1フレーム分行なった後、ゴムローラ36を逆回転させて受像シート32を初期位置に戻すと同時に、インクリボン34を次のMのインク層がサーマルヘッド31の下方にセットされるように移送させる。そして、Yの転写と同様に、以下M、C、Kの転写を順次に行う。このようにして、受像シート32を4往復させて、YMCK4色の混合色による1枚のカラーハードコピーが作成される。
【0006】
なお、インクリボンの裏面には、耐熱性および滑り性を向上させる素材が設けられていてもよい。また受像シートの裏面には滑り性および耐接着性を向上させる素材が設けられていてもよい。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながらこのような方法にあっては、2つの課題がある。
課題1:まず最初の課題は、2色目以降を記録する場合、1色目が記録されていない部分に記録する場合と1色目が記録されている部分に記録する場合とで感度が異なる場合がある。そしてこの差が大きい場合には2色目の記録ドット面積率が目標の記録ドット面積率とずれてしまうことがあった。そこで、1色目が記録されていない部分に記録する2色目以降の記録ドット面積率と1色目が記録されている部分に記録する2色目以降の記録ドット面積率とが、同一記録ドット面積率となるような解決方法が要求されていた。
【0008】
課題2:もう1つの課題は、VDS法で記録する場合、副走査方向のドットピッチがヒータサイズの2倍以上に長い場合に、高いエネルギをかけても次のドットとの間に隙間が空いてしまい100%のベタが印刷出来ないことがあった。そこで、100%を記録するためにはヒータに印加する電力を極端に上げればよいことになるがそのようにすると、オーバーヒートにより記録ドットの中心部の温度が上昇し過ぎて中心部の色が変化してしまうことが起こった。したがって、VDS法で記録する場合、副走査方向のドットピッチがヒータサイズの2倍以上に長い場合に、オーバーヒートの起こらない低い電力で隙間の空かない100%のベタの記録方法が要求されていた。
【0009】
以下に、図1を使って詳細に説明する。
図1は、ドットピッチがヒータサイズの2倍を越えるY色の場合の面積率95%の千鳥配列−2ドットの図である。同図で上下方向が主走査方向、横方向が副走査方向で、ヒータは副走査方向80μmのサイズのものを使っており、しかもYの記録の場合の副走査方向のドットピッチは170.8μmであるから、Yのドットピッチはヒータサイズの倍以上ということになる。この通電可能時間は最高1/2ドットピッチの7msであるが、実際にはデータの転送期間に0.7ms取られるので、Yの通電上限は6.3msとなっている。
【0010】
図において、Aはヒータの加熱開始時の位置で、Bは加熱終了時の位置である。加熱開始時のヒータ位置Aよりも、ドットの方が面積が広がっているのはヒータの加熱により周囲が転写可能温度まで上昇したからである。加熱終了時のヒータ位置Bよりも、ドットの方が面積が広がっているのは同じくヒータの加熱により周囲が転写可能温度まで上昇したからである。この時点以降は通電ゼロとなるので白くなっている。その後ふたたび次のドットピッチで加熱を開始する。図は面積率95%の例であるため、白地が残されているが、次に面積率100%のベタ印刷を行うには、Bを副走査方向へ移動させたいところであるが、すでに図で分かるように95%の時にYの通電可能時間の上限の6.3msとなっている。したがって、これ以上はBを副走査方向へ移動できない。そこで100%のベタ印刷をしたい時には、サーマルヘッドにこれより高いパワーをかけてサーマルヘッドの周りにまで熱を広げて次のドットとを繋げるようにしている。ところが副走査方向のドットピッチがヒータサイズの2倍以上に長い場合になると次のドットとを繋げるようにするためには、相当に高いパワーをかけなくてはならず、そうするとオーバーヒートにより記録ドットの中心部の温度が上昇し過ぎて中心部の色材が変化してしまうという欠点が生じた。
【0011】
もちろん、ドットピッチがヒータの副走査方向サイズである80μmの2倍以下のもの(すなわち、K、C、M)であれば、ヒータの加熱開始から終了までにヒータは材料の上を相対的に移動するのでヒータの加熱終了時のドットと次の加熱開始時のドットとが繋がるため、100%のベタ印刷時のこのような問題は生じない。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の問題を解決するものである。
課題1に対しては、本発明によれば、1色目のみ非記録画素に、記録されないレベルのエネルギを印加するようにしている。
また、課題2に対しては、副走査方向のドットピッチがヒータサイズの2倍以上の色のみ非記録画素に、記録されないレベルのエネルギを印加するようにしている。
【0013】
このように構成することによって、1色目が記録されないレベルのエネルギによって非記録画素の表面が加熱されて表面の接着力が増加するため、2色目以降の感度異常低減が改善され、したがって2色目以降の発色が1色目の記録の有無にかかわらず同一色相となるし、副走査方向のドットピッチがヒータサイズの2倍以上に長い場合にも低い電力で隙間の空かない100%のベタの記録が可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の発明の実施の形態を表1および表2にしたがって説明する。本発明の発明の実施の形態で使用した記録ヘッド、記録方法、記録材料および受像材料は次のようなものである。
【0015】
【0016】
課題1に対して:
このような条件のもとにおいて、課題1に対しては、まず、1色目に100%ベタ記録をしたあと、2色目が50%面積率で記録できるエネルギー(以下、50%ベタエネルギーと呼ぶ)にて、
1色目に「非記録部のストローブ」をかけた後、2色目を50%ベタエネルギーで記録して面積率を測定した結果を表1、2の結果Aに示す。
【0017】
課題2に対して:
課題2に対しては、ドットピッチがヒータサイズの2倍を越える色(すなわちY)に、通電可能時間の7msのうちの通電上限の6.3msを通電する記録条件にて、Y色に「非記録部のストローブ」をかけて記録したて得られた面積率を表1、2の結果Bに示す。
【0018】
【表1】
【0019】
表1において、従来例1は全ての色の非記録部のストローブ(「0ヒート」)が0msの条件にて、まず1色目にK色の100%ベタ記録、又は0%ベタ記録をした後、2色目にC色を50%ベタエネルギーにて記録を行ない、C色の面積率を測定する。
さらに、3色目のM色は0%ベタ記録を行ない、4色目のY色は通電上限の6.3msで記録して、Y色の面積率を測定する。
【0020】
従来例1に於いて、C色の面積率の結果は、K色が100%ベタ記録後が50%であるのに対して、0%ベタ記録後は37%と小さなドットとなった。
これの意味するところは、1色目を記録した上に2色目を記録した場合と、1色目を記録しない上に2色目を記録した場合では、面積率で50%と37%と大きな差を生じてしまい、良質な印字記録を得ることができない。
Y色の面積率の結果は、K色が100%ベタ記録後が95%であるのに対して、0%ベタ記録後は90%であり、いずれも100%ベタ濃度を得ることができない。
【0021】
従来例2が従来例1と異なる点は、非記録部にK、C、M、Yいずれにも0.4msの「非記録部のストローブ」をかけている点である。
従来例2に於いて、C色の面積率の結果は、K色が100%ベタ記録後が73%、0%ベタ記録後は58%と大きなドットとなり、いずれも期待値を大きく越えて良質な印字記録を得ることができない。
Y色の面積率の結果は、K色が100%ベタ記録後と0%ベタ記録後で、いずれも100%ベタ濃度を得ることができた。
【0022】
これの意味するところは、Y色目の記録時に0.4msの「非記録部のストローブ」をかけることにより、100%ベタ濃度を得ることができたと言える。
しかしながら、課題2が改善されたものの、課題1が満足できる印字性能を得ることはできていない。
これに対して、実施例1は課題1に対するものであり、K色にのみ0.4msの「非記録部のストローブ」をかけてC色の面積率を測定した。
C色の面積率の結果は、K色が100%ベタ記録後が50%であるのに対して、0%ベタ記録後は45%であり、許容できる面積率の差となった。
【0023】
実施例2は、課題2に対するものであり、Y色にのみ0.4msの「非記録部のストローブ」をかけてY色の面積率を測定した。
従来例2の結果と同様に、100%ベタ濃度を得ることがっできたことがわかる。
【0024】
実施例3は、実施例1と実施例2の両方を実施したもので、K色とY色の0.4msの「非記録部のストローブ」をかけてC色とY色の面積率を測定した。
C色の面積率の結果は、K色が100%ベタ記録後が50%であるのに対して、0%ベタ記録後は45%であり、許容できる面積率の差となると共に、Y色の面積率の結果は、K色が100%ベタ記録後と0%ベタ記録後で、いずれも100%ベタ濃度を得ることができた。
【0025】
【表2】
【0026】
表2は、表1の記録色順がK→C→M→Yであるのに対して、記録色順をY→M→C→Kにした場合である。
従来例3は、全ての色の非記録部のストローブが0msの条件にて、まず1色目にY色の100%ベタ記録、又は0%ベタ記録をした後、2色目にM色を50%ベタエネルギーにて記録を行ない、M色の面積率を測定する。
Y色の通電条件は、通電上限の6.3msで記録する。
【0027】
従来例3において、Y色の面積率の結果は、100%ベタ記録時に100%ベタ濃度を得ることができない。
M色の面積率の結果は、Y色が100%ベタ記録後が45%であるのに対して、0%ベタ記録後は35%と小さなドットとなった。
【0028】
従来例4が従来例3と異なる点は、非記録部にY、M、C、Kいずれにも0.4msの「非記録部のストローブ」をかけている点である。
従来例4において、Y色の面積率の結果は、100%ベタ記録時に100%ベタ濃度を得ることができた。
M色の面積率の結果は、Y色が100%ベタ記録後が71%、0%ベタ記録後は55%と大きなドットとなり、Y色が100%ベタ記録後の面積率が期待値を大きく越えて良質な印字記録を得ることができない。
【0029】
これに対して、実施例4は課題1と課題2に対するものであり、Y色にのみ0.4msの「非記録部のストローブ」をかけてY色とM色の面積率を測定した。Y色の面積率の結果は、100%ベタ記録時に100%ベタ濃度を得ることができると共に、M色の面積率の結果は、Y色が100%ベタ記録後が50%であるのに対して、0%ベタ記録後は43%であり、許容できる面積率の差となった。
【0030】
以上のように、1色目が記録されていない部分に2色目を記録する場合は1色目が記録されている部分に2色目を記録する場合と比べて感度が悪いため、1色目が記録されていない部分にも、記録しない程度の熱エネルギを予め与えておくとその部分の接着力が高まり1色目が記録されている部分と同じような感度が得られるという現象に着眼して、これを1色目の記録時に効果的に適用したものである。また、副走査方向のドットピッチがヒータサイズの2倍以上に長いYの場合の100%ベタ記録においても、非記録画素に低レベルの熱エネルギを予め与えておくとその部分の接着力が高まるので、次の隣接画素の記録時に受ける熱で当該非記録画素も記録されることなる。
【0031】
本発明が取り扱う千鳥配列は、1ドットの例を図2に示す。同図において、元々記録される所(市松模様の黒色部分)と記録されない所(市松模様の白色部分、Aで示す部分)が千鳥配列になっていて、記録されるべき所にすべて記録されたとしても記録されない白色部分(A)が残っている。本発明においては、このような記録されない白ぬきの所にもエネルギを与えるようにするものである。
【0032】
上記の他に、千鳥配列において元々記録される所であるがたまたまその箇所の記録データが ”ゼロ ”データであるため記録されない所(図2のBの部分)も存在する。本発明においては、このような本来記録されるべき箇所であるが記録されないでいる箇所にもエネルギを与えるようにするものである。このようにすると、この箇所とエネルギを与えられた他の箇所との色のバランスがとれるようになる。
【0033】
以上の実施例では、面積階調方式について実施したが、面積階調方式に限るものではなく、濃度階調方式についても適用することができる。
また、本発明は溶融転写に限るものではなく、昇華転写型カラープリンタやTA( Termo Auto Chrome )方式カラープリンタにも適用することができる。
【0034】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、低い熱エネルギを適所に与えることで、1色目が記録されていない部分に記録する2色目以降の発色と1色目が記録されている部分に記録する2色目以降の発色とが同一色相となる。
また、副走査方向の色ドットピッチがヒータサイズの2倍以上に長い場合においても、100%のベタ印刷が低い熱エネルギで可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Y色の場合の千鳥配列ドットとヒータ通電の関係を示す図。
【図2】千鳥配列図。
【図3】熱溶融型転写記録装置の部分斜視図。
【図4】記録部の拡大図。
【符号の説明】
31 サーマルヘッド
34 インクリボン(感熱記録材料)
311 ヒータ
341 支持体341
32 受像シート(受像材料)
342 剥離型色材層
321 支持体
35 樹脂ローラ
322 クッション層
36 ゴムローラ
323 受像層
37 剥離バー
33 プラテン
Claims (4)
- 1画素を上下左右に配列された複数の単位ドットにより構成し、その単位ドットの発色面積をヒータに印加する電圧の印加時間を変えることにより記録材料へ与える熱エネルギを変化させて可変にするバリアブル・ドットサイズ(Variable Dot Size)法を用いた画素サイズによる面積階調変調方式のカラー画像の面順次記録方法において、副走査方向のドットピッチがヒータサイズの2倍以上の色のみ、本来記録されるべき画素部分であるが前記ドットピッチが長いため非記録となってしまう画素部分に対して、記録されないレベルのエネルギーを印加することを特徴とするカラー画像の面順次記録方法。
- 1色目の非記録画素部分に対しても、記録されないレベルのエネルギを印加することを特徴とする請求項1記載のカラー画像の面順次記録方法。
- 請求項1又は2記載のカラー画像の面順次記録方法において、千鳥配列においては本来記録されるべき画素であって記録時にその画素の記録データが非記録データであるため記録されないような画素についても、記録されないレベルのエネルギを印加することを特徴とするのカラー画像の面順次記録方法。
- 副走査方向のドットピッチがヒータサイズの2倍以上の色を1色目としたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のカラー画像の面順次記録方法。
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JP27921395A JP3641036B2 (ja) | 1995-10-26 | 1995-10-26 | カラー画像の面順次記録方法 |
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- 1995-10-26 JP JP27921395A patent/JP3641036B2/ja not_active Expired - Fee Related
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